(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249911
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】クリップイン支持リング
(51)【国際特許分類】
F16B 5/00 20060101AFI20171211BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
F16B5/00 D
H05K7/14 E
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-180746(P2014-180746)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2015-72064(P2015-72064A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2017年8月30日
(31)【優先権主張番号】61/874,605
(32)【優先日】2013年9月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506154029
【氏名又は名称】センサータ テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ヘトザー デッデ ウィーアズマ
(72)【発明者】
【氏名】エルニー ショートウィッテルカンプ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ルジャンドル
【審査官】
葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭40−013952(JP,Y1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0096618(US,A1)
【文献】
特表2008−541106(JP,A)
【文献】
特開平10−103901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00− 5/12
G01D 11/24
G01L 1/22
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持リングであって、
前記支持リングの第1の端部に位置し、前記支持リングに取り付けられる電子モジュールアセンブリ(EMA)にバネ力を提供するアームであって、当該アームは、前記支持リングの主面から下方に延在する第1の部分と、前記支持リングの主面を越えて上方に延在する第2の部分とを含む、前記アームと、
前記支持リングの前記第1の端部に対向する第2の端部に位置し、前記バネ力に対する反作用である反力を前記EMAに提供するフックと
を含む、支持リング。
【請求項2】
支持リングはさらに、
第1のビームと、
第2のビームとを含み、
前記第1のビームおよび前記第2のビームが前記支持リングの主面にあり、かつ前記第1の端部と前記第2の端部の間に位置される、請求項1に記載の支持リング。
【請求項3】
前記第1のビームおよび前記第2のビームは柔軟性がある、請求項2に記載の支持リング。
【請求項4】
前記アームによって提供される前記バネ力が、前記支持リングの主面に対して側方の力を含む、請求項1に記載の支持リング。
【請求項5】
前記アームによって提供される前記バネ力が、前記支持リングの主面に対して下方向の力を含む、請求項1に記載の支持リング。
【請求項6】
前記フックが、前記支持リングから上方へ延在する、請求項1に記載の支持リング。
【請求項7】
支持リングがさらに、
前記支持リングから下方に延在する脚部を含む、請求項1に記載の支持リング。
【請求項8】
前記脚部が窪みである、請求項7に記載の支持リング。
【請求項9】
前記支持リングが、センサ装置のハウジングに取り付けられる、請求項1に記載の支持リング。
【請求項10】
前記取り付けられた支持リングが、前記ハウジングと前記EMAの間の電気的導通を提供する、請求項9に記載の支持リング。
【請求項11】
前記センサ装置がマイクロ歪みゲージ(MSG)を含む、請求項9に記載の支持リング。
【請求項12】
前記支持リングが、スポット溶接によりハウジングに取り付けられる、請求項9に記載の支持リング。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、発明の名称“クリップイン支持リング”で2013年9月6日に出願された米国仮特許出願61/874,605号の優先権およびその利益を主張するものであり、その内容は参照により全文が本明細書に記載されているものとして組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本明細書の一部に組み込まれ、またその一部を構成する添付の図面は、詳細な説明とともに、明細書に記載される1つまたは複数の実施形態を示し、これらの実施形態を説明する。
【
図1】電子モジュールアセンブリ(EMA)およびクリップイン支持リングを有するセンサ装置の例示的な実施例を示す図である。
【
図2】
図1に示したセンサ装置に含まれ得るクリップイン支持リングの例示的な実施例を示す図である。
【
図3】クリップイン支持リング内のEMAの例示的な位置を示す図である。
【
図4】クリップイン支持リングの例示的な動作を示す図である。
【
図5】
図1の示したセンサ装置に含まれ得るハウジングにクリップイン支持リングを固定する例示的な技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
例えばマイクロ歪みゲージ(MSG)装置などのセンサ装置は、電子モジュールアセンブリ(EMA)を有することができる。EMAは、ワイヤボンディングのためにセンサ装置のダイアフラム上に機械的に固定され得る。EMAは、電磁両立性(EMC)の性能のために、センサ装置と関連するハウジングに電気的に接続され得る。
【0004】
本明細書で述べるクリップイン支持リングは、例えばセンサ装置などの装置でこれらの機能を提供するのに使用され得る。クリップイン支持リングは、例えばバネ力および反力によりEMAの固定を提供することができる。さらに、本明細書で述べるクリップイン支持リングを装置のハウジングに取り付ける(例えば、スポット溶接)と、例えば、ハウジングへの堅牢な機械的および/または電気的接続を提供することができる。電気的接続は、EMAとハウジングの間の電気的導通を提供することができる。
【0005】
図1は、EMA140およびクリップイン支持リング200を有するセンサ装置100の例示的な実施例を示す。
図1を参照すると、センサ装置100は、例えば、コネクタ110、1つまたは複数のコンタクトスプリング120、周辺シール130、EMA140、クリップイン支持リング200、ハウジング160および感知素子アセンブリ170を含むことができる。
【0006】
コネクタ110は、外部ソース(例えば、外部コンピュータ)にセンサ装置100を接続することができる。コネクタ110は、例えば、外部ソースに接続され得る導電体(例えば電線)と電気的に接続することのできる端子を含むことができる。端子は、例えば、センサ装置100によって生成され得る信号を、導電体を介して外部ソースに伝送するのに使用され得る。信号は、センサ装置100によって生成され得るセンサ信号を含むことができる。
【0007】
コンタクトスプリング120は、EMA140と、例えばコネクタ110に含まれる端子の間の電気的導通を提供することができる。コンタクトスプリング120は、電気的導通を提供するのに使用され得る導電性の材料(例えば銀めっきされた材料)を含むことができる。
【0008】
周辺シール130は、例えばコネクタ110とハウジング160の間の封止を提供することができる。周辺シール130は、例えば、場合によってはセンサ装置100の性能に影響を与えることのある汚染物質(例えば湿気や汚れ)がセンサ装置100に侵入するのを防ぐことができる。
【0009】
EMA140は、例えば、回路基板および1つまたは複数の電子部品142(例えば、集積回路、トランジスタ、レジスタ、コンデンサ、インダクタ、ダイオード)を含むことができる。回路基板は、プリント回路基板(PCB)とすることができる。電子部品は、回路基板上に搭載することができる。電子部品は、例えば、感知素子アセンブリ170によって感知される状況(例えば、力)を処理することができ、および/または、感知された状況に基づいて信号を生成することができる。電子部品は、生成された信号を、コネクタ110に含まれ得る端子を介して外部ソースに伝送することのできる構成要素を含むことができる。
【0010】
ハウジング160は、クリップイン支持リング200用の取付け台を提供することができる。ハウジング160は、クリップイン支持リング200をハウジング160に取り付ける(例えば溶接する)ことのできる金属により製造することができる。ある実施例では、ハウジング160は六角形のカップ形状である。
【0011】
感知素子アセンブリ170は、例えば、センサ装置100に適応される状況などの状態を感知するための設備を含むことができる。感知素子アセンブリ170は、例えば、センサ装置100に適用され得る様々な力を感知するのに使用され得る歪みゲージ172を含むことができる。
【0012】
感知素子アセンブリ170によって感知された状況ないし状態は、EMA140上に含まれ得る回路によって検出され得る。回路は、感知された信号を処理し、この処理済みの感知された状況に基づき様々な信号を生成することができる。信号は、センサ装置100から外部ソースへ、コネクタ110に含まれる端子を介して伝送されることができる。
【0013】
クリップイン支持リング200は、センサ装置100にEMAを固定することのできる支持リングを含むことができる。具体的には、EMA140は、クリップイン支持リング200に取り付けられ得る。その後、クリップイン支持リング200は、ハウジング160に固定されることができ、これによりセンサ装置100においてEMA140に対する安定した支持が提供される。
【0014】
図2は、クリップイン支持リング200の例示的な実施例を示す。
図2を参照すると、クリップイン支持リング200は、例えば、フック220a、220b、ビーム230a、230b、アーム240、第1の端部250a、第2の端部250b、および台(ペデスタル)270a、270b、270cを含むことができる。平面260は、クリップイン支持リング200の主面を示すことができる。
【0015】
支持リング200が他の特徴を含んでもよいことに留意すべきである。例えば、クリップイン支持リング200は、1つまたは複数の脚部を含んでもよい。脚部は、クリップイン支持リング200から下方に延在する(例えば、突出する)ことができる。脚部は、例えば、クリップイン支持リング200がハウジング160に取り付けられたときに、クリップイン支持リング200を支持することができる。脚部は、ハウジング160と接続することができ、EMA140(クリップイン支持リング200に搭載された後のもの)とハウジング160の間の電気的導通を提供することができる。クリップイン支持リング200とともに使用され得る脚部の例は、以下でさらに説明される。フック220a、220bは、第1の端部250aで、クリップイン支持リング200から上方に延在することができる。フック220a、220bは、EMA140に力を提供することができ、この力は、アーム240によって提供される力と共に、クリップイン支持リング200において適切な位置にEMA140を保つことができる。さらに以下で述べるように、フック220a、220bによって提供される力は、アーム240によってEMA140に加えられ得るバネ力に応答した、EMA140に加えられ得る反力とすることができる。
【0016】
2つのフック220a、220bを
図2に示したが、クリップイン支持リング200の他の実施例が他の数のフック220を含んでもよいことに留意すべきである。例えば、他の実施例では、クリップイン支持リング200は、1つのフック220または2つよりも多いフック220を含むことができる。
【0017】
ビーム230a、230bは平面260にあることができ、第1の端部250aと第2の端部250bの間に位置することができる。ビーム230a、230bの幅は、第1の端部250aおよび/または第2の端部250bの幅よりも小さくすることができる。ビーム230a、230bは、順応性(柔軟性)があり、EMA140がクリップイン支持リング200に取り付けられた後に、EMA140に対して反力を提供することができる。しかし、例えば、クリップイン支持リング200がEMA140に取り付けられて、クリップイン支持リング200がハウジング160に固定された後に、ビーム230a、230bの柔軟性は制限(排除)されることができる。
【0018】
アーム240は、第2の端部250bに位置され得る。アーム240は、第1の部分242aおよび第2の部分242bを含むことができる。第1の部分242aは、平面260から下方に延在することができる。第2の部分242bは、第1の部分242aの端部から上方に延在することができ、平面260を越えて、平面260よりも上方に延在することができる。ある実施例では、第1の部分242aおよび第2の部分242bは、V字を形成するように形作られることができる。しかし、他の実施例では、第1の部分242aおよび第2の部分242bはが、他の形(例えば、半円形)を形成するように形作られてもよいことに留意すべきである。アーム240は順応性があり、EMA140がクリップイン支持リング200に取り付けられた後に、EMA140を適切な位置に保持するためのクランプ力として作用し得るバネ力を提供することができる。
【0019】
1つのアーム240が
図2に示されたが、クリップイン支持リング200のその他の実施例が他の数のアーム240を含んでもよいことに留意すべきである。クリップイン支持リング200のその他の実施例は、複数のアーム240を含むことができる。さらに、クリップイン支持リング200の他の実施例でのアーム240は、
図2に示されたものとは異なる形状とすることができる。
【0020】
台270a、270bは、例えば、EMA140がクリップイン支持リング200に取り付けられた後に、EMA140への支持を提供することができる。さらに、台270a、270bは、EMA140とクリップイン支持リング200の間の電気的導通を提供することができる、
【0021】
さらに以下で述べるように、クリップイン支持リング200は、ハウジング160に固定することができる。クリップイン支持リング200をハウジング160に固定すると、EMA140とハウジング160の間にクリップイン支持リング200を介した電気的導通を提供することができる。電気的導通は、例えば、台(例えば台270a、270b)および/またはクリップイン支持リング200に含まれ得る脚部を介して提供され得る。
【0022】
図3は、クリップイン支持リング200内のEMA140の例示的な配置を示し、
図4は、クリップイン支持リング200の動作を示す。
図3を参照すると、EMA140の第1の端部は、例えば、アーム240を収容するための開口を含むことができる。EMA140の第2の端部は、例えば、フック220a、220bを収容するために切り込みを入れることができる。
【0023】
動作中、アーム240およびフック220a、220bは、EMA140をクリップイン支持リング200に固定するのに使用され得る1つまたは複数の力を提供することができる。ここで
図4を参照すると、アーム240は、EMA140の第1の端部にバネ力を提供することができる。バネ力は、1つまたは複数の力を含むことができる。例えば、ある実施例では、バネ力は、平面260に対して水平方向の力および/または平面260に対して下向きの力を含むことができる。
【0024】
ある実施例では、バネ力は、クリップイン支持リング200の2つの柔軟な特徴によって連続的に得ることができる。ここでは、例えば、第1の特徴は、柔軟なビーム230a、230bを含むことができ、第1の特徴と連続する第2の特徴は、より堅く形成されているが柔軟性のあるアーム240を含むことができる。
【0025】
フック220a、220bは、EMA140の第1の端部と対向する、EMA140の第2の端部上に反力を提供することができる。反力は、アーム240によって提供されるバネ力に対する反作用であることができる。バネ力および反力の組み合わせは、クリップイン支持リング200にEMA140を固定することがきる。
【0026】
クリップイン支持リング200にEMA140を取り付けることは、例えば、クリップイン支持リング200の平面260をたわめる(例えば、曲げる)ことによって達成され、これはビーム230a、230bによって容易にされ得る。サブアセンブリ工程は、取り付け具を含むことができ、この取り付け具は、まずクリップイン支持リング200をビーム230a、230bに沿ってたわめてから、
図3の状態を得るようにアーム240を作動または回転させることができる。
【0027】
上述のとおり、クリップイン支持リング200は、1つまたは複数の脚部を含むことができる。クリップイン支持リング200と共に使用され得る脚部の例は、脚部420を含む。脚部420は、例えば、クリップイン支持リング200から下方へ延在し得る窪み(ディンプル)の形状とすることができる。この窪みは、クリップイン支持リング200がハウジング160に配置された後に、ハウジング160と接触することができる。
【0028】
図4に示した脚部420が、クリップイン支持リング200とともに使用され得る例示的なタイプの脚部であることに留意すべきである。クリップイン支持リング200の他の実施例は、他のタイプの脚部を含むことができる。例えば、クリップイン支持リング200の実施例は、脚部420の機能を実行することのできる1つまたは複数の突起を含んでもよい。
【0029】
EMA140をクリップイン支持リング200に取り付けた後、クリップイン支持リング200は、ハウジング160に取り付けられる(例えば、スポット溶接される)。クリップイン支持リング200をハウジング160に取り付けると、ビーム230a、230bのたわみを防ぐことができ、センサ装置100の予想耐用年数の間、EMA140を適切な位置に維持することのできる保持力を得ることができる。
【0030】
図5は、クリップイン支持リング200がEMA140に取り付けられた後に、クリップイン支持リング200をハウジング160に取り付ける例示的な技術を示す。
図5を参照すると、クリップイン支持リング200は、様々な地点510a、510b、510cでクリップイン支持リング200をハウジング160にスポット溶接することにより、ハウジング160に固定され得る。地点510a、510b、510cが、クリップイン支持リング200がハウジング160にスポット溶接されることのできる地点の一例であることに留意されたい。他の実施例では、クリップイン支持リング200は、クリップイン支持リング200の他の地点でハウジング160に固定され得る。さらに、他の実施例では、クリップイン支持リング200は、スポット溶接以外の技術を使用してハウジング160に固定されてもよい。
【0031】
実施例の先の記載は、実例および説明を提供することを意図しており、包括的であること、または開示された適切な形態に本発明を限定することを意図していない。修正形態および変形形態が、上記の教示に照らして可能であり、または、本発明を実行するのに必要とすることができる。
【0032】
本明細書で使用された要素、機能または指示は、そのように明示的に記載されない限りは、本発明にとって重要かつ必須であると介するべきではない。また、本明細書で使用したとおり、“a”は1つまたは複数の品目を含むことを意図している。1つのみの品目を意図する場合、“1つの(one)”または同様の言葉が使用される。さらに、“基づいて(based on)”という表現は、そうではないと明らかに述べていない限りは、“〜に少なくとも部分的に基づいて”という意味であることが意図される。