(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について
図1〜
図4を参照して説明する。
【0011】
図1、
図2に示すように、第1の実施形態に係る基板搬送装置100は、基板Wの搬送方向(
図1において紙面直交方向)とは直交する方向(以下、「基板Wの幅方向」ともいう。)に延びるように設けられたシャフト1と、このシャフト1に一定間隔で複数設けられ、かつ、基板Wの下面に当接するように設けられた搬送ローラ2と、シャフト1を保持する軸受3を有する。さらに、基板Wの幅方向において、基板Wを挟むように、かつ、基板Wの搬送方向に沿って一定間隔で複数のガイドローラ4が、シャフト5(
図2参照)を介して設けられる。このガイドローラ4は、ゴムなどの弾性体や、樹脂などからなり、基板Wの厚みの2倍以上の高さを有する円柱状をしており、
図3、
図4を用いて説明するように、各ガイドローラ4は、ガイドローラ4毎に設けたガイドローラ調整部40によって、基板の厚み方向における高さ位置と、基板Wの幅方向における水平位置とが調整できるように構成されている。なお、
図3において、基板Wの幅方向をX方向、基板Wの搬送方向をY方向(X方向とは直交する方向)、X方向とY方向のいずれにも直交する方向(基板Wの表面に垂直な方向)をZ方向とする。
【0012】
図3、
図4に示すように、ガイドローラ調整部40は、X軸調整機構200と、Z軸調整機構300とを有している。X軸調整機構200は、基板Wの幅方向(X方向)における、ガイドローラ4の水平位置を調整する。Z軸調整機構300は、基板Wの厚み方向(Z方向)における、ガイドローラ4の高さ位置を調整する。
【0013】
X軸調整機構200は、基板搬送装置100の架台(不図示)に固定支持される固定部材41、第1の可動部材45(第1部材)、第2の可動部材42(第2部材)、調整ボルト46A、46Bを有して構成される。第1の可動部材45は、固定部材41によって水平方向に支持される板状部材で、
図4に示すように、X方向に沿ってスライド孔45Aを有し、スライド孔45Aを介して調整ボルト46A、46Bを第2の可動部材42の一端部側にねじ込むことで、第1の可動部材45は、第2の可動部材42と一体化される。さらに第1の可動部材45における基板W側の端部には、シャフト5が回転可能に支持され、このシャフト5にガイドローラ4が保持される。シャフト5は、Z方向に沿って設けられる。なお、
図4に示すように、第2の可動部材42には、第1の可動部材45の幅と同等な幅を有するスライド溝Dが、X方向に沿って切り欠かれている。これにより、このスライド溝D内にて第1の可動部材45がスライドすることで、第1の可動部材45が、スライド孔45Aに沿った方向、つまり基板の幅方向に移動できるようになっている。
【0014】
Z軸調整機構300は、固定部材41、第2の可動部材42、引きボルト43と、この引きボルト43の両脇に設けられる押しボルト44A、44B、ガイドS1、S2とを有して構成される。第2の可動部材42は、固定部材41によって水平方向に支持される板状部材である。引きボルト43は、第2の可動部材42の他端部側に設けられた貫通孔42aを通り、固定部材41にねじ込まれる。押しボルト44Aと44Bは、第2の可動部材42にそれぞれねじ込まれるとともに、ボルト先端は、固定部材41の上面に当接するように構成される。さらに、第2の可動部材42の他端部側面には、切り欠きK1、切り欠きK2が設けられている。固定部材41には、棒状のガイド部材S1、ガイド部材S2が固定されており、切り欠きK1にはガイド部材S1、切り欠きK2にはガイド部材S2が当接するように設けられる。なお、本実施形態においては、
図4に示す平面視における基板の幅方向(
図4では左右方向)において、切り欠きK1(ガイドS1)が引きボルト43と押しボルト44Aとの間に、切り欠きK2(ガイドS2)は引きボルト43と押しボルト44Bの間に設けられる。後述する調整によって、第2の可動部材42が固定部材41に対して上昇したり下降したりする際、第2の可動部材42は、ガイドS1、ガイドS2に沿って上下するから、第2の可動部材42、ひいてはガイドローラ4が、引きボルト43を中心に旋回したり、がたつくことを防止できる。さらに、第2の可動部材42に一端を固定された目盛り板Gを有していても良い。
【0015】
次に、基板搬送装置100の動作について説明する。
【0016】
まず、準備段階において、基板Wが基板搬送装置100へ搬入されると、基板Wは、搬送ローラ2の上に載置される。このとき、基板Wの幅方向両端にそれぞれ対向して配置される複数のガイドローラ4は、規定位置(基板Wの側面をガイドする位置)に対し、基板の側面から離れる方向、つまり基板Wの幅方向長さよりも広い間隔となるように位置付けられている。この調整については、後述する。
【0017】
次に、基板Wの幅方向両端の側面に対して、基板Wの幅方向両端側から基板W中央側に向かう方向に、基板Wを挟み込むように、ガイドローラ4を移動させる。さらに、ガイドローラ4は、Z方向についても、基板Wの側面がガイドローラ4のZ方向長さの半分(高さ方向中央)よりも
上側に当接するように調整、移動されて、準備段階は終了する。なお、これらの調整については後述する。
【0018】
ガイドローラ4の位置調整が完了すると、搬送ローラ2が回転し、前工程の装置から基板Wが搬入され、その基板Wは搬送ローラ2によって搬送方向へ搬送されながら、ガイドローラ4によって蛇行することなくガイドされる。搬送装置100の上方には、図示しない処理ツール(例えば処理液を供給するノズルや、乾燥エアを供給するエアナイフなど)が設けられており、基板Wは、基板搬送装置100によって搬送されながら順次処理が行われる。
【0019】
複数のガイドローラ4は、上述のように、それぞれガイドローラ調整部40によって、位置の調整が可能に設けられており、X軸調整機構200、Z軸調整機構300によって、次のように位置が調整される。
【0020】
まず、X軸調整機構200による位置調整について説明する。
図3、
図4に示すように、ガイドローラ4が保持されるシャフト5が取り付けられた第1の可動部材45は、第2の可動部材42にねじ込められた調整ボルト46A、46Bを緩めることで、スライド溝Dに案内されながら、スライド孔45Aが延びるX方向に動かすことが可能となる。この状態で、ガイドローラ4が基板Wの側面に当接する位置に調整した後、調整ボルト46A、46Bを締めて固定することで、X方向の位置調整(ガイドローラ4の表面と基板Wとの距離の調整)が行われるようになっている。
【0021】
次に、Z軸調整機構300による位置調整について説明する。
図3、
図4に示すように、ガイドローラ調整部40の第1の可動部材45は、第2の可動部材42に取り付け固定されている。すなわち、第2の可動部材42のZ方向高さを調整することによって、第1の可動部材45、
すなわちガイドローラ4のZ方向の調整を行う。
【0022】
引きボルト43には、長手方向の下半分にねじが設けられて、固定部材41に固定されるが、第2の可動部材42に対してはフリーである。2つの押しボルト44A、44Bには、長手方向の上半分にねじが設けられている。なお押しボルト44A、44Bの先端は、固定部材41の上面に当接している。
【0023】
図3の状態において、ガイドローラ4によってガイドされた基板Wの枚数が増加していくと、ガイドローラ4が摩耗してくる。そこで、本実施形態においては、基板Wの搬送が開始してから所定時間経過する毎に、ガイドローラ4を保持する第2の可動部材42をZ方向に沿って、上方に5ミリメートル上昇させる場合を想定する。
【0024】
まず、引きボルト43を緩めて、上方向に目分量で2センチメートルほど上昇させる。次に、押しボルト44A、44Bを均等に締めていく。押しボルト44A、44Bを締めることによって、第2の可動部材42は、固定部材41から離れる方向へ移動していく。すなわち、
第2の
可動部材42は、ガイドS1、S2に沿ってZ方向に上昇していくことになる。目盛り板Gを参照しながら、第2の可動部材42のZ方向位置を上昇させ、目標の5ミリメートル上昇地点まで上昇させると、今度は、引きボルト43を固定部材41に締めつけていく。この場合、引きボルト43を約1.5センチメートル分締めると、第2の可動部材42は、固定部材41に固定される。このようにして第2の可動部材42が上昇することによって、第2の可動部材42に固定される第1の可動部材45、および第1の可動部材45に保持されるガイドローラ4も追従して上昇する。ガイドローラ4を降下させたい場合は、まず引きボルト43を緩めたのち、押しボルト44A、44Bを緩め、可動部材42を降下させた後、引きボルト43を締めて固定するようにすれば良い。
【0025】
なお、
図3、
図4には、一つのガイドローラ4のガイドローラ調整部40を示しているが、このガイドローラ調整部40はY方向にも複数配置されており、さらに基板Wを挟んで対向して配置されるガイドローラ4に対しても、配置されている。つまり、ガイドローラ調整部40は、ガイドローラごとに設けられる。
【0026】
以上説明したとおり、このようなガイドローラ調整部40を有する基板搬送装置によれば、ガイドローラ4の表面に、基板Wが複数枚当接することでガイドローラ4表面が摩耗し、ガイドローラ4の表面に凹部ができ、このことによって、基板Wの側面とガイドローラ4との距離が、ガイドローラ4の位置決め当初と変わってしまったとしても、X方向とZ方向のいずれの方向に対しても、容易にガイドローラ4の位置調整を行うことができるので、ガイドローラ4をすぐに新品と取り替えることなく継続的に使用ができ、従って、ガイドローラの長寿命化を図ることができる。
【0027】
さらに、小まめにガイドローラ4の高さ調整を行うことにより、薄い基板を搬送したとしても、ガイドローラ4の表面(基板と接触する面)の同一の領域に、集中的に基板が当たることを避けることができ、ガイドローラ4が局所的に磨耗するのを防ぐことができるため、ガイドローラを長寿命化させることができる。
【0028】
また、ガイドローラ4のZ方向の長さは、前述の通り、基板Wの厚みの2倍以上を有していて、当初、基板Wの側面がガイドローラ4のZ方向長さの半分よりも上側に当接するように調整、移動される。そして、ガイドローラ4の表面に凹部が形成されつつある時点で、ガイドローラ4のZ方向長さの半分よりも下側に
基板Wの側面が当接するように、ガイドローラのZ方向の位置を調整するようにしても良い。なお、ガイドローラ4のZ軸方向長さの半分よりも下側を先に使用し、摩耗したらZ軸方向長さの半分よりも上側を使用するようにしても良い。いずれにしろ、ガイドローラ4のZ方向長さのちょうど半分の箇所に目印などを付しておくことにより、目盛り板Gを使用して正確に調整しなくても良好に調整することが可能である。すなわち、目印よりも上(あるいは下)の箇所であれば、どの箇所であっても凹部が形成されていない状態(領域)であるので、この領域に基板Wの側面が当接するように調整しさえすれば、すべてのガイドローラに関して、搬送される基板Wの厚み方向(上下方向)での位置を正確に調整せずとも良い。もっとも、実施形態においては、ガイドローラ4における基板Wの側面との当接領域を、ガイドローラ4のZ方向長さの半分よりも上側と下側とに分けることなく、ガイドローラ4に凹部が形成されたときに、Z軸調整機構300を用いて、基板Wとガイドローラ4との接触領域を、ガイドローラ4の高さ方向(Z方向)において変えるだけでも、ガイドローラの長寿命化という作用効果は十分に得ることができる。
【0029】
しかも、ガイドローラ4の高さ方向(Z方向)における位置を変えることで、基板Wとガイドローラ4との接触領域を変化させる場合、先に述べたように、新たな接触領域が未使用領域であればよいので、Z方向での位置を正確に調整しなくても良いのに加え、前述の準備段階で行なった基板の幅方向(X方向)での位置調整を不要とすることが可能である。この点では、ガイドローラ4に凹部が形成されてしまった時に、ガイドローラ4をX方向に移動させて、基板の側面との当接状態を再調整するものと比べると、作業性の点できわめて有利となる。
【0030】
ただし、この場合、ガイドローラにおいて、基板の側面と接触することとなる、高さ方向(Z方向)における少なくとも複数の領域の部分は、シャフト5の回転中心から同径を有するようにする必要がある。たとえば、ガイドローラ全体を円柱状としても良いし、基板の側面と接触する領域だけは円柱状とし、他の部分は円錐形等としてもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について
図5、
図6を参照して説明する。
【0031】
第2の実施形態は、基本的に第1の実施形態と同様である。このため、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0032】
図5に示すように、第2の実施形態に係る基板搬送装置は、ガイドローラ調整部400を備えている。ガイドローラ調整部400のX軸調整機構は、第1の実施形態のX軸調整機構200と同一のものである。Z軸調整機構は、第1の実施形態とは異なり、固定部材41と第2の可動部材42との間に調整部材(スペーサ部材)400Aを備えている。調整部材400Aは、厚みが多段階の大きさのものを予め複数用意しておき、これを入れ替えることによって第2の可動部材42の位置を調整し、ガイドローラ4のZ方向の位置が調整できるようになっている。つまり
調整部材は、前記引きボルトの長手方向に対する長さが異なる。
【0033】
以下、
図5、
図6を用いてガイドローラ調整部400のZ軸調整機構の調整方法について説明する。
【0034】
まず、第2の可動部材42を上昇させたい場合は、引きボルト43を緩め、固定部材41から調整部材400Aと第2の可動部材42を取り外す。取り外した調整部材400AよりもZ方向の長さが長い別の調整部材400B(
図6参照)を、固定部材41と第2の可動部材42との間に介在させ、引きボルト43を用いて固定部材41に固定し、Z方向の調整が完了する。
【0035】
第2の可動部材42を降下させたい場合は、固定部材400AよりもZ方向の長さが短い調整部材400C(不図示)を引きボルト43を用いて取り付ければ良い。
【0036】
このようなガイドローラ調整部400を有する基板搬送装置によれば、ガイドローラ4の表面に基板Wが複数枚当接するなどして、ガイドローラ4の表面に凹部ができることによって、基板Wとガイドローラ4との距離が、ガイドローラ4の位置決め当初と変わってしまったとしても、すぐにガイドローラ4を取り替えることなく、継続的に使用することができ、容易にガイドローラ4の位置調整を行うことができる。これにより、ガイドローラの長寿命化を図ることができる。
【0037】
また、調整部材を交換することによって、ガイドローラ4のZ方向の位置調整を行うので、目盛りなどの別の部材がなくても調整可能である。
(その他の例)
さらに、上記の第1の実施形態においては、基板Wの側面が、ガイドローラ4のZ方向長さの半分よりも下側(または上側)に当接するようにし、次に、基板Wの側面がガイドローラ4のZ方向長さの半分よりも上側(または下側)に当接するようにするようにしたが、これに限らず、ガイドローラ4のZ方向長さの例えば下半分(または上半分)の領域を用いて基板のガイドを一定時間行った後、ガイドローラ4自体の上下を反転させて、反転後のガイドローラ4におけるZ方向長さの下半分(または上半分)の領域を用いることで、Z軸調整するようにしても良い。この場合、ガイドローラ4を反転させる作業は必要となるが、ガイドローラ4のZ方向での移動調整範囲がZ方向長さの半分で済み、狭くなるから、Z軸調整機構を小型化できるし、ガイドローラ4の調整をする時間が減少するため、効率よく基板を搬送することができる。また、この場合でも、ガイドローラ4の摩耗により、基板Wとガイドローラ4との距離が、ガイドローラ4の位置決め当初と変わってしまったとしても、すぐにガイドローラ4を取り替えることなく、継続的に使用することができ、ガイドローラの長寿命化を図ることができる。
【0038】
また、ガイドローラ調整部40、400は、X軸調整機構とZ軸調整機構の両方を有するものであるが、少なくとも一方を有していれば良いものである。
【0039】
さらに、ガイドローラ調整部40、400は、複数のガイドローラを一つの調整部40、400で調整しても良いし、ガイドローラ毎にそれぞれ一つずつ設けられていても良い。ガイドローラ毎にそれぞれ一つずつ設けられている場合、
ガイドローラの摩耗具合に差があるときでも、調整したいガイドローラを選択的に調整することが可能になる。
【0040】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。