特許第6249998号(P6249998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249998
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20171211BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20171211BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H01R13/42 E
   H01R13/42 F
   H01R13/639 Z
   H01R43/26
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-134894(P2015-134894)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-16963(P2017-16963A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(74)【代理人】
【識別番号】100175536
【弁理士】
【氏名又は名称】陸名 智之
(72)【発明者】
【氏名】笹木 康弘
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−170621(JP,A)
【文献】 特開2002−158057(JP,A)
【文献】 特開2003−203707(JP,A)
【文献】 特開2011−216194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40 − 13/72
H01R 43/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ嵌合相手となる相手コネクタに係合する部分となる弾性係合アームを含み、かつ、内部に端子付き電線の端子を収容する端子収容室を備えたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに設けたハウジング側係合部に係合するホルダ側係合部を係合することによって、前記相手コネクタとの嵌合方向後端側の位置で前記コネクタハウジングに結合するリアホルダと、とを有するコネクタにおいて、
前記コネクタハウジングは、
前記ハウジング側係合部に対して嵌合方向に略直交方向にずれた位置から前記リアホルダに比して嵌合方向後方位置、かつ、前記端子収容室の内壁面を嵌合方向後方に向けて延在するように端子挿入口から前記コネクタハウジングの天井部分の壁を突出した延在壁を設けることによって嵌合方向に向けて押圧操作可能な押圧操作用後端面を前記延在壁の端面に形成し、かつ、前記端子付き電線の電線が前記弾性係合アームに接触することを阻止しつつ、前記押圧操作用後端面側から前記端子収容室内に前記端子を誘導する面となる端子誘導面を前記延在壁に形成した後方延在部
を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
記弾性係合アームは、
前記延在壁の前記端子誘導面に対して裏側であって、前記コネクタハウジングの外表面に嵌合方向後方に先端を向けるようにアーム状に突設した弾性アームを有し、該弾性アームを弾性的に撓ませることによって前記相手コネクタとの係合解除操作ができるように、前記弾性アームに係合解除用の冶具を挿通する冶具挿通孔を形成した係合解除操作部を設け、
前記後方延在部は、
前記弾性アームを、前記係合解除操作部からさらに嵌合方向後方に向けて延在した部分によって、前記係合解除用の冶具を、前記押圧操作用後端面側から前記冶具挿通孔までガイドする冶具ガイド面を形成した冶具ガイド部を有する
ことを特徴とする請求項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ嵌合相手となる相手コネクタとの嵌合方向後端側の位置でコネクタハウジングに結合するリアホルダを有するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車に配索するワイヤハーネスに用いるコネクタは、自動車部品の設置場所の小スペース化の流れに伴って、相手コネクタとのコネクタ嵌合作業を手の入り難い狭い空間で行わなければならないことがある。
このため、相手コネクタとの嵌合方向後端側の位置でコネクタハウジングに結合することによって、コネクタハウジングからの端子の抜け止め機能をなすリアホルダを利用して相手コネクタとのコネクタ嵌合作業をやり易くするようにしている。
【0003】
ところで、リアホルダを利用して相手コネクタとのコネクタ嵌合作業を行った場合、リアホルダに外力が負荷され、リアホルダとコネクタハウジングとの係合箇所に応力が集中することによって、係合箇所が損傷するおそれがあった。
このため、例えば、特許文献1には、コネクタハウジングとリアホルダとの係合箇所での応力集中を回避するようにしたコネクタが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されたコネクタは、コネクタハウジングとリアホルダとの結合状態において、リアホルダは結合用壁の間に取付けられ、各結合用壁は、係合孔に嵌合する係合突起と、結合用壁の周縁に当接する当接突起とで係合することによって、複数の係合箇所で係合することができ、これによって、コネクタハウジングとリアホルダとの係合箇所での応力集中を回避するようにしている。
【0005】
また、このようなコネクタは、コネクタ嵌合相手となる相手コネクタに係合する部分となる弾性係合アームを含み、かつ、内部に端子付き電線の端子を収容する端子収容室を備えたコネクタハウジングが多く用いられる。この弾性係合アームについては、端子付き電線の電線が弾性係合アームに引っ掛かり易く、結果的に、弾性係合アームを損傷してしまうおそれがあった。
このため、特許文献2には、ロックアーム(弾性係合アーム)に電線が引っ掛かることを防止することが可能なコネクタが記載されている。
【0006】
特許文献2記載されたコネクタは、ロックアーム(弾性係合アーム)と電線引出面との間に位置して後方へ突出する突片を有し、突片の後端がロックアーム(弾性係合アーム)の後端及び電線引出面よりも後方に位置するようになっている。これによって、電線が突片と干渉することによってロックアーム(弾性係合アーム)側への周り込みを阻止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−227249号公報
【特許文献2】特開2013−246915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたコネクタは、相手コネクタとのコネクタ嵌合のためにコネクタを嵌合方向に押し込む際、コネクタハウジングの後端部から後方に突出するリアホルダに冶具等を押し当てて押し込むため、係合箇所に負荷される荷重が分散されるように構成されているものの、係合箇所に荷重がかかり易く、結果的に、係合箇所を損傷してしまうおそれがあった。
また、特許文献2に記載されたコネクタは、ロックアーム(弾性係合アーム)を保護する壁となる突起部が端子の挿入口側に迫り出しているため、端子収容室に端子を挿入する際に邪魔となり、端子をスムーズに挿入し難くなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、相手コネクタとの係合部分となる弾性係合アーム、および、コネクタハウジングとリアホルダとの係合箇所が損傷することを防ぐことができ、しかも、端子収容室に端子をスムーズに挿入することがでるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るコネクタは、コネクタ嵌合相手となる相手コネクタに係合する部分となる弾性係合アームを含み、かつ、内部に端子付き電線の端子を収容する端子収容室を備えたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに設けたハウジング側係合部に係合するホルダ側係合部を係合することによって、前記相手コネクタとの嵌合方向後端側の位置で前記コネクタハウジングに結合するリアホルダと、とを有するコネクタにおいて、前記コネクタハウジングは、前記ハウジング側係合部に対して嵌合方向に略直交方向にずれた位置から前記リアホルダに比して嵌合方向後方位置、かつ、前記端子収容室の内壁面を嵌合方向後方に向けて延在するように端子挿入口から前記コネクタハウジングの天井部分の壁を突出した延在壁を設けることによって嵌合方向に向けて押圧操作可能な押圧操作用後端面を前記延在壁の端面に形成し、かつ、前記端子付き電線の電線が前記弾性係合アームに接触することを阻止しつつ、前記押圧操作用後端面側から前記端子収容室内に前記端子を誘導する面となる端子誘導面を前記延在壁に形成した後方延在部を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係るコネクタは、上記の発明において、記弾性係合アームは、前記延在壁の前記端子誘導面に対して裏側であって、前記コネクタハウジングの外表面に嵌合方向後方に先端を向けるようにアーム状に突設した弾性アームを有し、該弾性アームを弾性的に撓ませることによって前記相手コネクタとの係合解除操作ができるように、前記弾性アームに係合解除用の冶具を挿通する冶具挿通孔を形成した係合解除操作部を設け、前記後方延在部は、前記弾性アームを、前記係合解除操作部からさらに嵌合方向後方に向けて延在した部分によって、前記係合解除用の冶具を、前記押圧操作用後端面側から前記冶具挿通孔までガイドする冶具ガイド面を形成した冶具ガイド部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係るコネクタは、前記押圧操作用後端面が、前記ハウジング側係合部に対して嵌合方向に略直交方向にずれた位置から前記コネクタハウジングに結合した前記リアホルダに比して嵌合方向後方に突出しているので、前記押圧操作用後端面に嵌合方向への外力を負荷した際、その外力が前記コネクタハウジングと前記リアホルダとの係合箇所に作用され難いので、前記コネクタを嵌合方向に押し込んだ際に前記コネクタハウジングと前記リアホルダとの係合箇所が損傷することを防ぐことができ、しかも、前記端子が前記端子誘導面によって、前記端子を前記端子付き電線の電線が前記弾性係合アームに接触することを阻止しつつ、前記押圧操作用後端面側から前記端子収容室内に誘導することができるので、相手コネクタとの係合部分となる弾性係合アーム、および、コネクタハウジングとリアホルダとの係合箇所が損傷することを防ぐことができ、しかも、端子収容室に端子をスムーズに挿入することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係るコネクタは、前記端子収容室の内壁面を嵌合方向後方に向けて延在した前記延在壁によって前記電線が前記弾性係合アームに接触することを阻止する機能と、前記端子のガイド機能との両方を持たせることができ、しかも、嵌合方向後方に突出した前記後方延在部の後端から前記係合解除操作部の前記冶具挿通孔に向けて前記係合解除用の冶具の先端を前記冶具ガイド面によってガイドさせながら移動することができるので、前記係合解除用の冶具によって前記弾性係合アームによる前記相手コネクタとの係合を解除する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施例に係るコネクタのコネクタハウジング内に端子付き電線の端子を嵌め込む前の状態を示した斜視図である。
図2図2は、ハウジング側係合部とホルダ側係合部とを係合してリアホルダを相手コネクタとの嵌合方向後端側の位置でコネクタハウジングに結合した状態のコネクタを後端側から視た斜視図である。
図3図3は、(a)がコネクタハウジングの上面図であり、(b)がコネクタハウジングの前面図であり、(c)がコネクタハウジングの後面図である。
図4図4は、図3(c)に示したコネクタハウジングのA−A線断面斜視図である。
図5図5は、図3(c)に示したコネクタハウジングのB−B線断面図である。
図6図6は、コネクタハウジングの端子収容室内に端子付き電線の端子を挿入する手順を説明するための説明図である。
図7図7は、(a)が後方延在部の押圧操作用後端面を押圧操作することによってコネクタを嵌合方向に移動している様子を示した図であり、(b)がコネクタを相手コネクタに嵌合した状態を示した図である。
図8図8は、(a)が係合解除用の冶具の先端を冶具ガイド面に摺接させながら係合解除操作部の冶具挿通孔に向けて移動している様子を示した図であり、(b)が係合解除用の冶具の先端を係合解除操作部の冶具挿通孔に挿通した状態を示した図である。
図9図9は、(a)が係合解除用の冶具によって係合解除操作部周辺を撓ませることによって弾性係合アームによる相手コネクタとの係合を解除している様子を示した図であり、(b)が相手コネクタとの係合を解除したコネクタを嵌合方向とは逆の方向に移動している様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るコネクタの好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るコネクタ1のコネクタハウジング10内に端子付き電線CWの端子Cを嵌め込む前の状態を示した斜視図である。図2は、ハウジング側係合部13とホルダ側係合部32aとを係合してリアホルダ30を相手コネクタ100との嵌合方向後端側の位置でコネクタハウジング10に結合した状態のコネクタを後端側から視た斜視図である。図3は、(a)がコネクタハウジング10の上面図であり、(b)がコネクタハウジング10の前面図であり、(c)がコネクタハウジング10の後面図である。図4は、図3(c)に示したコネクタハウジング10のA−A線断面斜視図である。図5は、図3(c)に示したコネクタハウジング10のB−B線断面図である。
本発明の実施例に係るコネクタ1は、例えば、自動車に配索するワイヤハーネスに用いるものであり、コネクタ嵌合相手となる相手コネクタ100に係合する部分となる弾性係合アーム14を含み、かつ、内部に端子付き電線CWの端子Cを収容する端子収容室12を備えたコネクタハウジング10と、コネクタハウジング10に設けたハウジング側係合部13に係合するホルダ側係合部32aを係合することによって、相手コネクタ100との嵌合方向後端側の位置でコネクタハウジング10に結合するリアホルダ30と、とを有する。
【0017】
まず、コネクタハウジング10について説明する。
コネクタハウジング10は、例えば、絶縁性の合成樹脂材からなる。このコネクタハウジング10は、本体部分を構成するハウジング本体部11と、リアホルダ30のホルダ側係合部32aに係合するハウジング側係合部13と、弾性係合アーム14と、嵌合方向に向けて押圧操作可能な押圧操作用後端面20aを形成した後方延在部20と、を有する。
【0018】
ハウジング本体部11は、底壁11aと、底壁11aに向かい合う天井壁11bと、互いに向かい合う一対の側壁11c、11cと、を有する略角筒状をなし、内部を隔壁11dで分けることによって、2本の端子付き電線CWの端子Cを収容する2つの端子収容室12を設けている。
【0019】
このハウジング本体部11は、2つの相手端子挿入口11eを嵌合方向前端面に設けている。これら2つの相手端子挿入口11eは、コネクタ1が相手コネクタ100とコネクタ嵌合した状態で、相手コネクタ100に収容した不図示の2つの端子のそれぞれが挿入されて各コネクタハウジング10に収容した2つの端子Cに接続するように形成した開口である。
【0020】
また、ハウジング本体部11は、嵌合方向後端面に、端子付き電線CWの2つの端子Cを各端子収容室12に挿入するための開口である2つの端子挿入口11fを設けている。
各端子収容室12内には、図4および図5に示すように、係止ランス12bを設け、各端子Cを端子収容室12内の所定の位置で係止するようになっている。
【0021】
ハウジング側係合部13は、一対の側壁11c、11cのそれぞれの後端部外壁面側に連結することによって、リアホルダ30を間に嵌め込むことができるような間隔を開けて向かい合うように設けた一対の係合壁部13a、13aを有する。
【0022】
各係合壁部13a、13aは、リアホルダ30の後述する係合突起32aが係合する係合孔13bを形成している。
【0023】
弾性係合アーム14は、コネクタハウジング10の外表面10aに嵌合方向後方に先端を向けるようにアーム状に突設した弾性アーム14aと、弾性アーム14a上にコネクタ嵌合位置で相手コネクタ100に係合するように設けた係合突起14bと、弾性アーム14aを弾性的に撓ませることによって係合突起14bによる相手コネクタ100との係合を解除する操作ができるように弾性アーム14aに係合解除用の冶具Tを挿通する冶具挿通孔14dを形成した係合解除操作部14cと、を有する。
【0024】
この弾性係合アーム14は、延在壁21の後述する端子誘導面21aに対して裏側に設けている。
【0025】
後方延在部20は、ハウジング側係合部13に対して嵌合方向Dに略直交方向にずれた位置からリアホルダ30に比して嵌合方向後方に突出することによって嵌合方向Dに向けて押圧操作可能な押圧操作用後端面20aを形成し、かつ、端子Cを端子付き電線CWの電線Wが弾性係合アーム14に接触することを阻止しつつ、押圧操作用後端面20a側から端子収容室12内に誘導する面となる端子誘導面21aを形成する。
【0026】
この後方延在部20は、端子収容室12の内壁面12aを嵌合方向後方に向けて延在した延在壁21を有する。
端子誘導面21aは、延在壁21の内壁面12aに連続する面に形成する。
すなわち、延在壁21は、各端子Cを対応する端子収容室12に挿入するための端子誘導面21aを形成している。
より具体的には、延在壁21は、端子誘導面21aが各端子収容室12の内壁面12aを嵌合方向後方に向けて延在するように、ハウジング本体部11の天井壁11bを嵌合方向後方に延在した壁になっている。
【0027】
また、後方延在部20は、延在壁21の端子誘導面21aに対して裏側の面に押圧操作用後端面20aを形成する壁22、22を設けている。
より具体的には、後方延在部20は、延在壁21の端子誘導面21aに対して裏側の面に押圧操作用後端面20aを形成する壁として延在壁21の両側縁に沿って一対の補強リブ22、22を立設している。
【0028】
このような後方延在部20は、延在壁21と、一部がハウジング本体部11にかかるように延在壁21の両側縁に沿って立設した一対の補強リブ22、22と、一対の補強リブ22、22の間に係合解除用の冶具Tを押圧操作用後端面20a側から冶具挿通孔14dまでガイドする冶具ガイド面23bを形成した冶具ガイド部23と、を有する。
【0029】
冶具ガイド部23は、弾性アーム14aを係合解除操作部14cからさらに嵌合方向後方に向けて延在した部分によって、係合解除用の冶具Tを押圧操作用後端面20a側から冶具挿通孔14dまでガイドする冶具ガイド面23bを形成したものである。
【0030】
このような冶具ガイド部23は、延在端23aを一対の補強リブ22、22の互いに向かい合う面を橋渡すように固定している。
このため、弾性アーム14aの基端部から冶具ガイド部23の延在端23aまでの連続した区間が天井壁11bに対して間隔を空けた状態で保持されている。これにより、この弾性アーム14aの基端部から冶具ガイド部23の延在端23aまでの連続した区間を天井壁11bに向けて容易に撓ませることができるようになっている。
【0031】
後方延在部20は、延在壁21、一対の補強リブ22、22、および、冶具ガイド部23のそれぞれが押圧操作用後端面20aを形成することによって、嵌合方向Dに直交する方向に押圧操作用後端面20aを拡大するようにしている。
すなわち、後方延在部20は、延在壁21、一対の補強リブ22、22、および、冶具ガイド部23のそれぞれの後端面を利用して押圧操作用後端面20aを拡大するようにしている。
【0032】
また、後方延在部20は、延在壁21と、一対の補強リブ22、22と、弾性アーム14aを嵌合方向後方に向けて延在した部分の端部となる延在端23aを形成する壁と、によって断面ロの字状の壁からなる押圧操作用後端面20aを形成している。このため、後方延在部20は、剛性の高い構造になっている。
【0033】
次に、リアホルダ30について説明する。
リアホルダ30は、例えば、絶縁性の合成樹脂材からなり、ハウジング本体部11の後端側の位置でコネクタハウジング10に結合し、端子収容室12内に収容した端子Cを押圧することによって、端子Cがコネクタハウジング10外に離脱することを防止するようになっている。すなわち、リアホルダ30は、端子収容室12内に設けた係止ランス12bと合わせて端子Cを端子収容室12内に2重係止するための機能をなしている。
【0034】
このリアホルダ30は、端子収容室12内に収容した端子Cを押圧する面となる端子押圧面31aを形成したホルダ底壁31と、ホルダ底壁31の両側端部に立設し、係合壁部13aの係合孔13bに係合する係合突起32aを形成した一対のホルダ側壁32、32と、を有する。
【0035】
また、リアホルダ30は、嵌合方向後端側の位置でコネクタハウジング10に結合した状態で、後端面30aが、ハウジング側係合部13の後端面13cと面一になるように嵌合方向の幅を調整している。
より具体的には、リアホルダ30は、嵌合方向後端側の位置でコネクタハウジング10に結合した状態で、後端面30aが、一対の係合壁部13a、13aの後端面13cと面一になるように嵌合方向の幅を調整している。
すなわち、リアホルダ30が嵌合方向後方に向けてできるだけ突出しないように調整してあるので、後方延在部20について嵌合方向の幅をできるだけ小さく抑えても、後方延在部20がリアホルダ30に比して嵌合方向後方に突出するように調整することができるようになっている。
【0036】
なお、リアホルダ30は、ヒンジ部40を介してコネクタハウジング10に連結することによって、コネクタハウジング10に対して係合位置および係合解除位置に可動できるようになっている。
【0037】
次に、図6を用いてコネクタハウジング10の端子収容室12内に端子付き電線CWの端子Cを挿入する手順について説明する。
図6は、コネクタハウジング10の端子収容室12内に端子付き電線CWの端子Cを挿入する手順を説明するための説明図である。
まず、作業者は、端子付き電線CWの端子Cを対応する端子収容室12の端子挿入口11fに向けて移動開始する(図6(a))。
この際、端子挿入口11fよりも嵌合方向後方に突出した延在壁21の端子誘導面21aによって端子Cを端子挿入口11fまで容易に誘導することができる。
しかも、延在壁21の端子誘導面21aに対して裏側に弾性係合アーム14を設けているので、延在壁21が端子付き電線CWの電線Wが弾性係合アーム14に接触することを阻止している。
このように端子誘導面21aによって端子収容室12内に誘導した端子Cは、係止ランス12bに係合することによって端子収容室12内の所定位置に係止される。
また、作業者は、各端子Cを端子収容室12内に収容した後、リアホルダ30をコネクタハウジング10に結合することによって、端子Cが端子収容室12内の所定位置で2重係止される。
【0038】
次に、図7を用いてコネクタ1を相手コネクタ100にコネクタ嵌合する手順について説明する。
図7は、(a)が後方延在部20の押圧操作用後端面20aを押圧操作することによってコネクタ1を嵌合方向Dに移動している様子を示した図であり、(b)がコネクタ1を相手コネクタ100に嵌合した状態を示した図である。
なお、図7は、相手コネクタ100の外形を仮想線で示している。
【0039】
まず、作業者は、後方延在部20の押圧操作用後端面20aを押圧操作することによってコネクタ1を嵌合方向Dに移動開始する(図7(a)参照)。
ここで、押圧操作用後端面20aが、コネクタハウジング10に結合したリアホルダ30に比して嵌合方向後方に突出した位置に形成されているので、コネクタ嵌合するための作業空間が狭くても、作業者は、冶具等を用いてコネクタ1を嵌合方向に容易に押圧操作することができる。
また、押圧操作用後端面20aが、端子付き電線CWの電線Wに干渉し難い位置に形成されているので、作業者は、電線Wが邪魔にならないように、冶具等を用いてコネクタ1を嵌合方向Dに容易に押圧操作することができる。
さらにまた、押圧操作用後端面20aが、ハウジング側係合部13に対して嵌合方向Dに略直交方向にずれた位置からリアホルダ30に比して嵌合方向後方に突出しているので、押圧操作用後端面20aに嵌合方向Dへの外力を負荷した際、その外力がコネクタハウジング10とリアホルダ30との係合箇所に作用され難い。
【0040】
その後、作業者は、弾性係合アーム14が相手コネクタ100に係合完了する位置までコネクタ1を嵌合方向Dに移動し、コネクタ1と相手コネクタ100とをコネクタ嵌合することによってこの作業を終了する。
【0041】
次に、図8および図9を用いて相手コネクタとコネクタ1とのコネクタ嵌合を解除する手順について説明する。
図8は、(a)が係合解除用の冶具Tの先端を冶具ガイド面23bに摺接させながら係合解除操作部14cの冶具挿通孔14dに向けて移動している様子を示した図であり、(b)が係合解除用の冶具Tの先端を係合解除操作部14cの冶具挿通孔14dに挿通した状態を示した図である。図9は、(a)が係合解除用の冶具Tによって係合解除操作部14c周辺を撓ませることによって弾性係合アーム14による相手コネクタ100との係合を解除している様子を示した図であり、(b)が相手コネクタ100との係合を解除したコネクタ1を嵌合方向Dとは逆の方向に移動している様子を示した図である。
なお、図8および図9は、相手コネクタ100の外形を仮想線で示している。
この実施例では、相手コネクタ100との係合解除操作に用いる係合解除用の冶具Tとしてマイナスドライバーを用いているが、係合解除用の冶具Tはマイナスドライバーに限らずその他の冶具を用いてもよい。
【0042】
まず、作業者は、係合解除用の冶具Tの先端を冶具ガイド面23bに摺接させながら係合解除操作部14cの冶具挿通孔14dに向けて移動する(図8(a)参照)。
ここで、作業者は、嵌合方向後方に突出した後方延在部20の後端から係合解除操作部14cの冶具挿通孔14dに向けて係合解除用の冶具Tの先端を冶具ガイド面23bにガイドさせながら移動することができる。
【0043】
その後、作業者は、係合解除用の冶具Tの先端を係合解除操作部14cの冶具挿通孔14dに挿通すると(図8(b)参照)、係合解除用の冶具Tによって係合解除操作部14c周辺を撓ませることによって弾性係合アーム14による相手コネクタ100との係合を解除する(図9(a)参照)。
ここで、作業者は、先端を冶具挿通孔14dに挿通した係合解除用の冶具Tを弾性係合アーム14が天井壁11bに向けて撓むように操作すると、係合突起14bが相手コネクタ100の不図示の係合部分との係合を解除するように移動し、コネクタ1と相手コネクタ100との係合が解除される。
【0044】
最後に、作業者は、弾性係合アーム14による相手コネクタ100との係合を解除したコネクタ1を嵌合方向Dとは逆の方向に移動することによってこの作業を完了する(図9(b)参照)。
【0045】
本発明の実施例に係るコネクタ1は、押圧操作用後端面20aが、ハウジング側係合部13に対して嵌合方向Dに略直交方向にずれた位置からコネクタハウジング10に結合したリアホルダ30に比して嵌合方向後方に突出しているので、押圧操作用後端面20aに嵌合方向Dへの外力を負荷した際、その外力がコネクタハウジング10とリアホルダ30との係合箇所に作用され難いので、コネクタ1を嵌合方向Dに押し込んだ際にコネクタハウジング10とリアホルダ30との係合箇所が損傷することを防ぐことができ、しかも、端子Cが端子誘導面21aによって、端子Cを端子付き電線CWの電線Wが弾性係合アーム14に接触することを阻止しつつ、押圧操作用後端面20a側から端子収容室12内に誘導することができるので、相手コネクタ100との係合部分となる弾性係合アーム14、および、コネクタハウジング10とリアホルダ30との係合箇所が損傷することを防ぐことができ、しかも、端子収容室12に端子Cをスムーズに挿入することができる。
【0046】
また、本発明の実施例に係るコネクタ1は、端子収容室12の内壁面12aを嵌合方向後方に向けて延在した延在壁21によって電線Wが弾性係合アーム14に接触することを阻止する機能と、端子Cのガイド機能との両方を持たせることができ、しかも、嵌合方向後方に突出した後方延在部20の後端から係合解除操作部14cの冶具挿通孔14dに向けて係合解除用の冶具Tの先端を冶具ガイド面23bによってガイドさせながら移動することができるので、係合解除用の冶具Tによって弾性係合アーム14による相手コネクタ100との係合を解除する作業を容易に行うことができる。
【0047】
また、本発明の実施例に係るコネクタ1は、延在壁21の端子誘導面21aに対して裏側の面に押圧操作用後端面20aを形成する壁を設けているので、押圧操作用後端面20aが、端子付き電線CWの電線Wに干渉し難い位置に形成されているので、電線Wが邪魔にならないように、コネクタ1を嵌合方向に容易に押圧操作することができる。
【0048】
また、本発明の実施例に係るコネクタ1は、後方延在部20が、延在壁21と、一対の補強リブ22と、延在端23aを形成する壁と、によって断面ロの字状の壁からなる押圧操作用後端面20aを形成し、押圧操作用後端面20aを形成する壁を剛性が高い構造にしているので、コネクタ1を嵌合方向に安定して押圧操作することができる。
【0049】
また、本発明の実施例に係るコネクタ1は、リアホルダ30が嵌合方向後端側の位置でコネクタハウジング10に結合した状態で、後端面30aが、ハウジング側係合部13の後端面13cと面一になるように嵌合方向Dの幅を調整していることにより、リアホルダ30が嵌合方向後方に向けてできるだけ突出しないように調整してあるので、後方延在部20の嵌合方向の幅をできるだけ小さく抑えた場合であっても、後方延在部20をリアホルダ30に比して嵌合方向後方に突出するように調整することができ、結果的に、コネクタ1の嵌合方向Dの幅の増加をできるだけ小さく抑えつつ、後方延在部20をリアホルダ30に比して嵌合方向後方に突出するように調整することができる。
【0050】
なお、本発明の実施例に係るコネクタは、リアホルダ30がヒンジ部40を介してコネクタハウジング10に連結するものを例示したが、リアホルダ30とコネクタハウジング10とを連結する構造に限定しない。例えば、リアホルダ30と、コネクタハウジングとを別体で設ける構造にしてもよい。
【0051】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
1、2、3 コネクタ
10 コネクタハウジング
10a 外表面
11 ハウジング本体部
11a 底壁
11b 天井壁
11c 側壁
11d 隔壁
11e 相手端子挿入口
11f 端子挿入口
12 端子収容室
12a 内壁面
12b 係止ランス
13 ハウジング側係合部
13a 係合壁部
13b 係合孔
13c 後端面
14 弾性係合アーム
14a 弾性アーム
14b 係合突起
14c 係合解除操作部
14d 冶具挿通孔
20 後方延在部
20a 押圧操作用後端面
21 延在壁
21a 端子誘導面
22 補強リブ(壁)
23 冶具ガイド部
23a 延在端
23b 冶具ガイド面
24 壁
30 リアホルダ
30a 後端面
31 ホルダ底壁
31a 端子押圧面
32 ホルダ側壁
32a 係合突起(ホルダ側係合部)
40 ヒンジ部
100 相手コネクタ
CW 端子付き電線
C 端子
W 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9