(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249934
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】差圧流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/40 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
G01F1/40
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-250950(P2014-250950)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-114380(P2016-114380A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014409
【氏名又は名称】株式会社リンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 弘文
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−274265(JP,A)
【文献】
特開平5−248916(JP,A)
【文献】
米国特許第5445035(US,A)
【文献】
実開昭59−72514(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 9/02
G01F15/00−15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体が通流する流量計本体と、
前記流量計本体に内蔵され、被測定流体の流れに抵抗を与える差圧発生部と、
該差圧発生部の両側にそれぞれ設けられ、前記差圧発生部に向かう被測定流体が流れ込む入口側空間と、前記差圧発生部からの被測定流体が外部に向かって流出する出口側空間と、
前記入口側空間の圧力を検出する入口側圧力センサ及び前記出口側空間の圧力を検出する出口側圧力センサと、
両センサの測定値の差分である圧力差から被測定流体の流量を求める演算処理部とで構成され、
前記差圧発生部は、前記入口側空間と前記出口側空間とを繋ぐ円筒状空間と、前記流量計本体の入口側上部にてその前面から前記円筒状空間の入口側に連通する芯材装着孔に挿脱可能に嵌り込み、前記円筒状空間に対してその先端の芯材部分が挿入されることによって前記円筒状空間との間の円環状の通流用隙間に被測定流体を通流させる円柱状部材とで構成されたことを特徴とする差圧流量計。
【請求項2】
前記円柱状部材が同心にて前記円筒状空間に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の差圧流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は差圧流量計に関するものであり、特に微小流量から大流量までの測定が1種類のもので可能な差圧流量計に係る。
【背景技術】
【0002】
差圧流量計には、キャピラリ(毛細管)、オリフィス、長円ノズル或いは円錐形ベンチュリ管を用いたものなど様々なタイプのものがある。先行例としてオリフィス及びキャピラリ(毛細管)を利用した差圧流量計を例にとって説明する。
【0003】
流体がオリフィスを通過すると、このオリフィスにより圧力降下が生じる。ここで、JIS(日本工業規格)で定められている条件を満たした場合、オリフィスの両側に設置された圧力センサの測定値P1 ,P2 を用いてオリフィスの前後における圧力差(P1 −P2 )から被測定流体Fの流量を求めることができる(特許文献1)。
【0004】
特許文献1に示されている差圧流量計は、ある程度流量の大きいものには有効であるが、微少流量の測定が中心となる半導体製造工程で使用されるような差圧流量計には不向きである。
【0005】
何故ならば上述のようなオリフィス(又はノズル)を用いた差圧流量計は、微少流量の測定において、絞り部分における十分な圧力差を得ることが困難であり、そのためには、絞り部分の径を極微小径にしなければならなかった。これには高度な技術を要する微細加工が必要であるばかりか、この絞り部分の製造コストが多大となることが避けられなかった。加えて、絞り部分の径が小さくなると、この絞り部分を通過する液体に含まれている極小不純物(パーティクル)によって閉塞することがあるし、絞り部分の下流側で、減圧沸騰による様々な障害を引き起こすキャビテーション(発泡現象)が起こることもあった。
【0006】
そこで、特許文献2に示す発明が提案された。特許文献2に示す発明はキャピラリ(毛細管)を用いたもので、流路となるキャピラリの内径を大きくするためと、これを本体内にコンパクトに収納するために湾曲部分を多用してその全長を長くしてこれを差圧発生部とした。そして、この差圧発生部の前後において発生する圧力差(P1−P2)を圧力センサで計測し、前記圧力差の測定値から液体の流量を演算処理部で求めるようにした。なお、温度調節部で差圧発生部を流れる液体の温度を一定温度に調節している。そして一定温度におけるその流体の粘度を記憶しておくことにより、その流体の流量を正確に求めることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−125649号公報
【特許文献2】特許5119208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2の方式は前述のように、太くて長い差圧発生部(キャピラリ)をコンパクトに収納するために曲線で構成している。その結果、複雑な加工が必要となり加工コストが増大する。加えて、原料液体の成膜装置への供給量は操業環境によって変化することがあるが、この方式では差圧発生部(キャピラリ)が固定であるためキャピラリアセンブリ全体を交換しない限り対応不可能である。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、第1に原料液体或いは原料ガスの微少流量から大流量まで、流量の大幅な変更に対しても簡単に対応することができ、第2に測定精度が高いにも拘わらず製造コストも安く設計の簡単な差圧流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の差圧流量計Aは、
被測定流体Fが通流する流量計本体1と、
流量計本体1に内蔵され、被測定流体Fの流れに抵抗を与える差圧発生部10と、
該差圧発生部10の両側にそれぞれ設けられ、前記差圧発生部10に向かう被測定流体Fが流れ込む入口側空間12と、前記差圧発生部10からの被測定流体Fが外部に向かって流出する出口側空間14と、
入口側空間12の圧力P1を検出する入口側圧力センサPG1及び出口側空間14の圧力P2を検出する出口側圧力センサPG2と、
両センサPG1,PG2の測定値の差分である圧力差(P1−P2)から被測定流体Fの流量を求める演算処理部5とで構成され、
前記差圧発生部10は、
入口側空間12と出口側空間14とを繋ぐ円筒状空間16と、
流量計本体1の入口側上部にてその前面から円筒状空間16の入口側に連通する芯材装着孔2に挿脱可能に嵌り込み、円筒状空間16に対してその先端の芯材部分18bが挿入されることによって円筒状空間16との間の円環状の通流用間隙Xに被測定流体Fを通流させる円柱状部材18とで構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の差圧流量計Aは、請求項1において、円柱状部材18が同心にて円筒状空間16に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
これによれば、円柱状部材18が円筒状空間16に挿脱可能に配設されているので、被測定流体Fが微少流量の場合は円柱状部材18の芯材部分18bの直径を太くして通流用間隙Xを狭くし、逆に被測定流体Fが大流量の場合は円柱状部材18の直径を細くして通流用間隙Xを広くすることで、微少流量から大流量まで対応することが出来る。即ち、流量変更は円柱状部材18の交換だけで足る。
【0013】
そして、円柱状部材18が円筒状空間16に同心に配設されておれば、「同心円管を流れる流体の差圧と流量の関係式」が良く当て嵌まり、精度よく測定できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。本発明の差圧流量計Aの流量計本体1は直方体の金属部材で、内部に被測定流体Fの通流路が形成されている。該通流路は、入口11、入口側空間12、差圧発生部10の一部を構成する円筒状空間16、出口側空間14及び出口15で構成されている。なお、図は本発明の差圧流量計Aを模式的に示したものである。
【0016】
円筒状空間16は流量計本体1の内部中央にて
図2に示すように断面円形の直洞窟状に抉られたの空間である。流量計本体1の前端部と後端部には入口11と出口15が形成されている。そして、流量計本体1の底部前端部には入口側空間12が、底部後端部には出口側空間14が凹設されており、それぞれに入口側圧力センサPG1、出口側圧力センサPG2が嵌め込まれ、それぞれのダイアフラムD1,D2が入口側空間12、出口側空間14内に面するように配置されている。
【0017】
前記入口側空間12と出口側空間14には、入口11と出口15が繋がっており、更に入口側空間12は、その一部である入口側連絡通路17で円筒状空間16の入口側に、出口側空間14は、その一部である出口側連絡通路19で円筒状空間16の出口側に繋がり、一通の通流路を構成する。
【0018】
また、流量計本体1の入口側上部にはその前面から円筒状空間16の入口側に連通する芯材装着孔2が穿設され、その孔縁に気密性又は液密性を確保するためにOリング8が嵌め込まれている。芯材装着孔2と円筒状空間16とは本実施例では同心(即ち、中心軸が一致すること。換言すれば、同軸である。)に設けられている。本実施例では芯材装着孔2の直径は円筒状空間16の直径より細く形成されている。
【0019】
円柱状部材18は、嵌着部分18aの基部に一回り直径が大なフランジ18cが設けられており、芯材装着孔2に本体部分が挿脱可能に形成されている。芯材装着孔2に挿脱可能に嵌まり込む嵌着部分18aは芯材装着孔2と同径に形成され、前記Oリング8により、内部の気密を保つようになっている。円筒状空間16に挿入される、円柱状部材18の芯材部分18bの直径は後述する円環状の通流用間隙Xを流れる被測定流体Fの流量に合わせて適宜設定される。円柱状部材18は、図の場合は芯材部分18bも含め全体が円柱状であるが、流量が多くなれば仮想線で示すように、円筒状空間16に挿入される芯材部分18bの直径が細く形成されたものが用いられることになり、この場合は、段付き状の円柱になる。従って、円柱状部材18は流量範囲によって多種類のものが用意されることになる。これによって微小流量から大流量まで広範囲の計測が可能となる。
【0020】
被測定流体Fの計測に当たっては、被測定流体Fの流量を勘案して最も適切な円柱状部材18を選び、芯材装着孔2に挿入固定する。これにより、円柱状部材18の芯材部分18bの中心軸は円筒状空間16の中心軸に一致した状態(同心状態)で挿入される。そして、円筒状空間16に芯材部分18bが挿入され、両者の間に均等な間隔で円環状の隙間が形成される。この円環状の隙間が通流用間隙Xで、被測定流体Fに通流抵抗を与える差圧発生部10となる。そして、差圧発生部10の通路Lは通流用間隙Xの入口から出口までの長さである。なお、芯材部分18bと円筒状空間16とは同軸であることが好ましいが、測定に影響が出ない範囲内であれば少しのずれは実質的に同軸である。なお、同心円管(通流用間隙X)を流れる流体の差圧ΔPと流量Qの関係式を以下に示す。
【0021】
Q=ΔPπ[a
4−b
4−{(a
2−b
2)
2/In(a/b)}]/8μL
Q =流量
ΔP=差圧
a =円筒状空間16の半径
b =円柱状部材18の半径
μ =流体の粘度
L =流路長さ
演算処理部5では入口側圧力センサPG1及び出口側圧力センサPG2からの圧力データの入力を受け、その差圧ΔPを計算し、流量Qを計算する。なお、各種流体の正確な流量を測定するためには、電子天秤などを用いて流量を計測し、校正する手法が取られる。
【0022】
本発明は、高温流体に対しても適用可能であり、その場合、高温に耐える圧力センサを使用すると共に、流量計全体(演算処理部を除く)を高温に加熱して温度調整する。
【符号の説明】
【0023】
A:差圧流量計、D1,D2:ダイヤフラム、F:被測定流体、P1:入口側圧力、P2:出口側圧力、PG1:入口側圧力センサ、PG2:出口側圧力センサ、X:通流用間隙、1:流量計本体、2:芯材装着孔、5:演算処理部、8:Oリング、10:差圧発生部、11:入口、12:入口側空間、14:出口側空間、15:出口、16:円筒状空間、17:入口側連絡通路、18:円柱状部材、18a:嵌着部分、18b:芯材部分、18c:フランジ、19:出口側連絡通路。