特許第6251502号(P6251502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6251502-吸収性物品 図000002
  • 特許6251502-吸収性物品 図000003
  • 特許6251502-吸収性物品 図000004
  • 特許6251502-吸収性物品 図000005
  • 特許6251502-吸収性物品 図000006
  • 特許6251502-吸収性物品 図000007
  • 特許6251502-吸収性物品 図000008
  • 特許6251502-吸収性物品 図000009
  • 特許6251502-吸収性物品 図000010
  • 特許6251502-吸収性物品 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251502
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   A61F13/532 210
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-137710(P2013-137710)
(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公開番号】特開2015-9007(P2015-9007A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】松村 貴史
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−504207(JP,A)
【文献】 特開2011−189067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 −13/84
A61L 15/16 −15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性の表面シートと、裏面シートと、装着時に前記表面シートと前記裏面シートとの間に人体の腹側部から股間部を通って背側部にかけて介装される1層又は複数層の吸収体とを備える吸収性物品において、
前記吸収体の上面、下面又は層間には、吸収シートが設けられ、
前記吸収シートは、透液性の上面シートと、下面シートと、水分を吸収して膨潤する粒状の吸収性材料とを有し、
前記上面シートと前記下面シートは、複数の接合部により接合され、前記吸収性材料は、隣接する前記接合部と、前記上面シート及び前記下面シートとに囲まれた空間に、乾燥状態において移動が規制され、水分の吸収時に前記移動の規制が解除される状態で保持され
前記吸収性材料に隣接して、前記上面シートと前記下面シートとが接合されず、水分の吸収時に前記吸収性材料が移動可能な領域が形成されている吸収性物品。
【請求項2】
複数の前記接合部は、互いに平行であり、前記吸収性材料は、隣接する前記接合部と、前記上面シート及び前記下面シートとに囲まれた筒状の空間に保持されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性材料は、水溶性接着部材により前記上面シート又は前記下面シートの少なくとも一方に固定されて保持されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記筒状の空間のそれぞれの長手方向における複数の位置において、前記上面シートと前記下面シートとが前記吸収性材料の膨潤により剥がれる接着力で接着部材により接着され、前記吸収性材料は、当該接着により区分けされたそれぞれの空間に保持されている請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収体は、前記股間部の幅方向の両側に刳り抜き部を有し、
前記吸収シートは、少なくとも前記刳り抜き部を覆うように設けられ、複数の前記接合部は、前記吸収体の前記刳り抜き部の間に介在する領域に対応する部分に形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
複数の前記接合部の長手方向は、前記吸収性物品の幅方向である請求項5に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おむつや、おむつカバー等の外装体の内側に取り付けられて使用される吸収性物品が知られている。吸収性物品に用いられる吸収体としては、高吸収性ポリマー等の粒状の吸収性材料をパルプ繊維に均一に分布させてホットメルト等で固定したものが使用されている。しかし、このような吸収体を介護用のおむつに使用した場合、着用者は横向き体勢であることが多く、体勢変換を行わない場合等には吸収性材料が使用されず無駄が多い。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、吸収ポリマーがおむつの幅方向のポケットの一端から他端に亘って自由に移動できるように構成し、吸収ポリマーを効率よく活用できるようにした吸収性物品用の吸収シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−131510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の吸収シートでは横向き体勢時はほとんどの吸収ポリマーが下側に移動して排尿時に水分を吸収して膨潤するので、その後に体勢を変更した場合には、吸収ポリマーがポケット内を移動することが困難となり、新たに下側となった領域で十分な吸収性能を確保できなくなり、尿漏れが発生してしまう。吸収ポリマーの無駄も多い。
【0006】
本発明の課題は、吸収性材料の無駄がなく、かつ、効果的に漏れを抑制することができる吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
透液性の表面シートと、裏面シートと、装着時に前記表面シートと前記裏面シートとの間に人体の腹側部から股間部を通って背側部にかけて介装される1層又は複数層の吸収体とを備える吸収性物品において、
前記吸収体の上面、下面又は層間には、吸収シートが設けられ、
前記吸収シートは、透液性の上面シートと、下面シートと、水分を吸収して膨潤する粒状の吸収性材料とを有し、
前記上面シートと前記下面シートは、複数の接合部により接合され、前記吸収性材料は、隣接する前記接合部と、前記上面シート及び前記下面シートとに囲まれた空間に、乾燥状態において移動が規制され、水分の吸収時に前記移動の規制が解除される状態で保持され
前記吸収性材料に隣接して、前記上面シートと前記下面シートとが接合されず、水分の吸収時に前記吸収性材料が移動可能な領域が形成されている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
複数の前記接合部は、互いに平行であり、前記吸収性材料は、隣接する前記接合部と、前記上面シート及び前記下面シートとに囲まれた筒状の空間に保持されている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記吸収性材料は、水溶性接着部材により前記上面シート又は前記下面シートの少なくとも一方に固定されて保持されている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記筒状の空間のそれぞれの長手方向における複数の位置において、前記上面シートと前記下面シートとが前記吸収性材料の膨潤により剥がれる接着力で接着部材により接着され、前記吸収性材料は、当該接着により区分けされたそれぞれの空間に保持されている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、
前記吸収体は、前記股間部の幅方向の両側に刳り抜き部を有し、
前記吸収シートは、少なくとも前記刳り抜き部を覆うように設けられ、複数の前記接合部は、前記吸収体の前記刳り抜き部の間に介在する領域に対応する部分に形成されている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
複数の前記接合部の長手方向は、前記吸収性物品の幅方向である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の吸収性物品によれば、排尿が行われると、吸収シートにおいて排尿位置よりも下側にある吸収性材料は、尿の水分を吸収して限られた空間内で膨潤し、膨潤した吸収性材料同士で互いに反発して押し合うことで移動する。その結果、吸収性材料が存在しなかった領域に新規の吸収領域を形成して吸収性能をもたせることができ、尿の漏れを効果的に抑制することができる。また、予め吸収性材料を配置しておく領域を制限することができ、吸収性材料の無駄を抑制することができる。排尿時に上側に位置していた吸収性材料は、未使用のまま残るので、体勢が変更された場合に使用することができ、吸収性材料を有効活用して無駄を抑えることができる。更に、尿を吸収した吸収性材料が膨潤することによって、接合部の部分に溝が形成されるので、この溝に沿って尿を流れやすくして拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】吸収性物品の装着時の状態の一例を示す斜視図である。
図2図1の吸収性物品の下側の平面展開図である。
図3図1の吸収性物品の上側の平面展開図である。
図4図3のIV−IV線における断面図である。
図5】吸収シートの吸収体に対する位置関係を模式的に示す図である。
図6】吸収シートの平面図である。
図7図6のV−V線における断面図である。
図8】排尿後の吸収シートの平面図である。
図9】排尿後の吸収シートのV−V線における断面図である。
図10】吸収性物品の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0016】
[吸収性物品1の構成]
まず、本発明の実施形態における吸収性物品1の構成について説明する。なお、以下の吸収性物品1の構成説明では、吸収性物品1を展開した状態において、装着時に人体(着用者)の腹側に位置する側を前側、背側に位置する側を後側、着用者と接触する側を上側、着用者と接触する側の反対側を下側とし、前後方向と上下方向との双方に直交する方向を左右方向(幅方向)とする。
また、前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向とする。
【0017】
吸収性物品1は、例えば夜用又は長時間用の尿取りパッドであり、おむつやおむつカバー、パンツなどの人体に装着される外装体(図示省略)に着脱・交換自在に取り付けられて使用される。
【0018】
図1〜4に示すように、吸収性物品1は、装着時に着用者の股間を腹側から背側にかけて覆うように形成されている。
具体的には、吸収性物品1の一方の端部(前端部)が装着時に着用者の腹側に位置する腹側部11を形成し、他方の端部(後端部)が装着時に着用者の背側に位置する背側部12を形成し、腹側部11と背側部12との間が着用者の股間に位置する股間部13を形成する。
背側部12は、前後方向の長さが腹側部11よりも長く形成されていてもよい。これにより、背側部12によって着用者の背側を広く覆うことができる。
また、股間部13の両縁部は、腹側部11から背側部12に亘って、装着時に着用者の脚周りに位置する二つの脚周り部14,14を形成する。脚周り部14,14には、糸ゴム等の平面ギャザー用弾性部材がそれぞれ設けられることが好ましい。これにより、着用者の脚周りに伸縮自在にフィットするため、横漏れを抑制できるとともに、着用者の身体の動きに追従し易く吸収性物品1がズレ難くなる。
【0019】
吸収性物品1は、装着時に着用者との接触面側(上側)に設けられる透液性の表面シート20と、装着時に着用者との接触面と反対側(下側)に設けられる裏面シート30と、装着時に着用者との接触面と反対側の外部側に設けられる不織布からなるバックシート40と、表面シート20と裏面シート30との間に介装される吸収体60と、吸収体60の下面に設けられた吸収シート70と、表面シート20側の吸収体60の幅方向両側縁部(左側縁部及び右側縁部)に、吸収性物品1の長手方向に沿って備えられたギャザーシート50,50と、バックシート40における腹側部11に設けられ、吸収性物品1を外装体に固定するための固定部材90と、により主に構成される。
【0020】
表面シート20は、吸収性物品1を装着した際に着用者に接する面を形成し、吸収体60の上側に設けられ、尿などの水様成分を含む体液等を受けて、吸収体60まで輸送する役割を果たす、透液性のシートである。
透液性シートとしては、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の糸を平織り等したネット状のシート素材、多数の透孔を形成したフィルムシート材、ポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルムシート材、透液性を有する織布、不織布が適し、特に不織布が適する。不織布としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラなどの再生繊維、綿等の天然繊維、又はこれらの複合体を繊維素材として、スパンレース法、エアスルー法、ポイントボンド法、エアレイド法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものを用い得る。
【0021】
裏面シート30は、吸収シート70の下側に設けられ、体液等の吸収性物品1外部への染み出し、漏れ出しを防ぐ役割を果たす、不透液性のシートである。
不透液性シートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの少なくとも遮水性を有するシート材であって、ムレ防止の観点から透湿性を有するシート材であることが好ましい。この遮水性と透湿性とを具備するシート材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート材が好適に用いられる。
またその他にも、不透液性を有するフィルム層と、通気性を有する不織布層と、からなるラミ不織布を用いても良い。ラミ不織布とは、例えばポリエチレンシート等に不織布を積層した、ラミネート不織布と呼ばれる不織布のことであり、不透液性と通気性を併せ持つ不織布である。
なお、裏面シート30は、必ずしも不透液性のシートでなくても良い。
【0022】
バックシート40は、吸収性物品1を装着した際に着用者に接する面と反対側の面を形成し、裏面シート30の表面シート20側の面と反対側の面(下面)を覆うように設けられた不織布である。これにより、裏面シート30の傷付きを防止できるようになっている。
また、クロスライクさが得られるため、見た目にムレ難さを与えることができるとともに、着用者の肌への負担を軽減させることができる。
バックシート40としては、例えば、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、メルトブローン不織布、ヒートロール不織布、エアスルー不織布、不透液性不織布、或いはこれらの組み合わせからなるシートが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0023】
ギャザーシート50,50は、表面シート20側において、吸収体60のX方向に沿った両側縁部に、腹側部11から背側部12に亘ってそれぞれ備えられている(図3参照)。
このギャザーシート50,50の左右方向外側の部分は、吸収体60の側方で表面シート20及び裏面シート30の上面に固着されている。また、このギャザーシート50,50の左右方向内側の部分は、表面シート20及び裏面シート30に固定されておらず、その前後方向に沿って糸ゴム等の立体ギャザー用弾性部材501が備えられており、起立して着用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能な一対の立体ギャザーが形成されている。
【0024】
吸収体60は、その長手方向の長さが、吸収性物品1の長手方向の長さとほぼ等しくなるように、腹側部11から股間部13を通り背側部12に亘る位置に配置され、吸収性物品1の使用時に尿等の体液を吸収する役割を果たすものである。
吸収体60は、所謂フィットカット形状の吸収体であり、ゴワつきのない良好な着用感で着用者の股下にフィットするように、股間部13の幅方向の両側(左右両側)の脚周りに相当する部分が凹となるように刳り抜き部601が形成されている。
【0025】
吸収体60は、図4に示すように、綿やパルプなどの吸収性素材や、繊維或いはフィルム等のシート状基材と高吸収性ポリマーのような高吸水性樹脂(SAP;Super Absorbent Polymer)とが組み合わされて形成された吸収体コア62が、透液性の被覆部材61により覆われて構成されている。高吸水性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸及びその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、或いはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。
なお、吸収性物品1は、吸収シート70を備えているため、吸収体コア62に含まれる高吸水性樹脂は少量或いはなしとしてもよい。
被覆部材61としては、例えば、クレープ紙や透液性の不織布や孔開きシートなどが用いられる。
【0026】
吸収シート70は、吸収体60の下面に設けられている。図5に、吸収シート70の吸収体60に対する位置関係を模式的に示す。図5においては、吸収シート70の吸収体60に対する位置関係を判りやすくするため、透視図で示している。
図5に示すように、吸収シート70(上面シート71、下面シート72)は、少なくとも左右両側の刳り抜き部601及びその間に介在する吸収体60を覆うことのできるサイズを有する長方形状のシートである。即ち、吸収シート70の前後方向の長さは、少なくとも刳り抜き部601の前後方向の長さを有し、左右方向の長さは、表面シート20及び裏面シート30の左右方向と略同等の長さを有する。
【0027】
図6に、吸収シート70の平面図を示す。図7に、吸収シート70のV−V断面図を示す。なお、図6は、透視図として示している。図6、7に示すように、吸収シート70は、上面シート71と、下面シート72と、これら両シート71、72の間に保持された吸収性材料(以下、ポリマーと称する)73を具備する。上面シート71は、例えば不織布等の、透液性を有するシートである。下面シート72は、例えばポリシート等の不透液性のシートであることが好ましいが、これに限定されるものではない。ポリマー73は、水分の吸収により膨潤する粒状の吸収性材料であり、例えば、上述の高吸収性樹脂等である。
【0028】
上面シート71と下面シート72は、図6に太線(白線)で示す位置において、例えば、ホットメルト型接着剤、ヒートシール、超音波シール等により互いに接合されている。この上面シート71と下面シート72が互いに接合されている部分を接合部と呼ぶ。吸収シート70において、吸収体60の、左右両側の刳り抜き部601に介在する領域に対応する部分には、吸収シート70の幅方向に延びる互いに平行な複数の接合部75が、前後方向の所定間隔毎に設けられている。ポリマー73は、隣接する接合部75、及びその間の上面シート71、下面シート72によって囲まれた筒状の空間Sに、乾燥状態において移動が規制された状態で保持されている。例えば、ポリマー73は、上面シート71又は下面シート72の少なくとも一方に、水溶性の接着剤等の接着部材によって固定されている。
【0029】
固定部材90は、吸収性物品1を外装体に接着させて固定する役割を果たす粘着テープであり、剥離紙を剥がすと粘着部分が露出するようになっている。
固定部材90は、例えば、略矩形状をなしており(図2参照)、吸収性物品1を装着した際に着用者に接する面と反対側の面(バックシート40の下面)における腹側部11の中央部に備えられている。
固定部材90の配置位置は、吸収性物品1のめくれを抑制してズレ難くする等の観点から、腹側部11のより前側であることが好ましい。固定部材90のサイズは、吸収性物品1を外装体にしっかりと固定させることができる大きさであれば特に限定されない。
なお、固定部材90は、粘着テープに限ることはなく、吸収性物品1を外装体に固定させることができる部材であれば任意であり、例えば、面ファスナであっても良いが、できるだけやわらかい素材のものの方が着用者の身体の動きに追従し易く、好適である。
【0030】
[吸収シート70の作用]
次に、吸収性物品1に備えられている吸収シート70の作用について説明する。以下の説明において、上(上側)、下(下側)は重力方向の上(上側)、下(下側)を指す。
【0031】
図8に、排尿後の吸収シート70の上面を模式的に示す。図9に、排尿後の吸収シート70のV−V断面を模式的に示す。なお、図8は、透視図として示している。
例えば、左側を下側にした横向き体勢で排尿が行われると、排尿された尿が排尿位置よりも下側に流れる。吸収シート70の排尿位置よりも下側(図8の領域A2)にあるポリマー73は、尿の水分により上面シート71又は下面シート72(双方に接着されている場合は双方)との接着が解除されるとともに、図8図9に示すように尿の水分を吸収して筒状の空間S内で膨潤し、膨潤した吸収性材料同士で互いに反発して押し合うことで、尿の流れに従って空間Sの長手方向に押し出されて下側の刳り抜き部601(左側)に対応する領域に移動する。その結果、下側となった刳り抜き部601に対応する領域にポリマー73が充填され、新規の吸収領域が形成されるので、吸収機能のなかった刳り抜き部601にも吸収性を持たせ、効果的に横漏れを抑制することができる。
【0032】
また、図9に示すように、尿を吸収したポリマー73が膨潤することによって、接合部75の部分に溝が形成されるので、この溝に沿って尿を流れやすくして拡散させることができる。
【0033】
また、排尿時に上側(領域A1)に位置していたポリマー73は、未使用のまま残るので、体勢が変更された場合に使用することができ、ポリマー73を有効活用して無駄を抑えることができる。
【0034】
以上説明したように、吸収性物品1において、吸収体60の下面には吸収シート70が設けられている。吸収シート70は、透液性の上面シート71と、下面シート72と、水分を吸収して膨潤する粒状のポリマー73とを有している。上面シート71と下面シート72は、互いに平行な複数の接合部75により接合されている。ポリマー73は、隣接する接合部75と、上面シート71及び下面シート72とに囲まれた筒状の空間Sに、乾燥状態において移動が規制され、水分の吸収時に移動の規制が解除される状態で保持されている。
【0035】
従って、排尿が行われると、吸収シート70の排尿位置よりも下側(図8の領域A2)にあるポリマー73は、尿の水分により上面シート71又は下面シート72(双方に接着されている場合は双方)との接着が解除されるとともに、尿の水分を吸収して筒状の空間S内で膨潤し、膨潤した吸収性材料同士で互いに反発して押し合うことで空間Sの長手方向に移動する。その結果、ポリマー73が存在しなかった領域に新規の吸収領域を形成して吸収性能をもたせることができ、尿の漏れを効果的に抑制することができる。また、予めポリマー73を配置しておく領域を制限することができ、ポリマー73の無駄を抑制することができる。排尿時に上側に位置していたポリマー73は、未使用のまま残るので、体勢が変更された場合に使用することができ、ポリマー73を有効活用して無駄を抑えることができる。更に、尿を吸収したポリマー73が膨潤することによって、接合部75の部分に溝が形成されるので、この溝に沿って尿を流れやすくして拡散させることができる。
【0036】
特に、吸収性物品1の吸収体60は、股間部の幅方向の両側に刳り抜き部601を有し、吸収シート70は、少なくとも刳り抜き部601を覆うように設けられ、複数の接合部75は、吸収体60の刳り抜き部601の間に介在する領域に対応する部分に、その長手方向が吸収性物品1の幅方向となるように形成されている。従って、脚周りの良好な着用感を維持しつつ、横向き体勢で排尿が行われた際には、下側となった刳り抜き部601に対応する領域にポリマー73が充填されるので、吸収機能のなかった刳り抜き部601に吸収性を持たせ、横漏れを防止することが可能となる。
【0037】
例えば、吸収性材料であるポリマー73を、水溶性接着部材により上面シート71又は下面シート72の少なくとも一方に固定して空間Sに保持しておくことで、乾燥状態において移動が規制され、水分の吸収時に移動の規制が解除される状態でポリマー73を保持することができる。
【0038】
なお、本発明は、上記した実施形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態においては、フィットカット形状の吸収体60の下面に吸収シート70を設けた場合について説明したが、長方形形状の吸収体60の下面に吸収シート70を設けることとしてもよい。例えば、予め吸収体60の脚周りにポリマー等の吸収性材料を配置していると体勢変更を行わない場合等に無駄が大きいが、吸収シート70を設けることにより、吸収性材料を吸収体60の脚周りに配置しておかなくとも脚周りに十分な吸収性能をもたせることができ、吸収性材料の無駄がなく、かつ尿もれを抑制することができる。
【0040】
また、上記実施形態においては、吸収シート70のポリマー73が保持される筒状の空間Sの長手方向(即ち、接合部75の長手方向)が吸収性物品1の幅方向である場合を例にとり説明したが、この方向は特に限定されない。例えば、仰向け体勢の多い着用者の場合は、筒状の空間Sの長手方向(即ち、接合部75の長手方向)を吸収性物品1の長手方向とした吸収シート70を用いることで、背側部12の方向にポリマー73を移動させることができ、尿漏れを効果的に抑制することができる。このように、吸収シート70は、筒状の空間Sの長手方向(即ち、接合部75の長手方向)によって、移動させたい任意の方向にポリマー73を移動させ、吸収性をもたせることができる。
【0041】
また、上記実施形態においては、ポリマー73を水溶性接着部材で上面シート71又は下面シート72の少なくとも一方に接着することで、排尿前の乾燥状態においてポリマー73の移動を抑制することとしたが、これに限定されない。例えば、図10に黒線で示すように、筒状の空間Sのそれぞれの長手方向における複数の位置において上面シート71と下面シート72とが接着部材により接着されるようにし、当該接着により区分けされたそれぞれの空間にポリマー73を保持することで、乾燥状態におけるポリマー73の移動を規制することとしてもよい。接着部材としては、水分の吸収によるポリマー73の膨潤により接着が剥がれる程度の弱い接着力のものを用いる。このようにすれば、排尿前の乾燥状態においてポリマー73の筒状の空間Sの長手方向(即ち、接合部75と平行方向)への移動を規制することができ、排尿時には、その移動の規制を解除することができる。
【0042】
また、上記実施形態においては、空間Sを筒状にして水分の吸収時にポリマー73が一定の方向に移動しやすくするために、複数の接合部15を互いに平行としたが、これに限定されない。例えば、隣り合う接合部15同士がハの字型になっていてもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、吸収体60を一層とし、吸収体60の下面に吸収シート70を設けることとして説明したが、吸収体60は複数層であってもよい。この場合、吸収シート70は、吸収体60の層間に設けることとしてもよい。また、吸収体60の上面に吸収シート70を設けることとしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、空間Sが5つである場合を図示しているが、空間Sの数は特に限定されない。
【0045】
また、吸収性物品として尿取りパッドを例示して説明しているが、吸収性物品は、例えば紙おむつや生理用パッド等であっても良い。
【0046】
その他、吸収性物品1の細部構成に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 吸収性物品
11 腹側部
12 背側部
13 股間部
14,14 脚周り部
20 表面シート
30 裏面シート
40 バックシート
50,50 ギャザーシート
501 立体ギャザー用弾性部材
60 吸収体
601 刳り抜き部
61 被覆部材
62 吸収体コア
70 吸収シート
71 上面シート
72 下面シート
73 ポリマー
75 接合部
90 固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10