(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
建物、特に近年多く建設されるガラス張りの建物では、冷房と暖房費の削減のために多くの努力がなされている。
【0003】
ガラス張りの建物におけるエネルギー消費量は、総エネルギー消費量の24%にも達しており、そのうち、窓を通しての熱損失量は平均して30%を占めており、総損失エネルギーの7%以上を占めている。窓の熱伝逹係数が建物の外壁や屋根に比べて5倍以上も大きいため、窓を通しての熱損失が最も多く生じるわけである。さらに、夏場では、日射光が窓を通して入ってくることから冷房時の冷房負荷の原因になり、それにより66%の冷房負荷を生じさせ、また、冬場では、暖房時にガラス窓を通して暖房熱が逃げ出してしまうことから暖房負荷の原因になり、92%の暖房負荷がガラス窓を通して生じている。
【0004】
したがって建物のガラス窓の熱遮断率の向上に多くの関心が集まっている。これを解決するために、従来、フレームの内部と外部との間に熱伝導率の低い非金属断熱材を挟み込むことで熱の流れを遮断する方式を用いたことがある。また、冷たい外気がガラス窓を伝わって入ってくることを防止するために、エアキャップを利用することもあった。
【0005】
また、複層ガラスに空気や、アルゴン、クリプトンみたいな不活性充填ガスを直接注入して温度差による断熱性能を高めようとする努力をしている。
【0006】
しかし、本発明者らの研究によれば、エアキャップや従来の不活性充填ガスを直接注入する方法では、充填ガスを封止したときの耐久性、ガスの混合方法、混合成分比の調節などの関連技術の確保が難しく且つ複雑であり、不経済的であるという問題点がある。
【0007】
一方、従来、ポリ塩化ビニル樹脂、マイクロシリカカプセル、可塑剤の混合物を押出成形してフィルム状のガラス断熱材を製造する技術が開示されている(特許文献1)。
【0008】
しかし、本発明者らの研究によれば、前記方法では、ガラスの透明性や断熱性に影響を及ぼすマイクロシリカカプセルの大きさの調節が不可能であるという問題があり、そのため、透明性や断熱性を調節し難く且つ製造過程が複雑であるという不都合があった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な具現例について詳しく説明する。なお、以下の例示的な一具現例の特徴は、各々または組み合わせて適用されていてよく、いずれかの具現例によって本発明が限定されるものではないのが理解できるであろう。
【0020】
本明細書において透明断熱とは、透明性及び断熱性を併せ持つことを意味する。例えば、透明性を持つとは、可視光領域における光透過率が石英を基準にして60%以上であることを意味し、断熱性を持つとは、熱伝導度が0.15W/mk以下であることを意味する。
【0021】
本明細書において光学樹脂(optical resin)とは、光透過性を持つ樹脂であって、可視光領域における光透過率が石英を基準にして60%以上、または90%以上、または92%以上、または92〜98%である樹脂のことを意味する。
【0022】
本発明の例示的な具現例では、透明断熱樹脂層を含む透明断熱材、例えば透明断熱フィルムを提供する。前記透明断熱樹脂層は、光学樹脂及び高分子カプセル(polymer capsule)を含む。
【0023】
例示的な一具現例では、基材及び該基材上に形成される透明断熱樹脂層を含む透明断熱フィルム(または、シート)を提供する。
【0024】
図1は、本発明の例示的な一具現例に係る透明断熱フィルムを示す概路図である。
【0025】
図1に示すように、基材30上に光学樹脂20及び高分子カプセル10を含む透明断熱樹脂層が形成されている。
【0026】
例示的な一具現例において、前記光学樹脂は、透明断熱フィルムに使用され得る光透過性を持つ樹脂であって、可視光領域における光透過率が石英を基準にして60%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、または92〜98%であってよい。
【0027】
光学樹脂は、前記光透過率を持つ限り、その成分に特に制限などない。例えば、ポリアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエポキシ系などの樹脂のうち、前述した光透過率を持つ樹脂を用いていてよい。また、前記光学樹脂は、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂であってよい。
【0028】
例示的な一具現例において、光学樹脂は、高分子カプセルを溶かさないものである必要がある。このような光学樹脂に高分子カプセルが分散、好ましくは凝集体が生じることなく、より好ましくは、 凝集体が生じることなくランダムな大きさで分散され、透明断熱樹脂層を形成していてよい。
【0029】
例示的な一具現例において、前記高分子カプセルは高分子からなるものであって、内部に空き空間(vacant space)を含んでいてよい。例えば、前記高分子カプセルの少なくとも一部または全部は、カプセル内部に空き空間及び前記空き空間を取り囲む高分子膜からなるものであってよい。ここで、前記空き空間は、気体で満たされていてよい。
【0030】
非制限的な例示において、前記高分子カプセルには空気(または、空気層)が含まれるか、またはその他、熱伝導度の低いアクゴン、クリプトンなどのような不活性気体(または、気体層)が含有されていてよい。
【0031】
このように高分子カプセルを透明断熱フィルムに含有させた場合、投入前と比べて熱伝導度を低下させ、且つ外部からの太陽放射エネルギーの放射熱の透過が低減して輻射熱線の遮断率を向上し、また暖房時に生じる暖房熱の流出を低減することができる断熱性能を示すことができる。
【0032】
前記高分子カプセルは、高分子からなるものであるため、無機物カプセルと異なり、大きさの調節が容易である。前記高分子カプセルは、断熱性だけでなく透明断熱フィルムの透明性にも影響を及ぼすようになり、高分子カプセルの大きさを調節できるようになれば、透明断熱フィルムの断熱性及び透明性の調節が容易となる。
【0033】
前記高分子カプセルを光学樹脂とともに含む透明断熱フィルムは、可視光領域における光透過率が石英を基準にして60%以上、好ましくは63%以上、より好ましくは70%以上である。
【0034】
また、前記高分子カプセルを光学樹脂とともに含む透明断熱フィルムは、前記のような光透過率を持ちながらも、熱伝導度が0.2W/mk未満、好ましくは0.02〜0.15W/mkの優れた断熱性能を示すことができる。また、当該透明断熱フィルムは、光学的歪みがない。その結果、ガラス窓に貼り付けたり、ガラス窓の代わりとして使用したりすることができる。光学的歪みの有無は、ヘイズ(haze)を測定して評価することができる。ヘイズは、例えばヘイズメーター(haze meter)または分光光度計にて測定することができ、例示的な一具現例において、透明断熱フィルムは0.1%以下のヘイズを示していてよい。
【0035】
前記高分子カプセルに用いられる高分子は、併せて用いられる光学樹脂を考慮して、前記光透過率を満たすようなものを選択しなければならない。
【0036】
例示的な一具現例において、前記高分子カプセルは、光透過率、ヘイズの面において光学樹脂の屈折率差が0〜0.1であることが好ましい。前記屈折率は、例えばアッベ屈折計にて測定することができる。このような屈折率差に基づいて透明断熱材の透明性を調節することができる。
【0037】
例示的な一具現例において、前記高分子カプセルの高分子と光学樹脂は、上述した屈折率差を有するものであり、例えば次のようなものであってよい。すなわち、高分子カプセルの高分子は、ポリ(メチルメタクリレート)のようなポリアクリル系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系、ポリオレフィン系、ポリイミド系の高分子から選ばれたものであってよい。
【0038】
例示的な一具現例において、前記光学樹脂層中の高分子カプセルの含量は、高分子カプセル及び光学樹脂の総100重量に対し、0重量%超過90重量%以下であってよい。断熱性能を高めるためには、高分子カプセルの含量を増大させることが有利であるが、透明性が落ちることがある。逆に、高分子カプセルの含量を減少させると、透明性は高くなるが、断熱性能が落ちることがある。
【0039】
透明断熱フィルムの断熱特性(例えば、熱伝導度0.02〜0.15W/mk)及び透明性(例えば、可視光線領域における光透過率が石英を基準にして60%以上)の面において、高分子カプセルの含量は、高分子カプセル及び光学樹脂の総100重量に対し、0.1重量%以上60重量%以下であることが好ましい。また、高分子カプセルの含有によっても高分子カプセルを含有しない場合に比べて、実質的に同じ透明性(透明性の差1%以下)を示しつつ、極めて優れた断熱性能(例えば、熱伝導度0.02〜0.15W/mk)を確保することができるという面において、高分子カプセルの含量は、高分子カプセル及び光学樹脂の総100重量に対し、10重量%以上50重量%以下であるのがより好ましい。
【0040】
例示的な一具現例において、前記基材は、透明断熱樹脂層を形成するための支持体として用いられる。
【0041】
例示的な一具現例において、透明断熱材は透明断熱フィルムであり、前記透明断熱フィルムは基材及び透明断熱樹脂層を含んでいてよく、透明断熱樹脂層の形成後、当該基材を除去してから用いることもできる。
【0042】
例示的な一具現例において、透明断熱フィルムが基材を含む場合、基材の片面または両面に透明断熱樹脂層が形成されていてもよく、2つの基材で透明断熱樹脂層を挟み込む形で形成することも可能である。
【0043】
例示的な一具現例において、前記基材は、可視光領域における光透過率が石英を基準にして60%以上のものを用いる。例えば、基材としては、例えばガラス、ポリエチレンテレフタレートなどの透明基材を用いていてよい。
【0044】
一方、本発明の例示的な具現例では、上述した透明断熱材の製造方法を提供する。
【0045】
前記製造方法では、先ず、高分子カプセルを製造する段階、及び前記高分子カプセルを光学樹脂と混合する段階、を含む。
【0046】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、透明断熱フィルムの製造方法であって、高分子カプセルを製造する段階、及び前記高分子カプセルを光学樹脂と混合し、該混合物を基材にコーティングして、基材上に形成された透明断熱樹脂層を形成する段階、を含む。
【0047】
例示的な一具現例において、前記コーティングの後、基材を除去する段階をさらに含んでいてよい。
【0048】
例示的な一具現例において、前記高分子カプセルの製造は多様な方法にて行われていてよい。
【0049】
非制限的な例示において、当該製造方法は、界面活性剤、分散剤、有機溶媒、ラジカル重合単量体、及びラジカル重合開始剤を混合し加熱して高分子カプセルを調製する段階、及び光学樹脂と高分子カプセルとを混合し、該混合物を基材にコーティングする段階、を含んでいてよい。
【0051】
前記界面活性剤は、有機溶媒に溶かすと、球状の逆ミセルを形成する。また、界面活性剤の比によって溶液中に形成される逆ミセルの大きさを調節することができる。そのため、界面活性剤は、逆ミセルを形成し得る量で用いる必要がある。逆ミセルの形成が高分子カプセルの形成に影響を与えるため、前記したように逆ミセルの大きさを調節することで高分子カプセルの大きさを調節できるようになる。
【0052】
前記有機溶媒は、逆ミセルの形成のための溶媒であって、例えば、極性有機溶媒として、例えばメタノールなどを用いていてよい。
【0053】
前記界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(Dioctyl sulfosuccinate sodium salt、またはAOT)などを用いていてよい。
【0054】
前記開始剤は、ラジカル重合をするときに用いる開始剤であって、該ラジカルは溶液中に溶けている少量の単量体と接触して改質反応をするようにする。開始されたラジカルは、溶液中で成長していき、開始剤の新水性部分と単量体の疎水性部分との均衡が適当に保たれる瞬間から表面活性を持つようになる。
【0055】
前記開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(2,2’−Azobisisobutyronitrile、AIBN)などを用いていてよい。
【0056】
前記分散剤について説明すれば、重合開始の後、開始剤のラジカルから成長したオリゴラジカルは、大きさが増大するにつれて連続相から遊離(separation)、沈殿(precipitation)する。沈殿した予備粒子は分散剤によって安定化し、粒子の大きさが増大するにつれ、より多くの単量体を吸収し粒子として成長することができる。このような分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン(Poly(vinylpyrrolidone)、PVP)などを用いていてよい。
【0057】
一方、ラジカル重合単量体は、重合反応をするときに開始剤によって生成されたラジカルと連続的に結合して成長し、高分子カプセルになる。前記単量体としては、例えばメチルメタクリレート(Methyl methacrylate、MMA)などを用いていてよい。
【0058】
例示的な一具現例では、高分子カプセルの重合後に凍結乾燥を施す段階をさらに含むのが好ましい。凍結乾燥を施すと、カプセルを洗浄し乾燥する段階においてカプセル同士が凝集することを防止することができ、その結果、光学樹脂中にカプセル同士の凝集すること(凝集体)が生じることなく均一に分散させるうえで有利になる。
【0059】
より具体的に、前記製造方法の例示的な一具現例では、界面活性剤、分散剤、有機溶媒を混合する段階と、該混合物にラジカル重合単量体及びラジカル重合開始剤を入れて加熱し、高分子カプセルを重合する段階と、高分子カプセルを凍結乾燥する段階、及び光学樹脂と凍結乾燥した高分子カプセルとを混合し、該混合物を基材にコーティングする段階と、を含む。
【0060】
例示的な一具現例において、前記光学樹脂が光硬化性または熱硬化性樹脂である場合、コーティング後に光の照射(例えば、UV lamp)または熱を加えることで硬化を施していてよい。
【0061】
例示的な一具現例において、前記製造方法によれば、高分子カプセルの大きさ(平均粒径)を容易に調節することができる。
【0062】
すなわち、前記ラジカル重合方法による場合を例に挙げると、合成時間によってカプセルの均一度を制御し、均一なサイズのカプセルは勿論のこと、ランダムなサイズのカプセルを調製することができる。すなわち、例示的な一具現例では、高分子カプセルの重合反応の際、反応2時間後にカプセルが形成され始め、このとき、均一なサイズのカプセルが形成でき、反応後7時間が経過すると、カプセルがランダムなサイズに形成できる。また、反応時間を10時間以上にすると、ランダムなサイズのカプセルが平衡をとるために均一なサイズのカプセルに形成できる。このように高分子カプセルの重合時間を調節することによって均一なサイズのカプセルだけではなく、ランダムなサイズのカプセルを重合することができる。
【0063】
その結果、高分子カプセルの平均粒径を、例えば0.1〜150μmまでの範囲に多様に製造可能となる。
【0064】
例示的な一具現例では、高分子カプセルはランダムな粒径を有するのが好ましい。均一なサイズの高分子カプセルの場合(すなわち、一定の平均粒径を有するカプセルだけが存在する場合)よりもランダムなサイズの高分子カプセルの場合(すなわち、2つの以上の互いに異なる平均粒径を有する場合)のほうが、熱伝導度が低いため、断熱の面で優れている。大きさ(平均粒径)がそれぞれ異なる高分子カプセルが混合されている場合、同じ体積中により多くの高分子カプセルが入るため、熱伝導が低くなることを確認することができる。断熱の面からみて、熱伝導が低いとは、より断熱に優れていることを意味する。したがって、同一の含量で含有される場合、ランダムなサイズのカプセルの場合(2つ以上の異なる平均粒径を有する高分子カプセルの場合)のほうが、均一なサイズのカプセルの場合に比べて、等しい透明性能を示しながらも断熱性能に優れると言える。
【0065】
例示的な一具現例において、前記透明断熱フィルムの製造の際に、添加剤をさらに含めていてよい。
【0066】
前記添加剤としては、例えば金属物質やセラミック物質などを用い、それにより、光を反射したり光を吸収したりすることで熱を遮断することができる。このように光反射用または光吸収用添加剤を用いると、前述した透明断熱フィルムの断熱性能に加えて、光の反射または吸収による熱遮断の極大化を図ることができる。このような光反射用または光吸収用添加剤は、透明断熱フィルムの透明断熱樹脂層中に高分子カプセルとともに含めるか、または別の層として形成されていてよい。
【0067】
すなわち、例示的な一具現例に係る透明断熱フィルムは、基材、該基材の片面または両面に形成される透明断熱樹脂層、前記透明断熱樹脂層上または透明断熱樹脂層の形成されていない基材上に形成される光反射用または光吸収用添加剤からなる層をさらに含んでいてよい。
【0068】
前記添加剤または添加剤層もまた、透明度を阻害しない範囲内で添加・形成される。このような添加剤として、例えばセラミックナノ粒子や金属ナノ粒子のようなナノ粒子を用いていてよい。
【0069】
本発明の例示的な具現例に従って製造された透明断熱フィルムは、高分子カプセルを内包し断熱性能が高いため、外部からの太陽放射エネルギーの放射熱の透過を低減させることができ、且つ内部の暖房熱の流出を防止することができるとともに、透明断熱フィルムの透明度が高い。その結果、建物(特にガラス張りの建物)や住宅、自動車などのガラス窓の熱遮断または断熱フィルムとして極めて有用に使用することができる。
【0070】
以下、本発明の具現例に係る具体的な実施例についてさらに詳しく説明する。なお、本発明が下記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で多様な形態の実施例が具現でき、また、下記の実施例は、本発明の開示が完全になるようにするとともに、当業界における通常の知識を有する者にとって当該発明を容易に実施できるようにするためのものであることが理解できるであろう。
【0071】
[実施例及び比較例]
高分子カプセルの調製
メチルメタクリレート(Methyl methacrylate、MMA)(10wt%)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(Dioctyl sulfosuccinate sodium salt、またはAOT)(0.45wt%)、ポリビニルピロリドン(Poly(vinylpyrrolidone)、PVP)(4wt%)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(2,2’−Azobisisobutyronitrile、AIBN)(0.1wt%)、メタノール(Methanol)(85.45wt%)を、それぞれ重量比10:0.45:4:0.1:85.45で混合した。
【0072】
具体的に、高分子カプセルの重合のために3口フラスコ内をアルゴンでパージした後、該3口フラスコ内にAOT(0.45wt%、0.9g)、PVP(4wt%、4g)、MeOH(85.45wt%、108mL)を入れ、物質が全て溶けるまで約10分間1000rpmの速度で撹拌させる。混合した溶液にMMAモノマー(10wt%、10mL)とAIBN(0.1wt%、0.1g)を添加した後、58℃で400rpmの速度で撹拌させる。反応が開始すると、透明だった溶液が濁り始め、反応後2時間が経過すると、MMAカプセルが形成され始め、このとき、均一な大きさの潰れたカプセル模様が形成され、反応後7時間が経過すると、ランダムなサイズのカプセルが形成される。さらに、反応後10時間以上が経過すると、ランダムなサイズのカプセルが安定した状態を保持するために均一なサイズを形成するようになる。このようにして得られたPMMAカプセルを、脱イオン水(DI−water)にて3回程度洗浄し、遠心分離にかける。これは、未反応モノマーと溶媒を洗い出すためである。得られたPMMAカプセルを凍結乾燥することできめ細かなパウダー形態のものを得ることができる。
【0073】
図2は、本発明の実施例に従って調製された球状の高分子カプセルのSEM写真を示す図である。
【0074】
図2から分かるように、平均粒径7〜20μmの球状の高分子カプセルが形成されたことを確認することができる。参考までに、
図2に見られるように、前記カプセルはランダムなサイズを有するように調節された。
【0075】
透明断熱フィルムの製造
光学樹脂(optical resin)[アクリル系樹脂]に前記調製された球状の高分子カプセルを0wt%(比較例)、10wt%(実施例1)、20wt%(実施例2)、30wt%(実施例3)の割合でそれぞれ混合した。
【0076】
前記高分子カプセルの屈折率は、アッベ屈折計にて測定した結果、1.49361であり、光学樹脂の屈折率は1.5であった。
【0077】
一方、一枚のPETフィルムを用意し、前記光学樹脂と高分子カプセルとが混合された混合物を、該用意したPETフィルムに滴下し、バーコータにてコーティングをする。バーコータの条件はコーティングを施す厚さ80μm、コーティングする速度4mm/sに調節し、コーティングを施す。
【0078】
このようにして得られたフィルムに対し、UV lampにて2分間照射して光硬化を施した。
【0079】
図3は、本発明の比較例に係る透明フィルム(高分子カプセル0wt%、
図3a)及び実施例3に係る透明断熱フィルム(高分子カプセル30wt%含有、
図3b)の実際の写真である。
【0080】
図3に示すように、光学樹脂を単独で使用した場合に比べて、高分子カプセルを含ませた場合であっても、ヘイズ測定の結果、光歪みが発現しなかった。
【0081】
一方、
図4は、本発明の実施例3に係る透明断熱フィルム及び比較例に係る透明フィルムの透過率をUV−Vis分光光度計にて測定した結果を示すグラフであって、ベースラインは石英板を基準とし、比較例はPETフィルム、実施例3はPETフィルム+光学樹脂+30wt%の高分子カプセルのUV透過度を示す。
図4中、X軸は波長(単位:nm)であり、Y軸は透過度(単位:%)である。
【0082】
図4は、高分子カプセルを30wt%まで含めても透過率の差が1% 以下 とほぼ同じであることを示している。
【0083】
本発明の比較例及び実施例に係る透明断熱フィルムの熱伝導度を、熱伝導度試験機器にてそれぞれ3回測定し、下表のようにその平均値を得た。
【0085】
図5は、本発明の比較例及び実施例に係る透明断熱フィルムの熱伝導度を、熱伝導度試験機器にて測定した結果を示すグラフである。
図5中、X軸はカプセル含量(単位:wt%)であり、Y軸は熱伝導度(単位:W/mk)である。
【0086】
図5から確認できるように、高分子カプセルの含量が増大するにつれて熱伝導度が減少(断熱性能が良くなる)することを確認することができる。