特許第6250900号(P6250900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6250900工作機械とロボットとの協働によってワークを加工する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6250900
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】工作機械とロボットとの協働によってワークを加工する方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 15/20 20060101AFI20171211BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20171211BHJP
   B25J 13/08 20060101ALN20171211BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALN20171211BHJP
【FI】
   B23Q15/20
   B23Q7/04 M
   !B25J13/08 Z
   !B23Q17/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-191935(P2015-191935)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-64839(P2017-64839A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2016年12月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】眞武 主命
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−197164(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2969947(FR,A1)
【文献】 独国特許出願公開第3420531(DE,A1)
【文献】 特表2002−542954(JP,A)
【文献】 特開2017−019049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 15/20
B23Q 7/04
B23Q 17/00
B25J 13/08
B23Q 3/06
B23Q 3/16
B23Q 37/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが設置されるワーク受け部、および、前記ワークを前記ワーク受け部に押し付けるクランプ部を有する工作機械と、前記ワークを把持可能なロボットハンドを有するロボットとの協働によって前記ワークを加工する方法であって、
前記クランプ部を前記ワークの第1部分に押し当てて、該ワークを前記ワーク受け部との間でクランプすることと、
前記クランプ部を前記第1部分から離反するように移動させ、前記クランプ部による前記ワークのクランプを解除することと、
前記ロボットを動作させて、前記第1部分とは異なる前記ワークの第2部分を前記ロボットハンドによって把持し、前記ワークの姿勢を変えずに前記ワーク受け部に対する前記ワークの移動を規制することと、
前記ワーク受け部に対する前記ワークの移動を規制した状態で、前記工作機械を動作させて前記第1部分を加工することと、を備える、方法。
【請求項2】
前記ロボットは、前記ロボットハンドに掛かる力を計測する力センサを有し、
前記第2部分を前記ロボットハンドによって把持するときに、前記力センサが計測した前記力に基づいて、前記ロボットハンドが前記第2部分を押え付ける力が予め定められた力となるように、該押え付ける力を制御する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械とロボットとの協働によってワークを加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを把持して搬送し、該ワークを治具に設置するロボットを備える加工システムが知られている(例えば、特許文献1)。また、治具に設置されたワークを加工するために、該ワークをクランプするクランプ機構を備える工作機械が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−184055号公報
【特許文献2】特開平9−201742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
治具に設置されたワークをクランプ機構によって押え付けた場合、クランプ機構がワークと当接している部分は、加工することができない。したがって、従来は、この部分の加工を行うために、ワークを別の治具に設置し直す作業等が必要となる場合があった。この場合、加工精度および製造効率の低下に繋がる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様において、ワークが設置されるワーク受け部、および、ワークをワーク受け部に押し付けるクランプ部を有する工作機械と、ワークを把持可能なロボットハンドを有するロボットとの協働によってワークを加工する方法は、クランプ部をワークの第1部分に押し当てて、該ワークをワーク受け部との間でクランプすることを備える。
【0006】
また、この方法は、クランプ部を第1部分から離反するように移動させ、クランプ部によるワークのクランプを解除することと、ロボットを動作させて、第1部分とは異なるワークの第2部分をロボットハンドによって把持し、ワークの姿勢を変えずにワーク受け部に対するワークの移動を規制することと、ワーク受け部に対するワークの移動を規制した状態で、工作機械を動作させて第1部分を加工することとを備える。
【0007】
ロボットは、ロボットハンドに掛かる力を計測する力センサを有してもよい。第2部分をロボットハンドによって把持するときに、力センサが計測した力に基づいて、ロボットハンドが第2部分を押え付ける力が予め定められた力となるように、該押え付ける力を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る加工システムのブロック図である。
図2図1に示すワークおよびワーク受け部を、図1中のz軸プラス方向の側から見た図であって、ワークを把持した状態のロボットハンドを点線にて示している。
図3図1に示す加工システムの動作フローの一例を示すフローチャートである。
図4図3中のステップS5のフローの一例を示すフローチャートである。
図5図3中のステップS4の終了時の加工システムを示す。
図6図4中のステップS13にてYESと判定されたときの加工システムを示す。
図7】本発明の他の実施形態に係るワーク受け部の図である。
図8】本発明のさらに他の実施形態に係るワーク受け部の図である。
図9】本発明の他の実施形態に係るロボットハンドの図である。
図10】他の実施形態に係る加工システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る加工システム10について説明する。加工システム10は、ロボットシステム12および工作機械14を備える。
【0010】
ロボットシステム12は、ワークWを工作機械14の内部に搬入して、工作機械14内のワーク受け部46に設置したり、該ワーク受け部46に設置されたワークWを工作機械14から取り出したりするためのものである。
【0011】
ロボットシステム12は、ロボット制御部16およびロボット18を備える。ロボット制御部16は、例えば、CPU(中央演算処理装置)および記憶部(ともに図示せず)等を有し、ロボット18の各構成要素を、直接的または間接的に制御する。
【0012】
ロボット18は、例えば垂直多関節ロボットであって、ロボットベース20、旋回胴22、ロボットアーム24、ロボットハンド26、および力センサ38を備える。ロボットベース20は、ワークセルの床に固定されている。旋回胴22は、ロボットベース20に鉛直軸周りに旋回可能に取り付けられている。
【0013】
ロボットアーム24は、旋回胴22に回転可能に取り付けられた後腕部28と、該後腕部28の先端に回転可能に取り付けられた前腕部30とを有する。前腕部30の先端には、手首部32が設けられており、ロボットハンド26は、該手首部32を介して、前腕部30の先端に取り付けられている。
【0014】
ロボットハンド26は、手首部32に取り付けられたハンドベース34と、該ハンドベース34に開閉可能に設けられた複数の指部36とを有する。指部36は、互いに対して接近および離反する方向へ移動と可能となるようにハンドベース34に設けられている。
【0015】
ロボット制御部16は、ロボット18に内蔵された各サーボモータ(図示せず)に指令を送り、ロボット18を動作させ、該ロボット18の動作により、ロボットハンド26を移動させる。また、ロボット制御部16は、ロボットハンド26に内蔵された各サーボモータ(図示せず)に指令を送り、指部36を開閉させる。
【0016】
力センサ38は、例えば、歪ゲージまたは変位計等のセンサ素子を有し、指部36に掛かる荷重を検出する。力センサ38は、検出した荷重に係るデータを、ロボット制御部16へ送信する。例えば、力センサ38は、予め定められた周期で、荷重に係るデータをロボット制御部16へ送信する、
【0017】
工作機械14は、工作機械制御部40、主軸42、テーブル44、ワーク受け部46、およびクランプ機構48を有する。工作機械制御部40は、CPU(中央演算処理装置)および記憶部(ともに図示せず)等を有し、工作機械14の各構成要素を、直接的または間接的に制御する。
【0018】
工作機械制御部40は、ロボット制御部16と通信可能に接続されている。工作機械制御部40およびロボット制御部16は、互いに通信しつつ、後述するワークWへの加工作業を実行する。
【0019】
主軸42は、ワーク受け部46に対して接近および離反する方向(すなわち、図中のz軸方向)へ移動可能に設けられ、その先端に、工具50を保持している。工作機械制御部40は、主軸42に内蔵されたサーボモータ(図示せず)に指令を送り、主軸42をz軸方向へ移動させる。
【0020】
主軸42に保持された工具50は、該主軸42の動作により、ワーク受け部46に対して接近および離反する方向(すなわち、図中のz軸方向)へ、移動される。また、工作機械制御部40は、主軸42に内蔵されたサーボモータ(図示せず)に指令を送り、ワークWを加工すべく、工具50を回転駆動させる。
【0021】
テーブル44は、可動台44aと、該可動台44aを移動させる移動機構44bとを有する。移動機構44bは、サーボモータおよびボール螺子機構を有し、工作機械制御部40からの指令に応じて、可動台44aを、図1中のx軸方向およびy軸方向へ移動させる。
【0022】
ワーク受け部46は、テーブル44の可動台44aの上に固定され、可動台44aと一体となって移動する。ワーク受け部46には、ワークWを位置決めするための係合部46aが形成されている。
【0023】
本実施形態においては、複数の係合部46aが、ワーク受け部46の頂面46bからz軸プラス方向へ突出するように形成され、図2に示すようにワークWの周囲を取り囲むように配置されている。係合部46aは、ワークWの外周面Sと係合し、これにより、ワークWがワーク受け部46に対して、x−y平面に沿って移動するのを規制する。
【0024】
クランプ機構48は、クランプ駆動部52、クランプアーム54、およびクランプ部56を有する。クランプ駆動部52は、例えば空圧式または油圧式のシリンダを有し、工作機械制御部40からの指令に応じて、クランプアーム54をz軸方向へ駆動する。
【0025】
クランプアーム54は、その一端がクランプ駆動部52に固定され、他端にてクランプ部56を保持している。クランプ部56は、ワーク受け部46に形成された係合部46aから、z軸プラス方向へ離隔して配置されている。クランプ部56は、クランプ駆動部52によって、クランプアーム54と一体となって、z軸方向へ駆動される。
【0026】
本実施形態においては、クランプ部56は、クランプ駆動部52によってz軸マイナス方向へ移動されたときに、ワーク受け部46上に設置されたワークWの第1部分Pと当接するように、配置されている。第1部分Pは、ワークWのz軸プラス方向の端部であって、クランプ部56に面している。
【0027】
次に、図3図6を参照して、加工システム10の動作について説明する。図3に示す動作フローは、ロボット制御部16または工作機械制御部40が、使用者、上位コントローラ、または加工プログラムから、ワークWの加工指令を受け付けたときに、開始する。
【0028】
ステップS1において、ロボット制御部16は、ワークWをワーク受け部46に設置する。具体的には、ロボット制御部16は、ロボットプログラムに従ってロボット18を動作させ、予め定められた場所に設置されているワークWをロボットハンド26によって把持する。
【0029】
次いで、ロボット制御部16は、ロボット18によってワークWを移動し、該ワークWをワーク受け部46の上に設置する。このとき、ワーク受け部46の係合部46aは、ワークWの外周面Sと係合する。
【0030】
ステップS2において、工作機械制御部40は、クランプ機構48を作動させ、該クランプ機構48によって、ワーク受け部46上に設置されたワークWをクランプする。具体的には、工作機械制御部40は、クランプ駆動部52に指令を送り、クランプ部56をz軸マイナス方向へ移動させる。
【0031】
その結果、図1に示すように、クランプ部56は、ワークWの第1部分Pと当接して該第1部分Pをz軸マイナス方向へ押圧し、ワークWをクランプ部56とワーク受け部46との間でクランプする。
【0032】
ステップS3において、工作機械制御部40は、ワークWを加工する。具体的には、工作機械制御部40は、工具50を、ワークWのうち、第1部分P以外の部分(例えば、外周面S)に当接させるように、主軸42を移動させる。次いで、工作機械制御部40は、工具50を回転駆動する。これにより、ワークWが加工される。
【0033】
ステップS4において、工作機械制御部40は、クランプ部56を、ワークWの第1部分Pから離反するように移動させ、クランプ機構48によるワークWのクランプを解除する。
【0034】
具体的には、工作機械制御部40は、クランプ駆動部52に指令を送り、クランプ部56をz軸プラス方向へ移動させる。その結果、図5に示すように、クランプ部56は、ワークWの第1部分Pから、z軸プラス方向へ離反する。
【0035】
ステップS5において、ロボット制御部16は、ロボットハンド26によってワークWを把持する。このステップS5について、図4を参照して説明する。
【0036】
ステップS11において、ロボット制御部16は、ロボットハンド26を移動させる。具体的には、ロボット制御部16は、ロボットプログラムに従ってロボット18を動作させ、開状態となっている指部36の間にワークWが配置されるように、ロボットハンド26を移動させる。
【0037】
このとき、ロボットハンド26は、指部36がワークWの第2部分P図2図5)に面するように、ワークWに対して位置決めされる。この第2部分Pは、第1部分Pとは異なる、ワークWの部分(例えば、外周面Sの一部)であって、後述するように、ロボットハンド26が把持すべきワークWの部分である。
【0038】
ステップS12において、ロボット制御部16は、指部36を閉方向へ移動させる。具体的には、ロボット制御部16は、ロボットハンド26に内蔵されたサーボモータに指令を送り、複数の指部36を互いに接近する方向へ移動させる。
【0039】
ステップS13において、ロボット制御部16は、ロボットハンド26がワークWの第2部分Pを押え付ける力が予め定められた力に達したか否かを判定する。具体的には、ロボット制御部16は、力センサ38によって計測された荷重検出値が、予め定められた範囲となったか否かを判定する。
【0040】
上述したように、力センサ38は、指部36に掛かる荷重を検出している。この指部36に掛かる荷重は、指部36が第2部分Pを押圧したときに該指部36に掛かる反力に相関する。したがって、力センサ38によって検出された荷重から、ロボットハンド26が第2部分Pを押え付ける力を推定できる。
【0041】
一例として、力センサ38によって検出される荷重検出値と、ロボットハンド26が第2部分Pを押さえ付ける力との関係を、実験的またはシミュレーション的手法によって、予め求めておき、ロボット制御部16に内蔵された記憶部に記憶する。
【0042】
そして、使用者は、ロボットハンド26が第2部分Pを押さえ付ける力が所望の大きさとなったときの力センサ38の荷重検出値を含むように、上記予め定められた範囲を設定する(例えば、荷重検出値±1%の範囲)。
【0043】
ロボット制御部16は、このステップS13において、力センサ38によって検出された荷重検出値が、予め定められた範囲内であるか否かを判定する。ロボット制御部16は、荷重検出値が予め定められた範囲内である(すなわちYES)と判定した場合、ステップS14へ進む。
【0044】
一方、ロボット制御部16は、力センサ38によって検出された荷重検出値が予め定められた範囲外である(すなわちNO)と判定した場合、ステップS13をループする。
【0045】
このステップS13にてYESと判定されたとき、ロボットハンド26は、ワークWの第2部分Pを所望の大きさの力で押え付けることになる。この状態を、図2および図6に示す。なお、図2においては、理解の容易の観点から、ロボットハンド26を点線にて示している。
【0046】
図2および図6に示すように、ステップS13にてYESと判定された時点で、ワークWの第2部分Pは、ロボットハンド26の指部36によってy軸方向に挟み込まれて、把持される。
【0047】
図6に示すように、本実施形態においては、第2部分Pは、ワーク受け部46の係合部46aからz軸プラス方向へ離隔した、ワークWのz軸プラス方向の端部近傍に配置されている。一方、ワーク受け部46の係合部46aは、ワークWのz軸マイナス方向の端部と係合している。
【0048】
このように、本実施形態においては、ロボットハンド26および係合部46aは、互いに異なるワークWの部分(すなわち、ワークWにおいて互いに反対側となる端部近傍)と係合する。
【0049】
これにより、ワークWがワーク受け部46に対してx−y平面に沿って移動するのを効果的に規制できる。また、加工中にワークWのz軸プラス方向の端部が揺動し、これによりワークWがx−y平面に対して傾いてしまうのを、効果的に規制することができる。
【0050】
ステップS14において、ロボット制御部16は、指部36の位置を維持する。例えば、ロボット制御部16は、ステップS13にてYESと判定された時点での指部駆動用のサーボモータの負荷トルクNを計測し、該サーボモータの負荷トルクが、計測した負荷トルクNとなるように、該サーボモータをフィードバック制御する。
【0051】
この動作によって、指部36の位置を維持することができ、これにより、ロボットハンド26が第2部分Pを所望の大きさの力で押え付ける状態を維持することができる。
【0052】
図4に示すステップS5によって、ロボットハンド26は、ステップS4にてクランプ機構48によるクランプが解除されたワークWを、ステップS3の終了時の姿勢を変えることなく、ワーク受け部46に対して押え付ける。
【0053】
再度、図3を参照して、ステップS6において、工作機械制御部40は、ワークWの第1部分Pを加工する。具体的には、工作機械制御部40は、主軸42を動作させ、工具50を、ワークWの第1部分Pに対してz軸マイナス方向へ押し当てる。次いで、工作機械制御部40は、工具50を回転駆動する。これにより、ワークWの第1部分Pが加工される。
【0054】
上述したように、ロボットハンド26および係合部46aによって、ワークWのx−y平面における移動が規制されている。この状態で、工具50が第1部分Pをz軸マイナス方向へ押圧しつつ該第1部分Pを加工することによって、加工中にワークWの位置がずれるのを、効果的に防止できる。
【0055】
ステップS7において、ロボット制御部16は、ワークWを工作機械14から取り出す。具体的には、ロボット制御部16は、ロボットハンド26によってワークWを把持したまま、ロボットプログラムに従ってロボット18を動作させ、ワークWを予め定められた場所まで移動させる。そして、ロボットハンド26の指部36を開方向へ移動させ、ワークWを該予め定められた場所にて、解放する。
【0056】
ステップS8において、ロボット制御部16または工作機械制御部40は、全てのワークに対する加工が完了したか否かを判定する。ロボット制御部16または工作機械制御部40は、全てのワークの加工が完了した(すなわちYES)と判定した場合、図3に示すフローを終了する。一方、ロボット制御部16または工作機械制御部40は、加工すべきワークが存在している(すなわちNO)と判定した場合、ステップS1へ戻る。
【0057】
本実施形態によれば、クランプ部56によるワークWのクランプを解除した後に、ロボットハンド26によって、ワークWの姿勢を変えることなく、該ワークをワーク受け部46に押え付けている。
【0058】
この構成によれば、ステップS3の後に、クランプ部56が当接していた第1部分Pを、ワークWの姿勢を変えずに連続して加工することができる。したがって、ステップS3の後にワークWの姿勢を変更したり、ワークWを別の治具に設置し直したりする作業を省くことができるので、製造効率を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態においては、ロボットハンド26によってワークWのx−y平面における移動を規制する一方、工具50を第1部分Pにz軸マイナス方向へ押し当てて加工している。この構成によれば、加工中において、ワークWのx軸方向、y軸方向、およびz軸方向への移動を効果的に防止できる。
【0060】
また、本実施形態においては、ワークWを工作機械14に搬入および搬出するためのロボット18によって、ワークWをワーク受け部46へ押え付ける動作を実行している。この構成によれば、システムの構成を簡単化することができる。
【0061】
また、ロボットハンド26は、ステップS5によってワークWを把持しているので、ステップS6が終了した後、ステップS7にて迅速に加工済みのワークWを搬出することができる。したがって、作業効率を向上させることができる。
【0062】
なお、上述の実施形態に係る係合部46aに限らず、様々な形態の係合部を適用可能である。図7に、他の実施形態に係るワーク受け部46’を示す。このワーク受け部46’には、互いに対向して配置された2個の係合部46a’が形成されている。
【0063】
これら係合部46a’は、ワークWがx軸方向へ移動するのを規制するように、形成されている。一方、ロボット制御部16は、上述のステップS5において、ワークWがy軸方向へ移動するのを規制するように、ロボットハンド26にワークWの第2部分Pを把持させる。
【0064】
このように、本実施形態においては、ロボットハンド26および係合部46a’は、それぞれ、ワークWのy軸方向およびx軸方向への移動を規制する。これにより、ワークWがx−y平面に沿って移動するのを規制できる。
【0065】
図8に、さらに他の実施形態に係るワーク受け部46”を示す。このワーク受け部46”には、互いに対向して配置された2個の係合部46a”が形成されている。これら係合部46a”は、ワークWがxプラス軸方向へ移動するのを規制するように、形成されている。
【0066】
この実施形態においては、上述のステップS5において、ロボット制御部16は、ワークWがy軸方向へ移動するのを規制するように、ロボットハンド26にワークWの第2部分Pを把持させる。
【0067】
この状態で、ロボット制御部16は、ロボットハンド26をx軸プラス方向へ移動させ、これにより、ワークWを、係合部46a”に対して、x軸プラス方向へ押圧する。この実施形態においても、ロボットハンド26および係合部46a”によって、ワークWがx−y平面に沿って移動するのを規制できる。
【0068】
また、ロボット18は、上述の力センサ38の代わりに(または加えて)、ロボットアーム24に掛かる荷重を検出可能な他の力センサを備えてもよい。このような他の力センサは、ロボットアーム24または手首部32に取り付けられ得る。
【0069】
この場合において、ロボット制御部16は、上述のステップS13において、他の力センサによって計測された荷重に基づいて、ロボットハンド26が第2部分Pを押え付ける力の判定を実行してもよい。
【0070】
一例として、図8に示すワーク受け部46”を適用した場合において、ロボット制御部16は、上述のステップS13によって、他の力センサによって計測された荷重に基づいて、ロボットハンド26がワークWを係合部46a”に対してx軸プラス方向へ押し付ける力を制御してもよい。
【0071】
また、クランプ駆動部52は、空圧式または油圧式のシリンダに限らず、例えば、サーボモータを有してもよい。
【0072】
また、ワーク受け部に係合部を設けることなく、ロボットハンドのみによって、ワークWをワーク受け部に抑え付けることもできる。一例として、図9に、他の実施形態に係るロボットハンド26’を示す。
【0073】
このロボットハンド26’は、ハンドベース34と、該ハンドベース34に開閉可能に設けられた複数の指部36’とを有する。指部36’は、互いに対して接近および離反する方向へ移動と可能となるようにハンドベース34に設けられている。
【0074】
指部36’の各々には、把持すべきワークW’と当接する部分に、把持部36a’が形成されている。この把持部36a’は、ワークW’の第2部分P’に対応する形状を有する。この実施形態によれば、仮にワーク受け部46に係合部46aが設けられていなかったとしても、ロボットハンド26’によって、ワークWのx−y平面における移動を規制できる。
【0075】
また、係合部は、ワーク受け部の表面から突出する凸部のみならず、ワーク受け部の表面から内方へ凹む凹部(溝)であってもよい。
【0076】
また、上述の実施形態においては、工作機械14が、1つのクランプ機構48を有する場合について述べた。しかしながら、これに限らず、工作機械は、複数のクランプ機構を有してもよい。
【0077】
以下、図10を参照して、さらに他の実施形態に係る加工システム10’について説明する。なお、本実施形態において、上述の実施形態と同様の要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0078】
加工システム10’は、上述の加工システム10と、工作機械14’の構成において相違する。具体的には、工作機械14’は、工作機械制御部40、主軸42、テーブル44、ワーク受け部46、第1のクランプ機構48a、および第2のクランプ機構48bを有する。
【0079】
第1のクランプ機構48aは、第1のクランプ駆動部52a、第1のクランプアーム54a、および第1のクランプ部56aを有する。一方、第2のクランプ機構48bは、第2のクランプ駆動部52b、第2のクランプアーム54b、および第2のクランプ部56bを有する。
【0080】
クランプ駆動部52a、52b、クランプアーム54a、54b、および、クランプ部56a、56bは、それぞれ、上述のクランプ駆動部52、クランプアーム54、および、クランプ部56と、同様の構成を有する。
【0081】
第1のクランプ部56aは、ワーク受け部46上に設置されたワークW”の部分P’と当接するように、配置されている。一方、第2のクランプ部56bは、ワークW”の部分P”と当接するように、配置されている。
【0082】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る加工システム10’の動作について説明する。加工システム10’の動作は、上述の加工システム10と、以下のプロセスにおいて相違する。
【0083】
具体的には、ステップS4において、工作機械制御部40は、第1のクランプ駆動部52aに指令を送り、第1のクランプ部56aを、ワークWの部分P’から離反するように移動させる。
【0084】
次いで、上述のステップS5を実行した後、ステップS6において、工作機械制御部40は、主軸42を動作させ、ワークWの部分P’を加工する。次いで、工作機械制御部40は、第2のクランプ駆動部52bに指令を送り、第2のクランプ部56bを、ワークWの部分P”から離反するように移動させる。
【0085】
次いで、工作機械制御部40は、主軸42を動作させ、ワークWの部分P”を加工する。本実施形態によれば、第1のクランプ部56aが当接していた部分P’と、第2のクランプ部56bが当接していた部分P”とを、ワークW”の姿勢を変えずに順次加工することができる。
【0086】
なお、加工システム10’の動作に関して、ステップS4において、工作機械制御部40は、第1のクランプ部56aおよび第2のクランプ部56bの双方を、ワークWの部分P’、P”から離反するように移動させてもよい。
【0087】
なお、上述の実施形態においては、ロボット制御部16と工作機械制御部40とを別の要素として設けた場合について述べた。しかしながら、これに限らず、ロボット18と工作機械14の各要素とを制御する単一の制御部が設けられてもよい。
【0088】
以上、発明の実施形態を通じて本発明を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、本発明の実施形態の中で説明されている特徴を組み合わせた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得るが、これら特徴の組み合わせの全てが、発明の解決手段に必須であるとは限らない。さらに、上述の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることも当業者に明らかである。
【0089】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、工程、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」、「次いで」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0090】
10 加工システム
12 ロボットシステム
14 工作機械
16 ロボット制御部
18 ロボット
26、26’ ロボットハンド
40 工作機械制御部
46,46’,46” ワーク受け部
48,48a,48b クランプ機構
52,52a,52b クランプ駆動部
54,54a,54b クランプアーム
56,56a,56b クランプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10