(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249957
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】例えば超音波トランスデューサといった容量性負荷を駆動するドライバデバイス及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
H04R3/00 330
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-546711(P2014-546711)
(86)(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公表番号】特表2015-500612(P2015-500612A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】IB2012057223
(87)【国際公開番号】WO2013088359
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/570,861
(32)【優先日】2011年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ファン レンス アントニア コルネリア
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05473526(US,A)
【文献】
特開2006−129627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00 − 3/14
H04R 19/00 − 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性負荷、特に一つ又はそれより多くのトランスデューサ要素を有する超音波トランスデューサを駆動するドライバデバイスであって、
前記負荷に対して交流駆動電圧を提供する第1の出力端子と、
中間的な電圧レベルを提供する複数の電圧源要素と、
複数の制御可能な接続手段であって、各々が、前記電圧源要素を前記第1の出力端子に接続するため、及び前記中間的な電圧レベル又は前記中間的な電圧レベルの複数の合計のいずれかを前記交流駆動電圧として前記第1の出力端子に供給するため、前記電圧源要素の1つに関連付けられる、複数の制御可能な接続手段とを有する、ドライバデバイスにおいて、前記ドライバデバイスは、
第2の出力端子を更に有し、前記交流駆動電圧は、前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間にもたらされる、
ドライバデバイス。
【請求項2】
前記電圧源要素が、互いに直列に接続される、請求項1に記載のドライバデバイス。
【請求項3】
前記接続手段が、複数の制御可能スイッチを有し、各スイッチが、1つの電圧源要素及び前記第1の出力端子に接続される、請求項1又は2に記載のドライバデバイス。
【請求項4】
前記電圧源要素が、分離した電圧源であり、各電圧源が、前記中間的な電圧レベルの1つを提供する、請求項1乃至3のいずれかに記載のドライバデバイス。
【請求項5】
前記電圧源要素が、直列接続を形成する分圧器要素であり、前記直列接続は、前記ドライバデバイスを外部電源に接続するため、入力端子を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載のドライバデバイス。
【請求項6】
前記電圧源要素が、前記中間的な電圧レベルへと外部電圧を変換するため、外部電源に接続される電圧変換ユニットである、請求項1乃至4のいずれかに記載のドライバデバイス。
【請求項7】
前記制御可能な接続手段を制御する制御ユニットを更に有し、前記制御ユニットが、階段状上昇又は階段状下降する駆動電圧を提供するべく、前記第1の出力端子にシーケンシャルに前記電圧源要素を接続するよう提供される、請求項1乃至6のいずれかに記載のドライバデバイス。
【請求項8】
前記第2の出力端子にバイアス電圧を供給するため、前記第2の出力端子に接続される電圧源手段を更に有する、請求項1に記載のドライバデバイス。
【請求項9】
中間的な電圧レベルを提供する第2の複数の電圧源要素と、第2の複数の制御可能な接続手段であって、各接続手段が、前記第2の出力端子に前記第2の電圧源要素を接続するよう、前記第2の電圧源要素の1つに関連付けられる、第2の複数の制御可能な接続手段とを更に有する、請求項1又は8に記載のドライバデバイス。
【請求項10】
制御ユニットが、第1及び前記第2の複数の接続手段を制御するよう提供され、前記制御ユニットは、階段状上昇又は下降する駆動電圧を提供するため、各々の前記出力端子に対してシーケンシャルに前記電圧源要素を接続するよう提供される、請求項9に記載のドライバデバイス。
【請求項11】
容量性負荷、特に超音波トランスデューサを駆動するための駆動方法において、
第1の出力端子により、前記負荷に対して交流駆動電圧を提供するステップと、
複数の電圧源要素を用いて複数の中間的な電圧レベルを提供するステップと、
複数の制御可能な接続手段であって、各々が、前記電圧源要素を前記第1の出力端子に接続するため、及び前記中間的な電圧レベル又は前記中間的な電圧レベルの複数の合計のいずれかを前記交流駆動電圧として前記第1の出力端子に供給するため、前記電圧源要素の1つに関連付けられる、複数の制御可能な接続手段により、前記交流駆動電圧を、前記第1の出力端子と第2の出力端子との間にもたらすステップと、
を有する、方法。
【請求項12】
階段状上昇又は階段状下降する電圧を前記交流駆動電圧として前記負荷に提供するため、前記負荷にシーケンシャルに前記電圧源要素を接続するステップとを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
超音波装置であって、
1つ又は複数のトランスデューサ要素を含む超音波トランスデューサと、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の超音波トランスデューサ要素を駆動するドライバデバイスとを有する、超音波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性負荷を駆動するドライバデバイス及び対応する駆動方法に関し、特に1つ又は複数のトランスデューサ要素を有する超音波トランスデューサに関する。更に、本発明は、超音波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波トランスデューサの分野において、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)トランスデューサといった圧電トランスデューサ、及び今日では、容量マイクロマシン超音波トランスデューサ(cMUT)デバイスといったMEMSトランスデューサの使用は、2次元又は3次元超音波を提供するための一般的な方法である。この分野におけるマイクロマシン技術は、小さなサイズ及び高周波ビーム形成アレイの実現を可能にする。これは、同じウェーハ上でモノリシック的に形成されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存の超音波トランスデューサは、限られた結合係数が原因で、限られた力率及び限られた効率を持つ。超音波トランスデューサの結合係数は、無損失性振動サイクルにおける総電気エネルギーに対する保存及び供給された機械的なエネルギーの比を表す。cMUTの共通の結合係数は、50%の範囲にある。一方、有効な結合セクターは、さらに低い可能性がある。実際的に、トランスデューサドライバ回路は、トランスデューサにより供給される音響エネルギーの量より多くの電気エネルギーをトランスデューサに提供しなければならない。残りのエネルギーは、トランスデューサの反応的な部分において保存されるか、又は抵抗部分において発散され、失われる熱へと変換される。主に容量電気エネルギーである保存されるエネルギーは、ドライバ回路に戻るように供給されることができ、ドライバタイプに基づき、エネルギーは、次の振動サイクルの間、減らされることができるか、又はドライバ回路において発散される。
【0004】
ドライバデバイスでエネルギーを保存する共通の方法は、追加的な反応的なデバイス、即ちインダクタを用いることである。このデバイスは、トランスデューサと逆位相にあるエネルギーストレージの観点で作動する。別々のドライバ電子回路を持つ2次元トランスデューサアレイの場合、別々のインダクタは、ドライバと直列に用いられる。何千ものトランスデューサを含む3次元超音波アレイに関して、及び集積された電子回路の場合、個別のインダクタは、ドライバデバイスの全体のサイズを非常に増加させる。
【0005】
従って、本発明の目的は、改良型のドライバデバイス及び容量性負荷を駆動する対応する駆動方法を提供することであり、特に増加された力率及び増加された結合係数を提供する、1つ又は複数のトランスデューサ要素を持つ超音波トランスデューサを提供することである。更に、本発明の目的は、対応する超音波装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面によれば、容量性負荷、特に1つ又は複数のトランスデューサ要素を持つ超音波トランスデューサを駆動するドライバデバイスが提供され、これは、
交流駆動電圧を負荷に提供する出力端子と、
中間的な電圧レベルを提供する複数の電圧源要素と、
複数の制御可能な接続手段であって、各々が、電圧源要素を出力端子に接続するため、及び中間的な電圧レベル又は中間的な電圧レベルの複数の合計の1つを交流駆動電圧として出力端子に供給するため、電圧源要素の1つに関連付けられる、複数の制御可能な接続手段とを有する。
【0007】
本発明の別の側面によれば、容量性負荷、特に1つ又は複数のトランスデューサ要素を含む超音波トランスデューサを駆動するための駆動方法において、
交流駆動電圧を負荷に提供するステップと、
複数の電圧源要素を用いて、複数の中間的な電圧レベルを提供するステップと、
交流駆動電圧として階段状上昇又は階段状下降する電圧を負荷に提供するため、負荷にシーケンシャルに電圧源要素を接続するステップとを有する。
【0008】
本発明の更に別の側面によれば、超音波装置が提供され、これは、1つ又は複数のトランスデューサ要素、特に容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ要素を含む超音波トランスデューサと、本発明に基づき提供される上記超音波トランスデューサ要素を駆動するドライバデバイスとを有する。
【0009】
本発明の好ましい実施形態は、従属項において規定される。請求項に記載の方法が、請求項に記載のデバイス及び従属項に記載されるデバイスと類似する及び/又は同一の好ましい実施形態を持つ点を理解されたい。
【0010】
本発明は、供給電圧に負荷を接続する個別のスイッチング要素において大部分のエネルギーが発散することを防止するため、この負荷がゼロ電圧から最大電圧まで1つのステップで充電されることを防止するよう、中間的な電圧レベル又は中間的な電圧レベルの合計を容量性負荷に提供する容量性負荷を駆動するドライバデバイスを提供するというアイデアに基づかれる。スイッチング要素において発散される電気エネルギーを減らすため、本発明によるドライバデバイスは、全体の供給電圧を形成する中間的な電圧レベルを供給し、これに従って容量性負荷に充電するために中間的な電圧レベルの1つ又は合計を提供する、複数の電圧源要素を有する。容量性負荷に提供される中間的な電圧レベルの合計の電荷エネルギーが、1つのステップで負荷に印加される全体の供給電圧により提供される電気エネルギーと比較して減らされるので、電力損失は減らされることができる。こうして、中間的な電圧レベル又は中間的な電圧レベルの合計を提供することは、より柔軟なドライバデバイスを提供することができ、容量性負荷に供給される中間的な電圧レベルの1つ又は中間的な電圧レベルの合計の間のスイッチングにより、電力損失を減らすことができる。電源から引かれる電荷エネルギーは、充電の間減らされ、放電の間増加され、中間的な電圧レベルを負荷に適用することにより電源に戻るよう供給されるので、散逸エネルギーは減らされ、結合係数は改良される。
【0011】
好ましい実施形態において、電圧源要素が、互いに直列に接続される。これは、容量性負荷への供給に関して、完全な供給電圧に中間的な電圧レベルを加える簡単なソリューションである。
【0012】
更なる実施形態において、接続手段が、複数の制御可能スイッチを有し、各スイッチが、1つの電圧源要素及び出力端子に接続される。これは、電圧源要素又は複数の電圧源要素の1つの中間的な電圧レベルを出力端子に接続し、及び中間的な電圧レベル又は中間的な電圧レベルの合計を負荷に提供する有効な回路を低い技術的な負担で提供する。
【0013】
好ましい実施形態において、電圧源要素が、分離した電圧源であり、各電圧源が、中間的な電圧レベルの1つを提供する。これは、中間的な電圧レベルを負荷に提供する簡単で信頼性が高いソリューションである。
【0014】
更なる好ましい実施形態によれば、電圧源要素が、直列接続を形成する分圧器要素であり、直列接続は、ドライバデバイスを外部電源に接続するため、入力端子を有する。これは、外部供給源電圧から中間的な電圧レベルを低い技術的な負担で形成する安価なソリューションである。この場合、分圧器は、所望するような異なる中間的な電圧レベルへと外部供給源電圧を分ける。
【0015】
代替的な実施形態によれば、電圧源要素は、中間的な電圧レベルへと外部電圧を変換するため外部電源に接続される電圧変換ユニットであり、特にDC−DC電圧コンバータである。これは、高い電力効率を持つ中間的な電圧レベルへと外部電圧を変換するソリューションである。
【0016】
好ましい実施形態において、ドライバデバイスは、制御可能な接続手段を制御する制御ユニットを有し、制御ユニットが、階段状上昇又は階段状下降する駆動電圧を提供するべく、出力端子にシーケンシャルに電圧源要素を接続するよう提供される。これは、各々の電圧ステップの間に印加される低減された電圧レベルによって、低減された電力損失を持つ供給電圧を負荷に印加する簡単なソリューションを提供する。言い換えると、スイッチにわたる電圧が減らされる。これは、スイッチにおける電力損失を減らす。
【0017】
好ましい実施形態において、ドライバデバイスは、第2の出力端子を更に有し、駆動電圧が、第1及び第2の出力端子の間で提供される。これは、2つの分離した電圧源要素を用いて容量性負荷の両方の入力端子を能動的に駆動する簡単なソリューションを提供する。
【0018】
好ましい実施形態によれば、電圧源手段が、第2の出力端子にバイアス電圧を供給するため、第2の出力端子に接続される。これは、容量性負荷に供給される駆動電圧を増加させるため、第1及び第2の出力端子の2つの電位の間の電圧オフセットを低い技術的な負担で提供することを可能にする。
【0019】
好ましい実施形態によれば、ドライバデバイスは中間的な電圧レベルを提供する第2の複数の電圧源要素と、第2の複数の制御可能な接続手段であって、各接続手段が、第2の出力端子に第2の電圧源要素を接続するよう、第2の電圧源要素の1つに関連付けられる、第2の複数の制御可能な接続手段とを有する。これは、両方の出力端子を能動的に駆動するドライバデバイスの回路構造を低い技術的な負担で提供する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、制御ユニットが、第1及び第2の複数の接続手段を制御するよう提供され、制御ユニットは、階段状上昇又は下降する駆動電圧を提供するため、個別の出力端子に対してシーケンシャルに電圧源要素を接続するよう提供される。これは、低い技術的な負担でドライバデバイスを提供する。なぜなら、制御ユニットの量が減らされるからである。
【0021】
上述したように、本発明は、容量性負荷を駆動するドライバデバイスの電力損失を減らすソリューションを提供する。なぜなら、中間的な電圧レベル又は中間的な電圧レベルの合計が、負荷に供給され、放散されるエネルギーに対応する電荷エネルギーは、供給された電圧の二乗に比例するからである。中間的な電圧レベルが、負荷に対して階段状に提供される場合、負荷に印加される電荷エネルギーは減らされ、及び従って、電力損失も減らされることができる。こうして、ドライバデバイスの効率及び超音波トランスデューサの結合係数は、増加されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】超音波トランスデューサを駆動する既知のドライバデバイスの概略的なブロックダイアグラムを示す図である。
【
図1b】超音波トランスデューサを駆動するパルス化された駆動電圧のタイミングダイアグラムを示す図である。
【
図1c】トランスデューサがその共鳴周波数の近くで作動しているとき有益な超音波トランスデューサの簡単な電気回路モデルを示す図である。
【
図2】超音波トランスデューサを駆動するドライバデバイスの第1の実施形態の概略的なブロックダイアグラムを示す図である。
【
図3】
図2のドライバデバイスにより提供される駆動電圧の駆動パルスの例を示す図である。
【
図4】駆動パルスを提供するためのドライバデバイスに関する制御信号のタイミングダイアグラムを示す図である。
【
図5】
図2のドライバデバイスの異なる電圧源要素における電流の4つのタイミングダイアグラムを示す図である。
【
図6】超音波トランスデューサを駆動するドライバデバイスの第2の実施形態の概略的なブロックダイアグラムを示す図である。
【
図7】
図6のドライバデバイスにより提供される駆動パルスのタイミングダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のこれら及び他の側面が、以下に説明される実施形態から明らかとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【0024】
図1は、超音波トランスデューサ12を駆動する既知のドライバデバイス10(パルサーとしても知られる)の実施形態を示す。ドライバデバイス10は、電源14に接続される。これは、ドライバデバイス10に供給電圧V10を提供する。ドライバデバイス10は、2つのトランジスタ16、18を有する。これらは、互いにインバータ構成において接続され、電源14に接続される。超音波トランスデューサ12は、トランジスタ16、18のドレインコネクタに電気的に接続される。トランジスタ16を閉じる(トランジスタ16を導電性にする)ことにより、ドライバデバイス10の出力ノード19が、V10に接続され、トランジスタ18を閉じることにより、出力ノード19は、GNDに接続される。超音波トランスデューサ12は、2つの入力端子20、22を有する。ここで、第1の入力端子20は、ドライバデバイス10の出力ノード19に電気的に接続され、第2の入力端子22は、用いられるトランスデューサタイプ(cMUT、PZT等)に基づき、ニュートラル又はバイアス電圧に接続される。供給電圧V10は、トランジスタ16、18を交互にスイッチオン及びオフにすることにより、パルス化されたフォームでトランスデューサ12に提供される。言い換えると、超音波トランスデューサ12に対してパルス化された駆動電圧V12を提供するため、トランスデューサは、電圧源14の高電位に接続されるか、又はニュートラル若しくは電源14の低電位に接続される。
【0025】
パルス化された駆動電圧V12のタイミングダイアグラムは、
図1bに示される。パルス化された駆動電圧V12は、ゼロ及びV10の間で交替している。トランジスタ16がスイッチオンされ、トランジスタ18がスイッチオフされるとき、t_onで、電圧レベルV12は、0からV10まで増加され、トランジスタ16がスイッチオフされ、トランジスタ18がスイッチオンされるとき、t_offで、駆動電圧V12は、V10からゼロへと切り替えられる。こうして、パルス化された駆動電圧V12が、0及び供給電圧V10の間で交替し、電圧レベルは、1つのステップにおいて増加又は減少される。
【0026】
図1cは、符号30で一般に表される、超音波トランスデューサ12の簡単な電気回路モデルの概略図を示す。トランスデューサ12がその共鳴周波数の近くで作動しているとき、このモデル30は有効である。電気回路モデル30は、互いに並列に接続されるコンデンサ32及びレジスタ34を有する。容量Cを持つコンデンサ32及び抵抗Rを持つレジスタ34がそれぞれ、入力端子20、22に接続される。これらは、ドライバデバイス10にトランスデューサを接続するために提供される。この電気回路モデル30において、コンデンサ32は、電子回路及び/又は相互接続の容量(寄生静電容量)と共に、超音波トランスデューサ12の平行板静電容量を表す。レジスタ34において消費されるエネルギーは、超音波トランスデューサにより音響エネルギーへと変換されるエネルギーを表す。
【0027】
コンデンサ32は、t_on及びt_offの間電圧V10へと充電され、t_off及びt_onの間0ボルトへと放電される。電圧レベルV10から接地まで放電されるとき(又は、接地からV10まで充電されるとき)、コンデンサ32に格納される電気エネルギーは、
により与えられる。ここで、E
Dは、コンデンサ32に格納される電気エネルギーであり、Cは、コンデンサ32の容量である。バイアス電圧が考慮される場合、電気エネルギーは異なるだろう。V10のようなDC電源を用いて0VからV10へとコンデンサ32を充電するのに必要な電気エネルギーは、
で与えられる。ここで、E
Cは、コンデンサ32を充電するのに必要なエネルギーであり、Cは、コンデンサ32の容量である。エネルギー差E
C−E
Dは、コンデンサ32を充電する間、トランジスタ16において発散され、エネルギーE
Dは、コンデンサ32が放電されるとき、トランジスタ18において発散される。完全なスイッチングサイクルの後、ドライバデバイス10により提供されるすべての電気エネルギーは、スイッチにおいて発散され、熱へと変換される。
【0028】
図2は、本発明の第1の実施形態によるドライバデバイスの概略的なブロックダイアグラムを示す。
図2においてドライバデバイスは一般に、符号40により表される。
【0029】
ドライバデバイス40は、出力電圧V14及び駆動部電流Iを超音波トランスデューサ12に提供するため、出力端子42を有する。ドライバデバイス40は、第2の出力端子44を有する。これは、(用いられるトランスデューサタイプに基づき、)ニュートラル又はバイアス電圧に接続される。
【0030】
ドライバデバイス40は、4つの電圧源要素46、48、50、52を有する。電圧源要素46〜52の各々は、供給電圧V10の部分的な電圧V16として、中間的な電圧V16を提供する。中間的な電圧レベルV16の合計は、供給された電圧V10と同一である。中間的な電圧レベルV16は、好ましくは同一であり、本実施形態において、V16=0.25*V10である。代替的な実施形態において、中間的な電圧レベルV16は互いに異なる。この場合でも、中間的な電圧レベルV16の合計は、供給電圧V10と同一である。電圧源要素46〜52は、互いに直列に接続される。電圧源要素46〜52はそれぞれ、制御スイッチS0、S1、S2、S3、S4に接続される。これらは、出力端子42に接続される。制御スイッチS0〜S4は、電圧源要素46〜52により提供される各電位に接続される。その結果、各電位が、出力端子42に提供されることができる。スイッチS0〜S4は、制御ユニット53により制御される。言い換えると、制御スイッチS0は、第2の出力端子44に接続され、及び従って、制御スイッチS0が閉じられる場合、駆動電圧V14が0であるよう、ニュートラルに接続される。制御スイッチS1、S2、S3は、電圧源要素46〜52の間で接続される。その結果、電位V16、2*V16及び3*V16が、出力端子42に供給されることができる。制御スイッチS4は電圧源要素52に接続される。その結果、電位4*V16が、出力端子42に提供されることができる。スイッチS0〜S4は、シーケンシャルに切り替えられなければならない。言い換えると、スイッチS0〜S4の個別の導通フェーズと個別の短絡とが重なることは、いかなる場合でも回避されるべきである。代替的な実施形態によれば、スイッチS0〜S4は、任意の短絡を回避するため、スイッチの組み合わされた並列/直列接続において提供される。
【0031】
従って、電圧源要素46〜52の又はこれらの間でのいずれかの電位が、制御スイッチS0〜S4を切り替えることにより、出力端子42に提供される。言い換えると、0V、供給電圧V10及び中間的な電圧レベルは、ドライバデバイス40により提供されることができる。従って、階段状上昇又は階段状下降駆動電圧V14が、超音波トランスデューサ12に提供されることができる。
【0032】
図3は、
図2のドライバデバイス40により提供されるパルス化された駆動電圧V14を示すタイミング図である。パルス化された駆動電圧V14は、4つのステップにおいて階段状に0からV10まで増加される。パルス化された駆動電圧V14は、0から0.25*V10までt1で増加される。これは、V16と同一である。パルス化された駆動電圧V14は、0.25*V10から0.5*V10へと、即ち、V16から2*V16へとt2で増加される。t3及びt4で、パルス化された駆動電圧V14は、各場合において、t4で供給電圧V10に達するよう、中間的な電圧V16分増加される。従って、駆動電圧V14は、中間的な電圧レベルV16における電圧ステップにおいて、0からV10まで階段状に増加される。t5からt8まで、パルス化された駆動電圧V14は、中間的な電圧レベルV16のステップにおいて、階段状に減少される。t5において、パルス化された駆動電圧V14は、V10から0.75*V10まで、又は言い換えると、4*V10から3*V10へと中間的な電圧V16分減少される。t6、t7及びt8において、パルス化された駆動電圧V14は、各場合において、パルス化された供給電圧V14がゼロとなるまで、中間的な電圧レベルV16分減少される。
【0033】
従って、パルス化された駆動電圧レベルV14は、中間的な電圧レベルV16のステップにおいて0から供給電圧V10へと階段状に増加され、中間的な電圧レベルV16のステップにおいて、供給電圧V10から階段状に減少される。
【0034】
図3に示されるように階段状上昇パルス駆動電圧V14は、出力端子42に個別の電位を印加するため、制御スイッチS0〜S4の1つを切り替えることにより提供される。こうして、0V又は中間的な電圧V16又は中間的な電圧V16の合計が、出力端子42に提供されることができる。スイッチS0〜S4の連続的な閉鎖及び開放を用いて、階段状の上昇及び階段状の下降パルス駆動電圧V14が提供されることができる。
【0035】
図4において、制御スイッチS0〜S4に関する制御信号のタイミング図が概略的に示される。供給電圧V10=4*V16を出力端子42に接続するよう、即ち、制御スイッチS4が閉じられるよう、制御スイッチS0〜S4を制御するため、制御信号が制御ユニット53に提供される。t5において、制御スイッチS4は、スイッチオフされ、制御スイッチS3は、スイッチオンされる。従って、電位3*V10が、出力端子42に提供される。t6において、出力端子42に2*V16を提供するため、制御スイッチS3は、スイッチオフされ、制御スイッチS2は、スイッチオンされる。t8において、出力端子42がニュートラルに接続され、パルス化された駆動電圧V14が0であるよう、制御スイッチS1は、スイッチオフされ、制御スイッチS0は、スイッチオンされる。t1において、中間的な電圧V16を出力端子42に提供するため、制御スイッチS0は、スイッチオフされ、制御スイッチS1は、スイッチオンされる。t2及びt3において、中間的な電圧V16の個別の合計を出力端子に提供するため、制御スイッチS1、S2、S3はそれぞれ、スイッチオン及びオフにされ、t4において、供給電圧V10=4*V16を出力端子42に提供するため、制御スイッチS3は、スイッチオフされ、制御スイッチS4は、スイッチオンされる。上述したように、スイッチS0〜S4は、シーケンシャルに作動されるべきであり、制御信号の重複は、短絡を防止するため回避されるべきである。こうして、階段状上昇及び下降パルス化駆動電圧V14が、
図4において概略的に示される制御信号により実現されることができる。
【0036】
図5は、パルス化された駆動電圧V14を階段状に増加させる及び階段状に減少させる間、電圧源要素46〜52の各々における電流の4つのタイミング図を示す。第1の時間部分Δt1の間、パルス化された駆動電圧V14は、0からV10まで増加され、第2の時間部分Δt2の間、パルス化された駆動電圧V14は、V10から0まで段階状に減少される。
【0037】
図5に示されるように、駆動電圧V14が増加されるとき、電圧源要素46は、t1〜t4でのすべてのステップの間、電流を提供する。電圧源要素48は、t1での第1のステップを除いて、t2、t3及びt4でのステップの間、電流を提供する。電圧源要素52は、t4での最終ステップの間のみ電流を提供する。
【0038】
第2の時間部分Δt2の間、電流は、t5、t6、t7における放電ステップにより電圧源要素46に戻される。更に、電流は、t5及びt6での放電ステップの間、電圧源要素48に戻され、電流は、放電ステップt5の間、電圧源要素50に戻される。一般に、電圧源要素は、nの充電ステップにおいて、トランスデューサ12に電流を提供し、n−1の放電ステップの間、トランスデューサから充電された電流を受信する。
【0039】
トランスデューサ12の充電の間、提供される電気エネルギーは、
により計算されることができる。ここで、E
NCは、トランスデューサ12の充電の間、提供される電気エネルギーであり、nは、t1〜tnでの充電ステップ又はtn+1+....+t2nでの放電ステップの数である。更に、トランスデューサ12の放電により提供される電気エネルギーは、
である。ここで、E
NDは、電気放電エネルギーであり、nは、t1〜t4での充電ステップ、又はt5〜t8での放電ステップの量である。充電サイクルΔt1と放電サイクルΔt2とを有する完全なサイクルの間の放散されたエネルギーは、
により計算されることができる。ここで、E
NSは、放散されたエネルギー又は言い換えるとエネルギー損失である。n=1に対して、放散されたエネルギーは、従来技術と同じであり、
に対しては、放散されたエネルギーは、理論的には0である。値nが、電圧源要素46〜52(n=4に関して)の量に制限されるので、値nは制限される。nの値を増加させることは、ドライバデバイス40の回路を複雑にし、電圧源要素46〜52の直列抵抗を増加させる。好ましくは、nの値は、2〜5の間にある。
【0040】
図6は、本発明の第2の実施形態によるドライバデバイスを示す。
図5におけるドライバデバイスは一般に、符号60により表される。ドライバデバイス60は、第1の部分62及び第2の部分64を有する。第1の部分62は、超音波トランスデューサ12の第1の入力端子20に接続され、第2の部分64は、超音波トランスデューサ12の第2の入力端子22にコンデンサ66を介して接続される。
【0041】
第1の部分62は、第1の出力端子68及び第2の出力端子70を有する。第1の出力端子68は、超音波トランスデューサ12の第1の入力端子20に接続される。第2の出力端子70は、ニュートラルに接続される。第1の部分62は、互いに直列に接続される2つの電圧源要素72、74を有する。電圧源要素72、74はそれぞれ、中間的な電圧V16を提供する。第1の部分62は更に、3つの制御可能スイッチS5、S6、S7を有する。制御可能スイッチS5、S6、S7は、第1の出力端子68に、及び電圧源要素72、74により提供される電位の各々に接続される。制御可能スイッチS5、S6、S7の1つを切り替えることにより、個別の電位0、V16又は2*V16が出力端子68に提供される。
【0042】
第2の部分は、第1の部分62と同一であり、第1の出力端子76及び第2の出力端子78を有する。第1の出力端子76は、コンデンサ66に接続され、第2の出力端子78は、ニュートラルに接続される。第2の部分64は、互いに直列に接続される2つの電圧源要素80、82を有する。各要素は、中間的な電圧V16を提供する。
【0043】
実際には、源74及び源82は、1つの物理的な源に結合されることができ、源72及び源80も、1つの物理的な源に結合されることができる。
【0044】
第1の出力端子76は、電圧源要素80、82により提供される電位の各々に接続可能である。その結果、電位0、V16及び2*V16が、第1の出力端子76に提供されることができる。
【0045】
ドライバデバイス60の第1の部分62は、第1の出力端子68において電位V18を提供し、第2の部分64は、第1の出力端子76において電位V20を提供する。電圧源手段は、第2の入力端子22及び電位V18の間の電圧オフセットとしてバイアス電圧VBを提供するよう、超音波トランスデューサ12の第2の入力端子22に接続される。これは、cMUTデバイスに対して適用可能である。この場合、PZTデバイスは、バイアス電圧(VB)を必要としない。ドライバデバイス60は更に、制御ユニット86を有する。これは、制御スイッチS5〜S10に接続され、制御スイッチS5〜S10を制御するために提供される。
【0046】
制御スイッチS5、S6、S7を切り替えることにより、階段状に上昇する又は階段状に下降する電位として電位V18が提供されることができる。同様に、制御スイッチS8、S9、S10を切り替えることにより、階段状に上昇する又は階段状に下降する電位として、電位V20が提供されることができる。
【0047】
図7において、電位V18及びV20のタイミング図が概略的に示される。V18は、実線として示され、V20は、破線として示される。
【0048】
t10において、電位V20は、制御スイッチS8をスイッチオフし、制御スイッチS9をスイッチオンすることにより、0からV16まで増加される。t11において、電位V18は、制御スイッチS7をスイッチオフし、制御スイッチS6をスイッチオンすることにより、2*V16からV16へと減少される。t12において、電位V20は、制御スイッチS9をスイッチオフし、制御スイッチS10をスイッチオンすることにより、V16から2*V16へと増加される。t13において、電位V18は、制御スイッチS6をスイッチオフし、制御スイッチS5をスイッチオンすることにより、V16から0へと減少される。
【0049】
反対に、t14からt17において、電位V18は、0から2*V16へと2つのステップで増加され、電位V20は、2*V16から0へと2つの電圧ステップにおいて減少される。
【0050】
バイアス電圧VBは、2*V16又は言い換えると0.5*V10と同じであり、負の極性を有する。その結果、第2の入力端子22及び第1の出力端子76の間のオフセットが提供され、電位V18及びV20は、2*V16の量分シフトされる。従って、第1及び第2の入力端子20、22の間の駆動電圧V22が実現される。この電圧は、t10からt13の間中間的な電圧レベルV16と同じ電圧ステップにより階段状に上昇し、t14からt17の間中間的な電圧レベルと同一の電圧ステップにより階段状に減少される。従って、パルス化された駆動電圧V22は、上述された利点を含む
図3に示されるパルス化された駆動電圧V14と同じである。
【0051】
ドライバデバイス40、60は、駆動電圧V14、V22の振幅を変化させることもできる。ビーム成形を提供するため、中間的な電圧レベルを提供することも可能である。例えば、2次元(2D)トランスデューサアレイにおいて、ビームプロファイルを最適化するため、内側トランスデューサに提供される駆動電圧V14、V22に対して、外側のトランスデューサに提供されるV14、V22の振幅を適合させることが可能である。
【0052】
本発明が図面及び前述の説明において詳細に図示され及び説明されたが、斯かる図示及び説明は、説明的又は例示的であると考えられ、本発明を限定するものではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。図面、開示及び添付された請求項の研究から、開示された実施形態に対する他の変形が、請求項に記載の本発明を実施する当業者により理解され、及び実行されることができる。
【0053】
請求項において、単語「有する」は他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。シングルプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載される複数のアイテムの機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを意味するものではない。
【0054】
請求項における任意の参照符号は、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。