(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、
図1から
図4を用いて、本発明に係る試験体の防火性能展示装置の第一実施形態である展示装置100の構成について説明する。
なお、以下の説明では、図中に示した矢印に従って、上下方向、前後方向及び左右方向を定義する。
【0020】
図1から
図3に示す展示装置100は、例えば試験体の防火性能を展示する展示会を開催し、当該展示会の見学者に試験体の防火性能を体感させるための(防火性能の展示を行うための)装置である。展示装置100は、主として、試験室10と、試験体集合部20と、バーナー装置40と、操作部60と、により構成される。
【0021】
図1から
図3に示す試験室10は、防火性能の展示を行うための空間を形成するものである。試験室10は、主として、外壁部11と、天井部12と、により形成される。
【0022】
図1から
図3に示す外壁部11は、試験室10の四方(前後左右方向)の壁を形成するものである。外壁部11は、耐火性を有する部材により形成される。外壁部11は、複数枚の外壁材により形成される。より詳細には、外壁部11は、前側外壁材13と、後側外壁材14と、左側外壁材15と、第一右側外壁材16と、第二右側外壁材17との、5枚の外壁材により形成される。
【0023】
前側外壁材13は、試験室10の前側の壁を形成するものである。前側外壁材13は、略平板状に形成され、その板面を前後方向へ向けて配置される。前側外壁材13には、後述する試験体集合部20が取り付けられる。
【0024】
後側外壁材14は、試験室10の後側の壁を形成するものである。後側外壁材14は、略平板状に形成され、その板面を前後方向へ向けて配置される。また、後側外壁材14の左右方向の長さは、前側外壁材13の左右方向の長さよりも短くなるように形成される。
【0025】
左側外壁材15は、試験室10の左側の壁を形成するものである。左側外壁材15は、略平板状に形成され、その板面を左右方向へ向けて配置される。左側外壁材15の前側端部は、前側外壁材13の左側端部に略隙間無く連結される。また、左側外壁材15の後側端部は、後側外壁材14に左側端部に略隙間無く連結される。
【0026】
第一右側外壁材16及び第二右側外壁材17は、試験室10の右側の壁を形成するものである。
【0027】
第一右側外壁材16は、略平板状に形成され、その板面を左後方及び右前方へ向けて配置される。第一右側外壁材16の前側端部は、前側外壁材13の右側端部に略隙間無く連結される。こうして、第一右側外壁材16は、前側外壁材13の右側端部から平面視で右後方へ向けて延出される。第一右側外壁材16は、第二右側外壁材17よりも前方に配置される。
【0028】
第二右側外壁材17は、略平板状に形成され、その板面を左前方及び右後方へ向けて配置される。第二右側外壁材17には、透過性を有する部材により形成された窓部70が設けられる。なお、本実施形態において窓部70は、第二右側外壁材17の略全体に亘って設けられる。換言すれば、窓部70は第二右側外壁材17として形成される。以下では、説明の便宜上、第二右側外壁材17を、「窓部70」と称して説明を行うものとする。
【0029】
窓部70の前側端部は、第一右側外壁材16の後側端部に略隙間無く連結される。また、窓部70の後側端部は、後側外壁材14の右側端部に略隙間無く連結される。このように、窓部70と前側外壁材13との間には、当該窓部70及び前側外壁材13とは異なる外壁材である第一右側外壁材16が介在される。窓部70は、第一右側外壁材16の後側端部から平面視で左後方へ向けて(前後方向に対して斜め方向に)延出される。
【0030】
図1及び
図3に示す天井部12は、試験室10の天井を形成するものである。天井部12は、耐火性を有する部材により形成される。天井部12は、略平板状に形成され、試験室10の四方の壁を形成する外壁部11(前側外壁材13、後側外壁材14、左側外壁材15、第一右側外壁材16及び窓部70)の上側端部に略隙間無く連結される。
【0031】
このように、試験室10は、外壁部11(前側外壁材13、後側外壁材14、左側外壁材15、第一右側外壁材16及び窓部70)及び天井部12により、略密閉された空間として形成される。また、試験室10は、平面視で略五角形状に形成される。そして、展示会の見学者は、窓部70を介して試験室10の外部から内部の様子(防火性能の展示が行われる様子)を視認することができる。なお、試験室10には、後述する試験体30に炎が吹き付けられることにより発生する臭いや煙を排出するための、図示せぬ換気装置が設けられる。
【0032】
なお、試験室10は、本発明に係る「試験室」の一実施形態である。また、外壁部11は、本発明に係る「外壁部」の一実施形態である。また、前側外壁材13、後側外壁材14、左側外壁材15、第一右側外壁材16及び第二右側外壁材17(窓部70)は、本発明に係る「複数の外壁材」の一実施形態である。また、第二右側外壁材17は、本発明に係る「第二の外壁材」の一実施形態である。また、前側外壁材13は、本発明に係る「第一の外壁材」の一実施形態である。また、第一右側外壁材16は、本発明に係る「第三の外壁材」の一実施形態である。また、窓部70は、本発明に係る「窓部」の一実施形態である。なお、窓部70は、第二右側外壁材17の略全体に亘って設けられる構成でなく、一部に設けられる構成であってもよい。また、窓部70は、一箇所だけでなく、複数個所に設けられる構成であってもよい。
【0033】
図1から
図4に示す試験体集合部20は、防火性能の展示の対象となる試験体30が複数個(本実施形態においては、4個)集合して配置されたものである。試験体集合部20は、2個設けられ、左右に並んだ状態で前側外壁材13に取り付けられる。
【0034】
なお、左右に並んだ2個の試験体集合部20は同一の構成であるため、以下において特に断りが無ければ、当該2個の試験体集合部20のうち右側の試験体集合部20について説明するものとする。
【0035】
図4に示すように、試験体集合部20は、主として、フレーム21と、試験体30と、により構成される。
【0036】
図4に示すフレーム21は、試験体30を複数個集合させた状態で前側外壁材13に取り付けるためのものである。フレーム21は、金属等の耐火性を有する部材により形成される。フレーム21には、前後方向に貫通した正面視で略矩形状の試験体取り付け部22が4個設けられる。4個の試験体取り付け部22は、上段及び下段にそれぞれ左右方向に2個並設される。フレーム21は、前側外壁材13に前後方向に貫通して形成されたフレーム取り付け部18(
図2及び
図3参照)に固定される。
【0037】
図4に示す試験体30は、防火性能の展示の対象となるものである。試験体30は、例えば住宅に用いられる外壁材(より詳細には、例えば3m角からなる外壁材の一部分)からなる部材である。試験体30は、略平板状に形成され、その板面を前後方向へ向けて配置される。試験体30は、フレーム21の試験体取り付け部22よりも若干小さく形成される。試験体30は、当該試験体30を交換する担当者により、フレーム21に着脱可能に取り付けられる。
【0038】
また、フレーム21に取り付けられた試験体30は、当該試験体30の前側面が前方に露出した状態、且つ当該試験体30の後側面が後方に露出した状態となる。すなわち、試験体集合部20は、試験体30が試験室10の内部及び外部の両方に露出した状態で、前側外壁材13に取り付けられる。これにより、展示会の見学者は、試験室10の内部でバーナー50から炎が吹き付けられている試験体30に、試験室10の外部から直接手で触れることができる。
【0039】
なお、試験体30は、本発明に係る「試験体」の一実施形態である。本実施形態においては、1個のフレーム21に4個の試験体30が取り付けられ、合計8個の試験体30が設けられる構成であるが、これに限定するものではない。
【0040】
図1から
図3に示すバーナー装置40は、複数の試験体30のうち所定の試験体30に炎を吹き付けるための装置である。バーナー装置40は、試験室10の内部に配置される。バーナー装置40は、主として、本体部41と、駆動モータ42と、支持部43と、バーナー50と、により構成される。
【0041】
図1から
図3に示す本体部41は、バーナー装置40の主たる構造体を成す部材である。本体部41は、中空の略箱状に形成され、試験室10の内部の床面に配置される。本体部41の内部には、後述する駆動モータ42や図示せぬ駆動機構等を含む、バーナー装置40を構成する各種の部材が収納される。本体部41の上側面には、当該本体部41の外部と内部とを連通する溝部44が形成される。
なお、溝部44の構成についての詳細な説明は後述する。
【0042】
図1に示す駆動モータ42は、バーナー装置40の駆動源となる部材である。駆動モータ42は、その作動により駆動力を発生させることができる。
【0043】
図1及び
図3に示す支持部43は、長手方向を上下方向として延出された略棒状の部材である。支持部43の下方端部は、溝部44を介して本体部41の内部に挿入され、前記駆動機構を介して駆動モータ42と連動連結される。支持部43は、前記駆動機構を介して伝達された駆動モータ42からの駆動力により、溝部44に沿って前後方向、左右方向及び上下方向に往復移動可能に構成される。
【0044】
図1から
図3に示すバーナー50は、炎を吹き出すための部材である。バーナー50は、図示せぬガスボンベに貯溜されたガスを燃料とし、前方へ向けて炎を吹き出すことができる。バーナー50は、支持部43により下方から支持され、当該支持部43の上側端部に固定される。これにより、バーナー50は、支持部43を介して伝達された駆動モータ42からの駆動力により、前後方向、左右方向及び上下方向に往復移動可能に構成される。
【0045】
こうして、バーナー装置40は、駆動モータ42から伝達された駆動力により、バーナー50を溝部44に沿って前後方向、左右方向及び上下方向に往復移動させ、複数の試験体30のうち所定の試験体30に対向する位置まで移動した後に当該試験体30に炎を吹き付けることができる。
【0046】
なお、バーナー50は、本発明に係る「バーナー」の一実施形態である。また、バーナー装置40は、本発明に係る「移動手段」の一実施形態である。
【0047】
図1に示す操作部60は、展示装置100の操作を行うためのものである。より詳細には、操作部60の操作を行うことにより、複数の試験体30のうち(未使用である)所定の試験体30が自動的に選択され、当該選択した所定の試験体30の防火性能の展示が行われる。本実施形態においては、
図1に示すように、操作部60としてパソコンが使用される。操作部60(パソコン)は、RAMやROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等により構成され、種々の情報に基づいて所定の演算処理や記憶等を行うことができる。操作部60を操作する者は、操作部60のディスプレイに表示される種々の情報に基づいて展示装置100の操作を行うことができる。
【0048】
なお、操作部60は、各種の信号の発信部として、バーナー装置40(より詳細には、駆動モータ42)と電気的に接続される。操作部60は、駆動モータ42を制御し、バーナー50を適宜に移動させることができる。
【0049】
なお、操作部60は、展示会の担当者だけでなく、見学者により操作可能となっている。これにより、展示会の担当者が不在の場合であっても、試験体30の防火性能の展示を行うことができる。
【0050】
なお、操作部60は、本発明に係る「操作手段」の一実施形態である。
【0051】
以上のように、展示装置100は、操作部60の操作により、複数の試験体(試験体集合部20)のうち(未使用である)所定の試験体30を自動的に選択し、試験室10の内部でバーナー装置40のバーナー50から炎を吹き付ける、試験体30の防火性能の展示を行うことができる。そして、展示会の見学者は、試験体30にバーナー50から炎を吹き付ける様子を窓部70を介して視認することができると共に、試験室10の内部でバーナー50から炎が吹き付けられている試験体30に当該試験室10の外部(前側外壁材13の前方)から直接手で触れることができる。これにより、展示会の見学者は、試験体30の防火性能を体感することができる。
【0052】
以下では、展示装置100による試験体30の防火性能の展示の態様について、
図5及び
図6を用いて詳細に説明する。
【0053】
まず、
図5(a)を用いて、バーナー装置40の本体部41に形成された溝部44の構成について詳細に説明する。
【0054】
溝部44は、支持部43を介して、バーナー50を前後方向、左右方向及び上下方向へ向けて案内するものである。すなわち、溝部44は、バーナー50の移動経路として形成される。溝部44は、前後方向に延出される4本の溝部44(以下では、右側から順番に「第一溝部81」と、「第二溝部82」と、「第三溝部83」と、「第四溝部84」と、それぞれ称する。)と、左右方向に延出されて、第一溝部81から第四溝部84までの前側端部を連結する溝部44(以下では「第五溝部85」と称する。)と、により構成される。
【0055】
第一溝部81は、右側の試験体集合部20における右側の試験体30の前方に形成される。第一溝部81の後側端部は、右側の試験体集合部20における右側の試験体30に炎を吹き付ける際のバーナー50の準備位置となる。また、第一溝部81の前側端部は、右側の試験体集合部20における右側の試験体30に炎を吹き付ける際のバーナー50の吹き付け位置となる。
【0056】
また、第二溝部82は、右側の試験体集合部20における左側の試験体30の前方に形成される。第二溝部82の後側端部は、右側の試験体集合部20における左側の試験体30に炎を吹き付ける際のバーナー50の準備位置となる。また、第二溝部82の前側端部は、右側の試験体集合部20における左側の試験体30に炎を吹き付ける際のバーナー50の吹き付け位置となる。
【0057】
また、第三溝部83は、左側の試験体集合部20における右側の試験体30の前方に形成される。第三溝部83の後側端部は、左側の試験体集合部20における右側の試験体30に炎を吹き付ける際のバーナー50の準備位置となる。また、第三溝部83の前側端部は、左側の試験体集合部20における右側の試験体30に炎を吹き付ける際のバーナー50の吹き付け位置となる。
【0058】
また、第四溝部84は、左側の試験体集合部20における左側の試験体30の前方に形成される。第三溝部83の後側端部は、左側の試験体集合部20における左側の試験体30に炎を吹き付ける際のバーナー50の準備位置となる。また、第三溝部83の前側端部は、左側の試験体集合部20における左側の試験体30に炎を吹き付ける際のバーナー50の吹き付け位置となる。
【0059】
次に、
図5及び
図6を用いて、試験体30にバーナー50から炎を吹き付ける態様について説明する。
【0060】
なお、以下では、操作部60の操作によ、バーナー50から炎を吹き付ける(未使用である)所定の試験体30として、右側の試験体集合部20における左上段の試験体30(以下では、「左上試験体31」と称する)が選択されたものとする。また、現段階においては、バーナー50は、第一溝部81の準備位置(後側端部)に配置されているものとする。
【0061】
まず、
図5(b)に示すように、バーナー50は、第一溝部81の準備位置から第二溝部82の準備位置に移動する。より詳細には、バーナー50は、第一溝部81を後側端部(準備位置)から前側端部に移動する。そして、バーナー50は、第一溝部81の前側端部から第五溝部85を介して第二溝部82の前側端部に移動する。そして、バーナー50は、第二溝部82を前側端部から後側端部、すなわち第二溝部82の準備位置に移動する。こうして、バーナー50は、平面視で左上試験体31に対向する準備位置に移動する。
【0062】
そして、バーナー50は、上下方向に移動することにより、側面視で左上試験体31に対向する位置に移動する(
図3参照)。
【0063】
このように、バーナー50は、第一溝部81、第五溝部85及び第二溝部82に沿って前後方向、左右方向及び上下方向に移動することにより、左上試験体31に対向する位置に到達する。
【0064】
そして、
図5(c)に示すように、第二溝部82の準備位置において、バーナー50は前方へ向けて炎を吹き出す。なお、第二溝部82の準備位置においてバーナー50から吹き出された炎は、左上試験体31に到達しない。すなわち、これによりバーナー50から吹き出される炎の全体像を見学者に視認させ、炎の勢い(迫力)を当該見学者に感じさせることができる。
【0065】
そして、
図5(c)に示すように、バーナー50は、炎を吹き出した状態で、第二溝部82の後側端部から前側端部、すなわち準備位置から吹き付け位置に移動する。なお、バーナー50が吹き付け位置に到達すると、バーナー50から吹き出した炎は左上試験体31に到達し、当該左上試験体31にバーナー50からの炎が吹き付けられる。
【0066】
なお、左上試験体31にバーナー50から炎が吹き付けられている状態においては、展示会の見学者は試験室10の外部(前側外壁材13の前方)から当該左上試験体31を直接手で触れることができる。これにより、展示会の見学者は、試験体30の防火性能を体感することができる。
【0067】
こうして、所定の時間だけ左上試験体31にバーナー50から炎が吹き付けられると、当該バーナー50からの炎の吹き付けは停止する。これにより、展示装置100による試験体30の防火性能の展示が終了する。
【0068】
なお、本実施形態においては、窓部70と前側外壁材13との間に、当該窓部70及び前側外壁材13とは異なる外壁材である第一右側外壁材16が介在される。
これによって、以下に示すような効果が生ずる。
【0069】
まず、
図6(b)に示すように、例えば窓部70と前側外壁材13との間に、当該窓部70及び前側外壁材13とは異なる外壁材である第一右側外壁材16が介在されない場合について説明する。
【0070】
図6(b)に示す構成において、窓部70における範囲L1内には、試験体30に炎が吹き付けられることにより煙が発生するため、当該窓部70を介して防火性能の展示の様子を視認することは困難となる。したがって、展示会の見学者は、窓部70における範囲L3内から防火性能の展示の様子を視認することとなる。すなわち、
図6(b)に示す構成においては、窓部70における長手方向の一部の範囲(範囲L3)内でしか、当該窓部70を介して防火性能の展示の様子を視認することができない。
【0071】
これに対して、
図6(a)に示すように、本実施形態においては、窓部70と前側外壁材13との間に、当該窓部70及び前側外壁材13とは異なる外壁材である第一右側外壁材16が介在されるため、窓部70を所望する場所に設置することができる。すなわち、本実施形態においては、窓部70の長手方向の前側端部の位置が、前後方向位置においてバーナー50と略同一か、又は若干後方となるように設置される。
【0072】
このような構成により、窓部70の長手方向の前側端部の位置において、試験体30に炎が吹き付けられることにより発生した煙に邪魔されず、当該窓部70を介して防火性能の展示の様子を視認することができる。したがって、展示会の見学者は、窓部70における範囲L2内から防火性能の展示の様子を視認することとなる。すなわち、本実施形態に係る構成においては、窓部70における長手方向の全部の範囲(範囲L2)内で、当該窓部70を介して防火性能の展示の様子を視認することができる。
【0073】
また、窓部70は、前述したように、その板面を左前方及び右後方へ向けて配置され、バーナー50からの炎の吹き出し方向(前後方向)に対して平面視で斜め方向に配置されている。このように、窓部70をバーナー50からの炎の吹き出し方向(前後方向)に対して平面視で斜め方向に配置することにより、窓部70の長手方向の長さ(範囲L2の長さ)を、
図6(b)における範囲L3の長さよりも長くなるように形成される。すなわち、本実施形態に係る構成においては、例えば
図6(b)に示す構成よりも、一度に多くの見学者に窓部70を介して防火性能の展示の様子を視認させることができる。
【0074】
なお、本実施形態に係る構成において、窓部70は、
図6(a)に示すように、当該窓部70の長手方向のどの位置(例えば後側端部や前側端部)から試験室10の内部を見た場合であっても、第一溝部81から第四溝部84における準備位置及び吹き付け位置(すなわち、複数の準備位置及び吹き付け位置)、及びバーナー50から炎が吹き付けられる試験体30(ずなわち、左側及び右側の両方の試験体集合部20)を視認できるように形成される。
【0075】
以下では、
図7を用いて、試験体30の交換の態様について説明する。
【0076】
なお、以下では、前述した防火性能の展示により使用した左上試験体31を未使用の試験体30に交換するものとする。
【0077】
図7(a)に示すように、試験体集合部20において、左上試験体31はバーナー50から炎が吹き付けられたことにより、表面が黒く変色した状態となっている。そして、
図7(b)に示すように、試験体集合部20におけるフレーム21の試験体取り付け部22から左上試験体31を取り外す。なお、試験体取り付け部22から左上試験体31を取り外した場合であっても、その他の試験体30は取り付けられたままである。そして、
図7(c)に示すように、予め準備していた未使用の試験体30を、左上試験体31が取り外されて空洞となったフレーム21の試験体取り付け部22に取り付ける。
【0078】
このように、試験体集合部20における4個の試験体30は、それぞれの試験体30ごとに交換することができる。このような構成により、未使用の試験体30はそのまま残るため、コストの削減を図ることができる。
【0079】
なお、前述したように、一度の防火性能の展示においては、複数の試験体30のうち選択された1個の試験体30だけが使用される。すなわち、本実施形態においては、合計8個の試験体30が設けられていることから、展示ごとに使用済みの試験体30を未使用の試験体30に交換しなくてもよく、具体的には8回連続して展示を行うことができる。また、本実施形態に係る構成によれば、一度の交換にて複数個の使用済みの試験体30を未使用の試験体30に交換することができるので、試験体30を交換する作業回数を削減することができる。
【0080】
以上のように、
本発明の第一実施形態に係る試験体30の展示装置100は、
耐火性を有する外壁部11により形成される試験室10と、
前記試験室10の内部及び外部に露出した状態で前記外壁部11に取り付けられる複数の試験体30と、
前記試験室10の内部に設けられて炎を吹き出すことができるバーナー50と、
前記複数の試験体30のうち前記バーナー50から炎が吹き付けられる所定の試験体30を選択する選択手段(操作部60)と、
前記所定の試験体30に対して予め設定された炎を吹き付け可能な吹き付け位置に前記バーナー50を移動させる移動手段(バーナー装置40)と、
前記外壁部11に設けられて前記試験室10の外部から内部の様子を視認可能な窓部70と、
を具備するものである。
【0081】
このような構成により、試験体30の交換が困難となり展示会を開催することができなくなることを防止することができる。
【0082】
また、展示装置100においては、
前記複数の試験体30は、試験体30ごとに交換可能であるものである。
【0083】
このような構成により、複数の試験体30のうち使用済みの試験体30だけを未使用の試験体30に交換することができるので、コストの削減を図ることができる。
【0084】
また、展示装置100においては、
前記窓部70は、前記所定の試験体30として前記複数の試験体30のうち何れの試験体30が選択された場合であっても、当該所定の試験体30に前記バーナー50から炎が吹き付けられる様子が外部から視認可能となるように構成されるものである。
【0085】
このような構成により、複数の吹き付け位置が設けられるところ、どの吹き付け位置にバーナーが移動した場合であっても、試験体30がバーナー50から炎を吹き付けられる様子を窓部70を介して視認することができる。
【0086】
また、展示装置100においては、
前記外壁部11は、複数の外壁材から構成され、
前記複数の試験体30が取り付けられる外壁部としての第一の外壁材(前側外壁材13)と前記窓部70が設けられる外壁部としての第二の外壁材(第二右側外壁材17)との間には、当該第一及び第二の外壁材とは異なる第三の外壁材(第一右側外壁材16)が介在されるものである。
【0087】
第一の外壁材(前側外壁材13)と第二の外壁材(第二右側外壁材17)との間に第三の外壁材(第一右側外壁材16)を介在させることで、第二の外壁材(ひいては、窓部70)を所望する場所に設置し易くすることができる。
【0088】
次に、
図8(a)を用いて、本発明に係る第二実施形態である展示装置200の構成について説明する。
【0089】
なお、以下では、展示装置200の構成において、展示装置100の構成と異なる点を中心に説明を行い、展示装置100の構成と略同一の点についてはその説明を適宜省略するものとする。
【0090】
展示装置200においては、外壁部211により、試験室210が平面視で略コの字状に形成される。そして、試験室210における左前側端部及び右前側端部のスペース290は、バーナー50の収納部とすることができる。また、窓部270は、外壁部211における左後側端部及び右後側端部の2箇所に設けられる。このように、複数の窓部270を設けることにより、一度により多くの見学者が試験体30の防火性能の展示を見ることができる。
【0091】
次に、
図8(b)を用いて、本発明に係る第三実施形態である展示装置300の構成について説明する。
【0092】
なお、以下では、展示装置300の構成において、展示装置100の構成と異なる点を中心に説明を行い、展示装置100の構成と略同一の点についてはその説明を適宜省略するものとする。
【0093】
展示装置300においては、外壁部311により、試験室310が平面視で略矩形状に形成される。そして、試験室310における前側の外壁部311に、2箇所の窓部370が中央に試験体30を挟むように配置される。こうして、試験体30と窓部370とは、同一の外壁材に形成される。また、試験室310の内部おいて、2箇所の窓部370と対向する位置に鏡390がそれぞれは配置される。そして、窓部370を介して試験室310の内部を見ると、鏡390に反射してバーナー50が見えることとなる。これにより、試験体30と窓部370とを近接した位置に配置することができるため、展示会の見学者は、窓部370を介して試験室310の内部を見ながら、試験体30に直接手を触れることができる。
【0094】
次に、
図9(a)を用いて、本発明に係る第四実施形態である展示装置400の構成について説明する。
【0095】
なお、以下では、展示装置400の構成において、展示装置100の構成と異なる点を中心に説明を行い、展示装置100の構成と略同一の点についてはその説明を適宜省略するものとする。
【0096】
展示装置400においては、外壁部411により、試験室410が平面視で略真円形状に形成される。そして、試験室410における後側半分の外壁部411に、窓部470が半円弧状に形成される。こうして、試験体30と窓部470とは、同一の外壁材に形成される。また、窓部470を可及的に大きくすることができるため、一度により多くの見学者が試験体30の防火性能の展示を見ることができる。
【0097】
次に、
図9(b)を用いて、本発明に係る第五実施形態である展示装置500の構成について説明する。
【0098】
なお、以下では、展示装置500の構成において、展示装置100の構成と異なる点を中心に説明を行い、展示装置100の構成と略同一の点についてはその説明を適宜省略するものとする。
【0099】
展示装置500においては、外壁部511により、試験室510が平面視で略半円形状に形成される。そして、試験室510における外壁部511の左側後端部及び右側後端部の2箇所に、窓部570が形成される。こうして、試験体30と窓部570とは、同一の外壁材に形成される。また、試験室510を比較的小さく形成することができる。