(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0019】
また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、平面図と断面図が対応する場合においても、各部位の大きさを変えて表示する場合がある。
【0020】
(実施の形態1)
[構造説明]
図1は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す概念図である。
図1に示す半導体装置は、2つのチップ(CH1、CH2)がワンパッケージ化された半導体装置である。
【0021】
チップ(半導体チップ、半導体片)CH1は、ダイパッドDP1上に搭載されている。チップCH1は、下層のコイル(インダクタ)CL1と、上層のコイル(インダクタ)CL2とからなるトランスを有する。上層のコイルCL2は、ワイヤWを介してチップCH2のパッド領域PD2に接続されている。下層のコイルCL1は、図示しない配線を介して周辺回路PCに接続されている。周辺回路PCには、MISFETなどの素子(能動素子)で構成される論理回路が形成されている。この周辺回路PCは、図示しない配線を介してチップCH1の端部に配置されたパッド領域PD2と接続されている。このパッド領域PD2は、ワイヤWおよび図示しないリードなどを介して、低電圧(例えば、50V以下)で駆動可能な回路を有する低電圧領域LCと接続される。
【0022】
チップCH2は、ダイパッドDP2上に搭載されている。チップCH2は、下層のコイルCL1と、上層のコイルCL2とからなるトランスを有する。上層のコイルCL2は、ワイヤWを介してチップCH1のパッド領域PD2に接続されている。下層のコイルCL1は、図示しない配線を介して周辺回路PCに接続されている。周辺回路PCには、MISFETなどの素子で構成される論理回路などが形成されている。この周辺回路PCは、図示しない配線を介してチップCH2の端部に配置されたパッド領域PD2と接続されている。このパッド領域PD2は、ワイヤWおよび図示しないリードなどを介して、高電圧(例えば、交流実行値100Vrms以上)で駆動される回路を有する高電圧領域HCと接続される。
【0023】
例えば、チップCH1の周辺回路PC中の送信回路は、パルス状の電流をコイルCL1に流す。この際、電気信号(送信信号、データ)が‘1’か‘0’かによってコイルCL1に流す電流の方向を変える。このコイルCL1の電流によって上層のコイルCL2には、誘起された電圧が生じる。この電圧をワイヤWを介してチップCH2へ伝達し、チップCH2の周辺回路PC中の受信回路で増幅し、さらに、ラッチする。このように、磁気誘導結合を用いて電気信号を無線伝達することができる。言い換えれば、電気的に絶縁された低電圧領域LCと高電圧領域HCとをトランスを介して接続することにより、これらの領域(LC、HC)間において電気信号を伝達することができる。
【0024】
また、トランスを構成するコイル(CL1、CL2)を半導体装置を形成するための微細加工を利用して、配線等と同様に形成することで、周辺回路PCとコイル(CL1、CL2)を同じチップ上に集積して形成することができる。
【0025】
トランスを構成する導電パターンの形状としては、
図1に示すように、渦巻き状の導電パターンとすることができる(
図3参照)。
【0026】
図2は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図2に示す半導体装置は、トランスを有する半導体装置であり、例えば、
図1のA―A断面部に対応する。
【0027】
本実施の形態の半導体装置は、SOI(Silicon on Insulator)基板を利用して形成される。SOI基板は、半導体装置の製造工程においては、略円形のウエハ状態であり、略矩形状のチップ領域を複数有する。チップ領域は、トランスが形成される領域であるトランス形成領域1Aと、周辺回路が形成される領域である周辺回路形成領域1Bと、シールリングが形成される領域であるシールリング形成領域1Cとを有している。また、周辺回路形成領域1Bは、MISFETなどの素子が主として形成される素子形成領域BEと、パッド領域PD2が形成されるパッド形成領域BPとを有している。シールリングとは、トランス形成領域1Aおよび周辺回路形成領域1Bを囲むように形成された水分などの遮蔽壁である(
図4参照)。また、このシールリングは、ダイシング時のクラックの伝搬を防止する役割も果たす。ここでは、後述するように、トランス形成領域1Aおよび周辺回路形成領域1Bを囲むように形成された囲み配線や、囲みプラグなどの積層部よりなる。
【0028】
SOI基板Sは、支持基板Saと、この支持基板Sa上に形成された絶縁層(絶縁膜、埋め込み絶縁層、BOX)Sbと、絶縁層Sb上に形成された半導体層(例えば、シリコン層Sc)を有する。
【0029】
周辺回路形成領域1Bの素子形成領域BEには、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子が形成されている。このMISFETは、例えば、
図1に示す周辺回路PCを構成する。なお、ここでは、半導体素子として、MISFETを例示しているが、この他、コンデンサやメモリ素子または他の構成のトランジスタなどを周辺回路形成領域1Bに形成してもよい。
【0030】
また、MISFET(NT、PT)上には、層間絶縁膜IL1が形成され、この層間絶縁膜IL1上には、配線M1が形成されている。MISFET(NT、PT)と配線M1とは、プラグP1を介して接続されている。また、配線M1上には、層間絶縁膜IL2が形成され、この層間絶縁膜IL2上には、配線M2が形成されている。この配線M1と配線M2とは、層間絶縁膜IL2中に形成されたプラグP2を介して接続されている。また、配線M2上には、層間絶縁膜IL3が形成され、この層間絶縁膜IL3上には、配線M3が形成されている。この配線M2と配線M3とは、層間絶縁膜IL3中に形成されたプラグP3を介して接続されている。また、配線M3の膜厚は、配線M2の膜厚より大きく、比較的厚く(例えば、膜厚3μm以上で)形成される。
【0031】
配線M3上には、層間絶縁膜IL4が形成され、この層間絶縁膜IL4上には、配線M4が形成されている。この層間絶縁膜IL4は、後述するコイルCL1、CL2間の耐圧を確保するため、比較的厚く形成される。例えば、コイルCL1、CL2間には、2.5kVrmsで60秒の耐圧が要求される。また、この層間絶縁膜IL4は、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などの無機絶縁膜よりなる。例えば、層間絶縁膜IL4は、HDP(high density plasma)膜IL4aとP−TEOS膜IL4b、IL4cの積層膜よりなる。HDP膜は、高密度プラズマCVDにより形成された膜であり、P−TEOS膜IL4bは、TEOS(tetraethyl orthosilicate)を原料ガスとした一般的なプラズマCVDにより形成された膜である。HDP膜IL4aを用いることにより、配線M3間を精度良く埋め込むことができる。また、追って詳細に説明するように、HDP膜IL4aは、配線M3間および配線M3上に、分割して成膜される傾向に有る。このため、配線M3の角部に膜は形成され難く、主として配線M3間および配線M3上に形成される(
図20参照)。このため、P−TEOS膜を配線M3上に形成した場合と比較し、HDP膜IL4aを配線M3上に形成した場合には、膜が分割され、膜応力を緩和することができる。また、後述する配線M4と配線M3とを開口部OA1の底面において接続する構成としたので、比較的大面積で構成される開口部OA1によって、層間絶縁膜IL4が分割される。これにより、膜応力を緩和することができる。開口部OA1の平面形状は、例えば、20μm×20μmの略矩形である。また、配線M4と配線M3の配線幅を大きくし、上記開口部OA1の底面を介して積層する構成とすることにより、配線M4および配線M3の配線抵抗を低減することができる。例えば、配線M4および配線M3の配線幅は、配線M2の配線幅より大きく、配線M4の配線幅は、例えば、4μm程度、配線M3の配線幅は、4μm程度である。但し、配線M4および配線M3において、開口部(OA1、OA2)の形成領域の幅は、例えば、40μm以上である。また、これらの配線をAl配線、即ち、アルミニウムを含有する材料で構成することにより、例えば、銅材料を用いる場合と比較して、低コストで、簡易なプロセスにより形成することができる。
【0032】
この配線M4は、配線M3の一部である領域PD1をチップの所望の領域(パッド領域PD2)まで引き出す配線である。即ち、上記領域(パッド領域PD2が形成される領域)が、パッド形成領域BPに対応する。この配線M4の膜厚は、配線M2の膜厚より大きく、比較的厚く(例えば、膜厚3μm以上で)形成される。
【0033】
配線M4上には、保護膜PROとして、例えば、窒化シリコン膜PROaとポリイミド膜PRObとの積層膜が形成されている。保護膜PROには、開口部OA2が設けられ、配線M4が露出部している。この配線M4の露出部がパッド領域PD2となる。
【0034】
トランス形成領域1Aには、コイルCL1とコイルCL2とを有するトランスが形成されている。下層のコイルCL1は、配線M2と同層に形成されている。
【0035】
上層のコイルCL2は、配線M4と同層に形成されている。このコイルCL1とコイルCL2との間には、層間絶縁膜IL4と層間絶縁膜IL3が形成されている。層間絶縁膜IL4および層間絶縁膜IL3は、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などの無機絶縁膜よりなる。また、層間絶縁膜IL4は、コイルCL1、CL2間の耐圧を確保するために、比較的厚く形成されている。層間絶縁膜IL4は、層間絶縁膜IL2より厚く形成される。なお、ここでは、層間絶縁膜IL3と層間絶縁膜IL2とは、同程度の膜厚である。例えば、層間絶縁膜IL4の膜厚は8μm程度であり、層間絶縁膜IL3の膜厚は1.5μm程度である。また、コイルCL1とコイルCL2との間に位置する層間絶縁膜IL4と層間絶縁膜IL3の膜厚の和は5μm以上とすることが好ましい。
【0036】
図3は、本実施の形態の半導体装置のコイルの構成例を示す平面図である。
図3に示すコイルは、例えば、上層のコイルCL2に対応する。
図3においては、コイルCL2は、上面からの平面視において渦巻き状の導電性膜よりなり、渦巻き状の導電性膜の内側の端部は、パッド領域PD2に接続され、渦巻き状の導電性膜の外側の端部は、他のパッド領域PD2に接続されている。各パッド領域PD2は、例えば、他のチップの受信回路(Rx)とワイヤ(W)などを介して接続されている(
図29、
図30等参照)。
【0037】
下層のコイルCL1は、上層のコイルCL1と同様に、渦巻き状の導電性膜よりなる。例えば、上面からの平面視において
図3に示す渦巻き状の形状とすることができる。下層のコイルCL1においては、渦巻き状の導電性膜の端部(パッド領域)は、コイルCL1と同層または下層の配線(例えば、配線M2、配線M1)を介して送信回路(Tx)と接続されている(
図29、
図30等参照)。例えば、コイルCL1を構成する渦巻き状の導電性膜の内側の端部は、コイルCL1の下層の配線(例えば、配線M1)を介して送信回路(Tx)を構成するMISFETと接続され、外側の端部は、コイルCL1と同層の配線(例えば、配線M2)を介して送信回路(Tx)を構成するMISFETと接続される。
【0038】
なお、トランス形成領域1Aには、周辺回路PCを構成するMISFETなどの素子を形成しないことが好ましい。トランス形成領域1Aにおいては、その上部に形成される上層のコイルCL2のパッド領域PD2が、ワイヤWなどを介して他のチップと接続される(ボンディング)。このボンディングの際の押し圧による素子への影響を回避するため、トランス形成領域1Aに素子を形成しないことが好ましい。また、同様の理由から、パッド形成領域BPにも素子を形成しないことが好ましい。また、トランス形成領域1Aにおいては、コイル間の電気信号と、素子に印加される電気信号との相互干渉を防止するためにも、素子を形成しないことが好ましい。
【0039】
シールリング形成領域1Cの半導体層(シリコン層Sc)には、p型半導体領域PLが形成され、このp型半導体領域PL上には、複数の配線M1〜M4が形成されている(
図2参照)。また、p型半導体領域PLと配線M1とは、層間絶縁膜IL1中に形成されたプラグP1を介して接続されている。また、配線M1と配線M2とは、層間絶縁膜IL2中に形成されたプラグP2を介して接続されている。また、配線M2と配線M3とは、層間絶縁膜IL3中に形成されたプラグP3を介して接続されている。また、配線M3と配線M4とは、開口部OA1の底面を介して接続されている。シールリング形成領域1Cの配線M4は、周辺回路形成領域1Bの配線M4および上層のコイルCL2と同層に形成されている。配線M4の幅は、配線M4は、例えば、2.8μm程度である。
【0040】
図4は、本実施の形態の半導体装置の構成例を示す平面図である。
図4に示すように、シールリング形成領域1Cは、略矩形の半導体装置の外周に沿って配置されている。言い換えれば、シールリング形成領域1Cは、トランス形成領域1Aおよび周辺回路形成領域1Bを囲むように配置されている。このシールリング形成領域1Cの内部には、コイルCL2や複数のパッド領域PD2が配置されている。また、コイルCL2の外周には、周辺回路PCを構成する回路ブロック(図示せず)が、複数配置されている。
【0041】
よって、シールリング形成領域1Cに形成される配線M1〜M4およびプラグP1〜P3は、トランス形成領域1Aおよび周辺回路形成領域1Bを囲むように構成されている。言い換えれば、シールリング形成領域1Cに形成される配線M1〜M4は、囲み配線であり、プラグP1〜P3は、囲みプラグである。囲み配線は、例えば、シールリング形成領域1Cに沿って、トランス形成領域1Aおよび周辺回路形成領域1Bを囲む形状に形成された配線である。囲みプラグは、例えば、シールリング形成領域1Cに沿って、トランス形成領域1Aおよび周辺回路形成領域1Bを囲む形状に形成されたコンタクトホール内に埋め込まれた導電膜である。このような囲み配線と囲みプラグを複数層に渡って積層することにより、遮蔽壁を構成することができる。
【0042】
このように、複数層の配線(M1〜M4)やプラグ(P1〜P3)が形成されたシールリング形成領域1Cを、半導体装置(チップ領域)の外周に沿って配置することで、半導体装置の外周からの水分の浸入を防止することができ、半導体装置の耐湿性を向上させることができる。また、このシールリング形成領域1Cにより、SOI基板S(半導体ウエハ)のチップ領域毎に、格子状に、層間絶縁膜(IL1〜IL4)が分割されることになる。ウエハ状態のSOI基板Sに加わる膜応力を緩和することができる。これにより、SOI基板Sの反りを低減し、露光不良や搬送不良などを回避することができる。
【0043】
特に、コイルCL1、CL2間の耐圧を確保するために、これらの間に厚い層間絶縁膜IL4、IL3を形成する場合には、膜応力が大きくなりやすい。このような場合においても、上記シールリング形成領域1Cを設けることで、層間絶縁膜IL4、IL3を分割することができ、膜応力を緩和することができる。また、シールリング形成領域1Cにおいて、配線M3と配線M4とを開口部OAの底面において接続する構成としたので、比較的大面積で構成される開口部OAによって、層間絶縁膜IL4が分割される。これによっても、膜応力を緩和することができる。この開口部OAは、例えば、幅8μmのストライプ状とすることができる。
【0044】
また、シールリング形成領域1C上には、窒化シリコン膜PROaのみが形成され、ポリイミド膜PRObが除去されている。このように、半導体装置(チップ領域)の外周に位置するシールリング形成領域1C上のポリイミド膜PRObを除去することにより、後述する基板の切断(ダイシング)時において、ポリイミド膜PRObの剥がれを防止することができ、また、ポリイミド膜PRObがダイサーへ巻きつくことを防止することができる。
【0045】
図5は、上層のコイルCL2近傍の構成を示す断面図であり、
図6は、上層のコイルCL2近傍の構成を示す平面図である。
図5に示すように、上層のコイルCL2と配線M4との距離DM4は、上層のコイルCL2と配線M3との距離DM3より大きい(DM4>DM3)。また、配線M3との距離DM3は、上層のコイルCL2と下層のコイルCL1との間の距離(層間絶縁膜IL3とIL4の膜厚の和、例えば、5μm程度)以上である。距離DM4および距離DM3は、平面的な距離、即ち、平面図における最短距離である。
【0046】
図6に示す、ラインL1は、上層のコイルCL2と配線M4とのスペースを示す枠である。ラインL2は、上層のコイルCL2と配線M3とのスペースを示す枠である。言い換えれば、配線M4は、ラインL1より外側(コイルCL2側とは逆側の領域)に配置され、配線M3は、ラインL1より外側に配置される。
【0047】
このように、上層のコイルCL2と配線M4との距離DM4を、上層のコイルCL2と配線M3との距離DM3より大きくし、さらに、上層のコイルCL2と配線M3との距離DM3を、上層のコイルCL2と下層のコイルCL1との間の距離(層間絶縁膜IL3とIL4の膜厚の和)以上とする。これにより、高い電圧差が生じやすいコイルCL2と配線M4との間や、コイルCL2と配線M3との間の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0048】
また、本実施の形態においては、トランス形成領域1A、素子形成領域BEおよびパッド形成領域BPのそれぞれを、シリコン層Scを貫通するディープトレンチ絶縁膜DTIで囲む構成としたので(
図2参照)、トランス形成領域1Aのp型ウエルPWの電位の変動を抑制することができる。その結果、下層のコイルCL1とp型ウエルPW間の容量の変動を小さくでき、コイル間における電気信号の伝達精度を向上し、動作の安定化を図ることができる。
【0049】
[製法説明]
次いで、
図7〜
図28を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図7〜
図28は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0050】
図7に示すように、半導体基板として、例えば、SOI基板Sを準備する。SOI基板Sは、単結晶シリコン基板(半導体膜)よりなる支持基板Saと、この支持基板Sa上に形成された絶縁層(埋め込み絶縁層、BOX)Sbと、絶縁層Sb上に形成されたシリコン層(半導体層、半導体膜、薄膜半導体膜、薄膜半導体領域)Scとから構成されている。
【0051】
SOI基板Sは、トランスが形成される領域であるトランス形成領域1Aと、周辺回路が形成される領域である周辺回路形成領域1Bと、シールリングが形成される領域であるシールリング形成領域1Cとを有している。また、周辺回路形成領域1Bは、MISFETなどの素子が主として形成される素子形成領域BEと、パッド領域が形成されるパッド形成領域BPとを有している。
【0052】
次いで、
図8に示すように、SOI基板Sの主面に、素子分離領域STを形成する。例えば、LOCOS(local Oxidation of silicon)法を用いて、素子分離領域STを形成する。例えば、素子分離領域を開口したマスク膜(例えば、窒化シリコン膜)を、SOI基板S上に形成し、熱処理を施すことにより、酸化シリコン膜よりなる素子分離領域STを形成する。次いで、上記マスク膜(図示せず)を除去する。
【0053】
次いで、
図9に示すように、素子分離領域において、絶縁層Sbまで到達する深い溝(ディープトレンチ)DTを形成し、その内部に絶縁膜を埋め込むことにより、ディープトレンチ絶縁膜DTIを形成する。例えば、素子分離領域STおよびシリコン層Sc上に、溝DTを形成する領域に開口を有するフォトレジスト膜(図示せず)を形成し、このフォトレジスト膜をマスクとして、素子分離領域STおよびその下層のシリコン層Scをドライエッチングにより除去する。これにより、素子分離領域STおよびシリコン層Scを貫通し、絶縁層Sbまで到達する溝DTを形成することができる。次いで、上記フォトレジスト膜(図示せず)を除去する。
【0054】
次いで、溝DT、素子分離領域STおよびシリコン層Sc上に、絶縁膜として、例えば、酸化シリコン膜をCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などにより堆積する。これにより、溝DTの内部が、酸化シリコン膜により埋め込まれる。次いで、上記酸化シリコン膜を、素子分離領域STが露出するまでCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などにより研磨する。これにより、溝DTの内部に、酸化シリコン膜などの絶縁膜が埋め込まれたディープトレンチ絶縁膜DTIが形成される。
【0055】
このディープトレンチ絶縁膜DTIは、トランス形成領域1A、素子形成領域BEおよびパッド形成領域BPそれぞれを囲むように形成される(
図2参照)。
【0056】
次いで、
図10に示すように、周辺回路形成領域1Bに、MISFETなどの素子を形成する。以下に、MISFET(NT、PT)の形成工程について説明する。MISFETの形成方法に制限はないが、例えば、以下の工程により形成することができる。
【0057】
まず、SOI基板Sのシリコン層Sc中に、p型ウエルPWおよびn型ウエルNWを形成する。この際、周辺回路形成領域1Bの素子形成領域BEには、p型ウエルPWおよびn型ウエルNWを形成し、パッド形成領域BPには、p型ウエルPWを形成する。素子形成領域BEのp型ウエルPW上には、MISFET(NT)が形成され、素子形成領域BEのn型ウエルNW上には、MISFET(PT)が形成される。また、トランス形成領域1Aおよびシールリング形成領域1Cには、p型ウエルPWを形成する。
【0058】
p型ウエルPWおよびn型ウエルNWは、それぞれイオン注入により形成され、SOI基板Sのシリコン層Scの主面から所定の深さにわたって形成される。
【0059】
次いで、SOI基板Sの主面上に、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEを形成する。例えば、シリコン層Scの表面を熱酸化することにより、酸化シリコン膜よりなるゲート絶縁膜GIを形成する。ゲート絶縁膜GIとしては、酸化シリコン膜の他、酸窒化シリコン膜を用いてもよい。また、高誘電率膜(いわゆる、high-k膜)をゲート絶縁膜GIとして用いてもよい。また、熱酸化法の他、CVD法などの他の成膜方法を用いてゲート絶縁膜GIを形成してもよい。
【0060】
次いで、ゲート絶縁膜GI上に、例えば、多結晶シリコン膜をCVD法などを用いて形成し、この多結晶シリコン膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、パターニングすることにより、ゲート電極GEを形成する。なお、各MISFET(NT、PT)の特性に応じて、ゲート電極GEを構成する材料(ここでは、多結晶シリコン膜)中に不純物を注入してもよい。
【0061】
次いで、各ゲート電極GEの両側のシリコン層Sc中に、ソース・ドレイン領域SDを形成する。
【0062】
まず、ゲート電極GEの両側のp型ウエルPWに、n型不純物をイオン注入することにより、n
+型半導体領域(ソース、ドレイン領域)SDを形成する。また、ゲート電極GEの両側のn型ウエルNWに、p型不純物をイオン注入することにより、p
+型半導体領域(ソース、ドレイン領域)SDを形成する。この際、シールリング形成領域1Cのp型ウエルPW中に、p
+型半導体領域PLを形成する。なお、ソース、ドレイン領域SDを、LDD構造のソース、ドレイン領域としてもよい。LDD構造のソース、ドレイン領域は、低濃度不純物領域と高濃度不純物領域とからなる。例えば、ゲート電極GEの両側のウエルに、不純物をイオン注入し、低濃度不純物領域を形成した後、ゲート電極GEの側壁にサイドウォール膜を形成し、ゲート電極GEおよびサイドウォール膜の合成体の両側のウエル中に、高濃度不純物領域を形成する。
【0063】
次いで、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。
【0064】
このようにして、周辺回路形成領域1Bに、MISFET(NT、PT)を形成することができる。この後、必要に応じて、ゲート電極GEやソース・ドレイン領域SD上に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術を用いて、金属シリサイド層(図示せず)を形成してもよい。
【0065】
次いで、
図11に示すように、SOI基板Sの主面(主面全面)上に、層間絶縁膜IL1を形成する。層間絶縁膜IL1は、SOI基板Sに形成したMISFET(NT、PT)を覆うように形成される。例えば、CVD法により酸化シリコン膜を堆積した後、必要に応じて、層間絶縁膜IL1の表面をCMP法などを用いて平坦化する。
【0066】
次いで、
図12に示すように、層間絶縁膜IL1中に、プラグP1を形成する。例えば、層間絶縁膜IL1上にフォトリソグラフィ技術を用いて形成したフォトレジスト層(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、層間絶縁膜IL1をドライエッチングすることにより、層間絶縁膜IL1にコンタクトホール(貫通孔、孔)を形成する。次いで、このコンタクトホール内に導電膜を埋め込むことにより、導電性のプラグ(接続用導体部)P1を形成する。例えば、コンタクトホールの内部を含む層間絶縁膜IL1上に、バリア膜として、チタン膜および窒化チタン膜の積層膜をスパッタリング法などで堆積する。次いで、バリア膜上に、主導電性膜として、タングステン(W)膜を、コンタクトホールを埋め込む程度の膜厚で、CVD法などを用いて堆積する。次いで、層間絶縁膜IL1上の不要なバリア膜および主導電性膜をCMP法などを用いて除去する。これにより、プラグP1が形成される。例えば、このプラグP1は、ソース、ドレイン領域SDおよびシールリング形成領域1Cのp
+型半導体領域PL上に形成される。なお、ゲート電極GE上に、プラグP1を形成してもよい。
【0067】
次いで、
図13に示すように、プラグP1上に、導電性膜よりなる配線M1を形成する。例えば、層間絶縁膜IL1およびプラグP1上に、導電性膜として、アルミニウム膜、およびチタン/窒化チタン膜よりなる積層膜を、スパッタリング法などを用いて順次堆積する。チタン/窒化チタン膜の積層膜は、バリア導体膜とも呼ばれる。次いで、上記積層膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してパターニングすることによりプラグP1上に配線M1を形成する。
【0068】
配線M1を形成するための上記アルミニウム膜は、純アルミニウム膜に限定されず、アルミニウムを主成分とする導電材料膜(但し金属伝導を示す導電材料膜)を用いることができる。例えば、Al(アルミニウム)とSi(シリコン)との化合物膜または合金膜を用いることができる。また、このアルミニウム膜におけるAl(アルミニウム)の組成比は50原子%より大きい(すなわちAlリッチである)ことが望ましい。このことは、配線M1を形成するための上記アルミニウム膜だけでなく、配線M2、配線M3や配線M4を形成するためのアルミニウム膜についても同様である。
【0069】
また、ここでは、配線M1を、素子形成領域BEおよびシールリング形成領域1Cに形成したが、他の領域に形成してもよい。例えば、トランス形成領域1Aに配線M1を形成してもよい。このようなトランス形成領域1Aに形成される配線M1は、例えば、コイルCL1と周辺回路とを電気的に接続する配線となる。
【0070】
次いで、
図14に示すように、配線M1上に、層間絶縁膜IL2を形成する。例えば、配線M1上に、CVD法などにより酸化シリコン膜を堆積する。
【0071】
次いで、
図15に示すように、層間絶縁膜IL2をパターニングすることにより、配線M1上にコンタクトホールを形成し、さらに、コンタクトホールの内部に導電性膜を埋め込むことにより層間絶縁膜IL2中にプラグP2を形成する。このプラグP2は、プラグP1と同様に形成することができる。
【0072】
次いで、
図16に示すように、プラグP2上に、導電性膜よりなる配線M2を形成する。例えば、層間絶縁膜IL2およびプラグP2上に、導電性膜として、アルミニウム膜、およびチタン/窒化チタン膜よりなる積層膜を、スパッタリング法などを用いて順次堆積する。次いで、上記積層膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してパターニングすることにより上記プラグP2上に配線M2を形成する。
【0073】
ここで、トランス形成領域1Aにおいては、下層のコイルCL1を配線M2と同層で形成する。即ち、上記積層膜をパターニングする際、トランス形成領域1Aにおいては、前述した渦巻き状の導電性膜(コイルCL1)を形成する(
図3参照)。
【0074】
もちろん、トランス形成領域1Aに、コイルCL1以外に配線M2(例えば、下層のコイルCL1と周辺回路とを電気的に接続する配線)を形成してもよい。
【0075】
次いで、
図17に示すように、配線M2上に、層間絶縁膜IL3を形成する。例えば、配線M2上に、CVD法などにより酸化シリコン膜を堆積する。
【0076】
次いで、
図18に示すように、層間絶縁膜IL2をパターニングすることにより、配線M2上にコンタクトホールを形成し、さらに、コンタクトホールの内部に導電性膜を埋め込むことにより層間絶縁膜IL3中にプラグP3を形成する。このプラグP3は、プラグP1と同様に形成することができる。
【0077】
次いで、
図19に示すように、プラグP3上に、導電性膜よりなる配線M3を形成する。例えば、層間絶縁膜IL3およびプラグP3上に、導電性膜として、アルミニウム膜、およびチタン/窒化チタン膜よりなる積層膜を、スパッタリング法などを用いて順次堆積する。次いで、上記積層膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してパターニングすることにより上記プラグP3上に配線M3を形成する。この配線M3の膜厚は、配線M1、M2の膜厚(例えば、0.4〜1.0μm)より大きく、3〜4μm程度である。ここで、シールリング形成領域1Cにおいては、配線M3を囲み配線として形成する。
【0078】
次いで、
図20〜
図24に示すように、配線M3上に、層間絶縁膜IL4を形成する。この層間絶縁膜IL4は、HDP膜IL4aとP−TEOS膜IL4b、IL4cの積層膜よりなる。
【0079】
ここで、CVD法においては、原料ガスの反応に必要なエネルギーの種類に応じて、熱CVD、プラズマCVDなどに分けられる。また、プラズマCVDのなかでも、工業用周波数(13.56MHz)の高周波による放電を用いる一般的なプラズマCVDと、このプラズマCVDよりもプラズマ密度を高めた高密度プラズマCVDとに分けられる。そこで、HDP膜は、高密度プラズマCVDにより形成された膜であり、P−TEOS膜は、TEOSを原料ガスとした一般的なプラズマCVDにより形成された膜である。
【0080】
まず、
図20に示すように、配線M3および層間絶縁膜IL4上に、HDP膜IL4aとして、酸化シリコン膜を高密度プラズマCVD法を用いて形成する。高密度プラズマCVD法を用いることで、配線M3の膜厚が比較的大きく、配線M3と層間絶縁膜IL4との段差(アスペクト比)が大きい場合であっても、配線M3間を精度よく、また、平坦性よくHDP膜IL4aで埋め込むことができる。特に、高密度プラズマCVD法を用いた場合、前述したように、主として配線M3間および配線M3上に膜が形成される。
【0081】
次いで、
図21に示すように、HDP膜IL4a上に、P−TEOS膜IL4bを形成する。即ち、HDP膜IL4a上に、TEOSを原料ガスとしたプラズマCVDによりP−TEOS膜(酸化シリコン膜)IL4bを堆積する。
【0082】
この後、P−TEOS膜IL4bの表面をCMP法などを用いて平坦化するのであるが、あらかじめ平面的に大きい(幅の広い)配線M3上のHDP膜IL4aおよびP−TEOS膜IL4bをドライエッチングにより除去する。ここでは、
図22に示すように、パッド形成領域BPの配線M3およびシールリング形成領域1Cの配線M3上のHDP膜IL4aおよびP−TEOS膜IL4bをドライエッチングにより除去し、開口部OA3を形成する。
【0083】
次いで、
図23に示すように、HDP膜IL4aおよびP−TEOS膜IL4bの表面をCMP法などを用いて平坦化する。次いで、
図24に示すように、HDP膜IL4aおよびP−TEOS膜IL4b上に、P−TEOS膜IL4cを形成する。即ち、HDP膜IL4aおよびP−TEOS膜IL4b上に、TEOSを原料ガスとしたプラズマCVDによりP−TEOS膜IL4cを堆積する。これにより、配線M3上に、HDP膜IL4aとP−TEOS膜IL4b、IL4cの積層膜よりなる層間絶縁膜IL4が形成される。この層間絶縁膜IL4の膜厚は、8μm程度であり、4μm以上が好ましい。
【0084】
次いで、
図25に示すように、パッド形成領域BPの配線M3およびシールリング形成領域1Cの配線M3上の層間絶縁膜IL4を除去することにより、開口部OA1、OAを形成する。例えば、開口部OA1、OAの形成領域に開口部を有するフォトレジスト膜を層間絶縁膜IL4上に形成し、このフォトレジスト膜をマスクとして層間絶縁膜IL4をエッチングすることにより、開口部OA1、OAを形成する。パッド形成領域BPの開口部OA1の底面には、配線M3が露出する。
【0085】
次いで、
図26に示すように、開口部OA1、OA内を含む層間絶縁膜IL4上に、配線M4を形成する。例えば開口部OA1、OA内を含む層間絶縁膜IL4上に、導電性膜として、アルミニウム膜、およびチタン/窒化チタン膜よりなる積層膜を、スパッタリング法などを用いて順次堆積する。次いで、上記積層膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してパターニングすることにより配線M4を形成する。この配線M4の膜厚は、3〜4μm程度である。
【0086】
ここで、トランス形成領域1Aにおいては、上層のコイルCL2を配線M4と同層で形成する。即ち、上記積層膜をパターニングする際、トランス形成領域1Aにおいては、前述した渦巻き状の導電性膜(コイルCL2)を形成する(
図3参照)。また、本実施の形態においては、前述したように、上記周辺回路形成領域1Bの配線M4と同層の配線M4を、シールリング形成領域1Cの配線M3上に囲み配線として形成する。
【0087】
次いで、
図27および
図28に示すように、コイルCL2および配線M4上に、保護膜PROとして、絶縁膜を形成する。ここでは、絶縁膜として、例えば、窒化シリコン膜PROaとポリイミド膜PRObとの積層膜を形成する。まず、
図27に示すように、コイルCL2および配線M4上に、CVD法などを用いて窒化シリコン膜PROaを堆積する。次いで、
図28に示すように、窒化シリコン膜PROa上の図示しないフォトレジスト膜をマスクとして、配線M4のパッド領域PD2上の窒化シリコン膜PROaをエッチング除去することにより、パッド領域PD2の配線M4を露出させる。
【0088】
次いで、パッド領域PD2および窒化シリコン膜PROa上に、感光性のポリイミド膜PRObを塗布する。例えば、SOI基板Sの表面に、ポリイミドの前駆体液を回転塗布した後、乾燥させることによりポリイミド膜PRObを形成する。次いで、感光性のポリイミド膜PRObを、露光・現像することによりパッド領域PD2上のポリイミド膜PRObを除去し、開口部OA2を形成する(
図2参照)。この際、シールリング形成領域1Cの配線M3の上方のポリイミド膜PRObも除去する。この後、熱処理を施し、ポリイミド膜PRObを硬化させる。
【0089】
その後、ウエハ状のSOI基板Sをチップ領域毎に切断(ダイシング)して複数の半導体チップに分割(個片化)する。これにより、SOI基板S(半導体ウエハ)の各チップ領域から半導体チップが取得される。なお、ダイシングの前に、SOI基板Sの裏面研削を行い、SOI基板Sを薄膜化してもよい。
【0090】
そして、切り出された半導体チップのパッド領域PD2と他の半導体チップのパッド領域との間をワイヤなどで接続することにより、2つの半導体チップ間が電気的に接続された半導体装置が形成される(
図1参照)。
【0091】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1で説明した半導体装置の適用箇所例について説明する。
図29は、本実施の形態の半導体装置の構成を示すブロック図である。
図30は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0092】
図29に示す半導体装置は、チップCH1とチップCH2がワンパッケージ化されている。
【0093】
チップCH1は、送信回路Txに接続されたコイルCL1と、コイルCL2とからなるトランスを有する。コイルCL2は、チップCH2の受信回路Rxにパッド領域PD2およびワイヤWを介して接続されている。なお、
図29および
図30において、パッド領域PD2は四角で示してある。
【0094】
また、チップCH1は、受信回路Rxおよび論理回路Logicを有する。論理回路Logicは、チップCH1の送信回路Txおよび受信回路Rxと接続され、論理回路Logicは、複数のパッド領域PD2と接続されている。
【0095】
チップCH2は、送信回路Txに接続されたコイルCL4と、コイルCL3とからなるトランスを有する。コイルCL3は、チップCH1の受信回路Rxにパッド領域PD2およびワイヤWを介して接続されている。
【0096】
また、チップCH2は、受信回路Rxおよび論理回路Logicを有する。論理回路Logicは、チップCH2の送信回路Txおよび受信回路Rxと接続され、論理回路Logicは、複数のパッド領域PD2と接続されている。
【0097】
図30に示すように、チップCH1のコイルCL2は、ワイヤWを介してチップCH2の受信回路Rxと接続されている。コイルCL2の下層には、図示しないコイル(CL1)が配置され、チップCH1の送信回路Txと図示しない配線を介して接続されている。
【0098】
また、チップCH2のコイルCL3は、ワイヤWを介してチップCH1の受信回路Rxと接続されている。コイルCL3の下層には、図示しないコイル(CL4)が配置され、チップCH2の送信回路Txと図示しない配線を介して接続されている。
【0099】
例えば、チップCH2には、論理回路Logicが配置されている。チップCH2において、論理回路Logic、送信回路Txおよび受信回路Rxなどよりなる周辺回路は、複数のパッド領域PD2と図示しない配線を介して接続されている。また、チップCH1において、論理回路Logic、送信回路Txおよび受信回路Rxなどよりなる周辺回路は、複数のパッド領域PD2と図示しない配線を介して接続されている。
【0100】
チップCH1およびCH2のパッド領域PD2は、ワイヤWを介してリードRDと接続されている。
【0101】
このような半導体装置において、チップCH2の論理回路Logic、送信回路Txおよび受信回路Rxなどよりなる周辺回路部およびトランス(コイルCL1、CL2)部に、実施の形態1の構成(
図2等参照)を適用することができる。
【0102】
また、チップCH1の論理回路Logic、送信回路Txおよび受信回路Rxなどよりなる周辺回路部およびトランス(コイルCL3、CL4)部に、実施の形態1の構成(
図2等参照)を適用することができる。
【0103】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1の各種応用例について説明する。
【0104】
<応用例1>
実施の形態1においては、パッド領域PD2を略中心として右巻きの一連のコイル部を有するコイルCL2(シングルコイル、
図3参照)を例示したが、コイルCL2の形状に制限は無く、種々の形状のコイルを用いることができる。
【0105】
図31は、本実施の形態の応用例1のコイルの構成を示す平面図である。
図31に示すコイルCL2は、2つのコイル部を有する。即ち、第1のパッド領域PD2を略中心として右巻きの一連のコイル部と、第2のパッド領域PD2を略中心として左巻きの一連のコイル部とを有し、これらの2つのコイル部の外側の端部がそれぞれ第3のパッド領域PD2と接続されている。
【0106】
図32は、本実施の形態の応用例1のコイルの他の構成を示す平面図である。
図32に示すコイルCL2は、2つのコイル部を有する。即ち、第1のパッド領域PD2を略中心として右巻きの一連のコイル部と、第2のパッド領域PD2を略中心として右巻きの一連のコイル部とを有し、これらの2つのコイル部の外側の端部がそれぞれ第3のパッド領域PD2と接続されている。
【0107】
このように、2つのコイル部と3つのパッド領域PD2を有する上層のコイルCL2を用いてもよい。この場合、下層のコイルCL1は、上層のコイルと同様の2つのコイル部を有するように構成される。このような、2つのコイル部を有するコイルを「ツインコイル」と呼ぶ。
【0108】
図33は、ツインコイルを用いた場合の半導体装置の要部断面図であり、
図34は、ツインコイルを用いた場合の半導体装置の要部平面図である。
【0109】
図33に示すように、上層のコイルCL2と配線M4との距離DM4は、上層のコイルCL2と配線M3との距離DM3より大きい(DM4>DM3)。また、上層のコイルCL2と配線M3との距離DM3は、上層のコイルCL2と下層のコイルCL1との間の距離(層間絶縁膜IL3とIL4の膜厚の和、例えば、5μm程度)以上である。
【0110】
図34に示す、ラインL1は、上層のコイルCL2と配線M4とのスペースを示す枠である。ラインL2は、上層のコイルCL2と配線M3とのスペースを示す枠である。言い換えれば、配線M4は、ラインL1より外側(コイルCL2側とは逆側の領域)に配置され、配線M3は、ラインL1より外側に配置される。
【0111】
このように、上層のコイルCL2と配線M4との距離DM4を、上層のコイルCL2と配線M3との距離DM3より大きくし、さらに、上層のコイルCL2と配線M3との距離DM3を、上層のコイルCL2と下層のコイルCL1との間の距離(層間絶縁膜IL3とIL4の膜厚の和)以上とする。これにより、ツインコイルを用いる場合においても、実施の形態1の場合と同様に、高い電圧差が生じやすいコイルCL2と配線M4との間や、コイルCL2と配線M3との間の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0112】
図35は、ツインコイルを用いた場合の半導体装置(パッケージ)の構成例を示す平面図である。
図35に示す半導体装置は、チップCH1とチップCH2がワンパッケージ化されている。なお、コイルとしてツインコイルを用い、2つのコイル部(図示せず)と3つのパッド領域PD2を有する他は、実施の形態2(
図30)の場合と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0113】
<応用例2>
実施の形態1においては、トランス形成領域1A等を、シリコン層Scを貫通するディープトレンチ絶縁膜DTIで囲む構成とし、トランス形成領域1Aのウエル電位の変動を抑制したが、さらに、トランス形成領域1Aのウエル電位を固定してもよい。
【0114】
図36は、本実施の形態の応用例2の半導体装置の構成を示す要部断面図である。
図36に示すように、応用例2の半導体装置においては、トランス形成領域1Aのシリコン層Sc中に、n型ウエルNWが形成されている。
【0115】
そして、このn型ウエルNW中には、n型半導体領域NLが形成され、このn型半導体領域NLは、プラグP1を介して配線M1と接続されている。例えば、この配線M1を介して、接地電位線とn型半導体領域NLとを接続する。これにより、トランス形成領域1Aのn型ウエルNWが、接地電位に固定される。このように、トランス形成領域1Aを、シリコン層Scを貫通するディープトレンチ絶縁膜DTIで囲む構成とし、さらに、トランス形成領域1Aのn型ウエルNWを所定の電位(例えば、接地電位)に固定することにより、下層のコイルCL1とp型ウエルPW間の容量の変動を、さらに小さくでき、コイル間における電気信号の伝達精度を向上し、動作の安定化を図ることができる。
【0116】
n型半導体領域NLは、例えば、実施の形態1で説明したMISFET(NT)のソース、ドレイン領域SDと同じイオン注入工程で形成することができる。また、n型半導体領域NLと接続されるプラグP1、配線M1は、実施の形態1で説明したプラグP1、配線M1と同様に形成することができる。
【0117】
また、支持基板Saにも、所定の電位(例えば、接地電位)を印加してもよい。このように、支持基板Saの電位を所定の電位(例えば、接地電位)に固定することによっても、トランス形成領域1Aのウエルの電位の変動を小さくすることができる。
【0118】
また、n型半導体領域NL、n型ウエルNWおよびシリコン層Scをすべてn型にすることで、電位の固定を強固にすることができる。また、n型半導体領域NL、n型ウエルNWおよびシリコン層Scに対応する領域をp型としても、電位の固定を強固にすることができる。
【0119】
<応用例3>
図37は、本実施の形態の応用例3のコイルの構成を示す平面図である。
図37に示すコイルCL2は、2つのコイル部を有する。即ち、第1のパッド領域PD2を略中心として右巻きの一連のコイル部と、第2のパッド領域PD2を略中心として左巻きの一連のコイル部とを有し、これらの2つのコイル部の外側の端部がそれぞれ第3のパッド領域PD2と接続されている。
【0120】
そして、この
図37においては、パッド領域PD2の形状が、八角形である。このように、一巻きのコイルの形状を八角形とし、その内部に配置されるパッド領域PD2の形状も、一巻きのコイルの形状と対応させ、八角形としてもよい。さらに、2つのコイル部間に設けられるパッド領域PD2も、2つのコイルの最外周のコイルの巻きの形状と対応するように、八角形としてもよい。
【0121】
このように、コイル部内およびコイル部間に配置されるパッド領域PD2の形状をコイルの巻きの形状と対応させることにより、コイル面積を小さくすることができる。
【0122】
なお、本応用例においては、パッド領域PD2の形状として八角形を例に説明したが、六角形など、四角形より辺の数が多い他の多角形としてもよい。また、多角形においては、各辺の長さの差が小さく、より正多角形状に近い方が好ましい。
【0123】
<応用例4>
本応用例においては、パッド領域PD1上の開口部OA1の形状について説明する。
図38は、パッド領域上の開口部の形状と、配線の形状との関係を示す図である。
図38(A)は、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状を八角形状とした場合、(B)は、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状を四角形状とした場合を示す。
【0124】
図38(B)に示すように、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状を四角形状とした場合には、四角形の角部(C−C部)において、配線M4がオーバーハング形状となり、配線M4を覆う絶縁膜(ここでは、窒化シリコン膜PROa)に割れが生じる場合がある。一方、四角形の直線部(B−B部)においては、配線M4の膜厚差が小さい。
【0125】
これに対し、
図38(A)に示すように、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状を八角形状とした場合には、八角形の角部(C−C部)において、配線M4のオーバーハング形状が改善され、八角形の直線部(B−B部)との形状差が緩和される。
【0126】
このように、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状を八角形や六角形など、四角形より辺の数が多い他の多角形とすることにより、角部の角度を大きくでき、角部における絶縁膜(ここでは、窒化シリコン膜PROa)の割れの発生を低減することができる。
【0127】
特に、コイルCL1、CL2間の絶縁耐圧を確保するため、コイルCL1、CL2間の絶縁膜の膜厚を大きくした場合には、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状を大きく、深く形成せざるを得ない。このため、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状において、ラウンド化される角部の割合が直線部に対して小さくなるため、角部における絶縁膜(ここでは、窒化シリコン膜PROa)の割れが生じやすい。また、配線M4の材料としてAl材料を用いた場合には、Al材料がその上部に形成される絶縁膜(ここでは、窒化シリコン膜PROa)より柔らかいため、Al材料の変化に絶縁膜(ここでは、窒化シリコン膜PROa)の変化が追従できず、割れが生じやすい。
【0128】
これに対し、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状を四角形より辺の数が多い他の多角形とすることにより、角部の角度を大きくでき、角部における絶縁膜の割れの発生を低減することができる。
【0129】
図39は、パッド領域上の開口部の断面形状を示す図である。
図38(B)を参照しながら説明したように、パッド領域PD1上の開口部OA1の平面形状を四角形状とした場合には、角部(C−C部)において、配線M4がオーバーハング形状となり、配線M4を覆う絶縁膜(ここでは、窒化シリコン膜PROa)に割れが生じやすい。そこで、
図39に示すように、開口部OA1の側面の上部をテーパー形状としてもよい。言い換えれば、開口部OA1の側面の上部にテーパー面TPを設ける。このテーパー面TPと配線M3との角度(テーパー角度)は、例えば、45°程度であり、20°以上90°未満の範囲で調整することが好ましい。
【0130】
このように、開口部OA1の側面の上部をテーパー形状とすれば、開口部OA1の平面形状が四角形状であっても、配線M4を覆う絶縁膜(ここでは、窒化シリコン膜PROa)の割れの発生を低減することができる。
【0131】
このように、開口部OA1の側面の上部をテーパー形状とするには、例えば、上記エッチング工程において、フォトレジスト膜(図示せず)をマスクとしたウエットエッチングにより、層間絶縁膜IL4を0.2μm〜0.3μm(ここでは、0.25μm(約3%))程度の膜厚分をエッチングした後、フォトレジスト膜をマスクとしたドライエッチングにより、配線M3(パッド領域PD1)が露出するまで残りの層間絶縁膜IL4をエッチングする。例えば、ウエットエッチングには、フッ酸溶液(フッ化水素酸)を用い、ドライエッチングには、フッ素系ガスを用いることができる。
【0132】
なお、開口部OA1の側面全体をテーパー形状としてもよい。また、開口部OA1の平面形状を八角形状としつつ、開口部OA1の側面の上部をテーパー形状としてもよい。
【0133】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、HDP膜IL4aまたは層間絶縁膜IL4を分割するためのダミー配線について説明する。
図40は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図41は、本実施の形態の半導体装置のダミー配線の形状を示す平面図である。ダミー配線DMM3以外の構成は、実施の形態1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0134】
図40に示すように、本実施の形態においては、素子形成領域BEに、配線M3と同層の配線であるダミー配線DMM3が配置されている。
図41に示すように、例えば、ダミー配線DMM3の平面形状を格子状とすることができる。例えば、周辺回路を構成する複数の論理回路のブロックエリアBAを囲むようにダミー配線DMM3を格子状に設ける。ブロックエリアBAには、MISFET(NT、PT)などの素子が形成される。
【0135】
このように、ダミー配線DMM3を設けることで、HDP膜IL4aを分割することができ、HDP膜IL4aに起因する膜応力を緩和することができる。なお、ダミー配線DMM3の平面形状は、上記格子状に限定させるものではなく、論理回路のブロックエリアBA間を利用して点在させてもよい。このような、ダミー配線DMM3は、MISFETなどの半導体素子の結線を行い、論理回路を構成するものではない。よって、回路動作に寄与するものではなく、ダミー配線DMM3は、例えば、フローティング状態または所定の電位に固定される。
【0136】
図42は、本実施の形態の半導体装置の他の構成を示す断面図である。
図42に示す半導体装置は、配線M3と同層の配線であるダミー配線DMM3と、配線M4と同層の配線であるダミー配線DMM4との積層配線を有する。このように、積層配線よりなるダミー配線(DMM3、DMM4)を設けることで、層間絶縁膜IL4全体を分割することができ、比較的厚く形成される層間絶縁膜IL4に起因する膜応力を緩和することができる。この積層配線よりなるダミー配線(DMM3、DMM4)の平面形状に限定は無く、例えば、
図41に示すような格子状とすることができる。
【0137】
(実施の形態5)
図43は、本実施の形態の半導体装置の構成を示すブロック図である。
図44および
図45は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
図44は、実施の形態1で説明したシングルコイルを用いた場合であり、
図45は、実施の形態3で説明したツインコイルを用いた場合である。
【0138】
図43および
図44に示す半導体装置においても、実施の形態2の場合と同様に、チップCH1とチップCH2がワンパッケージ化されている。
【0139】
図43および
図44に示すように、チップCH1は、送信回路Txに接続されたコイルCL1と、コイルCL2とからなるトランスを有する。コイルCL2は、チップCH2の受信回路Rxにパッド領域PD2およびワイヤWを介して接続されている。
【0140】
また、チップCH1は、実施の形態2の場合と同様に、受信回路Rxおよび論理回路Logicを有する。論理回路Logicは、チップCH1の送信回路Txおよび受信回路Rxと接続され、論理回路Logicは、複数のパッド領域PD2と接続されている。
【0141】
チップCH2は、実施の形態2の場合と同様に、送信回路Txに接続されたコイルCL4と、コイルCL3とからなるトランスを有する。コイルCL3は、チップCH1の受信回路Rxにパッド領域PD2およびワイヤWを介して接続されている。また、チップCH2は、受信回路Rxおよび論理回路Logicを有する。論理回路Logicは、チップCH2の送信回路Txおよび受信回路Rxと接続され、論理回路Logicは、複数のパッド領域PD2と接続されている。
【0142】
ここで、本実施の形態の半導体装置においては、温度制御信号の送受信を行う機能が追加され、トランス(CL5、CL6)、受信回路Rxaおよび送信回路Txaが設けられている。なお、他の構成は、実施の形態2の場合と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0143】
即ち、チップCH2には、送信回路Txaに接続されたコイルCL6と、コイルCL5とからなるトランスが追加されている。また、チップCH2には、送信回路Txaが追加されている。この送信回路は、例えば、温度制御信号の送信を行う。
【0144】
このように、本実施の形態においては、高電圧領域HC側のチップCH2に、2つのトランスを設け、低電圧領域LC側のチップCH1に、1つのトランス(CL1、CL2)が設けられている。チップCH2は、チップCH1より大きい。
【0145】
ここで、本実施の形態においては、チップCH1に、1つのトランスがチップCH1の長辺側の略中央部に配置され、このトランスと接続されるチップCH2の受信回路RxがチップCH2の長辺側の略中央部に配置されている。また、チップCH2の2つのトランスは、チップCH2の長辺側の略中央部に配置する受信回路Rxの両側に配置されている。そして、チップCH1の長辺側の略中央部に配置されているトランスの両側には、2つの受信回路Rx、Rxaが配置されている。チップCH2の2つのトランスと、チップCH1の2つの受信回路Rx、Rxaは、それぞれ対向して配置されている。
【0146】
図43に示すように、例えば、IGBT回路の温度センサーから出力された温度制御信号が、パッド領域PD2を介してチップCH2に入力される。この温度制御信号は、制御回路CCを介して論理回路Logicに入力され、さらに、送信回路Txaに伝送される。そして、温度制御信号は、コイルCL5とコイルCL6とからなるトランスを介してチップCH2の受信回路Rxaに入力される。
【0147】
このように、3つのトランスを有する場合には、送信側のパッド領域PD2、即ち、トランスに接続されるパッド領域PD2と、受信側のパッド領域PD2、即ち、受信回路Rxとの組み合わせを対応するように配置する。これにより、送信側のパッド領域PD2と受信側のパッド領域PD2とを接続するワイヤWが交差することがなく、ワイヤW間のショートを防止することができ、また、ワイヤWによる接続が容易となる。また、短いワイヤWで電気的接続が可能となる。
【0148】
図45に示すツインコイルを用いた場合も同様である。即ち、チップCH1に、1つのトランスがチップCH1の長辺側の略中央部に配置され、このトランスと接続されるチップCH2の受信回路RxがチップCH2の長辺側の略中央部に配置されている。また、チップCH2の2つのトランスは、チップCH2の長辺側の略中央部に配置する受信回路Rxの両側に配置されている。そして、チップCH1の長辺側の略中央部に配置されているトランスの両側には、2つの受信回路Rx、Rxaが配置されている。チップCH2の2つのトランスと、チップCH1の2つの受信回路Rx、Rxaは、それぞれ対向して配置されている。このようにツインコイルを用いた場合においても、上記レイアウトとすることにより、ワイヤWが交差して配置されることを防止でき、短いワイヤWで電気的接続が可能となる。なお、シングルコイルを用いる方が、ツインコイルを用いるよりも半導体装置の省面積化を図ることができ点で有利である。
【0149】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0150】
例えば、実施の形態1においては、配線M1〜配線M3をパターニングにより形成したが、層間絶縁膜中に設けた配線溝に導電性膜を埋め込む、いわゆる“ダマシン法”を用いて配線M1〜配線M3を形成してもよい。
【0151】
また、実施の形態1においては、SOI基板を例に説明したが、いわゆる“バルク基板”を用いてもよい。
【0152】
[付記1]
第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを囲む第3領域とを有する基板と、
前記基板の上方に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の上に形成された第1コイルおよび第1配線と、
前記第1コイルおよび前記第1配線の上に形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜の上に形成された第2配線と、
前記第2配線の上に形成された第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜の上に形成された第2コイルおよび第3配線と、
を有し、
前記第1コイルおよび前記第2コイルは、前記第1領域に形成され、
前記第2配線および前記第2配線と接続される能動素子は、前記第2領域に形成され、
前記第3領域に、前記第1領域と前記第2領域とを囲む形状に形成され、前記第2配線と同層の配線よりなる第1囲み配線を有する、半導体装置。
【0153】
[付記2]
付記1記載の半導体装置において、
前記第1囲み配線の上に形成された第2囲み配線であって、前記第3領域に、前記第1領域と前記第2領域とを囲む形状に形成され、前記第3配線と同層の配線よりなる第2囲み配線を有する、半導体装置。
【0154】
[付記3]
第1半導体チップと第2半導体チップとを含む半導体装置であって、
前記第1半導体チップは、
第1送信回路と、
前記第1送信回路と接続される第1コイルと、第2コイルとを有する第1トランスと、
第1受信回路と、
前記第1受信回路と接続される第1受信パッドと、
第2受信回路と、
前記第2受信回路と接続される第2受信パッドと、を有し、
前記第2半導体チップは、
第3受信回路と、
前記第3受信回路と接続される第3受信パッドと、
第2送信回路と、
前記第2送信回路と接続される第3コイルと、第4コイルとを有する第2トランスと、
第3送信回路と、
前記第3送信回路と接続される第5コイルと、第6コイルとを有する第3トランスと、を有し、
前記第1半導体チップの前記第2コイルの両側に、前記第1受信パッドと前記第2受信パッドが配置され、
前記第2半導体チップの前記第3受信パッドの両側に、前記第4コイルと前記第6コイルが配置され、
前記第2コイルと前記第3受信パッドとは、導電性の第1接続用部材を介して電気的に接続され、
前記第4コイルと前記第1受信パッドとは、導電性の第2接続用部材を介して電気的に接続され、
前記第6コイルと前記第2受信パッドとは、導電性の第3接続用部材を介して電気的に接続され、
前記第1接続用部材、前記第2接続用部材および前記第3接続用部材は、交差しない、半導体装置。