(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の光学フィルタ素子のうち、互いに光透過率が近い2つの光学フィルタ素子の、撮像素子側の面における反射光色の色差が5以下であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光量調整装置。
前記複数の光学フィルタ素子が、単一の基板に保持され、1つの光学フィルタとして構成されていることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の光量調整装置。
前記基板は、第1乃至第n(nは2以上の整数)の領域を有し、第i(1≦i≦n)の領域における、前記基板の表面と裏面との少なくともいずれかには、第1乃至第iの光学濃度を有する、第1乃至第iの膜が積層されていることを特徴とする、請求項8に記載の光量調整装置。
前記複数の光学フィルタ素子は、少なくとも1つのNDフィルタと少なくとも1つのARフィルタとを含むことを特徴とする、請求項1乃至11の何れか1項に記載の光量調整装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像光学系20を示す。撮像光学系20は、レンズ1,4〜6、光量調整装置9、及び撮像素子7を備える。入射光は、レンズ1,4〜6、及び光量調整装置9を通って撮像素子7へと入射する。そして撮像素子7において、入射光は画像を表す電気信号へと変換される。
【0015】
光量調整装置9は、光透過率がそれぞれ異なる複数の光学フィルタ素子を備える。光路に挿入される光学フィルタ素子を切り替えることにより、撮像素子7へと入射する光量を調整することができる。
【0016】
光学フィルタ素子とは、光の透過を調整する部材である。複数の光学フィルタ素子は、単一の基板に保持され、1つの光学フィルタとして構成されていてもよい。また、複数の光学フィルタ素子が、それぞれ別体として構成されていてもよい。本実施形態において光量調整装置は、1つ以上の光学フィルタ素子が配置された光学フィルタを備える。例えば光量調整装置9は、複数の光学フィルタを有していてもよく、複数の光学フィルタ素子のそれぞれが別々の光学フィルタに配置されていてもよい。また、光量調整装置は1つの光学フィルタを有していてもよく、複数の光学フィルタ素子が1つの光学フィルタに配置されていてもよい。本実施形態においては、複数の光学フィルタ素子10a〜10dのそれぞれが、別々の光学フィルタ10〜13に配置されている。
【0017】
本実施形態において光量調整装置9は4つの光学フィルタ素子10a〜13aを有するが、光量調整装置9が有する光学フィルタ素子の数はこれに限られず、2つ以上の光学フィルタ素子を有していればよい。光学フィルタ素子10a〜13aは互いに異なる光学濃度を持つ。すなわち、光学フィルタ素子10a〜13aの光透過率はそれぞれ異なる。このような光学フィルタ素子は、例えばNDフィルタのような減光フィルタでありうる。例えば、光量調整装置9は光透過率がそれぞれ異なる3つ以上のNDフィルタ素子を有していてもよい。また、複数の光学フィルタ素子、すなわち光学フィルタ素子10a〜13aにおける反射光色は、実質的に同等である。本願発明における反射光色が実質的に同等とは、例えば、複数の光学フィルタ間の反射光色が後述する表2に記載のように、各種の識別条件で同系統の色と識別され、均等とされる領域の範囲内であって、マーキングペンの色差の範囲内で同等であることが好ましく、さらに、経時比較した場合にほぼ同一であると認められる範囲内で同等とすることがより好ましく、さらに、各種の誤差要素を考え許容誤差範囲内と識別される範囲内で同等であることがより好ましく、さらに、色の違いを測定において識別できない識別不能範囲内で同等であることがより好ましい。
【0018】
光量調整装置9はさらに、それぞれの光学フィルタ素子を光路に出し入れすること、すなわち光路に配置すること及び光路から取り除くことができる、駆動部15(移動手段)を備える。
図1においては、4つの光学フィルタのうちの1つである光学フィルタ3が光路に挿入されている。光量調整装置9は、駆動部15を用いて光路に配置する光学フィルタを変更すること、すなわち光路に配置する光学フィルタ素子を変更することにより、撮像素子7に入射する光量を制御する。光路に配置される光学フィルタの決定は、撮像素子7に入射する光量、及び絞り羽根2a、2bの口径などを考慮して行うことができる。
【0019】
例えば、撮像光学系20は、光量制御部8を有するか、又は光量制御部8と通信可能に接続されていてもよい。この光量制御部8は、撮像素子7から得た光量情報、及び絞り羽根2a、2bの位置情報などに基づいて、撮像素子7に入射する光量が最適となるように、光路に配置される光学フィルタを決定する。この決定に基づいて、光量調整装置9は光路中に配置される光学フィルタを変更することができる。
【0020】
光量調整装置9はさらに、絞り羽根2a,2bを有していてもよい。絞り羽根2a,2bは、撮像光学系20における光路の開口を形成する。絞り羽根2a,2bの配置は、撮像素子7に入射する光量、及び絞り羽根2a、2bの口径などを考慮して行うことができる。例えば光量制御部8は、絞り羽根2a、2bの位置情報を取得してもよい。そして光量制御部8は、撮像素子7から得た光量情報、及び絞り羽根2a、2bの位置情報などに基づいて、最適な開口が得られるように、絞り羽根2a、2bを駆動してもよい。
【0021】
以下に、光量調整装置9について、
図2を参照してさらに詳しく説明する。
図2に示す光量調整装置9においては、複数の光学フィルタ10〜13がそれぞれ独立して光路に進退可能である。
図2に示すように、駆動部15は光学フィルタ10〜13のそれぞれの位置を、光路上と光路外との間で切り替えることができる。上述のように、光学フィルタ10〜13は開口を覆うように光路に挿入される光学フィルタ素子(例えば光学フィルタ素子10a)を有する。
【0022】
光量調整装置9の別の実施形態を、
図6を参照して説明する。
図6に示す光量調整装置9において、複数の光学フィルタ素子10a〜13aはターレット状に配置されている。具体的には、複数の光学フィルタ素子10a〜13aは円盤上に円形に配置されている。駆動部15がこの円盤を回転させることにより、所望の光学フィルタ素子が光路に挿入される。光学フィルタ素子の切り替えに伴う撮影者の違和感を低減するために、この円盤上には、各光学フィルタ素子が透過率の大きさの順に並んでいることが好ましい。
【0023】
本実施形態においては、光量調整装置9が有する光学フィルタ素子10a〜13aは、それぞれ光透過率が異なる。また、光学フィルタ素子10a〜13aの反射光色は実質的に同等である。このような組み合わせの光学フィルタ素子10a〜13aを光量調整装置9が有することにより、光学フィルタ素子を切り替えても、ゴーストにより撮影者に与える違和感を低減することができる。
【0024】
より具体的には、光学フィルタ素子10a〜13aの反射光色が実質的に同等である場合、光学フィルタ素子を切り替えた際に、ゴーストの色が変化しにくいことが見出された。このために、撮影者に与える違和感が低減されたものと考えられる。
【0025】
上記のような組み合わせの光学フィルタ素子10a〜13aを用いる場合、フィルタを切り替えてもゴーストの色が変化しにくい理由について、本願発明者らは以下のように考える。すなわちゴーストは、撮像素子近辺における光の反射のために発生すると考えられる。例えば、一度光学フィルタ素子及びレンズなどを透過した光が、撮像素子近辺において反射され、光学フィルタ素子及びレンズなどによって再び反射され、撮像素子へと入射することは、ゴーストの原因となりうる。特に光学フィルタ素子はレンズなどと比較して反射率が高く、ゴーストを引き起こしやすいため、光学フィルタ素子10a〜13aの反射光色とゴーストの色との関連が大きくなるものと考えられる。
【0026】
このため、光学フィルタ素子10a〜13aの撮像素子側の面における反射光色が、ゴーストの色に特に影響を与えるものと考えられる。この観点から、光学フィルタ素子10a〜13aの撮像素子側の面における反射光色が実質的に同等であることが好ましい。もっとも、光学フィルタ素子10a〜13aの被写体側の面における反射光色も、ゴーストの色に影響を与えるものと考えられる。なぜなら、例えば光学フィルタ素子10a〜13aの被写体側の面で反射し、レンズ1によってさらに反射された光が、撮像素子7へと入射することも、ゴーストの原因となりうるからである。この観点から、光学フィルタ素子10a〜13aの被写体側の面における反射光色が実質的に同等であることも好ましい。さらに好ましくは、光学フィルタ素子10a〜13aの撮像素子側の面における反射光色が実質的に同等であり、かつ光学フィルタ素子10a〜13aの被写体側の面における反射光色が実質的に同等である。
【0027】
また、複数の光学フィルタ素子のうち、互いに透過率が近い2つの光学フィルタ素子における反射光色が実質的に同等であることが好ましい。ここで、「互いに近い透過率を有する光学フィルタ素子」とは、複数の光学フィルタ素子を透過率の大きさの順に並べた場合に互いに隣り合う2つ(1組)の光学フィルタ素子のことを指す。本実施形態においては、光学フィルタ素子10a〜13aの透過率について、光学フィルタ素子10a>光学フィルタ素子11a>光学フィルタ素子12a>光学フィルタ素子13aの関係が存在するものとする。この場合、「互いに近い透過率を有する2つの光学フィルタ素子」は、光学フィルタ素子10aと11aとの組、光学フィルタ素子11aと12aとの組、及び光学フィルタ素子12aと13aとの組のことを示す。これらの光学フィルタ素子の組のうち、少なくとも1つについて反射光色が実質的に同等であることが好ましい。この場合、互いに近い透過率を有する2つの光学フィルタ素子の間で切り替えを行った際の、撮影者に与える違和感を低減することができる。上記の光学フィルタ素子の組のうち全てについて反射光色が実質的に同等であることは、より好ましい。
【0028】
別の具体例として、複数の光学フィルタ素子の全てについて、反射光色が実質的に同等であることも好ましい。
【0029】
以下で、「反射光色が実質的に同等である」との用語について説明する。ここで反射光色とは、光学フィルタ素子表面に光が当たったときの光学フィルタ素子の表面色のことを指す。また、人間が視覚的に同等の反射光色と判断できる場合も、上記「反射光色が実質的に同等である」ことに含まれる。人間が視覚により反射光色を区別できない場合には、反射光色は実質的に同等乃至同一であるものとして同一視できることから、この場合でも上記「反射光色が実質的に同等である」ことに含まれるものとする。なお、反射光色の観測は、例えば、光源としてD
65を用い、入射角5度、反射角5度で行うことができる。
【0030】
また、反射光色の色差が10以下である場合、より好ましくは5以下である場合、さらに好ましくは0.6以下である場合、特に好ましくは0.2以下である場合に、反射光色が実質的に同等であるものと考えてもよい。すなわち、光学フィルタ素子10a〜13aについて、反射光色が実質的に同等であって且つ反射光色の色差は10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。より具体的には、光学フィルタ素子10a〜13aについて、撮像素子側の面における反射光色の色差が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。また、互いに透過率が近い2つの光学フィルタ素子間での反射光色の色差が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。さらには、全ての光学フィルタ素子間での、反射光色の色差が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。このような条件を満たすことにより、光学フィルタ素子を切り替えた際の、撮影者に与える違和感を低減することができる。ここで、色差は後述のCIE2000色差式から算出し、光源としてD
65を用い、入射角5度、10度視野における感度を用いている。
【0031】
より具体的には、全ての光学フィルタ素子間での、撮像素子側の面における反射光色の色差が10以下であることが好ましく、かつ互いに透過率が近い2つの光学フィルタ素子間での、撮像素子側の面における反射光色の色差が5以下であることが好ましい。このような構成により、互いに透過率が近い光学フィルタを順次切り替えた場合にも、撮影者に与える違和感を低減することができる。
【0032】
ここで、反射光色の色差とは、例えば、本実施例ではCIE2000色差式に従って得られる色差のことを指す。色差は式(1)に示すCIEL
*a
*b
*色差式を用いて算出することもできるが、人間により視覚的に感じられる色差をより正確に評価するために、人間の視覚感度がより考慮された、式(2)のCIE2000色差式を用いることが好ましい。CIE2000色差式に基づく光学フィルタ素子の反射光色の色差は、人間の視覚に基づく色差とほぼ同程度の水準であるといえる。
【0034】
【数2】
ここで、
ΔL
*、ΔC
*、ΔH
*:L
*a
*b
*表色系における基準色との色差値
K
L、K
C、K
H:パラメトリック係数
S
L、S
C、S
H:重価係数
R
T:ローテーション関数
【0035】
パラメトリック係数K
L、K
C、K
Hはそれぞれ明度係数、彩度係数、色相係数を示し、試験条件により任意に設定される定数である。
【0036】
また、重価係数S
L、S
C、S
Hはそれぞれ式(3)〜(5)で与えられる。
【0038】
さらに、ローテーション係数R
Tは式(6)で表される。
【0041】
【数5】
ただし、h:基準試料のメトリック色差
【0042】
撮像光学系で発生するゴーストの色は、撮像素子の感度の影響も受けるものと考えられる。しかしながら、可視光については、撮像素子の感度は人間の目の感度に比較的近い。このため、CIE2000色差式により算出される反射光色の色差は、光学フィルタ素子が切り替わった際のゴーストの色味変化をよく表す。
【0043】
ところで、人間が色を認識できるのは、光の三原色である「赤」「緑」「青」に対応した感覚を有しているためである。そして、「赤」「緑」「青」に対する人間の目の感度はそれぞれ異なる。「赤」「緑」「青」のそれぞれに対する人間の目の感度のグラフを
図4に示す。グラフ中の「xbar」「ybar」「zbar」は、それぞれ「赤」「緑」「青」に対する感度である。所定の反射スペクトルを有する光について、人間が視覚により認識する色は、この反射スペクトルに「xbar」「ybar」「zbar」のそれぞれを乗じて得られる面積比に応じて決まる。例として、
図3において「基準」として表される反射スペクトルに、「xbar」を乗じて得られるグラフを
図5Aに、「ybar」を乗じて得られるグラフを
図5Bに、「zbar」を乗じて得られるグラフを
図5Cに、それぞれ示す。
【0044】
人間が視覚により認識する色は、
図5A〜5Cに斜線で示した領域「X」「Y」「Z」の面積によって決まる。つまり、各光学フィルタ素子の反射スペクトルについて測定された領域「X」「Y」「Z」の面積が実質的に同等である場合、各光学フィルタ素子における反射光色は実質的に同等となる。このため、光学フィルタ素子を切り替えても、ゴーストの色味変化が小さくなり、撮影者に与える違和感を低減することができる。ここで、
図4のグラフはCIEで規定されている等色関数に相当し、「X」「Y」「Z」の面積は三刺激値に相当する。また、反射スペクトルとは、波長毎に光学フィルタ素子の反射率を示すものである。ここでは、反射スペクトルは入射角5度及び反射角5度の条件で測定するものとする。
【0045】
以上のように、上述のように求められた「X」「Y」「Z」の面積が、複数の光学フィルタ素子間で実質的に同等であることが好ましい。具体的には、以下の式(7)〜(9)を満たすことが好ましい。
【0046】
ΔY≦25・・・(7)
{(「X」/「Y」)max / (「X」/「Y」)min}≦2 ・・・(8)
{(「Z」/「Y」)max / (「Z」/「Y」)min}≦5 ・・・(9)
【0047】
式(7)〜(9)において、ΔYは光量調整装置に搭載される全ての光学フィルタ素子についての、「Y」の最大値と「Y」の最小値との差を表す。また、(「X」/「Y」)max及び(「X」/「Y」)minは、それぞれ光量調整装置に搭載される全ての光学フィルタ素子についての(「X」/「Y」)の最大値及び(「X」/「Y」)の最小値を表す。さらに、(「Z」/「Y」)max及び(「Z」/「Y」)minは、それぞれ光量調整装置に搭載される全ての光学フィルタ素子についての(「Z」/「Y」)の最大値及び(「Z」/「Y」)の最小値を表す。
【0048】
また、「X」「Y」「Z」の面積が、光量調整装置に搭載される光学フィルタ素子のうち互いに透過率が近い2つの光学フィルタ素子間で実質的に同等であることが好ましい。具体的には、以下の(10)〜(12)式が成り立つことが好ましい。
【0049】
ΔY≦12.5・・・(10)
{(「X」/「Y」)max/(「X」/「Y」)min}≦1.5 ・・・(11)
{(「Z」/「Y」)max/(「Z」/「Y」)min}≦2.5 ・・・(12)
【0050】
式(10)〜(12)において、ΔYは2つの光学フィルタ素子についての、より大きい方の「Y」とより小さい方の「Y」との差を表す。また、(「X」/「Y」)max及び(「X」/「Y」)minは、2つの光学フィルタ素子についての、より大きい方の(「X」/「Y」)及びより小さい方の(「X」/「Y」)を表す。さらに、(「Z」/「Y」)max及び(「Z」/「Y」)minは、2つの光学フィルタ素子についての、より大きい方の(「Z」/「Y」)及びより小さい方の(「Z」/「Y」)を表す。
【0051】
また、複数の光学フィルタ素子間で、反射率が実質的に同等であることも好ましい。光学フィルタ素子の反射率の大きさはゴーストの強度に影響するものと考えられるため、この場合、複数の光学フィルタ素子間で発生するゴーストの強度がほとんど変わらなくなる。したがって、光学フィルタ素子が切り替わってもゴーストの強度がほとんど変わらないため、撮影者に与える違和感をさらに低減することができる。
【0052】
さらに、複数の光学フィルタ素子間で反射スペクトルが実質的に同等であることはさらに好ましい。複数の光学フィルタ素子間で反射スペクトルが実質的に同等であることは、様々な波長の光について、複数の光学フィルタ素子間で反射率が実質的に同等であることを意味する。したがって、様々な撮影条件下において、撮影者に与える違和感をさらに低減することができる。そして、上述のように、複数の光学フィルタ素子間で反射光色を実質的に同等とし、かつ複数の光学フィルタ素子間で反射スペクトルを実質的に同等とすることにより、撮影者に与える違和感をより効果的に低減することができる。例えば、光量調整装置に搭載される光学フィルタ素子のうち、極大反射率が最大のものと最小のものとについて、極大反射率の差が1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。ここで、極大反射率とは、光波長400〜700nmにおいて最も反射率が高い波長における反射率のことである。
【0053】
[実験例]
光学フィルタ素子における反射光色の色差が、撮影者に与える影響について実験した。具体的には、4つの光学フィルタを用意した。それぞれの光学フィルタは、同等の光透過率を持つ光学フィルタ素子を有する。第1の光学フィルタの反射スペクトルを、
図3の「基準」に示す。さらに、第2〜第4の光学フィルタの反射スペクトルを、それぞれ、
図3の「色差5」、「色差10」、及び「色差15」に示す。第2、第3、及び第4の光学フィルタの反射光色は、CIE2000色差式によって計算される第1の光学フィルタの反射光色との色差が、それぞれ5、10、及び15である。色差の算出にあたっては、光源としてD
65を用い、入射角は5度、視野角は10度視野の感度とし、パラメトリック係数K
L、K
C、K
Kは全て1とした。また、上記の反射スペクトル及び反射光色は、光学フィルタの撮像素子側の面について測定したものである。
【0054】
ここで、第1の光学フィルタと、第2〜第4の光学フィルタとを、同じ光量調整装置に組み込んだ。すなわち、この光量調整装置は、4つの光学フィルタ素子を有する。この光量調整装置を、撮像光学系に組み込んだ。この撮像光学系が有する撮像素子が撮像した画像は、表示部を介して撮像者へと提示された。そして、光路に挿入する光学フィルタを、第1の光学フィルタから、第2〜第4の光学フィルタのそれぞれへと変更した際に、ゴーストの色変化が知覚されるか否かを目視にて評価した。結果を表1に示す。「色差5」は第1の光学フィルタから第2の光学フィルタへと変更した場合、「色差10」は第1の光学フィルタから第3の光学フィルタへと変更した場合、「色差15」は第1の光学フィルタから第4の光学フィルタへと変更した場合の結果を、それぞれ示す。なお、下記表1で示した「色差5」、「色差10」、「色差15」の光学フィルタは、2度視野の時、それぞれ色差4.3、9.0、14.8であった。
【0056】
表1において、◎は全く違和感がなく、光学フィルタが切り替わったことが分からなかったことを示す。○はほとんど違和感がなく、光学フィルタが切り替わったことには気付いたが、色味には大きな差がなかったことを示す。×は違和感があり、光学フィルタが切り替わった際の色味の変化がはっきりと分かったことを示す。
【0057】
表1に示すように、光学フィルタにおける反射光色の色差が15以上であった場合には、光学フィルタを切り替えた際のゴーストの色変化が知覚された。一方で、色差が10以下であった場合には、ゴーストの色変化は撮影者に違和感を与えるほどではない。さらに、色差が5以下であった場合には、ゴーストの色変化は撮影者には認識されなかった。
【0058】
この実験から、複数の光学フィルタ間で、撮像素子側の面における反射光色の色差が10以下、特に5以下である場合に、撮影者の違和感が低減されることがわかった。
【0059】
光学フィルタの切り替えは、通常は隣り合う透過率を有する光学フィルタ間で行われる。したがって、隣り合う透過率を有する光学フィルタ間の撮像素子側の反射光色の色差を5以下とすることで、撮影者に与える違和感を劇的に小さくすることができる。
【0060】
また、短期間に連続して光学フィルタの切り替えを行うこと、例えば、第1のフィルタから第2のフィルタへの切り替えを行い、さらに第2のフィルタから第3のフィルタへの切り替えを行うことが考えられる。このような場合でも、全ての光学フィルタ間で反射光色の色差が10以下であり、かつ隣り合う透過率を有する光学フィルタ間で反射光色の色差が5以下であれば、撮影者はフィルタの切り替えを認識できず、かつ色味の変化もほとんど認識できない。
【0061】
つまり、連続して切り替える少なくとも3枚の光学フィルタの反射光色が実質的に同等であれば撮影者に違和感を与えない。例えば、別の実施形態においては、透過率の大きさの順番に連続して切り替える少なくとも3枚の光学フィルタの反射光色が実質的に同等であれば、光路に出入りする光学フィルタの枚数が4枚から5枚、又は6枚以上へと増えると、全ての光学フィルタ間での多少の色差が許容されるようになる。
【0062】
表2は許容色差の分類を示した表(参照:新編色彩科学ハンドブック第2版,日本色彩学会編)である。表2に示すように、色差が5以下である2つの色は、経時比較した場合にほぼ同一の色として認識される。光学フィルタを切り替える前後でのゴーストの色味は、経時比較されるものであり、上記の実験結果は表2の記載と合致している。
【0064】
以下に、本実施形態の具体的な実施例について説明する。以下では、複数の光学フィルタ素子として、少なくとも1つのNDフィルタ(NDフィルタ素子)と、少なくとも1つのAR(Anti−Reflection)フィルタとを用いて光量を調整する場合について説明する。ここで、NDフィルタにおける反射光色とARフィルタにおける反射光色とは実質的に同等である。
【0065】
ARフィルタは、光学濃度が略0(透過率が略100%)である。具体的には、ARフィルタの光透過率は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。被写体の輝度が大きく光量の調整が必要である場合には、光路にNDフィルタを挿入する。一方で光量の調整が必要ない場合にはNDフィルタを光路から外すが、この場合、NDフィルタを外す前後でピントのずれが発生する可能性がある。光学フィルタ素子の有無によるピントのずれは、厚みの大きいフィルタの透明基板の影響が大きい。そこで、NDフィルタを外す場合には、同様の透明基板を有するARフィルタを代わりに挿入することにより、ピントのずれを小さくすることができる。
【0066】
ARフィルタは反射防止機能を有するフィルタであるが、本実施例においては、NDフィルタにおける反射光色とARフィルタにおける反射光色とが実質的に同等となるように、ARフィルタが設計される。このために、ARフィルタの反射率が極めて低い必要はなく、例えば人間の色覚への影響が大きい450〜650nmの波長について、ARフィルタの平均反射率は、0.3%以上であってもよく、0.5%以上であってもよい。こうして、ARフィルタとNDフィルタとの間で切り替えを行った際の、撮影者の違和感を低減することができる。
【0067】
本実施例に係る光量調整装置9は、複数の光学フィルタ素子として、3つのNDフィルタと、1つのARフィルタとを備える。具体的には光量調整装置9は、光学濃度が略0であるARフィルタ(ND_00と呼ぶ)と、光学濃度がそれぞれ0.5、1.0、1.5であるNDフィルタ(それぞれND_05、ND_10、ND_15と呼ぶ)とを有する。ここで光学濃度(OD)は、フィルタの透過率をTとしたときにOD=Log(1/T)で表され、透過率が大きいほど光学濃度は小さくなる。
【0068】
光学フィルタ素子ND_00は、透明基板上に屈折率の異なる薄膜を複数層積層することで作製した。
【0069】
近年は、撮像光学系の小型化及び軽量化を目的として、透明基板としてプラスチック基板が用いられてきている。プラスチック基板としては、種々のものを用いることができ、ポリエステル系、ノルボルネン系、ポリエーテル系、アクリル系、及びスチレン系樹脂などを用いることができる。また、プラスチック基板としては、PES(ポリエーテルスルホン)系、ポリスルホン系、PEN(ポリエチレンナフタレート)系、PC(ポリカーボネート)系、及びポリイミド系などを用いることもできる。また、ガラス基板を用いてもよい。本実施例においては、透明基板としてPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いた。
【0070】
プラスチック基板を用いる場合は、誘電体層や光吸収層などの成膜による膜応力や熱応力による変形、水分による分光変化などを考慮すると、ガラス転移温度Tgが高く、曲げ弾性率が大きく、吸水性の小さいプラスチック基板を用いることが好ましい。基板の厚みは、剛性を保てる範囲でできるだけ薄いほうがよく、20μm〜200μm程度が好ましく、25μm〜100μm程度がより好ましい。本実施例では厚みが50μmの基板を用いた。
【0071】
光学フィルタ素子ND_00の透明基板上の薄膜は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又はIAD法などを用いて成膜できる。本実施例においては、真空蒸着法を用いて成膜した。
【0072】
光学フィルタ素子ND_05、ND_10、及びND_15は、従来知られている方法に従って作製できる。本実施例においては、真空蒸着法によって、透明基板に誘電体膜と光吸収膜とを積層することにより作製した。3つのNDフィルタ間で、反射光色は実質的に同等である。
【0073】
ここで、少なくとも1つのNDフィルタの反射光色と、ARフィルタ(ND_00)の反射光色とが、実質的に同等であることが、フィルタを切り替えた際の撮影者の違和感を低減できる点で好ましい。特に、撮像素子側の面の反射光色が実質的に同等であることが好ましい。通常は、ARフィルタと、最も光学濃度の薄いNDフィルタ(ND_05)との間で切り替えが行われる。したがって、ARフィルタとの反射光色と、最も光学濃度の薄いNDフィルタ(ND_05)の反射光色とが、実質的に同等であることが好ましい。
【0074】
光量調整装置9が
図2に示す構成を有する場合、ARフィルタは、3つのNDフィルタの間に配置されてもよいし、3つのNDフィルタ群の外側に配置されてもよい。いずれにしても、これらのNDフィルタ及びARフィルタを切り替えて光量調整を行うことができる。光量調整装置が
図6に示す構成を有する場合は、フィルタを切り替える際の撮影者の違和感を低減するために、ARフィルタは、最も光学濃度の薄いNDフィルタ(ND_05)と隣り合って配置されていることが好ましい。
【0075】
ARフィルタの設計にあたっては、フィルタの吸収特性を考慮する必要が無いため、NDフィルタと比べて反射率を低く設計しやすい。しかしながら本実施例においては、他の3つのNDフィルタの反射スペクトルに合わせて、ARフィルタを設計した。本実施例の光量調整装置9が備える光学フィルタ素子の反射スペクトルを
図7に示す。
【0076】
隣り合う透過率を有する光学フィルタの色差に関して、ARフィルタとND_05との反射光色の色差は1.992、ND_05とND_10との反射光色の色差は1.242、ND_10とND_15との反射光色の色差は1.607である。4つの光学フィルタ素子間で最も大きい反射光色の色差は、ARフィルタとND_15との反射光色の色差であり、1.998である。色差の算出にはCIE2000色差式を用い、光源としてD
65を用い、入射角5度、条件として10度視野の感度を用いた。
【0077】
ARフィルタは光吸収性が低く、透過率[%]+反射率[%]≒100[%]となる。
図7に示すように、500〜600nmにおけるARフィルタの反射率を上げると、この領域における透過率は減少してしまう。しかし、ARフィルタは透過率が非常に高いため、透過特性に多少の起伏があってもカラーバランスに与える影響はほとんどない。
【0078】
本実施例においては、ARフィルタは屈折率の異なる薄膜を透明基板に積層することで、NDフィルタは誘電体膜と光吸収膜とを透明基板に積層することで作製した。これらの光学フィルタ素子の分光特性は、主に薄膜間の干渉や膜の有する吸収特性によって決まる。すなわち、光学フィルタ素子の分光特性に影響を与えるのは、薄膜の材料特性である屈折率と消衰係数、各層の膜厚、そして層数である。本実施例においては、これらの要素を適宜調整することにより所望の分光特性を有する光学フィルタ素子を作製している。薄膜の干渉を利用した光学フィルタ素子は光の入射角に依存して分光特性が変化するが、本発明に係る光量調整装置を撮像光学系で用いる場合には入射角はせいぜい10°〜15°程度であるため、反射光色の変化はほとんどない。
【0079】
[実施形態2]
以下に、光量調整装置9の別の実施形態について説明する。本実施形態において、複数の光学フィルタ素子は、単一の基板に保持され、1つの光学フィルタとして構成されている。すなわち本実施形態に係る光量調整装置は、1つの光学フィルタを有し、互いに光透過率の異なる複数の光学フィルタ素子が1つの光学フィルタに配置されている。
【0080】
本実施形態に係る光学フィルタの上面図を
図12に示す。
図12の光学フィルタは、4つの光学フィルタ素子A〜Dを有する。光学フィルタ素子Aは、ARフィルタとしての機能を有するAR領域である。また光学フィルタ素子B〜Dは、NDフィルタとしての機能を有するND領域である。光学フィルタ素子A〜Dの構成は、上述の光学フィルタ素子10a〜13aと同様である。すなわち、光学フィルタ素子A〜Dにおける反射光色は実質的に同等である。また、ND領域における反射光色とAR領域における反射光色とが実質的に同等となるように、光学フィルタは設計されている。
【0081】
AR領域は、3つのND領域の間に配置されてもよいし、3つのND領域群の外側に配置されてもよい。もっとも、光学フィルタ素子の切り替えを効率的に行うためには、
図12に示す様に光学フィルタ素子A、光学フィルタ素子B、光学フィルタ素子C、及び光学フィルタ素子Dがこの順に並んでいることが好ましい。
【0082】
以下に、本実施形態の具体的な実施例について説明する。この実施例において、光学フィルタ素子A(AR領域,ND_00と呼ぶ)の光学濃度は略0であり、光学フィルタ素子B〜D(ND領域,それぞれND_05、ND_10、ND_15と呼ぶ)の光学濃度はそれぞれ0.5、1.0、1.5である。
【0083】
本実施例における光学フィルタ素子のそれぞれの反射スペクトルを
図13に示す。ND_00(A)とND_05(B)との反射光色の色差は1.949であった。ND_05(B)とND_10(C)との反射光色の色差は0.196であった。ND_10(C)とND_15(D)との反射光色の色差は2.171であった。4つの領域間で最も大きい反射光色の色差は、ND_05(B)とND_15(D)との色差であり、2.360だった。色差の算出にはCIE2000色差式を用い、光源としてD
65を用い、条件として10度視野を用いた。
【0084】
本実施例に係る光学フィルタの断面図である
図10を参照して、本実施例に係る光学フィルタについてさらに説明する。本実施例に係る光学フィルタは、基板上に膜が積層された構造を有する。この基板は、第1乃至第nの領域を有する。そして、基板の表面と裏面との少なくともいずれかには、それぞれ第1乃至第iの光学濃度を有する、第1乃至第iの膜が積層されている。ここで、nは2以上の整数であり、iは1以上n以下の整数である。
【0085】
具体的には、
図10に示す光学フィルタは、PET基板Gの上に、第1〜第4の膜A’〜D’が積層された構造を有する。第1〜第4の膜A’〜D’のそれぞれは、所定の光学濃度を有し、具体的には第1〜第4の光学濃度を有する。もっとも、光学フィルタにはさらなる膜が積層されていてもよく、例えば
図10に示す光学フィルタにはさらなる膜E’〜F’が積層されている。
【0086】
PET基板Gは、第1〜第4の領域を有する。PET基板Gの第iの領域における、PET基板Gの表面と裏面との少なくともいずれかには、第1〜第iの膜が積層されている。
図10の例においては、第1の領域は光学フィルタ素子Aに対応し、第1の膜A’が積層されている。第2の領域は光学フィルタ素子Bに対応し、第1の膜A’及び第2の膜B’が積層されている。第3の領域は光学フィルタ素子Cに対応し、第1の膜A’〜第3の膜C’が積層されている。第4の領域は光学フィルタ素子Dに対応し、第1の膜A’〜第4の膜D’が積層されている。
【0087】
本実施例の光学フィルタの成膜方法について
図9,10を用いて説明する。ここで
図9は成膜マスクを示し、
図10は本実施例の光学フィルタの断面図を示す。
【0088】
まず、PET基板Gの上に成膜しようとする形状の開口を有する蒸着マスク30aをセットし、蒸着マスク30a面を下向きとして蒸着傘に取り付ける。蒸着傘はセットした位置によって膜厚や基板温度が変化しないように、成膜時には所定の速度で回転する。蒸着傘を蒸着機にセットし、所定の温度・真空度となったら蒸着材料の入った坩堝を加熱し、所定の膜厚になるまで成膜を行う。このようにして複数層の薄膜を積層することにより、膜A’を形成する。
【0089】
本実施例では、光学フィルタ素子Aの光学濃度は略0である。このため、膜A’の材料としては、可視光をほとんど吸収しないTiO
2とSiO
2とを使用した。他の可視光をほとんど吸収しない材料としては、例えばMgF
2、Al
2O
3、MgO、LaTiO
3、ZrO
2、Nb
2O
5、Ta
2O
5などが使用できる。
【0090】
膜A’の後に、基板を蒸着機から取り出し、蒸着マスク30aを蒸着マスク30bに交換し、膜A’と同様に膜B’を形成した。膜B’は、複数層の、誘電体膜であるSiO
2と光吸収膜であるTiO
xとを積層することにより得られた。他の誘電体膜材料としては、例えばMgF
2、Al
2O
3、SiO、MgO、LaTiO
3、ZrO
2などを用いてもよい。また、他の光吸収膜材料としては、Ti、Ni、Cr、NiCr、NiFe、Nbなどの、金属若しくは合金、又はその酸化物若しくは窒化物などを用いることができる。
【0091】
膜B’の形成が終わった後で、再び基板を蒸着機から取り出し、蒸着マスク30bを蒸着マスク30cに交換した。そして、膜B’と同様に膜C’を形成した。
【0092】
膜C’の形成が終わった後で、再び基板を蒸着機から取り出し、蒸着マスク30cを蒸着マスク30dに交換した。そして、膜C’と同様に膜D’を形成した。
【0093】
膜D’の形成が終わった後で、蒸着マスク30dを蒸着マスク30aに再び交換し、反射防止膜であるSiO
2(E’)を形成した。反射防止膜の材料としては屈折率の低い材料が好ましく、他にはMgF
2などが好適である。
【0094】
膜A’〜E’の成膜が終わった後で、基板をひっくり返し、反射防止膜であるF’を形成した。F’にはA’と同様の材料を用いた。
【0095】
以上、本実施形態に係る光学フィルタについて説明した。もっとも、本実施形態に係る光学フィルタの構造は
図10に示されるものには限られず、例えば
図11に示すように、透明基板の両面に光吸収特性を有する膜が設けられていてもよい。また、各光学フィルタ素子、本実施例ではND_00、ND_05、ND_10、ND_15の各領域が、独立して光学フィルタ上に設けられていてもよい。すなわち、本実施形態に係る光学フィルタは、光透過率がそれぞれ異なる複数の領域を有し、複数の領域における反射光色が実質的に同等であればよい。
【0096】
[実施形態3]
上述した光量調整装置9を備える撮像光学系20は、撮像装置において用いることができる。このような撮像光学系20を備える撮像装置は、被写体の輝度に合わせて光学フィルタを切り替えた際の、撮影者に与える違和感を低減することができる。撮像光学系20を設けることができる撮像装置の例としては、ビデオカメラ又はデジタルスチルカメラなどが挙げられる。
【0097】
図8は、撮像装置の一例であるビデオカメラの概略構成を示す。ビデオカメラ本体51は、レンズ1、光量調整装置9、及び撮像素子7を備える、上述の撮像光学系20を有する。不図示のカメラ制御回路は、撮像素子7からの光電変換信号に基づいて光量を判別し、その判別結果に応じて光量調整装置9が有するフィルタを切り替え、光量を調節する。液晶モニター55は、ビデオカメラ本体51の側面に開閉可能に設けられている。ビューファインダー56は、撮像素子7により撮像されている被写体像を観察するためのビューファインダーである。
【0098】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0099】
本願は、2012年8月31日提出の日本国特許出願特願2012−192229号を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。