(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車輌本機と、前記車輌本機に相対移動可能に連結された作業機と、前記作業機を前記車輌本機に対して相対移動させるアクチュエータと、前記作業機の目標位置を設定する位置設定部材と、前記作業機の実位置を検出する位置検出部材と、前記車輌本機の角速度を検出する角速度センサと、前記位置検出部材によって検出される前記作業機の実位置が前記位置設定部材によって設定される目標位置に位置するように前記アクチュエータの作動制御を行う制御装置とを備えた作業車輌であって、
前記制御装置は、前記角速度センサから受信する実角速度を微分することによって得られる角加速度が所定の閾値以内か否かを判断し、前記角加速度が所定の閾値以内の場合には、位置偏差と実角速度とに基づいて算出される標準制御信号を用いて前記アクチュエータを作動させる一方で、角加速度が所定の閾値を超える場合には、実角速度に対して角加速度の大きさに応じた補正を加えた予測角速度を算出し、位置偏差と予測角速度とに基づいて算出される予測制御信号を用いて前記アクチュエータを作動させる予測制御を行うことを特徴とする作業車輌。
前記アクチュエータは、前記傾斜油圧シリンダに対して作動油を給排する給排ラインに介挿された電磁比例弁であって、印可される制御電流値又は制御電圧値の大きさに応じて前記傾斜油圧シリンダに対して給排される作動油の流量を変更可能な電磁比例弁を有し、
前記制御装置には、実傾斜角度及び目標傾斜角度の間の角度偏差の大きさに基づいて区分けされた複数の角度偏差グレードと、角速度の大きさに基づいて区分けされた複数の角速度グレードと、角度偏差グレード及び角速度グレードの組み合わせによって画される作業機姿勢状態毎に定められた制御電流値又は制御電圧値とを含む制御信号マップが記憶され、
前記制御装置は、角加速度が所定の閾値内の場合には、その時点の角度偏差が属する角度偏差グレードとその時点の実角速度が属する角速度グレードとによって決定される作業機姿勢状態の制御電流値又は制御電圧値を前記電磁比例弁に印可し、角加速度が前記傾斜油圧シリンダの伸張方向への閾値を超える場合には、その時点の角度偏差が属する角度偏差グレードとその時点の実角速度が属する角速度グレードより1グレードだけ傾斜油圧シリンダ伸張方向側に位置する角速度グレードとによって決定される作業機姿勢状態の制御電流値又は制御電圧値を前記電磁比例弁に印可し、角加速度が前記傾斜油圧シリンダの短縮方向への閾値を超える場合には、その時点の角度偏差が属する角度偏差グレードとその時点の実角速度が属する角速度グレードより1グレードだけ傾斜油圧シリンダ短縮方向側に位置する角速度グレードとによって決定される作業機姿勢状態の制御電流値又は制御電圧値を前記電磁比例弁に印可することを特徴とする請求項2に記載の作業車輌。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る作業車輌の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に、それぞれ、本実施の形態に係る作業車輌の側面図及び伝動模式図を示す。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る前記作業車輌は、トラクタの形態をなす車輌本機1と、前記車輌本機1に相対移動可能に連結された作業機300とを有している。
【0020】
前記車輌本機1は、車輌フレーム10と、前記車輌フレーム10に支持された運転席15と、前記車輌フレーム10に支持されたエンジン50と、左右一対の前輪20Fと、左右一対の後輪20Rと、前記エンジン50からの回転動力を駆動輪に伝達する走行系伝動構造60と、外部に向けて回転動力を出力するPTO軸95と、前記エンジン50からの回転動力を前記PTO軸95に伝達するPTO系伝動構造80とを備えている。
【0021】
前記エンジン50は、前記車輌フレーム10の前部分において支持されており、ボンネット45によって覆われている。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態においては、前記走行系伝動構造60は、油圧式無段変速装置(HST)61、前後進切換装置62及びギヤ式多段変速装置63を有している。
前記HST61、前記前後進切換装置62及び前記ギヤ式多段変速装置63は、ミッションケース30(
図1参照)に支持又は収容されている。
【0023】
前記HST61は、
図2に示すように、メインクラッチ51を介して入力される前記エンジン50からの回転動力を無段変速するように構成されている。
【0024】
なお、
図2中の符号52及び53は、前記メインクラッチ51を介して入力される前記エンジン50からの回転動力によって駆動される第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプである。
【0025】
本実施の形態においては、前記HST61は、前記作業車輌に備えられる制御装置100によって作動制御される主変速アクチュエータ220を介して変速動作するように構成されている。
【0026】
図3に、前記制御装置100の制御ブロック図を示す。
図3に示すように、車輌本機は、人為操作される主変速操作部材120と、前記主変速操作部材120の操作位置を検出する操作側主変速センサ120aと、前記主変速アクチュエータ220と、前記HST61の出力回転速度を検出する作動側主変速センサ61aとを有している。
【0027】
そして、前記制御装置100は、前記作動側主変速センサ61aによって検出される前記HST61の出力回転速度が前記操作側主変速センサ120aによって検出される前記主変速操作部材120の操作状態に応じた速度となるように、前記主変速アクチュエータ220の作動制御を行うようになっている。
【0028】
図4に、前記車輌本機1の油圧回路図を示す。
本実施の形態においては、
図3に示すように、前記主変速アクチュエータ220は、油圧シリンダ220aと、前記油圧シリンダ220aに往復動自在に収容され、前記HST61における制御軸等の変速作動部材に作動連結される油圧ピストン220bと、前記油圧シリンダ220aに対する作動油の給排を切り換える電磁弁220cとを有するものとされており、前記電磁弁220cが前記制御装置100によって作動制御されている。
これに代えて、前記主変速アクチュエータ220が電動モータを有するように構成することも可能である。
【0029】
図4に示すように、前記主変速アクチュエータ220は、前記HST61のチャージ油源としても作用する前記第1油圧ポンプ52からの圧油によって作動するように構成されている。
なお、
図4に示すように、前記第1油圧ポンプ52及び前記第2油圧ポンプ53は、前記ミッションケース30内の貯留油を油源としている。
【0030】
前記前後進切換装置62は、前記HST61から作動的に伝達される回転動力の回転方向を切り替えて出力するように構成されている。
【0031】
前記前後進切換装置62は、前記HST61からの回転動力を正転方向(前進方向)の回転動力として前記駆動輪へ向けて出力する前進状態、前記HST61からの回転動力を逆転方向(後進方向)の回転動力として前記駆動輪へ向けて出力する後進状態、及び、前記HST61から前記駆動輪への動力伝達を遮断する中立状態を選択的にとり得るように構成されている。
【0032】
前記前後進切換装置62は、人為操作されるF/Rレバー等の前後進切換操作部材130への人為操作に応じて、選択的に、前進状態、中立状態又は後進状態をとり得るようになっている。
【0033】
詳しくは、前記車輌本機1は、前記前後進切換操作部材130と、前記前後進切換操作部材130の操作位置を検出する操作側前後進センサ130aと、前後進切換アクチュエータ230と、前後進切換アクチュエータ230の作動状態検出する作動側前後進センサ62aとを有している。
【0034】
そして、前記制御装置100は、前記作動側前後進センサ62aによって検出される前記前後進切換装置62の出力状態が前記操作側前後進センサ130aによって検出される前記前後進切換操作部材130の操作状態に応じたものとなるように、前記前後進切換アクチュエータ230の作動制御を行う。
【0035】
本実施の形態においては、
図4に示すように、前記前後進切換アクチュエータ230は、前進用油圧ピストン230Fと、後進用油圧ピストン230Rと、前記前進用油圧ピストン230F及び前記後進用油圧ピストン230Rに対する作動油の給排を切り換える電磁弁230aとを有するものとされており、前記電磁弁230aが前記制御装置100によって作動制御されている。
これに代えて、前記前後進切換アクチュエータ230が電動モータを有するように構成することも可能である。
【0036】
なお、
図4に示すように、前記前後進切換アクチュエータ230は前記第1油圧ポンプ52からの圧油によって作動するように構成されている。
【0037】
前記多段変速装置63は、前記前後進切換装置62を介して入力される回転動力を変速して、走行系出力軸65に伝達している。
【0038】
本実施の形態においては、前記多段変速装置63は、前記制御装置100によって作動制御される副変速アクチュエータ240を介して変速動作するように構成されている。
【0039】
詳しくは、
図3に示すように、前記車輌本機1は、人為操作される副変速操作部材140と、前記副変速操作部材140の操作位置を検出する操作側副変速センサ140aと、前記副変速アクチュエータ240と、前記多段変速装置63の変速段を検出する作動側副変速センサ63aとを有している。
【0040】
そして、前記制御装置100は、前記作動側副速センサ63aによって検出される前記多段変速装置63の変速段が前記操作側副変速センサ140aによって検出される前記副変速操作部材140の操作状態に応じた変速段となるように、前記副変速アクチュエータ240の作動制御を行うようになっている。
【0041】
本実施の形態においては、
図2及び
図4に示すように、前記走行系伝動構造60は、さらに、前記走行系出力軸65の回転動力を主駆動輪として作用する前記一対の後輪20Rに差動伝達する主駆動輪側デファレンシャルギヤ装置66と、前記走行系出力軸65の回転動力を入力するサブ駆動輪駆動装置70と、前記サブ駆動輪駆動装置70からの回転動力をサブ駆動輪として作用する前記一対の前輪20Fに差動伝達するサブ駆動輪側デファレンシャルギヤ装置71と、前記左右一対のメイン駆動輪にそれぞれ制動力を付加し得る左右一対のブレーキ装置75L、75Rとが備えられている。なお、
図2においては、左側ブレーキ装置75Lのみ図示している。
【0042】
さらに、
図1及び
図3に示すように、前記車輌本機1には、人為操作されるステアリングホイール等の旋回操作部材115と、前記旋回操作部材115の操作位置を検出する操作側旋回センサ115aと、パワーステアリング装置等の旋回アクチュエータ215と、車輌旋回角度を検出する作動側旋回センサ90aとが備えられている。
【0043】
そして、前記制御装置100は、前記作動側旋回センサ90aによって検出される車輌旋回角が前記操作側旋回センサ115aによって検出される前記旋回操作部材115の操作角となるように、前記旋回アクチュエータ215の作動制御を行う。
【0044】
本実施の形態においては、
図3に示すように、前記旋回アクチュエータ215は、油圧シリンダ215aと、前記油圧シリンダ215aに往復動自在に収容され、操舵輪に作動連結された油圧ピストン215bと、前記油圧シリンダ215aに対する作動油の給排を切り換える電磁弁215cとを有するものとされており、前記電磁弁25cが前記制御装置100によって作動制御されている。
【0045】
なお、
図4に示すように、前記旋回アクチュエータ215は前記第1油圧ポンプ52からの圧油によって作動するように構成されている。
【0046】
次にPTO伝動構造80について説明する。
図2に示すように、本実施の形態においては、前記PTO系伝動構造80は、PTOクラッチ装置81と、PTO変速装置82とを有している。
【0047】
前記PTOクラッチ装置81は、前記メインクラッチ51を介して入力される前記エンジン50からの回転動力を選択的に伝達又は遮断するように構成されている。
【0048】
前記PTO変速装置82は、前記PTOクラッチ機構81を介して入力される前記エンジン50からの回転動力を変速して、前記PTO軸95へ向けて出力するように構成されている。
【0049】
本実施の形態においては、前記PTOクラッチ装置81及び前記PTO変速装置82は、前記制御装置100によって作動制御されるPTOクラッチアクチュエータ260及びPTO変速アクチュエータ270によって、それぞれ、動作するように構成されている。
【0050】
即ち、前記車輌本機1は、人為操作されるPTO入切操作部材160と、前記PTO入切操作部材160の操作位置を検出する操作側PTO入切センサ160aと、前記PTOクラッチアクチュエータ260と、前記PTOクラッチ装置81の作動状態を検出する作動側PTO入切センサ81aと、人為操作されるPTO変速操作部材170と、前記PTO変速操作部材170の操作位置を検出する操作側PTO変速センサ170aと、前記PTO変速アクチュエータ270と、前記PTO変速装置82の作動状態を検出する作動側PTO変速センサ82aとを有している。
【0051】
そして、前記制御装置100は、前記作動側PTO入切センサ81aによって検出される前記PTOクラッチ装置81の作動状態が前記操作側PTO入切センサ160aによって検出される前記PTO入切操作部材160の操作状態に応じて変化するように、前記PTOクラッチアクチュエータ260の作動制御を行い、さらに、前記作動側PTO変速センサ82aによって検出される前記PTO変速装置82の作動状態が前記操作側PTO変速センサ170aによって検出される前記PTO変速操作部材170の操作状態に応じて変化するように、前記PTO変速アクチュエータ270の作動制御を行うようになっている。
【0052】
前記作業機300は、前記PTO軸95を介して前記エンジン50から作動的に伝達される回転動力を入力し得る状態で車輌本機1に対して昇降可能且つ左右方向傾転可能にリンク機構380を介して連結されており、前記作業車輌に備えられる昇降アクチュエータ320(
図3及び
図4参照)によって昇降され、且つ、傾斜アクチュエータ420(
図3及び
図4参照)によって左右方向に傾動されるようになっている。
【0053】
図5に、前記リンク機構380近傍の部分拡大図を示す。
本実施の形態においては、
図1及び
図5に示すように、前記リンク機構380は、トップリンク381と左右一対のロワーリンク382とを有している。
【0054】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記昇降アクチュエータ320は、昇降油圧シリンダ330と、前記昇降油圧シリンダ330に対して作動油を給排する給排ラインに介挿されたリフトバルブユニット340とを有している。
【0055】
図4に示すように、前記昇降油圧シリンダ330は、昇降シリンダ本体331と、前記昇降シリンダ本体331に往復動自在に収容された昇降ピストン332とを有している。
【0056】
図1及び
図5示すように、前記油圧ピストン332はリフトアーム385及びリフトロッド386を介して前記ロワーリンク382に作動連結されており、前記昇降ピストン332の伸縮動作に応じて前記作業機300が昇降するようになっている。
【0057】
図4に示すように、前記リフトバルブユニット340は、バルブブロック350と、前記バルブブロック350に収容された上昇用電磁弁360U及び下降用電磁弁360Dとを有している。
【0058】
図4に示すように、前記バルブブロック350には、前記第2油圧ポンプ53からの圧油を受け入れるインレットポート351と、前記インレットポート351を介して受け入れた圧油のうちの余剰油を排出する余剰油排出ポート352と、前記昇降用油圧シリンダ装置330に対して作動油を給排する給排ポート353と、前記昇降用油圧シリンダ装置330から排出される作動油をドレンするドレンポート354とが設けられている。
【0059】
前記上昇用電磁弁360Uは前記制御装置100によって作動制御されており、前記インレットポート351を介して受け入れた圧油を前記給排ポート353に供給する状態及び前記圧油の前記給排ポート353への供給を遮断する状態を選択的に現出させると共に、前記圧油を前記給排ポート353に供給する状態においては開口幅(即ち、前記圧油の供給量)を前記制御装置100から付加される制御電圧値又は制御電流値の大きさに応じて変化させ得るようになっている。
【0060】
前記下降用電磁弁360Dも前記制御装置100によって作動制御されており、前記給排ポート353を介して流入する前記昇降用油圧シリンダ装置330からの圧油を前記ドレンポート354から排出させる状態及び前記圧油の前記ドレンポート354への流れを遮断する状態を選択的に現出させると共に、前記圧油を前記ドレンポート354から排出させる状態においては開口幅(即ち、前記圧油の排出量)を前記制御装置100から付加される制御電圧値又は制御電流値の大きさに応じて変化させ得るようになっている。
なお、
図3中の符号362は、前記インレットポート351を介して受け入れた圧油のうちの余剰油を前記余剰油排出ポート352へ流す分流弁である。
【0061】
本実施の形態においては、
図4に示すように、前記リフトバルブユニット350の前記給排ポート353と前記油圧シリンダ装置330とを流体接続する給排ラインには、下降防止バルブ機構370が介挿されている。
【0062】
前記下降防止バルブ機構370は、前記給排ラインに介挿された下降防止弁371と、下降防止電磁弁372とを備えている。
【0063】
前記下降防止弁371は、パイロット圧に応じて、前記給排ポート353から前記油圧シリンダ装置330への圧油の流れを許容しつつ逆向きの流れを防止する下降防止状態と、前記油圧シリンダ装置330から前記給排ポート353への作動油の流れを許容する下降状態とを選択的にとり得るように構成されている。
【0064】
前記下降防止電磁弁372は、人為操作に応じて、前記下降防止弁371のパイロット圧を維持する状態及び解放する状態を選択的にとり得るように構成されている。
【0065】
なお、本実施の形態においては、
図4に示すように、さらに、前記下降防止弁371及び前記昇降用油圧シリンダ装置330の間にスローリターン弁375が介挿されている。
【0066】
前記スローリターン弁375は、前記給排ポート353から前記油圧シリンダ装置330への作動油の流れを許容しつつ逆向きの流れを防止する第1流路376と、前記給排ポート353及び前記昇降用油圧シリンダ装置330の間を可変絞りを介して流体接続する第2流路377とを有しており、前記可変絞りによる絞り量は人為操作によって変更可能とされている。
【0067】
なお、
図3中の符号530は前記圧油ライン510の油圧を設定するメインリリーフ弁であり、符号540は前記昇降油圧シリンダ330の作動油が異常高圧となることを防止する安全弁である。
【0068】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記傾斜アクチュエータ420は、前記作業機300を左右方向に傾動させる傾斜油圧シリンダ430と、前記傾斜油圧シリンダ430に対して作動油を給排する給排ラインに介挿された傾斜用電磁比例弁440とを備えている。
【0069】
前記傾斜油圧シリンダ430は、左右一対の前記リフトロッド386の一方に介挿され、作動油の給排制御に応じて伸縮することで前記作業機300の前記車輌本機1に対する左右方向相対角度を変更させ得るように構成されている。
【0070】
図4に示すように、前記傾斜油圧シリンダ430は、傾斜シリンダ本体431と、前記傾斜シリンダ本体431に往復動自在に収容された傾斜ピストン432とを有している。
【0071】
前記傾動用電磁比例弁440は前記制御装置100によって作動制御されており、圧油源として作用する前記第2油圧ポンプ53からの圧油を前記傾斜シリンダ本体431の第1室へ供給し且つ前記傾斜シリンダ本体431の第2室から圧油を排出させて前記傾斜ピストン432を伸張させるピストン伸張状態、前記第2油圧ポンプ53からの圧油を前記第2室へ供給し且つ前記第1室から圧油を排出させて前記傾斜ピストン432を短縮させるピストン短縮状態、並びに、前記第1室及び前記第2室を閉鎖して前記傾斜ピストン432をその状態に保持する中立状態を現出させ得るようになっている。
【0072】
前記傾動用電磁比例弁440は、印可される制御電圧又は制御電流値の大きさに応じて、前記傾斜油圧シリンダに対する圧油の給排油量を調整可能とされている。
【0073】
前記作業機300の昇降は、前記作業車輌に備えられる手動昇降操作部材181、ワンタッチ昇降操作部材182及び上昇位置設定部材183への操作によって行われる。
【0074】
詳しくは、
図3に示すように、前記作業車輌には、前記作業機30の昇降位置を検出する昇降センサ310が備えられている。
例えば、
図5に示す前記リフトアーム385の回動角度を検出するリフト角センサが前記昇降センサ310として好適に用いられる。
【0075】
前記手動昇降操作部材181は前記作業機300を任意の昇降位置に位置させる為の操作部材である。
即ち、前記手動昇降操作部材181が操作されると、前記制御装置100は、前記作業機300が、センサ181aによって検出される前記手動昇降操作部材181の操作位置に応じた高さに位置するように前記昇降用電磁弁360U及び前記下降用電磁弁360Dを作動させる。
【0076】
前記ワンタッチ昇降操作部材182はワンタッチ操作で前記作業機300を所定の上げ位置又は下げ位置に位置させる為の部材である。
即ち、前記ワンタッチ昇降操作部材182が上昇操作されると、前記制御装置100は、前記作業機300が前記上昇位置設定部材183によって設定されている高さまで上昇するように前記上昇用電磁弁360Uを作動させる。
【0077】
前記ワンタッチ昇降操作部材182が下降操作されると、前記制御装置100は、前記作業機300が前記手動昇降操作部材181の操作位置によって画される下降位置まで下降するように前記下降用電磁弁360Dを作動させる。
即ち、本実施の形態においては、前記手動昇降操作部材181が下降位置設定部材としても作用するようになっている。
なお、
図3中の符号182aは前記ワンタッチ昇降操作部材の操作状態を検出するセンサであり、符号183aは前記上昇位置設定部材183の操作位置を検出するセンサである。
【0078】
前記作業機300の左右方向の傾転は、前記作業車輌に備えられる手動傾斜操作部材191への操作によって行われる。
【0079】
図3に示すように、前記作業車輌には、前記作業機300の前記車輌本体1に対する相対傾斜位置を検出する相対傾斜センサ315bが備えられている。
例えば、前記傾斜油圧シリンダ430における前記傾斜ピストン432の伸縮長さを検出するストロークセンサが前記相対傾斜センサ315bとして好適に用いられる。
【0080】
前記制御装置100は、前記相対傾斜センサ300bによって検出される前記作業機300の傾斜状態が、センサ191aによって検出される前記手動傾斜操作部材191の操作状態に応じたものとなるように、前記傾斜電磁比例弁440の作動制御を行う。
【0081】
前記作業車輌は、前記作業機の実位置が目標位置に一致するように(所定の不感帯内に入るように)前記作業機の位置を変動させるアクチュエータを作動させる自動位置合わせ制御を実行するように構成されている。
【0082】
本実施の形態に係る前記作業車輌は、前記自動位置合わせ制御として、自動耕深制御及び自動傾き制御を行えるように構成されている。
【0083】
まず、自動耕深制御について説明する。
本実施の形態においては、前記作業車輌は、前記作業機300としてロータリー耕耘機を備えている。
前記自動耕深制御は、前記作業機300の実耕深位置を目標耕深位置に追従させるものである。
【0084】
詳しくは、
図3に示すように、前記作業車輌には、自動耕深制御選択部材185と、耕深位置設定部材186と、前記作業機の耕深位置を検出する耕深位置検出センサ311とが設けられる。
【0085】
前記制御装置100は、センサ185aからの検出信号に基づき前記自動耕深制御選択部材185のON操作を認識すると自動耕深制御モードを起動する。
前記自動耕深制御モードは、前記耕深位置検出センサ311によって検出される前記作業機300の実耕深位置と耕深位置設定部材186によって設定された目標耕深位置との間の偏差が所定の不感帯幅内に収まるように、前記昇降アクチュエータ320の作動制御を行う。
【0086】
なお、
図3中の符号186aは前記耕深位置設定部材186の操作位置を検出するセンサである。
また、前記ロータリー耕耘機における耕耘上面カバーに対する耕耘リヤカバの回動角度を検出するリヤカバーセンサが、前記耕深位置検出センサ311として好適に用いられる。
【0087】
前述の通り、本実施の形態においては、前記昇降アクチュエータ320は、昇降油圧シリンダ330と、前記上昇用電磁弁360U及び前記下降用電磁弁360Dを含むリフトバルブユニット350とを有している。
【0088】
斯かる構成においては、前記上昇用電磁弁360U及び前記下降用電磁弁360Dに印可する制御電流値又は制御電圧値の大きさが前記昇降油圧シリンダ330の作動量に比例する。
従って、前記制御装置100は、実耕深位置及び目標耕深位置の偏差の大きさに応じて、対応する電磁弁に印可すべき前記制御電流値又は前記制御電圧値を算出する。
【0089】
さらに、本実施の形態においては、実耕深位置をより迅速に目標耕深位置を基準とした所定不感帯幅内に位置させる為に、前記制御装置100は、前記偏差に角速度に応じた補正を加えて補正偏差を算出し、前記補正偏差に基づき前記制御電流値又は前記制御電圧値を算出するように構成されている。
【0090】
例えば、実耕深位置が目標耕深位置に対して上方へ「a1」だけ位置ズレしている場合において、角速度の方向が上向きであるとする。この場合には、角速度の大きさに応じた補正値を加算して得られる補正偏差に基づき前記制御電流値又は前記制御電圧値を算出する。
【0091】
これとは逆に、角速度の方向が下向きである場合には、角速度の大きさに応じた補正値を前記偏差「a1」から減算して得られる補正値に基づき前記制御電流値又は前記制御電圧値を算出する。
【0092】
なお、前記制御装置100は、前記作業車輌に備えられる前記車輌本機1の角速度を検出する角速度センサ450(
図3参照)からの検出信号によって角速度を認識する。
【0093】
次に、自動傾き制御について説明する。
図3に示すように、前記作業車輌には、自動傾き制御選択部材195と、傾き設定ダイヤル等の傾き設定部材196と、前記作業機の左右方向の傾きを検出する傾斜センサ315とが備えられている。
なお、
図3中の符号195aは前記自動傾き制御選択部材195の操作状態を検出するセンサであり、符号196aは前記傾き設定部材196の操作位置を検出するセンサである。
【0094】
前記傾斜センサ315は、例えば、前記車輌本機1の左右傾斜角度を検出する本機傾斜センサ315aと、前記相対傾斜センサ315bとを含み得る。
この場合、前記制御装置100は、前記本機傾斜センサ315aからの検出信号に基づく前記車輌本機1の傾斜角度と前記相対傾斜センサ315bからの検出信号に基づく前記車輌本機1に対する前記作業機300の相対傾斜角度とによって、前記作業機300の左右傾斜角度を認識する。
【0095】
前記自動傾き制御は、前記車輌本機1の左右方向傾斜角度に拘わらず前記作業機300の左右方向傾斜角度を水平状態に保持することを基準とする水平制御と、前記作業機300の左右方向傾斜角度を前記車輌本機1に平行に保持することを基準とする傾斜地制御とを含み得る。
【0096】
詳しくは、前記制御装置100は、前記自動傾き制御選択部材195によって水平制御が選択されると水平制御モードを起動し、前記自動傾き制御選択部材195によって傾斜地制御が選択されると傾斜地制御モードを起動する。
【0097】
前記水平制御モードは、前記傾斜センサ315によって検出される前記作業機300の実傾きと水平状態を基準にした前記傾き設定部材196による設定傾斜角度によって画される目標傾きとの間の偏差が所定の不感帯幅内に収まるように、前記傾斜アクチュエータ420の作動制御を行う。
【0098】
前記傾斜地制御モードは、前記傾斜センサ315によって検出される前記作業機300実傾きと前記車輌本機1に対する平行状態を基準にした前記傾き設定部材196による設定傾斜角度によって画される目標傾きとの間の偏差が所定の不感帯幅内に収まるように、前記傾斜アクチュエータ420の作動制御を行う。
【0099】
前述の通り、本実施の形態においては、前記傾斜アクチュエータ420は、前記傾斜油圧シリンダ430及び前記傾斜用電磁比例弁440を有している。
【0100】
斯かる構成においては、前記電磁比例弁440に印可する制御電流値又は制御電圧値の大きさが前記傾斜油圧シリンダの作動量に比例する。
従って、前記制御装置100は、実傾き及び目標傾きの間の角度偏差の大きさに応じて、前記制御電流値又は前記制御電圧値を算出する。
【0101】
さらに、本実施の形態においては、目標傾きを基準とした所定不感帯幅内に実傾きをより迅速に位置させる為に、前記制御装置100は、前記角度偏差に角速度に応じた補正を加えて補正角度偏差を算出し、前記補正角度偏差に基づき前記制御電流値又は前記制御電圧値を算出するように構成されている。
【0102】
例えば、実傾き及び目標傾きの角度偏差が、左右方向一方側が上方に位置する方向に「b1」であると仮定する。即ち、前記作業機300の左右方向一方側が目標傾きに対して「b1」だけ上方へ位置ズレしていると仮定する。
【0103】
この場合において、前記角速度センサ450によって検出される角速度の方向が、左右方向一方側が上方へ移動する方向である場合には、前記制御装置100は、実際の前記角度偏差「b1」に角速度の大きさに応じた補正値を加算して補正角度偏差を算出し、前記補正角度偏差に基づき制御電流値又は制御電圧値を算出する。
【0104】
これとは逆に、前記角速度センサ450によって検出される角速度の方向が、左右方向一方側が下方へ移動する方向である場合には、前記制御装置100は、実際の前記角度偏差「b1」から角速度の大きさに応じた補正値を減算して補正角度偏差を算出し、前記補正角度偏差に基づき制御電流値又は制御電圧値を算出する。
【0105】
さらに、本実施の形態に係る前記作業車輌は、自動位置合わせ制御の際に、角加速度を用いた予測制御を行うように構成されている。
以下、予測制御が自動傾き制御の際に適用された場合を例に、説明する。
【0106】
図6に、自動傾き制御のフローチャートを示す。
前記制御装置100は、前記自動傾き制御選択部材195への人為操作に応じて、対応する自動傾き制御モード(水平制御モード又は傾斜地制御モード)を起動する。
なお、自動傾き制御モードは、前記自動傾き制御選択部材195への解除操作によって解除され得る。
【0107】
前記自動傾き制御モードが起動されると、前記制御装置100は、前記傾き設定部材196による設定値を読み込み(ステップS1)、前記傾斜センサ315(前記本機傾斜センサ315a及び前記ストロークセンサ315b)及び前記角速度センサ450から検出信号を読み込む(ステップS2)。
【0108】
前記制御装置100は、ステップS2において前記角速度センサ450から入力した角速度を微分して得られる角加速度が閾値以下か否かを判断する(ステップS3)。
【0109】
ステップS3でYESの場合、即ち、角加速度が閾値以下の場合には、前記制御装置100は、前記傾き設定部材196によって設定されている目標角度及び前記傾斜センサ315によって検出される実角度の間の角度偏差と前記角速度センサ450によって検出された角速度とに基づき算出される標準制御信号を算出し(ステップS4)、この標準制御信号を用いて前記傾斜アクチュエータ420の作動制御を行う(ステップS5)。
【0110】
前述の通り、本実施の形態においては、前記傾斜アクチュエータ420は、前記傾斜油圧シリンダ430と、印可される制御電流値又は制御電圧値の大きさに応じて前記傾斜油圧シリンダ430に対する給排油量を変更する前記傾斜用電磁比例弁440とを有しており、前記傾斜用電磁比例弁440に印可される制御電流値又は制御電圧値の大きさに応じて、前記傾斜油圧シリンダ430の作動量が変化するようになっている。
従って、前記制御装置100は、前記標準制御信号として、角度偏差に対して角速度の大きさに応じた補正を加えた補正角度偏差に基づき、制御電流値又は制御電圧値を算出する。
【0111】
制御電流値又は制御電圧値の算出には、前記制御装置に記憶された関数を用いる態様の他に、角度偏差及び角速度の組み合わせによって画される作業機姿勢状態毎に予め制御電流値又は制御電圧値が記憶されてなる制御信号マップを用いる態様も含まれる。
【0112】
図7に、角度偏差及び角速度の組み合わせによって画される作業機姿勢状態毎に制御電流値が割り当てられてなる制御信号マップの一例を示す。
【0113】
図7に示す制御信号マップは、角度偏差θの大きさに基づいて区分けされた複数の角度偏差グレードと、角速度ωの大きさに基づいて区分けされた複数の角速度グレードと、角度偏差グレード及び角速度グレードの組み合わせによって画される作業機姿勢状態毎に定められた制御電流値とを有している。
【0114】
なお、
図7に示す制御信号マップにおける「+(プラス)」は、前記傾斜油圧シリンダ430が伸張動作する方向(作業機300の左右一方側が上昇する方向)を意味し、「−(マイナス)」は、前記傾斜油圧シリンダ430が短縮する方向(作業機300の左右一方側が下降する方向)を意味する。
【0115】
ステップS4における標準制御信号の算出に際し
図7に示す制御信号マップを用いる場合には、前記制御装置100は、ステップS1で読み込んだ前記傾き設定部材196による目標傾斜角度とステップS2で読み込んだ前記本機傾斜センサ315aの検出信号及び前記ストロークセンサ315bの検出信号に基づく前記作業機300の左右傾斜角度との間の角度偏差が属する角度偏差グレードと、ステップS2で読み込んだ前記角速度センサ450からの角速度が属する角速度グレードとによって画される作業機姿勢状態に割り当てられている値を、前記傾斜アクチュエータ420に送信すべき制御信号(前記傾斜用電磁比例弁440に印可すべき制御電流値)として抽出する。
【0116】
具体的には、角度偏差θが「0.5」で、角速度ωが「1」であった場合には、前記制御装置100は、角度偏差グレード「0<θ≦+1」と角速度グレード「0<ω≦2」とによって画される作業状態姿勢に割り当てられている値「+0.6」を制御信号として認識する。
【0117】
一方、ステップS3でNOの場合、即ち、角加速度が閾値を超えている場合には、前記制御装置100は、その際の角速度に前記角加速度の大きさに応じた補正を加えた予測角速度を算出し、角度偏差と予測角速度とに基づいて予測制御信号を算出し(ステップS11)、この予測制御信号を用いて前記傾斜アクチュエータ420の作動制御を行う(ステップS5)。
【0118】
詳しくは、角加速度が角速度を増速する方向に閾値を超える場合には、予測角速度は実角速度を増速する側へ補正した値となり、角加速度が角速度を減速する方向に閾値を超える場合には、予測角速度は実角速度を減速する側へ補正した値となる。
【0119】
斯かる構成によれば、前記作業機300の動向を予測した状態の制御信号で前記傾斜アクチュエータ420を作動させることができ、前記作業機300の実傾きをより迅速に目標傾きに一致させることができる。
【0120】
ここで、制御信号マップを用いて制御信号を算出する場合において予測制御信号を算出する方法について
図7を例に説明する。
【0121】
角加速度が前記傾斜油圧シリンダ430の伸張方向への閾値を超える場合には、前記制御装置100は、その時点の角度偏差が属する角度偏差グレードとその時点の実角速度が属する角速度グレードより1グレードだけ傾斜油圧シリンダ伸張方向側に位置する角速度グレードとによって画される作業機姿勢状態に割り当てられている制御電流値を予測制御信号として抽出する。
【0122】
例えば、角度偏差θが「0.5」で且つ角速度ωが「1」であった場合において、角加速度が前記傾斜油圧シリンダ430の伸張方向への閾値を超える場合には、前記制御装置100は、角度偏差グレード「0<θ≦+1」と角速度グレード「0<ω≦2」より1グレードだけ傾斜油圧シリンダ伸張方向に位置する角速度グレード「2<ω≦4」とによって画される作業状態姿勢に割り当てられている値「+0.7」を予測制御信号として抽出する。
【0123】
角加速度が前記傾斜油圧シリンダ430の短縮方向への閾値を超える場合には、前記制御装置100は、その時点の角度偏差が属する角度偏差グレードとその時点の実角速度が属する角速度グレードより1グレードだけ傾斜油圧シリンダ短縮方向側に位置する角速度グレードとによって画される作業機姿勢状態に割り当てられている制御電流値を予測制御信号として抽出する。
【0124】
例えば、角度偏差θが「0.5」で且つ角速度ωが「1」であった場合において、角加速度が前記傾斜油圧シリンダの短縮方向への閾値を超える場合には、前記制御装置100は、角度偏差グレード「0<θ≦+1」と角速度グレード「0<ω≦2」より1グレードだけ傾斜油圧シリンダ短縮方向に位置する角速度グレード「ω=0」とによって画される作業状態姿勢に割り当てられている値「+0.5」を予測制御信号として抽出する。
【0125】
好ましくは、角加速度の傾斜油圧シリンダ短縮方向への閾値は傾斜油圧シリンダ伸張方向への閾値よりも大とすることができる。
斯かる構成によれば、前記作業機300の重量に起因するシリンダ伸張動作及び短縮動作間の差異を考慮した状態で、前記作業機300の実傾きを目標傾きに迅速に一致させることができる。
【0126】
好ましくは、角度偏差の検出の際に、不感帯幅可変制御を実行することができる。
図8に、自動傾き制御において不感帯可変制御を実行する場合のフローチャートを示す。
【0127】
前記自動傾き制御選択部材195への人為操作に応じて、対応する自動傾き制御モード(水平制御モード又は傾斜地制御モード)が起動されると、前記制御装置100は、前記傾き設定部材196による設定値を読み込み(ステップS101)、前記本機傾斜センサ315a及び前記ストロークセンサ315bからの検出信号を読み込む(ステップS102)。
【0128】
前記制御装置100は、前記傾き設定部材196による設定値によって画される目標傾きと前記本機傾斜センサ315a及び前記ストロークセンサ315bからの検出信号に基づいて算出される実傾きとの偏差が所定の第1幅内に収まっているか否かを判断する(ステップS103)。
【0129】
ステップS3においてNOの場合、即ち、実傾き及び目標傾きの間の偏差が第1幅の不感帯内に収まっていない場合には、前記制御装置100は、角度偏差が存在すると認識し、当該角度偏差と実角速度又は予想角速度とに基づく制御電流又は制御電圧を前記傾斜用電磁比例弁440に印可し(ステップS110)、ステップS102及びステップS103へ戻る。
【0130】
ステップS3においてYESの場合、即ち、実傾き及び目標傾きの間の偏差が第1幅の不感帯内に収まっている場合には、前記制御装置100は、不感帯幅を第1幅よりも大きい第2幅に変更する(ステップ120)。
【0131】
ステップ120に後続するステップS121において、前記制御装置100は、実傾き及び目標傾きの間の偏差が第2幅の不感帯内に収まっているか否かを判断する。
【0132】
ステップS121においてYESの場合には、前記制御装置100は、現在起動中の自動傾き制御モードの終了指令が入力されているか否かを判断する(ステップS122)。
【0133】
ステップS22においてYESの場合、即ち、前記自動傾き制御選択部材195によって自動傾き制御モード(水平制御モード又は傾斜地制御モード)の解除操作が行われた場合には、前記制御装置100は、現在起動中の自動傾き制御モードを終了する。
【0134】
一方、ステップS122においてNOの場合には、前記制御装置100は、前記傾き設定部材196が追加操作された否かを判断し(ステップS123)、追加操作された場合には、前記傾き設定部材196の設定値を新たな目標傾きとして認識し(ステップS124)、ステップS125へ移行する。
前記傾き設定部材196が追加操作されていない場合(ステップS123においてNOの場合)には、ステップS124をスキップしてステップS125へ移行する。
【0135】
ステップS125において、前記制御装置100は、前記本機傾斜センサ315a及び前記ストロークセンサ315bからの検出信号を読み込んで、前記作業機300の実傾きを確認し(ステップS124)、ステップS121へ戻る。
【0136】
即ち、不感帯可変制御の実行時には、実傾き及び目標傾きの間の偏差が、一旦、第1幅の不感帯内に収まって、不感帯幅が第1幅から第2幅に変更されると、前記偏差が第1幅を超えたとしても第2幅の不感帯幅内に収まっている限り、前記制御装置は、角度偏差無しと認識する。
【0137】
これに対し、ステップS121においてNOの場合、即ち、実傾き及び目標傾きの間の偏差が、一旦、第1幅の不感帯内に収まった為に、不感帯幅を第1幅から第2幅に変更した後に、前記偏差が第2幅の不感帯幅を超えた場合には、前記制御装置100は、不感帯幅を第2幅から第1幅に変更した上で(ステップS111)、角度偏差と実角速度又は予想角速度とに基づた制御信号で前記傾斜アクチュエータ420の作動制御を行い(ステップS110)、ステップS102へ戻る。
【0138】
このように、前記制御装置100に不感帯幅として第1幅及び第1幅より大きな第2幅を記憶させておき、前記制御装置100は、実傾き及び目標傾きの間の偏差が第1幅の不感帯を超えている状態においては角度偏差有りと認識すると共に、前記偏差が、一旦、第1幅の不感帯幅内に収まると不感帯幅を第1幅から第2幅に変更し、前記偏差が第1幅を超えたとしても第2幅内に収まっている限りは角度偏差無しと認識するように構成され得る。