(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。半導体装置SDは、基板SUB上にメモリセル及びロジック回路が混載したものである。本図は、半導体装置SDのロジック回路を構成している部分を示している。なお、基板SUBは、半導体基板であり、具体的には、例えば、シリコン基板又はSOI(Silicon on Insulator)基板である。
【0013】
半導体装置SDは、基板SUBに複数のトランジスタTRを有している。本図には、2つのトランジスタTRが示されている。そしてこれらの2つのトランジスタTRは、一方がp型トランジスタであり、他方がn型トランジスタである。そしてこれら2つのトランジスタTRは、基板SUBの表層に形成されたフィールド酸化膜FOX(素子間分離層)によって互いに分離している。なお、フィールド酸化膜FOXは、例えばSTI(Shallow Trnch Isolation)又はLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)により形成されている。
図2及び
図3を用いて詳細を後述するように、トランジスタTRは、ゲート電極GE、ゲート絶縁膜GI、及び拡散層DIF(ソースSOC及びドレインDRN)を有している。
【0014】
基板SUB及びトランジスタTRは、エッチングストップ層EST1により覆われている。エッチングストップ層EST1は、例えば、シリコン窒化膜(SiN)により形成されている。エッチングストップ層EST1上には絶縁層DL1が形成されている。絶縁層DL1は、例えば、low−k材料(例えば、SiCOH)により形成されている。
【0015】
絶縁層DL1には、コンタクトCTが形成されている。コンタクトCTは絶縁層DL1及びエッチングストップ層EST1を貫通してトランジスタTRの拡散層DIFに接続している。なお、コンタクトCTは、例えば、タングステン(W)により形成されている。
【0016】
絶縁層DL1上には、配線層ILが形成されている。配線層ILは、エッチングストップ層EST及び層間絶縁膜ILDがこの順に繰り返し積層された積層膜である。本図に示す例において、配線層ILの最下層の層間絶縁膜ILDには配線WRが形成されている。そして配線層ILの最下層の配線WRは、コンタクトCTを介してトランジスタTRの拡散層DIFと接続している。配線層ILの最下層の層間絶縁膜ILDよりも上層の各層間絶縁膜ILDには、配線WR及びビアVAが形成されている。ビアVAは、配線WRの底面に接続している。このような配線WR及びビアVAは、例えば、デュアルダマシンにより形成される。トランジスタTR、コンタクトCT、配線WR、及びビアVAによって、上記したロジック回路が構成されている。
【0017】
図2は、
図1の要部を拡大した図である。トランジスタTRは、基板SUBに形成されている。そしてトランジスタTRは、ゲート電極GE、ゲート絶縁膜GI、及び拡散層DIF(ソースSOC及びドレインDRN)を有している。ゲート電極GEは、基板SUB上に位置している。ゲート電極GEは、例えばポリシリコンまたはメタルにより形成されている。ゲート絶縁膜GIは、基板SUBとゲート電極GEの間に位置している。ゲート絶縁膜GIは、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)又はhigh−k材料(例えば、ハフニウムシリコン酸化窒化膜(HfSiON))により形成されている。拡散層DIFは、ゲート電極GEを介して互いに対向する領域の各々に形成されている。そして各拡散層DIFは、一方がソースSOCとなり、他方がドレインDRNとなっている。
【0018】
ゲート電極GEの側面には、サイドウォールSWが形成されている。サイドウォールSWは、例えば、low−k材料(例えば、炭化窒化シリコン(SiCN))により形成されている。
【0019】
本図に示す例では、ゲート電極GEの側面及び基板SUBの表面に沿ってスペーサ膜SPが形成されている。この場合にスペーサ膜SPは、ゲート電極GEの側面上で、ゲート電極GEの側面及びサイドウォールSWによって挟まれている。さらにスペーサ膜SPは、ゲート電極GEの下方において、ゲート電極GE及び基板SUBによって挟まれている。スペーサ膜SPは、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)によって形成されている。
【0020】
さらに本図に示す例では、ゲート電極GEと拡散層DIFの間に、LDD領域LDD(Lightly−Doped Drain)領域が形成されている。LDD領域LDD領域は、拡散層DIFと同じ導電型を有し、かつ拡散層DIFよりも不純物濃度が低い。
【0021】
ゲート電極GE、サイドウォールSW、及びスペーサ膜SPは、エッチングストップ層EST1により覆われている。さらにエッチングストップ層EST1上には、絶縁層DL1が位置している。なおエッチングストップ層EST1は、例えば、シリコン窒化膜(SiN)により形成されている。一方、絶縁層DL1は、例えば、low−k材料(例えば、SiCOH)により形成されている。
【0022】
コンタクトCTは、絶縁層DL1、エッチングストップ層EST1、及びスペーサ膜SPを貫通して拡散層DIFに接続している。この場合に、コンタクトCTは、側面がコンタクトCTの底部においてスペーサ膜SPと接している。本図に示す例において、コンタクトCTはソースSOC及びドレインDRNの各々に設けられている。さらに本図に示す例において、コンタクトCTは、上端から下端に向かって幅が狭まっている。
【0023】
コンタクトCTの底面において、拡散層DIFの表層にはシリサイド層SLD1が形成されている。コンタクトCTは、シリサイド層SLD1を介して拡散層DIFと接続している。シリサイド層SLD1は、例えば、ニッケル(Ni)を含んでいる。
【0024】
サイドウォールSWとコンタクトCTの間には、エアギャップAGが位置している。エアギャップAGは、絶縁層DL1に形成されており、絶縁層DL1の内部の空洞である。言い換えると、エアギャップAGの内壁はいずれの部分も絶縁層DL1によって覆われている。この場合、エアギャップAGは、コンタクトCT側の側面が絶縁層DL1を介してコンタクトCTと対向している。さらにエアギャップAGのサイドウォールSW側の側面は、絶縁層DL1を介してサイドウォールSWと対向している。さらにエアギャップAGの基板SUB側の側面は絶縁層DL1を介して基板SUBと対向している。
【0025】
そして上記したように、エアギャップAGは、絶縁層DL1の内部の空洞である。このためエアギャップAGは、実質的に低誘電率領域となる。この場合、コンタクトCTとゲート電極GEの間の寄生容量を小さいものにすることができる。
【0026】
図3は、
図2のA−A´断面図である。ゲート電極GEは、平面視で第1方向(本図中x軸方向)に延伸している。そしてサイドウォールSWも、平面視で第1方向に延伸している。さらに本図に示す例では、ソースSOC及びドレインDRN(拡散層DIF)も、第1方向に延伸している。
【0027】
本実施形態では、ソースSOC及びドレインDRNの各々において、複数のコンタクトCTが第1方向(本図中x軸方向)に沿って配置されている。ただし、ソースSOC及びドレインDRNの各々に配置されるコンタクトCTの数は、本図に示す例(複数)に限定されるものではない。例えば、ソースSOC及びドレインDRNの各々に配置されるコンタクトCTの数は、1つのみでもよい。
【0028】
サイドウォールSWとコンタクトCTの間には、エアギャップAGが位置している。より詳細には、エアギャップAGは、第1方向と平面視で直交する第2方向(本図中y軸方向)において、サイドウォールSWとコンタクトCTの間に位置している。言い換えると、エアギャップAGは、サイドウォールSWとコンタクトCTによって絶縁層DL1の幅が狭くなっている箇所に形成されている。
【0029】
さらに本図に示す例では、上記したように、第1方向(本図中x軸方向)に沿って複数のコンタクトCTが配置されている。そして複数のコンタクトCTそれぞれに対してエアギャップAGが設けられている。具体的には、各エアギャップAGは、各コンタクトCTとサイドウォールSWの間に位置している。そして各エアギャップAGは、第1方向に沿って互いに分離している。
【0030】
図4〜
図13は、
図2及び
図3に示した半導体装置SDの製造方法を示す断面図である。まず、
図4に示すように、基板SUBにフィールド酸化膜FOX(素子間分離層)を形成する。これにより、素子(本実施形態では、トランジスタTR)が形成される領域とその外部の領域がフィールド酸化膜FOXによって分離される。次いで、基板SUB上に、絶縁膜GI1、ポリシリコン膜PS、及び絶縁膜CP1をこの順に形成する。絶縁膜GI1は、ゲート絶縁膜GIとなる絶縁膜である。ポリシリコン膜PSは、ゲート電極GEとなる導電膜である。絶縁膜CP1は、後述するように、ゲート電極GEの上面を覆うキャップ絶縁膜CP(
図5)となる絶縁膜(例えば、シリコン窒化膜(SiN))である。詳細を後述するように、キャップ絶縁膜CPは、ゲート電極GEの上面にスペーサ膜SP(
図2)が形成されることを防止するための絶縁膜である。
【0031】
次いで、
図5に示すように、ポリシリコン膜PS、絶縁膜GI1、及び絶縁膜CP1をパターニングする。これにより、ゲート電極GE、ゲート絶縁膜GI、及びキャップ絶縁膜CPが形成される。次いで、基板SUB及びゲート電極GEを熱酸化する。これにより、基板SUBの表面及びゲート電極GEの側面にスペーサ膜SP(例えば、シリコン酸化膜(SiO
2))が形成される。なお、この熱酸化の工程においてゲート電極GEの上面はキャップ絶縁膜CPによって覆われている。このためゲート電極GEの上面にはスペーサ膜SPは形成されない。
【0032】
次いで、
図6に示すように、キャップ絶縁膜CPをエッチングにより除去する。本図に示す例では、キャップ絶縁膜CPのエッチングレートが、スペーサ膜SPのエッチングレートに対して大きいものとなっている。このためスペーサ膜SPに比してキャップ絶縁膜CPを選択的に除去することができる。次いで、ゲート電極GE及びフィールド酸化膜FOXをマスクとして基板SUBの表面にイオン注入をする。これにより、LDD領域LDDが形成される。
【0033】
次いで、
図7に示すように、基板SUB上及びゲート電極GE上に、絶縁膜SW1を形成する。これにより、基板SUB及びゲート電極GEが絶縁膜SW1によって覆われる。絶縁膜SW1は、サイドウォールSWとなる絶縁膜である。
【0034】
次いで、
図8に示すように、絶縁膜SW1をエッチバックする。これにより、サイドウォールSWが形成される。なお本図では、説明のため、スペーサ膜SPの膜厚は、サイドウォールSWによって覆われていない部分もサイドウォールSWによって覆われている部分も等しくなっている。しかしながら実際の工程では、エッチング条件によって、スペーサ膜SPは、サイドウォールSWによって覆われていない部分の膜厚がサイドウォールSWによって覆われている部分の膜厚よりも薄くなる。
【0035】
次いで、
図9に示すように、ゲート電極GE、サイドウォールSW、及びフィールド酸化膜FOXをマスクとして基板SUBの表面にイオン注入をする。これにより、拡散層DIF(ソースSOC及びドレインDRN)が形成される。なお本図に示す例では、基板SUBの表面上にスペーサ膜SPが形成されている。このため、上記したイオン注入では、スペーサ膜SPを介して基板SUBの表面にイオンを注入する。
【0036】
次いで、
図10に示すように、ゲート電極GE上、サイドウォールSW上、及び基板SUB上に、エッチングストップ層EST1及び絶縁層DL2をこの順に形成する。エッチングストップ層EST1は、例えば、シリコン窒化膜(SiN)である。一方、絶縁層DL2は、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)である。次いで、絶縁層DL2の表層を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去する。これにより、絶縁層DL2の上面が平坦化される。
【0037】
次いで、絶縁層DL2に接続孔を形成する。接続孔は、絶縁層DL2、エッチングストップ層EST1、及びスペーサ膜SPを貫通して拡散層DIFに達する。この接続孔には、後の工程でコンタクトCTが形成される。次いで、絶縁層DL2上に金属膜(例えば、ニッケル(Ni))を形成する。これにより、上記した接続孔の少なくとも底部にこの金属膜が埋め込まれる。次いで、基板SUBをアニールする。これにより、上記した接続孔の底面において、拡散層DIFの表層にシリサイド層SLD1が形成される。次いで、上記した金属を除去する。なお上記した金属は、拡散層DIFにシリサイド層SLD1を形成するための金属である。このため、この金属がコンタクトCTをすべて埋め込む必要はない。
【0038】
次いで、絶縁層DL2上に金属膜(例えば、タングステン(W))を形成する。これにより、上記した接続孔にこの金属膜が埋め込まれる。これにより、絶縁層DL2にコンタクトCTが形成される。コンタクトCTは、絶縁層DL2、エッチングストップ層EST1、及びスペーサ膜SPを貫通して拡散層DIFに接続する。
【0039】
次いで、
図11に示すように、エッチングにより絶縁層DL2(
図10)を除去する。この場合のエッチングは、ドライエッチング(例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching))及びウェットエッチング(例えば、バッファードフッ酸(BHF)を用いたウェットエッチング)のいずれを用いてもよい。このエッチングは、エッチングストップ層EST1の表層で停止される。言い換えると、絶縁層DL2が選択的に除去される。
【0040】
さらに本図に示す例では、コンタクトCTの側面が、コンタクトCTの底部においてエッチングストップ層EST1及びスペーサ膜SPと接している。言い換えると、コンタクトCTの底部がエッチングストップ層EST1及びスペーサ膜SPによって固定されている。このため絶縁層DL2がなくなっても、コンタクトCTが容易に倒れることを防止することができる。
【0041】
なお、エッチングストップ層EST1を形成しなくても、サイドウォールSW及びスペーサ膜SPのエッチングレートを調整することで、絶縁層DL2を選択的に除去することができる。具体的には、サイドウォールSW及びスペーサ膜SPのエッチングレートを絶縁層DL2のエッチングレートよりも小さくする。言い換えると、サイドウォールSW及びスペーサ膜SPに対する絶縁層DL2のエッチング選択比を大きいものにする。この場合も絶縁層DL2を選択的に除去することができる。
【0042】
次いで、
図12に示すように、ゲート電極GE上、サイドウォールSW上、基板SUB上、及びコンタクトCT上に絶縁層DL1を形成する。絶縁層DL1は、例えば、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)により形成される。これにより、サイドウォールSWとコンタクトCTの間にエアギャップAGが形成される。
【0043】
詳細には、本図に示す例では、サイドウォールSWとコンタクトCTの間にスペースが形成されている。そしてこのスペースの幅(W)に対するこのスペースの高さ(H)のアスペクト比(H/W)が大きいものになっている。本図に示す例において、上記した幅Wは、サイドウォールSWの底部とコンタクトCTの底部の間隔に相当する。一方、上記した高さHは、サイドウォールSWの高さに相当する。このアスペクト比は、例えば、1.0以上となっている。上記したアスペクト比が大きい場合、サイドウォールSWとコンタクトCTの間には絶縁層DL1が埋め込まれにくい。なお、上記した幅Wは、例えば、50nm以下である。
【0044】
そして本図に示す例では、コンタクトCTは、絶縁層DL1の下面から上面に向かって幅が広がっている。これにより、サイドウォールSWとコンタクトCTの間のスペースは、上側部分で幅が狭くなっている。このため絶縁層DL1がこのスペースに入り込みにくい。これにより、絶縁層DL1がさらに埋め込まれにくくなる。
【0045】
このように、絶縁層DL1はサイドウォールSWとコンタクトCTの間に埋め込まれにくい。このためサイドウォールSWとコンタクトCTの間に絶縁層DL1が堆積すると、エアギャップAGが形成される領域を回り込むように絶縁層DL1が堆積する。これにより、エアギャップAGのコンタクトCT側の側面は絶縁層DL1を介してコンタクトCTと対向する。一方、エアギャップAGのサイドウォールSW側の側面は絶縁層DL1を介してサイドウォールSWと対向する。
【0046】
次いで、絶縁層DL1の表層を例えばCMPにより除去する。この場合、コンタクトCTの上面が露出するまで絶縁層DL1の上面を除去する。これにより、絶縁層DL1の上面が平坦化される。以上のようにして、
図2及び
図3に示した半導体装置SDが製造される。
【0047】
以上、本実施形態によれば、サイドウォールSWとコンタクトCTの間に、エアギャップAGが形成されている。これにより、ゲート電極GEとコンタクトCTの間の寄生容量を小さいものにすることができる。さらにエアギャップAGは、コンタクトCT側の側面が絶縁層DL1を介してコンタクトCTと対向している。言い換えると、エアギャップAGがコンタクトCTに接していない。これにより、ゲート電極GEとコンタクトCTの間の耐圧が劣化することが防止される。
【0048】
さらに本実施形態によれば、エアギャップAGは、コンタクトCTが形成された後に形成される(
図10及び
図12)。仮にエアギャップAGを形成した後にコンタクトCTを形成すると、コンタクトCTの金属がエアギャップAGに入り込むおそれがある。これに対して本実施形態では、このような現象が生じることを防止することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図であり、第1の実施形態の
図2に対応する。
図14は、
図13のA−A´断面図であり、第1の実施形態の
図3に対応する。本実施形態に係る半導体装置SDは、ソースSOC及びドレインDRNがエピタキシャル層EPI(半導体層)である点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0050】
図13に示すように、基板SUBの表面には、溝TREが形成されている。この場合に溝TREは、基板SUBの表面に開口を有している。そして溝TREには、エピタキシャル層EPIが埋め込まれている。エピタキシャル層EPIは、表層が溝TREの開口に比して上側に突出している。そしてエピタキシャル層EPIの上記した表層の側面は、上に行くにつれてエピタキシャル層EPIの面積が狭まる方向に傾斜している。言い換えると、上に行くにつれてエピタキシャル層EPIの上記した表層のサイドウォールSW側の側面がサイドウォールSWから離れるようになっている。
【0051】
上記の場合、エピタキシャル層EPIの上記した側面とサイドウォールSWの間には、幅の狭いスペースが形成される。そしてこのスペースは、下から上に行くにしたがって幅が広くなっている。このため、このスペースに絶縁層DL1が埋め込まれる場合、絶縁層DL1は、上面がこのスペースの中央部分で凹部を有するようにこのスペースに埋め込まれる。そして絶縁層DL1がこのスペース上にさらに堆積すると、上記した凹部を引き継ぐようにしてエアギャップAGが形成される。これにより、本図に示す例では、第1の実施形態(
図2)と比較して、より大きいエアギャップAGを形成することができる。
【0052】
なお、本図に示す例において、スペーサ膜SPは、基板SUBの表面に沿って形成されている部分がゲート電極GEと基板SUBの間にのみ位置している。言い換えると、スペーサ膜SPは、エピタキシャル層EPIの表層を覆っていない。そして本図に示す例では、エピタキシャル層EPIの表層には、シリサイド層SLD1が形成されている。
【0053】
図14に示すように、ゲート電極GE、サイドウォールSW、及び拡散層DIF(ソースSOC及びドレインDRN)は、平面視において、第1の実施形態(
図3)と同様、第1方向(本図中x軸方向)に延伸している。さらに複数のコンタクトCTが第1方向に沿って配置されている。そして第2方向(本図中y軸方向)でサイドウォールSWと複数のコンタクトCTによって挟まれる領域のそれぞれにエアギャップAGが位置している。
【0054】
本図に示す例では、上記したように、第1の実施形態に比して、エアギャップAGの大きさが大きいものとなる。具体的には、本図に示すように、エアギャップAGの平面形状は、コンタクトCTとサイドウォールSWの間に幅が第1の実施形態(
図3)に比して、広いものとなる。
【0055】
図15〜
図26は、
図13及び
図14に示した半導体装置SDの製造方法を示す断面図である。まず、
図15に示すように、基板SUBにフィールド酸化膜FOX(素子間分離層)を形成する。次いで、基板SUB上に、絶縁膜GI1、ポリシリコン膜PS、及び絶縁膜CP1をこの順に積層する。後述するように、絶縁膜CP1は、ゲート電極GEの上面を覆うキャップ絶縁膜CP(
図16)となる。なお、絶縁膜CP1は、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)により形成されている。
【0056】
次いで、
図16に示すように、絶縁膜CP1、ポリシリコン膜PS、及び絶縁膜GI1をパターニングする。これにより、キャップ絶縁膜CP、ゲート電極GE、及びゲート絶縁膜GIが形成される。キャップ絶縁膜CPは、ゲート電極GEの上面に位置している。キャップ絶縁膜CP(例えば、シリコン酸化膜(SiO
2))は、詳細を後述するように、ゲート電極GEの上面にエピタキシャル層が形成されることを防止するための絶縁膜である。
【0057】
次いで、
図17に示すように、ゲート電極GE及びフィールド酸化膜FOXをマスクとして基板SUBの表面にイオン注入をする。これにより、LDD領域LDDが形成される。
【0058】
次いで、
図18に示すように、基板SUB上及びゲート電極GE上に、絶縁膜SP1及び絶縁膜SW1をこの順に形成する。これにより、基板SUB及びゲート電極GEが絶縁膜SP1及び絶縁膜SW1によって覆われる。
【0059】
次いで、
図19に示すように、絶縁膜SW1及び絶縁膜SP1をエッチバックする。これにより、サイドウォールSW及びスペーサ膜SPが形成される。なお本図に示す例では、第1の実施形態(
図8)と異なり、スペーサ膜SPは、基板SUBの表面に沿って形成されている部分がサイドウォールSWの下にのみ残るようになる。
【0060】
次いで、
図20に示すように、ゲート電極GE、サイドウォールSW、及びフィールド酸化膜FOXをマスクとして、基板SUBの表面を例えばRIEによりエッチングする。これにより、基板SUBの表面には、溝TREが形成される。詳細を後述するように、溝TREにはエピタキシャル層EPIが形成される。
【0061】
次いで、
図21に示すように、エピタキシャル成長により、溝TRE(
図20)にエピタキシャル層EPI(ソースSOC及びドレインDRN)を形成する。この場合、エピタキシャル層EPIをソースSOC及びドレインDRNとして機能させるため、エピタキシャル成長の際に不純物をin−situドーピングする。ただし、エピタキシャル層EPIへの不純物の導入は、エピタキシャル層EPIの形成後にイオン注入をすることで実施してもよい。なお、本図に示す例では、ゲート電極GEの上面にキャップ絶縁膜CPが形成されている。このため、ゲート電極GEの上面にエピタキシャル層が形成されることはない。
【0062】
本図に示す例では、エピタキシャル層EPIは、表層が溝TREの開口よりも上側に突出するまで成長させる。この場合、エピタキシャル層EPIの上記した表層の側面は、上に行くにつれてエピタキシャル層EPIの面積が狭まる方向に傾斜するようになる。
【0063】
次いで、
図22に示すように、エッチングにより、キャップ絶縁膜CP(
図21)を選択的に除去する。これにより、ゲート電極GEの上面が露出する。
【0064】
次いで、
図23に示すように、エピタキシャル層EPIの表層にシリサイド層SLD1を形成するとともに、ゲート電極GEの上面にシリサイド層SLD2を形成する。具体的には、ゲート電極GE上、サイドウォールSW上、及び基板SUB上に金属膜(例えば、ニッケル(Ni))を形成する。そして基板SUBをアニールする。これにより、シリサイド層SLD1,SLD2が上記したように形成される。
【0065】
次いで、
図24に示すように、ゲート電極GE上、サイドウォールSW上、及びエピタキシャル層EPI上に、エッチングストップ層EST1及び絶縁層DL2をこの順に形成する。次いで、絶縁層DL2の表層を例えばCMPにより除去する。これにより、絶縁層DL2の上面が平坦化される。次いで、絶縁層DL2にコンタクトCTを形成する。コンタクトCTは、絶縁層DL2及びエッチングストップ層EST1を貫通してエピタキシャル層EPIに接続する。
【0066】
次いで、
図25に示すように、エッチングにより絶縁層DL2を除去する。第1の実施形態(
図11)と同様にして、このエッチングでは、絶縁層DL2の下に位置するエッチングストップ層(エッチングストップ層EST1)によってエッチングが停止する。これにより、絶縁層DL2が選択的に除去される。
【0067】
次いで、
図26に示すように、ゲート電極GE上、サイドウォールSW上、基板SUB上、及びコンタクトCT上に絶縁層DL1を形成する。これにより、サイドウォールSWとコンタクトCTの間には、エアギャップAGが形成される。
【0068】
詳細には、本図に示す例では、エピタキシャル層EPIとサイドウォールSWの間に、幅の狭いスペースが形成されている。そしてこのスペースは、下から上に行くにしたがって幅が広くなっている。このため、このスペースに絶縁層DL1が埋め込まれる場合、絶縁層DL1は、上面がこのスペースの中央部分で凹部を有するようにこのスペースに埋め込まれる。そして絶縁層DL1がこのスペース上にさらに堆積すると、上記した凹部を引き継ぐようにしてエアギャップAGが形成される。これにより、本図に示す例では、第1の実施形態(
図12)と比較して、より大きいエアギャップAGを形成することができる。
【0069】
次いで、絶縁層DL1の表層を例えばCMPにより除去する。この場合、コンタクトCTの上面が露出するまで絶縁層DL1の上面を除去する。これにより、絶縁層DL1の上面が平坦化される。以上のようにして、
図13及び
図14に示した半導体装置SDが製造される。
【0070】
以上、本実施形態によれば、基板SUBの表面に開口を有する溝TREにエピタキシャル層EPI(ソースSOC及びドレインDRN)が埋め込まれている。そしてエピタキシャル層EPIは、表層が溝TREの開口に比して上側に突出している。そしてエピタキシャル層EPIの上記した表層の側面とサイドウォールSWの間には、上から下に向かうにつれて幅が狭くなるスペースが形成されている。これにより、本実施形態では、このスペース上に、第1の実施形態と比較してより大きいエアギャップAGを形成することができる。
【0071】
(第3の実施形態)
図27は、第3の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図であり、第2の実施形態の
図13に対応する。
図28は、
図27のA−A´断面図であり、第2の実施形態の
図14に対応する。本実施形態に係る半導体装置SDは、以下の点を除いて、第2の実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0072】
図27に示すように、ゲート電極GE、サイドウォールSW、エピタキシャル層EPI、及びフィールド酸化膜FOXが、第2の実施形態と同様、エッチングストップ層EST1によって覆われている。そしてエッチングストップ層EST1の上には、絶縁層DL2(第1絶縁層)が形成されている。絶縁層DL2は、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)である。そしてコンタクトCTが、絶縁層DL2及びエッチングストップ層EST1を貫通してエピタキシャル層EPIに接続している。
【0073】
絶縁層DL2には、絶縁層DL2の表面に開口を有する凹部RECが形成されている。凹部RECは、ゲート電極GE及びサイドウォールSWを跨って形成されている。そして凹部RECは、ソースSOC側のサイドウォールSWとソースSOC側のコンタクトCTの間にスペースを形成するとともに、ドレインDRN側のサイドウォールSWとドレインDRN側のコンタクトCTの間にスペースを形成している。なお、本図に示す例では、凹部RECと平面視で重なる領域では、絶縁層DL2がほぼすべて除去されている。このため、凹部RECの底面には、エッチングストップ層EST1が位置している。
【0074】
凹部RECには、絶縁層DL1(第2絶縁層)が埋め込まれている。絶縁層DL1は、絶縁層DL2と異なる材料により形成されており、例えば絶縁層DL1よりも誘電率の低い材料により形成されている。具体的には、絶縁層DL1は、例えばlow−k材料(例えば、SiCOH)により形成されている。本図に示す例では、絶縁層DL1は、ゲート電極GE及びサイドウォールSWを跨って凹部RECを埋め込んでいる。なお、絶縁層DL1の上面は、段差をほぼ有することなく(例えば、面一に)絶縁層DL2の上面と繋がっている。
【0075】
ソースSOC側のサイドウォールSWと凹部RECのソースSOC側の内側面の間には、エアギャップAGが位置している。同様に、ドレインDRN側のサイドウォールSWと凹部RECのドレインDRN側の内側面の間にも、エアギャップAGが位置している。これら2つのエアギャップAGは、ゲート電極GE及びサイドウォールSWを介して互いに分離している。
【0076】
エアギャップAGは、絶縁層DL1に形成されており、絶縁層DL1の内部の空洞である。言い換えると、エアギャップAGの内壁はいずれの部分も絶縁層DL1によって覆われている。この場合、エアギャップAGは、コンタクトCT側の側面が絶縁層DL1を介して凹部RECのコンタクトCT側の内側面と対向している。さらにエアギャップAGのサイドウォールSW側の側面は、絶縁層DL1を介して凹部RECのサイドウォールSWの内側面と対向している。さらにエアギャップAGの基板SUB側の側面は絶縁層DL1を介して基板SUBと対向している。
【0077】
図28に示すように、凹部RECは、平面視で第1方向(図中x軸方向)に延伸している。そしてエアギャップAGの第1方向(本図中x軸方向)の延伸長さは、凹部RECの第1方向の延伸長さとほぼ一致する。言い換えると、凹部RECの第1方向の延伸長さが長くなるほど、エアギャップAGの第1方向の延伸長さも長くなる。そして本図に示す例では、凹部RECは、第1方向に延伸している。
【0078】
平面視において、エアギャップAGはコンタクトCTとサイドウォールSWによって、第2方向(本図中y軸方向)に挟まれる領域から、他のコンタクトCTとサイドウォールSWによって第2方向に挟まれる領域まで、連続して形成されている。本図に示す例では、エアギャップAGは、第2方向から見て、互いに隣り合う2つのコンタクトCTの一方から他方にかけて形成されている。ただし、エアギャップAGの延伸長さは本図に示す例に限定されるものではない。例えば、エアギャップAGは、第2方向から見て、3つ以上のコンタクトCTに亘って形成されていてもよい。
【0080】
次いで、
図29に示すように、絶縁層DL2上にレジスト膜RFを形成する。レジスト膜RFによるレジストパターンは、開口OPを含んでいる。開口OPは、後述する工程で凹部RECが形成される領域を平面視で内側に含んでいる。
【0081】
次いで、
図30に示すように、レジスト膜RFをマスクとして、絶縁層DL2を異方的にエッチングする。これにより、絶縁層DL2に凹部RECが形成される。なお本図に示す例では、レジスト膜RFの開口OPの第2方向(図中y軸方向)の幅は、ソースSOC側のコンタクトCTの上端とドレインDRN側のコンタクトCTの上端の間隔よりも広い。これにより、凹部RECの側面は、ソースSOC側のコンタクトCTとドレインDRN側のコンタクトCTで挟まれる領域では、ソースSOC側のコンタクトCTの上端とドレインDRN側のコンタクトCTの上端によって自己整合的に形成される。
【0082】
次いで、
図31に示すように、凹部REC上及び絶縁層DL2上に、絶縁層DL1を例えばCVDにより形成する。これにより、凹部RECに絶縁層DL1が埋め込まれる。さらにこの場合、ソースSOC側のサイドウォールSWと凹部RECのソースSOC側の内側面の間に、エアギャップAGが形成されるとともに、ドレインDRN側のサイドウォールSWと凹部RECのドレインDRN側の内側面の間にも、エアギャップAGが形成される。
【0083】
詳細には、本図に示す例では、ソースSOC側のサイドウォールSWと凹部RECのソースSOC側の内側面の間にスペースが形成されている。そしてこのスペースの幅に対するこのスペースの高さのアスペクト比が、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に大きいものとなっている。このため、上記したスペースには絶縁層DL1が埋め込まれにくい。結果、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様にエアギャップAGが形成される。
【0084】
次いで、絶縁層DL1の表層を例えばCMPにより除去する。この場合、絶縁層DL1の上面が段差をほぼ有することなく絶縁層DL2の上面と繋がるまで絶縁層DL1の上面を除去する。以上のようにして、
図27及び
図28に示した半導体装置SDが製造される。
【0085】
以上、本実施形態によれば、基板SUBの上方に絶縁層DL2が位置している。そして絶縁層DL2には、ソースSOC側のコンタクトCTとドレインDRN側のコンタクトCTの間に凹部RECが形成されている。そして凹部RECには、絶縁層DL1が埋め込まれている。これにより、ソースSOC側のサイドウォールSWと凹部RECのソースSOC側の内側面の間にエアギャップAGが形成されるとともに、ドレインDRN側のサイドウォールSWと凹部RECのドレインDRN側の内側面の間にエアギャップAGが形成される。
【0086】
そして本実施形態によれば、エアギャップAGの第1方向(ゲート電極GEの延伸方向)の長さは凹部RECの第1方向の長さとほぼ一致する。このため、凹部RECの第1方向の長さを長くすることで、エアギャップAGの第1方向の長さを長いものにすることができる。これにより、本実施形態では、第1の実施形態及び第2の実施形態に係るエアギャップAGよりも大きいエアギャップAGを形成することができる。
【0087】
なお、本実施形態では、ソースSOC及びドレインDRNとしてエピタキシャル層EPIが形成されていたが、ソースSOC及びドレインDRNの構成はこれに限定されるものではない。例えば、ソースSOC及びドレインDRNは、第1の実施形態(
図2)と同様に、拡散層DIFにより形成してもよい。
【0088】
図32は、
図27の変形例を示す断面図である。本図に示すように、凹部RECは、ゲート電極GE上の絶縁層DL2によって、ソースSOC側の凹部RECとドレインDRN側の凹部RECに分離されていてもよい。さらに本図に示す例では、ソースSOC側の凹部RECがソースSOC側のサイドウォールSWの少なくとも一部を平面視で含むようになっている。同様に、ドレインDRN側の凹部RECは、ドレインDRN側のサイドウォールSWの少なくとも一部を平面視で内側に含むようになっている。本変形例においても、凹部RECによって、サイドウォールSWとコンタクトCTの間にスペースが形成される。このため、第3の実施形態と同様に、エアギャップAGを形成することができる。
【0089】
図33は、
図32の変形例を示す断面図である。本図に示すように、ソースSOC側の凹部RECは、ゲート電極GE側の側面がソースSOC側のサイドウォールSWに比してソースSOC側に位置していてもよい。同様に、ドレインDRN側の凹部RECは、ゲート電極GE側の側面がドレインDRN側のサイドウォールSWに比してドレインDRN側に位置していてもよい。本変形例においても、
図32に示した変形例と同様に、エアギャップAGを形成することができる。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。