特許第6251610号(P6251610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251610
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】電力融通システム、及び電力融通方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20171211BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20171211BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20171211BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H02J3/46
   H02J3/38 130
   H02J3/32
   H02J1/00 306K
   H02J1/00 304D
【請求項の数】11
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-50008(P2014-50008)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-177575(P2015-177575A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 英徳
(72)【発明者】
【氏名】則竹 政俊
(72)【発明者】
【氏名】津村 哲史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 圭一
(72)【発明者】
【氏名】早川 慶朗
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−130977(JP,A)
【文献】 特開2002−044870(JP,A)
【文献】 雪田和人,分散型電源を導入した小規模系統における給電手法の開発,技術開発ニュース,中部電力,2012年12月,No.147,pp.3-4
【文献】 Masatoshi Noritake et al.,Operation algorithm of DC microgrid for achieving local production for local consumption of renewable energy,INT ELEC 2013,2013年10月17日,pp.411-416
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00−5/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統の受電点となり該商用電力系統から商用電力の供給を受ける第1クラスタ部と、前記第1クラスタ部を経由して前記商用電力の供給を受ける1又は複数の第2クラスタ部と、で構成される電力融通システムであって、
前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部とのそれぞれは、発電装置及び負荷装置、又は蓄電装置及び前記負荷装置を備え、
前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部との間、及び前記複数の第2クラスタ部の間において、交流電力により電力の融通直流電力により電力の融通の両方を可能とし、
前記第1クラスタ部と前記複数の第2クラスタ部の内の少なくとも発電装置及び負荷装置を備える何れかのクラスタ部は、
前記何れかのクラスタ部内の前記発電装置による交流発電電力量と直流発電電力量と、前記何れかのクラスタ部内の交流の消費電力との関係に基づいて、交流電力のみを融通するモードと、直流電力のみを融通するモードと、交流電力と直流電力との両方を融通するモードの内から選択されたモードにより、前記何れかのクラスタ部から他のクラスタ部に電力の融通を行う
ことを特徴とする電力融通システム。
【請求項2】
前記何れかのクラスタ部は、
前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部との間、及び前記複数の第2クラスタ部の間において電力を融通する際に、
前記交流電力のみを融通するモードと、前記直流電力のみを融通するモードと、前記交流電力と前記直流電力との両方を融通するモードとを選択可能に構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の電力融通システム。
【請求項3】
前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部との間は、交流電力の給電経路となるACバスで接続されるとともに、直流電力の給電経路となるDCバスで接続されており、
前記第1クラスタ部及び前記第2クラスタ部の間で、前記ACバスを介して前記交流電力を融通し、前記DCバスを介して前記直流電力を融通する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力融通システム。
【請求項4】
前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部とは、
交流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う双方向交直変換部と、
直流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う双方向直流変換部と、
を備え、
前記双方向交直変換部は、
前記ACバスから供給された交流電力をクラスタ部の内部の給電経路に配電する直流電力に変換し、該変換した直流電力を直流負荷装置に供給するとともに、該変換した直流電力を前記蓄電装置に蓄える動作モードと、
自クラスタ部が備える前記発電装置又は前記蓄電装置から供給される直流電力を前記融通する交流電力に変換し、該交流電力を前記ACバスに供給する動作モードと、
を備え、
前記双方向直流変換部は、
前記DCバスから供給された直流電力をクラスタ部の内部の給電経路に配電する直流電力に変換し、該変換した直流電力を直流負荷装置に供給するとともに、該変換した直流電力を前記蓄電装置に蓄える動作モードと、
前記発電装置及び前記蓄電装置から供給される直流電力を前記融通する直流電力に変換し、該直流電力を前記DCバスに供給する動作モードと、
を備えることを特徴とする請求項3記載の電力融通システム。
【請求項5】
前記第1クラスタ部は、
第1発電装置から供給される電力を交流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させる第1パワーコンディショナと、
前記第1パワーコンディショナの接続先に、前記ACバスに電力を供給する給電経路と前記商用電力系統に電力を供給する給電経路とを含み、前記ACバスに電力を供給する給電経路と前記商用電力系統に電力を供給する給電経路とを切り替える第1切替部と、
を備え、
前記第1切替部は、
前記第1パワーコンディショナから前記ACバスに電力を供給する場合に、
前記第1パワーコンディショナの接続先を、前記ACバスに電力を供給する給電経路にする
ことを特徴とする請求項4に記載の電力融通システム。
【請求項6】
前記第1クラスタ部は、
第2発電装置から供給される電力を直流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させる第2パワーコンディショナと、
前記第2パワーコンディショナの接続先に、前記DCバスに電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを含み、前記DCバスに電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを切り替える第2切替部と、
を備え、
前記第2切替部は、
前記第2パワーコンディショナから前記DCバスに電力を供給する場合に、
前記第2パワーコンディショナの接続先を、前記DCバスに電力を供給する給電経路にする
ことを特徴とする請求項5に記載の電力融通システム。
【請求項7】
前記第2クラスタ部は、
第3発電装置から供給される電力を交流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させる第3パワーコンディショナと、
前記第3パワーコンディショナの接続先に、前記ACバスに電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に交流電力を配電する給電経路とを含み、前記ACバスに電力を供給する給電経路と前記自クラスタ部の内部に交流電力を配電する給電経路とを切り替える第3切替部と、
を備え、
前記第3切替部は、
前記第3パワーコンディショナから前記ACバスに電力を供給する場合に、
前記第3パワーコンディショナの接続先を、前記ACバスに電力を供給する給電経路にする
ことを特徴とする請求項6に記載の電力融通システム。
【請求項8】
前記第2クラスタ部は、
第4発電装置から供給される電力を直流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させる第4パワーコンディショナと、
前記第4パワーコンディショナの接続先に、前記DCバスに電力を供給する給電経路と、自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを含み、前記DCバスに電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを切り替える第4切替部と、
を備え、
前記第4切替部は、
前記第4パワーコンディショナから前記DCバスに電力を供給する場合に、
前記第4パワーコンディショナの接続先を、前記DCバスに電力を供給する給電経路にする
ことを特徴とする請求項7に記載の電力融通システム。
【請求項9】
前記第1クラスタ部及び前記第2クラスタ部において、
前記ACバスを介して交流融通を行うか、前記DCバスを介して直流融通を行うか、又は、前記ACバスを介しての交流融通と前記DCバスを介しての直流電力との両方を行うかを決定する際には、
前記双方向交直変換部において交流電力と直流電力との間で変換を行う際に、当該直流電力の供給方向によって定める
ことを特徴とする請求項4から請求項8のいずれか一項に記載の電力融通システム。
【請求項10】
前記第1クラスタ部及び前記第2クラスタ部は、
前記ACバスを介して交流融通を行うか、前記DCバスを介して直流融通を行うか、又は、前記ACバスを介しての交流融通と前記DCバスを介しての直流融通との両方を行うかの選択を、
前記第1クラスタ部及び前記第2クラスタ部のうち供給元に当たるクラスタ部が備える前記蓄電装置の蓄電池残容量に応じて実施する
ことを特徴とする請求項から請求項8のいずれか一項に記載の電力融通システム。
【請求項11】
商用電力系統の受電点となり該商用電力系統から商用電力の供給を受ける第1クラスタ部と、前記第1クラスタ部を経由して前記商用電力の供給を受ける1又は複数の第2クラスタ部と、で構成されるとともに、前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部とのそれぞれは、発電装置及び負荷装置、又は蓄電装置及び前記負荷装置を備え、それぞれが発電装置と蓄電装置と負荷装置とのうちの何れか又は全部を備える電力融通システムにおける電力融通方法であって、
前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部との間、及び前記複数の第2クラスタ部の間において、交流電力により電力の融通、直流電力により電力の融通の両方を可能とし、
前記第1クラスタ部と前記複数の第2クラスタ部の内の少なくとも発電装置及び負荷装置を備える何れかのクラスタ部は、
前記何れかのクラスタ部内の前記発電装置による交流発電電力量と直流発電電力量と、前記何れかのクラスタ部内の交流の消費電力との関係に基づいて、前記交流電力と前記直流電力の少なくとも一方を他のクラスタ部に融通可能であることを識別し、前記何れかのクラスタ部から前記他のクラスタ部に電力の融通を行う
ことを特徴とする電力融通方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のクラスタ(需要家)間で電力を融通する、電力融通システム、及び電力融通方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電や風力発電のような自然エネルギーを利用した再生可能エネルギー利用の分散型電源の導入が活発に行われている。しかし、その発電電力は天候や気象状況に大きく左右されるため、需要電力とのマッチングがとりにくく、発電電力が需要電力より多い場合には再生可能エネルギー利用の分散型電源による発電を停止したり、擬似負荷で消費させたり、または商用系統に逆流させる必要があり、自然エネルギーを十分に利用できないことが多かった。そこで、複数のクラスタ(需要家間)間で電力のエネルギー需給を効率良くマッチングさせる電力融通システムが注目されている。
【0003】
例えば、電力システムの電力量融通制御方法が開示されている(特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の電力システムの電力システムの電力量融通制御方法では、複数の需要家間で電力量融通制御装置を介して電力量の融通制御を行う。複数の需要家間で融通する電力は、蓄電部に充電された電力である。蓄電部に充電された電力貯蔵残量に応じて蓄電部に充電された電力を直流で需要家内の負荷へ供給する電力供給、及び電力供給停止の制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−288162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電力量融通制御方法によって、蓄電部に充電された電力を直流で融通することができるとしても、同文献では交流で融通することについて言及されていない。このため、複数の需要家間において再生可能エネルギーの相互連携を図り、電力の利用効率を高める上での障害になっていた。
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、複数のクラスタ(需要家間)間において電力の利用効率を高めることができる、電力融通システム、及び電力融通方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の電力融通システムは、商用電力系統の受電点となり該商用電力系統から商用電力の供給を受ける第1クラスタ部と、前記第1クラスタ部を経由して前記商用電力の供給を受ける1又は複数の第2クラスタ部と、で構成される電力融通システムであって、前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部とのそれぞれは、発電装置及び負荷装置、又は蓄電装置及び前記負荷装置を備え、前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部との間、及び前記複数の第2クラスタ部の間において、交流電力により電力の融通直流電力により電力の融通の両方を可能とし、前記第1クラスタ部と前記複数の第2クラスタ部の内の少なくとも発電装置及び負荷装置を備える何れかのクラスタ部は、前記何れかのクラスタ部内の前記発電装置による交流発電電力量と直流発電電力量と、前記何れかのクラスタ部内の交流の消費電力との関係に基づいて、前記交流電力と前記直流電力の少なくとも一方を他のクラスタ部に融通可能であることを識別し、前記何れかのクラスタ部から前記他のクラスタ部に電力の融通を行うことを特徴とする。
【0007】
また、上記電力融通システムにおいて、第1クラスタ部と前記第2クラスタ部との間は、交流電力の給電経路となるACバスで接続されるとともに、直流電力の給電経路となるDCバスで接続されており、前記第1クラスタ部及び前記第2クラスタ部の間で、前記ACバスを介して前記交流電力を融通し、前記DCバスを介して前記直流電力を融通することを特徴とする。
【0008】
また、上記電力融通システムにおいて、前記何れかのクラスタ部は、前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部との間、及び前記複数の第2クラスタ部の間において電力を融通する際に、前記交流電力のみを融通するモードと、前記直流電力のみを融通するモードと、前記交流電力と前記直流電力との両方を融通するモードとを選択可能に構成されることを特徴とする。
【0009】
また、上記電力融通システムにおいて、前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部とは、交流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う双方向交直変換部と、直流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う双方向直流変換部と、を備え、前記双方向交直変換部は、前記ACバスから供給された交流電力をクラスタ部の内部の給電経路に配電する直流電力に変換し、該変換した直流電力を直流負荷装置に供給するとともに、該変換した直流電力を前記蓄電装置に蓄える動作モードと、自クラスタ部が備える前記発電装置又は前記蓄電装置から供給される直流電力を前記融通する交流電力に変換し、該交流電力を前記ACバスに供給する動作モードと、を備え、前記双方向直流変換部は、前記DCバスから供給された直流電力をクラスタ部の内部の給電経路に配電する直流電力に変換し、該変換した直流電力を直流負荷装置に供給するとともに、該変換した直流電力を前記蓄電装置に蓄える動作モードと、前記発電装置及び前記蓄電装置から供給される直流電力を前記融通する直流電力に変換し、該直流電力を前記DCバスに供給する動作モードと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記電力融通システムにおいて、前記第1クラスタ部は、第1発電装置から供給される電力を交流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させる第1パワーコンディショナと、前記第1パワーコンディショナの接続先に、前記ACバスに電力を供給する給電経路と前記商用電力系統に電力を供給する給電経路とを含み、前記ACバスに電力を供給する給電経路と前記商用電力系統に電力を供給する給電経路とを切り替える第1切替部と、を備え、前記第1切替部は、前記第1パワーコンディショナから前記ACバスに電力を供給する場合に、前記第1パワーコンディショナの接続先を、前記ACバスに電力を供給する給電経路にすることを特徴とする。
【0011】
また、上記電力融通システムにおいて、前記第1クラスタ部は、第2発電装置から供給される電力を直流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させる第2パワーコンディショナと、前記第2パワーコンディショナの接続先に、前記DCバスに電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを含み、前記DCバスに電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを切り替える第2切替部と、を備え、前記第2切替部は、前記第2パワーコンディショナから前記DCバスに電力を供給する場合に、前記第2パワーコンディショナの接続先を、前記DCバスに電力を供給する給電経路にすることを特徴とする。
【0012】
また、上記電力融通システムにおいて、前記第2クラスタ部は、第3発電装置から供給される電力を交流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させる第3パワーコンディショナと、前記第3パワーコンディショナの接続先に、前記ACバスに電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に交流電力を配電する給電経路とを含み、前記ACバスに電力を供給する給電経路と前記自クラスタ部の内部に交流電力を配電する給電経路とを切り替える第3切替部と、を備え、前記第3切替部は、前記第3パワーコンディショナから前記ACバスに電力を供給する場合に、前記第3パワーコンディショナの接続先を、前記ACバスに電力を供給する給電経路にすることを特徴とする。
【0013】
また、上記電力融通システムにおいて、前記第2クラスタ部は、第4発電装置から供給される電力を直流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させる第4パワーコンディショナと、前記第4パワーコンディショナの接続先に、前記DCバスに電力を供給する給電経路と、自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを含み、前記DCバスに電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを切り替える第4切替部と、を備え、前記第4切替部は、前記第4パワーコンディショナから前記DCバスに電力を供給する場合に、前記第4パワーコンディショナの接続先を、前記DCバスに電力を供給する給電経路にすることを特徴とする。
【0014】
また、上記電力融通システムにおいて、前記第1クラスタ部及び前記第2クラスタ部において、前記ACバスを介して交流融通を行うか、前記DCバスを介して直流融通を行うか、又は、前記ACバスを介しての交流融通と前記DCバスを介しての直流電力との両方を行うかを決定する際には、前記双方向交直変換部において交流電力と直流電力との間で変換を行う際に、当該直流電力の供給方向によって定めることを特徴とする。
【0015】
また、上記電力融通システムにおいて、前記第1クラスタ部及び前記第2クラスタ部は、前記ACバスを介して交流融通を行うか、前記DCバスを介して直流融通を行うか、又は、前記ACバスを介しての交流融通と前記DCバスを介しての直流融通との両方を行うかの選択を、前記第1クラスタ部及び前記第2クラスタ部のうち供給元に当たるクラスタ部が備える前記蓄電装置の蓄電池残容量に応じて実施することを特徴とする。
【0016】
また本発明の電力融通方法は、商用電力系統の受電点となり該商用電力系統から商用電力の供給を受ける第1クラスタ部と、前記第1クラスタ部を経由して前記商用電力の供給を受ける1又は複数の第2クラスタ部と、で構成されるとともに、前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部とのそれぞれは、発電装置及び負荷装置、又は蓄電装置及び前記負荷装置を備え、それぞれが発電装置と蓄電装置と負荷装置とのうちの何れか又は全部を備える電力融通システムにおける電力融通方法であって、前記第1クラスタ部と前記第2クラスタ部との間、及び前記複数の第2クラスタ部の間において、交流電力により電力の融通、直流電力により電力の融通の両方を可能とし、前記第1クラスタ部と前記複数の第2クラスタ部の内の少なくとも発電装置及び負荷装置を備える何れかのクラスタ部は、前記何れかのクラスタ部内の前記発電装置による交流発電電力量と直流発電電力量と、前記何れかのクラスタ部内の交流の消費電力との関係に基づいて、前記交流電力と前記直流電力の少なくとも一方を他のクラスタ部に融通可能であることを識別し、前記何れかのクラスタ部から前記他のクラスタ部に電力の融通を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のクラスタ(需要家)間において電力の利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る電力融通システム1の概略構成を示す構成図である。
図2】発電装置141とPCSAC150の構成例を示す構成図である。
図3】変換装置A120と変換装置D130の構成例を示す構成図である。
図4】変換装置B220の構成例を示す構成図である。
図5図1に示す電力融通システムの変形例を示す構成図である。
図6】電力融通システムにおける電力融通の制御動作の概要を示す説明図である。
図7】クラスタ部における電力融通動作について説明するための説明図である。
図8】蓄電装置の蓄電池残容量SOCに応じてAC融通とDC融通を選択する例を示す説明図である。
図9】切替部を用いて交流融通及び直流融通を行う場合の例を示す説明図である。
図10】電力融通処理の手順を示すフローチャートである。
図11】AC融通モードとDC融通モードの起動処理の例を示す説明図である。
図12】DC融通モードの終了処理の手順を示すフローチャートである。
図13】AC融通モードの終了処理の手順を示すフローチャートである。
図14】AC融通モードの終了の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
(電力融通システム1の概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る電力融通システム1の概略構成を示す構成図である。この電力融通システム1は、図1に示すように、親クラスタ部100と、この親クラスタ部100の配下に置かれる複数の子クラスタ部200及び子クラスタ部300とを、ACバス31とDCバス32とを介して接続し、電力を融通するようにしたものである。また、子クラスタ部300には、子クラスタ部400がカスケード接続されている。
【0020】
なお、ACバス31は、親クラスタ部100と、複数の子クラスタ部200及び300とを共通接続して交流電力を融通するための給電バスとなる給電経路であり、以下の説明では、ACバス31を一次側ACバス31と呼ぶことがある。また、DCバス32は、親クラスタ部100と、複数の子クラスタ部200及び300とを共通接続して直流電力を融通するための給電バスとなる給電経路であり、以下の説明では、DCバス32を一次側DCバス32と呼ぶことがある。また、親クラスタ部100、子クラスタ部200、子クラスタ部300、及び子クラスタ部400の内部において、交流電力を配電する給電経路を二次側ACバスと呼び、直流電力を配電する給電経路を二次側DCバスと呼ぶことがある。
【0021】
この電力融通システム1において、親クラスタ部100、子クラスタ部200、子クラスタ部300、及び子クラスタ部400の各制御部は、通信網12を介して、エネルギー管理装置(EMS)11に接続されている。このエネルギー管理装置(EMS)11は、各クラスタ部における電力の給電状態を監視するとともに、各クラスタ部の制御部に指令信号を送信してその動作を制御する。例えば、エネルギー管理装置(EMS)11は、各クラスタにおける電力消費量と、発電装置の発電量と、蓄電装置の蓄電池残容量SOC(State Of Charge)の情報を収集し、この収集した情報に基づいて、各クラスタ部間における電力消費のバランスを取るように電力融通の制御を行う。
【0022】
なお、本実施形態における用語「クラスタ」とは、再生可能エネルギー利用の分散型電源から構成される発電装置及び負荷装置、又は蓄電装置及び負荷装置を備える需要家を1単位(例えば、ビル単位の需要家)とする電力クラスタ(Electricity Cluster)を意味している。
例えば、親クラスタ部100と、子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400とのそれぞれは、再生可能エネルギーを利用する発電装置(例えば、太陽光発電装置)と、エネルギー貯蔵システムとなる蓄電装置と、需要家の負荷装置とから成る。
【0023】
上記電力融通システム1において、親クラスタ部100は、遮断器(CB)101、変圧器102、制御部110、変換装置A120、変換装置D130、発電装置141、発電装置142、交流負荷装置143、直流負荷装置144、蓄電装置145、パワーコンディショナ(PCSAC)150、パワーコンディショナ(PCSDC)150A、分電盤161、分電盤162、及び切替部160を備えている。
なお、以下の説明において、交流電力を出力するパワーコンディショナ(PCSAC)を、単に「PCSAC」と呼び、直流電力を出力するパワーコンディショナ(PCSDC)を、単に「PCSDC」と呼ぶことがある。
【0024】
この親クラスタ部100において、変圧器102は、商用電力系統2から供給される高圧交流電圧(例えば、3相AC6600V)を所定の低圧交流電圧(例えば、3相AC400V)に降圧し、この低圧交流電圧を変換装置A120に供給する。
【0025】
制御部110は、この親クラスタ部100の全体の動作を統括して制御する制御部である。制御部110は、例えば、マイクロコンピュータとその周辺回路とを用いて構成されており、親クラスタ部100の各部に設置した図示していない電流や電圧の検知部で検知された電流や電圧の検知信号に応じて変換装置A120と変換装置D130と切替部160の動作を制御する。また、制御部110は、発電装置の発電量と、蓄電装置の蓄電池残容量SOCの情報を収集し、この収集した情報を、エネルギー管理装置(EMS)11に対して送信する。
【0026】
変換装置A120は、交流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う変換装置であり、変換装置D130は、直流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う変換装置である。この変換装置A120と変換装置D130の構成については後述する。
この変換装置A120には給電経路175を介して分電盤161が接続され、また、給電経路172を介して分電盤162が接続される。分電盤161には、不図示の過電流遮断器(ブレーカ)を介して、一次側ACバス31と、交流負荷装置143と、切替部160の一端とが接続される。
また、分電盤162には、不図示の過電流遮断器(ブレーカ)を介して、蓄電装置145と、PCSDC150Aと、直流負荷装置144とが接続される。なお、直流負荷装置144は、直流電力によって動作する装置であり、例えば、直流家電、LED照明、パソコンやサーバなどの情報機器等である。
なお、分電盤161は、交流電力の分電盤であり、分電盤162は、直流電力の分電盤である。
【0027】
発電装置141及び142は、例えば、太陽光発電、風力発電等の自然エネルギー型の発電装置や、エンジン発電装置や、燃料電池等である。パワーコンディショナ(PCSAC)150は、発電装置141の発電電力を所定の交流電力に変換して出力する。また、パワーコンディショナ(PCSDC)150Aは、発電装置142の発電電力を所定の直流電力に変換して出力する。発電装置141及び142の構成と、PCSAC150及びPCSDC150Aの構成については後述する。
【0028】
蓄電装置145は、分電盤162に接続される。この蓄電装置145は、例えば、リチウムイオン電池、鉛電池、ニッケル水素電池等の2次電池を備える。この蓄電装置145は、PCSDC150Aを介して発電装置142から出力される電力によって充電される。また、蓄電装置145は、変換装置A120から出力される直流電流Idcにより充電される。この蓄電装置145は、商用電力系統2から交流電圧(AC6600V)が供給されない停電時には、蓄えた電荷により、分電盤162を介して直流負荷装置144に電力を供給するとともに、分電盤162と変換装置A120とを介して、交流負荷装置143と一次側ACバス31とに電力を供給する。また、蓄電装置145は、分電盤162と変換装置D130を介して、一次側DCバス32に電力を供給することもできる。
【0029】
切替部160は、1c接点で構成され、共通接点cと接点aとによりメーク接点が構成され、共通接点cと接点bとによりブレーク接点が構成されている。この切替部160における接点の開閉動作は制御部110から出力される開閉信号(不図示)により制御され、共通接点cと接点aが導通する状態(共通接点cと接点bは非導通)と、共通接点cと接点bが導通する状態(共通接点cと接点aは非導通)との何れかの状態が選択される。
そして、共通接点cには、発電装置141がPCSAC150を介して接続されており、接点bには、分電盤161に繋がる給電経路174が接続されており、接点aには、変圧器102の二次側に繋がる給電経路171が接続されている。
【0030】
そして、切替部160において、接点bと共通接点cとが導通状態にされる場合、発電装置141で発電された電力が、給電経路174を介して分電盤161に出力される。また、切替部160において、接点aと共通接点cが導通状態にされる場合に、発電装置141で発電された電力が、余剰電力として、変圧器102を介して、商用電力系統2側に供給される。
なお、切替部160では、機械式接点を用いたスイッチの例を示しているが、実際には、切替部160は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子を用いた半導体スイッチで構成されている。後述する親クラスタ部100の切替部160A(図5)や、子クラスタ部200の切替部260や、切替部260A(図5)や、子クラスタ部300の切替部360や、子クラスタ部400の切替部460等についても同様である。
【0031】
子クラスタ部200、子クラスタ部300、及び子クラスタ部400は、商用電力系統2の受電点を有しない点を除いて、基本的な構成は親クラスタ部100と同様である。
例えば、子クラスタ部200は、制御部210、変換装置B220、発電装置241、発電装置242、交流負荷装置243、直流負荷装置244、蓄電装置245、PCSAC250、PCSDC250A、切替部260、分電盤261、及び分電盤262を備えている。
【0032】
この子クラスタ部200において、制御部210は、子クラスタ部200の全体の動作を統括して制御する制御部である。変換装置B220は、交流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行うとともに、直流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う変換装置である。この変換装置B220の構成については後述する。
この変換装置B220には、クラスタ内部の二次側ACバス41を介して分電盤261が接続され、又、クラスタ内部の二次側DCバス42を介して分電盤262が接続される。この分電盤261には、不図示の過電流遮断器(ブレーカ)を介して、交流負荷装置243と、切替部260の一端とが接続される。
【0033】
この切替部260は、親クラスタ部100の切替部160と同様に1c接点で構成されており、共通接点cには、発電装置241がPCSAC250を介して接続されており、切替部260の接点b側は、分電盤261に接続されており、切替部260の接点a側は、一次側ACバス31に接続されている。
【0034】
そして、切替部260において、接点bと共有接点cが導通状態とされる場合、発電装置241で発電された電力が、PCSAC250を介して分電盤261に出力される。また、切替部260において、接点aと共通接点cが導通状態とされる場合、発電装置241で発電された電力が、余剰電力として一次側ACバス31に出力される。
また、分電盤262には、不図示の過電流遮断器(ブレーカ)を介して、蓄電装置245と、PCSDC250Aと、直流負荷装置244とが接続されている。
【0035】
また、子クラスタ部300において、制御部310は、この子クラスタ部300の全体の動作を統括して制御する制御部である。変換装置E320は、交流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行うとともに、直流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う変換装置である。この変換装置E320の構成については後述する。
この変換装置E320には、クラスタ内部の二次側ACバス51を介して分電盤361が接続され、又、二次側DCバス52を介して、分電盤362が接続される。この分電盤361には、不図示の過電流遮断器(ブレーカ)を介して、交流負荷装置343と、切替部360の一端とが接続されている。
【0036】
切替部360は、子クラスタ部200の切替部260と同様に、不図示の1c接点で構成されており、共通接点cには、発電装置341がPCSAC350を介して接続されており、切替部360の接点b側は、分電盤361に接続されており、切替部360の接点a側は、一次側ACバス31に接続されている。
【0037】
そして、切替部360において、不図示の接点bと共通接点cが導通状態とされる場合に、発電装置341で発電された電力が、分電盤361に出力される。また、切替部360において、不図示の接点aと共通接点cが導通状態とされる場合に、発電装置341で発電された電力が、余剰電力として一次側ACバス31に出力される。
また、分電盤362には、不図示の過電流遮断器(ブレーカ)を介して、蓄電装置345と、直流負荷装置344とが接続されている。
【0038】
また、子クラスタ部400は、子クラスタ部300にカスケード接続されるクラスタである。この子クラスタ部400において、制御部410は、この子クラスタ部400の全体の動作を統括して制御する制御部である。変換装置C420は、交流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行うとともに、直流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う変換装置である。この変換装置C420の構成については後述する。
この変換装置C420は、二次側ACバス61及び二次側DCバス62を介して、子クラスタ部300と接続される。なお、二次側ACバス61は、子クラスタ部300において、分電盤361を介して二次側ACバス51に接続されている。また、二次側DCバス62は、子クラスタ部300において、分電盤362を介して二次側DCバス52に接続されている。また、この変換装置C420には、分電盤461と、分電盤462とが接続される。また、分電盤461には、不図示の過電流遮断器(ブレーカ)を介して、交流負荷装置443と、切替部460の一端とが接続されている。また、分電盤462には、不図示の過電流遮断器(ブレーカ)を介して、蓄電装置445と直流負荷装置444とが接続されている。
【0039】
切替部460は、子クラスタ部200の切替部260と同様に、不図示の1c接点で構成されており、共通接点cには、発電装置441がPCSAC450を介して接続されている。切替部460の接点bは、分電盤461に接続されており、切替部460の接点aは、二次側ACバス61に接続されている。
【0040】
そして、切替部460において、不図示の接点bと共通接点cが導通状態とされる場合、発電装置441で発電された電力が、給電経路71を介して分電盤461に出力される。また、切替部460において、不図示の接点aと共通接点cが導通状態とされる場合、発電装置441で発電された電力が、余剰電力として、二次側ACバス61に出力される。
【0041】
(発電装置とパワーコンディショナの構成)
次に、親クラスタ部100の発電装置141とPCSAC150の構成について説明する。なお、子クラスタ部200の発電装置241とPCSAC250、子クラスタ部300の発電装置341とPCSAC350、及び子クラスタ部400の発電装置441とPCSAC450についても同様な構成である。
【0042】
図2は、発電装置141とPCSAC150の構成例を示す構成図である。この図2(A)に示す例は、発電装置141として、太陽電池アレイ141aを用いた例を示しており、PCSAC150は、発電量制御部151と、系統連系制御部152と、DC/ACコンバータ(インバータ)153と、変圧器154と、を備える。
【0043】
発電量制御部151は、発電装置141から最大電力を取り出すために、太陽電池アレイ141aのI−V(電流−電圧)特性において、太陽電池アレイ141aの出力を最大とする動作点(最大電力点)を制御する。太陽電池アレイ141aは、接続されている負荷が実際に必要としている電圧によって最大電力点がずれる。I−V特性は、日射強度やモジュール温度や状態等によって変化することから、最大電力を得るためには、最適な電圧又は電流を自動で追従しなければならない。そこで、発電量制御部151は、太陽電池アレイ141aを、最大電力点で動作させるように制御する。
【0044】
また、系統連系制御部152は、DC/ACコンバータ(インバータ)153の出力電圧の位相を調整することにより、一次側ACバス31に対して連系させてPCSAC150から出力される電力を給電できるように制御する。このDC/ACコンバータ(インバータ)153は、太陽電池アレイ141aから出力される直流電圧を交流電圧に変換し、この交流電圧を、変圧器154を介して、一次側ACバス31に供給するためのインバータである。
【0045】
なお、PCSAC150は、商用電力系統2において停電が発生すると、一旦その動作を停止する。その後、バックアップ用の蓄電装置145から変換装置A120を介してACバス31への電力の供給が開始され、やがてこの蓄電装置145に蓄積された電荷が不足又は枯渇し、蓄電装置145からACバス31に電力を供給できなくなると、PCSAC150は、再び起動する。つまり、PCSAC150は、商用電力系統2の停電時において、蓄電装置145からACバス31に電力の供給ができなくなると起動し、発電装置141が発電した電力をACバス31に供給する。なお、この場合のPCSAC150は系統に連系する動作モードではなく、自立して電力を供給するモードで動作することは言うまでもない。
【0046】
また、図2(B)は、発電装置142とPCSDC150Aの構成例を示す構成図である。なお、子クラスタ部200の発電装置242とPCSDC250Aについても同様な構成である。
この図2(B)に示す例では、図2(A)に示す例と同様に、発電装置142として太陽電池アレイ142aを用いた例を示している。そして、PCSDC150Aは、発電量制御部151と、系統連系制御部152Aと、DC/DCコンバータ155とを備える。
系統連系制御部152Aは、DC/DCコンバータ155の出力電圧を調整することにより、分電盤162に直流電力を供給する。
【0047】
(変換装置A120と変換装置D130の構成)
図3は、変換装置A120と変換装置D130の構成例を示す構成図である。
変換装置A120は、図3(A)に示すように、双方向交直変換部(双方向AC/DC変換部)121と、スイッチ部(SW)122とを備える。
この変換装置A120は、スイッチ部122が閉状態の場合、破線aに示す方向に沿って、変圧器102から出力される商用の交流電圧(例えば、AC400V)を、分電盤161を介して、一次側ACバス31に出力する。また、商用電力系統2に停電が発生した場合、制御部110は、スイッチ部122を遮断して、変換装置A120の負荷側を商用電力系統2から解列する(すなわち切り離す)。
【0048】
また、双方向交直変換部121は、AC/DCコンバータ機能とDC/ACコンバータ(インバータ)機能とを備える。双方向交直変換部121は、AC/DCコンバータ機能により、破線bに示す方向に沿って、変圧器102から入力される交流電力を直流電力に変換し、クラスタ部内の直流電力の給電経路172を介して分電盤162に向けて出力する。
【0049】
また、双方向交直変換部121は、DC/ACコンバータ(インバータ)機能により、破線cに示す方向に沿って、発電装置142及び蓄電装置145から供給される直流電力を一次側ACバス31に融通する交流電力に変換し、この交流電力を一次側ACバス31に出力する。
また、双方向交直変換部121は、AC/DCコンバータ機能により、破線dに示す方向に沿って、分電盤161を介して一次側ACバス31から入力される交流電力を直流電力に変換して、クラスタ部内の直流電力の給電経路172を介して分電盤162に出力する。
なお、親クラスタ部100内の発電装置141や発電装置142等の余剰電力を交流電力として一次側ACバス31に向けて出力する動作を「交流融通」又は「AC融通」と呼ぶことがある。子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400とについても同様である。
【0050】
また、図3(B)に示すように、変換装置D130は、双方向直流変換部(双方向DC/DC変換部)131を備え、DCバス32と分電盤162との間で、双方向に直流電力を変換して直流電力の受け渡しを行う。例えば、双方向直流変換部131は、破線eに示す方向に沿って、発電装置142及び蓄電装置145から供給される直流電力を一次側DCバス32に融通する直流電力に変換し、この直流電力を一次側DCバス32に出力する。
また、双方向直流変換部131は、破線fに示す方向に沿って、一次側DCバス32から直流電力を入力し、この直流電力をクラスタ部内に配電する直流電力に変換し、給電経路173を介して分電盤162に出力する。
なお、親クラスタ部100内の発電装置142や蓄電装置145等の余剰電力を直流電力として一次側DCバス32に向けて出力する動作を「直流融通」又は「DC融通」と呼ぶことがある。子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400とについても同様である。
【0051】
(変換装置B220と変換装置E320と変換装置C420の構成)
次に、変換装置B220と変換装置E320と変換装置C420の構成について説明する。この変換装置B220と変換装置E320と変換装置C420とは、同じ構成の変換装置であるため、変換装置B220を代表として示し、この変換装置B220の構成について説明する。
図4は、変換装置B220の構成例を示す構成図である。
変換装置B220は、図4に示すように、双方向交直変換部(双方向AC/DC変換部)221と、スイッチ部(SW)222と、双方向直流変換部(双方向DC/DC変換部)223とスイッチ部(SW)224とを備えている。双方向交直変換部221は、AC/DCコンバータにより、交流電力を直流電力に変換する機能と、DC/ACコンバータ(インバータ)により直流電力を交流電力に変換する機能を備えている。また、双方向直流変換部223は、DC/DCコンバータを備え、直流電力と直流電力との間で双方向に電力変換する機能を備えている。
【0052】
この変換装置B220は、スイッチ部222が閉状態の場合に、破線aに示す方向に沿って、一次側ACバス31から入力される交流電圧(例えば、AC400V)を、二次側ACバス41を介して分電盤261に出力する。また、変換装置B220は、スイッチ部222が閉状態の場合に、破線aに示す方向とは逆方向に、二次側ACバス41から一次側ACバス31に向けて交流電力を出力することができる。
また、双方向交直変換部(双方向AC/DC変換部)221は、スイッチ部222が閉状態の場合、破線bに示す方向に沿って、一次側ACバス31から供給される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を、二次側DCバス42を介して、分電盤262に出力することができる。
【0053】
また、双方向交直変換部221は、破線cに示す方向に沿って、二次側DCバス42から入力される直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を一次側ACバス31に供給することができる。また、双方向交直変換部221は、スイッチ部222が開状態の場合、破線dに示す方向に沿って、二次側DCバス42から入力される直流電力を交流電力に変換して二次側ACバス41に出力することができる。
【0054】
また、双方向直流変換部(双方向DC/DC変換部)223は、スイッチ部224が閉状態の場合に、破線eに示す方向に沿って、一次側DCバス32に供給されている直流電力をクラスタ部内の給電経路に配電する直流電力に変換し、二次側DCバス42に出力することができる。
また、双方向直流変換部223は、破線fに示す方向に沿って、二次側DCバス42に供給されている直流電力を一次側DCバス32に融通する直流電力に変換し、この変換した直流電力を一次側DCバス32に出力することができる。
【0055】
なお、図4において、変換装置B220内のスイッチ部222を開状態にし、切替部260の共通接点cと接点aとを導通させることにより、PCSAC250を一次側ACバス31に直接接続し、PCSAC250から一次側ACバス31に向けて交流電力を供給することができる。つまり、破線A1で示す経路に沿って、PCSAC250から一次側ACバス31に交流融通(AC融通)を行うことができる。このように、切替部260の共通接点cと接点aとを導通状態にすることにより、子クラスタ部200から一次側ACバス31にAC融通を行う際に、変換装置B220を経由することなく、PCSAC250から一次側ACバス31に直接電力を供給することができる。この切替部260を用いて交流融通を行う例については、後述する。
【0056】
(電力融通システム1の変形例)
また、図5は、図1に示す電力融通システムの変形例を示す構成図である。
この図5に示す電力融通システム1Aは、図1に示す電力融通システム1と比較して、
親クラスタ部100Aにおいて、図1に示す親クラスタ部100内の変換装置D130を省略した点と、切替部160Aを新たに追加した点が構成上で異なる。また、図5に示す子クラスタ部200A内に、新たに切替部260Aを追加した点が構成上で異なる。他の構成は、図1に示す電力融通システム1と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0057】
この電力融通システム1Aでは、親クラスタ部100Aに切替部160Aを追加することにより、PCSDC150Aの接続先を分電盤162するか、又は一次側DCバス32にするかを選択できるようにした点に特徴がある。また、子クラスタ部200A内に、新たに切替部260Aを追加することにより、PCSDC250Aの接続先を分電盤262にするか、又は一次側DCバス32にするかを選択できるようにした点に特徴がある。子クラスタ部300Aにおいても、子クラスタ部200Aと同様である。
【0058】
この図5に示す電力融通システム1Aでは、親クラスタ部100A内に切替部160Aを設けることにより、発電装置142からPCSDC150Aを介して出力される直流電力を、切替部160Aを介して、一次側DCバス32に直接連系して出力できる効果がある。また、子クラスタ部200A内に切替部260Aを設けることにより、発電装置242からPCSDC250Aを介して出力される直流電力を、一次側DCバス32に直接連系して出力できる効果がある。
【0059】
(電力融通システム1における電力融通制御処理)
次に、電力融通システムにおける電力融通制御処理について説明する。
上記構成の電力融通システム1においては、商用電力系統2の受電点となり該商用電力系統2から商用電力の供給を受ける親クラスタ部100と、子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400との各クラスタ同士は、一次側ACバス31と一次側DCバス32とを介して、互いに交流電力及び直流電力を融通できるように構成されている。そして、親クラスタ部100と、子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400との間で電力を融通する場合の方法として、交流電力のみの融通、直流電力のみの融通、又は直流電力と交流電力との両方の融通との3通りの融通方法を選択可能としている。
【0060】
図6は、電力融通システムにおける電力融通の制御動作の概要を示す説明図である。
この図6では、親クラスタ部100を例にとり電力融通の制御動作について説明するが、子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400とにおいても同様な制御動作が行われる。
図6に示す親クラスタ部100において、交流融通を行う場合は、PSAC150を介して出力される発電装置141の交流発電量Pacが余った場合であり、かつ、蓄電装置145が満充電又は満充電に近い状態の場合である。つまり、蓄電装置145の蓄電池残容量SOCが所定の閾値以上の場合である。
【0061】
より具体的には、発電装置141の交流発電量Pacが交流負荷装置143の交流消費電力Loadacよりも大きく(Pac>Loadac)、変換装置A120から分電盤162に流れる電流Idcが、図に示す充電方向に流れ、かつ蓄電装置145の蓄電池残容量SOCが所定の閾値以上である場合に、親クラスタ部100から他のクラスタに対して一次側ACバス31を介して交流融通が行われる。子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400についても同様である。
なお、図6における電流Idcは、蓄電装置145が負極接地されている場合の電流Idcの向きを示しており、この直流電流Idcの向きが直流電力を融通する向きを示している。つまり、直流系を正極接地とするか負極接地とするかで、GNDに対となる接続線の電流の向きが変化する。図6では、蓄電装置145が負極接地であるという条件の基での電流Idcの向きを示し、直流電流Idcの向きが直流電力を融通する向きと一致する場合の例である。
【0062】
また、直流融通(DC融通)を行う場合は、PCSDC150Aを介して出力される発電装置142の直流発電量Pdcが余った場合であり、かつ、蓄電装置145が満充電又は満充電に近い状態の場合である。つまり、蓄電装置145の蓄電池残容量SOCが所定の閾値以上の場合である。
より具体的には、発電装置142の直流発電量Pdcが直流負荷装置144の直流消費電力Loaddcよりも大きく(Pdc>Loaddc)、変換装置A120から分電盤162に流れる電流Idcが、図に示す放電方向に流れ、かつ蓄電装置145の蓄電池残容量SOCが所定の閾値以上である場合に、親クラスタ部100から他のクラスタに対して一次側DCバス32を介して直流融通が行われる。子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400についても同様である。
【0063】
このように、各クラスタ部の間で、PCSAC150から出力される交流電力が大きい場合に、交流融通を行い、PCSDC150Aから出力される直流電力が大きい場合に、直流融通を行うことを基本にしている。また、後述するように、交流融通と直流融通とを同時に行うこともできる。
なお、一次側ACバス31には、商用電力系統2から電力が供給される他、発電装置141や発電装置142や蓄電装置145からも電力が供給されるため、商用電力系統2が停電になった場合でも、すぐに一次側ACバス31が停電になることなく給電可能状態が維持される。一方、一次側DCバス32は直流融通時に限り給電されるものである。
【0064】
また、図7は、クラスタ部における電力融通動作について説明するための説明図である。この図7は、例えば、親クラスタ部100における交流発電量Pacと、交流負荷装置143の交流消費電力Loadacと、直流発電量Pdcと、直流負荷装置144の直流消費電力Loaddcと、電流Idcの方向と、蓄電装置145の状態と、に応じた電力の融通状態を表で示したものである。
【0065】
なお、この表において、符号「CS」は、親クラスタ部100の場合は、商用電力系統2から供給される交流電力である。
なお、子クラスタ部200、300、400においても、親クラスタ部100の場合と同様に適用可能であり、それぞれの場合の符号「CS」は、子クラスタ部200と、子クラスタ部300とにおいては、一次側ACバス31から供給される交流電力であり、子クラスタ部400においては、子クラスタ部300の二次側ACバス61から供給される交流電力である。
また、この表において、電流Idcは、電流Idcの方向が「充電方向」の場合に、変換装置A120から直流系の分電盤162に向けて直流電力が融通される状態を示し、電流Idcの方向が「放電方向」の場合に、直流系の分電盤162から変換装置A120に向けて直流電力が融通される状態を示している。
【0066】
この図7においては、後述する状態ST10及び状態ST11に示すように、例えば、親クラスタ部100の発電装置141のPCSAC150から出力される交流電力の発電量が交流負荷装置143の負荷電力よりも大きく、かつ、蓄電装置145が満充電の状態であり、さらに、電流Idcが充電方向(図6参照)に流れる場合に、一次側ACバス31を介して他クラスタ部に交流融通が行われる。
また、後述する状態ST13に示すように、発電装置142のPCSDC150Aから出力される直流電力の発電量が直流負荷装置144の負荷電力よりも大きく、かつ、蓄電装置145が満充電の状態であり、さらに電流Idcが放電方向(図6参照)に流れる場合に、一次側DCバス32を介して他クラスタ部に対して直流融通が行われる。子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400とにおいても同様である。
【0067】
以下、図7に示す表の状態ST1から状態ST14について説明する。
まず、状態ST1から状態ST3は、サブクラスタ消費の状態、つまり、クラスタ内の発電装置141から直流負荷装置144側に電力の融通が行われず、かつ、発電装置142と蓄電装置145から交流負荷装置143側に電力の融通が行われない状態を示している。
この状態ST1から状態ST3においては、交流発電量Pacと直流発電量Pdcに交流融通又は直流融通を行うほどの余裕がないため、交流融通と直流融通との両方とも行われない。
【0068】
そして、状態ST1は、交流発電量Pacと商用電力CSとの合計値「Pac+CS」が、交流負荷装置143における交流消費電力Loadacと等しい場合であり(Pac+CS=Loadac)、また、直流発電量Pdcが、直流負荷装置144における直流消費電力Loaddcよりも小さい場合である(Pdc<Loaddc)。
この状態ST1においては、直流消費電力Loaddcの不足分を補うために、蓄電装置145から直流負荷装置144に向けて放電方向にバッテリ電流Ibattを流す。また、蓄電装置145から変換装置A120に向けて直流電流Idcが流れず、Idcは0である。
【0069】
また、状態ST2は、「Pac+CS=Loadac」であり、かつ、直流発電量Pdcが、直流負荷装置144における直流消費電力Loaddcと等しい場合である(Pdc=Loaddc)。この状態ST2においては、電流Idcは0となり、また、蓄電装置145からの放電は行われない(Ibatt=0)。
また、状態ST3は、「Pac+CS=Loadac」であり、かつ、直流発電量Pdcが、直流負荷装置144における直流消費電力Loaddcよりも大きい場合である(Pdc>Loaddc)。この状態ST3においては、発電装置142から蓄電装置145に向けて充電方向の電流Ibattが流れる。
【0070】
また、状態ST4から状態ST8は、クラスタ内で電力融通が行われる場合を示している。例えば、親クラスタ部100において、PCSAC150から直流負荷装置144側に電力が融通され、又、PCSDC150Aや蓄電装置145から交流負荷装置143側に電力が融通される場合を示している。この状態ST4から状態ST8においては、交流発電量Pacと直流発電量Pdcに交流融通又は直流融通を行うほどの余裕がないため、交流融通と直流融通とが両方とも行われない。
【0071】
そして、状態ST4から状態ST6は、発電装置141による交流発電量Pacと商用電力系統2から供給される電力CSとの合計の電力量「Pac+CS」が交流負荷装置143における交流消費電力Loadacよりも小さい場合を示している。つまり、親クラスタ部100の内部で、発電装置142及び蓄電装置145から交流負荷装置143に交流電力の融通が行われる状態を示している。
【0072】
そして、状態ST4は、交流発電量Pacと商用電力CSとの合計値「Pac+CS」が、交流負荷装置143における交流消費電力Loadacよりも小さく(Pac+CS<Loadac)、かつ、直流発電量Pdcが、直流負荷装置144における直流消費電力Loaddcよりも小さい場合である(Pdc<Loaddc)。
この状態ST4においては、交流電力と直流電力の不足分を補うために、蓄電装置145から交流負荷装置143及び直流負荷装置144に向けて放電方向にバッテリ電流Ibattを流す。このため、蓄電装置145から変換装置A120に向けて放電方向に直流電流Idcが流れる。
【0073】
また、状態ST5においては、「Pac+CS<Loadac」であり、かつ、直流発電量Pdcと、直流負荷装置144における直流消費電力Loaddcと等しい場合である(Pdc=Loaddc)。この状態ST5においては、交流電力の不足分を補うために、蓄電装置145から交流負荷装置143に向けて放電方向にバッテリ電流Ibattを流す。このため、蓄電装置145から変換装置A120に向けて放電方向に直流電流Idcが流れる。
【0074】
また、状態ST6においては、「Pac+CS<Loadac」であり、かつ、直流発電量Pdcが、直流負荷装置144における直流消費電力Loaddcよりも大きい場合である(Pdc>Loaddc)。この状態ST6においては、交流電力の不足分を補うために、発電装置142から交流負荷装置143に向けて電力を供給する。このため、発電装置142から変換装置A120に向けて放電方向に直流電流Idcが流れる。また、発電装置142から直流負荷装置144と交流負荷装置143とに電力を供給した状態において、さらに出力電力に余裕がある場合には、蓄電装置145に充電方向にバッテリ電流Ibattを流す。
【0075】
また、状態ST7と状態ST8は、発電装置141による交流発電量Pacが交流負荷装置143の消費電力よりも大きい場合を示している(Pac>Loadac)。
そして、状態ST7及び状態ST8においては、交流発電量Pacと消費電力Laodacとの差分の電力「Pac−Loadac」と発電装置142の直流発電量Pdcとの合計電力「Pdc+(Pac−Loadac)」が直流電力として利用可能となる。
【0076】
そして、状態ST7は、「Pdc+(Pac−Loadac)<Loaddc」の場合であり、この場合、直流電力の不足を補うために、変換装置A120から直流負荷装置144に向けて充電方向に電流Idcが流れるとともに、蓄電装置145から直流負荷装置144に向けて放電方向にバッテリ電流Ibattを流す。
【0077】
状態ST8は、「Pdc+(Pac−Loadac)=Loaddc」の場合であり、この場合、直流電力の不足を補うために、変換装置A120から直流負荷装置144に向けて充電方向に電流Idcを流す。なお、この場合、蓄電装置145のバッテリ電流Ibattは0となる(Ibatt=0)。
【0078】
また、状態ST9から状態ST11は、発電装置141による交流発電量Pacが、交流負荷装置143の消費電力Laodacよりも大きい状態である。この場合、交流発電量Pacと消費電力Laodacとの差分の電力「Pac−Loadac」と発電装置142の直流発電量Pdcとの合計電力「Pdc+(Pac−Loadac)」が直流電力として利用可能となる。
【0079】
そして、状態ST9は、「Pdc+(Pac−Loadac)>Loaddc」の場合であり、この場合、変換装置A120から直流負荷装置144側に電流Idcを流すか否かは、PdcとLoaddcとの大小関係により決定される。
【0080】
また、状態ST10と状態ST11とは、蓄電装置145が満充電の状態であり、かつ、「Pac>Loadac」の場合であり、一次側ACバス31により交流融通を行う場合である。
換言すると、状態ST10は、「Pac>Loadac」であり、「Pdc+(Pac−Loadac)<Loaddc」の場合であり、かつ、蓄電装置145が「満充電」の場合である。この場合、直流電力の不足分を補うために、変換装置A120から直流負荷装置144に向けて充電方向に電流Idcを流すとともに、発電装置141の交流発電量Pacにさらに余裕のある場合は、一次側ACバス31に対して交流融通を行う。
【0081】
また、状態ST11は、「Pac>Loadac」であり、「Pdc+(Pac−Loadac)=Loaddc」の場合であり、かつ、蓄電装置145が「満充電」の場合である。この場合、直流電力の不足分を補うために、変換装置A120から直流負荷装置144に向けて充電方向に電流Idcを流すとともに、発電装置141の発電力にさらに余裕のある場合は、一次側ACバス31に対して交流融通を行う。
【0082】
また、状態ST12は、「Pac>Loadac」の場合であり、かつ、「Pdc>Loaddc」の場合である。蓄電装置145の充電状態により、AC融通又は交流融通を行うか否かが決定される。
【0083】
また、状態ST13は、「Pac+CS<Loadac」であり、「Pdc>Loaddc」であり、かつ、蓄電装置145が「満充電」の場合である。この場合、交流電力の不足分を補うために、発電装置142や蓄電装置145から変換装置A120に放電方向に電流Idcを流す。また、蓄電装置145が満充電であるために、一次側DCバス32に対して直流融通を行うことが可能になる。
【0084】
また、状態ST14は、「Pac+CS=Loadac」であり、「Pdc>Loaddc」であり、かつ、蓄電装置145が「満充電」の場合である。この場合、「Pac+CS=Loadac」であるため、発電装置142から変換装置A120に向けて電流を流す必要はなく、また、「Pdc>Loaddc」かつ蓄電装置145が満充電であるために、一次側DCバス32に対して直流融通を行うことが可能になる。
【0085】
以上、図7の表について説明したが、交流融通を行うか直流融通を行うかの実際の判定処理としては、蓄電装置145に流れるバッテリ電流Ibattを図示しない検出器によって検出して、制御部110は、検出されたバッテリ電流Ibattに基づいて満充電状態を判定する。また、分電盤162から変換装置A120に流れる電流Idcを図示しない検出器によって検出して、制御部110は、検出された電流Idcの方向を判定する。制御部110は、上記のバッテリ電流Ibattに基づいて判定した満充電の判定結果と、電流Idcの方向の判定結果とに基づいて、交流融通を行うか、又は、直流融通を行うか決定する。
【0086】
(AC融通とDC融通とを蓄電池残容量SOCにより選択する例)
図7に示した表では、例えば、親クラスタ部100において、蓄電装置145が満充電の状態にある場合に、PCSAC150から出力される交流発電量Pacと、PCSDC150Aから出力される直流発電量Pdcと、変換装置A120と分電盤162との間に流れる電流Idcの向きとを基にして、交流融通か直流融通かを決める例を示したが、蓄電装置145の蓄電池残容量SOCに応じて、交流融通を行うか直流融通を行うかを決めることもできる。
【0087】
図8は、蓄電装置の蓄電池残容量SOCに応じてAC融通とDC融通を選択する例を示す説明図である。この図8に示す例では、蓄電装置145からAC融通を行うかDC融通を行うかを、蓄電装置145の蓄電池残容量SOCに応じて切り替える例を示している。
この図8では、縦軸に蓄電池残容量SOCの大きさを取り、横軸に時間tを取り、蓄電池残容量SOCの変化と、蓄電池残容量SOCの変化に応じたAC融通期間とDC融通期間の変化を示している。
【0088】
この図8において、基準値SOC1Aは、例えば、蓄電池残容量SOCが満充電に近い状態の蓄電池残容量SOCの値に対応する基準値である。また、基準値SOC1Bは、例えば、基準値SOC1Aより小さい値を有する基準値(すなわち基準値SOC1A>基準値SOC1Bである)であって、例えば、運用上、蓄電装置145に対して充電を開始させることが好ましい状態の蓄電池残容量SOCの値に対応する値に設定する。
また、図8において、基準値SOC2Aは、蓄電池残容量SOCが満充電の状態、又は運用上、発電装置142等から蓄電装置145にこれ以上充電させないことが好ましい状態の蓄電池残容量SOCの値に対応する基準値である。また、基準値SOC2Bは、例えば、基準値SOC2Aより小さい値を有する基準値(すなわち基準値SOC2A>基準値SOC2B)である。
【0089】
例えば、親クラスタ部100の制御部110は、蓄電装置145の充放電電流の検出値の積算結果や、蓄電装置145の端子電圧の検知結果、あるいは蓄電装置145から受信した状態を表す信号等に基づいて、蓄電池残容量SOCを算出する。そして、制御部110は、この蓄電池残容量SOCと、基準値SOC1A及び基準値SOC1Bとの大小関係を比較するとともに、蓄電池残容量SOCと、基準値SOC2A及び基準値SOC2Bとの大小関係を比較する
【0090】
そして、図8に示すように、PCSAC150から出力される交流発電量Pacや、PCSDC150Aから出力される直流発電量Pdcが大きい場合は、蓄電装置145に充電電流が流れることにより、蓄電装置145の蓄電池残容量SOCが次第に増加する。
そして、制御部110は以下の処理をする。時刻t1において、蓄電装置145の蓄電池残容量SOCが基準値SOC1A以上になる場合に、最初にAC融通モードを開始する。そして、時刻t1以降、さらに蓄電池残容量SOCが上昇し、時刻t2において、蓄電池残容量SOCが基準値SOC2Aを超える場合には、AC融通モードと合わせてDC融通モードを開始する。
その後、蓄電池残容量SOCが変化し、時刻t3において、蓄電池残容量SOCが基準値SOC2Bまで低下するとDC融通モードを停止する。
そして、時刻t3以降、時刻t4において、蓄電池残容量SOCが基準値SOC1Bまで低下するとAC融通モードを停止する。
【0091】
このように、制御部110は、時刻t1から時刻t2までの期間と時刻t3から時刻t4までの期間とにおいてAC融通モードを実行し、時刻t2から時刻t3までの期間においてAC融通モードとDC融通モードとの両方を実行する。つまり、制御部110は、蓄電装置145の蓄電池残容量SOCに応じて、AC融通モードを行う第1段階と、AC融通モードとDC融通モードの両方を実行する第2段階と、の2段階に分けて電力融通処理を行う。
これにより、制御部110は、蓄電装置145が満充電に近い状態になると、他のクラスタへ交流融通を行う。上記の交流融通を行う期間において、蓄電装置145が過充電になる恐れがある場合には、制御部110は、AC融通に合わせて直流融通を行わせることにより、他のクラスタへ融通する電力量を増やして、蓄電装置145が過充電されることを回避するように制御する。
【0092】
(交流融通及び直流融通を行う場合に切替部を用いる例)
図9は、切替部を用いて交流融通及び直流融通を行う場合の例を示す説明図である。
例えば、図9に示す子クラスタ部200Aにおいて、制御部210が切替部260の共通接点cと接点aとを導通させることにより、PCSAC250を一次側ACバス31に直接接続し、PCSAC250から一次側ACバス31に向けて交流融通を行うことができる。つまり、破線A1で示す経路に沿って、PCSAC250から一次側ACバス31に交流融通を行うことができる。
【0093】
また、制御部210が切替部260Aの共通接点cと接点aとを導通させることにより、PCSDC250Aを一次側DCバス32に直接接続し、PCSDC150Aから一次側DCバス32に向けて直流融通を行うことができる。つまり、破線A2で示す経路に沿って、PCSDC250Aから一次側DCバス32に直流融通を行うことができる。
これにより、子クラスタ部200Aから一次側ACバス31にAC融通を行う場合に、変換装置B220を経由することなく、切替部260を介して、一次側ACバス31に直接に交流電力を供給することができる。また、子クラスタ部200Aから一次側DCバス32にDC融通を行う場合に、変換装置B220を経由することなく、切替部260Aを介して一次側DCバス32に直接に直流電力を供給することができる。
【0094】
(電力融通処理の手順)
図10は、電力融通処理の手順を示すフローチャートである。以下、図10のフローチャートを参照して、電力融通処理の手順について説明する。
なお、図10では、交流融通を「AC融通」と記載し、直流融通を「DC融通」と記載している。
【0095】
そして、例えば、親クラスタ部100の制御部110において、電力融通が必要であることが検知される(ステップS100)。例えば、制御部110は、発電装置141の交流発電量Pacと、発電装置142の直流発電量Pdcと、蓄電池残容量SOC等に基づいて、電力融通が必要であることを検知する。或いは、制御部110は、エネルギー管理装置(EMS)11から送られる電力融通の要請信号を受信して、電力融通が必要であることを検知する。
続いて、制御部110では、AC融通が必要な状態か否かを判定する(ステップS105)。例えば、制御部110が、蓄電装置145に流れるバッテリ電流Ibattを検出して満充電状態を判定するとともに、変換装置A120と分電盤162との間に流れる電流Idcの方向を判定して、交流融通を行うことが必要な状態であるか否かを判定する。
【0096】
そして、ステップS105においてAC融通が必要な状態であると判定された場合(ステップS105:Yes)、制御部110は、PCSAC150を切替部160を介して一次側ACバス31に接続する(ステップS110)。そして、制御部110は、PCSAC150において一次側ACバス31に対する連系運転検出処理を行わせる(ステップS115)。
【0097】
続いて、制御部110は、AC融通の可否情報を収集する(ステップS120)。例えば、制御部110は、AC融通を行う場合に電力会社との取り決めによる規制上の制約があるか否かを判定する(ステップS125)。
続いて、制御部110は、指定された電力供給モードに応じて交流電力(AC)又は直流電力(DC)の何れを融通するかを判定する(ステップS130)。
そして、ステップS130において、交流融通(AC融通)を行うと判定された場合(ステップS130:AC)、制御部110は、AC融通モードの起動処理を開始する(ステップS140)。
続いて、制御部110は、DC融通モードの起動が必要か否かを判定する(ステップS145)。そして、ステップS145において、DC融通モードの起動が必要でないと判定された場合(ステップS145:No)、AC融通モードの起動状態を維持するか否かを判定する(ステップS180)。
そして、ステップS180において、AC融通モードの起動状態を維持しないと判定された場合(ステップS180:No)、制御部110は、ステップS150に移行し、AC融通モードの終了処理を実行する(ステップS150)。
制御部110は、AC融通モードの終了処理に移行する(ステップS150)。そして、このステップS150の処理を実行した後に、制御部110は、この電力融通処理を終える。
一方、ステップS180において、AC融通モードの起動状態を維持すると判定された場合(ステップS180:Yes)、つまり、AC融通モードを維持したままにする場合、制御部110は、ステップS180の判定を繰り返す。
【0098】
一方、ステップS105においてAC融通が必要でないと判定された場合(ステップS105:No)、ステップS125においてAC融通が可能でないと判定された場合(ステップS125:No)、ステップS130において直流融通(DC融通)を行うと判定された場合(ステップS130:DC)、及びステップS145においてDC融通モードの起動が必要と判定された場合(ステップS145:Yes)には、ステップS160に移行して、制御部110は、DC融通モードの起動処理を行う(ステップS160)。
【0099】
続いて、制御部110は、DC融通モードの終了指示を検出した場合、DC融通モードの終了処理を行い(ステップS170)、このステップS170の処理を終了した後に、ステップS180に進む。なお、DC融通モードの終了処理の詳細については後述する。
【0100】
このように、電力融通システム1では、クラスタ間で交流融通及び直流融通を行うことにより複数のクラスタ間において電力の利用効率を高めることができる。
なお、図10のフローチャートでは、親クラスタ部100における電力融通処理の手順について説明したが、子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400とにおいても、同様な電力融通処理が行われる。
【0101】
(AC融通モードとDC融通モードの起動処理)
図11は、AC融通モードとDC融通モードの起動処理の例を示す説明図である。図11(A)は、AC融通モードの起動処理を、図11(B)は、DC融通モードの起動処理を示している。
【0102】
この図11(A)では、横方向に時間tの経過を示し、縦方向に、一次側ACバス31の給電状態と、PCSAC150の動作状態とを並べて示している。
この図11(A)に示すように、時刻t1において、PCSAC150は制御部110から送られる融通モードの起動指示を検出すると、PCSAC150は、一旦、その動作を停止する。そして、時刻t2において、一次側ACバス31との連系動作を開始し、時刻t3から一次側ACバス31への交流電力の供給を開始する。
【0103】
また、図11(B)では、横方向に時間tの経過を示し、縦方向に、一次側DCバス32の給電状態と、双方向直流変換部131(図3(B)参照)の動作状態とを並べて示している。
この図11(B)に示すように、時刻t1において、双方向直流変換部131は、制御部110から送られる融通モードの起動指示を検出すると、双方向直流変換部131は、一次側DCバス32との連系動作を開始し、時刻t3から一次側DCバス32への直流電力の供給を開始する。
なお、図5に示す電力融通システム1Aにおいて、PCSDC150Aを切替部160Aを介して一次側DCバス32に接続する場合のDC融通モードの起動処理は、図11(A)に示すPCSAC150を一次側ACバス31に接続する起動処理に準じた処理が行われる。
【0104】
(DC融通モードの終了処理)
図12は、DC融通モードの終了処理の手順を示すフローチャートである。この図12に示すDC融通モードの終了処理は、DC融通を変換装置D130を用いて行う場合の例である。
例えば、親クラスタ部100において、制御部110は、DC融通モードの実行中に、DC融通モードの終了指示の検出を行う(ステップS171)。例えば、制御部110は、エネルギー管理装置(EMS)11から送られるDC融通モードの終了指示の信号の検出を行う。そして、制御部110は、終了指示を検出したか否かを判定する(ステップS172)。
そして、制御部110は、DC融通モードの終了指示を検出した場合(ステップS172:Yes)、制御部110は、融通先の給電状態と、自系統の給電状態とを検出し(ステップS173)、DC融通モードの終了が可能か否かを判定する(ステップS174)。
【0105】
そして、ステップS174においてDC融通モードの終了が可能でないと判定された場合(ステップS174:No)、制御部110は、DC融通モードの終了が可能となるまで待機する。
そして、ステップS174においてDC融通モードの終了が可能であると判定された場合(ステップS174:Yes)、制御部110は、双方向直流変換部(双方向DC/DC変換部)131(図3(B)参照)の出力を遮断する(ステップS175)。
そして、制御部110は、ステップS175の処理を実行した後に、このDC融通モードの終了処理を終える。
【0106】
なお、上述したDC融通モードの終了処理は、DC融通モードの終了時に双方向交直変換部121の出力を遮断する例を示したが、図5に示す親クラスタ部100Aのように、PCSDC150Aから切替部160Aを介して一次側DCバス32に直流電力を供給している場合は、PCSDC150Aの動作を停止させるようにしてもよい。
【0107】
(AC融通モードの終了処理)
図13は、AC融通モードの終了処理の手順を示すフローチャートである。なお、この図13に示す例は、図4に示すように、PCSAC250から切替部260を介して一次側DCバス32に交流電力を出力する場合の例である。
以下、子クラスタ部200を例にして、AC融通モードの終了処理について説明する。
まず、子クラスタ部200において、制御部210は、AC融通モードの実行中に、AC融通モードの終了指示の検出を行っている(ステップS151)。例えば、制御部210は、エネルギー管理装置(EMS)11から送られるAC融通モードの終了指示の検出を行う。そして、制御部210は、終了指示を検出したか否かを判定する(ステップS152)。
【0108】
そして、ステップS152において、AC融通モードの終了指示を検出しなかった場合(ステップS152:No)、制御部210は、AC融通モードの終了処理が検出されるまで待機する。
そして、ステップS152において、AC融通モードの終了指示を検出した場合(ステップS152:Yes)、制御部210は、融通先の状態と、自系統の状態を検出し(ステップS153)、AC融通モードの終了が可能か否かを判定する(ステップS154)。
【0109】
そして、ステップS154においてAC融通モードの終了が可能でないと判定された場合(ステップS154:No)、制御部210は、AC融通モードの終了が可能となるまで待機する。
そして、ステップS154においてAC融通モードの終了が可能であると判定された場合(ステップS154:Yes)、制御部210は、PCSAC250の出力を停止する(ステップS155)。
続いて、制御部210は、PCSAC250の接続先を一次側ACバス31から子クラスタ部200の二次側ACバス41に変更する(ステップS156)。そして、制御部210は、PCSAC250の出力を二次側ACバス41に連系させ(ステップS157)、この連系が完了した後、PCSAC250から二次側ACバス41に電力を出力させる(ステップS158)。
そして、制御部210は、ステップS158の処理の実行後に、このAC融通モードの終了処理を終える。
【0110】
なお、図9に示す子クラスタ部200Aのように、PCSDC250AをDCバス32に接続する構成の場合において、DC融通モードを終了する際には、上記のAC融通モードの処理に準じた処理が行われる。
【0111】
また、図14は、AC融通モードの終了処理の例を示す説明図である。この図14に示す終了処理は、上述した図13のフローチャートで説明した処理手順をタイムチャートで示したものである。
この図14では、横方向に時間tの経過を示し、縦方向に、一次側ACバス31の給電状態と、PCSAC250の動作状態とを並べて示している。
この図14に示すように、時刻t1以前において、一次側ACバス31にはPCSAC250から電力が供給されている。そして、時刻t1において、制御部210は、AC融通モードの終了指示を検出し、その後の時刻t2において、融通先の状態と、自系統の状態を検出する。続いて、時刻t3において、制御部210は、AC融通モードの終了が可能か否かを判定する。そして、AC融通モードの終了が可能と判定された場合に、時刻t3の後の時刻t4において、制御部210は、PCSAC150の出力を停止し、PCSAC250から一次側ACバス31への電力の供給を停止する。
【0112】
そして、続く時刻t5において、切替部260により、PCSAC250と一次側ACバス31との接続を遮断し、そして、時刻t5に続く時刻t6において、制御部210は、PCSAC250を二次側ACバス41に接続する。そして、時刻t6に続く時刻t7において、制御部210は、PCSAC250を二次側ACバス41に連系させ、その後の時刻t8から、制御部210は、PCSAC250から二次側ACバス41に交流電力を供給させる。
【0113】
なお、DC融通モードにおいて、図5の親クラスタ部100Aに示すように、PCSDC150Aを切替部160Aを介して一次側DCバス32に接続する構成の場合には、DC融通モード終了処理は、上述したAC融通モード終了処理に準じた処理となる。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態において、親クラスタ部100内の制御部110と、子クラスタ部200内の制御部210と、子クラスタ部300内の制御部310と、子クラスタ部400内の制御部410とは、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0115】
なお、ここで、本発明と上述した実施形態との対応関係について補足して説明する。すなわち、本発明における電力融通システムは、図1に示す電力融通システム1、又は図5に示す電力融通システム1Aが対応する。また、本発明における第1クラスタ部は、親クラスタ部100又は親クラスタ部100A(図5)が対応し、本発明における第2クラスタ部は、例えば、子クラスタ部200、子クラスタ部200A(図5)、及び子クラスタ部300等が対応する。また、本発明におけるACバスは、一次側ACバス31が対応し、本発明におけるDCバスは、一次側DCバス32が対応する。
【0116】
また、本発明における第1発電装置は、親クラスタ部100の発電装置141が対応し、本発明における第2発電装置は、親クラスタ部100の発電装置142が対応し、本発明における第3発電装置は、例えば、子クラスタ部200の発電装置241が対応し、本発明における第4発電装置は、例えば、子クラスタ部200の発電装置242が対応する。
【0117】
また、本発明における第1パワーコンディショナは、親クラスタ部100のパワーコンディショナ(PCSAC)150が対応し、本発明における第2パワーコンディショナは、親クラスタ部100のパワーコンディショナ(PCSDC)150Aが対応し、本発明における第3パワーコンディショナは、例えば、子クラスタ部200のパワーコンディショナ(PCSAC)250が対応し、本発明における第4パワーコンディショナは、例えば、子クラスタ部200のパワーコンディショナ(PCSDC)250Aが対応する。
また、本発明における第1切替部は、親クラスタ部100の切替部160が対応し、本発明における第2切替部は、親クラスタ部100A(図5)の切替部160Aが対応し、本発明における第3切替部は、例えば、子クラスタ部200の切替部260が対応し、本発明における第4切替部は、例えば、子クラスタ部200A(図5)の切替部260Aが対応する。
また、本発明における交流負荷装置は、交流負荷装置143及び243等が対応し、本発明における直流負荷装置は、直流負荷装置144及び244等が対応する。
【0118】
(1)そして、上記実施形態において、電力融通システム1は、商用電力系統の受電点となり該商用電力系統から商用電力の供給を受ける親クラスタ部100(第1クラスタ部)と、親クラスタ部100を経由して商用電力の供給を受ける1又は複数の子クラスタ部200等(第2クラスタ部)と、で構成される。電力融通システム1において、親クラスタ部100と子クラスタ部200等とのそれぞれは、発電装置及び負荷装置、又は蓄電装置及び負荷装置を備え、親クラスタ部100と子クラスタ部200及び300等との間、及び複数の子クラスタ部200等の間において、交流電力により電力の融通を行うととともに、直流電力により電力の融通を行う。
このような構成の電力融通システム(例えば、電力融通システム1)では、商用電力系統の受電となる親クラスタ部100(第1クラスタ部)と、複数の子クラスタ部200等(第2クラスタ部)とを一次側ACバス31と一次側DCバス32とで共通接続する。そして、親クラスタ部100と子クラスタ部200等との間で、交流電力の融通と直流電力の融通とを行う。
これにより、複数のクラスタ(需要家)間において電力の利用効率を高めることができる。
【0119】
(2)また、上記実施形態において、電力融通システム(例えば、電力融通システム1)は、親クラスタ部100(第1クラスタ部)と子クラスタ部200等(第2クラスタ部)との間は、交流電力の給電経路となる一次側ACバス31で接続されるとともに、直流電力の給電経路となる一次側DCバス32で接続されており、親クラスタ部100(第1クラスタ部)及び子クラスタ部200等(第2クラスタ部)の間で、一次側ACバス31を介して前記交流電力を融通し、一次側DCバス32を介して前記直流電力を融通する。
これにより、電力融通システム(例えば、電力融通システム1)では、一次側ACバス31と一次側DCバス32とを介して、親クラスタ部100(第1クラスタ部)と子クラスタ部200等(第2クラスタ部)との間、及び複数の子クラスタ部200及び300等(第2クラスタ部)との間で交流電力及び直流電力を融通することができる。
【0120】
(3)また、上記実施形態において、電力融通システム(例えば、電力融通システム1)は、親クラスタ部100(第1クラスタ部)と子クラスタ部200等(第2クラスタ部)との間、及び複数の子クラスタ部200及び300等の間で電力を融通する際には、交流電力のみを融通するモードと、直流電力のみを融通するモードと、交流電力と直流電力との両方を融通するモードとを選択可能に構成される。
これにより、電力融通システム(例えば、電力融通システム1)では、親クラスタ部100(第1クラスタ部)と子クラスタ部200等(第2クラスタ部)との間、及び複数の子クラスタ部200及び300等(第2クラスタ部)の間で電力を融通する際に、親クラスタ部100及び子クラスタ部200等における電力の需給状態に応じて、交流電力を融通するか、直流電力を融通するか、又は、交流電力と直流電力との両方を融通するかを選択することができる。
【0121】
(4)また、上記実施形態において、電力融通システム(例えば、電力融通システム1)は、親クラスタ部100(第1クラスタ部)と子クラスタ部200等(第2クラスタ部)とは、交流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う双方向交直変換部(例えば、双方向交直変換部121)と、直流電力と直流電力との間で双方向に電力変換を行う双方向直流変換部(例えば、双方向直流変換部131)と、を備える。そして、例えば、親クラスタ部100において、双方向交直変換部121は、一次側ACバス31から供給された交流電力をクラスタ部の内部の給電経路に配電する直流電力に変換し、該変換した直流電力を直流負荷装置144に供給するとともに、該変換した直流電力を蓄電装置145に蓄える動作モードと、自クラスタ部が備える発電装置142又は蓄電装置145から供給される直流電力を融通する交流電力に変換し、該交流電力を一次側ACバス31に供給する動作モードと、を備える。また、双方向直流変換部131は、一次側DCバス32バスから供給された直流電力をクラスタ部の内部の給電経路に配電する直流電力に変換し、該変換した直流電力を直流負荷装置144に供給するとともに、該変換した直流電力を蓄電装置145に蓄える動作モードと、発電装置142及び蓄電装置145から供給される直流電力を融通する直流電力に変換し、該直流電力を一次側DCバス32バスに供給する動作モードと、を備える。
【0122】
このような構成の電力融通システム(例えば、電力融通システム1)であれば、例えば、図3に示す親クラスタ部100(第1クラスタ部)の変換装置A120及び変換装置D130において、双方向交直変換部121は、AC/DCコンバータとDC/ACコンバータ(インバータ)とを備える。この双方向交直変換部121は、破線bに示す方向に沿って、変圧器102から入力される交流電力を直流電力に変換し、クラスタ部の内部の給電経路172を介して分電盤162に向けて出力することができる。
また、双方向交直変換部121は、破線cに示す方向に沿って、発電装置142及び蓄電装置145から供給される直流電力を一次側ACバス31に融通する交流電力に変換し、該交流電力を一次側ACバス31に出力することができる。また、双方向交直変換部121は、破線dに示す方向に沿って、分電盤161を介して一次側ACバス31から入力される交流電力を直流電力に変換して、クラスタ部の内部の給電経路172を介して分電盤162に向けて出力することができる。なお、子クラスタ部200等(第2クラスタ部)においても同様である。
【0123】
また、図3(B)に示すように、双方向直流変換部(双方向DC/DC変換部)131は、例えば、破線eに示す方向に沿って、発電装置142及び蓄電装置145から供給される直流電力を一次側DCバス32に融通する直流電力に変換し、この直流電力を一次側DCバス32に供給することができる。また、双方向直流変換部131は、破線fに示す方向に沿って、一次側DCバス32から直流電力を入力し、この直流電力をクラスタ部の内部の給電経路に配電する直流電力に変換し、この直流電力を給電経路173を介して分電盤162に出力することができる。なお、子クラスタ部200等(第2クラスタ部)においても同様である。
【0124】
(5)また、上記実施形態において、親クラスタ部100(第1クラスタ部)は、発電装置141(第1発電装置)から供給される電力を交流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させるPCSAC150(第1パワーコンディショナ)と、PCSAC150の接続先に、一次側ACバス31に電力を供給する給電経路と商用電力系統2に電力を供給する給電経路とを含み、一次側ACバス31に電力を供給する給電経路と商用電力系統2に電力を供給する給電経路とを切り替える切替部160(第1切替部)と、を備え、切替部160は、PCSAC150から一次側ACバス31に電力を供給する場合に、PCSAC150の接続先を、一次側ACバス31に電力を供給する給電経路にする。
【0125】
このような構成の親クラスタ部100(第1クラスタ部)では、例えば、図3の変換装置A120に示すように、切替部160の共通接点cと接点bとを導通させることにより、発電装置141のPCSAC150(第1パワーコンディショナ)を一次側ACバス31に向かう給電経路174に接続し、PCSAC150からACバス31に向けて交流融通を行うことができる。また、切替部160の共通接点cと接点aとを導通させることにより、PCSAC150から商用電力系統2に電力を供給することができる。
【0126】
(6)また、上記実施形態において、親クラスタ部100(第1クラスタ部)は、発電装置142(第2発電装置)から供給される電力を直流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させるPCSDC150A(第2パワーコンディショナ)と、PCSDC150Aの接続先に、一次側DCバス32に電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを含み、一次側DCバス32に電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを切り替える切替部160A(第2切替部)と、を備え、切替部160Aは、PCSDC150Aから一次側DCバス32に電力を供給する場合に、PCSDC150Aの接続先を、一次側DCバス32に電力を供給する給電経路にする。
【0127】
このような構成の親クラスタ部100(第1クラスタ部)では、例えば、図5の親クラスタ部100Aに示すように、切替部160Aの共通接点cと接点aとを導通させることにより、PCSDC150A(第2パワーコンディショナ)を一次側DCバス32に直接接続して、PCSDC150Aから一次側DCバス32に向けて直流融通を行うことができる。
【0128】
(7)また、上記実施形態において、例えば、子クラスタ部200(第2クラスタ部)は、発電装置241(第3発電装置)から供給される電力を交流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させるPCSAC250(第3パワーコンディショナ)と、PCSAC250の接続先に、一次側ACバス31に電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に交流電力を配電する給電経路とを含み、一次側ACバス31に電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に交流電力を配電する給電経路とを切り替える切替部260(第3切替部)と、を備え、切替部260は、PCSAC250から一次側ACバス31に電力を供給する場合に、PCSAC250の接続先を、一次側ACバス31に電力を供給する給電経路にする。
【0129】
このような構成の子クラスタ部では、例えば、図4の変換装置B220に示すように、切替部260の共通接点cと接点aとを導通させることにより、発電装置241のPCSAC250をACバス31に直接接続し、PCSAC250から一次側ACバス31に向けて交流融通を行う。つまり、破線A1で示す経路に沿って、PCSAC250から一次側ACバス31に交流融通を行う。
これにより、子クラスタ部200から一次側ACバス31にAC融通を行う場合に、変換装置B220を経由することなく、切替部260を介して、一次側ACバス31に直接に電力を供給することができる。
【0130】
(8)また、上記実施形態において、例えば、子クラスタ部200A(図9)は、発電装置242(第4発電装置)から供給される電力を直流電力に変換するとともに接続先の給電経路に連系させるPCSDC250A(第4パワーコンディショナ)と、PCSDC250Aの接続先に、一次側DCバス32に電力を供給する給電経路と、自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを含み、一次側DCバス32に電力を供給する給電経路と自クラスタ部の内部に直流電力を配電する給電経路とを切り替える切替部260A(第4切替部)と、を備え、切替部260Aは、PCSDC250Aから一次側DCバス32に電力を供給する場合に、PCSDC250Aの接続先を、一次側DCバス32に電力を供給する給電経路にする。
【0131】
このような構成の子クラスタ部(第2クラスタ部)では、例えば、図9の子クラスタ部200Aに示すように、切替部260Aの共通接点cと接点aとを導通させることにより、PCSDC250Aを一次側DCバス32に直接接続し、PCSDC250Aから一次側DCバス32に向けて直流融通を行うことができる。つまり、破線A2で示す経路に沿って、PCSAC250Aから一次側DCバス32に直接に直流融通を行うことができる。
これにより、子クラスタ部200から一次側DCバス32にDC融通を行う場合に、変換装置B220を経由することなく、切替部260Aを介して、発電装置242から一次側DCバス32に直接に電力を融通することができる。
【0132】
(9)また、上記実施形態において、電力融通システム(例えば、電力融通システム1)は、親クラスタ部100(第1クラスタ部)及び子クラスタ部200等(第2クラスタ部)において、一次側ACバス31を介して交流融通を行うか、一次側DCバス32を介して直流融通を行うか、又は、一次側ACバス31を介しての交流融通と一次側DCバス32を介しての直流融通との両方を行うかを決定する際には、双方向交直変換部(例えば、双方向交直変換部121)において交流電力と直流電力との間で変換を行う際に、当該直流電力の供給方向によって定める。
【0133】
例えば、図6に示す親クラスタ部100(第1クラスタ部)に示すように、パワーコンディショナ(PCSAC)150から出力される交流電力が大きく、双方向交直変換部121から分電盤162の方向に電流Idcが流れる場合には、親クラスタ部100は、子クラスタ部200等(第2クラスタ部)に対して一次側ACバス31を介して交流融通を行う。また、PCSDC150Aから出力される直流電力が大きく、分電盤162から双方向交直変換部121の方向に電流Idcが流れる場合には、親クラスタ部100は、子クラスタ部200等に対して一次側DCバス32を介して直流融通を行う。子クラスタ部200等においても同様である。
【0134】
これにより、パワーコンディショナ(PCSAC)150から出力される交流電力が大きい場合には、このPCSAC150から出力される交流電力を用いて交流融通を行うことができる。また、PCSDC150Aから出力される直流電力が大きい場合には、このPCSDC150Aから出力される直流電力を用いて直流融通を行うことができる。このため、交流融通を行うか直流融通を行うかの判定処理が容易になるととともに、電力融通制御を簡略化できる。
【0135】
(10)また、上記実施形態において、親クラスタ部100(第1クラスタ部)と子クラスタ部200等(第2クラスタ部)は、一次側ACバス31を介して交流融通を行うか、一次側DCバス32を介して直流融通を行うか、又は、一次側ACバス31を介しての交流融通と一次側DCバス32を介しての直流融通との両方を行うかの選択を、親クラスタ部100(第1クラスタ部)及び子クラスタ部200等(第2クラスタ部)のうち供給元に当たるクラスタ部が備える蓄電装置の蓄電池残容量に応じて実施する。
このような構成の電力融通システム(例えば、電力融通システム1)であれば、例えば、親クラスタ部100において、蓄電装置145の蓄電池残容量SOCに応じて、AC融通モードを行う第1段階と、AC融通モードとDC融通モードの両方を実行する第2段階と、の2段階に分けて電力融通処理を行う。
これにより、例えば、蓄電装置145が満充電に近い状態になると、AC融通モードにより他のクラスタ部へ交流融通を行うことができるとともに、蓄電装置145が過充電になる恐れがある場合には、AC融通と合わせて直流融通を行うことにより、他のクラスタ部へ融通する電力量を増やして、蓄電装置145が過充電されることを回避できる。
【0136】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の電力融通システム1、及び電力融通システム1Aは、上述の図示例にのみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、親クラスタ部100の蓄電装置145は、親クラスタ部100部とは独立して設けられていてもよい。子クラスタ部200と、子クラスタ部300と、子クラスタ部400の蓄電装置においても同様である。
【0137】
なお、上記実施形態による電力融通システム1(1A)において、一次側DCバス32を介して融通する電力の給電開始時に、この融通する電力が徐々に給電されるように所謂「ソフトスタート」の制御を行ってもよい。例えば、他のクラスタ部に対して電力を融通するクラスタ部は、一次側DCバス32の電圧の立ち上がりがなだらかになるように、給電開始時の所定の時間において徐々に給電電圧を上げるように制御してもよい。また、電力を融通するクラスタ部は、給電開始時の所定の時間において間欠的に給電するように制御してもよい。なお、電力を融通するクラスタ部は、給電開始時の所定の時間において給電する電流値を制限するよう制御してもよい。
このように、ソフトスタートの制御を行うことにより、給電電圧の電圧降下や給電停止などの原因となる給電開始時の突入電流の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0138】
1,1A・・・電力融通システム、2・・・商用電力系統、
11・・・エネルギー管理装置(EMS)、12・・・通信網、
31・・・一次側ACバス、32・・・一次側DCバス、
100,100A・・・親クラスタ部(第1クラスタ部)、102・・・変圧器、
200,200A,300・・・子クラスタ部(第2クラスタ部)、
110,210,310,410・・・制御部、
121,221・・・双方向交直変換部、
131,223・・・双方向直流変換部、
141・・・発電装置(第1発電装置)、142・・・発電装置(第2発電装置)、
241・・・発電装置(第3発電装置)、
242・・・発電装置(第4発電装置)、
143,243,343,443・・・交流負荷装置、
144,244,344,444・・・直流負荷装置、
145,245,345,445・・・蓄電装置、
150・・・パワーコンディショナ(第1パワーコンディショナ)、
150A・・・パワーコンディショナ(第2パワーコンディショナ)、
250・・・パワーコンディショナ(第3パワーコンディショナ)、
250A・・・パワーコンディショナ(第4パワーコンディショナ)、
160・・・切替部(第1切替部),160A・・・切替部(第2切替部)、
260・・・切替部(第3切替部)、
260A・・・切替部(第4切替部)、
161,261,361,461・・・分電盤、
162,262,362,462・・・分電盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14