(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カルマンフィルタ(FK_i)の前記パラメータが、前記セルの開回路電圧(OCV)と前記セルの前記充電状態を関係付ける関数によって決まることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
前記セルの前記開回路電圧(OCV)と前記セルの前記充電状態を関係付ける前記関数がアフィン関数であり、前記カルマンフィルタ(FK_i)の前記パラメータがこの関数の成長率(a)であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
前記セルの前記開回路電圧(OCV)と前記セルの前記充電状態を関係付ける前記関数が区分的アフィン関数であり、異なるカルマンフィルタ(FK_i1、FK_i2、FK_i3、FK_i4)が、前記セルの前記開回路電圧(OCV)と前記セルの前記充電状態を関係付ける前記関数の異なるアフィン部分に関連する、前記セルの前記充電状態の値の各々の範囲に対して使用されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
所与の時間でのステップa)の履行の間に使用される前記カルマンフィルタ(FK_i1、FK_i2、FK_i3、FK_i4)が、直前の時間での前記セルの前記推定される充電状態(SOCcell_est_i)の値の関数として決定されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
前記充電状態の値の第1の範囲に関連する第1のカルマンフィルタと、前記充電状態の値の第2の範囲に関連する第2のカルマンフィルタとの間の遷移が、自動化システム(A)により管理され、
前記第1のカルマンフィルタから前記第2のカルマンフィルタへの遷移が、前記充電状態の推定される値が、第1のしきい値に達するときに行われ、
前記第2のカルマンフィルタから前記第1のカルマンフィルタへの遷移が、前記充電状態の推定される値が、前記第1のしきい値とは異なる第2のしきい値に達するときに行われることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【背景技術】
【0004】
現在は、電気バッテリの充電状態は、バッテリの全体に対する測定値の関数として、例えば、バッテリの端子の両端間で測定される電圧、バッテリを通過する電流、および/またはバッテリの温度の関数として推定される。
【0005】
しかしながら電気バッテリは一般に、セルと呼ばれるいくつかの電気蓄電池を備え、セルは、例えばセルの容量の、およびセルの内部抵抗の変動など、相互に異なる特性を有する。
【0006】
これらの違いは、一方ではバッテリ自体の構造に起因するものであり、他方では、セルが、バッテリの内側でのセルの位置によって異なる温度の変動を受けることを理由とする。したがってセルの温度によって決まるセルの特性もまた、異なる温度の変動を受ける。
【0007】
その結果として、まさに同じバッテリを形成するセルは、異なる充電状態を有することがしばしばである。このことを、バッテリセルの不平衡と称する。
【0008】
バッテリのセルが異なる充電状態を有するとき、バッテリの使用範囲は、最も多く充電されているセルにより、および最も少なく充電されているセルにより課される。
【0009】
つまりバッテリの最も少なく充電されているセルは、ゼロ充電の、すなわち完全に放電された状態に、他のセルが完全に放電される前に達することになる。したがってバッテリは全体として放電されたとみなされることになるが、一方でセルの一部は完全には放電されていない。したがってバッテリの使用範囲は、最も多く充電されているセルと最も少なく充電されているセルとの間の乖離により制限される。
【0010】
不平衡のこの状況において、大まかにはセルの充電状態の平均に対応する、全体としてのバッテリの測定される特性に基づくバッテリの充電状態の推定は、相当量の精度の低さを有する。特に、この平均の推定が非ゼロの充電状態値を与えても、バッテリは、セルのうちの1つが完全に放電されているならば役に立たない。
【0011】
バッテリの充電状態の推定のこの精度の低さは、電気またはハイブリッドの車両の牽引バッテリの場合において特に不利益になる。
【0012】
つまりこれらの車両では、バッテリの充電状態の情報が、運転者が自分の車両の自律性(autonomy)を認識するように、車両のダッシュボード上で直接表示される。
【0013】
電気車両の自律性は熱式車両(thermal vehicle)の自律性より低いので、可能な限り信頼性の高い情報を運転者に提供することにより、運転者を安心させることが重要である。
【0014】
その上運転者は、信頼性の高い充電状態の情報に運転中の自分の判断の基礎を置くことが可能でなければならない。バッテリの充電状態の推定においての誤差によって、結果として運転者が悪い判断を行い、自身が不愉快な状況にあることに気付く場合があり、例えば運転者はエネルギーの不足という理由で自身が移動不能になったことに気付き、さらには、例えば運転者が追い越し中に動力が不足しているならば、自身が危険な状況にあることに気付く場合がある。
【発明の概要】
【0015】
従来技術の上述の欠点を克服するために本発明は、バッテリの充電状態の精度および信頼性の高い推定を提供することを可能にする方法を提案する。
【0016】
より詳細には本発明によれば、セルと呼ばれる複数の電気蓄電池を備える電気バッテリの充電状態を推定する方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)バッテリの各々のセルの充電状態が決定されるステップと、
b)セルの充電状態の最大の所定の値から、ステップa)において決定される、最も多く充電されているセルの充電状態と、最も少なく充電されているセルの充電状態との間の乖離を引いた値に等しい、バッテリの使用範囲が決定されるステップと、
c)バッテリの充電状態が、ステップa)において決定される最も少なく充電されているセルの充電状態と、ステップb)において決定されるバッテリの前記使用範囲との間の比に等しいように決定されるステップと、
を含む方法が提案される。
【0017】
バッテリの充電状態を推定するこの方法は、バッテリのセル間の起こり得る不平衡を考慮したものである。
【0018】
この方法によって、バッテリの充電状態の推定される値は、最も多く充電されているセルが実際に100%に等しい最大の充電状態を有するときに、最大の、すなわち実際に100%に等しい充電を指示し、最も少なく充電されているセルが実際に0%に等しい最小の充電状態を有するときに、実際に0%に等しい最小の充電を指示する。
【0019】
その上本発明による方法によって、これらの2つの極値間のバッテリの充電状態の連続的かつ代表的な変動を得ることが可能になる。
【0020】
本発明による方法の他の非限定的かつ有利な特徴は、以下の通りである。
− ステップa)において、バッテリの各々のセルに対して以下のステップ、すなわち、
− a1)そのセルの機能性(functioning)を表す少なくとも1つの入力変数の値が決定されるステップと、
− a2)そのセルの機能性を表す少なくとも1つの出力変数の値が決定されるステップと、
− a3)セルの充電状態が、前記入力変数のステップa1)において決定される値に基づき、前記出力変数のステップa2)において決定される値から導出される補正パラメータにより補正される状態観測器の助力によって推定されるステップと
が実行される。
− 前記入力変数が、少なくとも、セルを通過する電流を含む。
− 前記出力変数が、少なくとも、セルの端子の両端間の電圧を含む。
− 各々のセルが、電圧発生器、抵抗器、ならびに抵抗器およびコンデンサを並列に備える構成要素を直列に備える電気モデル回路によりモデリングされる。
− 電気モデル回路の抵抗器およびコンデンサの容量の値が、セルの温度(temp_cell)および/またはセルの充電状態および/またはセルの寿命によって決まる。
− 前記状態観測器が、カルマンフィルタを備える。
− 前記カルマンフィルタが、セルの機能性によって決まる少なくとも1つのパラメータを含む。
− カルマンフィルタの前記パラメータが、セルの開回路電圧とセルの充電状態を関係付ける関数によって決まる。
− セルの開回路電圧とセルの充電状態を関係付ける関数がアフィン関数であり、カルマンフィルタの前記パラメータがこの関数の成長率である。
− セルの開回路電圧とセルの充電状態を関係付ける関数が区分的アフィン関数であり、異なるカルマンフィルタが、セルの開回路電圧とセルの充電状態を関係付ける関数の異なるアフィン部分に関連する、セルの充電状態の値の各々の範囲に対して使用される。
− 所与の時間でのステップa)の履行の間に使用されるカルマンフィルタが、直前の時間でのセルの推定される充電状態の値の関数として決定される。
− 充電状態の値の第1の範囲に関連する第1のカルマンフィルタと、充電状態の値の第2の範囲に関連する第2のカルマンフィルタとの間の遷移が、ヒステリシスを有する自動化システムにより管理される。
− ステップa)において、各々のセルの充電状態が、アンペア時測定基準計量方法(amp−hour−metric metering method)により、すなわちアンペア時メータによって決定される。
− ステップa)において、
− バッテリに進入する電流が積分され、
− 各々のセルの充電状態が、バッテリに進入する電流の積分と当該のセルの容量との間の比の関数として決定される。ならびに、
− 当該のバッテリが、自動車の牽引バッテリである。
【0021】
非限定的な例として与えられる添付の図面を参照する以下の説明は、本発明が何からなるかの、および本発明がどのように実施され得るかの良好な理解を与えるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここでは、直列に接続され、以降ではセルと呼ばれる、複数の電気蓄電池を備える電気バッテリを考える。
【0024】
この電気バッテリは、例えば電気またはハイブリッドの自動車の牽引バッテリである。電気バッテリは、例えば96に等しい、任意の数のセルを備える。
【0025】
以降ではインデックスiが、インデックスiのセルに関連する数値の大小(magnitude)および演算器を指示することになり、ただしiは1から96の値をとる。
【0026】
バッテリの、またはセルの充電状態は、通常はそのバッテリの、またはそのセルの最大の充電状態の百分率として明示される。
【0027】
したがって以降では100%に等しい充電状態は、満充電されている、したがって最大の充電状態にあるバッテリまたはセルを指示することになる。
【0028】
0%の充電状態は、完全に放電されている、したがって最小の充電状態にあるバッテリまたはセルを指示することになる。
【0029】
実際には、バッテリの充電状態の推定は、異なる時間に、好ましくは初期時間t0から開始して期間Teの定期的な時間間隔で実行される。以降ではインデックスkが、所与の時間t_k=t0+k.Teに実行される測定および計算のすべてを指示することになる。時間インデックスが省略されるとき、変数の値は、進行中の測定の、または計算の時間kでのものであると考える。
【0030】
本発明による方法は、電子制御ユニットにより履行される。この電子制御ユニットは、下記で指示するように、バッテリの内側で電圧、電流、および温度の異なる値を測定するように適合されるバッテリのセンサから生じる情報を受信するように適合される。
【0031】
本発明によれば、電気バッテリの、SOCbatt_kと称する充電状態を推定する方法は、以下のステップ、すなわち、
a)バッテリの各々のセルの、SOCcell_est_iと参照符号が付される充電状態が決定される、
b)最も多く充電されているセルの、SOCcell_max_kと参照符号が付される充電状態と、SOCcell_min_kと参照符号が付される、最も少なく充電されているセルの充電状態との間の乖離、すなわち、バッテリのセルのうちの1つに対してステップa)において決定される充電状態SOCcell_est_iの最も大きな値と、バッテリのセルのうちの別のものに対してステップa)において決定される充電状態SOCcell_est_iの最も小さな値との間の乖離を引いた、セルの充電状態の最大の所定の値に等しいバッテリの使用範囲が決定される、
c)バッテリの充電状態SOCbatt_kが、ステップa)において決定される最も少なく充電されているセルの充電状態と、ステップb)において決定されるバッテリの前記使用範囲との間の比に等しいように決定される、
を含む。
【0032】
これらの3つのステップは、
図1に示されている。
【0033】
図1の左方のセクションは、ステップa)において考えている時間t_kでのバッテリの各々のセルの充電状態SOCcell_est_iの値の決定を表す。
【0034】
ここでは各々のセルの充電状態SOCcell_est_iの値は、時間t_kに、この場合ではインデックスiの前記セルに関連するカルマンフィルタFK_iである観測器により推定される。
【0035】
各々のセルの充電状態SOCcell_est_iの値がそうであるならば、電子制御ユニットは、各々の時間t_kに、最も多く充電されているセルの充電状態SOCcell_max_kを、および、その時間に、最も少なく充電されているセルの充電状態SOCcell_min_kを、以下の式、
i=1から96に対して、SOCcell_min_k=min(SOCcell_est_i)、および、i=1から96に対して、SOCcell_max_k=max(SOCcell_est_i)
によって決定する。
【0036】
このステップは、
図1内のブロック10および11により表される。
【0037】
ステップb)において電子制御ユニットは、最も多く充電されているセルの充電状態SOCcell_max_kと、最も少なく充電されているセルの充電状態SOCcell_min_kとの間の乖離を引いた、セルの充電状態の所定の最大の値に等しい、時間t_kでのバッテリの使用範囲を決定する。
【0038】
例えば、いずれのセルの充電状態の所定の最大の値も一定であり100%に等しい。
【0039】
図1内のブロック12が、この使用範囲の計算を実行する。
【0040】
最後にステップc)において電子制御ユニットは、
− 時間t_kでの最も少なく充電されているセルの充電状態SOCcell_min_kと、
− 決定される使用範囲と
の間の比を計算することにより、時間t_kでのバッテリの充電状態SOCbatt_kを決定する。
【0041】
この演算は、
図1のブロック13により実行される。
【0042】
換言すれば、バッテリの充電状態SOCbattは以下の式、
SOCbatt_k=SOCcell_min_k/(1−(SOCcell_max_k−SOCcell_min_k))
によって決定される。
【0043】
当該の時間t_kでのバッテリの各々のセルの充電状態SOCcell_est_iを決定するステップa)は、異なる形で実行され得る。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップa)において、バッテリの各々のセルに対して以下のステップ、すなわち、
a1)そのセルの機能性を表す少なくとも1つの入力変数i_cellの値I_cell_mes_iが決定される、
a2)そのセルの機能性を表す少なくとも1つの出力変数u_cellの値V_cell_mes_iが測定される、
a3)セルの充電状態SOCcell_est_iが、ステップa1)において決定される前記入力変数i_cellの値に基づき、ステップa2)において測定される前記出力変数u_cellの値から導出される補正パラメータにより補正される状態観測器の助力によって推定される、
が実行される。
【0045】
その上好ましくは、セルの温度temp_cell_est_iもまた決定され、この温度の関数としてのセルの充電がステップa3)において推定される。
【0046】
これらのステップは、インデックスiの各々のセルに対して各々の時間t_kに反復される。
【0047】
より正確には、前記入力変数は、少なくとも、セルを通過する電流i_cellを含む。
【0048】
バッテリがセルの充電を平衡調整するためのシステムを備えないとき、この変数はバッテリ自体を通過する電流I
batと同一であり、その理由は、セルは直列に一体に接続されるので、バッテリを通過する電流は各々のセルを通過する電流に等しいからというものである。
【0049】
セルの充電を平衡調整するためのシステムが、異なるセルの充電をいつでも均一にするために使用されるならば、この平衡調整システムはセルと並列に接続されるので、電流i_cellは、セルの平衡調整電流が付加される電流I
batに対応する。
【0050】
前記出力変数は、少なくとも、セルの端子の両端間の電圧u_cellを含む。
【0051】
これらの入力変数および出力変数は、各々の時間t_kにインデックスiの各々のセルに対して決定される。好ましくは、これらの入力変数および出力変数は測定される。
【0052】
選定される状態観測器において、少なくとも以下のものが利用可能である。
− その値が、各々の時間ステップで計算を更新するために各々の時間t_kで測定される入力変数i_cell、
− その推定SOCcell_estが求められているセルの充電状態である状態変数SOCcell、
− 出力変数u_cellであり、その値が、観測器を可能な限り現実に近付けるような形で観測器を補正するために、観測器により推定され、この出力変数の測定される値と比較される出力変数u_cell。
【0053】
したがってこの状態観測器において、その値を決定することが求められている状態変数は、測定される入力変数の助力によるだけでなく、出力変数から導出される補正パラメータの関数としてもまた、各々の時間ステップで計算される。
【0054】
より正確には、この実施形態を履行するために、各々のセルは、電気モデル回路100によりモデリングされる。そのような電気モデル回路100の例が、
図2に示されている。
【0055】
電気モデル回路100は、電圧OCVを発生させる電圧発生器101と、値R1の抵抗器102と、値R2の抵抗器104および容量C2のコンデンサ105を並列に備える構成要素103とを直列に備える。
【0056】
R1はセルの内部抵抗に対応し、R2およびC2は、セルの内側の周波数現象をモデリングするために使用される。
【0057】
構成要素103の端子の両端間の電圧は、以降ではUc2と参照符号が付される。
【0058】
閉回路モデル回路の端子の両端間の電圧は、対応するセルの端子の両端間の電圧u_cellである。このモデル回路の端子の両端間の開回路電圧は、セルの開回路電圧に対応する電圧OCVである。
【0059】
このモデル回路を通過する電流は、対応するセルを通過する電流i_cellである。
【0060】
電気モデル回路100の抵抗器102、104の値R1、R2、およびコンデンサ105の容量の値C2は、好ましくは、インデックスiのセルの温度temp_cellの値temp_cell_est_iに、および/または当該のモデル回路によりモデリングされるセルの充電状態SOCcellに、および/またはセルの寿命によって決まる。
【0061】
セルの寿命は、例えばセルの製造から経過した時間に、または、セルが電気車両内で使われる状態になってから経過した時間に対応する。セルの寿命は、セルの使用の開始からのセルの容量の低下を定量化することを可能にするパラメータである。つまりセルの老朽化の過程が、セルの容量の低減をもたらす。
【0062】
時間tでのセルの寿命を考慮するために、その時間でのセルの瞬時容量を決定し、その瞬時容量をセルの使用の開始でのセルの初期容量で割ったものに等しいパラメータを計算することが可能である。
【0063】
次いでこのパラメータは、電気モデル回路100の抵抗器102、104の値R1、R2、および/またはコンデンサ105の容量の値C2を決定するために使用される。
【0064】
実際にはこれらの値R1、R2、およびC2は、状態観測器のパラメータを構成し、時間t_kでのインデックスiのセルの温度temp_cellの値temp_cell_est_iの関数として、および、直前の計算ステップにおいて時間t_kに対して推定されるセルの充電状態の関数として、あらかじめ確定されたマップから制御ユニットにより決定される。温度の値temp_cell_est_iを、測定する、計算により決定する、または、セルの機能性に関する他の情報から推定することが可能である。
【0065】
したがってインデックスiのセルに関連する状態観測器FK_iは、
図4に示すように、インデックスiのセルの、入力変数i_cellの値I_cell_mes_i、出力変数u_cellの値V_cell_mes_i、および、温度temp_cellの値temp_cell_est_iを入力として受け入れる。
【0066】
状態観測器は、例えばカルマンフィルタを備える。
【0067】
このカルマンフィルタは、セルの機能性によって決まる、例えば、モデル回路100において電圧発生器101により発生させられる電圧に対応するセルの開回路電圧OCVとセルの充電状態SOCcellを関係付ける関数によって決まる少なくとも1つのパラメータを含む。
【0068】
セルの開回路電圧OCVは、セルの充電状態SOCcellの非線形関数であり、各々のセルの化学的性質に対して異なる。例が
図3において実線で与えられる。
【0069】
図3において点線で示す、この関数の区分的アフィン近似を行うことが可能である。
【0070】
次いで、セルの充電状態SOCcellの値の複数の範囲であり、その範囲に対してこの関数がアフィン関数である複数の範囲を規定することが可能である。
【0071】
したがって、考えている充電状態の各々の区間に対して、OCV(SOCcell)=a.SOCcell+bであり、ただしaおよびbは、考えているセルの、および充電状態の範囲の2つの特性パラメータである。
【0072】
以降では、モデル回路100によりモデリングされるセルのアンペア時(Ahと参照符号が付される)での総容量は、Q
maxと参照符号が付される。
【0073】
総容量は、各々のセルの固有の特性であり、セルの温度に、およびセルの寿命によって決まる。バッテリのセルは、同様ではあるが必ずしも同一ではない容量を有する。
【0074】
モデル回路100の、したがって対応するセルの機能性は、以下の方程式により説明される。
【数1】
したがって、例えば期間Teに等しいサンプリング時間を含むオイラー法により離散化されるモデルを用い、各々の計算ステップが、時間t_kに対応し、インデックスkにより表される場合、セルは以下の方程式系により説明される。
【数2】
ただし、
【数3】
である。
【0075】
この方程式系において、U
kは、カルマンフィルタの入力変数を表し、すなわちこの場合では、平衡調整システムが使用されるときにはセルの平衡調整電流が場合によっては付加されるバッテリの端子での電流に等しいセルの端子での電流を表し、X
kは、システムの状態、すなわちこの場合ではセルの充電状態、および構成要素103の端子の両端間の電圧U
C2を表し、y
kは、出力変数を表す。この出力変数によって、時間kでのインデックスiのセルの端子の両端間の電圧の推定される値u_cell_est_iが利用可能になる。
【0076】
行列A
S、B
S、およびD
Sは、それらの行列が、セルの温度temp_cellの値temp_cell_est_iの、およびそのセルの充電状態SOCcellの関数として変動する、パラメータR1、R2、およびC2によって決まるので、各々の計算ステップで、すなわち各々の時間t_kで更新される。
【0077】
前に解説したように、パラメータR1、R2、およびC2はマップにより与えられる。
【0078】
カルマンフィルタを使用することによるステップa)の実行の間、まず第1に、カルマンフィルタの状態変数および出力変数の値の推定が行われる。このことをなすために、時間t_(k+1)での予測される状態
【数4】
が、次式のカルマンフィルタの使用の特性方程式によって、時間t_kでの状態の関数として計算される。
【数5】
【0079】
次いでカルマンフィルタの最適なゲインK
k+1が以下の方程式から計算され、ここでP
k+1||kおよびP
k+1||k+1は、当業者にはよく知られている中間変数である。
【数6】
ただし、
− A
STおよびC
STは、行列A
SおよびC
Sの転置行列であり、
− Q
kalおよびR
kalは、状態の分散に、および出力の分散にそれぞれ対応する。これらの2つのパラメータは、カルマンフィルタの調整要素を構成する。
【0080】
より詳細にはP
k+1||kは、予測される状態においての誤差の共分散の予測される推定の行列であり、P
k+1||k+1は、この誤差の共分散の事後推定の行列である。
【0081】
最後に、予測される状態
【数7】
が、推定される出力においての誤差の関数として、すなわち、出力変数の測定される値y
k+1と、その出力の予測される値
【数8】
との間の差の関数として、以下の計算を実行することにより補正される。
【数9】
【0082】
このようにカルマンフィルタによって、インデックスiのセルの充電状態SOCcellの推定される値SOCcell_est_iが、および、インデックスiのセルの端子の両端間の電圧u_cellの推定される値u_cell_est_iが利用可能になる。
【0083】
セルの端子の両端間の電圧のこの推定される値u_cell_est_iは、
【数10】
に等しい(
図1および
図4を参照)。
【0084】
上記の方程式が示すように、セルの開回路電圧OCVと充電状態を関係付けるアフィン関数の「a」と参照符号が付される成長率は、セルの充電状態を決定するために使用されるカルマンフィルタのパラメータである。
【0085】
したがって異なるカルマンフィルタが、セルの開回路電圧OCVとセルの充電状態を関係付ける関数の異なるアフィン部分に関連する、セルの充電状態の値の各々の範囲に対して使用される。
【0086】
したがって所与の時間t_kでのステップa)の履行の間に使用されるカルマンフィルタは、直前の時間t_(k−1)に推定されるセルの充電状態の値の関数として決定される。
【0087】
図3に示す例では、セルの開回路電圧OCVをセルの充電状態の関数として表す曲線が、それぞれが0から10%、10から30%、30から90%、90から100%の間の充電状態値の範囲に対応する、4つの異なるアフィン区域により近似される。したがって異なるカルマンフィルタが、当該のセルの充電状態値のこれらの範囲の各々に対して使用される。
【0088】
その結果として、ここで説明する例では、セルの開回路電圧OCVをセルの充電状態の関数として表す、その曲線が
図3に示されている、
図2に示すセルの充電状態を決定するために、4つのカルマンフィルタが、セルの充電状態値の範囲によって使用される。
【0089】
これらの異なるカルマンフィルタは、交番で活動化される。これらの異なるフィルタの使用の例が、インデックスiのセルに対して
図4に示される。
【0090】
この図に示すように、インデックスiのこのセルに対応するカルマンフィルタFK_iは、4つのカルマンフィルタFK_i1、FK_i2、FK_i3、およびFK_i4を備える。これらのフィルタの各々は、これらのフィルタの各々の入力で、インデックスiのセルの端子の両端間の電圧の、このセルを通過する電流の、およびセルの温度の値を、ならびに、直前の時間に推定される状態変数および出力変数の値を受信するように適合される。
【0091】
この点において、
図4のブロック15は、時間kに推定されるベクトルX
kの値をブロック15の入力で受け入れ、ブロック15の出力で、直前の時間に推定されるベクトルX
k−1の値を与える。この図に示すように、時間t0での初期化のベクトルX
0はベクトル(SOC_ini,0)であり、ただしSOC_iniは計算の初期化値である。
【0092】
値の2つの範囲間の、したがって2つの異なるカルマンフィルタ間の遷移は、2つのカルマンフィルタ間の発振を防止するようにヒステリシスを備える自動化システムAにより管理される。
【0093】
この自動化システムAは、当該のインデックスiのセルに対して、進行中の計算の直前の時間に決定される値SOCcell_est_i(k−1)を自動化システムAの入力で受け入れる(
図4、ブロック16は、ベクトルの第1の座標の値のみが使用されることを示す)。自動化システムAは、直前の時間での充電状態の値SOCcell_est_i(k−1)が、上記で規定した充電状態の値の4つの範囲のうちの1つに含まれるか、それとも他のものに含まれるかによって、それぞれAc1、Ac2、Ac3、またはAc4と参照符号が付される、カルマンフィルタFK_i1、FK_i2、FK_i3、FK_i4のうちの1つを活動化するための信号を自動化システムAの出力で送信する。
【0094】
活動化信号が送信される対象のフィルタのみが活動化される。
【0095】
充電状態値の2つの隣接する範囲に対応する2つのカルマンフィルタ間の発振を回避するために、一方のフィルタから他方への遷移は、単純なしきい値の値を基礎として起動されない。
【0096】
この遷移は、ヒステリシスを用いて起動される。
【0097】
より正確には、充電状態値の2つの範囲に対応する2つのカルマンフィルタ間の遷移は、対応するセルの充電状態が、その時間でのその充電状態の変動の方向によって異なるしきい値の値に達するときに起動される。
【0098】
例えば、充電状態が増大している場合、充電状態値の第1の範囲に対応する第1のカルマンフィルタから、充電状態値の第2の範囲に対応する第2のカルマンフィルタへの移動は、セルの充電状態の推定される値が、第1のしきい値に達するときに行われる。
【0099】
他方で、充電状態が減少している場合、第2のカルマンフィルタから第1のカルマンフィルタへの復帰は、充電状態の推定される値が、第1のしきい値とは異なる第2のしきい値に達するときに行われる。
【0100】
第2のしきい値は、好ましくは第1のしきい値より低い。
【0101】
例えば、0から10%、および10から30%にそれぞれ対応する、第1および第2の範囲の間の10%のしきい値に近い充電状態値を考える場合、第1の範囲に対応するフィルタFK_i1と第2の範囲に対応するフィルタFK_i2との間の遷移は、推定される充電状態値が増大して10%に達するときに起動される。他方で第1のフィルタFK_i1への復帰は、推定される充電状態値が低減し、10%より下になるときではなく、むしろ、推定される充電状態値が低減し、例えば9%、すなわち10%より低いしきい値の値に達するときに起動される。
【0102】
そのような遷移の間、カルマンフィルタは、平滑な遷移を、したがって推定される充電状態値の連続的な変動を保証するために、前に計算された充電状態値SOCcell_est_i(k−1)によって初期化される。
【0103】
推定の精度を向上させるために、各々のカルマンフィルタFK_i、および、いくつかのフィルタが同じセルに対して使用されている場合はFK_i1、FK_i2、FK_i3、FK_i4の、パラメータQkalおよびRkalは、充電状態値の各々の範囲に対して独立的に調整される。
【0104】
別の可能な実施形態によれば、ステップa)において、各々のセルの充電状態は、アンペア時測定基準計量方法により、すなわちアンペア時を計量することにより決定される。
【0105】
より正確には、この別の実施形態によれば、
− バッテリに進入する電流が積分され、
− 各々のセルの充電状態が、バッテリに進入する電流の積分と当該のセルの容量との間の比から決定される。
【0106】
特に有利な様式では、当該のバッテリは、電気またはハイブリッドの自動車の牽引バッテリである。
【0107】
次いで制御ユニットが、車両の制御ユニットに組み込まれ、その車両の様々なセンサにより送信される情報を受信する。
【0108】
各々のセルの充電状態SOCcellが得られた後、充電状態が、上記で説明したようにステップc)によって決定される。
【0109】
本発明による方法によって、最も多く充電されているセルの充電状態が100%であるときに、100%に等しいバッテリ充電状態値を得ること、最も少なく充電されているセルの充電状態が0%であるときに、0%に等しい充電状態値を得ること、および、これらの2つの極値間のバッテリの充電状態の連続的かつ代表的な変動を得ることが可能になる。
【0110】
このことを、バッテリを放電するサイクルに対する、本方法によって推定されるバッテリの充電状態(実線)、および、いくつかのセルの充電状態(点線)の時間の関数としての変動を示す
図5において認めることが可能である。
【0111】
バッテリの充電状態の変動は、セルの充電状態の変動に正確にしたがい、前に述べた初期および最終の条件が満たされる。
【0112】
ここで説明した方法を、その目的が車両の自律性を増大するために最大の使用範囲を超えてのバッテリの使用を許すことである平衡調整システムを備えるバッテリに対して使用することが可能である。そのようなシステムは、当業者にはよく知られている。
【0113】
平衡調整システムが存在する場合の、
図5においてのバッテリの初期状況と同一の初期状況、すなわち、バッテリのセルの同一の初期の不平衡に対して、時間の関数としてのバッテリの充電状態の推定が、
図6において実線で示されている。セルの対応する充電状態の時間の関数としての変動が、点線で示されている。平衡調整システムが存在することによって、本方法によるバッテリの充電状態の推定は、この推定が使用の時間の大きな部分にわたって各々のセルの充電状態の値に非常に近いので、はるかに正確になる。
【0114】
変形例として、第1の実施形態によるステップa)の間に、使用されるカルマンフィルタの次数を増大すること、例えば3次フィルタを使用することが可能である。マップから生じる値を使用する代わりに、各々の計算ステップでパラメータR1、R2、およびC2を推定する適応観測器の使用を考えることもまた可能である。
【0115】
本方法が、平衡調整システムが存在する場合に使用されるならば、バッテリの充電状態の推定される値を補正するために、平衡調整システムの効率性を考慮することが可能である。この場合ではバッテリの推定される充電状態は、平衡調整の開始からより高くなる。
【0116】
本方法は、電気またはハイブリッドの自動車の牽引バッテリの充電状態を推定することに対して特に有利な適用性を有する。
【0117】
つまり、バッテリの充電状態の情報が、ダッシュボード上でバッテリゲージの媒介により運転者に対して表示される。
【0118】
運転者は、絶対的に安全に車両の運転に関係する判断を行うために、この情報に自身の基礎を置くことが可能でなければならない。運転者がエネルギーの低下またはモータ動力の不足に遭遇することを防止するために、充電状態が低いときに精度の高い情報を運転者に提供することは著しく重要である。
【0119】
本方法が、平衡調整システムが存在する場合に使用される場合では、平衡調整によって充電状態はより高いので、運転者に対して表示される車両のマイル表示距離の自律性は、平衡調整が遂行される際に増大することになる。