特許第6250489号(P6250489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6250489
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】印刷回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/38 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   H05K3/38 E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-146679(P2014-146679)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-154073(P2015-154073A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2015年12月15日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0017989
(32)【優先日】2014年2月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(73)【特許権者】
【識別番号】509281184
【氏名又は名称】コリア・アドバンスド・インスチチュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】パク・ヨン・ジン
(72)【発明者】
【氏名】イム・スン・ガプ
(72)【発明者】
【氏名】コ・ヨン・グァン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジェ・ブム
(72)【発明者】
【氏名】キム・シン・ヨン
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−021911(JP,A)
【文献】 特開2010−157589(JP,A)
【文献】 特開平08−081670(JP,A)
【文献】 特開2009−246212(JP,A)
【文献】 特開昭63−090585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/10 〜 3/26
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と回路パターンとの間に形成された接着膜を含み、
前記接着膜は複数の層からなり、前記接着膜をなす少なくとも一つの層は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、
前記接着膜は、第1接着層と、第2接着層と、を含み、
前記第1接着層はポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、絶縁層に接着されて形成され、
前記第2接着層は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーを含有し、回路パターンに接着されて形成され、
第1接着層は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上の芳香族化合物をさらに含有する、印刷回路基板。
【請求項2】
絶縁層と回路パターンとの間に接着膜を形成する段階を含み、
前記接着膜はポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、
前記接着膜は、第1接着層と、第2接着層と、を含み、
前記第1接着層はポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、絶縁層に接着されて形成され、
前記第2接着層は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーを含有し、回路パターンに接着されて形成され、
前記第1接着層は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上の芳香族化合物をさらに含有する、印刷回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記接着膜を形成する段階は、
前記絶縁層上に前記回路パターンを形成する段階と、
前記回路パターンが形成された前記絶縁層上に前記接着膜を形成する段階と、
前記接着膜上に他の絶縁層を形成する段階と、を含む、請求項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記他の絶縁層は、ソルダーレジスト(Solder Resist;SR)層を含む、請求項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記接着膜を形成する段階は、
前記絶縁層上に前記接着膜を形成する段階と、
前記接着膜上に銅めっき層を形成する段階と、
前記銅めっき層にパターニング工程を行って回路パターンを形成する段階と、を含む、請求項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記接着膜は、CVD(chemical vapor deposition)、iCVD(initiated chemical vapor deposition)、及びスピンコーティング(spin coating)からなる群から選択される何れか一つ以上の工程を行うことで形成する、請求項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、印刷回路基板は、各種熱硬化性合成樹脂からなる基板の一面または両面に銅箔で配線した後、基板上にICまたは電子部品を配置及び固定し、これらの間の電気的配線を具現して、絶縁体でコーティングしたものである。
【0003】
近年、電子産業の発達により、電子部品の高機能化及び軽薄短小化の要求が急増している。これに伴い、上記の電子部品が搭載される印刷回路基板においても、高密度配線化及び薄板化が要求されている。
【0004】
特に、印刷回路基板の製造方法のうちアディティブ(Additive)法またはSAP(Semi−Additive Process)方法では、樹脂からなる絶縁層にデスミア(desmear)処理を施して粗さを高めた後にめっきするか、または銅回路に粗化処理した後に樹脂を塗布して、樹脂とめっき層との間の密着力を確保している。
【0005】
しかし、このような方式で製造された印刷回路基板は、高い粗さのため、微細回路を形成することが困難であり、信号伝送損失が大きいという欠点がある。
【0006】
上記のような欠点を克服するために、低い粗さを有する基板の製作が試されたが、このような基板は、低い粗さのため、樹脂と回路との間の密着力が低下し、印刷回路基板の信頼性が劣るという欠点がある。
【0007】
上記のような欠点を解消するために、下記の特許文献1では、接着液やスズめっき液などを用いて、低い粗さで高密着力を確保する方法が試されている。
【0008】
しかし、上記の方法は、接着液やスズめっき液などを用いる湿式法(wet process)を利用するため、処理コストが高く、周期的な溶液管理が必要であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第2010−0050422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、絶縁材と回路パターンとの間に接着力を向上させるための接着膜を備えることで、低い粗さを有しながらも、高い層間密着力を有する印刷回路基板及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態によると、絶縁層と回路パターンとの間に形成された接着膜を含み、上記接着膜はポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有する印刷回路基板が提供される。
【0012】
上記接着膜は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上をさらに含有することができる。
【0013】
上記接着膜は、芳香族化合物をさらに含有することができる。
【0014】
上記芳香族化合物は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)、スチレン(styrene)、及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上であることができる。
【0015】
上記接着膜は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))が上記絶縁層に接着されて形成されることができる。
【0016】
上記接着膜は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーが回路パターンに接着されて形成されることができる。
【0017】
本発明の他の形態によると、絶縁層と回路パターンとの間に形成された接着膜を含み、上記接着膜は複数の層からなり、上記接着膜をなす少なくとも一つの層は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有する印刷回路基板が提供される。
【0018】
上記接着膜は、第1接着層と、第2接着層と、を含み、上記第1接着層はポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、上記第2接着層は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーを含有することができる。
【0019】
上記第1接着層は、絶縁層に接着されて形成されることができる。
【0020】
上記第2接着層は、回路パターンに接着されて形成されることができる。
【0021】
第1接着層は、芳香族化合物をさらに含有することができる。
【0022】
上記芳香族化合物は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)、スチレン(styrene)、及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上であることができる。
【0023】
本発明の他の形態によると、絶縁層と回路パターンとの間に接着膜を形成する段階を含み、上記接着膜はポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有する印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0024】
上記接着膜を形成する段階は、上記絶縁層上に上記回路パターンを形成する段階と、上記回路パターンが形成された上記絶縁層上に上記接着膜を形成する段階と、上記接着膜上に他の絶縁層を形成する段階と、を含むことができる。
【0025】
上記他の絶縁層は、ソルダーレジスト(Solder Resist;SR)層を含むことができる。
【0026】
上記接着膜を形成する段階は、上記絶縁層上に上記接着膜を形成する段階と、上記接着膜上に銅めっき層を形成する段階と、上記銅めっき層にパターニング工程を行って回路パターンを形成する段階と、を含むことができる。
【0027】
上記接着膜は、CVD(化学気相蒸着:chemical vapor deposition)、iCVD(initiated chemical vapor deposition)、及びスピンコーティング(spin coating)からなる群から選択される何れか一つ以上の工程を行うことで形成することができる。
【0028】
上記接着膜は、第1接着層と、第2接着層と、を含み、上記第1接着層はポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、上記第2接着層は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーを含有することができる。
【0029】
上記第1接着層は絶縁層に接着されるように形成し、上記第2接着層は回路パターンに接着されるように形成することができる。
【0030】
上記第1接着層は、芳香族化合物をさらに含有することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一形態による印刷回路基板は、回路パターンと絶縁層との間に接着膜を備えることで、低い粗さ値を有しながらも接着力が向上し、微細回路パターンの形成が可能であるとともに、信頼性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態による印刷回路基板の断面図である。
図2】本発明の一実施形態による印刷回路基板の断面図である。
図3】本発明の他の実施形態による印刷回路基板の断面図である。
図4】本発明の他の実施形態による印刷回路基板の断面図である。
図5図1及び図2の実施形態による印刷回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図6図3及び図4の実施形態による印刷回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図7】本発明の一実施形態による接着膜の形成を説明するための工程例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0034】
[印刷回路基板]
図1及び図2は本発明の一実施形態による印刷回路基板の断面図である。
【0035】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による印刷回路基板は、絶縁層140と回路パターン120との間に形成された接着膜130を含み、上記接着膜130は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有する。
【0036】
これによると、従来の粗さ処理過程を行わなくても、回路パターンと絶縁層との接着力が向上することができる。
【0037】
上記接着膜130は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上をさらに含有することができる。
【0038】
また、上記接着膜130は、芳香族化合物をさらに含有することができる。上記芳香族化合物は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)、スチレン(styrene)、及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上であることができる。
【0039】
この際、上記接着膜130のポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))は絶縁層140に接着されて形成され、上記接着膜130のアミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーは回路パターン120に接着されて形成されることができる。これにより、異種界面での両側間の接着力が向上することができる。
【0040】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による接着膜130は、複数の層からなることができる。例えば、上記接着膜130は、第1接着層131と、第2接着層132と、を含むことができる。
【0041】
上記接着膜130をなす少なくとも一つの層は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有することができる。
【0042】
例えば、上記第1接着層131は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、第2接着層132は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーを含有することができる。
【0043】
上記第1接着層131は、芳香族化合物をさらに含有することができる。上記芳香族化合物は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)、スチレン(styrene)、及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上であることができる。
【0044】
この際、上記第1接着層131は絶縁層140に接着されて形成され、上記第2接着層132は回路パターン120に接着されて形成されることができる。これにより、異種界面での両側間の接着力が向上することができる。
【0045】
図3及び図4は本発明の他の実施形態による印刷回路基板の断面図である。
【0046】
図1及び図2の実施形態と同様に、図3及び図4の実施形態においても、絶縁層と回路パターンとの間に接着膜が形成されることは同一である。しかし、図1及び図2の実施形態は回路パターン上に絶縁層が積層された構造であり、図3及び図4の実施形態は絶縁層上に回路パターンが形成された構造であるという点で異なる。
【0047】
図3を参照すると、絶縁層210上に接着膜230が形成され、接着膜230上に回路パターン240、260が形成される。回路パターン240、260は、無電解銅めっき層240と電解銅めっき層260とが順に積層されて形成されることができる。上下部の回路パターンを電気的に連結するビア240、270も、無電解銅めっき層240と、電解銅めっき層270と、からなることができる。
【0048】
上記のように、絶縁層210と回路パターン240、260とが接着膜230により接着されるため、絶縁層210の表面粗さが低い場合でも十分な密着力を確保することができる。
【0049】
図1及び図2の実施形態と同様に、接着膜230は、絶縁層210に接着される第1接着層と、回路パターン240、260に接着される第2接着層と、を含むことができる。第1接着層は、ポリ(グリシジルメタクリレート)を含有し、第2接着層は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーを含有することができる。
【0050】
図4の実施形態は、接着膜230が回路パターン240、260の部分にのみ形成されるという点を除き、図3の実施形態と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0051】
[印刷回路基板の製造方法]
図5図1及び図2の実施形態による印刷回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0052】
図5を参照すると、絶縁層110に回路パターン120を形成した状態で、回路パターン120が備えられた絶縁層110に接着膜130を形成することができる。上記接着膜130は、0.01μm〜1μmの厚さに形成することができる。
【0053】
上記接着膜130は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上をさらに含有することができる。また、上記接着膜130は芳香族化合物をさらに含有することができ、上記芳香族化合物は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)、スチレン(styrene)、及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上であることができる。
【0054】
この際、上記接着膜130を形成するにあたり、回路パターン120に隣接するようにアミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーが先に接着され、その上部に、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))が含有された膜が形成されることができる。
【0055】
上記のように形成された接着膜130の上部面に上部絶縁層140を形成することができる。上記上部絶縁層140は、例えば、ソルダーレジスト(Solder Resist;SR)層であることができる。
【0056】
上記のように形成された接着膜130は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーを用いることで回路パターン120に対する接着力が向上し、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を用いることで上部絶縁層140に対する接着力が向上することができる。
【0057】
したがって、本発明の一実施形態による接着膜130を備えた印刷回路基板は、回路パターン120と上部絶縁層140との接着力が向上して、印刷回路基板の信頼性が向上することができる。
【0058】
図6図3及び図4の実施形態による印刷回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0059】
図6を参照すると、絶縁層210を備えた状態で((a)工程)、この絶縁層210に接着膜230を形成することができる((b)工程)。上記接着膜230は、0.01μm〜1μmの厚さに形成することができる。
【0060】
上記接着膜230は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上をさらに含有することができる。また、上記接着膜230は芳香族化合物をさらに含有することができ、上記芳香族化合物は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)、スチレン(styrene)、及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上であることができる。
【0061】
この際、上記接着膜230を形成するにあたり、絶縁層210の上部面に、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))が含有された膜が先に接着され、その上部に、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーが含有された膜が形成されることができる。
【0062】
接着膜230を形成した後、レーザーでビアホールを形成することができる((c)工程)。このビアホールにより、下部回路パターン220が露出される。次に、無電解銅めっきを施して、接着膜230の上部及びビアホールの内部に無電解銅めっき層240を形成する((d)工程)。
【0063】
上記のように形成された銅めっき層240は、リソグラフィ(Lithography)及びエッチング(Etching)工程を含むパターニング(Patterning)工程を経て、微細回路パターンに形成されることができる。
【0064】
すなわち、無電解銅めっき層240にパターンが形成されためっきレジスト250を付着した後((e)工程)、電解めっきを施して電解銅めっき層260を形成する((f)工程)。次に、めっきレジスト250を除去し((g)工程)、無電解銅めっき層240をエッチングすることで、微細回路パターンを形成することができる((h)工程)。その後、回路パターン以外の領域に形成された接着膜230を除去する工程をさらに行ってもよい(図4参照)。
【0065】
この際、接着膜230は、例えば0.1μm以下の低い粗さ(Ra)値を示しながらも、無電解銅めっき層240との接着力が向上するため、無電解銅めっき層240を微細回路パターンに形成するのに寄与することができる。
【0066】
これにより、本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造方法によると、低い粗さ値を有しながらも、銅めっき層240との接着力が向上した接着膜230を用いて、微細回路パターンを有する印刷回路基板を提供することができる。
【0067】
本発明の一実施形態による接着膜130、230は、CVD(chemical vapor deposition)、iCVD(initiated chemical vapor deposition)、及びスピンコーティング(spin coating)からなる群から選択される何れか一つ以上の工程を行うことで形成することができる。
【0068】
図7は本発明の一実施形態による接着膜の形成を説明するための工程例示図である。
【0069】
図7を参照すると、iCVD方法を用いる場合、チャンバー内で接着膜をなすポリマーのモノマーM(Monomer)を気化させて、ポリマーの重合反応及び成膜工程を同時に行う気相重合反応によりポリマー薄膜Pを形成することができる。このiCVD方法は、開始剤I(Initiator)とモノマーMを気化させて、気相でフリーラジカルR(free radical)を利用した連鎖重合反応が起こるようにすることで、回路パターンまたは絶縁層が備えられた基板300の表面にポリマー薄膜Pを蒸着することができる。
【0070】
開始剤IとモノマーMを単純混合した際には重合反応が起こらないが、iCVDチャンバー内に位置した高温のフィラメント310により開始剤Iが分解されてラジカルRが生成されると、これによってモノマーMが活性化して連鎖重合反応が起こる。
【0071】
開始剤Iとしては、通常、TBPO(tert−ブチルペルオキシド:tert−butylperoxide)またはTAPO(tert−アミルペルオキシド:tert−amyl peroxide)などの過酸化物(peroxide)が用いられる。この開始剤Iは、110℃程度の沸点を有する揮発性物質であり、約150℃前後で熱分解されることができる。
【0072】
したがって、iCVDチャンバーで用いられる高温のフィラメント310が200℃〜250℃前後に維持されると、容易に連鎖重合反応を誘導することができる。ここで、フィラメント310の温度は、過酸化物の開始剤Iを熱分解するには十分に高い温度であるが、iCVDに用いられるモノマーMを含む殆どの有機物は、この温度では熱分解されない。
【0073】
開始剤Iの分解により形成されたフリーラジカルRは、モノマーMにラジカルRを伝達して連鎖反応を起こして、ポリマーPを形成することができる。このように形成されたポリマーPが低温に維持された基板300上に蒸着されて、接着膜400が形成されることができる。
【0074】
また、スピンコーティング方法を用いる場合、接着膜を形成するための接着膜溶液をスピンコータに装着された基板の表面に滴下することができる。
【0075】
その後、この基板が装着されたスピンコータの回転力により、回路パターンまたは絶縁層が備えられた基板の全体に接着膜溶液が塗布されることができる。
【0076】
次に、塗布された接着膜溶液に硬化処理を施して揮発性有機溶剤が揮発して除去されると、回路パターンまたは絶縁層が備えられた基板に接着膜が形成されることができる。
【0077】
一方、本発明の一実施形態による接着膜130は、複数の層からなることができる。例えば、上記接着膜130は、第1接着層131と、第2接着層132と、を含むことができる。
【0078】
上記接着膜130をなす少なくとも一つの層は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有することができる。
【0079】
例えば、上記第1接着層131は、ポリ(グリシジルメタクリレート)(Poly(glycidyl methacrylate))を含有し、第2接着層132は、アミン系ポリマー、イミダゾール系ポリマー、及びピリジン系ポリマーの何れか一つ以上のポリマーを含有することができる。
【0080】
上記第1接着層131は芳香族化合物をさらに含有することができ、上記芳香族化合物は、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)、スチレン(styrene)、及びエチルベンゼン(ethyl benzene)からなる群から選択される何れか一つ以上であることができる。
【0081】
この際、上記第1接着層131は絶縁層140に接着されて形成され、上記第2接着層132は回路パターン120に接着されて形成されることができる。これにより、異種界面での両側間の接着力が向上することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0083】
110、140、210 絶縁層
120 回路パターン
240、260 銅めっき層
130、230 接着膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7