(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発熱性素子をパッケージした電子部品を搭載する制御基板と、前記制御基板を収納する絶縁性樹脂からなるケース部材と、相手側コネクタと接続されるコネクタ部とを備えたコネクタモジュールと、
前記コネクタモジュールの表面積よりも大きい表面積を有し、前記コネクタモジュールが挿入固定されるモジュール固定部を有した金属部材と、を備え、
前記コネクタモジュールは、前記電子部品の一部が前記ケース部材から露出することにより形成された、又は、前記電子部品が接触する前記ケース部材の壁部分によって形成された放熱部を有し、
前記放熱部は、直接又は伝熱性部材を介して前記モジュール固定部の内壁に接触し、
前記電子部品は、電流が流れる経路の正極側と負極側とにそれぞれ設けられるものであり、
前記正極側と負極側との前記電子部品それぞれは、第1のバスバと、第2のバスバと、を有すると共に、前記第1及び第2のバスバとの間に配置され、前記制御基板からの信号によってオンオフ制御されることにより前記第1及び第2のバスバ間を遮断又は導通させる半導体素子を前記発熱性素子として有し、且つ、前記第1及び第2のバスバの一部と前記半導体素子とをモールドする樹脂部材によって前記半導体素子をパッケージしており、
前記コネクタ部は、前記ケース部材の外壁から突出して一体に形成され、
前記第1及び第2のバスバは、それぞれ前記樹脂部材によってモールドされる側と反対側の端部側が前記ケース部材から露出して前記コネクタ部の端子として機能し、
前記正極側と負極側との前記電子部品それぞれは、前記第1のバスバ及び前記第2のバスバが複数の経路に分岐し、分岐した経路それぞれに前記半導体素子が設けられている
ことを特徴とするコネクタモジュールの放熱構造。
前記正極側と負極側との前記電子部品それぞれは、平面視して矩形状となっており、矩形の4隅から前記制御基板に向かって延びる4本の脚部を有し、これら4本の脚部を除き前記制御基板から浮いた状態となっている
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタモジュールの放熱構造。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は以下の実施形態に限られるものではない。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタモジュールの放熱構造を示す斜視図である。
図1に示すように、コネクタモジュール1の放熱構造Hdは、コネクタモジュール1と、金属筐体(金属部材)5とから構成されている。コネクタモジュール1は、例えば大電流が流れる経路上に設けられるものであって、内部に発熱性素子(後述の符号11c参照)を有するものである。金属筐体5は、例えば車両に搭載される高電圧バッテリのバッテリケース等である。
【0016】
このような金属筐体5には、コネクタモジュール1が挿入固定されるモジュール固定部6が形成されている。このモジュール固定部6は、
図1に示すように、矩形状の開口部6aと、開口部6aが形成される金属筐体5上の面から垂直に延び、且つ開口部6aの周囲を囲うようにして形成される枠部材6bによって構成されており、開口部6aの開口の大きさがコネクタモジュール1の外側寸法と略一致するようになっており、これにより、コネクタモジュール1がモジュール固定部6に挿入固定される。なお、モジュール固定部6は、これに限らず、コネクタモジュール1と係止する係止手段を備え、係止手段によりコネクタモジュール1を挿入固定するようになっていてもよい。
【0017】
図2は、
図1に示したコネクタモジュール1の分解斜視図であり、
図3は、
図2に示すコネクタモジュール1の一部構成を示す斜視図である。
図2及び
図3に示すように、コネクタモジュール1は、収納部品10と、収納部品10を収納するケース部材20とから構成されている。収納部品10は、半導体モジュール(電子部品)11と、制御基板12と、信号入力端子13とから構成されている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、半導体モジュール11は、金属板により形成される第1及び第2のバスバ11a,11bと、パワーデバイス(発熱性素子、半導体素子)11cと、導電性部材によって構成される制御端子11dと、これらをモールドする絶縁性の樹脂部材11eから構成されており、この樹脂部材11eによってパワーデバイス11cをパッケージしている。
【0019】
樹脂部材11eは、平面視(上面視)で矩形状となっており、矩形の4隅から制御基板12に向かって伸びる4本の脚部11fが一体に形成されている。これらの脚部11fにより半導体モジュール11は脚部11fを除き制御基板12から浮いた状態となっている。
【0020】
パワーデバイス11cは、第1及び第2のバスバ11a,11bの間に配置され、オンオフ制御されることにより第1及び第2のバスバ11a,11b間を遮断又は導通させるものである。このパワーデバイス11cは、例えば第2のバスバ11bにダイボンド材を介して搭載された、Si、SiC、及びGaN等の材料からなるMOSFETである。パワーデバイス11cは、
図3に示すように、ゲート電極Gが制御端子11dの一端に接続され、ソース電極がソースワイヤWの一端に接続され、ドレイン電極が第2のバスバ11bに接続された構成となっている。なお、制御端子11dの他端は制御基板12に接続され、ソースワイヤWの他端は第1のバスバ11aに接続されている。
【0021】
制御基板12は、半導体モジュール11を搭載し、所定の回路が形成され、パワーデバイス11cをオンオフ制御するために、制御端子11dを介して、パワーデバイス11cのゲート電極Gにオンオフ信号を送信するものである。
【0022】
信号入力端子13は、制御基板12上に設けられ、パワーデバイス11cをオンするかオフするかを示す制御信号が入力される部位である。制御基板12は、信号入力端子13から入力される制御信号に基づいて、制御端子11dを介して、パワーデバイス11cのゲート電極Gにオンオフ信号を送信することとなる。
【0023】
なお、
図2に示す例において半導体モジュール11は2つ並列に設けられている。これは、1つが、大電流が流れる経路において正極側となり、他の1つが負極側となるからである。このように、第1実施形態に係るコネクタモジュール1は正極側と負極側との双方の経路を収納する構成となっている。
【0024】
さらに、
図2に示す例では1つの半導体モジュール11に対して5本の制御端子11dが設けられている。すなわち、
図1に示す例では、1つの半導体モジュール11内において第1及び第2のバスバ11a,11bは経路が5つ(複数)に分岐しており、分岐した経路それぞれにおいてパワーデバイス11cが設けられていることとなる。そして、制御基板12からは、制御端子11dの1本ずつに対してオンオフ信号が送信され、5つ(複数)のパワーデバイス11cはそれぞれのオンオフ信号によってオンオフされることとなる。これにより、大電流を複数に分岐させてパワーデバイス11cの定格で対応できるようにしている。
【0025】
また、前記実施形態において半導体モジュール11から複数の制御端子11dが設けられ、制御端子11dは複数の分岐されたパワーデバイスのオンオフ制御を行うとしているが、これに限らずFETのソース端子やドレイン端子を制御基板12に取り込んでFETの故障検知やFETのオン抵抗を利用した電流検出などの制御を行うようにしてもよい。
【0026】
ケース部材20は、絶縁性の樹脂部材によって構成されており、第1ケース部材20aと、第2ケース部材20bとから構成されている。第1ケース部材20aは、一端が閉塞された筒状の部材である。第1のバスバ11a及び信号入力端子13の一部は、一端側となる一端壁21から突き出て露出した状態となっている。また、一端壁21には、第1のバスバ11a及び信号入力端子13の露出部位の周囲を覆う第1及び第2コネクタ部22,23が形成されている。第1及び第2コネクタ部22,23は、相手側コネクタと接続される部位であって、一端壁21から突出して一体に形成されている。なお、図示を省略しているが、第1及び第2コネクタ部22,23には、それぞれ抜け止め機構(係止アーム、係止突部、係止孔など)が設けられている。
【0027】
第2ケース部材20bは、筒状となる第1ケース部材20aの他端側に設けられる蓋部材となるものである。第2のバスバ11bの一部は、他端側となる他端壁24から突き出て露出した状態となっている。また、他端壁24には、第2のバスバ11bの露出部位の周囲を覆う第3コネクタ部25が形成されている。第3コネクタ部25は、相手側コネクタと接続される部位であって、他端壁24から突出して一体に形成されている。なお、図示を省略しているが、第3コネクタ部25にも抜け止め機構(係止アーム、係止突部、係止孔など)が設けられている。
【0028】
図4は、
図1に示すコネクタモジュール1の断面図である。また、
図5は、
図1に示すコネクタモジュール1の放熱構造Hdを示す断面図であって、コネクタモジュール1をモジュール固定部6に挿入固定したときの断面を示している。
【0029】
図4及び
図5からも明らかなように、金属筐体5は、コネクタモジュール1の表面積よりも大きい表面積を有する筐体となっている。ここで、金属筐体5の表面積とは、外気に接して放熱に寄与する部分の面積であって、筐体外側面5oとモジュール固定部6の筐体外側部位6b1(但しモジュール固定部6の内壁iwはコネクタモジュール1が挿入固定されるため除く)との表面積を意味する。すなわち、金属筐体5の内側面5iの面積やモジュール固定部6のうち筐体内側部位6b2の表面積については、本実施形態でいう金属筐体5の表面積の概念に含まれない。
【0030】
コネクタモジュール1の表面積についても、上記と同様であり、コネクタモジュール1がモジュール固定部6に挿入固定されない状態で外気に接して放熱に寄与する部分の面積であって、ケース部材20の外側面20oの表面積を意味する。すなわち、ケース部材20の内側面20iの面積は含まれない。ここで、本実施形態においてコネクタ部22,23,25は、
図5に示すように相手側コネクタに覆われるように嵌合されるため、ここでの表面積の概念に含まれない。しかし、コネクタ部22,23,25が相手側コネクタを覆うように嵌合するものであれば、コネクタ部22,23,25の外周面22o,23o,25oについても、ここでの表面積の概念に含まれる。
【0031】
さらに、
図4及び
図5に示すように、コネクタモジュール1は、半導体モジュール11がケース部材20の上壁20uの内側面20iに接触しており、この上壁20u部分が放熱部Hpを形成している。すなわち、半導体モジュール11内のパワーデバイス11cで発生した熱は、樹脂部材11eを介して上壁20uに至る。
【0032】
加えて、放熱部Hpとなる上壁20uは、直接モジュール固定部6の内壁iwに接触している。なお、上壁20uは、直接に限らず、伝熱性のシートや伝熱性の樹脂(接着剤を含む)等の伝熱性部材を介してモジュール固定部6の内壁iwに接触するようになっていてもよい。なお、伝熱性部材とは、上壁20uと同程度以上の伝熱性を有する部材であれば特にシート等に限定されるものではない。
【0033】
次に、第1実施形態に係るコネクタモジュール1の放熱構造の作用を説明する。まず、作業者は、第1ケース部材20aに収納部品10を収納し、この状態から第1ケース部材20aに対して第2ケース部材20bを組み付けて、コネクタモジュール1を作成する。なお、
図4に示すように、本実施形態において第1ケース部材20a及び第2ケース部材20bには、制御基板12がスライド挿入されるスライド溝26が形成されており、収納部品10は、制御基板12がスライド溝26に挿入固定されることで、ケース部材20内に保持されることとなる。
【0034】
このようなコネクタモジュール1は、
図2にも示すように、基本的に収納部品10とケース部材20との3部品からなっており、組み付けにより第1及び第2のバスバ11a,11b並びに信号入力端子13の露出部位が、そのまま第1〜第3コネクタ部22,23,25の端子として機能することとなり、部品点数及び組付工数の増加を抑える構成となっている。
【0035】
さらに、このようなコネクタモジュール1において、制御基板12は、絶縁性の樹脂からなるケース部材20によって覆われるため、制御基板12の収納時に傷がつき難く且つケース部材20が金属でないため、短絡の可能性も低減されている。
【0036】
次いで、コネクタモジュール1を金属筐体5のモジュール固定部6内に挿入して固定する。コネクタモジュール1は、寸法上、モジュール固定部6に固定されるようになっていてもよいし、係止手段により固定されるようになっていてもよい。また、放熱部Hpとモジュール固定部6との間には、伝熱性部材が介在されていてもよい。
【0037】
挿入固定後、負荷側の相手側コネクタと第1コネクタ部22とを嵌合させ、高電圧バッテリ側の相手側コネクタと第3コネクタ部25とを嵌合させる。また、第2コネクタ部23にも所定のコネクタが接続される。そして、コネクタモジュール1は、第2コネクタ部23を通じて制御信号を入力し、制御基板12はパワーデバイス11cに対してオン信号又はオフ信号を送信する。これにより、パワーデバイス11cはオンオフし、オン時には高電圧バッテリからの大電流が第2のバスバ11b、パワーデバイス11c、第1のバスバ11aの順に流れることとなる。
【0038】
ここで、大電流は制御基板12上には流れることなく、大きな基板スペースを確保したり基板上に大型コネクタの設置個所を確保したりする必要が無い。よって、コネクタモジュール1は、大電流に対応可能で小型化が図られたものとなっている。
【0039】
また、パワーデバイス11cはオンオフに際して発熱する。さらに、大電流がバスバ11a,11bに流れることによっても熱が生じる。これらの熱は、樹脂部材11eを通じてコネクタモジュール1の上壁20u(放熱部Hp)に至り、放熱部Hpからモジュール固定部6に至る。モジュール固定部6は金属筐体5の一部であって、モジュール固定部6に伝達された熱は、金属筐体5という広い表面積を有する部材から外気に放出されることとなる。よって、放熱性能も高められることとなる。
【0040】
このようにして、第1実施形態に係るコネクタモジュール1の放熱構造Hdによれば、コネクタモジュール1は、半導体モジュール11が接触するケース部材20の上壁20u部分によって形成された放熱部Hpを有し、放熱部Hpは、直接又は伝熱性部材を介してモジュール固定部6の内壁iwに接触する。このため、半導体モジュール11からの熱はコネクタモジュール1の放熱部Hpを介してモジュール固定部6に伝達される。また、モジュール固定部6は、コネクタモジュール1の表面積よりも大きい表面積を有する金属筐体5の一部であるため、半導体モジュール11からの熱は放熱部Hp、及びモジュール固定部6を介して、金属筐体5に至り、表面積の大きい金属筐体5から放出されることとなる。このように、半導体モジュール11の熱は表面積の大きい金属筐体5にて放熱され、放熱性能の向上を図ることができる。また、制御基板12が絶縁性樹脂からなるケース部材20に収納されるため、制御基板12がスライド方式で収納されるか否かに拘わらず制御基板12が傷つき難く、且つ、ケース部材20が金属でないため短絡の可能性も低減できる。従って、放熱性能の向上を図ると共に、制御基板12が傷つき難く且つ短絡の可能性を低減することができるコネクタモジュール1の放熱構造Hdを提供することができる。
【0041】
また、半導体モジュール11は、第1のバスバ11aと、第2のバスバ11bと、を有すると共に、これらの間に配置されオンオフ制御されることによりバスバ11a,11b間を遮断又は導通させるパワーデバイス11cを発熱性素子として有し、且つ、第1及び第2のバスバ11a,11bの一部とパワーデバイス11cとをモールドする樹脂部材11eによってパワーデバイス11cをパッケージしている。そして、コネクタ部22,25は、ケース部材20の外壁から突出して一体に形成され、第1及び第2のバスバ11a,11bは、それぞれ樹脂部材11eによってモールドされる側と反対側の端部側がケース部材20から露出してコネクタ部22,25の端子として機能する。このような構成であるため、バスバ11a,11bという大電流に対応可能な部材を端子として用いることができ、しかも構造上大電流が制御基板12に流れることなく、大きな基板スペースを確保する必要性もないことから、大電流に対応可能で小型化を図ったコネクタモジュール1の放熱構造Hdを提供することができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るコネクタモジュールの放熱構造は第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が第1実施形態のものと異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0043】
図6は、第2実施形態に係るコネクタモジュール1の放熱構造Hdを示す外観斜視図である。
図6に示すように、第2実施形態に係るコネクタモジュール1の放熱構造Hdにおいて、モジュール固定部6は、筐体外側部位6b1の外壁ow(特に上壁)に放熱フィン7が形成されている。この放熱フィン7は、上下方向に延びる複数の板材7aによって構成されており、モジュール固定部6に対して一体に設けられている。なお、放熱フィン7は、モジュール固定部6の筐体内側部位6b2の外壁ow(特に上壁)にも設けられている。
【0044】
このようなコネクタモジュール1の放熱構造Hdにおいて、パワーデバイス11c等からの熱は、上壁20u(放熱部Hp)、及びモジュール固定部6を通じて、広い表面積を有する金属筐体5から放出されると共に、放熱フィン7によっても放熱される。また、放熱フィン7はモジュール固定部6の上壁に設けられ且つ上下方向に延びているため、熱が逃げ易い構造となっている。さらに、放熱フィン7が筐体内側部位6b2の外壁owにも設けられているため、筐体5内においても放熱される構造となっている。
【0045】
このようにして、第2実施形態に係るコネクタモジュール1の放熱構造Hdによれば、第1実施形態と同様に、放熱性能の向上を図ると共に、制御基板12が傷つき難く且つ短絡の可能性を低減することができるコネクタモジュール1の放熱構造Hdを提供することができる。また、大電流に対応可能で小型化を図ったコネクタモジュール1の放熱構造Hdを提供することができる。
【0046】
さらに、第2実施形態によれば、モジュール固定部6は放熱フィン7が形成されているため、半導体モジュール11からモジュール固定部6に伝達された熱は放熱フィン7によっても放熱され、一層放熱性能の向上を図ることができる。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係るコネクタモジュールの放熱構造は第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が第1実施形態のものと異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0048】
図7は、第3実施形態に係るコネクタモジュールを示す分解斜視図であり、
図8は、第3実施形態に係るコネクタモジュールを示す斜視図である。
図7及び
図8に示すように、第3実施形態に係るコネクタモジュール2は、第1及び第2ケース部材20a,20bの双方の上壁20uに、2つの矩形状の切り欠き部27が形成されている。そして、双方のケース部材20a,20bを組み付けたときには、双方の切り欠き部27が合致して、2つの矩形状の開口部OPが形成される。開口部OPの縁部には、コネクタモジュール2の挿抜方向に延びるスライド溝28が形成されている。また、コネクタモジュール2の挿抜方向と直交する方向に延びる開口部OPの縁部にも溝29が形成されている。
【0049】
さらに、本実施形態において樹脂部材11eは、上方に矩形状に突出する上突部11gと、上突部11gの周縁部において側方に張り出して突出する側突部11hを備えている。本実施形態においては、
図8に示すように、収納部品10をケース部材20内に取り付けるときに制御基板12がスライド溝26にスライド挿入され、同時に側突部11hがスライド溝28にスライド挿入されることとなる。また、スライド挿入完了後、第1ケース部材20aに対して第2ケース部材20bを組み付けた場合、樹脂部材11eの上突部(電子部品の一部)11gはケース部材20から露出する。このとき、上突部11gはケース部材20の上面20ouと面一となっており、放熱部Hpを構成する。なお、組み付け完了後の状態において、側突部11hは溝29にも嵌ることとなり、半導体モジュール11は挿抜方向及びこれと直交する方向の双方に固定されることとなる。
【0050】
このようなコネクタモジュール2の放熱構造Hdでは、パワーデバイス11cで発生した熱は、上突部11g(放熱部Hp)、及びモジュール固定部6を通じて、広い表面積を有する金属筐体5から放出される。特に、第3実施形態においては半導体モジュール11の一部である上突部11gが直接又は伝熱性部材を介してモジュール固定部6に接触することとなり、第1実施形態のように上壁20uを介さない分だけ、放熱性に優れることとなる。
【0051】
このようにして、第3実施形態に係るコネクタモジュール2の放熱構造Hdによれば、第1実施形態と同様に、放熱性能の向上を図ると共に、制御基板12が傷つき難く且つ短絡の可能性を低減することができるコネクタモジュール1の放熱構造Hdを提供することができる。また、大電流に対応可能で小型化を図ったコネクタモジュール1の放熱構造Hdを提供することができる。
【0052】
さらに、第3実施形態によれば、半導体モジュール11の一部である上突部11gが直接又は伝熱性部材を介してモジュール固定部6に接触することとなり、ケース部材20を介さないため、一層放熱性に優れた放熱構造Hdを提供することができる。
【0053】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係るコネクタモジュールの放熱構造は第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が第1実施形態のものと異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0054】
図9は、第4実施形態に係るコネクタモジュール3を示す断面図である。
図9に示すコネクタモジュール3は、第1及び第2のバスバ11a,11bを備えることなく、比較的小さい電流に対して好適に用いることができるものとなっている。
【0055】
このようなコネクタモジュール3は、制御基板12と、制御基板12上に搭載されるコネクタ14,15を備え、コネクタ14,15から延びる端子14a,15aがケース部材20に形成された開口から露出するように設けられており、この露出部位の周囲を覆うように、第1及び第3コネクタ部22,25がケース部材20と一体に形成されている。また、制御基板12上には半導体スイッチ等のデバイス(
図9において示せず)を内蔵した半導体モジュール11が搭載されている。また、制御基板12上には外部から制御信号を入力するための信号入力端子(図示せず)と、信号入力端子用のコネクタ(図示せず)とが設けられており、信号入力端子の一部がケース部材20外に露出して、これを覆うように第2コネクタ部(図示せず)が設けられている。
【0056】
さらに、制御基板12上に搭載される半導体モジュール11は、ケース部材20の上壁20u(放熱部Hp)に接しており、発生した熱をケース部材20の上壁20uに伝達するようになっている。
【0057】
このようなコネクタモジュール3を有する放熱構造Hdでは、上記の各部品11,14,15等を搭載する制御基板12が第1ケース部材20aに対してスライド挿入されて収納され、その後第2ケース部材20bが組み付けられる。これにより、コネクタモジュール3が作成される。
【0058】
半導体モジュール11からの熱は、コネクタモジュール3の上壁20u(放熱部Hp)に至り、放熱部Hpからモジュール固定部6に至る。モジュール固定部6は金属筐体5の一部であって、モジュール固定部6に伝達された熱は、金属筐体5という広い表面積を有する部材から外気に放出されることとなる。よって、放熱性能も高められることとなる。
【0059】
このようにして、第4実施形態に係るコネクタモジュール3の放熱構造Hdによれば、第1実施形態と同様に、放熱性能の向上を図ると共に、制御基板12が傷つき難く且つ短絡の可能性を低減することができるコネクタモジュール1の放熱構造Hdを提供することができる。
【0060】
さらに、第4実施形態によれば、第1及び第2のバスバ11a,11bを備えることなく、比較的小さい電流に対して好適に用いられるコネクタモジュール3の放熱構造Hdを提供することができる。
【0061】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で各実施形態に記載の技術を組み合わせるようにしてもよい。
【0062】
例えば、上記実施形態においてパワーデバイス11cを発熱性素子として例示したが、これに限らず、ヒューズやリレー等の他の発熱性素子が採用されてもよい。さらに、パワーデバイス11cとしてMOSFETを例示したが、トランジスタなどのオンオフ可能な他の半導体素子であってもよい。さらに、半導体モジュール11は、樹脂部材11eによってパワーデバイス11cをモールドすることでパワーデバイス11cをパッケージしているが、これに限らず、単に箱状の部材で覆うことによりパッケージしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態においてコネクタモジュール1,2は、パワーデバイス11cのソース電極から第1のバスバ11aまで伸びるソースワイヤWを備えているが、これに限らず、例えばソース電極に第1のバスバ11aを直接接続するなどして、ソースワイヤWを不要としてもよい。
【0064】
さらに、上記実施形態に係る放熱構造Hdにおいて、モジュール固定部6は金属筐体5に設けられているが、筐体に限らず、金属板などの他の金属部材に設けられていてもよいい。また、上記実施形態に係るコネクタモジュール1,2において第1及び第2のバスバ11a,11b上には、ヒューズなどの他の部品が搭載されていてもよい。
【0065】
加えて、上記実施形態においてケース部材20に対する、第1コネクタ部22と第3コネクタ部25との突出方向とは、逆向きになっているが、特に逆向きに限らず、直角などになっていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態においてケース部材20に対する第1コネクタ部22の突出方向と、第2コネクタ部23の突出方向とは同方向となっているが、これに限らず、異方向となっていてもよい。第4実施形態においては第2コネクタ部の図示を省略しているが第4実施形態も同様である。なお、同方向である場合には、コネクタモジュール1〜3に対して3方向に相手側コネクタが接続されることなく、2方向に相手側コネクタが接続されるため、接続方向を2方向に限定することができる。また、異方向である場合、特に全コネクタ部22,23,25の突出方向が異なっている場合には、コネクタモジュール1〜3に対して3方向に相手側コネクタが接続され、それぞれのコネクタ部22,23,25と相手側コネクタとの嵌合時に、他のコネクタ部22,23,25等の存在が邪魔になり難くすることができる。