(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リテーナ部材のうち、前記ベース部材に重ね合わされた部分は、前記ベース取り付け部側から前記ベース格納部側に延びていることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
前記リテーナ部材には、前記車体の形状に沿わせて折り曲げられた逃げ部が、前記ベース格納部を保持する上端部分と、前記ベース取り付け部に重ね合わされる下端部分との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
前記リテーナ部材のうち、前記リテーナ穴部の周縁部分には、前記インフレータ側に窪むように形成され、前記組み付け部材が嵌合可能な嵌合凹部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のサイドエアバッグ装置。
前記ハーネスは、上下方向にわたって前記ベース格納部と、前記リテーナ部材との間に挟まれて支持されていることを特徴とする請求項10に記載のサイドエアバッグ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のようなサイドエアバッグ装置では、車体と後部座席との間の空間に嵌まるように上述の樹脂製ベースカバーが配置されており、このベースカバーは、通常、上端部分と下端部分とが車体部材に組み付けられて固定されていた。
しかしながら、車両運転時には、車体の振動や着座者から受ける衝撃等がサイドエアバッグ装置に伝わることから、サイドエアバッグ装置を車体上に安定して取り付けるべく、樹脂製ベースカバーと車体部材との取り付け剛性を向上させる工夫が必要とされていた。
特に、車体と後部座席との間の空間に配置されるサイドエアバッグ装置の場合、狭い空間に構成部品を取り付ける作業が必要となるため、既存部品を利用してサイドエアバッグ装置の取り付け剛性を確保する工夫が必要であった。
【0006】
また、特許文献1のようなサイドエアバッグ装置では、ベースカバーの車体後方側にある格納ボックスにインフレータが格納されているため、ハーネスが車両用バッテリーから格納ボックス内部のインフレータに向かって比較的複雑に延びることになる。
しかしながら、上記のようなサイドエアバッグ装置では、構成部品となるベースカバーや格納ボックスにハーネスを支持させるための配慮がなされていなかった。
そのため、着座者から受ける振動や車体の振動等によってハーネスが自由に動き回ると、エアバッグの膨出展開時にハーネスがエアバッグに干渉してしまい、エアバッグの展開に影響する虞があった。また、車両運転時にハーネスがその他の構成部品に噛み込んでしまい、ハーネスが変形する恐れがあった。
特に、車体と後部座席との間の空間に配置されるサイドエアバッグ装置の場合、狭い空間に構成部品を取り付ける作業となるため、ハーネスをコンパクトに配置する工夫が必要とされていた。
【0007】
また、特許文献1のようなサイドエアバッグ装置では、インフレータが作動してエアバッグが膨出するときに、エアバッグを膨出させるインフレータのガス圧力が格納ボックスに大きく負荷されることとなり、その結果、格納ボックスが変形してしまい、エアバッグの膨出方向に影響する虞があった。
そのため、エアバッグが膨出展開するときに、エアバッグ及びインフレータを格納する格納ボックス周辺の剛性を向上させる技術が求められていた。
特に、上記従来技術においては、強度向上を図るべくサイドエアバッグ装置の格納ボックスを金属製としていたが、一方で軽量化を図るべく樹脂製に変更することが望まれていた。そのため、格納ボックスを樹脂製に変更しても、エアバッグの膨出展開時における格納ボックスの変形を抑制可能な技術が求められていた。
【0008】
また、特許文献1のようなサイドエアバッグ装置は、車体ドアと後部座席との間の空間に嵌まるように組み付けられているところ、車両運転時には、車体の振動や着座者から受ける衝撃等がサイドエアバッグ装置に伝わることから、車体とサイドエアバッグ装置との接触音を抑制させる工夫が必要とされていた。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、車体と後部座席との間の空間に配置され、車体部材との取り付け剛性を向上させたサイドエアバッグ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、既存部品を利用して車体部材との取り付け剛性を確保したサイドエアバッグ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ハーネスを好適に構成部品に支持させることが可能なサイドエアバッグ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、車体と後部座席との間の空間に配置され、ハーネスをコンパクトに配置したサイドエアバッグ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、エアバッグが膨出展開するときに、エアバッグ及びインフレータを格納する格納ボックス周辺の変形を抑制可能であって、エアバッグの膨出方向を安定させることが可能なサイドエアバッグ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、車両運転時には、車体とサイドエアバッグ装置との接触音を抑制可能なサイドエアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、本発明のサイドエアバッグ装置によれば、車体と後部座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、膨出可能なエアバッグと、該エアバッグの内部にガスを供給するインフレータと、折り畳まれた状態の前記エアバッグ及び前記インフレータを格納するベース格納部と、前記車体に取り付けられるベース取り付け部と、を有し、車体ドアと前記後部座席との間に取り付けられるベース部材と、前記ベース格納部を車体後方側から保持するリテーナ部材と、を備え、該リテーナ部材は、前記ベース格納部を保持する部分から前記ベース取り付け部側に向かって延出し、前記ベース取り付け部に重ね合わされた状態で、該ベース取り付け部と共に前記車体に取り付けられていること、により解決される。
【0011】
上記構成により、サイドエアバッグ装置の基板となるベース部材のベース取り付け部が、比較的剛性の高いリテーナ部材に重ね合わされた状態で、リテーナ部材と共に車体に取り付けられているため、サイドエアバッグ装置の車体部材との取り付け剛性が向上する。
また、上記構成により、既存部品となるリテーナ部材を利用して、サイドエアバッグ装置の車体部材との取り付け剛性を確保できる。
【0012】
このとき、前記リテーナ部材のうち、前記ベース部材に重ね合わされた部分は、前記ベース取り付け部側から前記ベース格納部側に延びていると良い。
上記構成により、リテーナ部材とベース部材との重なり部分が大きくなって、サイドエアバッグ装置の車体部材との取り付け剛性が一層向上する。
【0013】
このとき、前記リテーナ部材には、前記車体の形状に沿わせて折り曲げられた逃げ部が、前記ベース格納部を保持する上端部分と、前記ベース取り付け部に重ね合わされる下端部分との間に形成されていると良い。
上記構成により、車体の形状に沿わせてサイドエアバッグ装置を取り付けることができるため、互いに干渉を抑制し、支持剛性を高めることができる。
【0014】
このとき、前記ベース格納部及び前記リテーナ部材の各々には、該ベース格納部及びリテーナ部材が組み付けられた状態で互いに連通している穴部が形成され、前記インフレータのうち、前記穴部に対向する部分には、前記インフレータを前記ベース格納部及び前記リテーナ部材に組み付けるための被組み付け部が設けられ、該被組み付け部に対して、リテーナ穴部のベース穴部側とは反対側から組み付け部材が組み付けられていると良い。
上記構成により、インフレータが、リテーナ部材のインフレータ側とは反対側から組み付け部材によってベース格納部及びリテーナ部材に一度に組み付けられるため、インフレータ及びエアバッグの取り付け剛性が向上すると共に、取り付け作業も容易になる。
【0015】
このとき、前記リテーナ部材のうち、前記リテーナ穴部の周縁部分には、前記インフレータ側に窪むように形成され、前記組み付け部材が嵌合可能な嵌合凹部が設けられていると良い。
上記構成により、組み付け部材を突出させることなく、インフレータと、ベース格納部及びリテーナ部材とをコンパクトに組み付けることができる。
また、組み付け部材を比較的剛性の高い嵌合凹部に組み付けることができる。
【0016】
このとき、前記リテーナ部材の前記嵌合凹部は、開口部から底部に向かってテーパー状に狭まっていると良い。
上記構成により、組み付け部材を嵌合凹部に組み付け易くなると共に、組み付け部材の嵌合凹部に対する芯出しが容易になる。
【0017】
このとき、前記リテーナ部材は、前記嵌合凹部が前記ベース穴部に嵌合することで、前記ベース部材に組み付けられていると良い。
上記構成により、ベース部材とリテーナ部材との組み付け剛性が向上する。
【0018】
このとき、前記インフレータの前記被組み付け部は、前記リテーナ部材に向かって突出する組み付け軸部からなり、前記リテーナ部材は、前記ベース格納部の車体後方側に配置される後壁部と、該後壁部の車体幅方向の両端部から連続して車体前方側に延びる左右の側壁部と、を備え、該側壁部には、前記リテーナ穴部と、該リテーナ穴部から連続して車体前方側に切り欠かれ、前記組み付け軸部が挿通可能なスリット部と、が形成されていると良い。
上記構成により、例えば、ベース格納部に車体後方側からリテーナ部材を組み付けるときに、インフレータのうち、ベース格納部のベース穴部から露出した組み付け軸部と、リテーナ部材とが互いに干渉してしまうことを抑制することができ、リテーナ部材の組み付け作業が容易になる。
【0019】
このとき、前記エアバッグ及び前記インフレータが格納された前記ベース部材を、車体前方側から覆う表皮材と、該表皮材に一端側が取り付けられ、該一端側から連続して延びて前記ベース格納部に設けられた力布係止部に他端側が係止され、前記エアバッグの膨出方向をガイドする力布と、を備え、前記リテーナ部材のうち、前記力布係止部を保持する部分には、前記力布が取り付けられる側とは反対側の面に補強部が形成されていると良い。
上記構成により、力布の支持剛性が向上するため、エアバッグが膨出展開するときに力布に比較的強い力が加わったとしても、力布が外れることなくエアバッグを安定してガイドできる。
【0020】
このとき、前記インフレータに一端部が接続され、該インフレータに点火用電力を供給するハーネスを備え、該ハーネスは、前記ベース部材に支持された状態で上下方向に延びていると良い。
上記構成により、ハーネスを好適に構成部品となるベース部材に支持させることが可能なサイドエアバッグ装置となる。
また、ハーネスは、ベース部材に支持された状態で上下方向に延びているため、車体と後部座席との間の空間に配置されるサイドエアバッグ装置において、例えば、着座者の足下側に設けられる車両用バッテリーと、着座者の胴体部の側方に配置されるエアバッグ及びインフレータと、を接続するハーネスをコンパクトに配置できる。
【0021】
このとき、前記ハーネスは、上下方向にわたって前記ベース格納部と、前記リテーナ部材との間に挟まれて支持されていると良い。
上記のように、ハーネスは、上下方向にわたってベース格納部と、リテーナ部材との間に挟まれているため、ハーネスを好適に支持させることができ、着座者から受ける振動や車体の振動等によってハーネスが自由に動き回ることを規制できる。
【0022】
このとき、前記ベース格納部には、前記リテーナ部材側とは反対側に窪むように形成され、前記ハーネスが収容可能な収容凹部が設けられ、前記ハーネスは、前記収容凹部と、前記リテーナ部材とで囲まれて支持されていると良い。
上記構成により、ハーネスを好適に支持させ、コンパクトに配置できる。
【0023】
このとき、前記リテーナ部材の車体後方側の部分には、車体後方側にある前記車体の一部に向かって突出する突出部が設けられ、該突出部は、前記エアバッグが膨出展開するときに、前記車体の一部に当接するように配置されていると良い。
上記構成により、エアバッグの膨出展開時にベース格納部を保護するリテーナ部材の車体後方側への倒れを規制することができる。
すなわち、リテーナ部材のベース格納部に対する支持剛性が高まるため、エアバッグの膨出展開時におけるベース格納部周辺の変形を抑制できると共に、エアバッグの膨出展開方向を安定させることができる。
また、リテーナ部材の後方面を部分的に突出させて車体の一部に当接させているため、突出部以外の部分においては車体前後方向のスペースを確保できる。
また、突出部は、エアバッグが膨出展開するときに、車体の一部に当接するように配置されているため、車両運転時には車体とサイドエアバッグ装置との接触音を抑制することができる。
【0024】
このとき、前記リテーナ部材は、前記ベース格納部の車体後方側に配置される後壁部と、該後壁部の車体幅方向の両端部から連続して車体前方側に延びる左右の側壁部と、を備え、前記突出部は、前記後壁部の少なくとも一部を車体後方側に窪ませて形成されていると良い。
上記構成により、簡易な構造でリテーナ部材の支持剛性を向上できると共に、エアバッグの膨出展開時におけるリテーナ部材の車体後方側への倒れを規制できる。
【0025】
このとき、前記ベース格納部及び前記リテーナ部材の各々には、前記インフレータに設けられた組み付け軸部を挿通させるための穴部が連通して形成され、前記組み付け軸部に対して、前記穴部の前記インフレータ側とは反対側から組み付け部材が組み付けられて構成され、前記組み付け軸部は、前記インフレータの上端側に設けられた第1組み付け軸部と、下端側に設けられた第2組み付け軸部と、から少なくともなり、前記突出部は、前記第1組み付け軸部の上端と、前記第2組み付け軸部の下端との間に配置されていると良い。
上記のように、リテーナ部材の突出部が、上下方向においてインフレータの第1組み付け部材と第2組み付け部材との間に配置されて車体部材に当接可能な構成となっているため、リテーナ部材は、エアバッグが車体前方側に膨出展開するときに発生する反力を効率的に受け止めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ベース取り付け部が、比較的剛性の高いリテーナ部材に重ね合わされた状態で、リテーナ部材と共に車体に取り付けられているため、サイドエアバッグ装置の車体部材との取り付け剛性が向上する。また、既存部品となるリテーナ部材を利用して、サイドエアバッグ装置の車体部材との取り付け剛性を確保できる。
本発明によれば、リテーナ部材とベース部材との重なり部分が大きくなって、サイドエアバッグ装置の車体部材との取り付け剛性が一層向上する。
本発明によれば、車体の形状に沿わせてサイドエアバッグ装置を取り付けることができるため、互いに干渉を抑制し、支持剛性を高めることができる。
本発明によれば、インフレータ及びエアバッグの取り付け剛性が向上し、取り付け作業も容易になる。
【0027】
本発明によれば、組み付け部材を突出させることなく、インフレータと、ベース格納部及びリテーナ部材とをコンパクトに組み付けできる。また、組み付け部材を比較的剛性の高い嵌合凹部に組み付けできる。
本発明によれば、組み付け部材を嵌合凹部に組み付け易くなると共に、組み付け部材の嵌合凹部に対する芯出しが容易になる。
本発明によれば、ベース部材とリテーナ部材との組み付け剛性が向上する。
本発明によれば、例えば、ベース格納部に車体後方側からリテーナ部材を組み付けるときに、インフレータの組み付け軸部と、リテーナ部材とが互いに干渉することを抑制でき、リテーナ部材の組み付け作業が容易になる。
本発明によれば、力布の支持剛性が向上するため、エアバッグが膨出展開するときに力布に比較的強い力が加わったとしても、力布が外れることなくエアバッグを安定してガイドできる。
【0028】
本発明によれば、ハーネスを好適に構成部品となるベース部材に支持させることができる。また、ハーネスをコンパクトに配置できる。
本発明によれば、ハーネスを好適に支持させることができ、着座者から受ける振動や車体の振動等によってハーネスが自由に動き回ることを規制できる。
本発明によれば、ハーネスを好適に支持させ、コンパクトに配置できる。
【0029】
本発明によれば、エアバッグが膨出展開するときに、ベース格納部を保護するリテーナ部材の車体後方側への倒れを規制できる。すなわち、エアバッグの膨出展開時におけるベース格納部周辺の変形を抑制できると共に、エアバッグの膨出展開方向を安定化できる。また、リテーナ部材において突出部以外の部分においては車体前後方向のスペースを確保できる。また、車両運転時には車体とサイドエアバッグ装置との接触音を抑制できる。
本発明によれば、簡易な構造でリテーナ部材の支持剛性を向上できると共に、エアバッグの膨出時におけるリテーナ部材の車体後方側への倒れを規制できる。
本発明によれば、リテーナ部材は、エアバッグが車体前方側に膨出展開するときに発生する反力を効率的に受けられる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係るサイドエアバッグ装置について、
図1〜
図17を参照しながら説明する。
本実施形態は、車体と後部座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、エアバッグ及びインフレータを格納するベース格納部と、車体に取り付けられるベース取り付け部とを有するベース部材と、ベース格納部を車体後方側から保持するリテーナ部材とを備え、リテーナ部材は、ベース格納部を保持する部分から車体の形状に沿わせて折り曲げられながら延出し、ベース取り付け部に重ね合わされた状態で、ベース取り付け部と共に車体に取り付けられていることを特徴とするサイドエアバッグ装置の発明に関するものである。
【0032】
本実施形態のサイドエアバッグ装置Sは、車体側方から着座者に加えられる衝撃を緩和するための装置であって、
図1に示すように、車体幅方向において後部座席1の背もたれ部となるシートバック1aと、車体2の車体ドア2aとの間に配置されている。
なお、サイドエアバッグ装置Sは、後部座席1の車体幅方向の左右外側にそれぞれ1つずつ配置されている。
【0033】
サイドエアバッグ装置Sは、
図2に示すように、膨出可能なエアバッグ10と、エアバッグ10の内部にガスを供給するインフレータ11と、折り畳まれた状態のエアバッグ10及びインフレータ11を格納するベース部材20と、
図3に示すように、ベース部材20に格納されたエアバッグ10及びインフレータ11を車体後方側から保持するリテーナ部材30と、インフレータ11に接続され、インフレータ11に点火用電力を供給するハーネス40と、を主に備えている。
また、サイドエアバッグ装置Sは、
図7に示すように、ベース部材20の車体前方側の位置に載置されるパッド部材50と、ベース部材20及びパッド部材50を車体前方側から覆う表皮材60と、表皮材60に一端部が縫着され、他端部がベース部材20の力布係止部27に係止され、エアバッグ10の膨出方向をガイドする力布70と、を備えている。
【0034】
エアバッグ10は、車体側方から衝撃が加わったときに、
図7に示す折り畳まれた状態から、
図8に示すように車体前方側に向かって風船状に膨出展開する袋状部材からなる。
詳しく言うと、エアバッグ10に連結され、ガス発生源となるインフレータ11からエアバッグ10の内部に向かってガスが供給されることで、エアバッグ10が膨出する。
インフレータ11は、
図2に示すように、長尺な略円柱形状のガス発生装置からなり、上下方向に長尺となるように配置されている。
インフレータ11は、その外表面よりも車体前方側に突出してエアバッグ10内部に連結される不図示のエアバッグ連結部と、上端部に形成され、ハーネス40に接続される
図3に示すハーネス接続部12と、外表面よりも車体側方側に突出し、ベース部材20及びリテーナ部材30に組み付けられる
図4に示す組み付け軸部13と、を備えている。
【0035】
上記構成において車体側方から衝撃が加わったときには、車体上において着座者の足下側に配置された不図示の車両用バッテリーからハーネス40を介してインフレータ11に点火用電力が供給され、エアバッグ10が着座者の側方で膨出展開することになる。
エアバッグ10及びインフレータ11は、ベース部材20に設けられた後述のベース格納部24に格納されている。
【0036】
ベース部材20は、サイドエアバッグ装置Sの基板となる樹脂製のフレーム部材からなり、
図2に示すように、エアバッグ10及びインフレータ11を格納するものである。
ベース部材20は、車体側方から見て略逆L字形状からなり、車体幅方向においてシートバック1aと車体ドア2aの間に配置されており、上端部及び下端部がそれぞれ不図示の車体部材に着脱可能に取り付けられている。
ベース部材20は、
図2又は
図3に示すように、後部座席1と車体2との間に配置されるベース本体部21と、ベース本体部21の車体幅方向の両端部から連続して車体後方側に延びるベース外壁部22とベース内壁部23と、から主に構成されている。
【0037】
ベース本体部21は、略逆L字形状の板状部材からなり、構成要素として車体幅方向の中央部分よりもやや車体外側寄りに一体的に形成され、車体後方側に窪んだベース格納部24と、ベース格納部24よりも下方部分に一体的に形成され、ベース本体部21よりも下方に延びて不図示の車体部材に取り付けられるベース取り付け部21aと、を備えている。
なお、ベース本体部21の上端部には、別途車体部材に取り付け可能なベース取り付け部が一体的に形成されている。
【0038】
ベース外壁部22は、略矩形状の板状部材からなり、車体ドア2aと対向する部分に配置されており、ベース外壁部22の延出端部には、上下方向に所定の間隔を空けて複数設けられ、表皮材60の一端部を係止する係止爪22aが一体的に形成されている。
ベース内壁部23は、同様に略矩形状の板状部材からなり、後部座席1のシートバック1aと対向する部分に配置されており、ベース内壁部23の延出端部には、上下方向に長尺に延びて設けられ、表皮材60の他端部を木目込む木目込み溝23aが一体的に形成されている。
ベース外壁部22の車体前後方向の幅は、ベース内壁部23の幅よりも狭くなうように形成されている。
【0039】
ベース格納部24は、
図2又は
図3に示すように、車体前方側に開口部分を有する上下方向に長尺な箱体からなり、略凸形状の内部空間を備えており、エアバッグ10及びインフレータ11がベース格納部24の内部空間内の底部分に着脱可能に格納されている。
ベース格納部24は、エアバッグ10及びインフレータ11の車体後方側に配置される後壁部24aと、後壁部24aの車体幅方向の両端部から連続して車体前方側に延びて、車体幅方向の車外側に配置される外側壁部24bと車内側に配置される内側壁部24cと、を備えている。
また、ベース格納部24の上端にあたる上壁部分には、インフレータ11の上端部分が露出するように設けられた開口部分が形成されている。
【0040】
外側壁部24bには、
図3に示すように、インフレータ11のハーネス接続部12に対向する部分において、ハーネス40の一部を支持可能な切欠き部25が設けられている。
内側壁部24cには、
図4に示すように、上下方向に所定の間隔を空けて2つ張り出すように形成され、力布70の他端部を係止可能な力布係止部27と、上下方向に所定の間隔を空けて2つ形成され、2つの力布係止部27の間に配置され、インフレータ11の組み付け軸部13を挿通可能なベース穴部28と、ベース穴部28から連続して車体前方側に切り欠かれ、組み付け軸部13が挿通可能なスリット部28aと、が設けられている。
なお、組み付け軸部13は、特許請求の範囲においてインフレータの被組み付け部に相当する。
【0041】
ベース取り付け部21aは、
図2又は
図3に示すように、ベース本体部21から連続して下方に延出し、その延出端部が車体部材に取り付けられて構成されている。
詳しく説明すると、ベース取り付け部21aは、車体後方側にある車体の形状に沿わせるように折り曲げられた逃げ形状を有しており、その延出端部には、車体部材に向かってボルト締結穴が形成され、ボルトを締結することでベース部材20と車体部材とが取り付けられる。
【0042】
リテーナ部材30は、エアバッグ10及びインフレータ11を車体後方側から保持する金属製の保持部材からなり、
図3に示すように、ベース格納部24に車体後方側から装着されている。
リテーナ部材30は、断面略コ字形状からなり、ベース格納部24の車体後方側に配置される後壁部30aと、後壁部30aの車体幅方向の両端部から連続して車体前方側に延びて、車外側に配置される外側壁部30bと車内側に配置される内側壁部30cと、を備えている。
外側壁部30b、内側壁部30cは、それぞれベース格納部24の外側壁部24b、内側壁部24cに沿わせて配置されている。
【0043】
リテーナ部材30の後壁部30aは、
図3に示すように、ベース格納部24を保持する部分からベース取り付け部21aに向かって下方に延出し、一部がベース取り付け部21aの背面に重ね合わされた状態で、ベース取り付け部21aと共に不図示の車体部材に取り付けられている。
後壁部30aの下方延出部分は、車体前方側のベース取り付け部21aと、車体後方側の車体形状とに沿わせるように折り曲げられた逃げ形状(逃げ部)を有している。
詳しく説明すると、後壁部30aの下方延出部分は、ベース格納部24を保持する部分から車体前方側に面して延びる部分と、該部分から車内側に折り曲げられて延びる部分と、該部分から車外側に折り曲げられて延びる延出端部と、からなる逃げ形状を有している。
そして、その延出端部には、車体部材に向かってボルト締結穴が形成されており、ベース取り付け部21aと共にボルト締結されている。
【0044】
後壁部30aのうち、ベース取り付け部21aに重ね合わされた部分は、ベース取り付け部21a側からベース格納部24側に向かって、およそベース取り付け部21aとベース格納部24との略中央位置まで連続して延びている。
なお、後壁部30aの延出部分のうち、車体幅方向の両端部には、車体前方側に突出するフランジ部が形成されている。そのため、リテーナ部材の剛性を確保できると共に、ベース取り付け部21aとの取り付け剛性を向上させることができる。
また、後壁部30aには、
図4に示すように、その上方部分においてインフレータ11に対向する位置に設けられ、車体後方側に向かって突出する突出部39が形成されている。
【0045】
外側壁部30bには、
図3に示すように、ベース部材20の切欠き部25に対向する部分に形成され、ハーネス40の一部を支持可能な切欠き部31が設けられている。
内側壁部30cには、
図4に示すように、上下方向に所定の間隔を空けて2つ張り出すように形成され、力布70が係止された力布係止部27を保持する力布保持部32と、上下方向に所定の間隔を空けて2つ形成され、2つの力布保持部32の間に配置され、インフレータ11の組み付け軸部13を挿通可能なリテーナ穴部33と、リテーナ穴部33から連続して車体前方側に切り欠かれ、組み付け軸部13が挿通可能なスリット部33aと、リテーナ穴部33の周縁部分においてインフレータ11側に窪むように形成され、組み付け部材35が嵌合可能な嵌合凹部34と、が設けられている。
【0046】
力布保持部32は、
図4に示すように、断面略L字形状からなり、内側壁部30cの一部が車内側に折り曲げられて形成されている。
力布保持部32には、力布70が取り付けられる側とは反対側の面に補強部に相当するビードが形成されている。そのため、力布保持部32の支持剛性が向上している。
なお、補強部としては、ビード形状のほか、段付き形状等を採用しても良い。
【0047】
リテーナ穴部33とベース穴部28とは、リテーナ部材30及びベース格納部24が組み付けられた状態で互いに連通するように配置されている。
具体的には、リテーナ部材30の嵌合凹部34が、ベース穴部28の内部に嵌合することで、リテーナ部材30とベース格納部24とが組み付けられる。
嵌合凹部34は、開口部から底部に向かってテーパー状に狭まって形成されており、ベース穴部28に嵌合させ易い形状となっている。
【0048】
上記構成において、
図5に示すように、インフレータ11の組み付け軸部13がベース穴部28及びリテーナ穴部33を挿通し、その挿通端部が組み付けナットに相当する組み付け部材35に組み付けられることで、インフレータ11、ベース部材20及びリテーナ部材30がそれぞれ固定されている。
そして、組み付け軸部13に組み付け部材35が組み付けられると、組み付け部材35がリテーナ部材30の嵌合凹部34内部に嵌め込まれて収容され、コンパクトな配置が可能となる。
【0049】
また上記構成において、
図4に示すように、ベース格納部24にはスリット部28aが形成されているため、ベース格納部24内部にインフレータ11を格納するときに、インフレータ11の組み付け軸部13を斜めに傾けながらスリット部28aに一部挿通させて、さらにインフレータ11を回転させながら挿し込ませることができる。
その結果、組み付け軸部13とベース格納部24との干渉を抑制することができ、インフレータ11の格納作業が容易になる。
【0050】
また上記構成において、
図5に示すように、リテーナ部材30にはスリット部33aが形成されているため、ベース格納部24の背面にリテーナ部材30を装着するときに、インフレータ11のうち、ベース格納部24のベース穴部28から露出した組み付け軸部13と、リテーナ部材30とが互いに干渉してしまうことを抑制でき、リテーナ部材30の装着作業が容易になる。
【0051】
突出部39は、
図6、
図7に示すように、略直方体形状からなり、後壁部30aの一部を車体後方側に窪ませて形成されており、車体後方側にある車体部材38と所定の間隔を空けて配置されている。
突出部39は、上下方向においてインフレータ11の組み付け軸部13aの上端と、組み付け軸部13bの下端との間に配置されており、さらにベース格納部24に設けられた力布係止部27aと力布係止部27bとの間に配置されている。
【0052】
突出部39は、
図8に示すように、エアバッグ10が膨出展開したときに、車体前後方向において車体部材38に当接するように配置されており、リテーナ部材30の車体後方側への倒れを規制する部材となる。
詳しく言うと、エアバッグ10が膨出展開したときに、
図6に示すように、突出部39の車体後方側の平面部分が、車体部材38に対する荷重受け面となって、車体部材38の車体前方側の平面に当接する構成となっている。
【0053】
上記構成において、突出部39は、
図7に示すように、エアバッグ10が膨出展開する前の状態のときには、車体部材38に当接しないように間隔を空けて設けられている。
そのため、車両運転時には、車体とサイドエアバッグ装置Sとの接触音を抑制できる。
【0054】
また上記構成において、突出部39は、上下方向においてインフレータ11の組み付け軸部13aと組み付け軸部13bとの間に配置されており、詳しく言うと、インフレータ11の上下方向の略中央部分に対応する位置に配置されている。
そのため、リテーナ部材30は、エアバッグ10が車体前方側に膨出展開するときに発生する反力を効率的に受けることができる。
なお、突出部39を設けることで、リテーナ部材30の突出部39周辺部分の剛性を向上させることも期待できる。
【0055】
また上記構成において、突出部39の車体部材38に対する荷重受け面は、車体部材38の当接面の形状に合わせて平面状に形成されている。
そのため、エアバッグの膨出展開時に車体部材38に対する最適な荷重受け面をリテーナ部材30に設けることができる。
【0056】
また上記構成において、リテーナ部材30は、
図2に示すように、上端側において突出部39が車体部材38に当接可能に設けられると共に、下端側において不図示の車体部材に取り付けられてなるため、車体に対する取り付け剛性が一層向上する。
【0057】
ハーネス40は、インフレータ11に点火用電力を供給するワイヤーハーネスであって、複数の電気配線をコルゲートチューブでまとめ、カプラを端部に取り付けたものからなる。
ハーネス40は、
図3に示すように、インフレータ11の上端部にあるハーネス接続部12に上端部41が接続され、下端部42が車体上において着座者の足下側に配置される車両用バッテリーに接続されており、上下方向に長尺となるように延びている。
【0058】
ハーネス40は、上下方向にわたって、ベース部材20及びリテーナ部材30によって支持された状態で延びている。
具体的には、ハーネス40は、
図3に示すように、インフレータ11のハーネス接続部12に接続された上端部41から車体幅方向の外側に延びて、ベース格納部24の切欠き部25、及びリテーナ部材30の切欠き部31に上端部分が取り付けられ支持されている。
このとき、ハーネス40の外表面には、コルゲートチューブを巻くことで凹凸形状が形成されており、ハーネス40と切欠き部25,31とを互いに掛け止めすることで、ハーネス40を位置決めし、支持させることができる。
【0059】
ハーネス40は、掛け止めされた上端部分から屈曲して下方に延びて、上下方向の中央部分がリテーナ部材30の外側壁部30bに沿うように支持されている。
そして、ハーネス40は、その中央部分から連続して下方に延びて車体上に設けられた車両用バッテリーに下端部42が接続されている。
【0060】
パッド部材50は、
図7に示すように、ベース部材20と表皮材60との間に載置されるクッション材からなり、ベース部材20の車体前方側の全面にわたって配置されている。
なおパッド部材50は、ベース部材20に設けられた不図示のパッド取り付け部に固定されることで、ベース部材20に連結されている。
パッド部材50には、ベース格納部24に対向する部分において、詳しく言うと、ベース格納部24のうち、外側壁部24b側の対向する部分において、車体前後方向に貫通したパッド開口部51が形成されている。
【0061】
パッド部材50は、パッド開口部51よりも車外側に配置されるアウタパッド部材50aと、パッド開口部51よりも車内側に配置されるインナパッド部材50bと、を一体的に備えている。
パッド開口部51は、上下方向に長尺な開口部分であり、表皮材60側からベース部材20側に向かって力布70が挿通されている。
パッド開口部51と、力布係止部27とは、エアバッグ10に対して互いに車体幅方向の反対側に位置している。
【0062】
上記構成において、
図8に示すようにエアバッグ10が膨出展開したときには、パッド部材50は、車体幅方向においてパッド開口部51を分岐点としてアウタパッド部材50aとインナパッド部材50bとに分かれて展開される。
このとき、エアバッグ10の膨出方向が力布70によってガイドされるため、ベース格納部24の車体前方にあるパッド部材50の一部が飛散することなく、好適にエアバッグ10を展開させることができる。
詳しく言うと、エアバッグ10の膨出展開後、アウタパッド部材50aは、所定位置からほぼ移動することなく設けられており、インナパッド部材50bは、その一部が力布70と共に車体前方側に展開されることになる。
【0063】
表皮材60は、
図7に示すように、ベース部材20及びパッド部材50を車体前方側から覆う部材からなり、車体幅方向の略中央部分であって、ベース格納部24の略中央部分に対応する位置には、エアバッグ10の膨出展開時に開裂する部分となる表皮開裂部61が形成されている。
表皮材60は、一端部が各々表皮開裂部61の位置で連結され、表皮開裂部61に対して車外側に配置されるアウタ表皮材62と、車内側に配置されるインナ表皮材63と、から主に構成されている。
【0064】
アウタ表皮材62の車外側の他端部62aが、ベース外壁部22の係止爪22aに上下方向にわたって係止されており、インナ表皮材63の車内側の他端部63aがベース内壁部23の木目込み溝23aに木目込まれている。
具体的には、アウタ表皮材62の他端部62aには、係止爪22aに係止させるための係止孔が上下方向にわたって形成されており、インナ表皮材63の他端部63aには、木目込み溝23aに木目込むための樹脂製のトリムコードが縫着されている。
【0065】
上記構成において、
図8に示すようにエアバッグ10が膨出展開したときには、表皮材60は、表皮開裂部61を分岐点としてアウタ表皮材62とインナ表皮材63とに分かれて展開される。
表皮開裂部61は、車体幅方向においてエアバッグ10に重なる位置に配置されている。
【0066】
力布70は、エアバッグ10の膨出展開方向を車体前方側にガイドする布部材からなる。
力布70は、
図7に示すように、表皮材60の表皮開裂部61に一端部71が取り付けられ、一端部71から連続してパッド部材50を覆うように延びて、ベース部材20の力布係止部27に他端部72が係止されている。
【0067】
具体的には、力布70は、インナ表皮材63側の表皮開裂部61に縫着された一端部71から連続してインナパッド部材50bの前面を沿うように車外側に延びて、パッド開口部51に対向する部分まで到達している。
そして、力布70は、パッド開口部51を通過してインナパッド部材50bの車外側面及び背面を沿うように連続して延びて、ベース格納部24の内側壁部24cに設けられた力布挿通孔29まで到達している。
このとき、力布70は、車体前後方向においてパッド部材50とエアバッグ10との間を通過するように延びている。
【0068】
そして、力布70は、ベース格納部24に設けられた力布挿通孔を通過して力布係止部27まで連続して延びて、力布係止部27に係止される。
このとき、力布70の他端部72には、力布係止部27に係止するための樹脂製のトリムコードが縫着されている。
【0069】
上記構成において、
図8に示すようにエアバッグ10が膨出展開したときには、力布70は、エアバッグ10の膨出方向を表皮材60の表皮開裂部61側にガイドする。
また、力布70の一端部71側は、インナパッド部材50b及びインナ表皮材63と共に車体前後方向の前方側に展開され、また車体幅方向の車内側に展開される。
【0070】
また上記構成において、
図7、
図8に示すように、エアバッグ10及びインフレータ11を車体後方側から保持するリテーナ部材30は、その車体後方側にある車体部材38によって当接支持されるように配置されている。
そのため、リテーナ部材30のベース格納部24に対する支持剛性が向上し、エアバッグ10が膨出展開するときに、ベース格納部24周辺の変形を抑制できる。そして、エアバッグ10の膨出展開方向を安定できる。
【0071】
<サイドエアバッグ装置の第2実施形態>
次に、サイドエアバッグ装置Sの第2実施例について、
図9に基づいて説明する。
なお、上述したサイドエアバッグ装置Sと重複する内容は説明を省略する。
第2実施例に係るサイドエアバッグ装置Sでは、ハーネス140が、上下方向にわたって、ベース格納部124に形成された収容凹部126と、リテーナ部材130とで囲まれて支持されている構成が異なっている。
【0072】
ベース格納部124は、
図9に示すように、後壁部124aと、後壁部124aから連続して車体前方側に延びる外側壁部124bと内側壁部124cと、内側壁部124cに設けられ、力布係止部127よりも車内側に配置されて車体後方側に延びる第2内側壁部124dと、を備えている。
第2内側壁部124dは、ベース格納部124に一体的に設けられた補強リブからなり、内側壁部124cとで断面略コ字形状の収容凹部126を形成している。
収容凹部126は、リテーナ部材130側とは反対側の車体前方側に窪むように形成されており、ハーネス140を上下方向にわたって収容可能に形成されている。
【0073】
リテーナ部材130は、後壁部130aと、後壁部130aから連続して車体前方側に延びる外側壁部130bと内側壁部130cと、後壁部130aに設けられ、内側壁部130cよりも車内側に配置されて車体前方側に延びる第2内側壁部130dと、を備えている。
第2内側壁部130dは、ベース部材120の第2内側壁部124dよりも車内側に配置されており、後壁部130aと内側壁部130cとで第2内側壁部124dを挟み込むように保持している。
【0074】
ハーネス140は、上下方向の中央部分が、ベース格納部124の収容凹部126と、リテーナ部材130の第2内側壁部130dとで囲まれた状態で支持されている。
言い換えれば、ハーネス140の上下方向の中央部分が、リテーナ部材130のうち、後壁部130aと内側壁部130cと第2内側壁部130dとで形成された収容部と、ベース格納部124の第2内側壁部124dとで囲まれた状態で支持されているとも言える。
【0075】
上記構成において、ハーネス140と力布係止部127は、ベース格納部124の内側壁部124c側に取り付けられる一方で、インフレータ11の組み付け軸部13は、外側壁部124bに組み付けられている。
そして、ハーネス140と力布係止部127とは、車体前後方向において異なる位置に配置されている。
そのため、互いに干渉することを抑制することができ、組み付け作業が効率化する。
【0076】
また上記構成において、力布係止部127が、車体幅方向において内側壁部124cと第2内側壁部124dとで挟まれて支持されているため、力布係止部127の支持剛性が向上している。
【0077】
<サイドエアバッグ装置の第3実施形態>
次に、サイドエアバッグ装置Sの第3実施例について、
図10に基づいて説明する。
第3実施例に係るサイドエアバッグ装置Sでは、ハーネス240が、上下方向にわたって、ベース格納部224の外側壁部224bと、リテーナ部材230との間に挟まれて支持されている構成が異なっている。
【0078】
ベース格納部224は、
図10に示すように、外側壁部224bと内側壁部224cと、外側壁部224bよりも車外側に連続して設けられ、車体後方側に延びる第2外側壁部224dと、を備えている。
第2外側壁部224dは、ベース格納部224に一体的に設けられた補強リブからなり、外側壁部224bの厚みを確保している。
【0079】
リテーナ部材230は、後壁部230aと、後壁部230aから連続して車体前方側に延びる外側壁部230bと内側壁部230cと、外側壁部230bから連続して車外側に延びる第2後壁部230dと、第2後壁部230dから連続して車体前方側に延びる第2外側壁部230eと、を備えている。
第2後壁部230d及び第2外側壁部230eは、ベース格納部224の背面に沿わせて延びている。
【0080】
ハーネス240は、上下方向の中央部分が、ベース格納部224の外側壁部224b及び第2外側壁部224dと、リテーナ部材230の第2後壁部230d及び第2外側壁部230eとで囲まれた状態で支持されている。
【0081】
上記構成において、ハーネス240と、インフレータ11の組み付け軸部13とは、ベース格納部224の外側壁部224b側に取り付けられる一方で、力布係止部227は、内側壁部224cに組み付けられている。
そして、ハーネス240と組み付け軸部13とは、車体前後方向において異なる位置に配置されている。
そのため、互いに干渉することを抑制することができ、組み付け作業が効率化する。
【0082】
<サイドエアバッグ装置の第4実施形態>
次に、サイドエアバッグ装置Sの第4実施例について、
図11に基づいて説明する。
第4実施例に係るサイドエアバッグ装置Sでは、ハーネス340が、上下方向にわたって、ベース部材320のベース外壁部322に設けられた係止爪322aと、表皮材60との間に挟まれて支持されている構成が異なっている。
【0083】
ハーネス340は、上下方向の中央部分が、係止爪322a背面に設けられた係止凹部と、表皮材60とによって形成された内部空間に収容された状態で上下方向にわたって支持されている。
詳しく言うと、係止爪322aに設けられた係止凹部は、車体後方側から前方側に向かって切り欠かれて形成されており、表皮材60の車外側端部には、ハーネス340を挿通可能な不図示の貫通孔が設けられている。
【0084】
上記構成において、ハーネス340はベース部材320の車外側端部に取り付けられ、インフレータ11の組み付け軸部13は、ベース格納部324の外側壁部324bに取り付けられ、力布係止部227は内側壁部324cに組み付けられている。
そのため、互いに干渉することを抑制することができ、組み付け作業が効率化する。
【0085】
<サイドエアバッグ装置の第5実施形態>
次に、サイドエアバッグ装置Sの第5実施例について、
図12に基づいて説明する。
第5実施例に係るサイドエアバッグ装置Sでは、
図7の第1実施例と比較して、リテーナ部材330が断面コ字形状からなり、内側壁部330cの一部が折り曲げられることなく、力布保持部332が形成されている構成が異なっている。
【0086】
具体的には、内側壁部330cが、後壁部330aの車内側端部から連続して車体前方側に略直線状に延びており、内側壁部330cの延出端部が力布保持部332となって力布係止部27を覆うように保持している。
そのため、
図7の第1実施例と比較して、リテーナ部材330がベース格納部24を保護する面積が大きくなっており、エアバッグ10の膨出展開時に加わる衝撃力をより効率的に受け止めることができる。
【0087】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、サイドエアバッグ装置Sでは、
図2又は
図3に示すように、ベース部材20のベース取り付け部21aと、リテーナ部材30の後壁部30a延出端部とが重ね合わされた状態で不図示の車体部材に取り付けられている。
このとき、ベース取り付け部21aに設けられたボルト締結穴と、後壁部30a延出端部に設けられたボルト締結穴とが一致するように重ねられて、一つのボルトで車体部材に締結されることになるが、これに限定されることなく、ボルト締結穴同士が互いに離れた位置で設けられ、別々のボルトで車体部材に締結されていても良い。
また、ボルト締結に限定されることなく、ベース取り付け部21aと後壁部30a延出端部とが重ね合わされた状態で車体部材に取り付けられていれば良い。
【0088】
上記実施形態において、
図5に示すように、インフレータ11の被組み付け部は組み付け軸部13であって、組み付け部材35が組み付けナットとして構成されているが、これに限定されることなく、インフレータ11側が組み付けナットであって、組み付け部材35が組み付け軸部として構成されていても良いし、その他の公知な組み付け方法を採用しても良い。
【0089】
上記実施形態において、ベース部材20のベース格納部24では、
図3又は
図4に示すように、ハーネス40が外側壁部24b側に配置され、力布70及びインフレータ11の組み付け軸部13がそれぞれ内側壁部24c側に配置されているが、これに限定されることなく、
図9〜
図11に示すように配置箇所を適宜変更可能である。
上記以外にも、ベース格納部24において、ハーネス40が後壁部24a側に配置され、インフレータ11の組み付け軸部13が外側壁部24b側に配置され、力布70の他端部72がそのまま内側壁部24c側に配置される構成にしても良い。このように構成すれば、互いに干渉を抑制してコンパクトに配置することができる。
【0090】
上記実施形態において、
図6に示すように、突出部39は、略直方体形状からなり、リテーナ部材30と一体的に形成されているが、これに限定されることなく、車体部材38の形状に対応させて適宜変更可能である。
例えば、
図13に示すように、略円柱形状からなる突出部139が、リテーナ部材30と一体的に設けられていても良い。突出部139は、略円錐状であって上端が水平面で切断された形状として形成されている。
このように構成すれば、突出部139の車体部材に対する荷重受け面が、インフレータ11の中央部分に対応する位置に集中して配置される。そのため、リテーナ部材30が、エアバッグ10の膨出展開時に発生する反力を効率良く受け止めることができる。
【0091】
また例えば、
図14に示すように、ハット形状からなる突出部239が、リテーナ部材30と別体で設けられていても良い。
突出部239は、リテーナ部材30に連結される前壁部239aと、前壁部239aの左右両端から連続して車体後方側に延びる左右の側壁部239bと、左右の側壁部239bから左右外側に延びる左右の後壁部239cと、から構成されている。
突出部239は、リテーナ部材30と同様に金属製であっても良いし、弾性変形可能な樹脂製であっても良いし、ゴム製であっても良い。
このように構成すれば、リテーナ部材の成形条件によらず、車体部材の形状に最適な荷重受け面を自由に形成できる。
【0092】
また例えば、
図15に示すように、インフレータ11の形状に対応させて上下方向に長尺な突出部339が、リテーナ部材30と一体的に設けられていても良い。突出部339は、不図示の車体部材の形状に対応させて傾斜面からなる荷重受け面を備えている。
このように、突出部339が、インフレータ11の形状に対応して、かつ、不図示の車体部材の形状に対応して形成されるため、エアバッグ10の膨出展開時に発生する反力を効率良く受け止めることができる。
【0093】
上記実施形態において、
図16に示すように、ベース格納部424に形成されたインフレータ11取り付け用のベース穴部428が、
図4のベース穴部28と比較して車体後方側にさらに延びて後壁部424aまで到達していても良い。
そうすることで、ベース格納部424にリテーナ部材430を車体後方側から装着する際に、嵌合凹部434がベース穴部428を弾性変形させながら嵌め込まれることになる。
その結果、リテーナ部材430の取り付け剛性が向上するとともに、リテーナ部材430の取り付け作業が容易になる。
【0094】
上記実施形態において、
図17に示すように、リテーナ部材430が、
図3のリテーナ部材30と比較して上下方向に短くなるように途中でカットされ、また、ベース取り付け部421bと重なる一部分が第2リテーナ片430fとして残されていても良い。
そうすることで、少なくともエアバッグ10及びインフレータ11を格納するベース格納部424を保持しながらも、サイドエアバッグ装置Sの軽量化を図ることができる。加えて、ベース取り付け部421bが不図示の車体部材に取り付けられるときに、金属製の第2リテーナ片430fを介在させてメタルタッチさせることができるため、車体への取り付けを一層安定させることができる。
また、ベース部材420に設けられた車体取り付け用の上部ベース取り付け部421aと下部ベース取り付け部421bとを結ぶ仮想線L1が、インフレータ11及びベース格納部424の少なくとも一部を通過するように配置されていると良い。そうすることで、ベース部材420が、不図示の車体部材に好適に支持されながら、エアバッグ10の膨出展開時に発生する反力を受け止めることができる。
また、車体当接用のベース突起部421cと下部ベース取り付け部421bとを結ぶ仮想線L2が、ベース格納部424の少なくとも一部を通過していると良い。そうすることで、ベース部材420が車体部材に好適に支持されながら、エアバッグ10の膨出時に発生する反力を受け止められる。
【0095】
上記実施形態において、
図7に示すように、突出部39は、車体部材38と所定の間隔を空けて配置されているが、あらかじめ車体部材38に当接した状態で配置されても良い。
【0096】
上記実施形態において、ベース格納部24の後壁部24aのうち、リテーナ部材30の突出部39に対向する部分には、車体後方側に突出する突出部を新たに一体的に又は別体で形成しても良い。
当該突出部は、リテーナ部材30の突出部39の形状に合わせることが望ましい。
このように構成すれば、ベース格納部24周辺の剛性が一層向上し、エアバッグ10の膨出展開方向を一層安定させることができる。また、リテーナ部材30を組み付ける際の位置決めとなる。
【0097】
上記実施形態において、力布係止部27は、
図7に示すように、ベース格納部24の内側壁部24cに形成されているが、これに限定されることなく、ベース格納部24において外側壁部24bや後壁部24aに形成されていても良い。
なお望ましくは、力布係止部27は、ベース格納部24においてエアバッグ10及びインフレータ11よりも車体幅方向の車内側に形成されている方が良い。
このようにすれば、力布70によって、エアバッグ10を車体前方側に一層安定して膨出展開できるためである。
理由として、エアバッグ10を格納するベース格納部24の車体幅方向において、外側壁部24b側は、比較的剛性の高い車体ドア2aに支持されている一方で、内側壁部24c側は、比較的弾性の高い後部座席1に支持されている。すると、エアバッグ10の膨出展開方向が、車体幅方向において弾性の高い後部座席1側に引き寄せられる傾向となる。
そこで、内側壁部24c側に力布係止部27を設けて、内側壁部24c側を力布70によって優先的にガイドすれば、エアバッグ10の膨出展開方向が安定するからである。
【0098】
上記実施形態において、パッド部材50は一体物として形成されているが、これに限定されることなく、例えば、アウタパッド部材50aとインナパッド部材50bとが別物として載置されていても良い。
また、パッド部材50は、少なくともベース部材20のうち、ベース格納部24の車体前方側の位置に載置されていれば良い。このように、少なくともベース格納部24の前方位置に載置されていれば、サイドエアバッグ装置Sの車体前方面が部分的に凹むようなことがなく、略面一な外表面を形成することができる。
【0099】
上記実施形態では、具体例として自動車の後部座席に用いられるサイドエアバッグ装置Sについて説明したが、これに限定されることなく、自動車の前部座席、電車、バス等の車両用シート、飛行機、船等の乗り物用シート等に利用されるものであっても良い。
【0100】
本実施形態では、主として本発明に係るサイドエアバッグ装置Sに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。