(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記スポーツ手袋を着用して釣りを行う場合には、例えば
図3に示すように、右利きの人が右手で竿を握った状態において、リール12のリールフット13を2本の指部(
図3では中指部と薬指部と)8,9の互いに対向する側面部83,94(
図4参照)で挟み込んで竿11を保持する。この状態で釣れた魚を取り込むためにリールを巻き上げる際に、2本の指部8,9の側面部83,94にリールフット13から大きな反力(衝撃力)を受けることになるが、この反力を上記スポーツ手袋では良好に吸収することができない。なぜならば、上記スポーツ手袋では、掌側の面にしか発泡ゴムを備えていないため、2本の指部8,9の側面部83,94に加わる反力をスポーツ手袋の薄い生地でしか吸収することができず、反力を良好に吸収できない。特に、釣りは長い時間行うことが多いため、2本の指部の側部に何度も反力が加わることになり、快適な釣りを行うことができない。
【0005】
本発明は、前述の状況に鑑みてなされ、リールフットから指部に受ける反力を良好に吸収することができる釣り用手袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の釣り用手袋は、前述の課題解決のために、手袋本体に互いに隣り合う複数本の指部を備えた釣り用手袋であって、前記複数本の指部のうちの互いに隣り合う少なくとも1組の指部が、着用者の指の少なくとも第1関節を覆う長さとなるように前記手袋本体から延出され、前記1組の指部における互いに対向する
2つの側面部
のそれぞれに、クッション材を備え
、前記2つの側面部は、一方の指部の側面部から指の付け根を介して他方の指部の側面部まで延びる長さの一枚の表生地とこの表生地に指先側の上端同士で縫い付けられる一枚の裏生地とで構成され、前記表生地と前記裏生地とで形成される空間のうち、前記指の付け根を挟んで前記一方の指部の側面部に形成される空間と前記他方の指部の側面部に形成される空間とに、前記クッション材がそれぞれ配置されていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、リールフットを挟み込む1組の指部における互いに対向する側面部のうちの少なくとも一方の側面部に、クッション材を備えることによって、着用した釣り用手袋で竿を握った状態において、釣れた魚を取り込むためにリールを巻き上げる際に、リールフットから受ける反力をクッション材で吸収して和らげることができる。
【0008】
また、本発明の釣り用手袋は、
前記各指部は、甲側の第2関節部分に相当する部分に折れ曲がり部を備えていてもよい。
【0010】
また、本発明の釣り用手袋は、
前記各指部のクッション材は、着用者の指の第1関節を覆う長さの指部の上端部分から指部の付け根付近までの長さに設定されていてもよい。
【0011】
上記のように、指部の付け根にクッション材が存在しないため、釣り用手袋を着用した使用状態において、指部間に違和感がなく、自然な状態で手袋を着用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、1組の指部における互いに対向する側面部のうちの少なくとも一方の側面部に、クッション材を備えることによって、リールフットから指部に受ける反力を良好に吸収することができる釣り用手袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の釣り用手袋を示し、(a)は掌側から見た正面図、(b)は手の甲側から見た背面図である。
【
図2】本発明の釣り用手袋に備えるクッション材を示し、(a)は要部の縦断面図、(b)は(a)の要部を展開した平面図である。
【
図3】リールのリールフットに指部を掛けている状態を示す側面図である。
【
図4】リールのリールフットに指部を掛けている状態を示す要部の拡大側面図である。
【
図5】本発明の釣り用手袋の他の実施形態を示し、(a)は掌側から見た正面図、(b)は手の甲側から見た背面図である。
【
図6】本発明の釣り用手袋に備えるクッション材の他の実施形態を示す要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の釣り用手袋を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1(a),(b)に、右手用(右利き用)の釣り用手袋(以下、単に手袋という)1を示している。尚、左手用(左利き用)の釣り用手袋も、同様であり、図示及び説明は省略する。手袋1は、手の甲を覆う甲部2と掌を覆う掌部3とからなる手袋本体4と、手袋本体4の一端(下端)に備えた手首を覆う手首部5と、手袋本体4の他端(上端)に備えた5本の指部6,7,8,9,10とを備えている。
【0016】
5本の指部6,7,8,9,10は、親指部6、人差し指部7、中指部8、薬指部9、小指部10からなる。人差し指部7のみが人差し指の全体を覆う長さに構成され、他の指部6,8,9,10は、途中で切断されて指の先端が指部6,8,9,10から露出するようになっている。
【0017】
中指部8、薬指部9、小指部10は、指の第1関節までを覆うことができる長さに設定されている。この長さは、
図3に示すように、手袋1を装着した右手で竿11を握った状態において、リール12のリールフット13を中指部8と薬指部9の互いに対向する側面部83,94で挟み込んで竿11を保持したとき、中指部8と薬指部9の側面部83,94が接触することができる最低必要となる長さである。また、指部8,9,10から指先を露出することができるから、釣糸を結ぶ、あるいは釣針に餌を取り付ける等、指先を使う細かい作業がし易い利点もある。
【0018】
図4に示すように、中指8Fを覆う中指部8は、4つの部材からなり、指の腹側となる内側部81と、指の甲側となる外側部82と、これら内側部81と外側部82とを連結するとともに左右両側に位置する左右の側面部83,84とからなっている。これら4つの部材は、周方向両端を内側に折り込んで、互いに隣り合う端部同士を重ね合わせて縫い付けることによって、連結されている。
【0019】
内側部81は、表生地81Aと、裏生地81Bと、これら両生地81A,81B間に収容されるクッション材81Cとからなっている。外側部82は、耐久性アップのために先端部分のみ三枚の生地82A,82B,82Cが重ね合わされて構成されている。左右の側面部83,84は、内側部81と同様に表生地83A,84Aと、裏生地83B,84Bと、これら両生地83A,83B、84A,84B間に収容されるクッション材83C,84Cとからなっている。
【0020】
薬指9Fを覆う薬指部9は、中指部8と同様に、4つの部材からなり、指の腹側となる内側部91と、指の甲側となる外側部92と、これら内側部91と外側部92とを連結するとともに左右両側に位置する左右の側面部93,94とからなっている。これら4つの部材は、周方向両端を内側に折り込んで、互いに隣り合う端部同士を重ね合わせて縫い付けることによって、連結されている。
【0021】
内側部91は、表生地91Aと、裏生地91Bと、これら両生地91A,91B間に収容されるクッション材91Cとからなっている。外側部92の先端部分は、耐久性アップを図るために先端部分のみ三枚の生地92A,92B,92Cが重ね合わされて構成されている。左右の側面部93,94は、内側部91と同様に表生地93A,94Aと、裏生地93B,94Bと、これら両生地93A,93B、94A,94B間に収容されるクッション材93C,94Cとからなっている。
【0022】
小指部10は、3つの部材からなり、指の腹側となる内側部101と、薬指部9の側面部93に対向する側面部102と、内側部101と側面部102とを連結するとともに薬指部9の側面部93から離れる側の側面部まで覆うサイズに構成された指の甲側となる外側部103とからなっている。これら3つの部材は、周方向両端を内側に折り込んで、互いに隣り合う端部同士を重ね合わせて縫い付けることによって、連結されている。
【0023】
内側部101は、表生地101Aと、裏生地101Bの二枚の生地が重ね合わされて構成されている。外側部103も同様に、耐久性アップを図るために先端部分のみ三枚の生地103A,103B,103Cが重ね合わされて構成されている。薬指部側の側面部102は、表生地102Aと、裏生地102Bと、これら両生地102A,102B間に収容されるクッション材102Cとからなっている。
【0024】
中指部8と薬指部9の互いに対向する2つの側面部83,94は、
図2(a),(b)(
図2(a)は、掌側から見た側面部の概略図、
図2(b)は、
図2(a)の2つの側面部83,94を付け根部で広げた2つの側面部83,94の平面図)に示すように、指の付け根で繋がっている。つまり、中指部8の側面部83の表生地83Aとこれと隣り合う薬指部9の側面部94の表生地94Aとが一枚の表生地8Aからなり、かつ、中指部8の側面部83の裏生地83Bとこれと隣り合う薬指部9の側面部94の裏生地94Aとが一枚の裏生地9Aからなっている。これら表生地8Aと裏生地9Aとが縫い付けられて(
図2(a),(b)で上端の縫い付け位置83S,94Sを示している)形成される空間内に、クッション材83C,94Cが配置されている。また、薬指部9と小指部10の互いに対向する2つの側面部93,102も前記と同様に、
図2(a),(b)に示すように、指の付け根で繋がっている。つまり、薬指部9の側面部93の表生地93Aとこれと隣り合う小指部10の側面部102の表生地102Aとが一枚の表生地10Aからなり、かつ、薬指部9の側面部93の裏生地93Bとこれと隣り合う小指部10の側面部102の裏生地102Bとが一枚の裏生地10Bからなっている。これら表生地10Aと裏生地10Bとが縫い付けられて形成される空間内に、クッション材93C,102Cが配置されている。
【0025】
各クッション材83C,94C,93C,102Cは、指部8,9,10の指先側となる上端部分から指部8,9,10の付け根T付近までの長さに設定されている。従って、指部8,9,10の付け根Tにクッション材83C,94C,93C,102Cが存在しないため、手袋1を着用した使用状態において、指8F,9F,10Fと指部8,9,10の付け根Tに隙間Hを形成することができ、指部8,9及び9,10間に違和感がなく、自然な状態で手袋を着用することができる。
【0026】
クッション材83C,94C,93C,102Cは、低反発ウレタンフォームから構成されているが、スポンジや布等で構成されていてもよい。また、指部6〜10及び手袋本体4並びに手首部5を構成する生地の材料としては、合成皮革、皮、ダブルラッセルメッシュ材、各種ゴム材等を適宜用いることができる。
【0027】
図2(b)に示すように、クッション材83C,94C(93C,102Cも同様である)は、指(図では中指と薬指)の第2関節部分に相当する部分に切り込み83V,94Vが形成されている。また、指部7〜10の甲側の第2関節部分に相当する部分が曲げ易いように該部分に折れ曲がり部7V〜10Vを設けている。これら折れ曲がり部7V〜10Vは、同一構成であるため、小指部10に設けた折れ曲がり部10Vについてのみ説明する。この折れ曲がり部10Vは、横長状の開口10Kを形成し、この開口10Kを閉じる生地10Mとから構成されている。このようにクッション材83C,94Cに切り込み83V,94Vを形成すると共に、人差し指部7〜小指部10の甲側の第2関節部分に折れ曲がり部7V〜10Vを設けることによって、装着した手袋1の指部7〜10を曲げやすくしている。尚、切り込み7V〜10VはV字状に構成され、図では仰角θ1を45°に設定し、俯角θ2を30°に設定しているが、これに限定されるものではない。
【0028】
図3に示すリール12は、スプール14を備えるリール本体15と、リール本体15を竿11の取付部11Aに固定するためのリールフット13とを備えている。リールフット13は、竿11の取付部11Aに固定される前後に長い固定部13Aと、この固定部13Aとリール本体15とを連結する縦向きの連結部13Bとから構成されている。
【0029】
前述のように構成された手袋1を装着した右手で、
図3に示すように、竿11を握った状態において、リール12のリールフット13の連結部13Bを2本の指部(
図3では中指部と薬指部と)8,9の互いに対向する側面部83,94(
図4参照)で挟み込んで竿11を保持する。この状態で釣れた魚を取り込むためにリール12のハンドル12Hを左手で操作して巻き上げる際に、2本の指部8,9の側面部83,94にリールフット13から大きな反力(衝撃力)を受けることになるが、この反力を
図4に示すように、側面部83,94に備えたクッション材83C,94Cが良好に吸収して和らげることができる。
図4では、中指部8と薬指部9とでリールフット13の連結部13Bを挟み込んでいるが、薬指部9と小指部10とでリールフット13の連結部13Bを挟み込んだ場合でも同様に、2本の指部9,10の側面部93,102にリールフット13から大きな反力(衝撃力)を側面部93,102に備えたクッション材93C,102Cが良好に吸収して和らげることができる。また、この実施形態では、リールフット13の連結部13Bから受ける反力をクッション材83C,94Cが良好に吸収する他、リールフット13の固定部13Aに接触する内側部81,91に伝わる反力を、内側部81,91に備えるクッション材81C,91Cが良好に吸収して和らげることができる。
【0030】
本発明の手袋1は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、中指部8、薬指部9、小指部10を指の第1関節まで覆うことができる長さにし、それら三本の指部8,9,10の互いに隣り合う側面部83,94、93,102にクッション材83C,94C,102Cを備えたが、
図5(a),(b)に示すように、中指部8、薬指部9を指の第1関節まで覆うことができる長さにし、それら二本の指部8,9の互いに隣り合う側面部83,94にクッション材を備えて実施してもよい。また、二本の指部(
図5(a),(b)では、中指部8と薬指部9)の互いに隣り合う側面部83,94のうちの一方の側面部83又は94にのみクッション材を備えて実施することもできる。また、
図5(a),(b)では、クッション材を備えていない人差し指部7及び小指部10を第2関節で切断した長さにしている。また、五本の指部の長さは、どのような長さに設定してもよく、要するに、クッション材を備える指部は、指の付け根から第1関節以上の長さであれば、どのような長さであってもよい。勿論、クッション材を備えていない指部は、どのような長さであってもよい。
【0031】
また、前記実施形態では、五本の指部を備えた手袋を示したが、五本全てを備えている手袋でなくてもよい。要するに、隣り合う複数本(二本以上)の指部を備えた手袋であればよい。
【0032】
また、前記実施形態では、例えば隣り合う指部8,9の相対向する側面部83,94のそれぞれに、クッション材83C,94Cを設けたが、
図6に示すように、隣り合う指部の相対向する側面部83,94の一方の側面部83から他方の側面部94まで亘る長さのクッション材16を設けてもよい。このクッション材16は、指部の付け根の部分Dの厚みdを他の部分83D,94Dの厚みd1よりも薄くして実施することが好ましい。
【符号の説明】
【0033】
1…手袋、2…甲部、3…掌部、4…手袋本体、5…手首部、6,7,8,9,10…指部、11…竿、11A…取付部、12…リール、12 リールフット
12A…固定部、12H…ハンドル、13…リールフット、13A…固定部、13B…連結部、14…スプール、15…リール本体、16…クッション材、81,91…内側部、81A,81B,91A,91B…生地、81C,91C…クッション材、82…外側部、82A,82B,82C…生地、83,84,94…側面部、83V,94V…クッション材、83A,83B…生地、83C…クッション材、83t…指先側端部