特許第6251617号(P6251617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251617
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20171211BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20171211BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20171211BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H04N5/225 200
   H04N5/225 700
   H04M9/00 H
   H04M1/02 G
   G03B17/56 H
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-58690(P2014-58690)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-185924(P2015-185924A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 益典
(72)【発明者】
【氏名】伴野 晋之
【審査官】 高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−088396(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/114848(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
G03B 17/56
H04M 1/02
H04M 9/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの前面にカメラ窓を開設するとともに、前記カメラ窓からレンズが露出するように、前記レンズを有するカメラを前記本体ケースの内部に設置してなるインターホン機器であって、
カメラにおけるレンズの中央を中心とした同一円周上となる位置に、前記カメラの前後にわたり貫通する複数の挿通孔穿設されていとともに、各前記挿通孔の前部が、前記挿通孔の後部よりも大径で、且つ、前記本体ケースの前面の内面から後方へ突設されたボスの先端が嵌入可能な嵌入凹部として形成されている一方、
前記挿通孔を介して前記カメラの前側と後側とにわたる複数のガイド手段設けられているとともに、各前記ガイド手段の前記カメラの後側となる位置に大径部設けられ、各前記ガイド手段において、前記カメラの後面と前記大径部とにわたり軸方向へ縮めたコイルバネ巻回されており
前記カメラが、前記ボスの先端が前記嵌入凹部へ嵌入し、且つ、前記コイルバネの付勢力により前記本体ケースの前面側へ付勢された状態で、前記本体ケースの内部に設置されており、
前記付勢力を超える後方への負荷が前記カメラにかかると、前記カメラが前記コイルバネの付勢力に抗して、前記本体ケースの内部側へ移動可能としたことを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記カメラの重心を、前記レンズの光軸中心上に位置させたことを特徴とする請求項1に記載のインターホン機器。
【請求項3】
前記レンズの前端が前記本体ケースの前面よりも前記本体ケースの内部側へ入り込むまで、前記カメラを前記本体ケースの内部側へ移動可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば来訪者等を撮像するための撮像手段を備えたインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホン機器の一例であるインターホン子機には、来訪者等を撮像するためのカメラが備えられることがある。そして、そのようなカメラ付きのインターホン子機としては、たとえば特許文献1に開示されているものがあり、本体ケースの前面にカメラのレンズを露出させるとともに、該レンズを覆うようにレンズカバーを取り付けた構造を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−93648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レンズカバーを取り付けると、レンズカバーを本体ケースよりも前方へ大きく突出させる必要があるから、レンズカバーが傷つくことによるカメラの解像度の低下、レンズカバーの界面で発生する太陽光の反射に起因した有害なゴーストやフレアの発生が問題となる。そこで、レンズカバーを取り付けないとする構造も考えられるが、たとえば魚眼レンズ等を用いた超広角での撮像を可能とするには、レンズを本体ケースの前面よりも前方へ突出させる必要がある。したがって、ただ単にレンズカバーを取り付けないという構造では、ハンマーで殴る等によりレンズに衝撃が与えられた際、レンズが破損しやすいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、レンズカバーを取り付けていないにも拘わらず、レンズに衝撃が与えられた際にレンズの破損を抑制することができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの前面にカメラ窓を開設するとともに、カメラ窓からレンズが露出するように、レンズを有するカメラを本体ケースの内部に設置してなるインターホン機器であって、カメラにおけるレンズの中央を中心とした同一円周上となる位置に、カメラの前後にわたり貫通する複数の挿通孔穿設されていとともに、各挿通孔の前部が、挿通孔の後部よりも大径で、且つ、本体ケースの前面の内面から後方へ突設されたボスの先端が嵌入可能な嵌入凹部として形成されている一方、挿通孔を介してカメラの前側と後側とにわたる複数のガイド手段設けられているとともに、各ガイド手段のカメラの後側となる位置に大径部設けられ、各ガイド手段において、カメラの後面と大径部とにわたり軸方向へ縮めたコイルバネ巻回されておりカメラが、ボスの先端が嵌入凹部へ嵌入し、且つ、コイルバネの付勢力により本体ケースの前面側へ付勢された状態で、本体ケースの内部に設置されており、付勢力を超える後方への負荷がカメラにかかると、カメラがコイルバネの付勢力に抗して、本体ケースの内部側へ移動可能としたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、付勢力を超える後方への負荷がカメラにかかると、カメラがコイルバネの付勢力に抗して、本体ケースの内部側へ移動可能としているため、たとえばハンマーで叩かれる等したとしても、カメラは本体ケースの内部側へ移動しながら、上記衝撃を吸収することができる。したがって、従来の如くレンズカバーを設けずとも、レンズの破損を抑制することができる。また、負荷が解除されると、コイルバネの付勢力によりカメラを通常の設置位置へ自動的に復帰させることができるため、カメラの設置位置を一々直す必要がなく、使い勝手が良い。さらに、複数の挿通孔を、レンズの中央を中心とした同一円周上に位置するように設けているため、後方への移動時に、カメラは設置姿勢から傾斜したりせず、設置姿勢のまま後方へ移動する。したがって、衝撃が与えられた際にカメラが設置姿勢から傾斜して何らかの部材に引っ掛かってしまい、衝撃がおさまったにも拘わらず設置位置へ復帰できない等といった事態の発生を防止することができる。
加えて、カメラにおける各挿通孔の前部が、挿通孔の後部よりも大径で、且つ、本体ケースの前面の内面から後方へ突設されたボスの先端が嵌入可能な嵌入凹部として形成されており、カメラが、ボスの先端が嵌入凹部へ嵌入した状態で設置されているため、カメラに衝撃が与えられた際、カメラが設置姿勢から傾斜するといった事態をより確実に防止することができる。
なお、本発明における「カメラにおけるレンズの中央を中心とした同一円周上となる位置に、複数の挿通孔を穿設する」とは厳密な同一円周上のみならず、僅かに同一円周上からずれているものも含む。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、カメラの重心を、レンズの光軸中心上に位置させたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、カメラの重心を、レンズの光軸中心上に位置させたことで、付勢力を超える後方への負荷がカメラにかかった際に、その負荷を各ネジに均等に分散させることができ、レンズの破損抑制といった効果を一層顕著なものとすることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、レンズの前端が本体ケースの前面よりも本体ケースの内部側へ入り込むまで、カメラを本体ケースの内部側へ移動可能としたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、レンズの前端が本体ケースの前面よりも本体ケースの内部側へ入り込むまで、カメラを本体ケースの内部側へ移動可能としているため、レンズの破損抑制といった効果をより一層顕著なものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カメラにおけるレンズの中央を中心とした同一円周上となる位置に、複数の挿通孔を穿設する一方、挿通孔を介してカメラの前側と後側とにわたる複数のガイド手段を設けるとともに、各ガイド手段のカメラの後側となる位置に大径部を設け、各ガイド手段において、カメラの後面と大径部とにわたり軸方向へ縮めたコイルバネを巻回させ、コイルバネの付勢力により本体ケースの前面側へ付勢した状態で、カメラを本体ケースの内部に設置しており、付勢力を超える後方への負荷がカメラにかかると、カメラがコイルバネの付勢力に抗して、本体ケースの内部側へ移動可能とした。したがって、たとえばハンマーで叩かれる等したとしても、カメラは本体ケースの内部側へ移動しながら、上記衝撃を吸収することができるため、従来の如くレンズカバーを設けずとも、レンズの破損を抑制することができる。また、負荷が解除されると、コイルバネの付勢力によりカメラを通常の設置位置へ自動的に復帰させることができるため、カメラの設置位置を一々直す必要がなく、使い勝手が良い。さらに、複数の挿通孔を、レンズの中央を中心とした同一円周上に位置するように設けているため、後方への移動時に、カメラは設置姿勢から傾斜したりせず、設置姿勢のまま後方へ移動する。したがって、衝撃が与えられた際にカメラが設置姿勢から傾斜して何らかの部材に引っ掛かってしまい、衝撃がおさまったにも拘わらず設置位置へ復帰できない等といった事態の発生を防止することができる。
加えて、カメラにおける各挿通孔の前部が、挿通孔の後部よりも大径で、且つ、本体ケースの前面の内面から後方へ突設されたボスの先端が嵌入可能な嵌入凹部として形成されており、カメラが、ボスの先端が嵌入凹部へ嵌入した状態で設置されているため、カメラに衝撃が与えられた際、カメラが設置姿勢から傾斜するといった事態をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】インターホン子機を前面側から示した説明図である。
図2】カメラを設置した状態にある前ケースを後面側から示した斜視説明図である。
図3図2の前ケースを分解した状態にある斜視説明図である。
図4】カメラを設置した状態にある前ケースの部分断面説明図である。
図5】カメラが後方へ移動した際の前ケースの部分断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0012】
図1は、インターホン子機1を前面側から示した説明図である。
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2と、後側に配置される後ケース(図示せず)とで構成される本体ケースを有しており、この本体ケースの前面上部には、円孔状のカメラ窓3が開設され、該カメラ窓3内にレンズ4が露出するように、カメラ5(図2に示す)が本体ケース内に設置されている。また、カメラ窓3の右側には、通話のためのマイク部6が設けられている。さらに、本体ケースの前面下部には、来訪者が居住者を呼び出す際に操作する呼出ボタン7と、通話のためのスピーカ部8とが設けられている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者によって呼出ボタン7が操作されると、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すとともに、カメラ5を作動させて来訪者を撮像する。なお、カメラ5により撮像された映像は、インターホン親機に備えられているモニタに表示される。
【0013】
ここで、本発明の要部となるカメラ5の設置に係る構造について、図2図5をもとに詳細に説明する。
図2は、カメラ5を設置した状態にある前ケース2を後面側から示した斜視説明図である。図3は、図2の前ケース2を分解した状態にある斜視説明図である。図4は、カメラ5を設置した状態にある前ケース2の部分断面説明図である。図5は、カメラ5が後方へ移動した際の前ケース2の部分断面説明図である。
【0014】
カメラ5は、レンズユニット11と、レンズユニット11の後部を支持するレンズホルダ10と、撮像素子(図示せず)等が搭載された回路基板12とを備えてなる。レンズホルダ10は、前面が平らな基台で、その中央部には、レンズユニット11を螺合させるための螺合孔13が設けられている。さらに、レンズホルダ10には、レンズホルダ10を前ケース2の裏面に固定するための3つの固定片14、14・・が設けられている。各固定片14には、後方へ突出する位置決め凸部14aが設けられており、該位置決め凸部14aの略中央に、ネジ27の軸部を挿通可能な挿通孔14bが穿設されている。各挿通孔14bは、小径な後部と、後部よりも大径な前部とを有しており、当該前部は、前ケース2の後面に突設された固定ボス26の先端を嵌入可能な嵌入凹部(図示せず)として機能するようになっている。そして、各固定片14の特に挿通孔14bは、螺合孔13の中央(すなわちレンズ4の中央)を中心とした同一円周上に位置した状態となっている。
【0015】
一方、レンズユニット11は、レンズ4、及びレンズ4を保持するレンズ鏡枠17からなる。そして、レンズ鏡枠17は、前後方向へ延びる円筒状に形成され、内部にレンズ4を収容し、その一部を前面から露出させた状態で保持可能となっている。また、レンズ鏡枠17の後部は、螺合孔13へねじ込み可能な雄ねじ部18として形成されている。さらに、雄ねじ部18の前側に隣接する位置には、くびれ状の取付凹部が周設されており、Oリング21(図4に示す)を取付可能となっている。
【0016】
加えて、回路基板12は、前面に撮像素子を始めとした種々の素子が搭載されてなる基板であって、レンズホルダ10の後側に配置されている。そして、該回路基板12には、レンズホルダ10へネジ止めするためのネジ止め孔23、23、及びレンズホルダ10の位置決め凸部14aが入り込み可能な位置決め孔24や位置決め用切り欠き25、25が設けられている。
【0017】
上述の如きカメラ5の組み立て及び前ケース2への設置について説明すると、まずOリング21を嵌装した状態で、レンズ鏡枠17の雄ねじ部18をレンズホルダ10の前方から螺合孔13へねじ込み、レンズユニット11とレンズホルダ10とを一体化する。このレンズユニット11のレンズホルダ10への螺合度合いを調整することにより、フォーカス調整が可能となっている。なお、レンズユニット11をねじ込むと、フォーカスが合焦点に近づくにつれOリング21が取付凹部内で潰されるように変形してトルクが強くなり、レンズユニット11は合焦点でレンズホルダ10に強固に固定されることになる。
【0018】
そして、レンズホルダ10の位置決め凸部14a、14a・・を対応する回路基板12の位置決め孔24や位置決め用切り欠き25、25へ嵌め込み、回路基板12上でのレンズホルダ10の位置を位置決めした後、ネジ止め孔23、23を利用したネジ止めによりレンズホルダ10と回路基板12とを一体化すれば、カメラ5の組み立ては完了となる。この組み立て状態において、カメラ5の重心は、レンズ4の光軸中心上に位置している。
【0019】
次に、前ケース2の後面においてカメラ窓3を囲むように弾性部材22を配置した上で、レンズ4をカメラ窓3内へ露出させながら、レンズホルダ10の固定片14、14・・の嵌入凹部内へ固定ボス26、26・・の先端を嵌入させる。そして当該状態において、カメラ5の後方からネジ27、27・・を、挿通孔14b、14b・・を介して固定ボス26、26・・のネジ孔へねじ込む。このとき、ワッシャ28及び前後方向が軸方向となるコイルバネ29を各ネジ27の軸部に介在させ、各ネジ27をねじ込むことにより、コイルバネ29が、回路基板12の後面とワッシャ28との間で軸方向に縮んだ状態となるようにする。すると、挿通孔14bを介してカメラ5の前側と後側とにわたり固定ボス26とネジ27とからなるガイド手段が設けられることになり、且つ、ネジ27のカメラ5の後側となる位置に大径部としてのワッシャ28が存在し、さらに、ネジ27の軸部において、カメラ5の後面とワッシャ28とにわたり軸方向へ縮められたコイルバネ29が巻回された状態となる。したがって、コイルバネ29、29・・の付勢力によりカメラ5が前方(すなわち前ケース2の後面側)へ押し付けられることになり、カメラ5の前ケース2の後面への設置は完了となる。
【0020】
上述したように設置されたカメラ5に対し、コイルバネ29、29・・の付勢力を超える後方への負荷、たとえば本体ケースの前面側からハンマーで叩かれる等して後方へ強い衝撃が与えられたとする。すると、コイルバネ29、29・・の付勢力に抗してカメラ5が後方(すなわち本体ケースの内部側)へネジ27、27・・の軸部に沿って移動し、上記衝撃を吸収する。また、衝撃がおさまると、コイルバネ29、29・・の付勢力によりネジ27、27・・の軸部に沿って前方へ移動し、上記設置位置へ復帰する。なお、ネジ27の長さ、コイルバネ29の軸方向長さ、及びコイルバネ29の付勢力は、カメラ5が後方へ移動する際、レンズ4の前端(すなわちレンズ4の最も前方へ膨出した面)が本体ケースの内部に入り込み可能、すなわち図5に示す如くレンズ4の前端が前ケース2の前面よりも後側に位置するまで入り込み可能な程度の値となっている。
【0021】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、カメラ5にネジ27の軸部を挿通可能な挿通孔14b、14b・・を穿設し、カメラ5の後方から挿通孔14b、14b・・を介してネジ27、27・・を前ケース2の後面へねじ込むとともに、各ネジ27の軸部に軸方向へ縮められたコイルバネ29を巻回させ、コイルバネ29によってカメラ5を前ケース2の後面側へ付勢することにより、カメラ5を前ケース2の後面に設置している。そのため、たとえばハンマーで叩かれる等してカメラ5(特にレンズ4等)に後方への強い衝撃が与えられたとしても、カメラ5は本体ケースの内部側へ移動しながら、上記衝撃を吸収することができる。したがって、従来の如くレンズカバーを設けずとも、レンズ4の破損を抑制することができる。
また、衝撃がおさまると、コイルバネ29、29・・の付勢力によりカメラ5を通常の設置位置へ自動的に復帰させることができるため、カメラ5の設置位置を一々直す必要がなく、使い勝手が良い。
さらに、挿通孔14b、14b・・を、レンズ4の中央を中心とした同一円周上に位置するように設けているため、後方への移動時に、カメラ5が設置姿勢から傾斜してしまうといった事態が生じにくい。すなわち、カメラ5は設置姿勢のまま後方へ移動する。したがって、衝撃が与えられた際にカメラ5が設置姿勢から傾斜して何らかの部材に引っ掛かってしまい、衝撃がおさまったにも拘わらず設置位置へ復帰できない等といった事態の発生を防止することができる。
【0022】
また、カメラ5を、自身の重心がレンズ4の光軸中心上に位置するように形成しているため、衝撃が与えられた際に、その衝撃を各ネジ27に均等に分散させることができ、レンズ4の破損抑制といった効果を一層顕著なものとすることができる。
さらに、カメラ5が後方へ移動する際、レンズ4の前端が本体ケースの内部にまで入り込み可能としているため、レンズ4の破損抑制といった効果を極めて顕著なものとすることができる。
加えて、各挿通孔14bが、小径な後部と、後部よりも大径で前ケース2の後面に突設された固定ボス26の先端を嵌入可能な前部とを有しており、前部を固定ボス26の先端に嵌入させた状態でカメラ5を設置している。したがって、カメラ5に衝撃が与えられた際、カメラ5が設置姿勢から傾斜するといった事態をより確実に防止することができる。
【0023】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、カメラ5そのものの構成やカメラ5の本体ケースへの設置に係る構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0024】
たとえば、上記実施形態では、カメラ5が後方へ移動する際のガイド手段としてネジ27を採用しているが、後ケースに前方へ突出する突起(基部側に大径部を有する)を設け、当該突起をネジ27に代わるガイド手段として採用することも可能である。すなわち、当該突起にコイルバネを巻回させておき、後ケースの前ケースへの組み付けに伴い、突起が挿通孔を挿通するとともにコイルバネが軸方向へ縮んだ状態でカメラ5の後面に当接するような構成とすれば、上記実施形態同様の効果を奏することができる。
また、たとえば前ケースから後方へ大きく突出するガイド突起(先端側に大径部を有する)を設けるとともに、カメラ5の後面と後ケースの内面との間にわたり、コイルバネ29をガイド突起に巻回させるような構成を採用することも考えられる。
【0025】
さらに、上記実施形態では、カメラ5のガイド手段を3つ設けているが、4つ以上設けても何ら問題はないし、挿通孔14bの形状については、言うまでもなく設計変更可能である。また、ガイド手段としてネジ27を採用するに際しても、ワッシャ28の有無はコイルバネ29の径等に応じて適宜変更すればよく、ネジ27のネジ頭を大径部とすることも可能である。
さらにまた、上記実施形態では、カメラ5におけるレンズ4の中央を中心とした同一円周上となる位置に、複数の挿通孔14b、14b・・を穿設するとしているが、厳密な同一円周上でなく、僅かに同一円周上から外れた位置に挿通孔14b、14b・・の何れかが位置していたとしても何ら問題はない。
加えて、上記実施形態ではインターホン子機について説明しているが、本発明のインターホン機器は、カメラを有してなるインターホン機器であれば、インターホン親機やテレビドアホンシステムの玄関子機等の他のインターホン機器に対しても良好に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・カメラ窓、4・・レンズ、5・・カメラ、10・・レンズホルダ、11・・レンズユニット、12・・回路基板、13・・螺合孔、14・・固定片、14b・・挿通孔、26・・固定ボス(ガイド手段)、27・・ネジ(ガイド手段)、28・・ワッシャ(大径部)、29・・コイルバネ。
図1
図2
図3
図4
図5