特許第6249918号(P6249918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249918
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20171211BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20171211BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20171211BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20171211BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20171211BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/39
   A61K8/86
   A61Q19/00
   A61K8/81
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-199774(P2014-199774)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-69320(P2016-69320A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】100137419
【弁理士】
【氏名又は名称】桂田 正徳
(72)【発明者】
【氏名】澤田 彰子
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 格
(72)【発明者】
【氏名】清水 真希
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−201834(JP,A)
【文献】 特開2013−014540(JP,A)
【文献】 特開2009−227629(JP,A)
【文献】 特開2008−120730(JP,A)
【文献】 特開2003−286149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):水と、
成分(B):メントール、1,8−シネオール、l−メンチルグリセリルエーテル、及び乳酸メンチルからなる群より選ばれた化合物と、
成分(C):エタノールと、
成分(D):ノニオン界面活性剤と、
成分(E):ポリオキシアルキレングリセリルエーテルと、
成分(F):ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルと、
成分(G):ビニルピロリドン・スチレン共重合体とを含有し、
前記成分(E)の含有量に対する、前記成分(F)の含有量の比率[前記成分(F)の含有量/前記成分(E)の含有量](質量比)が1.0〜10.0であり、
前記成分(G)の含有量に対する、前記成分(E)の含有量と前記成分(F)の含有量の合計量の比率[(前記成分(E)の含有量+前記成分(F)の含有量)/前記成分(G)の含有量](質量比)が4.0〜23.0であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記成分(E)の含有量と前記成分(F)の含有量の合計量が0.5〜12.0質量%である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記成分(E)が、ブチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15、プロピレンオキシドの平均付加モル数が3〜10のポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルである請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記成分(F)が、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールである請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記成分(B)の含有量が0.005〜2.0質量%であり、
前記成分(C)の含有量が5.0〜30.0質量%であり、
前記成分(D)の含有量が0.05〜3.0質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
さらに、成分(H):多価アルコールを含み、前記成分(H)の含有量が1.0〜30.0質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
さらに、成分(J):カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれたポリマーを含み、前記成分(J)の含有量が0.01〜2.0質量%である請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
ジェル状の皮膚外用剤である請求項1〜7のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
ボディ用の皮膚外用剤である請求項1〜8のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清涼感を与えたり、保湿感を与えたりするなどの目的で、肌に塗布される水性の組成物である皮膚外用剤が知られている(例えば、特許文献1〜3)。これらの組成物には、メントール等の清涼剤や香料などの、水に対する溶解性の低い成分が添加されるものがある。これらの成分を水に良好に溶解又は分散させるためには、エタノールやノニオン界面活性剤が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−201834号公報
【特許文献2】特開2013−82687号公報
【特許文献3】特開2008−120730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記皮膚外用剤において、例えば、清涼感を向上させる目的で清涼剤を増加させる場合には、エタノールやノニオン界面活性剤の添加量を増加することが必要である。しかしながら、エタノールの添加量を増加すると塗布時の皮膚外用剤の揮発が速くなり原料由来のべたつきを感じやすくなり使用感が低下する場合があり、一方、ノニオン界面活性剤の添加量を増加すると皮膚外用剤を塗布した後のべたつきが生じ使用感が低下する場合がある。従って、メントール等の水に対する溶解性の低い成分の添加量を増加しても、優れた使用感を発揮しうる皮膚外用剤は得られていないのが現状である。
【0005】
従って、本発明の目的は、水、メントール等の成分、エタノール、及びノニオン界面活性剤を含む、水性の皮膚外用剤であって、優れた使用感を発揮しうる皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討した結果、水と、メントール等の成分と、エタノールと、ノニオン界面活性剤とを含む皮膚外用剤において、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルと、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルと、ビニルピロリドン・スチレン共重合体とを特定比率で配合することにより、優れた使用感を発揮する皮膚外用剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
成分(A):水と、
成分(B):メントール、1,8−シネオール、l−メンチルグリセリルエーテル、及び乳酸メンチルからなる群より選ばれた化合物と、
成分(C):エタノールと、
成分(D):ノニオン界面活性剤と、
成分(E):ポリオキシアルキレングリセリルエーテルと、
成分(F):ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルと、
成分(G):ビニルピロリドン・スチレン共重合体とを含有し、
上記成分(E)の含有量に対する、上記成分(F)の含有量の比率[成分(F)の含有量/成分(E)の含有量](質量比)が1.0〜10.0であり、
上記成分(G)の含有量に対する、上記成分(E)の含有量と上記成分(F)の含有量の合計量の比率[(成分(E)の含有量+成分(F)の含有量)/成分(G)の含有量](質量比)が4.0〜23.0であることを特徴とする皮膚外用剤を提供する。
【0008】
上記成分(E)の含有量と上記成分(F)の含有量の合計量は、0.5〜12.0質量%が好ましい。
【0009】
上記成分(E)は、ブチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15、プロピレンオキシドの平均付加モル数が3〜10のポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルが好ましい。
【0010】
上記成分(F)は、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールが好ましい。
【0011】
上記成分(B)の含有量が0.005〜2.0質量%であり、上記成分(C)の含有量が5.0〜30.0質量%であり、上記成分(D)の含有量が0.05〜3.0質量%であることが好ましい。
【0012】
上記皮膚外用剤は、さらに、成分(H):多価アルコールを含み、上記成分(H)の含有量が1.0〜30.0質量%であることが好ましい。
【0013】
上記皮膚外用剤は、さらに、成分(J):カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれたポリマーを含み、上記成分(J)の含有量が0.01〜2.0質量%であることが好ましい。
【0014】
上記皮膚外用剤は、ジェル状の皮膚外用剤であることが好ましい。
【0015】
上記皮膚外用剤は、ボディ用の皮膚外用剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、上記構成を有することから、(i)塗布時ののびがよく、(ii)馴染みがよく、(iii)塗布時や塗布後に肌のべたつきがない。このため、本発明の皮膚外用剤は、特に優れた使用感を発揮し得る。本発明の皮膚外用剤は、メントール等の水に対する溶解性の低い成分を比較的多量に添加した場合でも、上記(i)〜(iii)の効果が得られる。このため、本発明によれば、メントール等の配合の自由度を比較的高くできるため、汎用性にも優れるため好ましい。
【0017】
なお、本明細書において、「馴染みがよい」とは、皮膚外用剤を肌に塗布した後、短時間で液状の剤の残存感がなくなることをいう。言い換えると、皮膚外用剤が肌への浸透感が高いことをいう。また、塗布時の肌のべたつきとは、特に限定されないが、例えば、塗布時に剤が乾燥する際の肌のべたつきをいう。塗布後の肌のべたつきとは、特に限定されないが、例えば、剤が馴染んだ後又は乾燥した後の肌のべたつきをいう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、水と、メントール、1,8−シネオール、l−メンチルグリセリルエーテル、及び乳酸メンチルからなる群より選ばれた化合物と、エタノールと、ノニオン界面活性剤と、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルと、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルと、ビニルピロリドン・スチレン共重合体とを、必須の成分として含有する。また、本発明の皮膚外用剤は、多価アルコールを含むことが好ましい。さらに、本発明の皮膚外用剤は、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれたポリマーを含むことが好ましい。さらにまた、本発明の皮膚外用剤は、その他の成分を含有していてもよい。
【0019】
なお、本明細書においては、上記水を「成分(A)」;上記メントール、1,8−シネオール、l−メンチルグリセリルエーテル、及び乳酸メンチルからなる群より選ばれた化合物を「成分(B)」;上記エタノールを「成分(C)」;上記ノニオン界面活性剤を「成分(D)」;上記ポリオキシアルキレングリセリルエーテルを「成分(E)」;上記ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルを「成分(F)」;上記ビニルピロリドン・スチレン共重合体を「成分(G)」;上記多価アルコールを「成分(H)」;上記カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれたポリマーを「成分(J)」と称する場合がある。
【0020】
本発明の皮膚外用剤に含まれる成分、即ち、成分(A)〜成分(J)やその他の成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0021】
[成分(A):水]
上記成分(A)は、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の皮膚外用剤中の、成分(A)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、50.0〜90.0質量%が好ましく、より好ましくは60.0〜80.0質量%である。
【0022】
[成分(B):メントール、1,8−シネオール、l−メンチルグリセリルエーテル、及び乳酸メンチルからなる群より選ばれた化合物]
上記成分(B)は、メントール(l−メントール)、1,8−シネオール、l−メンチルグリセリルエーテル、及び乳酸メンチルからなる群より選ばれた化合物(少なくとも1の化合物)である。成分(B)としては、中でも、メントール、1,8−シネオールが好ましく、より好ましくはメントールである。成分(B)は、皮膚外用剤において、清涼剤として用いられる。また、成分(B)は水に対する溶解性が低いため、水性の組成物中に安定した状態で存在させる場合には、エタノールや界面活性剤を併用することが必要となる。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0023】
本発明の皮膚外用剤中の成分(B)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、0.005〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜1.0質量%である。上記含有量が0.005質量%以上であることにより、清涼感の付与効果などの成分(B)の効果が向上する。また、本発明の成分(E)〜成分(G)による使用感の改善効果は、成分(B)を比較的多量に添加する場合に特に顕著に発揮される。一方、上記含有量が2.0質量%以下であることにより、低刺激性がより一層向上する。上記成分(B)の含有量は、本発明の皮膚外用剤中の全ての成分(B)の含有量の合計量である。
【0024】
[成分(C):エタノール]
上記成分(C)は、エタノールである。成分(C)は、成分(D)とともに、成分(B)を皮膚外用剤中に安定的に存在させる役割を担う。また、皮膚外用剤の使用時の速乾性や清涼感を向上する役割を担う。
【0025】
本発明の皮膚外用剤中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、5.0〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは10.0〜25.0質量%である。上記含有量が5.0質量%以上であることにより、成分(B)を比較的多量に添加する場合にも、成分(B)を皮膚外用剤中により安定的に存在させやすくなるため好ましい。さらに、本発明の皮膚外用剤の使用時の速乾性や清涼感がより一層向上する。一方、上記含有量が30.0質量%以下であることにより、べたつきをより一層低減できるため好ましい。
【0026】
[成分(D):ノニオン界面活性剤]
上記成分(D)は、ノニオン界面活性剤である。成分(D)は、成分(C)とともに、成分(B)を皮膚外用剤中に安定的に存在させる役割を担う。また、ノニオン界面活性剤は刺激感が低いことから好ましい。成分(D)としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油、脂肪酸アルキロールアミドなどが挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油が好ましい。成分(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0027】
上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(34)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ポリオキシプロピレン(30)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(34)ポリオキシプロピレン(23)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。アルキル基の炭素数は8〜24が好ましい。オキシエチレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、2〜100が好ましく、より好ましくは5〜90である。オキシプロピレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、2〜100が好ましく、より好ましくは5〜90である。
【0028】
上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの市販品としては、例えば、日光ケミカルズ社製、商品名「PEN−4620」;日光ケミカルズ社製、商品名「PEN−4630」などが挙げられる。
【0029】
上記ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(25)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油などが挙げられる。なお、括弧内の数値は、オキシエチレン(エチレンオキシド)の付加モル数を表す。オキシエチレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、2〜100が好ましく、より好ましくは4〜90である。
【0030】
上記ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油の市販品としては、例えば、日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL HCO−60」;日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL HCO−50」などが挙げられる。
【0031】
本発明の皮膚外用剤中の成分(D)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、0.05〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であることにより、成分(B)を比較的多量に添加する場合にも、成分(B)を皮膚外用剤中により安定的に存在させやすくなるため好ましい。一方、上記含有量が3.0質量%以下であることにより、皮膚外用剤の塗布後の肌のべたつきがより一層抑制される。上記成分(D)の含有量は、本発明の皮膚外用剤中の全ての成分(D)の含有量の合計量である。
【0032】
[成分(E):ポリオキシアルキレングリセリルエーテル]
上記成分(E)は、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、即ち、アルキレンオキシドのグリセリルエーテル化合物である。成分(E)は、成分(F)とともに、皮膚外用剤の塗布時のべたつき、特に、剤が乾燥する際の引っ掛かるような感触を低減し、皮膚外用剤の使用感を向上する役割を担う。成分(E)としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルなどが挙げられる。中でも、べたつき低減効果に特に優れる観点から、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルが好ましい。成分(E)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0033】
成分(E)において、オキシアルキレン(アルキレンオキシド)の平均付加モル数は、特に限定されないが、10〜33が好ましく、より好ましくは12〜22である。ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルにおいて、オキシブチレン(ブチレンオキシド)の平均付加モル数は、特に限定されないが、2〜8が好ましく、より好ましくは3〜5;オキシエチレン(エチレンオキシド)の平均付加モル数は、特に限定されないが、5〜15が好ましく、より好ましくは6〜12;オキシプロピレン(プロピレンオキシド)の平均付加モル数は、特に限定されないが、3〜10が好ましく、より好ましくは3〜5である。
【0034】
成分(E)としては、例えば、ポリオキシエチレン(12)グリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(9)グリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(24)ポリオキシプロピレン(24)グリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(5)ポリオキシブチレン(3)グリセリルエーテルなどが挙げられる。中でも、ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(5)ポリオキシブチレン(3)グリセリルエーテルが好ましい。なお、括弧内の数値は、オキシアルキレン(アルキレンオキシド)の付加モル数を表す。
【0035】
成分(E)の市販品は、例えば、新日本理化社製、商品名「コニオンRG−120」;三洋化成工業社製、商品名「ニューポール GP−600」;日油社製、商品名「ユニルーブ 50TG−32」;日油社製、商品名「ウィルブライド S−753」などが挙げられる。
【0036】
本発明の皮膚外用剤中の成分(E)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、0.05〜6.0質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜2.0質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であることにより、皮膚外用剤の使用感がより一層向上する。一方、上記含有量が6.0質量%以下であることにより、成分(E)に由来する塗布感触の軽さを維持したまま、皮膚外用剤ののびの良さがより一層向上する。上記成分(E)の含有量は、本発明の皮膚外用剤中の全ての成分(E)の含有量の合計量である。
【0037】
[成分(F):ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル]
上記成分(F)は、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルである。成分(F)は、皮膚外用剤ののびの良さを向上するとともに、成分(E)とともに、皮膚外用剤の塗布時のべたつき(特に、剤が乾燥する際の引っ掛かる感触)を低減し、皮膚外用剤の使用感を向上する役割を担う。成分(F)は、ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルとのジエステル化合物である。成分(F)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0038】
成分(F)を構成する上記ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、ペメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アセトンジカルボン酸、フタル酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などが挙げられる。また、成分(F)を構成する上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルなどが挙げられる。より具体的には、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
【0039】
成分(F)としては、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,Personal Care Products Council,2014年,p.393):BIS−ETHOXYDIGLYCOL CYCLOHEXANE 1,4−DICARBOXYLATEで表記される、シクロへキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールと称される化合物;INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,Personal Care Products Council,2014年,p.393):BIS−ETHOXYDIGLYCOL SUCCINATEで表記される、コハク酸ビスエトキシジグリコールと称される化合物が好ましく、中でも、シクロへキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールが特に好ましい。
【0040】
成分(F)の市販品は、例えば、日本精化株式会社製、商品名「Neosolue−Aqulio」(シクロへキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール);高級アルコール工業株式会社、商品名「ハイアクオスター DCS」(コハク酸ビスエトキシジグリコール)などが挙げられる。
【0041】
本発明の皮膚外用剤中の成分(F)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、0.3〜11.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3.0質量%である。上記含有量が0.3質量%以上であることにより、皮膚外用剤ののびの良さがより一層向上する。一方、上記含有量が11.0質量%以下であることにより、皮膚外用剤の塗布時の馴染みがより一層向上し、また、塗布後の肌のべたつきをより一層低減しうる。上記成分(F)の含有量は、本発明の皮膚外用剤中の全ての成分(F)の含有量の合計量である。
【0042】
本発明の皮膚外用剤中の、前記成分(E)の含有量と前記成分(F)の含有量の合計量は、特に限定されないが、0.5〜12.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜9.0質量%である。上記含有量が0.5質量%以上であることにより、皮膚外用剤の塗布時の肌のべたつきがより一層低減し、皮膚外用剤の使用感がより一層向上する。一方、上記含有量が12.0質量%以下であることにより、皮膚外用剤の塗布後の肌のべたつきがより一層低減し、皮膚外用剤の使用感がより一層向上する。また、上記含有量が、上記の範囲内にあることにより、本発明の皮膚外用剤の塗布感触の軽さが特に良好なものとなるため好ましい。上記含有量が0.5質量%未満では、皮膚外用剤が水っぽくなる場合があり、12.0質量%を超えると塗布感触が重くなる場合がある。
【0043】
[成分(G):ビニルピロリドン・スチレン共重合体]
上記成分(G)は、ビニルピロリドン・スチレン共重合体である。成分(G)は、皮膚外用剤の塗布後の肌のべたつき(即ち、剤が肌に馴染んだ後又は剤が乾燥した後の肌のべたつき)を低減し、皮膚外用剤の使用感を向上する役割を主に担う。成分(G)は、ビニルピロリドンとスチレンとを必須のモノマー成分として構成される共重合体である。即ち、成分(G)は、ビニルピロリドンに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とを少なくとも含む。成分(G)は、他のモノマー成分に由来する構成単位を含んでもよい。成分(G)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0044】
成分(G)としては、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,Personal Care Products Council,2014年,p.3484−3485):STYRENE/VP COPOLYMERで表記される、(スチレン/VP)コポリマーと称される化合物が好ましい。
【0045】
成分(G)の市販品は、例えば、International Specialty Products社製、商品名「Antara 430」などが挙げられる。
【0046】
本発明の皮膚外用剤中の成分(G)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、0.025〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.75質量%である。上記含有量が0.025質量%以上であることにより、皮膚外用剤の塗布後の肌のべたつきをより一層低減しうる。一方、上記含有量が3.0質量%以下であることにより、皮膚外用剤の塗布時及び塗布後の肌のべたつきがより一層低減し、皮膚外用剤の使用感がより一層向上する。上記成分(G)の含有量は、本発明の皮膚外用剤中の全ての成分(G)の含有量の合計量である。
【0047】
本発明の皮膚外用剤中において、成分(E)の含有量に対する、成分(F)の含有量の比率[成分(F)の含有量/成分(E)の含有量](質量比)は、1.0〜10.0であり、好ましくは3.0〜7.0である。本発明の皮膚外用剤中において、成分(E)及び成分(F)はともに、成分(G)による皮膚外用剤の塗布時の肌のべたつき(特に、剤が乾燥する際の引っ掛かる感触)を低減する役割を担う。中でも、成分(E)は、上記の塗布時の肌のべたつきを低減する効果が大きく、さらに剤の馴染みを向上させる。その反面、添加量が増えると皮膚外用剤を塗布する際の感触が重くなり、剤ののびが悪くなる傾向にある。これに対して、成分(F)は、皮膚外用剤を塗布する際の感触を軽くし、剤ののびを向上させる効果がある。このため、[成分(F)の含有量/成分(E)の含有量]を上記の範囲とすることにより、上記の塗布時の肌のべたつきを低減させる効果を有しながら、のびの良さと馴染みのよさを両立させ、皮膚外用剤の使用感を優れたものとすることができる。より詳しくは、上記比率[成分(F)の含有量/成分(E)の含有量]が1.0以上であることにより、皮膚外用剤ののびが良好となる。一方、上記比率が10.0以下であることにより、皮膚外用剤の馴染みの良さが良好となる。
【0048】
本発明の皮膚外用剤中において、成分(G)の含有量に対する、成分(E)の含有量と成分(F)の含有量の合計量の比率[(成分(E)の含有量+成分(F)の含有量)/成分(G)の含有量](質量比)は、4.0〜23.0であり、好ましくは10.0〜15.0である。上記比率[(成分(E)の含有量+成分(F)の含有量)/成分(G)の含有量]が4.0以上であることにより、皮膚外用剤の塗布時の肌のべたつき(特に、剤が乾燥する際の引っ掛かる感触)を十分に低減しうる。一方、上記比率が23.0以下であることにより、皮膚外用剤の塗布後のべたつきを十分に低減しうる。
【0049】
[成分(H):多価アルコール]
上記成分(H)は、多価アルコールである。成分(H)としては、例えば、グリコール類、グリセリン類、糖アルコールなどが挙げられる。上記グリコール類としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。上記グリセリン類としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン(例えば、濃グリセリン等)、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。上記糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ソルビトール、マルチトール、トレハロースなどが挙げられる。成分(H)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0050】
成分(H)としては、特に限定されないが、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリンが好ましく、より好ましくは、1,3−ブチレングリコールである。
【0051】
本発明の皮膚外用剤中の成分(H)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、1.0〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは5.0〜20.0質量%である。上記含有量が1.0質量%以上であることにより、皮膚外用剤を使用した後の肌の保湿感が向上するため好ましい。一方、上記含有量が30.0質量%以下であることにより、塗布時及び塗布後の肌のべたつきがより一層低減し、皮膚外用剤の使用感がより一層向上する。上記成分(H)の含有量は、本発明の皮膚外用剤中の全ての成分(H)の含有量の合計量である。
【0052】
[成分(J):カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれたポリマー]
上記成分(J)は、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選ばれたポリマー(少なくとも1のポリマー)である。成分(J)は、皮膚外用剤を増粘し、粘度を適宜調整する役割を担う。上記カルボキシビニルポリマーとは主としてアクリル酸の重合体であり、上記アルキル変性カルボキシビニルポリマーとは主としてアクリル酸とメタクリル酸アルキル(例えばC10〜C30)の共重合体である。成分(J)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0053】
上記カルボキシビニルポリマーとしては、例えば、日本ルーブリゾール社製、商品名「カーボポール934」、商品名「カーボポール940」、商品名「カーボポール941」、商品名「カーボポール981」、商品名「カーボポール1342」、商品名「カーボポール2984」、商品名「カーボポールUltrez 10」、商品名「カーボポールETD 2050」;和光純薬工業社製、商品名「AQUPEC HV−501」、商品名「AQUPEC HV−504」、商品名「AQUPEC HV−505」、商品名「ハイビスワコー104」、商品名「ハイビスワコー105」などが挙げられる。上記アルキル変性カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えば、日本ルーブリゾール社製、商品名「PEMULEN TR−1」、商品名「PEMULEN TR−2」、商品名「カーボポールETD 2020」、商品名「カーボポールULTREZ 20」などが挙げられる。
【0054】
本発明の皮膚外用剤中の成分(J)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚外用剤100質量%に対して、0.01〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。上記含有量が0.01質量%以上であることにより、成分(J)による増粘効果が十分に発揮されるため好ましい。一方、上記含有量が2.0質量%以下であることにより、皮膚外用剤の塗布後のべたつきがより一層低減される。上記成分(J)の含有量は、本発明の皮膚外用剤中の全ての成分(J)の含有量の合計量である。
【0055】
上記成分(J)は、特に限定されないが、塩基性物質で中和して用いられることが好ましい。上記塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。
【0056】
本発明の皮膚外用剤は、上記成分(A)〜成分(J)以外の成分(その他の成分)を含有していてもよい。上記その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、油脂、炭化水素油、ロウ、エステル油、高級脂肪酸、シリコーン油、高級アルコール、紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、防腐剤、香料、着色剤、キレート剤、清涼剤、増粘剤、植物抽出液、ビタミン類、中和剤、アミノ酸、pH調整剤、収斂剤、美白剤、抗炎症剤、殺菌剤、制汗剤、消臭剤、動植物抽出物、金属イオン封鎖剤などの添加剤などが挙げられる。
【0057】
本発明の皮膚外用剤の剤型としては、特に限定されないが、例えば、ジェル、クリーム、乳液などが挙げられる。中でも、ジェルが好ましい。即ち、本発明の皮膚外用剤は、好ましくは、ジェル状の皮膚外用剤である。
【0058】
本発明の皮膚外用剤としては、特に限定されないが、例えば、清涼化粧料等の、塗布した肌に清涼感を与える皮膚外用剤;保湿化粧料等の、塗布した肌に保湿感を与える皮膚外用剤;制汗用皮膚外用剤;賦香用皮膚外用剤;殺菌用皮膚外用剤;洗浄用皮膚外用剤などが挙げられる。中でも、清涼感を与える皮膚外用剤が好ましい。なお、本発明の皮膚外用剤は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨のいずれであってもよい。
【0059】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚に塗布して用いられる。本発明の皮膚外用剤の適用部位としては、特に限定されないが、例えば、体、頭(頭皮)などが挙げられる。中でも体(ボディ)が好ましく、例えば、胸、背中、腕、足、首、脇などが挙げられる。即ち、本発明の皮膚外用剤は、好ましくは、ボディ用の皮膚外用剤である。
【0060】
本発明の皮膚外用剤は、常法により製造することができる。例えば、上記した各構成成分を混合し、公知の方法、具体的には、アンカーミキサー等で撹拌する方法などが挙げられる。
【0061】
本発明の皮膚外用剤は、水(成分(A))を媒体とし、メントール等の水に対する溶解性の低い成分(成分(B))を含む。本発明の皮膚外用剤は、成分(A)中に成分(B)を安定して存在させるために、エタノール(成分(C))及びノニオン界面活性剤(成分(D))を含む。このような系においては、特に、成分(B)を比較的多量に含有させるためには、成分(C)又は成分(D)の含有量を増やすことが有効であるが、成分(C)を増量すると剤の揮発が速くなるため、皮膚外用剤の塗布時の肌のべたつきが際立つ傾向にあり、一方、成分(D)を増量すると皮膚外用剤の塗布後の肌のべたつきが生じる傾向にあり、使用感が低下する。このように、成分(A)〜成分(D)からなる皮膚外用剤においては、使用感を保ちながら、成分(B)を増量することが困難であり、幅広い製品設計と優れた使用感の両立が困難であった。
【0062】
このような課題に対して、本発明の皮膚外用剤は、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(成分(E))と、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル(成分(F))と、ビニルピロリドン・スチレン共重合体(成分(G))とを、特定の比率で配合することにより、幅広い成分(B)の配合範囲において、優れた使用感を奏することを達成した。
【0063】
本発明では、成分(G)を配合することにより、特に成分(D)により生じるべたつきを抑制している。しかしながら、成分(G)は上記べたつき抑制の効果を発揮する反面、皮膚外用剤の塗布時の剤が乾燥する際に、剤を塗布する手等が引っ掛かる感触を生じ、塗布時のべたつきを生じる欠点がある。これに対して、本発明においては、さらに、成分(E)及び成分(F)を特定の比率で配合することにより、上記の塗布時のべたつき(引っ掛かる感触)を解消し、使用感を向上させている。加えて、成分(E)と成分(F)の比率を特定範囲に制御することにより、剤ののびの良さと馴染みの良さを両立させ、皮膚外用剤の使用感をさらに優れたものとすることができる。
即ち、上記の構成により、本発明の皮膚外用剤は、幅広い成分(B)の配合範囲において、(i)塗布時ののびがよく、(ii)馴染みがよく、(iii)塗布時や塗布後に肌のべたつきがない。従って、優れた使用感を発揮しうる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、各成分の配合量(即ち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「質量%」で表す。
【0065】
実施例1〜18、比較例1〜5
表に記した組成に従い、実施例および比較例の各皮膚外用剤(ジェル状の皮膚外用剤)を常法により調製した。
なお、表および処方例で用いた成分としては、以下のものが挙げられる。
【0066】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:商品名「NIKKOL HCO−60」、日本サーファクタント工業社製
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル:商品名「PEN−4620」、日本サーファクタント工業社製
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.):商品名「ウィルブライド S−753」、油化産業社製
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール:商品名「Neosolue−Aqulio」、日本精化社製
ビニルピロリドン・スチレン共重合体:商品名「Antara 430」、International Specialty Products社製
【0067】
(評価)
各実施例および各比較例で得られた各皮膚外用剤について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0068】
3名の専門パネルにより評価を行った。皮膚外用剤約0.2gを前腕部内側に手で塗布し、下記について評価した。
【0069】
(1)のびの良さ
上記塗布時の皮膚外用剤ののびの良さを下記のとおり評価した。
◎(優れる): 塗布時の皮膚外用剤ののびが非常に良い。
○(良好) : 塗布時の皮膚外用剤ののびが良い。
×(不良) : 塗布時の皮膚外用剤ののびが不十分である。
【0070】
(2)馴染みの良さ
上記塗布時の皮膚外用剤の馴染みの良さを下記のとおり評価した。
◎(優れる): 塗布時の皮膚外用剤の馴染みが非常に良い。
○(良好) : 塗布時の皮膚外用剤の馴染みが良い。
×(不良) : 塗布時の皮膚外用剤の馴染みが不十分である。
【0071】
(3)べたつきのなさ
上記塗布時(剤が乾燥する際)及び塗布後(剤が馴染んだ後又は乾燥した後)のべたつきのなさを下記のとおり評価した。
◎(優れる): 塗布時及び塗布後のいずれもべたつきが全く感じられない。
○(良好) : 塗布時及び塗布後のいずれもべたつきがほとんど感じられない。
×(不良) : 塗布時及び塗布後のいずれかに明らかにべたつきが感じられる。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
さらに、各実施例で得られた各皮膚外用剤について、上記塗布時の使用感触の軽さを評価した。その結果、実施例1〜2、4、6〜9、11〜18の各皮膚外用剤は、使用感触が軽く、使用性により優れたものであった。中でも、実施例2、4、6、9、11、13、16は使用感触が軽さに特に優れていた。一方、実施例3、5、10は、のびや馴染みの良さ、べたつきのなさに優れ、使用性は良好であるが、使用感触の重さが感じられた。
【0075】
さらに、以下に、本発明の皮膚外用剤の処方例を示す。
【0076】
処方例1(ジェル状ボディローション)
エタノール 15.00質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
1.50質量%
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.) 0.50質量%
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 2.50質量%
l−メントール 0.20質量%
l−メンチルグリセリルエーテル 0.10質量%
香料 0.20質量%
濃グリセリン 5.00質量%
ジプロピレングリコール 2.00質量%
1,3−ブチレングリコール 5.00質量%
カルボキシビニルポリマー 0.37質量%
トリエタノールアミン 0.40質量%
乳酸 0.02質量%
乳酸ナトリウム 0.10質量%
ビニルピロリドン・スチレン共重合体 0.25質量%
植物エキス 0.10質量%
精製水 66.76質量%
【0077】
処方例2(ジェル状ボディローション)
エタノール 10.00質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
1.50質量%
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.) 1.00質量%
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 5.00質量%
l−メントール 0.30質量%
1,8−シネオール 0.10質量%
香料 0.20質量%
濃グリセリン 5.00質量%
ジプロピレングリコール 5.00質量%
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.15質量%
トリエタノールアミン 0.12質量%
ビニルピロリドン・スチレン共重合体 0.70質量%
植物エキス 0.10質量%
ポリメチルシルセスキオキサン 2.00質量%
精製水 68.83質量%
【0078】
処方例3(ジェル状ボディローション)
エタノール 10.00質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.20質量%
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.) 0.50質量%
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 2.50質量%
l−メントール 0.20質量%
l−メンチルグリセリルエーテル 0.20質量%
香料 0.20質量%
濃グリセリン 5.00質量%
1,3−ブチレングリコール 5.00質量%
キサンタンガム 0.05質量%
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.15質量%
トリエタノールアミン 0.12質量%
ビニルピロリドン・スチレン共重合体 0.25質量%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05質量%
無水ケイ酸 1.50質量%
精製水 73.08質量%