(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取付基材には、前記姿勢調節部材に対する装着姿勢を複数段に変更して装着可能な複数の第2位置決め部が形成されている請求項2〜4のいずれか一項記載の田植機。
前記取付基材には、前記連結アームに対する連結固定箇所とは別に、前記連結アームの回転方向での側端辺に接触する係合突起部が備えられていて、前記連結アームの回転に伴って前記取付基材が押圧されながら前記横向きの駆動軸心回りで回転するように構成されている請求項2〜7のいずれか一項記載の田植機。
前記姿勢調節部材は前記取付基材に対して着脱可能に構成され、この姿勢調節部材の前記取付基材に対向する側とは反対側の面に前記連結部材が取り付けられている請求項2〜9のいずれか一項記載の田植機。
前記連結部材と前記揺動作動部との連結箇所に、互いの連結位置を、前記揺動作動部の揺動中心に対する遠近方向で位置変更可能な微調節部が設けられている請求項2〜11のいずれか一項記載の田植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載した従来の技術では、左右方向でのほぼ中央位置に配設された薬液ポンプの上側に薬液タンクが搭載された状態で支持されている。そして、上側の薬液タンク内の薬液を、下側の薬液ポンプで所定量ずつ繰り出し、左右方向の離れた複数箇所に分散配置されている薬液ノズルから田面に滴下供給するように構成されている。
薬液ポンプには、植付爪駆動機構から連結ロッドを介して駆動力が伝達されるように構成されている。
しかしながら、この構造のものでは、走行機体側で株間変速を行ったとき、その株間変速に応じた量の薬液滴下量を調整することができず、この点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、株間変速などの走行機体側の速度と苗植付装置側の速度関係が変化した際に、その変化に応じて薬液滴下量を調節可能な機構を備える田植機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために講じた本発明における田植機の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、
走行機体の後部に苗植付装置が備えられ、
前記苗植付装置における苗のせ台の後方側に備えた薬液供給用の薬液タンクと、
前記薬液タンク内の薬液を繰り出し操作用の揺動作動部の揺動作動に伴って所定量ずつ繰り出し供給する薬液ポンプとが備えられ、
前記苗植付装置に備えた植付爪駆動機構から動力伝達機構を介して前記揺動作動部に駆動力が伝達されるように構成されているとともに、
前記植付爪駆動機構は、横向きの駆動軸心回りで回転駆動されるロータリケースの両遊端部に一対の植付爪支持ケースが軸支され、かつ、前記植付爪支持ケースのそれぞれが備える苗押出具操作用の回転軸同士を連結する連結アームを備えたものであり、
前記動力伝達機構は、前記連結アーム
と前記揺動作動部とを
連結する連結部材
を有しており、
前記連結部材の一端側が前記揺動作動部の遊端側に連結されており、前記連結部材の他端側が、前記連結アーム側における、前記連結アームの前記横向きの駆動軸心から離れた所定の固定位置において、姿勢調節部材に連結されており、前記固定位置を中心とした前記姿勢調節部材の姿勢の変更により、前記横向きの駆動軸心回りでの前記固定位置の回転軌跡径が変更されることで、前記ロータリケースの回転に伴って前記揺動作動部が揺動操作される
量が変化するように構成されたものであるということである。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1にかかる発明によると、植付爪駆動機構から薬液ポンプへの動力伝達機構の一部を利用して、連結アーム側における連結部材との連結箇所の、ロータリケースの横向きの駆動軸心回りでの回転軌跡径が拡縮変更可能に構成されている。
したがって、走行機体側で株間変速がなされるなどして、走行機体側の速度と苗植付装置側の速度関係が変化した際に、その速度関係の変化に応じて、連結アーム側における連結部材との連結箇所の回転軌跡径を変更して、薬液ポンプからの薬液繰り出し量を変化させることが可能となる利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記動力伝達機構は、前記連結アームに連結固定された取付基材と、その取付基材に対する取付姿勢を変更して装着可能な
前記姿勢調節部材と、前記姿勢調節部材と前記揺動作動部とを連結する前記連結部材とが備えられているとともに、前記取付基材に、前記連結アームに対する連結部と、前記姿勢調節部材に対する連結部とが備えられ、前記姿勢調節部材は、前記連結部材との連結箇所
である前記固定位置の前記回転軌跡径が変化するように、前記取付基材に対する装着姿勢を変更可能に構成されているということである。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2にかかる発明によると、取付基材に対する姿勢調節部材の装着姿勢を変更することによって、連結部材との連結箇所の回転軌跡径を変化させることができるので、予め定められた状態に姿勢調節部材の姿勢変更を行えば、所要通りに回転軌跡径を変化させることができる。
したがって、回転軌跡径の変更を所期通りに簡単に変更させられる利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記姿勢調節部材には、前記取付基材に対する装着姿勢を複数段に変更して装着可能な複数の第1位置決め部が形成されているということである。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3にかかる発明によると、取付基材に対する姿勢調節部材の装着姿勢を複数段に変更するだけで、予め定められた所要の調節代を精度良く簡単に得られる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記第1位置決め部の前記姿勢調節部材上での位置、及び各第1位置決め部同士の間隔は、株間の変更代に対応して定められたものであるということである。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4にかかる発明によると、取付基材に対する姿勢調節部材の装着姿勢を複数段に変更するだけで、株間変速に対応した所要の調節代を精度良く簡単に得られる利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記取付基材には、前記姿勢調節部材に対する装着姿勢を複数段に変更して装着可能な複数の第2位置決め部が形成されているということである。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5にかかる発明によると、取付基材にも、姿勢調節部材に対する装着姿勢を複数段に変更して装着可能な複数の第2位置決め部が存在しているので、第2位置決め部の何れかを選択した後、さらにその選択された第2位置決め部に対する第1位置決め部側の装着姿勢を選択することができるので、全体として、取付基材と姿勢調節部材との間での装着姿勢の変更パターン数を増大し、多様な調節形態を選択し得る利点がある。
【0017】
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記取付基材の前記連結アームに対する連結固定箇所は、前記横向きの駆動軸心から放射方向で離れた位置に設定されているということである。
【0018】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6にかかる発明によると、連結アームに対する取付基材の連結固定箇所は、ロータリケースの横向きの駆動軸心と合致する位置ではなく、放射方向で離れた位置に設定されている。
したがって、取付部材に動力伝達機構の連結部材を固定連結する際に、その動力伝達機構側の連結部材と取付部材との連結部位が、連結アームに対する取付基材の連結固定箇所と干渉する状態を避け易い。その結果、動力伝達機構側の連結部材と取付部材との連結部位をロータリケースの横向きの駆動軸心に近接した位置にも設定し易くて、その連結部材と取付部材との連結部位の、前記横向きの駆動軸心回りでの回転軌跡径を十分に小さくすることができる。
これによって、動力伝達機構による薬液ポンプの揺動作動部の揺動作動範囲を小さくして、薬液ポンプからの薬液の繰り出し量を少量に設定した微少供給状態を含めて、揺動作動部の揺動作動範囲の調節領域を広範に設定し得る利点がある。
【0019】
〔解決手段7〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記連結アームに対する連結部での前記取付基材の固定は、一本の連結ボルトによる連結固定であるということである。
【0020】
〔解決手段7にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段7にかかる発明によると、連結アームに対する取付基材の固定を一本の連結ボルトによって行うものであるから、その取付部材の連結固定を簡便に行い易いという利点がある。
【0021】
〔解決手段8〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記取付基材には、前記連結アームに対する連結固定箇所とは別に、前記連結アームの回転方向での側端辺に接触する係合突起部が備えられていて、前記連結アームの回転に伴って前記取付基材が押圧されながら前記横向きの駆動軸心回りで回転するように構成されているということである。
【0022】
〔解決手段8にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段8にかかる発明によると、連結アームの回転方向での側端辺に接触する係合突起部が取付基材に備えられているので、連結アームの回転に伴って取付基材が係合突起部に押圧されながら横向きの駆動軸心回りで回転する状態となる。
このように係合突起部が連結アームに押されることにより、連結アームから取付基材への横向きの駆動軸心回りでの回転方向の駆動力が伝達されるので、連結アームと取付部材との連結箇所では、横向きの駆動軸心回りでの回転方向の駆動力を伝達するための強度構造を要さない。したがって、連結アームと取付部材との連結を、単に引き寄せ連結するだけの簡素な連結構造とすることができ、構造の簡素化を図る上で有効である。
【0023】
〔解決手段9〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記係合突起部は、前記取付基材の回転方向での前後の側端辺に接触するように設けられているということである。
【0024】
〔解決手段9にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段9にかかる発明によると、係合突起部が取付基材の回転方向での前後の側端辺に接触するように設けられているので、連結アームと取付基材との回転方向での相対的な位置ずれを確実に抑制し、動力伝達機構途中でのガタツキの発生等を回避し易いという利点がある。
【0025】
〔解決手段10〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記姿勢調節部材は前記取付基材に対して着脱可能に構成され、この姿勢調節部材の前記取付基材に対向する側とは反対側の面に前記連結部材が取り付けられているということである。
【0026】
〔解決手段10にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段10にかかる発明によると、姿勢調節部材に対する連結部材の姿勢変化が、姿勢調節部材と取付基材との連結箇所の存在によって制限されないので、設計上の自由度が増し、また組み付け分解も行い易い点で有利である。
【0027】
〔解決手段11〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記連結部材は、前後方向視で鉛直線に沿うように配設されているということである。
【0028】
〔解決手段11にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段11にかかる発明によると、鉛直線に沿う方向で配設された連結部材は、横向きの駆動軸心回りで回転するロータリケースの回転に沿う状態となり、ロータリケースの回転による運動を効率良く連結部材の軸線方向に伝えることができる。
したがって、動力伝達機構の伝動効率を良好に保ち、また連結部材に対する曲げや捻りの発生も少なくて済むので、連結部材自体の軽量化を図り易い点でも有利である。
【0029】
〔解決手段12〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記連結部材と前記揺動作動部との連結箇所に、互いの連結位置を、前記揺動作動部の揺動中心に対する遠近方向で位置変更可能な微調節部が設けられているということである。
【0030】
〔解決手段12にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段12にかかる発明によると、連結部材と前記揺動作動部との連結箇所でも揺動作動部の揺動を微調節することができ、より一層多様な調節を行い得る利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明における田植機の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔田植機の全体構成〕
図1は、本発明に係る田植機の全体を示す側面図である。
図1に示すように、本発明に係る田植機は、車体フレーム10の前部が左右一対の前輪11Fで支持され、後部が左右一対の後輪11Rで支持された自走車体1を走行機体として備えている。この自走車体1の後部に、リンク機構12を介して作業装置としての苗植付装置2が上下位置変更可能に支持されて、乗用型田植機が構成されている。
【0033】
自走車体1の前部にエンジンEを内装した原動部13が設けられ、その原動部13の横側方、及び後方側に、機体前方側からも乗り降り可能な運転部ステップ14が設けてある。運転部ステップ14上で、前記原動部の後方側に、ステアリングハンドル15を備えた操縦部、及び運転座席16が配備され、運転座席16の後方側に、施肥装置3が配設されている。
前記リンク機構12は、機体後部に設けた油圧シリンダ17の伸縮作動にともなって上下揺動可能に構成してある。
苗植付装置2は、リンク機構12が油圧シリンダ17によって車体フレーム10に対して上下に揺動操作されることにより、整地用フロート29が圃場泥土に接地した下降作業状態と、整地用フロート29が圃場泥土から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。
苗植付装置2の後部側には、薬液供給用の施薬装置4が配設されている。
【0034】
〔苗植付装置〕
苗植付装置2は、
図1及び
図3に示すように、リンク機構12の後端部にフィードケース21が支持され、フィードケース21から左右横向きに横フレーム22が一体に延出されている。横フレーム22の後面側に、後向きに片持ち状で三個の伝動ケース23が延出されている。この伝動ケース23の上部に苗のせ台20が支持されている。
フィードケース21から横方向に周知の横送り軸21aが延出され、この横送り軸21aと苗のせ台20とが連係されて、横送り軸21aの回転駆動に伴って苗のせ台20が横方向に往復移動するように構成されている。各伝動ケース23の後部には植付爪駆動機構24が備えられている。
【0035】
苗のせ台20は、
図2に示されているように、一条分のマット状苗を載置する苗載置部20aが、壁状の仕切り部20bで区画されて6箇所に設けられ、6条植え用に構成されている。各苗載置部20aは前方上方から後方下方に向かう傾斜面に形成された苗のせ面2Aを備えている。そして区画された各苗載置部20aには、それぞれ左右一対のベルト駆動式の苗縦送り装置28が備えられている。
この苗縦送り装置28は、苗のせ台20が往復横送り駆動のストロークエンドに達すると、苗載置部20aに載置されている苗が下端の苗取り出し口20c側に向けて所定量だけ送られるように、無端帯状の縦送りベルトを駆動して苗を縦送りするように構成された周知の構造のものである。
【0036】
植付爪駆動機構24は、左右方向の駆動軸心x1周りで回転自在に支持されたロータリケース25を、各伝動ケース23の左右両側に備え、かつ、それぞれのロータリケース25の回転半径方向の両端部に、一対の植付爪支持ケース26が支持されている。
各伝動ケース23の内部には、その伝動ケースの左右に設けられたロータリケース25に対して駆動力を断続するための周知の少数条クラッチ(図示せず)が配備されており、操縦部に備えた操作具(図示せず)での操作により、何れかの伝動ケース23の内部に備えられた少数条クラッチを選択して各別に入り切り操作可能に構成されている。
【0037】
ロータリケース25に備えた植付爪支持ケース26には、苗植付爪26a及び苗押出具26bが装備されている。それぞれの植付爪支持ケース26は、前記駆動軸心x1と平行な回転軸心x2を有した回転軸26cに枢支され、前記ロータリケース25の駆動軸心x1周りで公転しながら、前記回転軸心x2回りの所定角度範囲で揺動駆動され、苗押出具26bを出退操作するように構成されている。
ロータリケース25の両端部に位置する一対の植付爪支持ケース26の各回転軸26c,26c同士は、
図4及び
図12に示すように、その遊端側が連結アーム27で連結されている。
【0038】
上記の構造により、横送り軸21aが回転駆動されて苗のせ台20が横方向に往復横送り駆動される。植付爪駆動機構24では、ロータリケース25が回転駆動されて、植付爪支持ケース26の苗植付爪26aが苗のせ台20の苗載置部20aの下部に形成されている苗取り出し口20cから苗を分割して取り出し、取り出された苗を苗植付爪26a及び苗押出具26bで田面に植え付けるように構成されている。そして、苗のせ台20が往復横送り駆動のストロークエンドに達すると、苗のせ台20の苗載置部20aの苗が苗縦送り装置28により下方に所定量だけ縦送りされ、再び苗取り出し口20cからの苗の取り出しが可能な状態になる。
【0039】
図1乃至
図3に示すように、苗植付装置2の下部には、苗植付爪26aによる苗植付箇所の前方側の田面を整地する整地用フロート29が配設されている。
この整地用フロート29は、フィードケース21の下部に位置するセンターフロート29Cと、センターフロート29Cの右及び左の横外側に所定間隔を隔てて位置するサイドフロート29R,29Lとを備えたものである。
【0040】
〔施肥装置〕
図1,2に示すように、施肥装置3は、粉粒体である肥料を貯留するように車体横方向に長い形状に形成された一つの肥料タンク30が、自走車体1上で運転座席16の後側に備えられている。その肥料タンク30の下側に、肥料タンク30内の肥料を所定量ずつ繰り出す4つの繰出機構31が備えられている。
さらに、繰り出された肥料を搬送風に乗せて風力搬送するための送風装置32と、繰り出された粉粒体を供給対象箇所へ案内する6本の供給ホース33と、供給された粉粒体を苗植付箇所の横側部の泥面に形成した溝へ案内供給するための6箇所の作溝器34とを備えている。
【0041】
前記肥料タンク30及び繰出機構31は、
図2に示すように、運転座席16の後側で自走車体1に備えた支持台(図示せず)上に固定されている。繰出機構31の下部前側で粉粒体繰り出し箇所に連なるように、送風装置32の送風ダクト32Aが設けられている。
各繰出機構31の後部側には、それぞれ2本もしくは1本の供給ホース33が接続されていて、送風装置32で発生させた風に乗せて、繰出機構31から繰り出された粉粒体を、各供給ホース33から各作溝器34へ向けて風力搬送するように構成されている。
送風装置32の吸気ダクト32Bは、
図1に示すようにエンジンEの付近に延出してあり、エンジンEの放熱などによって温度上昇した空気を吸引して搬送風を発生させる。この送風装置32は電動モータ32Cで駆動されるように構成してある。
【0042】
〔施薬装置〕
施薬装置4は、液状の除草剤や病虫害防除用薬剤などの薬液を田面に滴下供給するものであり、薬液を貯留する薬液タンク40と、その薬液タンク40内の薬液が供給される3個のポンプユニット5と、7個の薬液ノズル56aとを備えている。
この施薬装置4の薬液タンク40、及びポンプユニット5は、
図5に示すように、苗植付装置2の伝動ケース23の上側に取り付けた支持フレーム35を介して苗のせ台20の後方側に配設されている。
そして、各ポンプユニット5に対する駆動力は、苗植付装置2の植付爪駆動機構24から、後述する動力伝達機構6を介して伝動されている。
【0043】
〔支持フレーム〕
支持フレーム35は、
図5乃至
図9に示すように、薬液タンク40の右側に位置する右支持フレーム35Rと、薬液タンク40の左側に位置する左支持フレーム35Lとの組み合わせで構成されている。
右支持フレーム35Rは、右端側の伝動ケース23と中央位置の伝動ケース23とにわたる門型に形成された門型フレーム部36と、薬液タンク40の右横側辺に接続される縦フレーム部37とを備えている。
これらの右支持フレーム35R及び左支持フレーム35Lは、
図3及び
図7に示すように、植付爪駆動機構24の爪移動軌跡や、ロータリケース25の回転軌跡よりも後方側に延設されている。この右支持フレーム35R及び左支持フレーム35Lが、植付爪駆動機構24の作動範囲の後端よりも後方側へ突出して、植付爪駆動機構24の後方側を保護する後端部フレーム部分としての機能も有している。
【0044】
門型フレーム部36は、左右方向に横架された横杆部36Aと、その横杆部36Aの左右両端部が下向きに折り曲げられることによって形成された脚部36Bとを備えて、その左右両側の各脚部36Bが右端側の伝動ケース23と中央位置の伝動ケース23とのそれぞれに連結されている。脚部36Bは、
図3、
図6、及び
図12に示されるように、右端側の伝動ケース23と中央位置の伝動ケース23との上部に下端側が連結固定され、その連結箇所から斜め後方上方へ向けて延出されている。
図6に示すように、横杆部36A部分には、3個のポンプユニット5のうち、右端側の第1ポンプユニット5Aと、中央位置の第2ポンプユニット5Bとを載置支持するための、固定ブラケット36aが取り付けられている。また、横杆部36Aの左右方向での中央部と、左右両側の脚部36B,36Bとの三箇所に、後述する薬液ノズル56aを支持するための線状支持部材35aを取り付ける支持ブラケット36bが固定されている。線状支持部材35aは、ピアノ線などの適度な弾性復元力を有した線材で構成されたものであり、他物との接触によって一時的に退避するように変形しても、元の位置に弾性復帰可能に構成されたものである。
さらに、横杆部36Aの左右方向で右端部近くに、後述する液導入管48の屈曲箇所を保持するための保持金具48aの取付ブラケット36cが溶接固定されている。
【0045】
縦フレーム部37は、
図3、
図6、及び
図12に示されるように、下端側が門型フレーム部36の左右方向での中央側の脚部36Bに沿う状態で溶接固定され、上端側が薬液タンク40の右横側辺に沿うように上方側へ延出されて、側面視でベルクランク状に屈曲形成されている。
縦フレーム部37の上端側部分は、薬液タンク40の右横側辺に沿って横側方に突出する横フランジ部41に対して面接触状態で接続可能であるように、接触面が扁平状に圧潰加工された接続部37A(側方支持部に相当する)を備えている。この接続部37Aには、上下二箇所にボルト挿通孔37aが形成されており、横フランジ部41に形成されたボルト挿通孔41aに挿通された連結ボルト41bで、横フランジ部41に対して着脱可能に連結固定されている。
【0046】
左支持フレーム35Lは、
図5及び
図6に示されているように、後面視でほぼL字状に形成されたL型フレーム部38と、そのL型フレーム部38の右側端部に一体に溶接固定されたタンク取付プレート39(下方支持部に相当する)とを備えて構成されている。
前記L型フレーム部38は、左右方向に沿う横杆部38Aと、その横杆部38Aの左側端部が下向きに折り曲げられることによって形成された脚部38Bを備え、その左側の脚部38Bが左端側の伝動ケース23の上部に連結固定されている。
横杆部38Aは、前記タンク取付プレート39よりも左側の箇所に第3ポンプユニット5Cを載置支持するための、固定ブラケット38aが取り付けられている。また、左側の脚部38Bの二箇所に、後述する薬液ノズル56aの線状支持部材35aを取り付けるための支持ブラケット38bが固定されている。この二箇所の支持ブラケット38bと、前記タンク取付プレート39の下部との三箇所が、後述する薬液ノズル56aの線状支持部材35aを取り付けるために用いられている。
【0047】
図6、及び
図8に示すように、薬液タンク40の左側下部には、下向きに延出された下部フランジ部42が形成されており、この下部フランジ部42が備える左右一対の連結孔42aに対して、タンク取付プレート39の上部に備えた止めナット付きの左右一対の連結孔39aが対向するように位置し、止めボルト42bを差し込んでネジ止めされるように構成されている。
また、タンク取付プレート39の下部には、前述したように、後述する薬液ノズル56aの線状支持部材35aを取り付けるための止めナット付きの取付孔39bが左右一対形成されており、左右の何れかの取付孔39bを選んで線状支持部材35aをボルト連結することにより取付可能であるように構成されている。
タンク取付プレート39の中央部には、薬液ポンプ50からの排出液の戻り流路となる液環流管56bを挿入可能な開口39cが形成されている。
【0048】
図5、及び
図8に示すように、薬液タンク40の下方側の連結箇所となるタンク取付プレート39の上部左側の連結孔39aと、薬液タンク40の上方側の連結箇所となる前記縦フレーム部37の上端側のボルト挿通孔37aとを結ぶ仮想線分L1は、前後方向視で、薬液タンク40の満杯状態での重心Gが存在する位置の近くを通るように設定されている。
薬液タンク40の満杯状態での重心Gとは、
図5に示すように、薬液タンク40内に収容された薬液の液面LLが、薬液タンク40の内部上面に近い位置にまで達しているときの薬液タンク40全体の重心位置である。この薬液タンク40内部における重心Gの位置は、液面LLの変化によって上下に位置変化するものであるが、前記仮想線分L1が薬液タンク40の満杯状態での重心Gが存在する位置の近くを通るように設定されていることにより、特に全体重量が大きくて慣性が大であるときの薬液タンク40の前後左右での揺れに対する位置保持を確実に行い易いものである。
尚、平面視では、
図9に示されているように、薬液タンク40の重心Gが、タンク取付プレート39と、縦フレーム部37の上端側の接続部37Aとを結ぶ仮想線分L2と一致、又はほぼ一致する位置にある。
【0049】
〔薬液タンク〕
薬液タンク40は、
図3乃至
図9に示すように、ほぼ矩形箱状に形成されており、上面40U側に薬液を投入可能な給液口部43が設けられ、下面40D側(底面側に相当する)には、下部フランジ部42の他に、薬液を排出可能な排液口部44、及び薬液ポンプ50からの戻り液を受け入れる戻り口部45が形成されている。また、右横側面40Rに横フランジ部41が設けられており、左横側面40Lは平坦面に形成されている。
薬液タンク40の前面40Fは、
図3及び
図12に示すように、その上部側がほぼ鉛直面に近い面に形成され、かつ下部側が苗のせ台20の苗のせ面2Aに沿った傾斜面40Faに形成されている。
また、薬液タンク40の後面40Bは、
図3及び
図12に示すように、全体的に、下端側よりも上端側が前方側に位置する前倒れ傾斜面40Baに形成されている。
【0050】
給液口部43は、
図8に示すように、上面40Uに形成された注入開口43aの上側に、その注入開口43aを閉塞するための開閉蓋43bが着脱可能に設けてある。注入開口43aの内側には、籠状のフィルタ46が、着脱可能な状態で内嵌され、注入開口43aの上側から注がれた液体がフィルタ46を経て薬液タンク40内に貯留されるように構成されている。
【0051】
排液口部44は、
図8に示すように、外筒部44Aと内筒部44Bとを備え、外筒部44Aが内筒部44Bよりも下方へ長く延出されていて、外筒部44Aの下端部に下部開閉蓋44C(蓋体に相当する)が装着されている。
外筒部44Aの内部では、外筒部44Aの上下方向での中間部と内筒部44Bの下端部との間に、平板状でかつ環状の除塵用フィルタ47が装着されて、その除塵用フィルタ47よりも下側の空間S1と、除塵用フィルタ47よりも上側の空間S2とが、除塵用フィルタ47によって区画された状態となっている。
したがって、薬液タンク40内の薬液は、内筒部44Bを経て除塵用フィルタ47の下側の空間S1に流入する。
このとき、下部開閉蓋44Cが開放されていれば、そのまま下方へ流れ出て外部へ排出されることになる。つまり、下部開閉蓋44Cが開放された状態では、前記下側の空間S1における外筒部44Aの内部が、外部への薬液の排出通路となる。
下部開閉蓋44Cが閉塞されていれば、下側の空間S1に流入した薬液が、除塵用フィルタ47を透過して外筒部44Aと内筒部44Bとの間に存在する上側の空間S2に流れ込み、上側の空間S2から薬液ポンプ50へ薬液を送り込むための導入側流路である液導入管48に供給される。つまり、この状態では、下側の空間S1よりも上側で、内筒部44Bよりも外側に位置する上側の空間S2が、薬液ポンプ50へ液状農用資材を送り出すための送出通路となる。
そして、除塵用フィルタ47は、薬液が送出通路側へながれるときに薬液の濾過を行う機能を有したものであり、送出通路に備えられた状態で配設されている。
【0052】
薬液タンク40の下面40Dには、薬液ポンプ50からの戻り液を受け入れる戻り口部45も形成されている。この戻り口部45は、
図8及び
図9に示されるように、薬液タンク40の下面40D側で、少し下向きに膨出させることによって下面40Dの一部を凹入させた箇所に、二本の液環流管56bが上向きに接続され、戻り液が薬液タンク40の内部に上向きに流入するように設けられている。
したがって、この液環流管56bから上向きに噴出する戻り薬液が薬液タンク40内に流入すると、薬液タンク40内の薬液が攪拌されて、薬液タンク40内での薬液の沈殿を抑制し易く、薬液タンク40内における薬液の濃度ムラが生じることを少なくし得る。
【0053】
〔ポンプユニット〕
薬液タンク40内の薬液を所定量ずつ繰り出すための3個のポンプユニット5は、
図5及び
図7に示すように、支持フレーム35に対して、第1ポンプユニット5Aが左右方向での右側に配設され、第2ポンプユニット5Bが中間位置に配設され、第3ポンプユニット5Cが左側に配設されている。
これらの各ポンプユニット5A,5B,5Cに対して、前記薬液タンク40からの供給薬液が、各ポンプユニット5A,5B,5Cに対する導入側流路である液導入管48を介して供給される。
【0054】
図9に示すように、排液口部44に接続された液導入管48は、薬液タンク40から右横側方へ向けて延出され、門型フレーム部36の右側端部近くで反対向きに折り曲げられ、左方向に向けられて左側のL型フレーム部38の左側端部近くにまで直線状に延出されている。
液導入管48の右側端部近くにおける前記折り曲げ箇所では、門型フレーム部36の右側端部近くに固定されている取付ブラケット36cに支持された保持金具48aによって、その折り曲げ箇所が支持されている。液導入管48の左側端部には、最下流に位置する第3ポンプユニット5Cよりも下流側にエア抜き栓48bが設けてあり、このエア抜き栓48bの開閉によって液導入管48内におけるエア抜きが可能であるように構成してある。
【0055】
液導入管48には、前記保持金具48aによって支持された折り曲げ箇所よりも下流側に、前記第1ポンプユニット5Aと第2ポンプユニット5Bと第3ポンプユニット5Cとが順に配設されている。つまり、薬液タンク40の下流側に液導入管48を介して第1ポンプユニット5Aが接続され、第1ポンプユニット5Aの下流側に液導入管48を介して第2ポンプユニット5Bが接続され、第2ポンプユニット5Bの下流側に液導入管48を介して第3ポンプユニット5Cが接続されている。このように、薬液タンク40と三個のポンプユニット5は、液導入管48を介して、液導入管48の上流側と下流側とに離れて隣に位置するもの同士が直列に接続されている。
【0056】
各ポンプユニット5A,5B,5Cは、それぞれが同一仕様の構造を有したものである。
図10及び
図11に示すように、ポンプ駆動軸52と一体回転するように装着された周溝付き回転体53が筒状の収容ケース54に内装され、周溝付き回転体53の3つの周溝部分53aに沿って巻回された3本の弾性変形可能で可撓性のある合成樹脂製のチューブ55と、そのチューブ55の一部分に当接して、収容ケース54の筒状の内周面との間にチューブ55を挟み込んで扁平状に押し潰しながら回転し移動するローラ53bを備えている。
そして、そのローラ53bがポンプ駆動軸52の軸心周りで公転しながら自転するように回転して、チューブ55の長手方向に沿って移動する。このローラ53bの回転に伴ってチューブ55内の薬液を間欠的に絞り出すように繰り出すスクィーズポンプの複数個によってポンプユニット5が構成されている。
【0057】
それぞれのポンプユニット5A,5B,5Cは、一つの周溝部分53aと一つのチューブ55と、チューブ55に接触する部分のローラ53bや収容ケース54によって一つの薬液ポンプ50が構成されている。したがって、各ポンプユニット5A,5B,5Cのそれぞれは、流路面積の大きい大径チューブ55Lを備えた2つの第1種給液ポンプ50aと、流路面積の小さい小径チューブ55Sを備えた1つの第2種給液ポンプ50bとが組み合わされた3つの薬液ポンプ50をユニット化することにより、一つのポンプユニット5として構成されたものである。
流路面積の小さい小径チューブ55Sを備えた第2種給液ポンプ50bは、流路面積の大きい大径チューブ55Lを備えた2つの第1種給液ポンプ50aよりも薬液の吐出量は少なく設定されており、その割合は、第1種給液ポンプ50aの1/2、又は、ほぼ1/2となるように設定されている。
【0058】
各薬液ポンプ50におけるチューブ55の吸い込み口55a側は、それぞれが液導入管48に対して並列に接続され、各チューブ55の吐出口55b側には、接続管51(繰り出し口に相当する)を介して可撓性ホースで構成される給液管56(給液流路に相当する)が接続されている。この給液管56は、その末端側が薬液ノズル56aとして用いられるとともに、薬液タンク40の戻り口部45に接続された給液管56は、前述した液環流管56bとして用いられる。
【0059】
各ポンプユニット5A,5B,5Cのうち、右側に配設された第1ポンプユニット5Aと左側に配設された第3ポンプユニット5Cとは、流路面積の小さい小径チューブ55Sを備えた第2種給液ポンプ50bが左右方向での外側に位置するように、苗植付装置2の左右方向での中心位置を境にして左右対称の向きで配設されている。
そして、その第1ポンプユニット5Aと左側に配設された第3ポンプユニット5Cとのそれぞれの外側に位置する第2種給液ポンプ50bに対して接続される給液管56は、
図7に示すように、その末端側の薬液ノズル56a(最外側薬液ノズルに相当する)として機能する部分が、最外側の植付苗列よりも外側の位置に薬液を滴下供給する最外側位置にまで延出されている。
これらの第1ポンプユニット5Aと第3ポンプユニット5Cとの第1種給液ポンプ50aに接続される給液管56は、6条の植付苗列のうちの各植付苗列同士の間に薬液を滴下供給するように、その末端側の薬液ノズル56a(中央側薬液ノズルに相当する)として機能する部分の位置を定めてある。
【0060】
左右方向での中間位置に配設された第2ポンプユニット5Bは、右側に配設された第1ポンプユニット5Aと左右対称の向きで配設され、それぞれのポンプ駆動軸52同士が相対向している。
この第2ポンプユニット5Bでは、
図7及び
図8に示すように、流路面積の大きい大径チューブ55Lを備えた右端側の第1種給液ポンプ50aに接続される給液管56が、6条の植付苗列のうちの中央側の2条分の植付苗列同士の間に薬液を滴下供給するように、その末端側の薬液ノズル56a(中央側薬液ノズルに相当する)として機能する部分の位置を定めてある。
第2ポンプユニット5Bの中央側の第1種給液ポンプ50aに接続された給液管56、及び、左端側の第2種給液ポンプ50bに接続された給液管56は、その末端側が薬液タンク40の戻り口部45に接続されて液環流管56bとして用いられている。
【0061】
上記の給液管56のうち、薬液ノズル56aとして機能する位置に配設された各給液管56は、
図7に示すように、ピアノ線などの適度な弾性復元力を有した線材で構成された線状支持部材35aによって、それぞれの滴下対象箇所への滴下供給を行うに適した位置を維持するように支持されている。
【0062】
各ポンプユニット5は、それぞれのポンプ駆動軸52に揺動作動部57が装着されており、この揺動作動部57に対して、苗植付装置2の植付爪駆動機構24から後述する動力伝達機構6を介してポンプ駆動力が伝達されるように構成されている。
揺動作動部57は、
図8、及び
図11乃至
図15に示されるように、ポンプ駆動軸52に外嵌する筒部材57aと、その筒部材57aに溶接固定された揺動アーム57b、及び筒部材57aの回転運動のうち、一方向の回転のみをポンプ駆動軸52に伝えるための一方向回転機構58とが備えられたものである。
したがって、動力伝達機構6からの押し引き操作で前記揺動アーム57bがポンプ駆動軸52の軸心回りで揺動作動し、これに伴って回転する筒部材57aの一方向の回転が一方向回転機構58を介してポンプ駆動軸52に伝達される。このポンプ駆動軸52の間欠的な一方向回転によって前記各ポンプユニット5が間欠的に薬液を繰り出すように構成されている。
【0063】
また、揺動作動部57には、動力伝達機構6からの押し引き操作量に対するポンプ駆動軸52の回転角度の割合を微調節するための微調節部59が設けられている。
この微調節部59は、
図14,15に示すように、断面形状がチャンネル状の揺動アーム57bの上側に、上側から被さるように位置するチャンネル状の部分を有したスライド部材59aを備えている。
このスライド部材59aに、動力伝達機構6の一端側を連結するための連結孔59bと、揺動アーム57bの前後の側面に形成されている係合突起57dと係合するための波形係止部59cと、締め付けボルト59dの挿通長孔59eとが形成されている。
揺動アーム57bの上面側にも、締め付けボルト59dを挿通可能な止め孔57cが形成されており、この止め孔57cと前記挿通長孔59eとに締め付けボルト59dを挿通した状態で、止めナット59fと螺合させて締め付けることにより、ポンプ駆動軸52の軸心位置から連結孔59bの中心位置までの距離を固定することができるように構成されている。
締め付けボルト59dを弛み側へ少し操作して、スライド部材59aをポンプ駆動軸52の軸心に対する遠近方向でスライド操作することにより、ポンプ駆動軸52の軸心位置から連結孔59bの中心位置までの距離を調節可能に構成してある(
図18参照)。
【0064】
〔動力伝達機構〕
苗植付装置2の植付爪駆動機構24から、各ポンプユニット5に対して駆動力を伝達する動力伝達機構6は次のように構成されている。
図12乃至
図15に示されるように、植付爪駆動機構24が備えるところの、ロータリケース25の回転半径方向の両端部に備えた一対の植付爪支持ケース26の回転軸26c,26c同士を連結する連結アーム27と、各ポンプユニット5が備えるところの揺動作動部57とが、動力伝達機構6によって連結されている。
【0065】
動力伝達機構6は、直杆状のロッド60(連結部材に相当する)を備え、そのロッド60の両端部に、ロッド60の長手方向に対して直交する方向の連結軸61を軸受け支持する軸受連結部62が設けられている。
軸受連結部62では、袋状に形成された軸受連結部62の筒孔62Aの内奥側に連結軸61を回転自在に支持するためのボールベアリング63を装着してあり、ボールベアリング63よりも筒孔62Aの開口側寄りの箇所にシール材64を嵌着してある。
筒孔62Aの開口よりも外側で各連結軸61が、ロッド60の上端側では揺動作動部57側のスライド部材59aに締め付けナット65を用いて連結されている。ロッド60の下端側では連結アーム27側の後述する姿勢調節部材71に締め付けナット65を用いて連結されている。
【0066】
図12及び
図18に示すように、連結アーム27側に連結されるロッド60の下端側における連結軸61の中心p1は、植付爪駆動機構24に備えるロータリケース25の駆動軸心x1に対して偏心した位置に連結されている。この駆動軸心x1に対する中心p1の偏心量を半径とする円弧の直径に相当する量だけ、ロッド60の上端側における連結軸61に連結された箇所で、揺動作動部57側の揺動アーム57bが揺動される。
【0067】
図5に示すように、動力伝達機構6は、各植付爪駆動機構24に備えるロータリケース25のそれぞれに設けてある連結アーム27から、各ポンプユニット5のそれぞれに備えられている揺動作動部57に対して動力が伝達されるように配設されるものであり、そのロッド60が、前後方向視で、鉛直線に沿うように配設されている。
【0068】
〔株間変更対応機構〕
図13乃至
図18に示すように、連結アーム27に対して、動力伝達機構6の直杆状のロッド60は、株間変更対応機構7を介して連結されている。
この株間変更対応機構7は、自走車体1側に備える株間変速機構(図示せず)での株間変速に伴って、株間が変化した植付苗列に対応させて、人為的に薬液の滴下量を変更するためのものであり、次のように構成されている。
【0069】
図17に示すように、株間変更対応機構7は、連結アーム27に対して連結される取付基材70と、その取付基材70に対する取付姿勢を変更して取付可能な姿勢調節部材71とを備えている。
連結アーム27の一部には、一対の植付爪支持ケース26の回転軸26c,26cの軸心同士を結ぶ仮想線L3から離れた位置で、かつロータリケース25の駆動軸心x1から外れた箇所に幅広部分27aを形成し、この幅広部分27aにボルト挿通孔27bを形成してある。
取付基材70には、連結アーム27に備えた幅広部分27aのボルト挿通孔27bに対向した位置で、連結アーム27に対向する側とは反対側の面に位置させた取付用ナット70aを溶接固定してあって、連結アーム27側から差し込まれる一本の連結ボルト72によって連結アーム27と連結固定可能に構成されている。
【0070】
このとき、取付基材70側には、
図14及び
図15に示すように、姿勢調節部材71と対向する側のみならず、連結アーム27と対向する側へも突出する軸部分を備えた複数本の筒軸部70b,70c,70d,70e,70fが設けられている。この複数本の筒軸部70b,70c,70d,70e,70fは、
図17に示すように、連結アーム27と対向する側へ突出する軸部分が、連結アーム27の回転方向の前後両側の側縁に接触して連結アーム27を挟み込んだ状態となり、連結アーム27と取付基材70との回転方向における位置ずれを規制する係合突起部として機能するように構成されている。
このように、連結アーム27と取付基材70とが、回転方向における位置ずれを規制されているので、連結アーム27と取付基材70とは、連結アーム27側から差し込まれる一本の連結ボルト72によって確実に相対姿勢変化が規制された状態で連結固定されている。
【0071】
取付基材70に備えた複数本の筒軸部70b,70c,70d,70e,70fは、取付用ナット70aの厚み、及び姿勢調節部材71側から取付基材70へ突出する連結軸61の突出代よりも、取付基材70側から姿勢調節部材71側への突出長さを長く形成されている。
この各筒軸部70b,70c,70d,70e,70fのうち、取付用ナット70aが設けられている位置に対して、一対の植付爪支持ケース26の回転軸26c,26cの軸心同士を結ぶ仮想線L3を挟む反対側で、かつロータリケース25の駆動軸心x1を挟んで反対側に位置する筒軸部70bは、基準取付位置として設定されている。
つまり、この筒軸部70bを基準にして、姿勢調節部材71の基準取付位置であるところの基準取付孔71aが連結ボルト73を介して連結されている。
【0072】
姿勢調節部材71には、
図16及び
図17に示すように、前記基準取付孔71aの他に、その基準取付孔71aの中心p0を曲率中心とし、曲率半径の異なる3つの仮想円弧A,B,C上に、複数の位置決め部として連結孔a,b,c,d,e,f,g,h,iが形成されている。また、姿勢調節部材71には、ロータリケース25の駆動軸心x1から離れた位置に、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の取付孔71bが形成されている。
【0073】
仮想円弧A上に並ぶ位置決め部としての連結孔a,d,g,iは、そのうちの何れかの連結孔a(又はd又はg又はi)を取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて、筒軸部70cに対して連結ボルト74を差し込んで連結することにより位置決めされる。
このときの姿勢調節部材71の姿勢は次のように定められる。
つまり、基準取付位置である筒軸部70b及び基準取付孔71aの中心p0と、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の取付孔71bの中心p1を結ぶ線分が、
図17における線分p0−a(又はp0−d又はp0−g又はp0−i)となる。したがって、連結孔aを取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて連結ボルト74を差し込んで連結すると、
図17における線分p0−aで表される線分上に、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1が位置することになる。
この位置で取付孔71bに装着された連結軸61の中心p1と、ロータリケース25の駆動軸心x1との離間距離r1が、ロータリケース25の駆動軸心x1周りにおける連結軸61の中心p1の回転半径となる。
この構造では、連結孔aを筒軸部70cに合致する箇所に位置させて連結した場合に、前記連結軸61の中心p1の回転半径が最小となるように構成されている。
【0074】
次に、連結孔dを、取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて、筒軸部70cに対して連結ボルト74を差し込んで連結した場合には、基準取付位置である筒軸部70b及び基準取付孔71aの中心p0と、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の取付孔71bの中心p1を結ぶ線分が、
図17における線分p0−dとなる。したがって、連結孔dを取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて連結ボルト74を差し込んで連結すると、
図17における線分p0−dで表される線分上に、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1が位置することになる。
このときにおける連結軸61の取付孔71bの中心p1がロータリケース25の駆動軸心x1から離間する距離r2は、
図17に示すように、連結孔aを取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて連結ボルト74を差し込んで連結したときの線分p0−a上における中心p1の離間距離r1よりも大きくなっている。
したがって、連結孔dを、取付基材70側の筒軸部70cに合致させて連結した場合には、連結孔aを筒軸部70cに合致させて連結した場合よりも、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1の回転半径が大きくなっているので、その大きくなった分だけ、ポンプユニット5側の揺動作動部57の揺動角度が大きくなり、ポンプユニット5からの薬液の繰り出し量が変化することになる。
【0075】
同様に、連結孔gを、取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて、筒軸部70cに対して連結ボルト74を差し込んで連結した場合には、基準取付位置である筒軸部70b及び基準取付孔71aの中心p0と、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の取付孔71bの中心p1を結ぶ線分が、
図17における線分p0−gとなる。したがって、連結孔dを取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて連結ボルト74を差し込んで連結すると、
図17における線分p0−gで表される線分上に、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1が位置することになる。
また、連結孔iを、取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて、筒軸部70cに対して連結ボルト74を差し込んで連結した場合には、基準取付位置である筒軸部70b及び基準取付孔71aの中心p0と、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の取付孔71bの中心p1を結ぶ線分が、
図17における線分p0−iとなる。したがって、連結孔dを取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて連結ボルト74を差し込んで連結すると、
図17における線分p0−iで表される線分上に、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1が位置することになる。
そして、連結孔gを、取付基材70側の筒軸部70cに合致させて連結した場合には、連結孔aや連結孔dを筒軸部70cに合致させて連結した場合よりも連結軸61の中心p1の回転半径が大きくなり、連結孔iを、取付基材70側の筒軸部70cに合致させて連結した場合には、連結孔gを筒軸部70cに合致させて連結した場合よりもさらに連結軸61の中心p1の回転半径が大きくなる。
【0076】
仮想円弧B上に並ぶ位置決め部としての連結孔b及びeは、その連結孔b又はeを、取付基材70側の筒軸部70dに合致する箇所に位置させて、筒軸部70dに対して連結ボルト74を差し込んで連結することにより、位置決めされる。
このときの姿勢調節部材71の姿勢は次のように定められる。
つまり、基準取付位置である筒軸部70b及び基準取付孔71aの中心p0と、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の取付孔71bの中心p1を結ぶ線分が、
図17における線分p0−b、及び線分p0−eとなる。したがって、連結孔bを取付基材70側の筒軸部70dに合致する箇所に位置させて連結ボルト74を差し込んで連結すると、
図17における線分p0−bで表される線分上に、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1が位置することになる。
このときにおける連結軸61の中心p1が、ロータリケース25の駆動軸心x1から離間する距離は、連結孔aを取付基材70側の筒軸部70cに合致する箇所に位置させて連結ボルト74を差し込んで連結したときの線分p0−a上における中心p1よりもやや大きくなっている。
したがって、このときにおける連結軸61の中心p1は、連結孔aを筒軸部70cに合致させて連結した場合よりも、前記ロータリケース25の駆動軸心x1周りでの回転半径が少し大きくなっている。
【0077】
同様に連結孔eを取付基材70側の筒軸部70dに合致する箇所に位置させて連結ボルト74を差し込んで連結したときの線分p0−e上における中心p1の位置は、ロータリケース25の駆動軸心x1から離間する距離が、連結孔bを筒軸部70dに合致させて連結した場合や、連結孔dを筒軸部70cに合致させて連結した場合、及び後述する連結孔cを筒軸部70eに合致させて連結した場合よりも大きくなり、より大きな回転半径で回転する。
しかし、連結孔gや連結孔iを、取付基材70側の筒軸部70cに合致させて連結した場合や、後述する連結孔fや連結孔hを、取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結した場合よりは小さく、より小さな回転半径で回転する。
【0078】
仮想円弧C上に並ぶ位置決め部としての連結孔c,f,hは、そのうちの何れかの連結孔c(又はf又はh)を取付基材70側の筒軸部70eに合致する箇所に位置させて、筒軸部70eに対して連結ボルト74を差し込んで連結することにより位置決めされる。
このときの姿勢調節部材71の姿勢は次のように定められる。
つまり、基準取付位置である筒軸部70b及び基準取付孔71aの中心p0と、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の取付孔71bの中心p1を結ぶ線分が、
図17における線分p0−c(又はp0−f又はp0−h)となる。したがって、連結孔cを取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結すると、
図17における線分p0−cで表される線分上に、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1が位置することになる。
このときにおける連結軸61の中心p1が、ロータリケース25の駆動軸心x1から離間する距離は、連結孔aを取付基材70側の筒軸部70cに合致させて連結した場合や、連結孔bを筒軸部70dに合致させて連結した場合よりも、前記ロータリケース25の駆動軸心x1周りでの回転半径が大きくなっている。
しかし、連結孔fや連結孔hを取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結した場合や、連結孔dや連結孔gや連結孔iを、取付基材70側の筒軸部70cに合致させて連結した場合、あるいは、連結孔eを筒軸部70dに合致する箇所に位置させて連結した場合よりは小さく、より小さな回転半径で回転する。
【0079】
同様に連結孔f又は連結孔hを取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結すると、
図17における線分p0−f、又はp0−hで表される線分上に、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1が位置する。この位置における連結軸61の中心p1と、ロータリケース25の駆動軸心x1との間の距離が、ロータリケース25の駆動軸心x1周りにおける連結軸61の中心p1の回転半径となる。
連結孔fを取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結した場合は、連結孔cを取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結した場合や、連結孔bや連結孔eを筒軸部70dに合致させて連結した場合、及び連結孔a,dを筒軸部70cに合致させて連結した場合よりも、前記ロータリケース25の駆動軸心x1周りでの回転半径が大きくなっている。
しかし、連結孔hを取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結した場合や、連結孔gや連結孔iを、取付基材70側の筒軸部70cに合致させて連結した場合よりは小さく、より小さな回転半径で回転する。
また、連結孔hを取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結した場合は、連結孔cや連結孔fを取付基材70側の筒軸部70eに合致させて連結した場合や、連結孔bや連結孔eを筒軸部70dに合致させて連結した場合、及び連結孔a,d,gを筒軸部70cに合致させて連結した場合よりも、前記ロータリケース25の駆動軸心x1周りでの回転半径が大きくなっている。しかし、連結孔iを、取付基材70側の筒軸部70cに合致させて連結した場合よりは小さく、より小さな回転半径で回転する。
【0080】
上記の株間変更対応機構における姿勢調節部材71に形成されている位置決め部としての連結孔a,b,c,d,e,f,g,h,iの位置は、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1の、ロータリケース25の駆動軸心x1周りでの回転半径の変更量が、株間変速機構で変更された株間の変更代に応じて、薬液ポンプ50からの薬液繰り出し量が適正な量となるように変更するためのものである。
したがって、変更された株間が大きければ、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1の、ロータリケース25の駆動軸心x1周りでの回転半径が大きくなり、一回当たりの繰り出し量が多くなるように変更され、逆に、変更された株間が小さければ、動力伝達機構6のロッド60の下端側における連結軸61の中心p1の、ロータリケース25の駆動軸心x1周りでの回転半径も小さくなって、一回当たりの繰り出し量が小さくなるように変更される。
【0081】
上記の位置決め部としての連結孔a,b,c,d,e,f,g,h,iは、連結対象としての複数の筒軸部70c,70d,70eを備えている。
このうち、一つの筒軸部70cに対しては一つのグループの連結孔a,d,g,iが連結され、別の筒軸部70d又は70eには別のグループの連結孔b,e、又は連結孔c,f,hが連結される。
本発明では、このように、グループ分けして姿勢調節部材71に形成されている連結孔a,d,g,i、又は連結孔b,e、又は連結孔c,f,hのそれぞれを第1位置決め部と称し、姿勢調節部材71の取付姿勢を変更するように取付基材70側に形成された複数の筒軸部70c,70d,70eを第2位置決め部と称する。
【0082】
〔戻り回転防止機構〕
動力伝達機構6から駆動力を伝達されるポンプ駆動軸52には、前述した揺動作動部57とポンプ駆動軸52との間に装備された一方向回転機構58(第1一方向回転機構に相当する)の他に、そのポンプ駆動軸52の逆方向への回転を阻止するための戻り回転防止機構75(第2一方向回転機構に相当する)が備えられている。
戻り回転防止機構75は、
図11及び
図19に示すように、ポンプ駆動軸52と収容ケース54との間で、ポンプ駆動軸52の一方向への回転を許し、逆方向への回転を阻止するように構成された一方向回転機構によって構成されている。この戻り回転防止機構75による回転の許容方向及び阻止方向は、前記揺動作動部57とポンプ駆動軸52との間に装備された一方向回転機構58と同方向に設定されている。
【0083】
ただし、
図19に示すように、揺動作動部57とポンプ駆動軸52との間に装備された一方向回転機構58では、ポンプ駆動軸52の外周の係合凸条52aと係合するラチェット爪58aが揺動作動部57側に備えられていて、揺動作動部57の往復揺動運動によってポンプ駆動軸52を、例えば、図中の矢印76方向で示すように時計回りに回動させるのに対して、戻り回転防止機構75では、ラチェット爪75aが収容ケース54側に備えられていて、ポンプ駆動軸52の前記矢印76方向で示す時計回りの回転を許し、逆方向である反時計回りの回転をポンプ駆動軸52の外周の係合凸条52aと係合して阻止するように構成されている。
したがって、動力伝達機構6に連結された揺動作動部57の往復揺動の際の、一方向の揺動に伴うポンプ駆動軸52の一方向回転を許し、かつ、揺動作動部57の逆方向の揺動に伴うポンプ駆動軸52の逆方向への連れ周り回転が、戻り回転防止機構75によって阻止される。
【0084】
〔別実施形態の1〕
実施の形態では、支持フレーム35として、右支持フレーム35Rと左支持フレーム35Lとの左右一対の分割フレームによって構成されたものを示したが、これに限られるものではない。
例えば、支持フレーム35として、右支持フレーム35Rと左支持フレーム35L以外の別のフレームによっても支持するようにしてもよいし、また、支持フレーム35としては、そのような分割タイプではなく、全体が一体に構成されたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0085】
〔別実施形態の2〕
実施の形態では、6条植えの乗用田植機を例として示したが、これに限られるものではない。
例えば、5条植えや4条植えなどの、6条植え未満の田植機に適用してもよい。また、8条植え用の乗用田植機、あるいはそれ以上の条数の田植機に適用してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0086】
〔別実施形態の3〕
実施の形態では、薬液ポンプ50として、第1種給液ポンプ50aと第2種給液ポンプ50bとの組み合わせによるポンプユニット5に構成された構造のものを示したがこれに限定されるものではない。
例えば、第1種給液ポンプ50aのみ、あるいは第2種給液ポンプ50bのみによって構成されたポンプユニット5を用いても良いし、また、ポンプユニット5として用いずに、各薬液ポンプ50を個別に用いて、個別に駆動されるように構成してもよい。
また、ポンプユニット5における薬液ポンプ50の個数も、3個の薬液ポンプ50を一組としたものに限らず、2個を一組にしたもの、あるいは、4個以上を一組にしたものであってもよい。さらには、異なる個数の薬液ポンプ50を一組とするポンプユニット5同士を組合わせて用いたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0087】
〔別実施形態の4〕
実施の形態では、連結アーム27に対して、株間変更対応機構7を介して、薬液ポンプ50の揺動作動部57に対する動力伝達機構6が備えられた構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、株間変更対応機構7を用いずに、上端側がポンプユニット5側の揺動作動部57に連結された動力伝達機構6の直杆状のロッド60の下端側を、連結アーム27に対して直接に連結するようにして、かつ、その連結位置を、ロータリケース25の駆動軸心x1からの回転半径が異なる複数箇所で選択的に連結可能に構成したものであっても良い。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0088】
〔別実施形態の5〕
実施の形態では、連結アーム27に対して、取付基材70と姿勢調節部材71とを備えた株間変更対応機構7を介して、薬液ポンプ50の揺動作動部57に対する動力伝達機構6が備えられた構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、株間変更対応機構7のうち、取付基材70を用いずに、連結アーム27に対して姿勢調節部材71を直接的に連結して、その姿勢調節部材71の連結アーム27に対する連結姿勢を変更するようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0089】
〔別実施形態の6〕
実施の形態では、株間変更対応機構7としては、第1位置決め部と、第2位置決め部との両方を備えた構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、第2位置決め部を備えずに、第1位置決め部だけを用いて、取付基材70に対する姿勢調節部材71の相対姿勢を変更するように構成したもの、あるいは、第1位置決め部を備えずに、第2位置決め部だけを用いて、取付基材70に対する姿勢調節部材71の相対姿勢を変更するように構成したものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0090】
〔別実施形態の7〕
実施の形態では、走行機体側での株間変速に応じて、苗株の横側位置近くに薬液を供給し易いように、株間変更対応機構7における第1位置決め部と、第2位置決め部との位置設定を行うように構成した構造のものを示したが、必ずしも株間変速に応じて株間の変化量と薬液の滴下量とが完全に比例した関係である必要はなく、株間が大きくなれば滴下量も増大するというように、増減傾向が一致する関係であってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。