特許第6249917号(P6249917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249917
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】管継手装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/12 20060101AFI20171211BHJP
   F16L 39/00 20060101ALN20171211BHJP
【FI】
   F16L37/12
   !F16L39/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-196394(P2014-196394)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-70284(P2016-70284A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】上村 義斗
(72)【発明者】
【氏名】青木 一憲
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−092887(JP,A)
【文献】 特開2001−254885(JP,A)
【文献】 米国特許第04747606(US,A)
【文献】 特開平09−119579(JP,A)
【文献】 特開平06−147383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/00−39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄型管継手を備える雄型ユニットと、該雄型管継手に連結される雌型管継手を備える雌型ユニットとを有し、該雄型ユニットと該雌型ユニットとを相対的に近づけることにより該雄型管継手と該雌型管継手とを連結するようにした管継手装置において、
該雄型ユニット及び該雌型ユニットの一方に設けられる連結用シャフトと、
該雄型ユニット及び該雌型ユニットの他方に設けられ、該雄型管継手と該雌型管継手とが連結されるときに該連結用シャフトを受け入れるシャフト受入部と、
を有し、
該シャフト受入部が、
受け入れた該連結用シャフトに対して半径方向で変位可能とされ、受け入れた連結用シャフトに係合して該連結用シャフトがシャフト受入部から抜け出るのを阻止する施錠位置と、該施錠位置よりも半径方向外側に変位して該連結用シャフトが該シャフト受入部から抜け出るのを許容する施錠解除位置との間で変位可能な施錠部材と、
該シャフト受入部に受け入れた該連結用シャフトの軸線方向で変位可能で、該施錠位置にある該施錠部材の半径方向外側位置で該施錠部材に係合して該施錠部材が半径方向外側に動くのを阻止する変位阻止位置と、該変位阻止位置から変位して該施錠部材が該施錠解除位置に変位するのを許容する変位許容位置との間で変位可能とされた変位阻止部材とを有し、
該施錠位置にある施錠部材が、該連結用シャフトが該シャフト受入部から引き抜く方向での引抜力を受けた状態では、該連結用シャフトによって該半径方向外側に変位する力を受けるよう形状付けられており、
該変位阻止位置にある該変位阻止部材は該半径方向外側に変位する力を受けた施錠部材との摩擦係合によって該変位許容位置への変位が阻止されるようになされており、
該変位阻止部材に対して該変位阻止位置から該変位許容位置に向けて偏倚力をかけるバネ部材であって、該施錠部材が該引抜力を受けていないときに該変位阻止部材を該変位阻止位置から該変位許容位置へ変位させるようにされたバネ部材を更に備える、管継手装置。
【請求項2】
該雄型ユニット及び該雌型ユニットの該他方が、該シャフト受入部に該連結用シャフトが受け入れられた状態で、該変位阻止部材を該バネ部材の偏倚力に抗して該変位許容位置から該変位阻止位置へ該軸線方向で変位するためのピストンシリンダ装置を更に有する請求項に記載の管継手装置。
【請求項3】
該ピストンシリンダ装置は、該シャフト受入部に該連結用シャフトが受け入れられた状態で、該変位阻止部材に係合して該変位阻止部材を該バネ部材の偏倚力に抗して該変位許容位置から該変位阻止位置へ変位する押出位置と、該変位阻止位置から離れて該変位阻止部材が該バネ部材の偏倚力により変位許容位置に変位するのを許容する引込位置との間を軸線方向で変位可能とされたピストンロッドを備える請求項に記載の管継手装置。
【請求項4】
該連結用シャフトが、該施錠位置とされた施錠部材によって係合される施錠部材係合面と、該施錠部材係合面に隣接し、該連結用シャフトの先端側に設けられた該施錠部材係合面よりも径の大きい環状係合施錠部とを備え、
該連結用シャフトが該シャフト受入部から引き抜かれようとするときに該環状係合施錠部が該施錠部材に係合して該施錠部材に該半径方向外側に変位する力を付与するようにされている請求項1乃至のいずれか一項に記載の管継手装置。
【請求項5】
該施錠部材が周方向で2つ以上に分割された分割リングとされている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の管継手装置。
【請求項6】
該施錠部材を該施錠解除位置に保持するバネ付勢された施錠子を更に有し、
該変位阻止部材は該変位許容位置から該変位阻止位置に変位されるときに、該施錠子により該施錠解除位置に保持されていた該施錠部材に係合し該施錠部材を該施錠位置に変位させるようになされている請求項1乃至のいずれか一項に記載の管継手装置。
【請求項7】
雄型管継手を備える雄型ユニットと、該雄型管継手に連結される雌型管継手を備える雌型ユニットとを有し、該雄型ユニットと該雌型ユニットとを相対的に近づけることにより該雄型管継手と該雌型管継手とを連結するようにした管継手装置において、
該雄型ユニット及び該雌型ユニットの一方に設けられる連結用シャフトと、
該雄型ユニット及び該雌型ユニットの他方に設けられ、該雄型管継手と該雌型管継手とが連結されるときに該連結用シャフトを受け入れるシャフト受入部と、
を有し、
該シャフト受入部が、
受け入れた該連結用シャフトに対して半径方向で変位可能とされ、受け入れた連結用シャフトに係合して該連結用シャフトがシャフト受入部から抜け出るのを阻止する施錠位置と、該施錠位置よりも半径方向外側に変位して該連結用シャフトが該シャフト受入部から抜け出るのを許容する施錠解除位置との間で変位可能な施錠部材と、
該シャフト受入部に受け入れた該連結用シャフトの軸線方向で変位可能で、該施錠位置にある該施錠部材の半径方向外側位置で該施錠部材に係合して該施錠部材が半径方向外側に動くのを阻止する変位阻止位置と、該変位阻止位置から変位して該施錠部材が該施錠解除位置に変位するのを許容する変位許容位置との間で変位可能とされた変位阻止部材とを有し、
該施錠位置にある施錠部材が、該連結用シャフトが該シャフト受入部から引き抜く方向での引抜力を受けた状態では、該連結用シャフトによって該半径方向外側に変位する力を受けるよう形状付けられ、
該変位阻止位置にある該変位阻止部材は該半径方向外側に変位する力を受けた施錠部材との摩擦係合によって該変位許容位置への変位が阻止されるようになされており、
該施錠部材を該施錠解除位置に保持するバネ付勢された施錠子を更に有し、
該変位阻止部材は該変位許容位置から該変位阻止位置に変位されるときに、該施錠子により該施錠解除位置に保持されていた該施錠部材に係合し該施錠部材を該施錠位置に変位させるようになされている、管継手装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管継手装置に関し、特に、流体が連通状態のときには外れないようにした管継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成型用の金型や圧延装置などでは冷却水などを通すための複数の流体通路を備えている。これら金型や圧延装置においては、複数の流体通路の流体入口を一か所に集めて、それら流体通路への外部からの流体供給及び供給遮断をそれぞれ一回の操作で行えるようにするのが一般的であり、そのための種々の管継手装置が開発されている。
【0003】
例えば、特開平8‐4968号(特許文献1)や特許第5047292号(特許文献2)には、複数の雄型管継手を備える雄型ユニットと、複数の雌型管継手を備える雌型ユニットとを備える管継手装置が開示されている。これらの装置では、雄型ユニットと雌型ユニットとを相対的に近づけることにより複数の雄型管継手とそれに対応する複数の雌型管継手が相互に連結されるようにするとともに、連結された状態で施錠装置(ロック装置)により雄型ユニットと雌型ユニットとが分離しないようにそれらを施錠(ロック)するようにした管継手装置が開示されている。これらの管継手装置では、雄型ユニット及び雌型ユニットの一方が金型や圧延装置の流体入口に設定され、他方が外部流体源からの流体供給口に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8―4968号
【特許文献2】特許第5047292号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に開示された管継手装置は、複数の管継手の連結を行うこともあり、これら管継手によって連結された複数の流体通路を通される流体の全体としての圧力は大きなものとなる。この流体圧は雄型管継手と雌型管継手とを分離するように作用するものであり、従って、上述の施錠装置は、そのような流体圧がかかっている間は確実に管継手の連結を維持することが望まれる。しかし、特許文献1及び2に開示の管継手装置における施錠装置は、金型や圧延装置の流体通路と外部流体源とが連通しているか否かにかかわりなく、すなわち、上述の如き流体圧がかかっているか否かにかかわりなく施錠解除するよう操作可能なものとなっており、従って、作業員の誤操作により施錠装置を施錠解除してしまい不測の事態を生じてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、施錠装置を上述のごとき流体圧に関連させて、該流体圧がかかっている間は施錠装置を施錠解除できないようにすることのできる管継手装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
雄型管継手を備える雄型ユニットと、該雄型管継手に連結される雌型管継手を備える雌型ユニットとを有し、該雄型ユニットと該雌型ユニットとを相対的に近づけることにより該雄型管継手と該雌型管継手とを連結するようにした管継手装置において、
該雄型ユニット及び該雌型ユニットの一方に設けられる連結用シャフトと、
該雄型ユニット及び該雌型ユニットの他方に設けられ、該雄型管継手と該雌型管継手とが連結されるときに該連結用シャフトを受け入れるシャフト受入部と、
を有し、
該シャフト受入部が、
受け入れた該連結用シャフトに対して半径方向で変位可能とされ、受け入れた連結用シャフトに係合して該連結用シャフトがシャフト受入部から抜け出るのを阻止する施錠位置と、該施錠位置よりも半径方向外側に変位して該連結用シャフトが該シャフト受入部から抜け出るのを許容する施錠解除位置との間で変位可能な施錠部材と、
該シャフト受入部に受け入れた該連結用シャフトの軸線方向で変位可能で、該施錠位置にある該施錠部材の半径方向外側位置で該施錠部材に係合して該施錠部材が半径方向外側に動くのを阻止する変位阻止位置と、該変位阻止位置から変位して該施錠部材が該施錠解除位置に変位するのを許容する変位許容位置との間で変位可能とされた変位阻止部材とを有し、
該施錠位置にある施錠部材が、該連結用シャフトが該シャフト受入部から引き抜く方向での引抜力を受けた状態では、該連結用シャフトによって該半径方向外側に変位する力を受けるよう形状付けられており、
該変位阻止位置にある該変位阻止部材は該半径方向外側に変位する力を受けた施錠部材との摩擦係合によって該変位許容位置への変位が阻止されるようになされている管継手装置を提供する。
【0008】
この管継手装置においては、該変位阻止位置にある該変位阻止部材は該半径方向外側に変位する力を受けた施錠部材との摩擦係合によって該変位許容位置への変位が阻止されるようになされているので、流体連通された雄型管継手と雌型管継手とを通される流体圧により当該雄型ユニット及び雌型ユニットにそれらを分離するような力が加わっている間は、施錠部材の施錠解除位置への変位は阻止され、従って、雄型ユニット及び雌型ユニットの分離は阻止される。
【0009】
この場合、当該管継手装置は、該変位阻止部材に対して該変位阻止位置から該変位許容位置に向けて偏倚力をかけるバネ部材であって、該施錠部材が該引抜力を受けていないときには、該変位阻止部材が該変位阻止位置から該変位許容位置へ変位するようにされているバネ部材を更に備えるようにすることができる。
【0010】
また、該雄型ユニット及び該雌型ユニットの該他方が、該シャフト受入部に該連結用シャフトが受け入れられた状態で、該変位阻止部材を該バネ部材のバネ力に抗して該変位許容位置から該変位阻止位置へ該軸線方向で変位するためのピストンシリンダ装置を更に有するようにすることができる。
【0011】
具体的には、該ピストンシリンダ装置は、該シャフト受入部に該連結用シャフトが受け入れられた状態で、該変位阻止部材に係合して該変位阻止部材を該バネ部材のバネ力に抗して該変位許容位置から該変位阻止位置へ変位する押出位置と、該変位阻止位置から離れて該変位阻止部材が該バネ部材の偏倚力により変位許容位置に変位するのを許容する引込位置との間を軸線方向で変位可能とされたピストンロッドを備えるようにすることができる。
【0012】
また、以上の管継手装置においては、
該連結用シャフトが、該施錠位置とされた施錠部材によって係合される施錠部材係合面と、該施錠部材係合面に隣接し、該連結用シャフトの先端側に設けられた該施錠部材係合面よりも径の大きい環状係合施錠部とを備え、
該連結用シャフトが該シャフト受入部から引き抜かれようとするときに該環状係合施錠部が該施錠部材に係合して該施錠部材に該半径方向外側に変位する力を付与するように
することができる。
【0013】
また、以上の管継手装置においては、該施錠部材が周方向で2つ以上に分割された分割リングとすることができる。
【0014】
更にまた、以上の管継手装置においては、
該施錠部材を該施錠解除位置に保持するバネ付勢された保持部材を更に有し、
該変位阻止部材は該変位許容位置から該変位阻止位置に変位されるときに、該保持部材により該施錠解除位置に保持されていた該施錠部材に係合し該施錠部材を該施錠位置に変位させるようにすることもできる。
【0015】
以下、本発明に係る管継手装置の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の一実施形態に係る管継手連結装置の平面図であり、雄型ユニットと雌型ユニットとが分離されている状態を示す。
図2図2図1の管継手装置と同様の平面図であり、雄型ユニットと雌型ユニットとが連結された状態を示す。
図3図3図1に示す雌型ユニットの右側端面図である。
図4図4図1に示す雄型ユニットの左側端面図である。
図5図5図1のV―V線に沿って見た部分断面図であり、要部を明瞭にするために一部を省略して示している。
図6図6図5と同様の図であり、雄型ユニットの連結用シャフトを雌型ユニットのシャフト受入部内に挿入した状態を示す。
図7図7図6と同様の図であり、図6に示す状態において雌型ユニットのピストンシリンダ装置のピストンロッドを押出位置として雌型ユニットの変位阻止部材を変位許容位置から変位阻止位置に変位して、施錠部材を施錠位置とした状態を示す。
図8図8図7と同様の図であり、図7の状態から、当該管継手装置内を加圧流体が通されている状態においてピストンロッドが引込位置に変位した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図示の実施形態に係る管継手装置10は、雄型管継手12を備える雄型ユニット14と、該雄型管継手12に連結される雌型管継手16を備える雌型ユニット18とを有する。
【0018】
具体的には、雄型ユニット14は支持基板20の中央位置(図4)に連結用シャフト22を備え、雄型管継手12はこの連結用シャフト22の両側に該連結用シャフト22に対して平行に間隔をあけて2つ設けられており、この2つの雄型管継手12を結ぶ線の中央を斜めに横断する方向における連結用シャフト22の両側には該連結用シャフト22に対して平行にして支持基板20を貫通する2つのガイド孔24が設けられている。図示の例では、雄型管継手12の先端には六角の面取りがなされている。また、雄型管継手12の図で見て右端には図示しない流体管が接続されるようになっている。
【0019】
雌型ユニット18は、支持基板20と同様のサイズの第1基板26、該第1基板26に対して平行にされ連結杆28によって該第1基板26に固定された第2基板30とからなる雌型ユニットフレーム32を有している。第1基板26には連結用シャフト22を受け入れるシャフト受入孔34、2つの雌型管継手16及び2つのガイドピン36が設けられており、2つのガイドピン36を対応する雄型ユニット14のガイド孔24に挿入して雄型ユニット14と雌型ユニット18とを相互に近づけることにより、連結用シャフト22がシャフト受入孔34内に挿入され、2つの雄型管継手12が対応する2つの雌型管継手16にそれぞれ挿入されて図2に示す状態となるようにされている。図示の例では連結杆28は図3で見て第1基板26にaで示す4か所で第1基板26に取り付けられている。図示しないが各雌型管継手16にはその左端に流体管が接続される。
【0020】
図5に示すように、雄型ユニット14の連結用シャフト22には雄ネジが設けられナット37によって支持基板20に固定されて雌型ユニット18に向けて突出するようにされており、雌型ユニット18のシャフト受入孔34内に挿入されたときに第1基板26の表面に係合する段部22aと、該段部22aから伸びて後述する雌型ユニット18のシャフト受入部38内に挿入される挿入部22bとを有しており、該挿入部22bの周面には溝状に形成された環状の施錠部材係合面22cと該施錠部材係合面22cより当該連結用シャフト22の先端側に形成された環状係合施錠部22dを有している。
【0021】
これに対して雌型ユニットフレーム32内には連結用シャフト22の挿入部22bを受け入れるシャフト受入部38を有しており、該シャフト受入部38には受け入れた連結用シャフト22の挿入部22bを該シャフト受入部38内で施錠(ロック)するための以下のような施錠装置が設けられている。すなわち、該施錠装置は、受け入れた連結用シャフト22に対して半径方向で変位可能とされ、受け入れた連結用シャフト22の施錠部材係合面22cに係合して該連結用シャフト22がシャフト受入部38から抜け出るのを阻止する施錠位置(図7図8)と、該施錠位置よりも半径方向外側に変位して連結用シャフト22がシャフト受入部38から抜け出る(または該シャフト受入部38内に挿入され)のを許容する施錠解除位置(図5図6)との間で変位可能な施錠部材40と、シャフト受入部38に受け入れた連結用シャフト22の挿入部22bの軸線方向で変位可能とされた筒状の変位阻止部材42であって、施錠位置(図7図8)にある施錠部材40の半径方向外側位置で施錠部材40に係合して施錠部材40が半径方向外側に動くのを阻止する変位阻止位置(図7図8)と、変位阻止位置から軸線方向左方に変位して施錠部材40が施錠解除位置(図5図6)に変位するのを許容する変位許容位置(図5図6)との間で変位可能とされた変位阻止部材42とを有する。図示の例では、雌型ユニットフレーム32にはピストンシリンダ装置44、具体的にはエアシリンダが設けられており、該ピストンシリンダ装置44のピストンロッド46を図5及び図6に示す引込位置から該変位阻止部材42に係合して図7に示す押出位置へ押し出すことにより変位阻止部材42を変位許容位置から変位阻止位置に変位させるようにしており、通常は、ピストンロッド46を押出位置に保持することにより変位阻止部材42を変位阻止位置に維持し、それにより雄型ユニット14の連結用シャフト22が雌型ユニット18のシャフト受入部38から抜け出ないようにして雄型ユニット14と雌型ユニット18との分離が生じないようにし、ピストンロッド46を引込位置に変位させることにより分離可能としている。
【0022】
施錠部材40は周方向で好ましくは4つに分割された分割リングとされており、シャフト受入部38内に挿入された連結用シャフト22の軸線方向に伸びる施錠部40aと該施錠部40aから半径方向外側に延びる保持部40bとを有しており、連結杆28の内側に固定されたリング状の保持部材48によって半径方向に変位可能に取り付けられている。具体的には、施錠部材40の保持部40bは保持部材48と第1基板26との間に形成された環状の隙間49に挿入され、保持部材48内に設けられたコイルバネ50によって付勢されたボール状の施錠子52を当該保持部40bの表面に設けた施錠凹部40cに係合させることにより該施錠部材40を図5に示す施錠解除位置に保持するようになっており、変位阻止部材42が図5及び図6に示す変位許容位置からピストンシリンダ装置44により図7に示す変位阻止位置に変位されることに伴い、該変位阻止部材42によって半径方向内側に変位され施錠位置とされ、該変位阻止部材42が変位許容位置に変位して連結用シャフト22がシャフト受入部38から引き抜かれることにより連結用シャフト22の環状係合施錠部22dによって半径方向外側に変位され施錠解除位置にもどされるようになっている。保持部材48は固定リング54によって雌型ユニットフレーム32内に固定されており、施錠部材40の施錠部40aと平行に左方に延びる筒状部48aを備え、該筒状部48aの外周面48bに沿って固定リング54と変位阻止部材42の左端フランジ42aとの間に設けられたコイルバネ56によって図5に示す変位許容位置に向けて付勢されている。
【0023】
施錠位置(図7図8)にある施錠部材40は、連結用シャフト22がシャフト受入部38から引き抜く方向(右方)での引抜力を受けた状態では、環状係合施錠部22dのテーパ面22eが該施錠部材40先端のテーパ部40eに係合することにより該施錠部材40に半径方向外側に変位する力を与え、施錠部材40の施錠部40aの外表面40dを変位阻止部材42の内周面42bに押圧するようにされており、それにより変位阻止部材42が変位許容位置に向けて軸線方向で変位しようとするときにこれら外周面40dと内周面42bとの間に摩擦力が生じるようにされている。具体的には、当該管継手装置10において雄型管継手12及び雌型管継手16が流体連結されて流体が通された状態では、その流体圧により雄型ユニット14及び雌型ユニット18間にはそれらを引き離すよう作用する力が働く。ピストンシリンダ装置44のピストンロッド46が押出位置に保持される限り変位阻止部材42は該ピストンロッド46との係合により変位阻止位置に保持され、それにより施錠部材40が施錠位置に保持されることにより、連結用シャフト22が雌型ユニット18のシャフト受入部38から抜け出ることはないが、誤操作など何らかの原因によってピストンロッド46が引込位置とされて変位阻止部材42から離れたとしても、上述の流体圧によって連結用シャフト22にかけられる引抜力により、施錠部材40の施錠部40aの外表面40dと変位阻止部材42の内周面42bとの間には摩擦力が発生し、当該変位阻止部材42が変位阻止位置から変位許容位置に変位することを阻止するようにしている。従って、この管継手装置10においては、上記のごとき流体圧が発生している状態では、施錠部材40が施錠解除位置に変位して雄型ユニット14が雌型ユニット18から分離してしまい不測の事態が生じてしまうということを防止することができる。
【0024】
以上、本発明の一実施形態の説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、連結用シャフト22の挿入部22bは段部22aから当該連結用シャフト22の先端に行くにしたがって拡径するようなものとすることができる。要するに、この部分は当該連結用シャフト22に引抜力がかかった場合に、施錠部材40を半径方向外側に押圧するような形状とされていればよい。また、変位阻止部材42はピストンシリンダ装置44を用いて変位されるものを示したが、操作員が手動で変位させるようにすることもできる。また、施錠部材40と変位阻止部材42との係合は、図示の例では施錠部材40の外周面40dと、該外周面40dに平行に伸びる変位阻止部材42の内周面42bとの間で行われるようにしたが、例えば一方の面に突起部を設け他方の面と係合するようにすることもできる。要するに、施錠部材40を施錠位置に保持し、且つ、上述の摩擦力が生じるような構成とすればよい。
【符号の説明】
【0025】
管継手装置10、雄型管継手12、雄型ユニット14、雌型管継手16、雌型ユニット18、支持基板20、連結用シャフト22、段部22a、挿入部22b、施錠部材係合面22c、環状係合施錠部22d、テーパ面22e、ガイド孔24、第1基板26、連結杆28、第2基板30、雌型ユニットフレーム32、シャフト受入孔34、ガイドピン36、ナット37、シャフト受入部38、施錠部材40、施錠部40a、保持部40b、施錠凹部40c、外表面40d、テーパ部40e、変位阻止部材42、左端フランジ42a、内周面42b、ピストンシリンダ装置44、ピストンロッド46、保持部材48、筒状部48a、外周面48b、隙間49、コイルバネ50、施錠子52、固定リング54、コイルバネ(バネ部材)56


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8