特許第6251337号(P6251337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6251337
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】携帯端末、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20171211BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20171211BHJP
【FI】
   H04W48/16 110
   H04W48/18
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-155996(P2016-155996)
(22)【出願日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100161089
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100196829
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 言一
(72)【発明者】
【氏名】西山 真司
(72)【発明者】
【氏名】安田 明弘
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亮
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−217266(JP,A)
【文献】 特開2010−35051(JP,A)
【文献】 特開2003−348648(JP,A)
【文献】 特開2010−273318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ周波数帯域の異なる報知情報を継続的に送信する複数の基地局の内の何れかと無線通信を確立することによりネットワークと接続する携帯端末であって、
前記携帯端末が無線通信可能な複数の周波数帯域を記憶する記憶部と、
各基地局から送信される各報知情報を受信する受信部と、
前記受信部の受信周波数帯域を、所定の順序に従って、前記記憶部に記憶された各周波数帯域に変更して、変更した各周波数帯域の報知情報を前記受信部に受信させる周波数帯域変更処理を定期的に実行する周波数帯域変更部と、
前記周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、次の前記周波数帯域変更処理における、前記第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の順序を変更する順序変更部と、
前記周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が前記第1の基準と異なる第2の基準を満たす場合、前記第2の基準を満たす報知情報を送信した基地局を、無線通信を確立する基地局に決定する決定部と、
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記順序変更部は、前記第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域を、前記第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域より優先させるように、前記順序を変更する、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
周波数特性を変更可能であり、且つ、前記複数の周波数帯域の信号に対応した無線回路と、
前記周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が前記第1の基準を満たす場合、前記第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域における前記無線回路の周波数特性を変更する周波数特性変更部と、をさらに有する請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記周波数特性変更部は、前記第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の信号の増幅率が前記第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域の信号の増幅率より大きくなるように、又は、前記第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の信号の減衰率が前記第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域の信号の減衰率より小さくなるように、前記無線回路の周波数特性を変更する、請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
エリア毎に無線通信可能な周波数帯域を記憶するサーバと通信を行い、
前記携帯端末が存在する位置を検出する位置検出部と、
前記携帯端末が存在する位置を前記サーバに送信し、前記携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を前記サーバから取得する周波数帯域取得部と、をさらに有し、
前記周波数特性変更部は、前記周波数帯域取得部が前記サーバから前記携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を取得した場合、前記周波数帯域変更処理において受信した前記サーバから取得した周波数帯域の報知情報の電波品質又は電界強度が前記第1の基準を満たすか否かに関わらず、前記サーバから取得した周波数帯域における前記無線回路の周波数特性を変更する、請求項3または4に記載の携帯端末。
【請求項6】
エリア毎に無線通信可能な周波数帯域を記憶するサーバと通信を行い、
前記携帯端末が存在する位置を検出する位置検出部と、
前記携帯端末が存在する位置を前記サーバに送信し、前記携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を前記サーバから取得する周波数帯域取得部と、
周波数特性を変更可能であり、且つ、前記複数の周波数帯域の信号に対応した無線回路と、
前記周波数帯域取得部が取得した周波数帯域における前記無線回路の周波数特性を変更する周波数特性変更部と、をさらに有する請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記周波数特性変更部は、前記携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域の信号の増幅率が他の周波数帯域の信号の増幅率より大きくなるように、又は、前記携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域の信号の減衰率が他の周波数帯域の信号の減衰率より小さくなるように、前記無線回路の周波数特性を変更する、請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記周波数特性変更部は、前記位置検出部が前記携帯端末が存在する位置を検出できない場合、又は、前記周波数帯域取得部が前記サーバから前記携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を取得できない場合、前記周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が前記第1の基準を満たすか否かに基づいて、前記無線回路の周波数特性を変更する、請求項6または7に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記第2の基準は、前記第1の基準より厳格な基準である、請求項1〜8の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項10】
記憶部及び受信部を有し、それぞれ周波数帯域の異なる報知情報を継続的に送信する複数の基地局の内の何れかと無線通信を確立することによりネットワークと接続する携帯端末の制御方法であって、
前記携帯端末が無線通信可能な複数の周波数帯域を前記記憶部に記憶し、
前記受信部の受信周波数帯域を、所定の順序に従って、前記記憶部に記憶された各周波数帯域に変更して、変更した各周波数帯域の報知情報を前記受信部に受信させる周波数帯域変更処理を定期的に実行し、
前記周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、次の前記周波数帯域変更処理における、前記第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の順序を変更し、
前記周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が前記第1の基準と異なる第2の基準を満たす場合、前記第2の基準を満たす報知情報を送信した基地局を、無線通信を確立する基地局に決定する、
ことを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
記憶部及び受信部を有し、それぞれ周波数帯域の異なる報知情報を継続的に送信する複数の基地局の内の何れかと無線通信を確立することによりネットワークと接続する携帯端末の制御プログラムであって、
前記携帯端末が無線通信可能な複数の周波数帯域を前記記憶部に記憶し、
前記受信部の受信周波数帯域を、所定の順序に従って、前記記憶部に記憶された各周波数帯域に変更して、変更した各周波数帯域の報知情報を前記受信部に受信させる周波数帯域変更処理を定期的に実行し、
前記周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、次の前記周波数帯域変更処理における、前記第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の順序を変更し、
前記周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が前記第1の基準と異なる第2の基準を満たす場合、前記第2の基準を満たす報知情報を送信した基地局を、無線通信を確立する基地局に決定する、
ことを前記携帯端末に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と無線通信を確立する携帯端末、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯端末は、様々な地域で利用されることを想定して、複数の基地局のそれぞれとの無線通信を確立できるように、複数の周波数帯域をサポートしている。携帯端末は、基地局との無線通信を確立する際、基地局のサーチ(周波数サーチ)を実行し、受信品質又は受信電界が最も高い信号を送信している基地局を選択し、選択した基地局との無線通信を確立する。
【0003】
例えば、特許文献1には、セルサーチ(バンドサーチ)を行う携帯端末が開示されている。この携帯端末は、在圏セル及び周辺セルの受信レベルを測定し、利用可能な周波数及び移行先候補のセルを検出し、移行先候補のセルの中から、予め保存しているテーブルを参照することで、利用可能なネットワークを選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−104966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、携帯端末は、無線通信可能な周波数帯域として多数の周波数帯域をサポートしており、各周波数帯域について順次周波数サーチを実行すると、基地局を検出するまでに多大な時間を要する。携帯端末では、より短時間に通信接続できるように、無線通信を確立する対象の基地局をより短時間に検出することが望まれている。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決すべくなされたものであり、無線通信可能な周波数帯域として複数の周波数帯域をサポートする携帯端末において、無線通信を確立する対象の基地局をより短時間に検出することを可能とする携帯端末、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯端末は、それぞれ周波数帯域の異なる報知情報を継続的に送信する複数の基地局の内の何れかと無線通信を確立することによりネットワークと接続する携帯端末であって、携帯端末が無線通信可能な複数の周波数帯域を記憶する記憶部と、各基地局から送信される各報知情報を受信する受信部と、受信部の受信周波数帯域を、所定の順序に従って、記憶部に記憶された各周波数帯域に変更して、変更した各周波数帯域の報知情報を受信部に受信させる周波数帯域変更処理を定期的に実行する周波数帯域変更部と、周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、次の周波数帯域変更処理における、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の順序を変更する順序変更部と、周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準と異なる第2の基準を満たす場合、第2の基準を満たす報知情報を送信した基地局を、無線通信を確立する基地局に決定する決定部と、を有する。
【0008】
また、本発明に係る携帯端末において、順序変更部は、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域を、第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域より優先させるように、順序を変更することが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る携帯端末において、周波数特性を変更可能であり、且つ、複数の周波数帯域の信号に対応した無線回路と、周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域における無線回路の周波数特性を変更する周波数特性変更部と、をさらに有することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る携帯端末において、周波数特性変更部は、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の信号の増幅率が第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域の信号の増幅率より大きくなるように、又は、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の信号の減衰率が第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域の信号の減衰率より小さくなるように、無線回路の周波数特性を変更することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る携帯端末において、エリア毎に無線通信可能な周波数帯域を記憶するサーバと通信を行い、携帯端末が存在する位置を検出する位置検出部と、携帯端末が存在する位置をサーバに送信し、携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域をサーバから取得する周波数帯域取得部と、をさらに有し、周波数特性変更部は、周波数帯域取得部がサーバから携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を取得した場合、周波数帯域変更処理において受信したサーバから取得した周波数帯域の報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たすか否かに関わらず、サーバから取得した周波数帯域における無線回路の周波数特性を変更することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る携帯端末において、エリア毎に無線通信可能な周波数帯域を記憶するサーバと通信を行い、携帯端末が存在する位置を検出する位置検出部と、携帯端末が存在する位置をサーバに送信し、携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域をサーバから取得する周波数帯域取得部と、周波数特性を変更可能であり、且つ、複数の周波数帯域の信号に対応した無線回路と、周波数帯域取得部が取得した周波数帯域における無線回路の周波数特性を変更する周波数特性変更部と、をさらに有することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る携帯端末において、周波数特性変更部は、携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域の信号の増幅率が他の周波数帯域の信号の増幅率より大きくなるように、又は、携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域の信号の減衰率が他の周波数帯域の信号の減衰率より小さくなるように、無線回路の周波数特性を変更することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る携帯端末において、周波数特性変更部は、位置検出部が携帯端末が存在する位置を検出できない場合、又は、周波数帯域取得部がサーバから携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を取得できない場合、周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たすか否かに基づいて、無線回路の周波数特性を変更することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る携帯端末において、第2の基準は、第1の基準より厳格な基準であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る制御方法は、記憶部及び受信部を有し、それぞれ周波数帯域の異なる報知情報を継続的に送信する複数の基地局の内の何れかと無線通信を確立することによりネットワークと接続する携帯端末の制御方法であって、携帯端末が無線通信可能な複数の周波数帯域を記憶部に記憶し、受信部の受信周波数帯域を、所定の順序に従って、記憶部に記憶された各周波数帯域に変更して、変更した各周波数帯域の報知情報を受信部に受信させる周波数帯域変更処理を定期的に実行し、周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、次の周波数帯域変更処理における、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の順序を変更し、周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準と異なる第2の基準を満たす場合、第2の基準を満たす報知情報を送信した基地局を、無線通信を確立する基地局に決定することを含む。
【0017】
本発明に係る制御プログラムは、記憶部及び受信部を有し、それぞれ周波数帯域の異なる報知情報を継続的に送信する複数の基地局の内の何れかと無線通信を確立することによりネットワークと接続する携帯端末の制御プログラムであって、携帯端末が無線通信可能な複数の周波数帯域を記憶部に記憶し、受信部の受信周波数帯域を、所定の順序に従って、記憶部に記憶された各周波数帯域に変更して、変更した各周波数帯域の報知情報を受信部に受信させる周波数帯域変更処理を定期的に実行し、周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、次の周波数帯域変更処理における、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の順序を変更し、周波数帯域変更処理において受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準と異なる第2の基準を満たす場合、第2の基準を満たす報知情報を送信した基地局を、無線通信を確立する基地局に決定することを携帯端末に実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るサーバ、携帯端末、制御方法及び制御プログラムは、無線通信可能な周波数帯域として複数の周波数帯域をサポートする携帯端末において、無線通信を確立する対象の基地局をより短時間に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】通信システム1による処理の一例を説明するための模式図である。
図2】通信システム1の概略構成の一例を示す図である。
図3】携帯端末2の概略構成の一例を示す図である。
図4】通信部21の概略構成の一例を示す図である。
図5】周波数テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図6】サーバ4の概略構成の一例を示す図である。
図7】サーチ処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】通信システム1による処理の他の例を説明するための模式図である。
図9】サーチ処理の動作の他の例を示すフローチャートである。
図10】通信システム1による処理の更に他の例を説明するための模式図である。
図11】エリアテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図12】サーチ処理の動作の更に他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る通信システム1による処理の一例を説明するための模式図である。
【0022】
通信システム1は、携帯端末2及び複数の基地局3a、3bを有する。携帯端末2は、複数の基地局3a、3bの内の何れかと無線通信を確立することによりネットワークと接続する。携帯端末2は、例えば、「スマートフォン」と呼ばれる多機能携帯電話機又はフィーチャーフォンと呼ばれる携帯電話機であるが、データ通信専用の機器であってもよく、そのデータ通信専用の機器は、携帯型でも据え置き型でもよい。基地局3a、3bは、携帯端末2が自局を検出できるように、それぞれ周波数帯域の異なる報知情報を継続的に送信する。
【0023】
携帯端末2は、無線通信可能な複数の周波数帯域を、サーチ順序及びサーチ状態と関連付けて記憶しており、記憶したサーチ順序に従って周波数サーチ(周波数帯域変更処理)を定期的に実行する。携帯端末2は、周波数サーチにおいて、記憶したサーチ順序に従って受信周波数帯域を、記憶している各周波数帯域に変更しながら、変更した各周波数帯域の報知情報を受信し、受信した各報知情報の電波品質又は電界強度を測定する。携帯端末2は、測定した電波品質又は電界強度が一定の基準を満たす場合、その周波数帯域の報知情報を送信する基地局が周辺に存在する可能性が高いと判定し、その周波数帯域のサーチ順序をより優先させるように、以降の周波数サーチにおけるサーチ順序を変更する。また、携帯端末2は、測定した電波品質又は電界強度が第2の基準を満たす場合、周波数帯域の報知情報を送信した基地局が周辺に存在すると判定し、その基地局との無線通信を確立する。第2の基準は第1の基準とは異なる基準であり、第1の基準より厳格な基準である。
【0024】
図1に示す例では、携帯端末2は、基地局3aから受信した報知情報の周波数帯域Bのサーチ順序、及び、基地局3bから受信した報知情報の周波数帯域Cのサーチ順序を他の周波数帯域Aのサーチ順序より優先させるように、サーチ順序を変更している。
【0025】
このように、携帯端末2は、周辺に存在する可能性が高い基地局に対応する周波数帯域を優先させるようにサーチ順序を変更しながら周波数サーチを実行する。したがって、携帯端末2は、無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続することが可能となる。なお、携帯端末2は、特定の基地局との無線通信を確立した後も周波数サーチを実行し続ける。したがって、携帯端末2は、例えば利用者が移動して、無線通信を確立している基地局と通信できない状態になった場合でも、新たに無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続を復旧することが可能となる。
【0026】
図2は、実施形態に従った通信システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0027】
通信システム1は、携帯端末2、複数の基地局3a、3b及びサーバ4等を有する。
【0028】
通信システム1では、各基地局3a、3bが、特定の地域内をカバーする無線エリアを管理するように配置され、携帯電話の移動体通信網5に含まれる不図示の無線ネットワーク制御装置を介して不図示の交換機に接続される。その特定の地域内の携帯端末2は、基地局3a、3b、移動体通信網5に接続され、その地域内外の他の携帯端末と通信を行う。さらに、携帯端末2は、ゲートウェイ6を介して、インターネット等のネットワーク7に接続され、サーバ4等と通信を行う。なお、以下では、各基地局3a、3bをまとめて基地局3と称する場合がある。
【0029】
基地局3は、無線エリア内に位置する各携帯端末2との間で無線信号を送受信し、不図示の無線ネットワーク制御装置を介して、各携帯端末2と不図示の交換機との間の通信を中継する装置である。各基地局3は、それぞれ周波数帯域の異なる、各基地局3がサポートする周波数帯域の報知情報を継続的に送信(ブロードキャスト)する。
【0030】
図3は、携帯端末2の概略構成の一例を示す図である。
【0031】
携帯端末2は、基地局3のサーチ、通話、所定のアプリケーションプログラムの実行等を可能とする。そのために、携帯端末2は、通信部21と、操作部22と、表示部23と、位置検出部24と、記憶部25と、制御部26とを備える。
【0032】
通信部21は、例えば2.1GHz帯等の帯域を感受帯域とするアンテナを含む、通信インターフェース回路を有する。通信部21は、基地局3a、3b及び移動体通信網5を介して、その地域内外の他の携帯端末と通信を行い、さらにゲートウェイ6及びネットワーク7を介してサーバ4と通信を行う。通信部21は、基地局3により割り当てられるチャネルを介して、基地局3の内の何れかとの間でW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式等による無線通信を確立し、基地局3との間で通信を行う。なお、基地局3との間の通信方式は、W−CDMA方式に限定されず、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、LTE(Long Term Evolution)方式等の他の通信方式でもよく、今後使用される通信方式でもよい。また、基地局3との間の通信方式は、PHS(Personal Handy-phone System)等の他の通信方式でもよい。通信部21は、基地局3から受信したデータを制御部26に供給し、制御部26から供給されたデータを基地局3に送信する。
【0033】
操作部22は、携帯端末2の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル式の入力装置、キーパッド等である。利用者は、操作部22を用いて、文字、数字等を入力することができる。操作部22は、利用者により操作されると、その操作に対応する信号を発生する。発生した信号は、利用者の指示として、制御部26に入力される。
【0034】
表示部23は、動画像、静止画像等の出力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル式の表示装置、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等である。表示部23は、制御部26から供給される動画像データに応じた動画像、静止画像データに応じた静止画像等を表示する。
【0035】
位置検出部24は、携帯端末2が現在存在する現在位置を検出する。位置検出部24は、主に1.5GHz帯を感受帯域とするアンテナを含むGPS回路を有し、不図示のGPS衛星からGPS信号を受信する。位置検出部24は、受信したGPS信号をデコードし、時刻情報等を取得する。そして、位置検出部24は、その時刻情報等に基づいてGPS衛星から携帯端末2までの擬似距離を計算し、その擬似距離を代入して得られる連立方程式を解くことにより、携帯端末2が存在する位置(緯度、経度、高度等)を検出し、位置情報として出力する。
【0036】
なお、位置検出部24は、GPSの代わりに、無線LANのアクセスポイントから発信されるビーコン信号の電波強度に基づいて、携帯端末2の現在位置を検出してもよい(いわゆるWiFi測位方式)。その場合、位置検出部24は、少なくとも三つのアクセスポイントから受信したビーコン信号の電波強度に基づいて、各アクセスポイントとの間の距離を推定し、不図示のアクセスポイント位置管理サーバから取得した各アクセスポイントの位置と、推定した距離とから携帯端末2の現在位置を検出する。または、位置検出部24は、携帯電話の基地局から受信したセルID(Identifier)を利用して、携帯端末2の現在位置を検出してもよい(いわゆるセル測位方式)。
【0037】
記憶部25は、例えば、半導体メモリを有する。記憶部25は、制御部26による処理に用いられる各種コンピュータプログラム、データ等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部25にインストールされてもよい。また、記憶部25は、データとして、携帯端末2が無線通信可能な複数の周波数帯域を管理するための周波数帯域テーブル等を記憶する。
【0038】
制御部26は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。制御部26は、携帯端末2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部26は、携帯端末2の各種処理が記憶部25に記憶されているプログラム、操作部22の操作からの出力等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部21、表示部23、位置検出部24等の動作を制御する。
【0039】
制御部26は、周波数帯域変更部261、順序変更部262、決定部263、周波数特性変更部264及び周波数帯域取得部265等を有する。制御部26が有するこれらの各部は、制御部26が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、制御部26が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして携帯端末2に実装されてもよい。
【0040】
図4は、通信部21の概略構成の一例を示す図である。
【0041】
通信部21は、アンテナ211と、送信部212と、無線回路213と、受信部214と、を備える。
【0042】
アンテナ211は、携帯端末2が無線通信可能な複数の周波数帯域の信号を基地局3との間で送受信する。
【0043】
送信部212は、制御部26から供給されたデータをアンテナ211及び無線回路213を介して基地局3に送信する。
【0044】
無線回路213は、携帯端末2が無線通信可能な複数の周波数帯域の信号に対応し、それぞれ一又は複数のインピーダンス変更モジュール、切替器、フィルタ及び増幅器等を有する。無線回路213は、アンテナ211を介して基地局3から受信した特定の周波数帯域の信号を受信部214に供給するとともに、送信部212からの信号を、携帯端末2及び基地局3がサポートする周波数帯域の信号に変換し、アンテナ211を介して基地局3に送信する。
【0045】
インピーダンス変更モジュールは、無線回路213のインピーダンス値とアンテナ211のインピーダンス値を整合させるモジュールであり、制御部26からの制御により、その設定値を変更可能である。切替器は、無線回路213の入出力端と、インピーダンス変更モジュールと、各フィルタと、各増幅器の間の経路を切り替えるスイッチであり、制御部26からの制御により、その経路を変更可能である。各フィルタは、携帯端末2が無線通信可能な一又は複数の周波数帯域の信号を通過させるフィルタであり、可変コンデンサ、可変抵抗又は可変インダクタ等の部品を有し、制御部26からの制御により、その通過周波数帯域を変更可能である。増幅器は、各フィルタに入力する信号又は各フィルタが出力した信号を増幅させるアンプであり、制御部26からの制御により、その増幅率を変更可能である。
【0046】
このように、無線回路213は、制御部26からの制御により、その周波数特性を変更可能である。特に、無線回路213は、複数の周波数帯域の内、一つの周波数帯域の信号のみを通過させるように設定され得ることに加えて、二つ以上の周波数帯域の信号を同時に通過させるように設定され得る。その場合、無線回路213は、通過させる全ての周波数帯域の周波数特性が略均一になるように設定される。または、無線回路213は、通過させる周波数帯域の内、特定の周波数帯域の周波数特性(出力)が高くなり、他の周波数帯域の周波数特性(出力)が低くなるように設定されてもよい。
【0047】
受信部214は、アンテナ211及び無線回路213を介して、各基地局3から送信される各周波数帯域の信号を受信し、制御部26へ供給する。各基地局3から送信される各周波数帯域の信号には、報知情報が含まれる。
【0048】
図5は、周波数帯域テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0049】
図5に示すように、周波数帯域テーブルには、携帯端末2が無線通信可能な複数の周波数帯域が記憶され、各周波数帯域のサーチ順序及びサーチ状態等が記憶される。サーチ順序は、制御部26が周波数サーチを順次実行する周波数帯域の順序である。携帯端末2の電源起動時の初期値は、任意に設定されている。サーチ状態は、周波数サーチにおける検出結果であり、「未検出」、「可能性あり」、「検出」等の各状態を示す。携帯端末2の電源起動時のサーチ状態の初期値は「未検出」である。
【0050】
図6は、サーバ4の概略構成の一例を示す図である。
【0051】
サーバ4は、複数のエリア毎に、各エリアに配置された基地局3を管理するサーバであり、ネットワーク7を介して携帯端末2と接続される。そのために、サーバ4は、サーバ通信部41と、サーバ記憶部42と、サーバ制御部43とを備える。
【0052】
サーバ通信部41は、サーバ4をネットワーク7に接続するための通信インターフェース回路を有する。サーバ通信部41は、ネットワーク7を介して携帯端末2等から受信したデータをサーバ制御部43に供給し、サーバ制御部43から受信したデータをネットワーク7を介して携帯端末2に送信する。
【0053】
サーバ記憶部42は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置の内の少なくとも一つを有する。サーバ記憶部42は、サーバ制御部43による処理に用いられる各種コンピュータプログラム、データ等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いてサーバ記憶部42にインストールされてもよい。
【0054】
サーバ制御部43は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。サーバ制御部43は、サーバ4の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。サーバ制御部43は、サーバ4の各種処理がサーバ記憶部42に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、サーバ通信部41等の動作を制御する。なお、サーバ制御部43は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとしてサーバ4に実装されてもよい。
【0055】
図7は、携帯端末2によるサーチ処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0056】
以下に説明するフローチャートは、予め記憶部25に記憶されているプログラムに基づいて、主に制御部26により、携帯端末2の各要素と協働して実行される。このフローチャートは、携帯端末2の電源起動直後又は任意のタイミングに実行される。また、このフローチャートが実行される前に、周波数帯域テーブルにおいて各周波数帯域のサーチ順序及びサーチ状態は初期値に設定されているものとする。
【0057】
最初に、周波数帯域変更部261は、各周波数帯域に対する周波数サーチ(周波数帯域変更処理)を実行する(ステップS101)。周波数帯域変更部261は、周波数サーチにおいて、受信部214の受信周波数帯域を、周波数帯域テーブルに記憶されたサーチ順序に従って、周波数帯域テーブルに記憶された各周波数帯域に変更して、変更した各周波数帯域の報知情報を受信部214に受信させる。
【0058】
周波数帯域変更部261は、周波数帯域テーブルを参照して各周波数帯域のサーチ順序を特定しておく。周波数帯域変更部261は、最初にステップS101の処理を実行する際には、サーチ順序が1番目である周波数帯域を特定する。周波数帯域変更部261は、無線回路213が有する各モジュールの内の少なくとも一つのモジュールに対して設定を行うことにより、通過周波数帯域(受信部214の受信周波数帯域及び送信部212の送信周波数帯域)を、特定した周波数帯域に設定する。そして、周波数帯域変更部261は、その周波数帯域における電波強度を測定する。測定した電波強度が所定強度値以上である場合、周波数帯域変更部261は、設定した周波数帯域の報知情報を受信部214が受信するまで(一定期間)待機する。
【0059】
以降、周波数帯域変更部261は、ステップS101の処理を実行する際に、サーチ順序が2番目以降である周波数帯域を順次特定する。また、周波数帯域変更部261は、サーチ順序が最後である周波数帯域まで特定すると、再度、周波数帯域テーブルを参照して各周波数帯域のサーチ順序を特定しなおし、サーチ順序が一番目である周波数帯域を特定する。そして、周波数帯域変更部261は、受信部214の受信周波数帯域及び送信部212の送信周波数帯域を、特定した周波数帯域に設定し、その周波数帯域における電波強度を測定する。測定した電波強度が電波強度閾値以上である場合、周波数帯域変更部261は、設定した周波数帯域の報知情報を受信部214が受信するまで(一定期間)待機する。
【0060】
次に、順序変更部262は、受信部214が報知情報を受信したか否かを判定する(ステップS102)。
【0061】
設定した周波数帯域における電波強度が電波強度閾値未満であった場合、又は、一定期間経過しても受信部214が報知情報を受信しなかった場合、順序変更部262は、処理をステップS101に戻す。
【0062】
一方、受信部214が報知情報を受信した場合、順序変更部262は、受信部214が受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たすか否かを判定する(ステップS103)。例えば、順序変更部262は、報知情報の電波品質を表す電波品質値が第1電波品質閾値以上である場合、第1の基準を満たすと判定し、電波品質値が第1電波品質閾値未満である場合、第1の基準を満たさないと判定する。または、順序変更部262は、報知情報の電界強度を表す電界強度値が第1電界強度閾値以上である場合、第1の基準を満たすと判定し、電界強度値が第1電界強度閾値未満である場合、第1の基準を満たさないと判定する。
【0063】
報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たさない場合、順序変更部262は、処理をステップS105へ移行する。
【0064】
一方、報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、順序変更部262は、周波数帯域テーブルにおいて、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域のサーチ順序を変更する(ステップS104)。例えば、順序変更部262は、周波数帯域テーブルにおいて、その周波数帯域に対応するサーチ順序が所定数分だけ高く(前に)なるように、各周波数帯域に対応するサーチ順序を変更する。または、順序変更部262は、周波数帯域テーブルにおいて、その周波数帯域に対応するサーチ順序が一番目になるように、各周波数帯域に対応するサーチ順序を変更する。即ち、順序変更部262は、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域を、第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域より優先させるように、サーチ順序を変更する。このように、順序変更部262は、報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、次の周波数サーチにおける、その第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域のサーチ順序を変更する。また、順序変更部262は、周波数帯域テーブルにおいて、その周波数帯域に対応するサーチ状態を「可能性あり」に変更する。
【0065】
次に、決定部263は、受信部214が受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第2の基準を満たすか否かを判定する(ステップS105)。第2の基準は、第1の基準より厳格な基準である。例えば、決定部263は、報知情報の電波品質を表す電波品質値が、第1電波品質閾値より大きい第2電波品質閾値以上である場合、第2の基準を満たすと判定し、電波品質値が第2電波品質閾値未満である場合、第2の基準を満たさないと判定する。または、決定部263は、報知情報の電界強度を表す電界強度値が、第1電界強度閾値より大きい第2電界強度閾値以上である場合、第2の基準を満たすと判定し、電界強度値が第2電界強度閾値未満である場合、第2の基準を満たさないと判定する。
【0066】
報知情報の電波品質又は電界強度が第2の基準を満たさない場合、決定部263は、処理をステップS101へ移行する。
【0067】
一方、報知情報の電波品質又は電界強度が第2の基準を満たす場合、決定部263は、その第2の基準を満たす報知情報を送信した基地局を、無線通信を確立する基地局に決定し、その基地局との無線通信を確立し(ステップS106)、処理をステップS101へ移行する。また、順序変更部262は、周波数帯域テーブルにおいて、その周波数帯域に対応するサーチ状態を「検出」に変更する。
【0068】
処理をステップS101へ移行すると、周波数帯域変更部261は、次のサーチ順序の周波数帯域を特定し、再度、特定した周波数帯域について周波数サーチを実行する。このように、周波数帯域変更部261は、周波数サーチを定期的に実行する。
【0069】
以上説明してきたように、携帯端末2は、周辺に存在する可能性が高い基地局に対応する周波数帯域を優先させるようにサーチ順序を変更しながら周波数サーチを実行する。したがって、携帯端末2は、無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続することが可能となる。
【0070】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る通信システム1による処理の一例を説明するための模式図である。
【0071】
第2の実施形態に係る通信システム1の構成は、第1の実施形態に係る通信システム1の構成と同様である。但し、携帯端末2は、周波数サーチにおいて受信した周波数帯域の報知情報の電波品質又は電界強度が一定の基準を満たす場合、その周波数帯域の報知情報を送信する基地局が周辺に存在する可能性が高いと判定し、その周波数帯域の信号を他の周波数帯域の信号より良好に受信できるように、無線回路213の周波数特性を変更する。
【0072】
図8に示す例では、携帯端末2は、基地局3aから受信した報知情報の周波数帯域Bの周波数特性、及び、基地局3bから受信した報知情報の周波数帯域Cの周波数特性が他の周波数帯域Aの周波数特性より高くなるように、無線回路213の周波数特性を変更している。
【0073】
これにより、携帯端末2は、周辺に存在する可能性が高い基地局が送信する周波数帯域の報知情報をより良好に受信できる。したがって、携帯端末2は、無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続することが可能となる。さらに、携帯端末2は、接続率及び実効スループットを向上させるとともに、通信可能エリアを拡大させることも可能となる。なお、携帯端末2は、特定の基地局との無線通信を確立した後も周波数サーチを実行し続ける。したがって、携帯端末2は、例えば利用者が移動して、無線通信を確立している基地局と通信できない状態になった場合でも、新たに無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続を復旧することが可能となる。
【0074】
図9は、第2の実施形態に係る携帯端末2によるサーチ処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0075】
以下に説明するフローチャートは、予め記憶部25に記憶されているプログラムに基づいて、主に制御部26により、携帯端末2の各要素と協働して実行される。このフローチャートは、携帯端末2の電源起動直後又は任意のタイミングに実行される。また、このフローチャートが実行される前に、無線回路213において携帯端末2が無線通信可能な各周波数帯域の周波数特性は略均一になるように設定されているものとする。
【0076】
図9に示したフローチャートのステップS201〜S203、S205〜S206の処理は、図7に示したフローチャートのステップS101〜S103、S105〜S106の処理と同様であるため説明を省略し、ステップS204の処理についてのみ説明する。
【0077】
ステップS204において、受信部214が受信した周波数帯域の報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、周波数特性変更部264は、その第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域における無線回路213の周波数特性を変更する。周波数特性変更部264は、無線回路213が有する各モジュールの内の少なくとも一つのモジュールの設定を変更することにより、無線回路213の周波数特性を変更する。例えば、周波数特性変更部264は、その周波数帯域の周波数特性(出力)が、他の周波数帯域の周波数特性(出力)より高くなるように無線回路213の周波数特性を変更する。例えば、周波数特性変更部264は、その周波数帯域の周波数特性(出力)を増大させ、他の周波数帯域の周波数特性(出力)を低減させる。
【0078】
即ち、周波数特性変更部264は、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の信号の増幅率が第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域の信号の増幅率より大きくなるように無線回路213の周波数特性を変更する。または、周波数特性変更部264は、第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の信号の減衰率が第1の基準を満たさない報知情報に係る周波数帯域の信号の減衰率より小さくなるように無線回路213の周波数特性を変更する。このように、周波数特性変更部264は、報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たすか否かに基づいて、以降の周波数サーチにおける無線回路213の周波数特性を変更する。
【0079】
以上説明してきたように、携帯端末2は、周辺に存在する可能性が高い基地局に対応する周波数帯域を優先させるように以降の周波数サーチにおける無線回路213の周波数特性を変更する。したがって、携帯端末2は、無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続することが可能となる。さらに、携帯端末2は、接続率及び実効スループットを向上させるとともに、通信可能エリアを拡大させることも可能となる。
【0080】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る通信システム1による処理の一例を説明するための模式図である。
【0081】
第3の実施形態に係る通信システム1の構成は、第1の実施形態に係る通信システム1の構成と同様である。但し、サーバ4は、各基地局3が配置されたエリアを記憶して、エリア毎に無線通信可能な周波数帯域を記憶している。携帯端末2は、自端末が存在する位置を検出し、その位置において無線通信可能な周波数帯域をサーバ4から取得し、その周波数帯域の信号を他の周波数帯域の信号より良好に受信できるように、無線回路213の周波数特性を変更する。
【0082】
図10に示す例では、携帯端末2は、サーバ4から取得した周波数帯域Bの周波数特性が他の周波数帯域A、Cの周波数特性より高くなるように、無線回路213の周波数特性を変更している。
【0083】
一般に、携帯端末2が使用すべき最適な周波数帯域はエリア(特に、都市部であるか郊外であるか田舎であるか等)によって異なる。そのため、エリア毎に最適な周波数帯域をサーバ4に予め登録しておくことにより、携帯端末2は、受信周波数帯域及び送信周波数帯域を、自装置が存在するエリアにおいて最適な周波数帯域に設定することが可能となる。したがって、携帯端末2は、無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続することが可能となる。さらに、携帯端末2は、接続率及び実効スループットを向上させるとともに、通信可能エリアを拡大させることも可能となる。なお、携帯端末2は、特定の基地局との無線通信を確立した後も周波数サーチを実行し続ける。したがって、携帯端末2は、例えば利用者が移動して、無線通信を確立している基地局と通信できない状態になった場合でも、新たに無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続を復旧することが可能となる。
【0084】
図11は、サーバ4のサーバ記憶部42に記憶されるエリアテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0085】
図11に示すように、エリアテーブルには、各エリア毎に、各エリアの属性及び周波数帯域等が記憶される。各エリアの属性として、都市部、郊外、田舎、山間部等の情報が記憶される。各エリアは、例えば緯度及び経度の範囲により規定される。周波数帯域は、各エリアにおいて無線通信可能な周波数帯域、即ち各エリアに配置された基地局が送受信する信号の周波数帯域を示す。
【0086】
図12は、第3の実施形態に係る通信システム1による周波数特性変更処理に係る動作シーケンスの一例を示す。
【0087】
以下に説明する動作シーケンスは、予め記憶部25及びサーバ記憶部32に記憶されているプログラムに基づいて、主に制御部26及びサーバ処理部33により、携帯端末2及びサーバ4の各要素と協働して実行される。また、この動作シーケンスが実行される前に、無線回路213において携帯端末2が無線通信可能な各周波数帯域の周波数特性は略均一になるように設定されているものとする。
【0088】
最初に、携帯端末2の周波数帯域取得部265は、位置検出部24に、現在、携帯端末2が存在する位置(緯度、経度、高度等)を検出させ、位置検出部24が出力した位置情報を取得する(ステップS301)。
【0089】
次に、周波数帯域取得部265は、取得した位置情報を通信部21を介してサーバ4に送信する(ステップS302)。なお、携帯端末2と基地局3の間の無線通信が確立していない場合、周波数帯域取得部265は、不図示の無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを介して位置情報をサーバ4に送信してもよい。その場合、携帯端末2は、無線LANのアクセスポイントとの間でIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11規格の無線通信方式等に基づいて無線通信を行う。
【0090】
次に、サーバ4のサーバ制御部43は、サーバ通信部41を介して携帯端末2から位置情報を受信すると、エリアテーブルを参照して、受信した位置情報に示される位置が含まれるエリアを特定し、特定したエリアにおいて無線通信可能な周波数帯域を特定する(ステップS303)。
【0091】
次に、サーバ制御部43は、特定した周波数帯域を示す周波数帯域情報をサーバ通信部41を介して携帯端末2に送信する(ステップS304)。一方、周波数帯域取得部265は、通信部21を介してサーバ4から周波数帯域情報を受信して、携帯端末2が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を取得する。
【0092】
次に、周波数特性変更部264は、周波数帯域取得部265が取得した周波数帯域における無線回路213の周波数特性を変更する(ステップS305)。周波数特性変更部264は、無線回路213が有する各モジュールの内の少なくとも一つのモジュールの設定を変更することにより、無線回路213の周波数特性を変更する。例えば、周波数特性変更部264は、その周波数帯域の周波数特性(出力)が、他の周波数帯域の周波数特性(出力)より高くなるように無線回路213の周波数特性を変更する。例えば、周波数特性変更部264は、その周波数帯域の周波数特性(出力)を増大させ、他の周波数帯域の周波数特性(出力)を低減させる。
【0093】
即ち、周波数特性変更部264は、携帯端末2が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域の信号の増幅率が他の周波数帯域の信号の増幅率より大きくなるように無線回路213の周波数特性を変更する。または、周波数特性変更部264は、携帯端末が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域の信号の減衰率が他の周波数帯域の信号の減衰率より小さくなるように無線回路213の周波数特性を変更する。
【0094】
以上説明してきたように、携帯端末2は、周辺に存在する基地局に対応する周波数帯域を優先させるように以降の周波数サーチにおける無線回路213の周波数特性を変更する。したがって、携帯端末2は、無線通信を確立できる基地局をより短時間に検出することが可能となり、より短時間に通信接続することが可能となる。さらに、携帯端末2は、接続率及び実効スループットを向上させるとともに、通信可能エリアを拡大させることも可能となる。また、通信システム1の提供者(運用者)は、エリア毎に最適な周波数帯域をサーバ4に予め登録しておくことにより、各携帯端末2の受信周波数特性を、その最適な周波数帯域に強制的に変更させることも可能となる。
【0095】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されない。例えば、通信システム1は、第1の実施形態、第2の実施形態又は第3の実施形態の内の二つ以上の実施形態に係る処理を同時に実行してもよい。
【0096】
例えば、図7のステップS104において、順序変更部262が周波数帯域テーブルのサーチ順序を変更したときに、周波数特性変更部264が図9のステップS204に示した無線回路213の周波数特性の変更処理を実行してもよい。また、携帯端末2は、図7のフローチャートを実行しつつ、図12の動作シーケンスを実行してもよい。
【0097】
また、第2の実施形態及び第3の実施形態に係る処理が同時に実行される場合、例えば、携帯端末2は、基地局3から受信した報知情報に基づく判定結果よりも、携帯端末2の位置情報に基づく判定結果を優先させる。
【0098】
例えば、周波数特性変更部264は、周波数帯域取得部265がサーバ4から携帯端末2が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を取得した場合、周波数サーチにおいて受信した、その周波数帯域の報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たすか否かに関わらず、その周波数帯域における無線回路213の周波数特性を変更する。一方、周波数特性変更部264は、周波数帯域取得部265がサーバ4から携帯端末2が存在する位置において無線通信可能な周波数帯域を取得できない場合、周波数サーチにおいて受信した各報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たすか否かに基づいて、無線回路213の周波数特性を変更する。同様に、周波数特性変更部264は、位置検出部24が携帯端末2が存在する位置を検出できない場合も、受信部214が受信した各報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たすか否かに基づいて、無線回路213の周波数特性を変更する。
【0099】
これにより、携帯端末2は、受信周波数特性を、自端末が存在する位置に応じた最適な周波数帯域に変更しつつ、その位置に応じた最適な周波数帯域が不明である場合は、基地局3からの報知情報に基づいて、受信周波数特性を適切に変更することが可能となる。したがって、通信システム1は、各携帯端末2による通信が切断した場合の復旧時間の短縮、並びに、各携帯端末2の接続率の向上、実効スループットの向上、及び、通信可能エリアの拡大が可能となる。
【0100】
または、携帯端末2は、サーバ4から周波数帯域情報を受信するまでは、周波数サーチにおいて受信した報知情報に基づいて無線回路213の周波数特性を変更し、サーバ4から周波数帯域情報を受信したときに、サーバ4から受信した周波数帯域情報に基づいて無線回路213の周波数特性を変更してもよい。
【0101】
これにより、携帯端末2は、サーバ4から周波数帯域情報を受信するまでに長時間を要する場合に、サーバ4から情報を受信する前に受信周波数特性を調整しつつ、サーバ4からより精度の良い情報を取得し次第、受信周波数特性を調整しなおすことが可能となる。
【0102】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0103】
1 通信システム
2 携帯端末
3 基地局
4 サーバ
21 通信部
24 位置検出部
25 記憶部
261 周波数帯域変更部
262 順序変更部
263 決定部
264 周波数特性変更部
265 周波数帯域取得部
【要約】
【課題】本発明は、無線通信を確立する対象の基地局をより短時間に検出することを可能とする携帯端末等を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯端末2は、無線通信可能な複数の周波数帯域を記憶する記憶部25と、各基地局から送信される各報知情報を受信する受信部214と、受信周波数帯域を所定の順序に従って各周波数帯域に変更して変更した各周波数帯域の報知情報を受信する周波数帯域変更処理を定期的に実行する周波数帯域変更部261と、受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第1の基準を満たす場合、次の周波数帯域変更処理における第1の基準を満たす報知情報に係る周波数帯域の順序を変更する順序変更部262と、受信した報知情報の電波品質又は電界強度が第2の基準を満たす場合、第2の基準を満たす報知情報を送信した基地局を無線通信を確立する基地局に決定する決定部263と、を有する。
【選択図】図1
図1
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図12