(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251750
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】撚られたハイブリッドフィル糸を有する布スリーブおよびその構築方法
(51)【国際特許分類】
D03D 1/00 20060101AFI20171211BHJP
D03D 15/00 20060101ALI20171211BHJP
D03D 15/02 20060101ALI20171211BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20171211BHJP
D02G 3/36 20060101ALI20171211BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
D03D1/00 Z
D03D15/00 D
D03D15/02 B
D03D15/00 C
D02G3/04
D02G3/36
H02G3/04
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-534787(P2015-534787)
(86)(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公表番号】特表2016-502607(P2016-502607A)
(43)【公表日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】US2013062547
(87)【国際公開番号】WO2014055390
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2016年8月5日
(31)【優先権主張番号】13/633,528
(32)【優先日】2012年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マロイ,キャシー
(72)【発明者】
【氏名】ベーコン,エレン
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ,ダニー
【審査官】
相田 元
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−277745(JP,A)
【文献】
特開2008−075193(JP,A)
【文献】
実開昭55−111979(JP,U)
【文献】
特表2009−532015(JP,A)
【文献】
特表2013−515331(JP,A)
【文献】
特表2011−513600(JP,A)
【文献】
特表2011−509355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 1/00−27/18
D02G 1/00− 3/48
D02J 1/00−13/00
H02G 3/00− 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部材を通しかつ保護するための布スリーブであって、
スリーブの中心軸に平行に延在する対向端縁を有する長尺壁を備え、前記壁は、前記軸に平行に延在する縦撚糸と前記縦撚糸を横切るように延在するフィル撚糸として織られるハイブリッド撚糸とで織られ、撚糸フィラメント芯と前記撚糸フィラメント芯の上に重なる非金属性の第1および第2の撚糸フィラメントとを有する前記ハイブリッドフィル撚糸が設けられ、前記第1の撚糸フィラメントは第1の螺旋方向に前記撚糸フィラメント芯の周りに撚られ、前記第2の撚糸フィラメントは前記第1の撚糸フィラメントの上にかつ第2の螺旋方向に前記撚糸フィラメント芯の周りに撚られ、前記第1の螺旋方向と前記第2の螺旋方向とは互いに対して反対であり、
前記撚糸フィラメント芯は、前記壁を前記中心軸の周りに自己カールした構成に付勢する熱可塑性モノフィラメントである、布スリーブ。
【請求項2】
前記第1および第2の撚糸フィラメントはマルチフィラメントである、請求項1に記載の布スリーブ。
【請求項3】
前記マルチフィラメントはテクスチャライズされる、請求項2に記載の布スリーブ。
【請求項4】
前記対向端縁は、前記熱可塑性モノフィラメントによって互いに重なり合う関係に付勢される、請求項1に記載の布スリーブ。
【請求項5】
前記第1の撚糸フィラメントは前記撚糸フィラメント芯の周りにインチ当たり第1の巻数を有するように撚られ、前記第2の撚糸フィラメントは前記撚糸フィラメント芯の周りにインチ当たり第2の巻数を有するように撚られ、インチ当たり前記第1の巻数はインチ当たり前記第2の巻数よりも大きい、請求項1に記載の布スリーブ。
【請求項6】
前記壁は内層と前記内層の上に重なる外層とを含み、前記内層および前記外層は、前記軸に平行に延在する前記縦撚糸と前記縦撚糸を横切るように延在しかつ同じ織り構築を有する前記フィル撚糸とを有する、請求項1に記載の布スリーブ。
【請求項7】
布スリーブを構築する方法であって、
スリーブの中心軸に平行に延在する対向端縁を有する長尺壁を織ることを備え、単一フィラメント縦撚糸は軸に平行に延在し、ハイブリッドフィル撚糸は縦撚糸を横切るように延在し、さらに、
ハイブリッド撚糸としてフィル撚糸を設けることを備え、ハイブリッド撚糸は、撚糸フィラメント芯と撚糸フィラメント芯の上に重なる非金属性の第1および第2の撚糸フィラメントとを有し、第1の撚糸フィラメントは第1の螺旋方向に撚糸フィラメント芯の周りに撚られ、第2の撚糸フィラメントは第1の撚糸フィラメントの上にかつ第2の螺旋方向に撚糸フィラメント芯の周りに撚られ、第1の螺旋方向と第2の螺旋方向とは互いに対して反対であり、
撚糸フィラメント芯を熱可塑性モノフィラメントとして設けることと、
熱可塑性モノフィラメントを熱硬化させて、壁を中心軸の周りで自己カールした構成に付勢することとをさらに含む、方法。
【請求項8】
第1および第2の撚糸フィラメントをマルチフィラメントとして設けることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
マルチフィラメントをテクスチャライズされたマルチフィラメントとして設けることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
インチ当たり第1の巻数を有するように撚糸フィラメント芯の周りに第1の撚糸フィラメントを撚ることと、インチ当たり第2の巻数を有するように撚糸フィラメント芯の周りに第2の撚糸フィラメントを撚ることとをさらに含み、インチ当たり第1の巻数はインチ当たり第2の巻数よりも大きい、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
内層と内層の上に重なる外層とを有する壁を織ることをさらに含み、内層と外層とは同じ織り構築を有する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2012年10月2日に出願された米国実用出願連続番号第13/633,528号の利益を主張し、ここにその全体が引用により援用される。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
この発明は概して、長尺部材を保護するための布スリーブに関し、より特定的には織りスリーブに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2.関連技術
自動車、飛行機、または宇宙船などにおいて、保護スリーブ中のさまざまな種類のワイヤ、ワイヤハーネス、および導管を包んで、摩耗、流体、および熱的影響からの保護をワイヤに与えることが公知である。所望の保護および機能を達成するため、保護スリーブは、1つの層がある機能を与えるように構築されながら、別の層が異なる機能を与えるように構築された複数の層を有する壁を有することがある。たとえば、1つの層はスリーブの壁に対して自己カール(self-curling)付勢を与えて壁を自己カールした(巻き煙草状の)構成に維持するように構築されることがある一方で、別の層は、スリーブの空洞内に含まれる長尺部材のための向上した被覆を与えるように構築されることがある。前述の多層スリーブは良好に働いてさまざまな環境条件からの好適な保護を与えることがあるが、残念ながら、それらは一般的に構築が難しい。なぜなら、互いとは異なる材料種類の撚糸を有する壁が構築されるからである。さらに、互いとは異なる材料の撚糸を有する別個の層を用いると、共通の機能に対して各々の壁を均一に寄与させることができず、したがって各々の壁は本来的にその特定の撚糸の種類の特定的な機能に限定されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
発明の1つの局面は、長尺部材を通しかつ保護するための織りスリーブを提供する。スリーブは、スリーブの中心軸に平行に延在する対向端縁を有する長尺壁を有する。壁は、軸に平行に延在する縦撚糸と、縦撚糸を横切るように延在するハイブリッドフィル撚糸とで織られる。撚糸フィラメント芯と、撚糸フィラメント芯の上に重なる非金属性の第1および第2の撚糸フィラメントとを有するハイブリッドフィル撚糸が設けられる。第1の撚糸フィラメントは、第1の螺旋方向に撚糸フィラメント芯の周りに撚られ、第2のマルチフィラメント撚糸は、第1の撚糸フィラメントの上にかつ第2の螺旋方向に撚糸フィラメント芯の周りに撚られる。第1の螺旋方向と第2の螺旋方向とは互いに対して反対であり、撚糸フィラメント芯に対して合成ゼロトルクを与える。
【0005】
発明の別の局面に従うと、撚糸フィラメント芯は熱可塑性モノフィラメントである。
発明の別の局面に従うと、第1および第2の撚糸はマルチフィラメントである。
【0006】
発明の別の局面に従うと、モノフィラメントフィル撚糸は、壁を中心軸の周りで自己カールした構成に付勢する。
【0007】
発明の別の局面に従うと、第1の撚糸フィラメントは、撚糸フィラメント芯の周りにインチ当たり第1の巻数を有するように撚られ、第2の撚糸フィラメントは、撚糸フィラメント芯の周りにインチ当たり第2の巻数を有するように撚られ、インチ当たり第1の巻数はインチ当たり第2の巻数よりも大きい。
【0008】
発明の別の局面に従うと、壁は、内層と、内層の上に重なる外層とを含み、内層および外層は、軸に平行に延在する縦撚糸と、縦撚糸を横切るように延在しかつ同じ編み構築を有するハイブリッドフィル撚糸とを有する。
【0009】
発明の別の局面に従うと、布スリーブを構築する方法が提供される。方法は含む
発明のまた別の局面に従うと、方法は、スリーブの中心軸に平行に延在する対向端縁を有する長尺壁を織ることを含み、縦撚糸は軸に平行に延在し、ハイブリッドフィル撚糸は縦撚糸を横切るように延在する。さらに、撚糸フィラメント芯と撚糸フィラメント芯の上に重なる非金属性の第1および第2の撚糸フィラメントとを有するハイブリッドフィル撚糸を設けること。第1の撚糸フィラメントは、第1の螺旋方向に撚糸フィラメント芯の周りに撚られ、第2のマルチフィラメント撚糸は、第1の撚糸フィラメントの上にかつ第2の螺旋方向に撚糸フィラメント芯の周りに撚られ、第1の螺旋方向と第2の螺旋方向とは互いに対して反対である。
【0010】
発明のまた別の局面に従うと、方法は、撚糸フィラメント芯を熱可塑性モノフィラメントとして設けることを含む。
【0011】
発明のまた別の局面に従うと、方法は、第1および第2の撚糸をマルチフィラメントとして設けることを含む。
【0012】
発明のまた別の局面に従うと、方法は、モノフィラメントを熱硬化させて、壁を中心軸の周りで自己カールした構成に付勢することを含む。
【0013】
発明のまた別の局面に従うと、方法は、インチ当たり第1の巻数を有するように撚糸フィラメント芯の周りに第1の撚糸フィラメントを撚ることと、インチ当たり第2の巻数を有するように撚糸フィラメント芯の周りに第2の撚糸フィラメントを撚ることとを含み、インチ当たり第1の巻数はインチ当たり第2の巻数よりも大きい。
【0014】
発明のまた別の局面に従うと、方法は、内層と内層の上に重なる外層とを有する壁を織ることを含み、内層と外層とは同じ編み構築を有する。
【0015】
これらおよび他の局面、特徴、および利点は、現在好ましい実施形態および最良モードの以下の詳細な説明、添付の請求項、ならびに添付の図面に鑑みて当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】発明の1つの局面に従って構築される織られた自己巻き(self-wrapping)スリーブの概略斜視図である。
【
図2】
図1のスリーブの壁の、丸で囲んだ区域2の部分拡大図である。
【
図2A】
図1のスリーブのハイブリッドフィル撚糸の部分拡大図である。
【
図3】まず織られた非熱硬化状態で示される
図1のスリーブの壁の概略端面図である。
【
図4】発明の別の局面に従って構築される織られた自己巻きスリーブの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、
図1は、発明の1つの局面に従って構築される、以下スリーブ10として参照される織られた自己巻き布スリーブの概略図を示す。スリーブ10は、ワイヤまたはワイヤハーネス14などの長尺部材を通し、かつこれらをたとえば摩耗を受けることならびに汚染および塵などの侵入から保護するための自己巻き長尺壁12を有する。長尺壁12は、長手方向の中心軸18にほぼ平行に延在する対向端縁16および(17,17′)を有し、端縁16、(17,17′)は好ましくは、「巻き煙草」の態様で互いに重なり合う関係に付勢されて、スリーブの中心空洞20内に長尺部材14を完全に包み込む。空洞20は長手方向軸18の全長に沿って容易にアクセス可能であるので、長尺部材14を、容易に径方向に空洞20の中に配設することができ、反対に、点検の間などは空洞20から取外すことができる。壁12は、モノフィラメントまたはマルチフィラメント撚糸として設けられる縦撚糸22と、ハイブリッドフィル撚糸24とで織られる。ハイブリッドフィル撚糸24は、摩耗からの付加的な向上した保護を長尺部材14に対して与え;縦撚糸22に対して向上した静止摩擦力を加えて縦撚糸22とハイブリッドフィル撚糸24との互いに対する滑りを阻害し、これにより壁12中の不所望の開口の形成を回避し;対向端縁16、(17,17′)を互いに重なり合う関係に自己カールさせるように、ハイブリッドフィル撚糸24の撚糸構成要素のうち少なくとも1つを中心軸18の周りでカールした構成に熱硬化することによって与えられる付勢を与え;かつ、ハイブリッドフィル撚糸24がともに撚られたまたは供給された(served)少なくとも2つの異なる撚糸材料を含むならば、単一の撚糸構築に複数の機能性を与える。
【0018】
限定ではなく一例として、2つの第1および第2の層26、28を有するものとして、スリーブ10の壁12を
図1および
図3に示す。第1の層が内層26であり、第2の層28が第1の層26に重なる外層である。第1および第2の層26、28は、同じ撚糸および織りパターンを利用する単一の連続織りプロセスで織られ、それらの共通の端縁16に沿って連続した織りプロセスで互いに接合される。したがって、第1および第2の層26、28は同じ織り構築を有する。第1の層26は、端縁16から横方向にその自由端縁17へ延在する一方で、第2の層28は端縁16から横方向にその自由端縁17′へ延在する。第1および第2の層26、26は同じまたは実質的に同じ幅を有し、したがって自由端縁17、17′は互いに隣接しかつ径方向に整列される。
【0019】
ハイブリッドフィル撚糸24は単一の撚糸フィラメントとして織られながら複数の機能を果たし、これにより織りプロセスを経済的かつ効率的にする。
図2および
図2Aに最良に示されるように、発明の1つの局面に従って構築されるハイブリッドフィル撚糸24は、第1、第2、および第3の撚糸フィラメント30、32、34を有する。第1の撚糸フィラメント30および第2の撚糸フィラメント32は、まず、第2の撚糸フィラメント32がSまたはZ撚り方向のいずれかである第1の螺旋方向に延在し、第2の撚糸フィラメント34が、第1の撚糸フィラメント32の上にかつ第1の撚糸フィラメント32とは反対のSまたはZ方向である第2の螺旋方向に撚糸フィラメント芯30の周りに供給されるように、互いと撚り合わされる。したがって、第1の螺旋方向と第2の螺旋方向とは互いに対して反対である。
【0020】
第1の撚糸フィラメント32は、撚糸フィラメント芯30の周りに、たとえば約4.0tpiなどのインチ当たり第1の巻数(tpi)を有するように撚られるマルチフィラメントであり、第2の撚糸フィラメント34は、撚糸フィラメント芯の周りに、たとえば3.2tpiなどのインチ当たり第2の巻数を有するように撚られるマルチフィラメントであり、インチ当たり第1の巻数はインチ当たり第2の巻数よりも大きい。ハイブリッドフィル撚糸24に加えられるトルクがゼロである、したがってトルクのバランスが取れていることを確実にするには、インチ当たり巻数のこの相対的な比率が重要である。縦撚糸22とハイブリッドフィル撚糸24との間の相対的な動きを防止するのをさらに容易にするため、第1および第2の撚糸フィラメント32、34をテクスチャライズすることができる。
【0021】
ハイブリッド撚糸フィラメント芯30は、熱硬化可能な熱可塑性モノフィラメントとして設けられる。たとえば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)またはポリエチレンテレフタレート(PET)などの任意の好適な熱硬化可能ポリマー材料としてモノフィラメントを設けることができる。
【0022】
適用例の必要性に依存して、長さおよび直径を含む任意の好適なサイズを有する壁12を構築可能である。壁12が任意の外部から加えられる力がほぼないその自己巻き管状構成にある場合、端縁16、17.17′は好ましくは少なくともわずかに互いに重なり合って空洞20を完全に包み込み、したがって空洞20に内蔵される長尺部材14に向上した保護を与える。端縁16、17,17′は空洞20を少なくとも部分的に開きかつ露出するように、フィルモノフィラメント芯30によって与えられる付勢に勝るのに十分な外部から加えられる力の下で容易に互いから離れるように延在することができる。したがって、組立の際は長尺部材14を空洞20の中に容易に配設し、または点検の際はこれを空洞20から取外すことができる。外部から加えられる力を解放すると、端縁16、17,17′は、熱硬化フィルモノフィラメント芯30によって与えられる付勢下で、それらの自然に付勢された重なり合う自己巻き位置に自動的に戻る。
【0023】
構築の際、壁12を織った後、壁12は、カールした構成に巻かれて対向端縁16、17,17′を互いに対して重なり合う関係にする。次に、好適な熱を壁12に加えてフィルモノフィラメント芯30を熱硬化させ、これにより永久的にカールした構成を保持する。このため、熱硬化されると、モノフィラメント芯部材30は、熱硬化モノフィラメント芯30によって与えられるカール付勢力に勝るのに十分ないくらかの外部からの力がなくても、壁を中心軸18の周りにその自己カールした構成に自動的にカールさせる。
【0024】
図4に示されるように、発明の別の局面に従って構築されるスリーブ110が示され、同じ特徴を同定するのに、100だけオフセットした、以上で用いたのと同じ参照番号を用いる。スリーブ110と以上で論じたスリーブ10との間の唯一の相違点は、スリーブ110が単一の壁112を有することである。壁112は、対向端116と117との間に横方向に延在し、構築が完了すると、端116、117は自動的に互いに対して重なり合う関係に付勢される。同じ縦撚糸122およびハイブリッドフィル撚糸124を用いてスリーブ110を構築する。したがって、単一の壁を有することを除き、スリーブ110は前述のスリーブ10と同じである。
【0025】
発明の別の局面に従うと、以上で論じた構造を有する布スリーブ10、110を構築する方法が提供される。方法は長尺壁12を織ることを含み、同じ撚糸および編み縫いパターンを用いて互いと連続して織られて互いの上に重なる内層および重なる外層を形成する第1および第2の層26、28を有する、
図1−
図3の実施形態における壁12が示される。重なる層26、28は、共通の内側端縁16に沿って織りプロセスを介して互いに接続され、互いに平行に外側自由端縁17、17′へ延在する。方法にさらに従うと、織りは、「単一ヘッド用2端(dual end for a single head)」アタッチメントの補助により、織機で行なうことができる。そうでない場合は、
図4に示されるスリーブ110については、方法は、長尺の単一の層の壁112を織ることを含む。
【0026】
発明に従うと、方法はさらに、撚糸フィラメント芯30と、撚糸フィラメント芯30の上に重なる非金属性の第1および第2の撚糸フィラメント32、34とを有するフィル撚糸24を設けることを含む。第1の撚糸フィラメント32は、第1の螺旋方向(SまたはZ)に撚糸フィラメント芯30の周りに撚られ、第2の撚糸フィラメント34は、第1の撚糸フィラメント32の上にかつ第1の撚糸フィラメント32の撚りの反対方向である第2の螺旋方向(SまたはZ)に撚糸フィラメント芯30の周りに撚られ、第1の螺旋方向と第2の螺旋方向とは互いに対して反対である。方法はさらに、インチ当たり第1の巻数で撚糸フィラメント芯30の周りに第1の撚糸フィラメント32を撚ることと、インチ当たり第2の巻数で撚糸フィラメント芯30の周りに第2の撚糸フィラメント34を撚ることとを含み、インチ当たり第1の巻数はインチ当たり第2の巻数よりも大きい。第1の撚糸32と第2の撚糸34との間の撚りの関係は、芯フィラメント30の周りでのゼロ合成トルクを生じる。
【0027】
方法はさらに、撚糸フィラメント芯30を熱硬化可能熱可塑性モノフィラメントとして設けることと、第1および第2の撚糸をマルチフィラメントとして設けることとを含む。壁12の性能をさらに向上させるため、縦フィラメント22とフィルフィラメント24との間の相対的な滑りを防止することにより、方法はさらに、第1および第2のマルチフィラメント32、34をテクスチャライズすることを含む。
【0028】
2層の壁12を織ると、方法は、2層26、28を管状構成に巻いて対向端縁16、17,17′を互いに対して重なり合う関係にすることを含む。次に、方法は、好適な熱を壁12に加えてフィルモノフィラメント芯30を永久的にカールした構成に熱硬化させ、これにより、壁12に中心軸18の周りで自己カールした構成を保持させることを含む。そうでない場合は、壁112が
図4に示されるような単一の層である場合、同じ加熱プロセスを行なって壁112に自己カール構成を与える。
【0029】
以上の教示に照らして本発明のさまざまな修正例および変形例が可能であることが明らかである。したがって、添付の請求項の範囲内で、具体的に記載されたようなもの以外のやり方で発明を実践してもよいことを理解すべきである。