(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
指向性を有する複数のセンサアレイにより得られる信号であって、検出対象の信号及びこの検出対象の信号の帯域よりも広帯域の不要信号が混在した信号である受信信号から前記不要信号が除去された信号を得る信号処理方法において、
前記受信信号のうち前記検出対象の信号が含まれない高周波数帯域、低周波数帯域又はその両方の信号のみを参照信号として抽出する抽出処理を行い、
前記複数のセンサアレイのうち一単位のセンサアレイにより受信された受信信号と前記複数のセンサアレイのうち前記一単位のセンサアレイとは異なる別単位のセンサアレイにより受信された受信信号に前記抽出処理を行って得られた前記参照信号とを合わせた仮想出力を行うサブアレイを設定し、
前記一単位のセンサアレイの出力の大小を変化させない条件下で前記仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトを、前記サブアレイが前記参照信号の到来方向に対してヌルを向ける不要信号除去ウェイトとし、
前記サブアレイ毎に、前記一単位のセンサアレイにより受信された受信信号と前記別単位のセンサアレイにより受信された受信信号に前記不要信号除去ウェイトを適用した信号とを合わせた出力信号を得ることで前記不要信号が除去された信号を得る
信号処理方法。
指向性を有する複数のセンサアレイにより得られる信号であって、検出対象の信号及びこの検出対象の信号の帯域よりも広帯域の不要信号が混在した信号である受信信号から前記不要信号が除去された信号を得る信号処理装置において、
前記受信信号のうち前記検出対象の信号が含まれない高周波数帯域、低周波数帯域又はその両方の信号のみを参照信号として抽出する抽出処理部と、
前記センサアレイが前記参照信号の到来方向に対してヌルを向ける不要信号除去ウェイトを決定する決定部と、
前記受信信号に前記不要信号除去ウェイトを適用して前記不要信号が除去された信号を得る除去部と、
を備え、
前記決定部は、前記複数のセンサアレイのうち一単位のセンサアレイにより受信された受信信号と前記複数のセンサアレイのうち前記一単位のセンサアレイとは異なる別単位のセンサアレイにより受信された受信信号に前記抽出処理を行って得られた前記参照信号とを合わせた仮想出力を行うサブアレイを設定し、前記一単位のセンサアレイの出力の大小を変化させない条件下で前記仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトを前記サブアレイが前記参照信号の到来方向に対してヌルを向ける不要信号除去ウェイトとし、
前記除去部は、前記サブアレイ毎に、前記一単位のセンサアレイにより受信された受信信号と前記別単位のセンサアレイにより受信された受信信号に前記不要信号除去ウェイトを適用した信号とを合わせた出力信号を得ることで前記不要信号が除去された信号を得る
信号処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0022】
[第1実施例]
まず、本発明の第1実施例について、
図1〜
図6を参照して説明する。
図1は、本実施例に係る信号処理方法を実行する信号処理装置1と、センサアレイA
1,A
2,…,A
M及びセンサアレイA
1,A
2,…,A
Mが受信する信号との関係を示す模式図である。信号処理装置1は、指向性を有する所定数(複数)のセンサアレイ(例えばM個のセンサアレイA
1,A
2,…,A
M)により受信される信号を処理する。具体的には、例えば
図1に示すように、信号処理装置1は、複数のセンサアレイと接続される。複数のセンサアレイは、例えばアレイアンテナのような受信部2を構成する。複数のセンサアレイと信号処理装置1とは、例えばA/D変換器3を介して接続される。A/D変換器3は、センサアレイにより得られる信号(アナログ信号x(t))をデジタル信号x(k)に変換する。以下、このデジタル信号を「受信信号」とする。すなわち、受信信号は、複数のセンサアレイにより得られる信号である。このデジタル信号x(k)には、検出対象の信号Sigのベースバンド信号と、不要信号Noiがデジタル化された信号とが混在する。検出対象の信号Sigのベースバンド信号は、検出対象の信号Sigの搬送波(アナログ信号)から復元された、この検出対象の信号Sigが搬送波に変換される前の信号(デジタル信号)である。
【0023】
複数のセンサアレイは、そのセンサアレイにより構成されるものに応じた信号を受信する。具体的には、例えばアレイアンテナを構成する複数のセンサアレイは、所定の帯域(可聴域)の電波を受信する。
図1に示すように、複数のセンサアレイにより受信される電波には、受信することが意図された信号(検出対象の信号Sig)と、意図に反して受信されるノイズとしての信号(不要信号Noi)とが混在している。不要信号Noiは、検出対象の信号Sigの帯域よりも広帯域の信号である(
図3参照)。
図1では、検出対象の信号Sigの発信源P1及び不要信号Noiの発信源P2がそれぞれ一つであるが、一例であってこれに限られるものでなく、一方又は両方が二つ以上であり得る。
図1では、センサアレイA
1,A
2,…,A
Mに対する検出対象の信号Sigの到来方向をθ
d(t)としている。また、センサアレイA
1,A
2,…,A
Mに対する不要信号Noiの到来方向をθ
i(t)としている。なお、これらの到来方向は、例えば受信部2等に設けられたセンサアレイA
1,A
2,…,A
Mの角度により定められた基準軸Fに対する角度で表される。
図1では、θ
d(t),θ
i(t)は2次元的な角度であるが、実際には3次元的角度である。θ
d(t),θ
i(t)はともに不変でなく、複数のセンサアレイ若しくは各々の信号の発信源又はその両方の移動により変化し得る。
【0024】
信号処理装置1は、複数のセンサアレイの各々により得られる信号を個別に取り扱う。
図1では、M個のセンサアレイA
1,A
2,…,A
Mにより得られる信号(アナログ信号)をx
1(t),x
2(t),…,x
M(t)としている。ここで、Mは2以上の整数である。また、第1実施例では、これらのアナログ信号がA/D変換器3により変換された後の信号(デジタル信号)をx
1(k),x
2(k),…,x
M(k)としている。x(t)は、x
1(t),x
2(t),…,x
M(t)を全て含む。x(k)は、x
1(k),x
2(k),…,x
M(k)を全て含む(他の関数についても同様である)。信号処理装置1は、
図1に示すように、複数のセンサアレイの各々にウェイト(例えば
図1に示すウェイトw
1*,w
2*,…,w
M*)を設定することができる。ウェイトw
1*,w
2*,…,w
M*を設定することで、複数のセンサアレイの指向性を任意に設定することができる。すなわち、信号処理装置1は、複数のセンサアレイに指向性を設定することで、複数のセンサアレイにより受信される信号に対して空間的なフィルタリングを施すことができる。具体的には、ウェイトは、センサアレイによる受信信号の振幅及び位相を調節する。受信信号に対してウェイトを適用すると、受信信号の振幅及び位相が調節されることで、ウェイトに対応した角度に対する信号の重み付けが得られる。このように、ウェイトは、センサアレイによる信号の受信角度の調節要素として機能する。
【0025】
信号処理装置1は、複数のセンサアレイにより得られる信号に基づいた出力を行う。具体的には、信号処理装置1は、例えば
図1に示すように、アレイ出力信号y(k)を出力する。このアレイ出力信号y(k)は、複数のセンサアレイにより得られる信号から不要信号Noiが除去された信号である。すなわち、信号処理装置1は、検出対象の信号Sig及びこの検出対象の信号Sigの帯域よりも広帯域の不要信号Noiが混在した信号である受信信号から不要信号Noiが除去された信号を得る機能を有する。
【0026】
図2は、信号処理装置1の主要構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、信号処理装置1は、記憶部11と、演算部12とを備える。記憶部11は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、演算部12により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。
図2では、便宜上、これらのソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等をまとめて「プログラムPro」と図示している。また、記憶部11は、演算部12が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。演算部12は、記憶部11からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、演算部12は、抽出処理部15、決定部16及び除去部17等として機能する。抽出処理部15は、受信信号のうち検出対象の信号Sigが含まれない高周波数帯域、低周波数帯域又はその両方の信号のみを参照信号として抽出する。決定部16は、センサアレイが参照信号の到来方向に対してヌルを向ける不要信号除去ウェイトを決定する。除去部17は、受信信号に不要信号除去ウェイトを適用して不要信号Noiが除去された信号を得る。
【0027】
図3は、複数のセンサアレイの可聴域と、検出対象の信号Sig及び不要信号Noiの帯域と、参照信号の帯域との関係の一例を示す模式図である。
図3に示すように、検出対象の信号Sigは、可聴域に含まれる所定の帯域を用いて送信されることから、複数のセンサアレイにより受信される検出対象の信号Sigの帯域も、この所定の帯域に対応した帯域になる。特に、複数のセンサアレイがあらかじめ検出対象の信号Sigを想定して設けられたものである場合、複数のセンサアレイの可聴域の中心周波数を検出対象の信号Sigの中心周波数又はその付近の周波数にすることができる。一方、不要信号Noiは、不特定の発生源からの信号であることから、複数のセンサアレイにより受信される不要信号Noiの帯域は、検出対象の信号Sigよりも広帯域になる。一般的に、不要信号Noiの帯域は、複数のセンサアレイの可聴域全体に亘る。このように、複数のセンサアレイにより受信される信号は、検出対象の信号Sig及びこの検出対象の信号Sigの帯域よりも広帯域の不要信号Noiが混在した信号になる。なお、
図3では、検出対象の信号Sigの強度が不要信号Noiの強度よりも弱い場合を示しているが、これは一例であってこれに限られるものでない。本発明による信号処理装置1及び信号処理方法は、検出対象の信号Sigの強度及び不要信号Noiの強度の強弱関係の如何に関わらず用いることができる。
【0028】
図4は、第1実施例の抽出処理部15及び決定部16による処理の一例を示す模式図である。なお、
図4及び後述する
図5〜
図9では便宜上、センサアレイA
M−1及びセンサアレイA
M−1に関する出力も図示しているが、以下の説明では省略することがある。抽出処理部15は、フィルタHF(例えばハイパスフィルタ)を用いて、デジタル信号x(k)から検出対象の信号Sigが含まれない高周波数帯域(例えば
図3に示す高周波数帯域High)の信号のみを参照信号r(k)として抽出する。参照信号は、検出対象の信号Sigが含まれないことから、不要信号Noiのみを成分とする信号になる。なお、参照信号r(k)が抽出される前のデジタル信号x(k)は別途保持される。
【0029】
決定部16は、例えば複数のセンサアレイのうち一単位(例えば一つ)のセンサアレイにより受信された受信信号と複数のセンサアレイのうちこの一単位のセンサアレイとは異なる別単位(例えば複数)のセンサアレイにより受信された受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号とを合わせた仮想出力を行うサブアレイ(例えば、
図4に示すサブアレイSA
1,SA
2,…,SA
M−1,SA
M)を設定する。そして、決定部16は、仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイト(ウェイトw
m)を不要信号除去ウェイトとして決定する。
【0030】
具体的には、決定部16は、例えば
図4に示すように、一つのセンサアレイA
1のデジタル信号x
1(k)と、M個のセンサアレイのうちこの一つのセンサアレイを除く全てのセンサアレイの参照信号r
2(k),…,r
M(k)とからなるグループを設定する。このグループは、すなわち、デジタル信号x
1(k)を出力するセンサアレイA
1と、参照信号r
2(k),…,r
M(k)を出力する全てのセンサアレイA
2,…,A
MとからなるサブアレイSA
1とみなすことができる。ここで、デジタル信号x
1(k)及び参照信号r
2(k),…,r
M(k)からなる信号は、サブアレイSA
1の仮想出力o
1(k)とみなすことができる。決定部16は、
図4に示すように、他のセンサアレイA
2,…,A
Mについても、その一つのセンサアレイのデジタル信号とそれ以外の全てのセンサアレイの参照信号とからなるグループを、サブアレイSA
2,…,SA
Mとして設定する。すなわち、第1実施例において、サブアレイは複数設定される。さらに、第1実施例において、サブアレイSA
1,SA
2,…,SA
Mは、
図1に示すM個のセンサアレイA
1,A
2,…,A
Mの各々を一単位のセンサアレイとして個別に設けられる。
【0031】
サブアレイSA
m(m=1,2,…,M)の仮想出力o
m(k)は、以下の式(1)のように示すことができる。なお、式(1)におけるHは、行列・ベクトルのエルミート転置 (複素共役と転置の両方を行う演算子)を示す。サブアレイSA
mの仮想出力o
m(k)は、第1成分がセンサアレイA
mにより受信された検出対象の信号Sigと不要信号Noiとが混在する信号であるとともに、それ以外の成分がセンサアレイA
m以外の全てのセンサアレイの参照信号である出力になる。ここで、参照信号は、不要信号Noiのみを成分とする信号である。このため、第1成分を出力するセンサアレイA
mの出力の大小を変化させない条件下で仮想出力o
m(k)が最小になるようにそれ以外の成分を出力するセンサアレイの出力が最小となるウェイトをセンサアレイA
m以外のセンサアレイに設定することで、不要信号Noiが最小になった仮想出力o
m(k)を得られることになる。ここで、不要信号Noiを最小にするウェイトは、すなわち、参照信号を構成する不要信号Noiの到来方向に対してヌルを向けるウェイトである。このように、検出対象の信号Sigが含まれる受信信号を出力するセンサアレイA
mの出力の大小を変化させない条件下で仮想出力o
m(k)が最小になるウェイトをセンサアレイA
m以外のセンサアレイに設定することで、参照信号を構成する不要信号Noiの到来方向に対してヌルを向けるウェイトにより不要信号Noiが除去された仮想出力o
m(k)を得ることができる。仮想出力o
m(k)が最小となる場合、仮想電力の出力に係るサブアレイSA
mの出力電力が最小となる。このため、第1実施例において「センサアレイが参照信号の到来方向に対してヌルを向ける不要信号除去ウェイト」とは、参照信号による出力電力が最小になるウェイトであるといえる。
【0033】
参照信号r
m(k)のベクトルは、以下の式(2)のように示すことができる。なお、式(2)におけるTは、行列・ベクトルの転置を示す。また、式(2)における右辺は、行列・ベクトルの各要素が複素数になり得ることを意味する。参照信号r
m(k)のベクトルは、第1成分がサブアレイSA
mを構成するセンサアレイのうち一つのセンサアレイA
mのデジタル信号x
m(k)のベクトルと、この一つのセンサアレイを除く全てのセンサアレイの参照信号のベクトルである。ここで、センサアレイSA
mのウェイトの値を1で固定する条件下で仮想出力o
m(k)が最小となるそれ以外のセンサアレイのウェイトを求めることで、不要信号Noiが除去された仮想出力o
m(k)を得られる。サブアレイSA
mを構成するセンサアレイのビームフォーミングウェイトであるウェイトw
mは、以下の式(3)に示す制約付き最適化問題を解くことで求めることができる。式(3)に含まれるベクトルc及び空間自己相関行列R
rmはそれぞれ、式(4)、式(5)の通りである。式(3)に示す制約付き最適化問題は、ラグランジュの未定乗数法(method of Lagrange multiplier)を用いることにより、式(6)のように解くことができる。ウェイトw
mは、参照信号r(k)に含まれる到来波、すなわち不要信号Noiの波全てに対してヌルを向ける指向性をセンサアレイに設定する指向性パターンを形成する。このため、ウェイトw
mを受信信号であるデジタル信号x(k)に適用することで、受信信号に含まれる不要信号Noiを除去することができるようになる。このように、決定部16は、サブアレイSA
mの仮想出力o
m(k)が最小となるセンサアレイのウェイトw
mをサブアレイSA
mの不要信号除去ウェイトとして決定する。なお、式(6)で示すウェイトw
mは、空間自己相関行列R
rmと既知のベクトルcからなるため、実際にウェイトw
mを求める場合にはこの相関行列を標本平均により求めればよい。式(6)が解かれることで求められるウェイトw
mは、以下の式(7)のように示すことができる。
図4では、式(7)の形式で示すウェイトw
mがサブアレイSA
mに適用された場合を図示している。なお、
図4等では、サブアレイSA
mにおいて検出対象の信号Sigが含まれる受信信号を出力するセンサアレイA
mの出力の大小を変化させないウェイトを「1」として示している。ウェイトが「1」であるとは、そのセンサアレイにより受信可能な角度のいずれにもヌルを向けないことを示す。
【0035】
図5は、第1実施例の除去部17による処理の一例を示す模式図である。除去部17は、受信信号(例えばデジタル信号x(k))に不要信号除去ウェイト(ウェイトw
m)を適用して不要信号Noiが除去された信号を得る。具体的には、除去部17は、以下の式(8)に示す受信信号x(k)のベクトルに対して上記の式(7)のように示すことができるウェイトw
mを適用する。これにより、
図5に示すように、サブアレイ出力b
m(k)を得ることができる。サブアレイ出力b
m(k)は、以下の式(9)のように示すことができる。受信信号x(k)のベクトルにウェイトw
mが適用されたサブアレイ出力b
m(k)からは、不要信号Noiが除去されている。このように、除去部17は、サブアレイSA
m毎に、一単位(例えば一つ)のセンサアレイにより受信された受信信号と別単位のセンサアレイ(例えばこの一つのセンサアレイ以外の全てのセンサアレイ)により受信された受信信号に不要信号除去ウェイトを適用した信号とを合わせた出力信号(例えばサブアレイ出力b
m(k))を得ることで不要信号Noiが除去された信号を得る。第1実施例では、サブアレイ出力b
1(k),b
1(k),…,b
1(k)が合わせられた出力信号が、アレイ出力信号y(k)になる。
【0037】
図6は、信号処理装置1による処理の流れを示すフローチャートである。抽出処理部15は、受信信号のうち検出対象の信号Sigが含まれない高周波数帯域の信号のみを参照信号として抽出する抽出処理を行う(ステップS1)。決定部16は、センサアレイが参照信号の到来方向に対してヌルを向ける不要信号除去ウェイトを決定する(ステップS2)。除去部17は、受信信号に不要信号除去ウェイトを適用して不要信号Noiが除去された信号を得る(ステップS3)。
【0038】
サブアレイ出力b
m(k)に対して信号の到来方向を推定するための所定のアルゴリズム(例えばMUSIC(Multiple Signal Classification)アルゴリズム等)を用いることで、不要信号Noi以外の信号の到来方向、すなわち検出対象の信号Sigの到来方向を推定することができる。また、複数のサブアレイ出力b
m(k)を最大比合成する等の方法による所定のビームフォーミングをさらに実施することで、検出対象の信号Sigの受信レベルをさらに向上させることもできる。信号処理装置1は、上記の所定のアルゴリズムによる処理及び上記の所定のビームフォーミングの少なくとも一方を実行してもよい。その場合、例えば実行内容に応じたソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等が記憶部11に記憶される。
【0039】
以上のように、第1実施例によれば、受信信号のうち検出対象の信号Sigが含まれない高周波数帯域、低周波数帯域又はその両方の信号のみを参照信号として抽出し、この参照信号の到来方向に対してヌルを向ける不要信号除去ウェイトを決定する。このため、受信信号に不要信号除去ウェイトを適用することで受信信号から不要信号Noiを除去することができる。このように、第1実施例によれば、より確実に不要信号Noiを除去することができる。
【0040】
また、抽出処理により抽出された参照信号を含む仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイト(ウェイトw
m)をサブアレイSA
mの不要信号除去ウェイトとして決定する。このため、複数のセンサアレイの受信信号自体から不要信号Noiの到来方向を特定することができるか否かに関係なく、仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトw
mを不要信号除去ウェイトとして決定することで不要信号Noiが除去された信号を得ることができる。このように、第1実施例によれば、より確実に不要信号Noiを除去することができる。
【0041】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について、
図7及び
図8を参照して説明する。第2実施例の説明においては、第1実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略することがある。第2実施例では、抽出処理部15によるフィルタリングの対象及び決定部16により設定されるサブアレイSA
mを構成するセンサアレイの具体的態様が第1実施例と異なる。
【0042】
図7は、第2実施例においてサブアレイSA
mを構成するセンサアレイの具体的態様を示す模式図である。第2実施例では、
図7に示すように、MP(=M×P)個のセンサアレイが設けられているものとする。ここで、Pは2以上の整数である。第2実施例においてサブアレイSA
mを構成する一単位のセンサアレイは、P個のセンサアレイが組になったものである。一単位のセンサアレイを構成するP個のセンサアレイは、それぞれビームフォーミング(例えば前処理のビームフォーミング)により信号の受信方向が限定されている。具体的には、例えば
図7に示すようなビームフォーミング制御部BF
1,BF
2,…,BF
M−1,BF
Mにより前処理のビームフォーミングが行われる。ビームフォーミング制御部BF
1,BF
2,…,BF
M−1,BF
Mは、例えば記憶部11のプログラムに応じて演算部12の一機能として実行されてもよいし、専用の構成であってもよい。各単位のセンサアレイの受信方向は、それぞれ異なっていてもよいし、一部又は全部で共通の受信方向であってもよい。ここで、前処理のビームフォーミングとは、例えば、センサアレイが受信可能な受信方向から、明らかに検出対象の信号Sigの到来方向でないと判断される方向を除くためのビームフォーミングである。明らかに検出対象の信号Sigの到来方向でないとの判断は、例えば既知のビームフォーミング技術により行われる。このように、第2実施例における一単位のセンサアレイ及び別単位のセンサアレイは、ビームフォーミングにより信号の受信方向が限定された複数(例えばP個)のセンサアレイにより構成される。また、第2実施例における別単位のセンサアレイは、この一単位のセンサアレイが複数組み合わされてなる。なお、第2実施例でサブアレイSA
mを構成する各単位のセンサアレイに対して用いられるビームフォーミングは、適応ビームフォーミングであってもよいし、固定ビームフォーミングであってもよい。
【0043】
第2実施例では、各単位のセンサアレイによる受信信号をx
1(k),x
2(k),…,x
M(k)として扱う。第2実施例の抽出処理部15は、それぞれP個のセンサアレイが組になった各単位のセンサアレイによる受信信号x
1(k),x
2(k),…,x
M(k)を含むデジタル信号x(k)から検出対象の信号Sigが含まれない高周波数帯域(例えば
図3に示す高周波数帯域)の信号のみを参照信号r(k)として抽出する。すなわち、第1実施例において複数のセンサアレイの各々の参照信号であったr
1(k),r
2(k),…,r
M(k)が、第2実施例では各単位の参照信号になる。また、第2実施例の決定部16は、複数のセンサアレイのうち係る一単位のセンサアレイにより受信された受信信号とこの一単位のセンサアレイとは異なる別単位のセンサアレイ(この一単位のセンサアレイを構成する組を除いたセンサアレイの組)により受信された受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号とを合わせた仮想出力を行うサブアレイ(例えば、
図7に示すサブアレイSA
1,SA
2,…,SA
M−1,SA
M)を設定する。そして、決定部16は、仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトw
mを不要信号除去ウェイトとして決定する。抽出処理部15及び決定部16による具体的な処理内容は、第1実施例と同様である。
図7を参照して説明した抽出処理部15によるフィルタリングの対象及び決定部16により設定されるサブアレイSA
mを構成するセンサアレイの具体的態様を除いて、第2実施例の構成は第1実施例と同様である。すなわち、第2実施例の除去部17は、
図8に示すように、上記のように説明した第2実施例におけるサブアレイSA
mを構成する受信信号x(k)のベクトルに対して上記の式(7)のように示すことができるウェイトw
mを適用する。
【0044】
以上、第2実施例によれば、ビームフォーミングにより受信の方向が限定されることで、明らかに検出対象の信号Sigを含まない方向をセンサアレイの受信方向から除外することができ、不要信号Noiをより少なくすることができる。また、一単位のセンサアレイ及び別単位のセンサアレイが複数(例えばP個)のセンサアレイにより構成されるので、これらの各単位のセンサアレイからの出力をより安定させることができることに加え、抽出処理の対象がより集約されることから、より効率的に不要信号Noiの除去に係る処理を行うことができる。
【0045】
例えば、第1実施例におけるセンサアレイの総数と、第2実施例におけるセンサアレイの総数とが同一である場合、一単位のセンサアレイが複数のセンサアレイである第2実施例の方が抽出処理の対象がより集約されるとともに、サブアレイSA
mに入力される参照信号の数が相対的に減少することになる。このため、第2実施例によれば、不要信号除去ウェイトw
mの決定に係る処理負荷をより低減することができる。
【0046】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について、
図9を参照して説明する。第3実施例の説明においては、第1実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略することがある。第3実施例では、別単位のセンサアレイにタップ付き遅延線路が設けられる。別単位のセンサアレイから得られた参照信号は、一単位のセンサアレイにより受信された受信信号からこの参照信号を差し引くように合わせられる。また、第3実施例では、一単位のセンサアレイにより受信された受信信号から別単位のセンサアレイにより受信されてタップ付き遅延線路を経た受信信号に不要信号除去ウェイトを適用した信号を差し引くように合わせた出力信号を得ることで不要信号Noiが除去された信号を得る。
【0047】
図9は、第3実施例における一つのサブアレイSB
1から得られる仮想出力の構成を示す模式図である。以下、サブアレイSB
1を例として、第3実施例について説明する。
図9に示すように、サブアレイSB
1の仮想出力を構成する信号のうち、参照信号r
2(k),…,r
M(k)は、それぞれタップ付き遅延線路を経て、受信信号x
1(k)と合わせられて仮想出力p
1(k)を構成する。参照信号r
2(k),…,r
M(k)の各々が受信信号x
1(k)と合わせられるまでの伝送経路の各々に設けられるタップ付き遅延線路の構成は共通である。
図9に示すZ
−1は単位遅延演算子を表す。タップ付き遅延線路は、抽出処理により抽出された参照信号r
m(k)(例えば
図9に示すr
2(k),…,r
M(k))がサブアレイの仮想出力を構成する受信信号(例えばサブアレイSB
1の仮想出力p
1(k)を構成する受信信号x1(k))に合わせられるまでの伝送経路上に、一又は複数の単位遅延演算子を直列に設定する。
図9に示すタップ付き遅延線路のタップ長はLであり、一つのタップ付き遅延線路に(L−1)個の単位遅延演算子が設けられる。ここで、Lは2以上の整数である。抽出処理により抽出された参照信号r
m(k)が(L−1)個の単位遅延演算子のうちl個の単位遅延演算子を経て出力された場合、出力される参照信号はr
m(k−l)になる。ここで、lは、1以上(L−1)以下の整数である。
【0048】
図9に示すように、(L−1)個の単位遅延演算子の各々から出力される参照信号は、サブアレイSB
1の仮想出力を構成する受信信号からこの参照信号を差し引くように合わせられる。ここで、受信信号に合わせられる参照信号の各々には、個別のウェイトを適用することができる。係る個別のウェイトを考慮した第3実施例のサブアレイSB
1に係るウェイトw
1は、以下の式(10)のように示すことができる。また、第3実施例のサブアレイSB
1に係る参照信号のベクトルは、以下の式(11)のように示すことができる。また、第3実施例のサブアレイSB
1の仮想出力p
1(k)は、以下の式(12)のように示すことができる。そして、第3実施例のサブアレイSB
1の仮想出力p
1(k)による出力電力は、以下の式(13)のように示すことができる。
【0050】
式(13)に示す出力電力を最小化するウェイトは、ウィーナーフィルタリング法(Wiener filtering)を用いて求めることができる。係る方法によるフィルター(ウィーナーフィルター)が適用されたウェイトw
1は、以下の式(14)のように示すことができる。ここで、式(14)に含まれるR
r1及びr
xr1は、それぞれ式(15)、式(16)の通りである。第1実施例でも記載した通り、仮想出力の出力電力が最小化されるということは、仮想出力のうち参照信号の出力が最小化されるということである。すなわち、第3実施例の除去部17は、式(14)のように求められた仮想出力の出力電力が最小化されるウェイトw
1をサブアレイSB
1の不要信号除去ウェイトとし、受信信号に適用することで、サブアレイSB
1のサブアレイ出力から不要信号Noiを除去することができる。具体的には、第3実施例の除去部17は、
図10に示すように、別単位のセンサアレイにより受信された受信信号に対して式(14)のように求められた不要信号除去ウェイトを適用した信号を、一単位のセンサアレイにより受信された受信信号から差し引くように合わせることで、サブアレイ出力d
1(k)を得る。このように、別単位のセンサアレイ(例えばA
2,…,A
M)により受信された受信信号に不要信号除去ウェイトを適用した信号は、一単位のセンサアレイ(例えばA
1)により受信された受信信号からこの信号を差し引くように合わせられる。
【0052】
以上、サブアレイSB
1を例として説明したが、第3実施例では、他のセンサアレイA
2,…,A
Mの受信信号とこの受信信号を出力するセンサアレイ以外のセンサアレイの参照出力が合わせられるサブアレイSB
mの仮想出力p
m(k)及びサブアレイ出力d
m(k)についても同様の処理が行われる。タップ付き遅延線路に関する特徴を除いて、第3実施例の構成は第1実施例と同様である。
【0053】
第3実施例では、タップ付き遅延線路の機能はソフトウェアにより実現される。具体的には、第3実施例において決定部16がサブアレイSB
mを設定して仮想出力を得る処理にタップ付き遅延線路の機能を実現する処理が含まれることになる。より具体的には、タップ付き遅延線路は、例えばサブアレイSB
1に関して、単位遅延演算子に対応するように参照信号r
2(k),…,r
M(k)をバッファリングし、複数のセンサアレイによる信号の受信周期に応じてバッファリングされた参照信号を出力するとともに、出力された参照信号に各々の単位遅延演算子に対応するウェイトを適用することで実現される。サブアレイ出力を得るためのタップ付き遅延線路及び他のサブアレイに関する処理についても同様である。
【0054】
なお、第2実施例に示す方法で構成される一単位のセンサアレイを第3実施例に適用してもよい。すなわち、第3実施例における一単位のセンサアレイは、ビームフォーミングにより信号の受信方向が限定された複数のセンサアレイであってもよい。
【0055】
以上、第3実施例によれば、参照信号がタップ付き遅延線路を経ることで、ある一タイミングに限られない時間的な広がりを持つ参照信号を得られる。このため、このような参照信号が合わせられた仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトw
mをサブアレイSB
mの不要信号除去ウェイトとして決定することで、参照信号に含まれる不要信号Noiに対する時空間的なフィルタリングを行うことができる。
【0056】
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について、
図11を参照して説明する。第4実施例の説明において、第3実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0057】
図11は、第4実施例における一つのサブアレイから得られる仮想出力の構成を示す模式図である。第4実施例では、第3実施例と同様に、別単位のセンサアレイにタップ付き遅延線路が設けられる。ただし、第4実施例では、第3実施例と異なり、複数のセンサアレイのうち一単位のセンサアレイにより受信された受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号と複数のセンサアレイのうち一単位のセンサアレイとは異なる別単位のセンサアレイにより受信された受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号とを合わせた仮想出力を行うサブアレイを設定する。また、第4実施例では、第3実施例と異なり、別単位のセンサアレイから得られた参照信号は、一単位のセンサアレイにより受信された受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号から差し引くように合わせられる。
【0058】
具体的には、第3実施例においてサブアレイSB
1の仮想出力p
1(k)を構成する信号として用いられていた受信信号(例えば受信信号x
1(k))が、第4実施例では、この受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号(例えば受信信号x
1(k)に抽出処理を行って得られた参照信号r
1(k))に置き換えられる。このため、
図9に示すように第3実施例では一単位のセンサアレイA
1に設けられず、別単位のセンサアレイA
2,…,A
Mに設けられていたフィルタHFが、第4実施例では、
図11に示すように、一単位のセンサアレイA
1及び別単位のセンサアレイA
2,…,A
Mに設けられる。
【0059】
第4実施例は、上記で特筆した仮想出力に係る事項を除いて、第3実施形態と同様である。すなわち、第4実施例では、仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトをサブアレイの不要信号除去ウェイトとして決定し、サブアレイ毎に、一単位のセンサアレイにより受信された受信信号と別単位のセンサアレイにより受信された受信信号に不要信号除去ウェイトを適用した信号とを合わせた出力信号を得ることで不要信号が除去された信号を得、別単位のセンサアレイにより受信された受信信号に不要信号除去ウェイトを適用した信号は、一単位のセンサアレイにより受信された受信信号から差し引くように合わせられる(
図10参照)。
【0060】
第4実施例のサブアレイSB
1に係るウェイトw
1は、第3実施例と同様、上記の式(10)のように示すことができる。また、第3実施例のサブアレイSB
1に係る参照信号のベクトルは、第3実施例と同様、上記の式(11)のように示すことができる。
【0061】
第4実施例のサブアレイSB
1の仮想出力P
1(k)は、以下の式(17)のように示すことができる。そして、第3実施例のサブアレイSB
1の仮想出力P
1(k)による出力電力は、以下の式(18)のように示すことができる。ここで、式(17)及び式(18)で用いられているr
r1のスカラーは以下の式(19)のように示すことができる。また、r
r1のベクトルは以下の式(20)のように示すことができる。
【0063】
式(13)に示す出力電力を最小化するウェイトは、ウィーナーフィルタリング法(Wiener filtering)を用いて求めることができる。係る方法によるフィルター(ウィーナーフィルター)が適用されたウェイトw
1は、以下の式(21)のように示すことができる。ここで、式(21)に含まれるR
r1は、第3実施例と同様、上記の式(15)の通りである。
【0065】
なお、第2実施例に示す方法で構成される一単位のセンサアレイを第4実施例に適用してもよい。すなわち、第4実施例における一単位のセンサアレイは、ビームフォーミングにより信号の受信方向が限定された複数のセンサアレイであってもよい。
【0066】
以上、第4実施例によれば、第3実施例と同様の効果を得られることに加えて、一単位のセンサアレイ及び別単位のセンサアレイに区別なくフィルタHFを適用して抽出処理を行った参照信号を用いることができるので、構成をより単純化することができる。
【0067】
[第5実施例]
次に、本発明の第5実施例について、
図12及び
図13を参照して説明する。第5実施例の説明においては、第1実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略することがある。第5実施例では、複数のセンサアレイを複数のグループ(例えば
図12及び
図13に示すサブアレイSC
1〜SC
M)にグルーピングし、各グループに属するセンサアレイにより受信された受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号により構成される仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトw
mを各グループの不要信号除去ウェイトとして決定し、各グループに属するセンサアレイにより受信された受信信号に各グループの不要信号除去ウェイトを適用した信号を得ることで不要信号Noiが除去された信号を得る。
【0068】
図12は、第5実施例における仮想出力の構成を示す模式図である。第5実施例では、
図12に示すように、MQ(=M×Q)個のセンサアレイが設けられているものとする。ここで、Qは1以上の整数である。第5実施例におけるサブアレイSC
1〜SC
Mは、Q個のセンサアレイが組になったものである。
図12では、Q個のセンサアレイが組になったグループ(サブアレイSC
m)がM個設定され、複数のサブアレイSC
1〜SC
Mに含まれるセンサアレイが存在しないグルーピングが行われた場合を示している。
【0069】
第5実施例の抽出処理部15は、
図12に示すように、サブアレイ毎に、サブアレイを構成する全てのセンサアレイの受信信号に対して抽出処理を行う。すなわち、第5実施例では、サブアレイSC
mを構成する全てのセンサアレイの受信信号から参照信号を抽出する。第5実施例の決定部16は、サブアレイ毎に、サブアレイを構成する全てのセンサアレイの受信信号から抽出された参照信号を合わせた信号を仮想出力とする。すなわち、第5実施例における一つのサブアレイの仮想出力は、複数のセンサアレイのうち一部(例えばQ個)のセンサアレイにより受信された受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号により構成される。
【0070】
第5実施例におけるサブアレイSC
mの仮想出力q
m(k)は、以下の式(22)のように示すことができる。第5実施例の決定部16は、第1実施例の場合と同様に、仮想出力q
m(k)が最小となるウェイトw
mを求める。ただし、上記の式(6)が解かれることで求められる第5実施例のウェイトw
mは、第1実施例における上記の式(7)に代えて以下の式(23)のように示される。このように、第5実施例の決定部16は、各グループに属するセンサアレイにより受信された受信信号に抽出処理を行って得られた参照信号により構成される仮想出力q
m(k)が最小となるセンサアレイのウェイトw
mを各グループの不要信号除去ウェイトとして決定する。なお、第5実施例では、サブアレイSC
mの参照信号ベクトルr
m(k)の空間自己相関行列を求め、その行列の最小固有値に対応する固有ベクトルを求めてこの固有ベクトルを不要信号除去ウェイトとして用いてもよい。この場合でも、この固有ベクトルにより参照信号を構成する不要信号Noiの到来方向に対してヌルを向けることができる。
【0072】
第5実施例の除去部17は、
図13に示すように、Q個のセンサアレイが組になったサブアレイSC
mに対して、上記の式(23)で示されるウェイトw
mを適用した信号(
図13に示すサブアレイ出力e
1(k),e
2(k),…,e
M(k)、すなわちe
m(k))を得ることで、不要信号Noiが除去された信号を得る。
【0073】
第5実施例では、複数のグループに含まれるセンサアレイがあってもよい。第5実施例における複数のグループは、各グループを構成するセンサアレイが一つ以上異なっていればよい。例えば、センサアレイA
1,A
2により構成されるグループと、センサアレイA
1,A
2,A
Mにより構成されるグループとがあってもよい。また、一つのグループを構成するセンサアレイの数は一つ以上である。
【0074】
以上、第5実施例によれば、抽出処理により抽出された参照信号を含む仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトw
mをサブアレイSC
mの不要信号除去ウェイトとして決定する。このため、複数のセンサアレイの受信信号自体から不要信号Noiの到来方向を特定することができるか否かに関係なく、仮想出力が最小となるセンサアレイのウェイトを除去ウェイトとして決定することで不要信号Noiが除去された信号を得ることができる。このように、この構成によれば、より確実に不要信号Noiを除去することができる。また、センサアレイのグルーピングにより、一つのグループからの出力をより安定させることができることに加え、抽出処理の対象がより集約されることから、より効率的に不要信号Noiの除去に係る処理を行うことができる。
【0075】
上記の実施例はあくまで一例であり、その具体的内容について適宜変更可能である。例えば、上記の実施例では、ハイパスフィルタを用いて、受信信号から検出対象の信号Sigが含まれない高周波数帯域の信号のみを参照信号r(k)として抽出しているが、一例であってこれに限られるものでない。ローパスフィルタを用いて、受信信号から検出対象の信号Sigが含まれない低周波数帯域(例えば
図3に示す低周波数域Low)の信号のみを参照信号r(k)として抽出してもよい。また、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタを用いて受信信号から検出対象の信号Sigが含まれない高周波数帯域及び低周波数帯域の両方の信号のみを参照信号r(k)として抽出してもよい。また、抽出処理に用いられるハイパスフィルタ、ローパスフィルタに限られない。例えば、バンドパスフィルタ等であってもよい。抽出処理では、受信信号から検出対象の信号Sigが含まれない高周波数帯域、低周波数帯域又はその両方の信号のみを参照信号として抽出することができればよく、その具体的処理内容(例えば抽出処理に用いられるフィルタの具体的な性質等)は問われない。
【0076】
上記の実施例における別単位のセンサアレイは複数であるが、これは一例であってこれに限られるものでない。別単位のセンサアレイは、少なくとも一つ以上のセンサアレイであればよい。
【0077】
上記の実施例では、ソフトウェア・プログラムを利用したコンピューター処理により抽出処理部15、決定部16、除去部17等の機能を実現しているが、これらの機能の一部又は全部を専用のハードウェアによって実現してもよい。
【0078】
複数のセンサアレイが構成するものは、アレイアンテナに限られない。例えば、ハイドロフォンアレイ、マイクロフォンアレイ等であってもよい。複数のセンサアレイは、そのセンサアレイにより構成されるものに応じた信号を受信する。