(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、成分(b)光重合開始剤、成分(c)無機充填剤、及び成分(d)有機酸ヒドラジド化合物を含有する請求項1又は2に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
前記成分(e)熱ラジカル重合開始剤が、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである請求項4に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤からなる堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後紫外線及び/又は熱により前記液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化する液晶表示セルの製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年の液晶表示セルの大型化に伴い、液晶表示セルの製造方法として、より量産性の高い、いわゆる液晶滴下工法が提案されていた(特許文献1、2)。この液晶滴下工法は、具体的には、一方の基板に形成された液晶シール剤からなる堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後液晶シール剤を硬化する製造方法である。
【0003】
しかし、液晶滴下工法では、液晶シール剤が硬化する前に液晶と液晶シール剤とが接触するため、液晶による圧力によって液晶シール剤に差込現象が発生し、最悪の場合には、液晶シール剤からなる堰が決壊してしまうこともあり、問題とされている。この解決のためには、液晶の滴下量の精度を高めることが必要であるが、それでも液晶シール剤の硬化工程である加熱時に液晶が膨脹するため、上記差込現象を完全に抑えるのは困難である。
【0004】
上記差込現象を抑えるため、液晶シール剤の反応速度を上げ、低温時からの速硬化を実現することや、ゲル化剤等を用いて、加熱時に液晶シール剤の粘度を増加させる技術が提案されている(特許文献3、4)。これらは液晶シール剤が液晶の膨脹による圧力に対抗するという点において合理的な技術であるが、その圧力の逃げ場が無くなった結果、上下方向、すなわち、2枚の基板を剥離する方向に力が加わり、基板剥離を生じるという不具合が新たに発生するに至っている。
さらに、上記の反応速度を上げたり、ゲル化剤を添加したりした液晶シール剤は、経時変化が大きく、使用容易性に問題が生じることが多い。
【0005】
また、現在では、液晶表示素子は非常に様々なものに使用されている。したがって、大きな気温の変化や、高湿度に対しても不具合を生じないことが必要である。この特性は液晶シール剤に対しても等しく適用される特性であり、気温の変化によって基板間の剥離を生ずることなく、また、高湿度下で耐性を有したり、水の浸入を防いだりする特性が要求されている。この課題を解決する方法としては、特定の性質を有する部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を用いること等が提案されている(特許文献5)。しかし、未だ十分なものとはいえない。
【0006】
また、近年の狭額縁設計の液晶パネルでは液晶シール剤の線幅が細くなるため、接着強度の問題が以前よりも深刻なものとなっている。すなわち、液晶シール剤の線幅が細くなることにより、従来の接着強度では常温及び耐湿信頼性試験後に上下基板が剥離する問題が引き起こされる。
【0007】
さらに、最近では、液晶シール剤が配向膜等の上に配置される液晶表示セルの設計が多くなっている。しかし、従来の液晶シール剤では、このような有機膜に対する接着性が十分であるとは言えず、解決課題とされている。
【0008】
以上のように、液晶滴下工法用の液晶シール剤には種々の課題があり、精力的に研究がなされているにもかかわらず、それらを解決するものは未だ開発されていない。
【0009】
また、液晶滴下工法用の液晶シール剤は、低液晶汚染性、高接着強度等の一般特性においても優れたものである必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、液晶滴下工法に使用される液晶シール剤であって、特に配向膜等の有機膜との接着性に優れるため、様々な環境下でも上下基板の剥離を起こし難く、さらに低液晶汚染性、耐熱性等の液晶シール剤としての基本特性にも優れる液晶シール剤、及びそれを用いた液晶表示セルを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、3000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、120℃雰囲気下で1時間硬化させた後の25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度をA[MPa]、上記硬化後の120℃における接着強度をB[MPa]、3000mJ/cm
2の紫外線のみによる硬化後の25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度をC[MPa]としたとき、上記A、B、及びCが一定の関係を有する液晶シール剤が、有機膜への接着強度が非常に優れることを発見し、本発明に至った。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
【0013】
すなわち本発明は、次の1)〜13)に関するものである。
1)
3000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、120℃雰囲気下で1時間硬化させた後の25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する
せん断方向の接着強度をA[MPa]、上記硬化後の120℃における
せん断方向の接着強度をB[MPa]、3000mJ/cm
2の紫外線のみによる硬化後の25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する
せん断方向の接着強度をC[MPa]としたとき、上記A、B、及びCが下記式(1)及び(2)で表される関係式を満たす液晶滴下工法用液晶シール剤。
B≧0.5×A (1)
C≧0.3×A (2)
2)
3000mJ/cm
2の紫外線のみによる硬化後の120℃
雰囲気下におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する
せん断方向の接着強度をD[MPa]としたとき、上記A及びDが下記式(3)で表される関係式を満たす上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
D≧0.3×A (3)
3)
成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、成分(b)光重合開始剤、成分(c)無機充填剤、及び成分(d)有機酸ヒドラジド化合物を含有する上記1)又は2)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
4)
さらに成分(e)熱ラジカル重合開始剤を含有する上記3)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
5)
上記成分(e)熱ラジカル重合開始剤が、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである上記4)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
6)
さらに成分(f)エポキシ樹脂を含有する上記3)乃至5)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
7)
さらに成分(g)シランカップリング剤を含有する上記3)乃至6)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
8)
上記成分(g)がアミノシランカップリング剤である上記7)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
9)
上記成分(g)がアミノシランカップリング剤とエポキシシランカップリング剤との混合物である上記7)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
10)
さらに成分(h)フェノール性水酸基を有する化合物を含有する上記3)乃至9)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
11)
上記成分(h)がフェノールノボラック樹脂である上記10)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
12)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤からなる堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後紫外線及び/又は熱により上記液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化する液晶表示セルの製造方法。
13)
上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物で接着された液晶表示セル。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、特に配向膜等の有機膜との接着性に非常に優れ、様々な環境下でも剥離を起こし難い。したがって、様々な環境において使用可能な液晶表示セルの実現を可能にする。また、低液晶汚染性、耐熱性、耐ヒートサイクル性、耐湿性等の一般特性にも優れるため、長期信頼性に優れた液晶表示セルの実現を可能にするものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の液晶滴下工法用液晶シール剤(以下、単に「液晶シール剤」という。)は、3000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、120℃雰囲気下で1時間硬化させた後の25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度をA[MPa]、上記硬化後の120℃における接着強度をB[MPa]、3000mJ/cm
2の紫外線のみによる硬化後の25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度をC[MPa]としたとき、上記A、B、及びCが、下記式(1)、(2)で表される関係式を満たすことを特徴とする。
B≧0.5×A (1)
C≧0.3×A (2)
【0016】
上記式(1)は、3000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、120℃雰囲気下で1時間硬化させた後の120℃雰囲気下での接着強度が、25℃雰囲気下での接着強度の5割以上であることを意味する。この特性を有する液晶シール剤は、液晶表示セルの製造における加熱工程において、上下基板の剥離を生ずることなく安定した製造を可能とする。また、ヒートサイクル試験のように、高温及び低温の状態に交互にさらされるような場合にも、基板剥離を生じることなく、安定している。
また、上記式(2)は、3000mJ/cm
2の紫外線を照射のみで硬化させた後の25℃雰囲気下での接着強度が、3000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、120℃雰囲気下で1時間硬化させた後の25℃雰囲気下での接着強度の3割以上であることを意味する。この特性を有する液晶シール剤は、液晶表示セルの製造における紫外線照射工程における硬化収縮が小さく、すなわち有機膜上においても当該有機膜にかかる応力が小さくなり、優れた接着性を実現することができる。
【0017】
また、3000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、120℃雰囲気下で1時間硬化させた後の25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度A[MPa]と、3000mJ/cm
2の紫外線のみによる硬化後の120℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度D[MPa]とが、下記式(3)で表される関係式を満たす場合には、特に顕著に本発明の効果を奏する。
D≧0.3×A (3)
【0018】
25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度とは、25℃の雰囲気下での接着強度を意味する。接着強度の測定方法は、せん断方向の接着強度を用いる。例えば、5cm角のITO(酸化インジウムスズ)基板上に少量の液晶シール剤を塗布し、1.5mm角のガラスチップ(EAGLE XG:CORNING社製を1.5mm角にカットしたもの)をピンセットを用いて貼り合わせる。この試験片に紫外線3000mJ/cm
2を照射した後、120℃に設定した熱風オーブン中に1時間置き、加熱硬化を行う。この試験片(貼り合わせられたガラスチップ)について、ボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社)を用いて接着強度を測定することができる。こうして得られた接着強度の値を本願ではA[MPa]と定義する。また、使用されるITO(酸化インジウムスズ)基板は、470×370×0.7SP30ITO(ジオマテック株式会社製)を5cm角に切断して用いる。
【0019】
120℃における接着強度とは、硬化後の試験片を120℃に加熱した状態で測定する接着強度であり、測定方法自体は上記と同様である。120℃に加熱する方法としては、接着強度の測定装置の測定ステージを120℃に加熱する方法が簡便である。こうして得られた接着強度の値を本願ではB[MPa]と定義する。
【0020】
3000mJ/cm
2の紫外線のみによる硬化後の25℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度とは、試験片の作成過程における加熱硬化を行わずに作成された試験片について測定する接着強度であり、25℃の雰囲気下で測定される値である。また、測定自体は上記と同様に行われる。こうして得られた接着強度の値を本願ではC[MPa]と定義する。
【0021】
3000mJ/cm
2の紫外線のみによる硬化後の120℃におけるITO(酸化インジウムスズ)基板に対する接着強度とは、試験片の作成過程における加熱硬化を行わずに作成された試験片について測定する接着強度であり、120℃の雰囲気下で測定される値である。また、測定自体は上記と同様に行われる。こうして得られた接着強度の値を本願ではD[MPa]と定義する。
【0022】
本発明は、液晶滴下工法用の液晶シール剤である。液晶滴下工法では、液晶表示セルの製造工程において、紫外線照射の工程を有するのが一般的であり、この工程で硬化した液晶シール剤と配向膜等の有機膜との間には大きな応力が蓄積される。したがって、このような液晶滴下工法に際して本発明の液晶シール剤を用いることが非常に有効である。
【0023】
本発明の液晶シール剤は、上記特性を有する液晶滴下工法用の液晶シール剤であれば特に限定されないが、成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、成分(b)光重合開始剤、成分(c)無機充填剤、及び成分(d)有機酸ヒドラジド化合物を含有する場合が特に好ましい態様である。これらの成分を含有する液晶シール剤は、液晶に対する汚染性が低く、液晶滴下工法に優れた特性を有する。
【0024】
成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との周知の反応により得ることができる。例えば、エポキシ樹脂に所定の当量比の(メタ)アクリル酸と触媒(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン等)と、重合防止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン等)とを添加して、例えば80〜110℃でエステル化反応を行うことにより得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばレゾルシノール(レゾルシン)のジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、より好ましいものはビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール(レゾルシン)のジグリシジルエーテルである。
【0025】
上記成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の含有量は、得られる液晶シール剤の作業性、物性を考慮して適宜決定され、通常、液晶シール剤中に25〜80質量%程度であり、好ましくは25〜75質量%である。
【0026】
成分(b)光重合開始剤は、紫外線や可視光の照射によって、ラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、カンファーキノン、9−フルオレノン、ジフェニルジスルフィド等を挙げることができる。具体的には、IRGACURE
RTM 651、184、2959、127、907、396、379EG、819、784、754、500、OXE01、OXE02、DAROCURE
RTM1173、LUCIRIN
RTM TPO(以上、BASF社製)、セイクオール
RTMZ、BZ、BEE、BIP、BBI(以上、精工化学株式会社製)等を挙げることができる。なお、本明細書において上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用することが好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
【0027】
本発明の液晶シール剤で使用し得る上記成分(b)光重合開始剤の含有量は、液晶シール剤の全体を100質量%とした場合、通常0.01〜15質量%、好ましくは0.02〜10質量%である。
【0028】
成分(c)無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、さらに好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルクである。これら無機充填剤は2種以上を混合して用いてもよい。特に下記液晶表示セル用接着剤として用いる場合には、その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる際のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、3μm以下が適当であり、好ましくは2μm以下である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定することができる。
【0029】
上記成分(c)無機充填剤の含有量は、本発明の液晶シール剤の全体を100質量%とした場合、通常1〜60質量%、好ましくは5〜50質量%である。上記成分(c)無機充填剤の含有量が少な過ぎる場合、接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる場合がある。一方、上記成分(c)無機充填剤の含有量が多過ぎる場合、液晶表示セル用接着剤として使用した場合には、セルのギャップ形成ができなくなってしまう場合がある。
【0030】
成分(d)有機酸ヒドラジド化合物とは、有機酸にヒドラジンを反応させて得られるように、−NHNH
2という官能基を有する芳香族又は脂肪族の化合物である。芳香族ヒドラジドとしては、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等を挙げることができる。また、脂肪族ヒドラジド化合物としては、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、イソシアヌル酸骨格を有する化合物等を挙げることができる。イソシアヌル酸骨格を有する化合物としては、例えば、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。硬化反応性と潜在性のバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはマロン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートである。上記成分(d)有機酸ヒドラジド化合物を使用する場合の含有量としては、成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の総量を100質量部とした場合に、1〜20質量部含有する場合が好ましく、さらに好ましくは2〜10質量部であり、2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
本発明の液晶シール剤は、必要に応じて成分(e)熱ラジカル重合開始剤を含有してもよい。
成分(e)熱ラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメック
RTMA、M、R、L、LH、SP−30C、パードックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パードックス14、トリゴノックス
RTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステル
RTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチル
RTMB、パードックス16、カヤカルボン
RTMBIC−75、AIC−75(以上、化薬アクゾ株式会社製)、パーメック
RTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサ
RTMH、HC、パTMH、C、V、22、MC、パーキュアー
RTMAH、AL、HB、パーブチル
RTMH、C、ND、L、パークミル
RTMH、D、パーロイル
RTMIB、IPP、パーオクタ
RTMND、(以上、日油株式会社製)等が市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001等(以上、和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。
上記成分(e)熱ラジカル重合開始剤として好ましいのは、ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)である。具体的には、ベンゾピナコール、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられる。好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化した化合物は、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化した化合物は、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)や、トリエチルシリル化剤であるトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤であるt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することができる。シリル化剤の反応量としては対象化合物の水酸基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
【0032】
成分(e)熱ラジカル重合開始剤は粒径を細かくし、均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる際のギャップ形成が上手くできない等の不良要因となるため、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。また、際限なく細かくしても差し支えないが、通常下限は0.1μm程度である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定することができる。
【0033】
成分(e)熱ラジカル重合開始剤の含有量は、本発明の液晶シール剤全体を100質量%とした場合に、0.001〜0.5質量%程度であることが好ましい
【0034】
本発明の液晶シール剤は、必要に応じて成分(f)エポキシ樹脂を含有してもよい。
成分(f)エポキシ樹脂は、特に限定されるものではないが、液晶に対する汚染性、溶解性が低いものが好ましい。好適なエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシノール(レゾルシン)のジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。
【0035】
成分(f)エポキシ樹脂の含有量は、液晶シール剤の作業性、物性を考慮して適宜決定され、通常、液晶シール剤中に25〜80質量%程度であり、好ましくは25〜75質量%である。また、成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂と成分(f)エポキシ樹脂との総和のうち成分(f)エポキシ樹脂が1〜30質量%を占めるのが本発明の好ましい態様の1つであり、更に好ましくは5質量%〜15質量%である。
【0036】
本発明の液晶シール剤は、成分(g)シランカップリング剤を用いて、さらなる接着強度の向上を図ることができる。成分(g)シランカップリング剤としては、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤等が挙げられる。このうち、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤が好ましく、アミノシランカップリング剤とエポキシシランカップリング剤とを併用した場合に、より顕著に本発明の効果を奏する。シランカップリング剤の具体例としては、エポキシシランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、アミノシランカップリング剤として、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等、メルカプトシランカップリング剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、ビニルシランカップリング剤としてビニルトリメトキシシラン等、アクリルシランカップリング剤として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等、メタクリルシランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等、ウレイドシランカップリング剤として、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されているため、市場から容易に入手可能である。これらのうち、好ましいシランカップリング剤は、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603 信越化学工業株式会社製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(S−510 チッソ株式会社製)であり、両者を併用する場合がもっとも好ましい。成分(g)シランカップリング剤の含有量は、本発明の液晶シール剤の全体を100質量%とした場合、0.05〜3質量%が好適である。
【0037】
本発明の液晶シール剤は、成分(h)フェノール性水酸基を有する化合物を用いて、さらなる接着強度の向上を図ることができる。フェノール性水酸基を有する化合物としては、ビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4−ビフェニルフェノール、2,2,6,6−テトラメチル−4,4−ビフェニルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、アリルフェノール類、ブロム化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂;キシリレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂等のフェノールノボラック樹脂;フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類等が挙げられる。これらのうち好ましくは、フェノールノボラック樹脂である。
【0038】
本発明の液晶シール剤には、さらに必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステルのモノマー及び/又はオリゴマーを使用してもよい。そのようなモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸との反応物、ジペンタエリスリトール・カプロラクトンと(メタ)アクリル酸との反応物等が挙げられるが、液晶に対する汚染性が低いものならば特に制限されるものではない。
【0039】
本発明の液晶シール剤には、さらに必要に応じて、有機酸やイミダゾール等の硬化促進剤、有機フィラー、あるいは顔料、レベリング剤、消泡剤、溶剤等の添加剤を配合することができる。
【0040】
本発明の液晶シール剤を得る方法の一例としては、次に示す方法がある。まず、成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂に成分(b)光重合開始剤、必要に応じて成分(f)エポキシ樹脂、成分(h)フェノール性水酸基を有する化合物を加熱溶解する。室温まで冷却後、成分(c)無機充填剤、成分(d)有機酸ヒドラジド化合物、必要に応じて成分(e)熱ラジカル重合開始剤、成分(g)シランカップリング剤を添加し、さらに有機フィラー、消泡剤、及びレベリング剤、溶剤等を添加し、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合し、金属メッシュにて濾過することにより本発明の液晶シール剤を製造することができる。
【0041】
本発明の液晶表示セルは、基板に所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる少なくとも一方に光透過性がある組み合わせの基板から構成される。その製法としては、本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサ(間隙制御材)を添加後、該一対の基板の一方にディスペンサー、スクリーン印刷装置等を用いて該液晶シール剤を塗布した後、必要に応じて、80〜120℃で仮硬化を行う。その後、該液晶シール剤からなる堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせ、ギャップ出しを行う。ギャップ形成後、90〜130℃で1〜2時間硬化することにより、本発明の液晶表示セルを得ることができる。また、光熱併用型として使用する場合は、紫外線照射機により液晶シール剤部に紫外線を照射させて光硬化させる。紫外線照射量は、好ましくは500〜6000mJ/cm
2、より好ましくは1000〜4000mJ/cm
2である。その後必要に応じて、90〜130℃で1〜2時間硬化することにより、本発明の液晶表示セルを得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。スペーサとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等が挙げられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは4〜7μmである。その使用量は、本発明の液晶シール剤に対し、通常0.1〜4質量%、好ましくは0.5〜2質量%、さらに好ましくは0.9〜1.5質量%程度である。
【0042】
本発明の液晶シール剤は、紫外線による硬化後の接着強度が高く、また常温下の接着強度と加熱雰囲気下での接着強度との差が小さいため、配向膜等の有機膜への接着性に優れ、安定した液晶表示セルの製造及び、長期信頼性に優れた液晶表示セルの実現が可能である。また、本発明の液晶シール剤の硬化物はヒートサイクル試験に対しても安定であり、さらに耐熱性、耐湿性にも優れるため、信頼性に優れる液晶表示セルを実現することができる。なお、耐熱性はガラス転移温度を測定することにより確認でき、耐湿性は、高湿度環境下に置いた後の接着強度を測定することで確認できる。さらに、本発明の液晶シール剤は構成成分の液晶への溶出も極少なく、液晶表示セルの表示不良を低減することが可能である。また、保存安定性にも優れるため、液晶表示セルの製造に適している。また、本発明の液晶シール剤を用いて作成した液晶表示セルは、電圧保持率が高く、イオン密度が低いという液晶表示セルとして必要な特性も充足される。
【実施例】
【0043】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準である。
【0044】
[合成例1]
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシアクリレートの合成]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂282.5g(製品名:YD−8125、新日鉄化学株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.2gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え、さらに80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.2gを添加して、98℃で約30時間撹拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールA型のエポキシアクリレート540gを得た。
【0045】
[合成例2]
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシメタアクリレートの合成]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂282.5g(製品名:YD−8125、新日鉄化学株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.2gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のメタクリル酸141.1gを加え、さらに80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.2gを添加して、98℃で約30時間撹拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールA型のエポキシアクリレート540gを得た。
【0046】
[合成例3]
[レゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレートの合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(ナガセケムテックス株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え、さらに80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間撹拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート293gを得た。
【0047】
[実施例1〜3、比較例1〜2]
下記表1に示す割合で成分(a)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂に成分(b)光重合開始剤、成分(f)エポキシ樹脂、成分(h)フェノール性水酸基を有する化合物を加熱溶解し、室温まで冷却後、成分(c)無機充填剤、成分(d)有機酸ヒドラジド化合物、成分(e)熱ラジカル重合開始剤、成分(h)フェノール性水酸基を有する化合物を添加し、3本ロールにより均一に混合した。次いで金属メッシュにて濾過することにより実施例1〜3の液晶シール剤を調製した。また、同様の工程により、表1に示す材料を混合して、比較例1〜2の液晶シール剤を調製した。
【0048】
[ITO(酸化インジウムスズ)基板への接着強度測定]
得られた液晶シール剤100gにスペーサとして5μmのグラスファイバー(PF−50S:日本電気硝子株式会社製)1gを添加して混合撹拌を行った。この液晶シール剤を50mm×50mmのITO(酸化インジウムスズ)基板(470×370×0.7SP30ITO:ジオマテック株式会社製)に塗布し、その液晶シール剤上に1.5mm×1.5mmのガラス片(EAGLE XG:CORNING社製を1.5mm角にカットしたもの)を貼り合わせ、上記A[MPa]、B[MPa]、C[MPa]、D[MPa]を求める条件で、せん断接着強度を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
[有機膜への接着強度]
ガラス基板に配向膜液(PIA−5540−05A;チッソ株式会社製)をスピンコーターで塗布し、60℃ホットプレートにて90秒の仮焼きを行い、220℃オーブンで1時間焼成した。この配向膜付ガラス基板を25mm×25mm、25mm×30mmの2種類にカットし、UVオゾン洗浄装置(UVD−25U03:日本UVマシーン有限会社製)で80秒間洗浄を行った。UVオゾン処理後25mm×25mm配向膜付ガラス基板にディスペンサー又はスクリーン印刷機で液晶シール剤を塗布し、25mm×30mm配向膜付ガラス基板を貼り合わせ、UV照射機により3000mJ/cm
2の紫外線を照射後、オーブンに投入して120℃で1時間熱硬化させた。得られた試験片をボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社)にてシール端から直線で2mmの位置をピンで押し込む接着強度を測定した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1の結果より、実施例1〜3の液晶シール剤は、配向膜、すなわち有機膜に対する接着強度が非常に強いことが確認された。したがって、本発明の液晶シール剤は、配向膜上に塗布される液晶表示セルの設計であっても、信頼性に優れた液晶表示セルの実現を可能にするものである。