(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251808
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】内視鏡装置のための使い捨て可能な空気/送水弁
(51)【国際特許分類】
A61B 1/015 20060101AFI20171211BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20171211BHJP
F16K 3/24 20060101ALI20171211BHJP
F16K 11/07 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
A61B1/015 511
A61B1/00 632
F16K3/24 D
F16K11/07 F
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-534199(P2016-534199)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-539695(P2016-539695A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】US2013071871
(87)【国際公開番号】WO2015080694
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】503423661
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ エンドスコピー グループ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベロファット,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】クシュナー,ジェフリー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サルモン,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウォルコット,ケネス イー.
【審査官】
原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/075131(WO,A1)
【文献】
実開昭57−136060(JP,U)
【文献】
実開平01−158879(JP,U)
【文献】
特開2005−261512(JP,A)
【文献】
特開昭58−010030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
F16K 3/00−3/36
F16K 11/00−11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器のための弁アセンブリであって、
ハウジングと、
スプールと、
シーリング部材と、を備えており、
上記スプールは、
第1端部と、
第2端部と、
上記第1端部と上記第2端部との間において伸びる長軸方向の通路と、
上記第1端部および上記第2端部のそれぞれの近傍に位置する、第1部分および第2部分と、を有しており、
上記スプールの上記第1部分は、上記ハウジングの内部に少なくとも部分的に受容されるように構成されており、
上記スプールの上記第2部分の外面は、複数の位置決め機構を規定し、
上記シーリング部材は、
長軸方向の支持部材と、
上記支持部材から周方向に伸びる複数のシーリングリングと、を有しており、
上記シーリングリングのそれぞれは、隣接する位置決め機構間の距離と対応する、上記支持部材の長さに沿った距離で、隣接するシーリングリングと離間しており、
上記スプールの上記外面の少なくとも一部分が、上記シーリング部材の上記支持部材を受容するように構成された長軸方向の溝を規定することにより、上記支持部材の内面は、上記スプールの上記外面と係合するように構成されており、
上記シーリングリングのそれぞれの内側の周方向の表面が、対応する位置決め機構の近傍に位置する上記スプールの上記第2部分の上記外面と密閉して係合するように、上記シーリングリングが開口を規定することを特徴とする弁アセンブリ。
【請求項2】
第1端部および第2端部を含むバネと、
上記スプールの上記第1端部によって受容されるように構成された保持器と、をさらに備えており、
上記バネは、上記スプールの上記第1部分の周囲に配置されており、
上記バネの上記第2端部は、上記ハウジングと係合するように、かつ、当該ハウジングに対して固定された状態を維持するように構成されており、
上記バネの上記第1端部は、上記保持器が上記ハウジングから離れるように付勢されるように、当該保持器と係合されていることを特徴とする請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項3】
上記ハウジングは、上記バネの上記第2端部と係合するように構成された、少なくとも1つの半径方向の伸長部を規定することを特徴とする請求項2に記載の弁アセンブリ。
【請求項4】
上記シーリング部材が上記スプールに係合する場合に、上記支持部材の外面が、当該スプールの上記外面に対して平坦な面を形成することを特徴とする請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項5】
上記シーリング部材は、上記スプールにオーバーモールドされていることを特徴とする請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項6】
上記スプールは、上記長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ、当該長軸方向の通路と交差する横軸方向の通路を規定し、
上記横軸方向の通路は、上記長軸方向の溝を通るように規定されることを特徴とする請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項7】
上記長軸方向の溝の少なくとも一部分は、少なくとも1つの位置決め機構によって規定されることを特徴とする請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項8】
上記スプールは、上記長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ、当該長軸方向の通路と交差する横軸方向の通路を規定し、
上記シーリング部材の上記支持部材は、上記スプールの上記外面において規定された、上記横軸方向の通路の開口と係合するように構成された、長軸方向に伸びるリングを規定することを特徴とする請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項9】
上記シーリング部材は、4つのシーリングリングを備えていることを特徴とする請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項10】
上記ハウジングは、内部に上記弁アセンブリが取り付けられる上記医療機器と係合するように構成された、長軸方向の伸長部を規定することを特徴とする請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項11】
医療機器のための弁アセンブリを製造する方法であって、
スプールを成形するステップと、
上記スプールの外面にシーリング部材をオーバーモールドするステップと、
上記スプールの第1部分を少なくとも部分的に受容するように構成されたハウジングを成形するステップと、
上記スプールの上記第1部分を、少なくとも部分的に上記ハウジングの内部に配置するステップと、を含んでおり、
上記スプールは、
第1端部と、
第2端部と、
上記第1端部と上記第2端部との間において伸びる長軸方向の通路と、
上記第1端部および上記第2端部のそれぞれの近傍に位置する、上記第1部分および第2部分と、を有しており、
上記スプールの上記第2部分の外面は、複数の位置決め機構を規定し、
上記シーリング部材は、
長軸方向の支持部材と、
上記支持部材から周方向に伸びる複数のシーリングリングと、を有しており、
上記シーリングリングのそれぞれは、隣接する位置決め機構間の距離と対応する、上記支持部材の長さに沿った距離で、隣接するシーリングリングと離間していると共に、
上記スプールの上記外面の少なくとも一部分において、長軸方向の溝を規定するステップをさらに含み、
上記長軸方向の溝が、上記シーリング部材の上記支持部材を受容するように構成されていることにより、上記支持部材の内面は、上記スプールの上記外面と係合しており、
上記シーリングリングのそれぞれの内側の周方向の表面が、対応する位置決め機構の近傍に位置する上記スプールの上記第2部分の上記外面と密閉して係合するように、上記シーリングリングが開口を規定することを特徴とする方法。
【請求項12】
上記スプールの上記第1部分の周囲に、第1端部および第2端部を規定するバネを配置するステップと、
上記スプールの上記第1端部によって受容されるように構成された保持器を設けるステップと、
上記バネの上記第2端部の位置が上記ハウジングに対して固定された状態を維持するように、当該バネの当該第2端部を当該ハウジングに係合させるステップと、
上記バネの上記第1端部を上記保持器に係合させるステップと、
上記保持器が上記ハウジングから離れるように付勢されるように、当該保持器を上記スプールの上記第1端部に取り付けるステップと、をさらに含んでいることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記スプールを成形するステップは、当該スプールを形成するための第1の型を使用するステップを含んでおり、
上記シーリング部材をオーバーモールドするステップは、上記第1の型から上記スプールを取り外すステップと、当該スプールを第2の型の内部に配置するステップとを含んでいることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記シーリング部材をオーバーモールドするステップは、上記第2の型において上記シーリング部材を形成するために、上記長軸方向の溝の内部にエラストマー材料を導入するステップを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記スプールの長軸に対して垂直な向きに、複数の固定板を配置するステップをさらに含んでおり、
上記板は、同心の穴を含んでおり、かつ、上記シーリングリングが形成される予定である位置と対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記スプールを成形するステップは、上記長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ、当該長軸方向の通路と交差する横軸方向の通路を規定するステップを含んでおり、
上記横軸方向の通路は、上記長軸方向の溝を通るように規定されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
上記長軸方向の溝の少なくとも一部分は、少なくとも1つの位置決め機構によって規定されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
上記スプールを成形するステップは、上記長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ、当該長軸方向の通路と交差する横軸方向の通路を規定するステップを含んでおり、
上記シーリング部材をオーバーモールドするステップは、上記スプールの上記外面において規定された、上記横軸方向の通路の開口と係合する上記支持部材において、長軸方向に伸びるリングを規定するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[本発明の背景]
本発明は、概して、医療機器とともに用いられる空気/送水弁に関する。より特に、本発明は、内視鏡装置に用いられる使い捨て可能な弁アセンブリに関する。
【0002】
[本発明の背景]
内視鏡は、現代の医療行為において、医師に、患者の中空器官または患者の体腔の内側を観察することを可能にするために、使用される。内視鏡を使用して、患者の症状が詳しく調べられる場合がある(例えば、吐き気、嘔吐、腹痛、嚥下障害、消化管出血などの消化器系における症状)。また、内視鏡を使用して、診断が確定される場合がある。(例えば、生体組織検査法を実行することによって)または、内視鏡を使用して、処置が施される場合がある(例えば、出血している血管を焼灼すること、狭い食道を拡張すること、ポリープを切り取ること、など)。
【0003】
他の医療用イメージング装置とは違って、内視鏡は、器官または体腔の中に直接挿入される。内視鏡処置の間、(i)接触している器官または体腔を吸入法で治療するために、および/または、(ii)区域および/または装置の一部分(例えば、内視鏡自身の光ヘッド)を洗浄するために、空気および水が一般的に使用される。空気および水の流れは、一般的に、弁によって装置のユーザによって制御される。
【0004】
[本発明の概要]
内視鏡を通る空気および水の流れを調節するための、上述のような弁は、患者間の交差汚染を避けるために、医療処置毎の後に、洗浄および殺菌される必要がある。このことにより、連続して処置を施すためには、手の上に複数の弁を持っておくことが必要となる。その理由は、洗浄および殺菌の工程は、完了するまでに著しい時間がかかるためである。再利用できる弁はまた、高価であり、そして、注意して操作される必要がある。
【0005】
従って、本明細書において説明されている本発明の実施形態は、内視鏡などの医療機器を通る空気および水の流れを調節するための、使い捨て可能な弁アセンブリを提供する。本明細書において説明されている弁アセンブリの実施形態は、一度の処置における使用のために設計されており、当該処置の後に廃棄されてよい。
【0006】
以下に説明されるように、一つの実施形態において、ハウジングおよびスプールを含む、医療機器のための弁アセンブリが提供される。上記スプールは、第1端部と、第2端部と、上記第1端部と上記第2端部との間において伸びる長軸方向の通路と、上記第1端部および上記第2端部のそれぞれの近傍に位置する、第1部分および第2部分と、を有している。上記スプールの上記第1部分は、上記ハウジングの内部に少なくとも部分的に受容されるように構成されてもよく、上記スプールの上記第2部分の外面は、複数の位置決め機構を規定してもよい。弁アセンブリはさらに、シーリング部材を含んでもよく、上記シーリング部材は、長軸方向の支持部材と、上記支持部材から周方向に伸びる複数のシーリングリングと、を有する。上記シーリングリングのそれぞれは、隣接する位置決め機構間の距離と対応する、上記支持部材の長さに沿った距離で、隣接するシーリングリングと離間してもよい。上記支持部材の内面は、上記スプールの上記外面と係合するように構成にされてもよい。さらに、上記シーリングリングのそれぞれの内側の周方向の表面が、対応する位置決め機構の近傍に位置する上記スプールの上記第2部分の上記外面と密閉して係合するように、上記シーリングリングが開口を規定してもよい。
【0007】
複数の場合において、弁アセンブリは、バネおよび保持器をさらに含んでもよい。上記バネは、第1端部および第2端部を含んでもよく、上記スプールの上記第1部分の周囲に配置されてもよい。上記保持器は、上記スプールの上記第1端部によって受容されるように構成されてもよい。上記バネの上記第2端部は、上記ハウジングと係合するように、かつ、当該ハウジングに対して固定された状態を維持するように構成されてもよく、上記バネの上記第1端部は、上記保持器が上記ハウジングから離れるように付勢されるように、当該保持器と係合されてもよい。上記ハウジングは、上記バネの上記第2端部と係合するように構成された、少なくとも1つの半径方向の伸長部を規定してもよい。上記スプールの上記外面の少なくとも一部分は、上記シーリング部材の上記支持部材を受容するように構成された長軸方向の溝を規定してもよい。上記シーリング部材が上記スプールに係合する場合に、上記支持部材の外面が、当該スプールの上記外面に対して平坦な面を形成してもよい。さらに、上記シーリング部材は、上記スプールにオーバーモールドされてもよい。
【0008】
複数の実施形態において、上記スプールは、上記長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ、当該長軸方向の通路と交差する横軸方向の通路を規定してもよい。上記横軸方向の通路は、上記長軸方向の溝を通るように規定されてもよい。上記長軸方向の溝の少なくとも一部分は、少なくとも1つの位置決め機構によって規定されてもよい。さらに、上記スプールは、上記長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ、当該長軸方向の通路と交差する横軸方向の通路を規定してもよく、上記シーリング部材の上記支持部材は、上記スプールの上記外面において規定された、上記横軸方向の通路の開口と係合するように構成された、長軸方向に伸びるリングを規定してもよい。
【0009】
複数の場合において、上記シーリング部材は、4つのシーリングリングを備えてもよい。さらに、上記ハウジングは、内部に上記弁アセンブリが取り付けられる内視鏡と係合するように構成された長軸方向の伸長部を規定してもよい。
【0010】
他の実施形態において、医療機器のための弁アセンブリを製造する方法が提供される。上記方法は、スプールを成形するステップを含んでもよく、上記スプールは、第1端部と、第2端部と、上記第1端部と上記第2端部との間において伸びる長軸方向の通路と上記第1端部および上記第2端部のそれぞれの近傍に位置する、上記第1部分および第2部分と、を有する。上記スプールの上記第2部分の外面は、複数の位置決め機構を規定してもよい。
【0011】
上記方法は、上記スプールの外面にシーリング部材をオーバーモールドするステップを、さらに含んでもよい。上記シーリング部材は、長軸方向の支持部材と、上記支持部材から周方向に伸びる複数のシーリングリングと、有してもよい。上記シーリングリングのそれぞれは、隣接する位置決め機構間の距離と対応する、上記支持部材の長さに沿った距離で、隣接するシーリングリングと離間してもよい。上記支持部材の内面は、上記スプールの上記外面と係合してもよく、上記シーリングリングのそれぞれの内側の周方向の表面が、対応する位置決め機構の近傍に位置する上記スプールの上記第2部分の上記外面と密閉して係合してもよいように、上記シーリングリングが開口を規定してもよい。さらに、ハウジングは、上記スプールの上記第1部分を、少なくとも部分的に受容するように構成されるように、成形されてもよく、上記スプールの上記第1部分は、少なくとも部分的に上記ハウジングの内部に配置されてもよい。
【0012】
複数の場合において、上記方法は、上記スプールの上記第1部分の周囲に、第1端部および第2端部を規定するバネを配置するステップと、上記スプールの上記第1端部によって受容されるように構成された保持器を設けるステップと、を含んでもよい。上記バネの上記第2端部の位置が、上記ハウジングに対して固定された状態を維持するように、当該バネの当該第2端部は、当該ハウジングと係合されてもよく、上記バネの上記第1端部は、上記保持器と係合されてもよい。上記保持器が上記ハウジングから離れるように付勢されるように、当該保持器は、上記スプールの上記第1端部に取り付けられてもよい。
【0013】
複数の実施形態において、長軸方向の溝は、上記スプールの上記外面の少なくとも一部分において、規定されてもよく、上記長軸方向の溝は、上記シーリング部材の上記支持部材を受容するように構成される。上記スプールを成形するステップは、当該スプールを形成するための第1の型を使用するステップを含んでもよく、上記シーリング部材をオーバーモールドするステップは、上記第1の型から上記スプールを取り外すステップと、当該スプールを第2の型の内部に配置するステップとを含んでもよい。上記シーリング部材をオーバーモールドするステップは、上記第2の型において上記シーリング部材を形成するために、上記長軸方向の溝の内部にエラストマー材料を導入するステップを含んでもよい。
【0014】
複数の場合において、複数の固定板は、上記スプールの長軸に対して垂直な向きに、配置されてもよい。上記板は、同心の穴を含んでもよく、上記シーリングリングが形成される予定である位置と対応する位置に配置されてもよい。さらに、上記スプールを成形するステップは、上記長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ当該長軸方向の通路と交差する横軸方向の通路を規定するステップを含んでもよく、上記横軸方向の通路は、上記長軸方向の溝を通るように規定される。上記長軸方向の溝の少なくとも一部分は、少なくとも1つの位置決め機構によって規定されてもよい。付加的または代替的に、上記スプールを成形するステップは、上記長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ、当該長軸方向の通路と交差する横軸方向の通路を規定するステップを含んでもよく、上記シーリング部材をオーバーモールドするステップは、上記スプールの上記外面において規定された、上記横軸方向の通路の開口と係合する上記支持部材において、長軸方向に伸びるリングを規定するステップを含んでもよい。
【0015】
これらの実施形態は、本明細書において説明、または他の方法によって検討されたように、顕著な利点を提供する。
【0016】
[図面の簡単な説明]
添付の図面を参照する。これらの図面は、必ずしも正確な縮尺率で描かれなくともよい。図面は、説明のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0017】
図1は、内視鏡装置の略図を示す;
図2Aは、非作動位置における、従来型の空気/送水弁アセンブリの断面図を示す;
図2Bは、作動位置における、
図2Aの空気/送水弁アセンブリの断面図を示す;
図3は、従来型の空気/送水弁アセンブリの斜視図を示す;
図4は、
図3の空気/送水弁アセンブリの分解立体図を示す;
図5は、本発明の例示的な実施形態に係る空気/送水弁アセンブリの斜視図を示す;
図6は、本発明の例示的な実施形態に係る
図5の空気/送水弁アセンブリの分解立体図を示す;
図7Aは、本発明の例示的な実施形態に係るスプールの斜視図を示す;
図7Bは、
図7Aのスプールの断面図を示す;
図8は、本発明の例示的な実施形態に係る一体型のシーリング部材の斜視図を示す;
図9は、本発明の例示的な実施形態に係るハウジングの斜視図を示す;
図10は、本発明の例示的な実施形態に係る医療装置の空気/送水シリンダ内部に挿入された弁アセンブリの外観を示す;
図11は、本発明の例示的な実施形態に係る空気/送水弁アセンブリを製造するための方法のフローチャートを説明する;
図12Aおよび12Bは、本発明の例示的な実施形態に係る空気/送水弁アセンブリを製造するための型の略図を示す。
【0018】
[本発明の詳細な説明]
本発明の実施形態は、該当する場合には、添付の図面を参照して説明される。本発明は、多くの様々な形によって実現されてもよい。そして、本発明は、本明細書において示された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、説明のみを目的として提供される。全体に亘って、同様の数字は、同様の部材を参照する。
【0019】
弁アセンブリの実施形態、ならびに、医療機器を通る空気および水の流れを、調節するための弁アセンブリを製造するための方法は、内視鏡処置(例えば結腸内視術)を実行するための、内視鏡を背景として以下に説明される。また、本発明の実施形態は、他の医療装置(例えば、種々の異なる内視鏡および/または腹腔鏡装置)において利用されてもよいということを理解されるべきである。
【0020】
図1には、内視鏡処置を実行するための内視鏡10の一例(例えば胃腸内視鏡)が示されている。図示された内視鏡10は、近位端15を含む。当該近位端15は、ユーザ(例えば、医師)に最も近い端部であってよい。そして、当該近位端15は、接眼レンズを含んでもよい。当該接眼レンズを通して、ユーザは、検査されている臓器または空洞を観察することができる。また、内視鏡10は、遠位端20を含む。当該遠位端20は、検査されている臓器または空洞内部の標的部位に最も近い端部であってよい。制御機器は、近位端15と遠位端20との間に配置された内視鏡の本体25の上に設けられてよい。さらに、空気および水のソース(不図示)と、内視鏡10の遠位端20とを接続する、流体導入部30が設けられてもよい。例えば、臓器または空洞を拡張するための、空気、CO
2、または他の気体は、気体入口32を介して内視鏡10へ入ることが可能である。そして水は、水入口34を介して入ることが可能である。遠位端20へ向かう何れの流体の流れも、本体25の制御機器とユーザの相互作用によって、調節および制御されてよい。内視鏡10の本体25は、内視鏡を通る空気および/または水の流れを制御するための空気/送水弁50に加えて、胃腸管から廃液および気体を引き抜くための吸気弁40を収容してもよい。
【0021】
図2Aおよび2Bの断面図では、空気/送水弁50の動作が示されている。例えば、
図2Aでは弁50の非作動位置が示されておりそして、
図2Bでは当該弁の作動位置が示されている。
図2Aにおいて示されるように、一端においてバネ保持器80と係合するとともに、他端において弁ハウジング52、54と係合するバネ78が設けられてもよい。バネ保持器80は、(例えば、
図3において示された他の弁構成部材を介して)スプール56に取り付けられてもよい。これにより、バネ78は、スプール56を、
図2Aにおいて示された非作動位置へと付勢させることができる。同時に、(
図2Bに示されるように)ユーザによって弁50の外端51へ印加された作動力Fは、スプール56およびその構成部材を、ハウジング52、54に関して、
図2Bの作動位置へと移動させる役割を果たし得る。
【0022】
図2Aおよび
図2Bに示されるように、スプール56の少なくとも一部分は、当該スプール56自身を通る通路57を規定するように構成されている。スプール56は、例えば、スプール56の通路57の長軸に対して垂直な方向に向かうポート59を規定してもよい。通路57は、ポート59から、弁50の外端51における開口85まで、伸張していてよい。
【0023】
図2Aを参照すると、空気90(または他の気体)は、(
図1に示された)気体入口32から、空洞95の内部へと流れることが可能であってもよい。空洞95は、空気/送水シリンダ96によって規定されている。そして、空気/送水シリンダ96の内部では、弁50が入口91を介して配置されている。開口85が空いているとき(例えば、ユーザが指を用いて開口85を遮っていないとき)、空気90は、空洞95から、ポート59を通って、そして通路57を通って、さらに開口85を介して、弁アセンブリの外へと流れてもよい。例えば、開口85がユーザの指によって遮られているとき、通路57内部の圧力は、空気90が、(例えば、空気/送水シリンダ96の内面から離して、スプール56の方へシールをそらすことによって)、スプール56の周りに配置されるリップシール72を通過し、空洞95の外において、軸受70を通り越して、出口92を介して内視鏡の遠位端20における出口へと、強制的に向かわされる点まで、増加してもよい。同時に、(
図4にも示された)シール76は、空気を流出させないので、入口93からの水97の流れは、出口94を介して空洞95から出ることができない。
【0024】
ユーザが、バネ78の付勢力に逆らって力Fを印加して弁50を作動させると、当該弁は、
図2Bに示された作動位置へ移動する。作動位置において、空気が出口92に近づくことを妨げるシール70が、
図2に示された位置へと移動した結果、空気90は、出口92を介して空洞95から出ることを妨げられる。さらに、入口93から、空気/送水シリンダ96の出口94までの水の通過を防いでいたシール76もまた移動し、出口94への水の流れのため通路を開放する。
図2Bに示された作動位置において、シール74は、入口92からの水が、空洞95における空間の内部を通過することを防ぐ。なお、入口91から出口92までの気流経路は、空洞95を通じて規定されている。
【0025】
ここで、
図3および
図4を参照すると、上述の従来型の再利用可能な空気/送水弁50が、組み立てられた構成図および分解された構成図において示されている。従来型の再利用可能な弁50は、一般的に、複数の機械加工された金属部品を含む。当該機械加工された金属部品は、複数のシールに沿っており、かつ、
図2Aおよび2Bを参照して上述した機能を果たすことができる弁を形成するために、ともに組み立てられる必要がある。例えば、図示されている弁(
図4において分解された形状において示されている)は、ハウジング52と、ハウジングのオーバーモールド54と、スプール端部58、60およびスプールスリーブを有するスプール56と、2つの軸受66、68と、4つのシール70、72、74、76と、バネ78と、バネ保持器80と、保持器キャップ82と、合計17個の個々の構成部材のための色リング84と、を含む。これら構成部材のうち、6つの部材は、機械加工された金属構成部材である(例えば、ハウジング52、スプール56、スプール端部58、60、およびスプールスリーブ62、64)。多数の構成部材は、製造コストが高価となり、かつ、組み立てに労力を要する、複雑な設計をもたらす。さらに、弁50の再利用可能な性質は、患者間の交差汚染を防ぐために、毎回の使用後に、弁が洗浄および消毒されることを必要とする。このことも、コストを増加させる。
【0026】
従って、本発明の実施形態は、
図2A〜
図4において上述された例のような、従来型の再利用可能な弁よりも、より少ない構成部材で構成される空気/送水弁を提供する。さらに、本発明の実施形態において、すべての構成部材は、射出成形を用いて製造することが可能である。これによって、機械加工された金属部品を不要とすることが可能である。このように、本発明の実施形態は、費用効率の高い方法によって、使い捨て可能な弁として使用される(例えば、一度だけ使用される)ことが可能である弁を提供する。
【0027】
ここで、
図5および
図6を参照すると、本発明の実施形態に基づく、弁アセンブリ100が示されている。図示された実施形態において、弁アセンブリ100は、ハウジング110、スプール120、およびシーリング部材130を含む。
図7Aおよび7Bを参照すると、スプール120は、第1端部121、第2端部122、および、当該第1端部と第2端部との間において伸びる長軸方向の通路123を含む。スプール120は、第1端部121の近傍の第1部分124、および第2端部122の近傍の第2部分125をさらに含む。スプール120の第1部分124は、ハウジング110の内部に、少なくとも部分的に受容されるように構成されてもよい。
【0028】
さらに、スプールの外面126は、複数の軸受機構147a、147b、および/または複数の位置決め機構127a、127b、127c、127dを規定してもよい。図示されているように、軸受機構147a、147b、および位置決め機構127a、127b、127c、127dは、スプールの直径がスプールの長軸Lに沿って変化する表面形状を、スプール120に付与してもよい。
【0029】
軸受147a、147bは、例えば、スプール120の表面126から、半径方向において外側に、出っ張りまたは突出する、スプールの一部分を含んでもよい。これにより、当該スプールの一部分は、スプールの他の領域よりも大きい直径(例えば、隣接領域よりもより大きい直径)を有する、スプールの領域を提供できる。この点で、軸受機構147a、147bは、
図4に示された従来型の弁の軸受66、68と類似の役割を果たすように構成されても(例えば、サイズ、形状、および/または位置が設定されても)よい。
【0030】
位置決め機構127a、127b、127c、127dは、例えば、ネジ山、凹部、および/または、他の機構を含んでもよく、当該他の機構は、より詳細に以下に述べるように、シーリング部材130の相補的な部分を受容するように構成されている。例えば、位置決め機構127a、127b、127c、127dは、シーリング部材のシーリングリング132、133、134、135を形成するための材料が、位置決め機構の内部において射出成形できるように、構成されてもよい。
【0031】
図8には、シーリング部材130の拡大図が示されている。シーリング部材130は、長軸方向支持部材131、および、当該支持部材131から周方向に伸びる複数のシーリングリングを含む。図示された実施形態において、シーリング部材130は、4つのシーリングリング132、133、134、135を含む。各々のシーリングリング132、133、134、135は、例えば、隣接するシーリングリングから、シーリング部材131の長さに沿ったある距離(隣接する位置決め機構127a、127b、127c、127dの間の距離と対応する距離)だけ離間していてもよい。例えば、
図7Aおよび
図8を参照すると、
図7Aにおける位置決め機構127aおよび127bは、
図8におけるシーリングリング132と133との間の距離と対応してよい。同様に、位置決め機構127bと127cとの間の距離は、シーリングリング133と134との間の距離と対応してよい。そして、位置決め機構127cと127dとの間の距離は、シーリングリング134と135との間の距離と対応してよい。
【0032】
従って、支持部材131の内面136は、スプール120の外面126と係合するように構成されてもよい。例えば、各々のシーリングリング132、133、134、および135は、これらの部材を通る開口を規定してもよい。これにより、各々のシーリングリングの内側の周方向の表面136が、対応する位置決め機構127a、127b、127c、127dの近傍に位置するスプール120の第2部分125の外面126と、密閉して係合するように構成できる。このように、シーリングリング132、133、134、および135が弁アセンブリとして組み立てられ、かつ、空気/送水シリンダ(例えば、
図2Aおよび2Bに示された空気/送水シリンダ96)内部に配置されたとき、
図4に示された従来型の弁のシール70、72、74、76としての役割を果たすように、シーリングリング132、133、134、および135は、構成されてもよい。従来型の弁(例えば、
図2Aおよび
図2Bの弁50)におけるシールと対照的に、本発明の実施形態は、射出成形された単に一体型のプラスチックからなる、シーリングリング132、133、134、135を提供する。そして、複数の実施形態において、当該射出成形されたプラスチックは、実施形態より詳細に以下に述べるように、
図5に示された構成において、スプール120の上に直接的にオーバーモールドされる。
【0033】
再び
図6を参すると、複数の実施形態において、弁アセンブリ100は、バネ140および保持器150をさらに含む。
図6ではコイルバネが図示されているが、他の種類のバネの構造および材料が、他の実施形態において、同様の付勢力を提供するために使用されてもよい。従って、バネ140は、コイルバネ(金属またはプラスチック)であってもよく、スプリングウォッシャー型のバネ(金属またはプラスチック)であってもよく、または発泡体材料から成るシリンダであってもよい。
【0034】
図5および
図6に示されるように、バネ140は、第1端部141および第2端部142を有してもよい。また、バネ140は、スプール120の第1部分124の周りに配置されてもよい。同様に、保持器150は、バネ140の第1端部141の内部に受容されるように、かつ、スプール120の第1端部121と係合するように構成されても(例えば、サイズおよび形状が設定されても)よい。例えば、保持器150は、キャップ部151および当該キャップ部から伸びる縮径部152、を含んでもよい。リップ153は、キャップ部と縮径部152との間の境界面の近傍に位置するキャップ部151によって規定されてもよい。縮径部152は、バネ140の内側(例えば、図示された実施形態における、バネのコイルの内側)と適合するように構成されてもよい。従って、バネ140の第1端部141は、弁アセンブリが組み立てられるときに、リップ153と係合するように(例えば、接触するように、および/または、接触して押すように)構成されてもよい。さらに、縮径部152は、当該縮径部を通る開口154を規定してもよい。開口154は、スプール120の第1部分124の、少なくとも一部分を受容し、かつ、当該少なくとも一部分と係合するように、構成されてよい。例えば、スプール120は、スプールの第1端部121と、当該スプールの第1端部121が内部に受容される開口154との圧入による係合によって、保持器150に取り付けられてもよい。付加的または代替的に、保持器150の開口154の内部にスプール120の第1端部121を固定するために、接着剤が使用されてもよい。このような方法で、保持器150は、スプール120に対して固定されてもよい。そして、バネ140は、スプール120の第1部分124に対する周囲の関係によって保持されてもよい。
【0035】
同時に、バネ140の第2端部142は、ハウジング110と係合し、かつ、当該ハウジング110に対して固定された状態を維持するように構成されてもよい。例えば、
図9に示されるように、複数の実施形態において、ハウジング110は、ハウジングの外壁112から内部へ伸びる半径方向の伸長部111を規定してもよい。
図9に示された複数の実施形態において、バネ140の第2端部142は、ハウジング110の半径方向の伸長部111の内面117と係合し、かつ、当該内面117を押圧してもよい。これにより、(例えば、
図5に示された組み立て後の構成において、スプール120の方向に保持器150を押すことによって)バネ140に印加された作動力が、半径方向の伸長部111によって抵抗を受け、そして、バネ140が、保持器のリップ153とハウジングの半径方向の伸長部111の内面117との間に保持される。
図5に示された非作動位置において、保持器150は、ハウジング110から離れるように付勢されてもよい。しかしながら、スプールの突出部127eとハウジング110の半径方向の伸長部111の外面119との係合によって、保持器150とスプール120とのアセンブリは、ハウジング110との係合状態が維持される。(
図6、7Aおよび9に示されている通り)。
【0036】
従って、ハウジング110と係合しているバネ140の第2端部142、保持器150と係合しているバネの第1端部141、および、スプールの第1端部121と係合した保持器が設けられることにより、上述のように、弁アセンブリ100が
図5に示された非作動位置にあるとき、保持器150に印加された作動力は、
図5において矢印160に示された方向に、スプール120、および、当該スプールに取り付けられたシーリング部材130を移動させる役割を果たす。作動力が取り除かれるとき、バネ140の付勢力は、スプール120およびシーリング部材130を、
図5に図示された非作動位置に戻すように移動させる。従って、内視鏡内部、または、他の医療機器内部の、空気/送水シリンダ(例えば
図2Aおよび2Bに示されたシリンダ96)内部のスプール120およびシーリング部材130の移動は、
図2Aおよび2Bに関して上述された弁50の機能と同様に、特定の空気および水の経路を開閉させることができる。
【0037】
再び
図7Aを参照すると、複数の実施形態において、スプール120の外面126の少なくとも一部分は、長軸方向の溝128を規定してもよい。当該長軸方向の溝は、
図5の組み立て後の構成に示されるように、(
図8に示された)シーリング部材130の支持部材131を受容するように構成されている。長軸方向の溝128および支持部材131は、例えば、シーリング部材131がスプーに係合しているとき、支持部材131の外面137がスプール120の外面126に対して平坦な面を形成するように、構成されてもよい。上述のように、(例えば、長軸方向の溝128の内部における)スプール120とシーリング部材130との強固なはめ込みは、例えば、より詳細には以下に述べるように、スプール上のシーリング部材をオーバーモールドした結果として生じたものであってもよい。しかしながら、他の場合では、シーリング部材130は、スプール120とは個別に形成されても(例えば成形されても)よい。そして、シーリング部材130は、当該シーリング部材130がスプール120の上で引き伸ばされて適合できるように構成されてもよい(例えば、サイズおよび材料の選択によって)。
【0038】
図7Bの断面図に示されるように、複数の場合において、スプール120は、横軸方向の通路129を規定してもよい。横軸方向の通路129は、実質的に長軸方向の通路123に対して垂直であり、かつ当該長軸方向の通路と交差する。横軸方向の通路129は、長軸方向の通路123を通るように規定されてもよい。これにより、長軸方向の通路の内部へ入り、かつ、スプール120の第1端部121へと向かう空気または他の気体のための流路を提供することができる。そして、空気または他の気体は、キャップ部152における開口154を介して、外部環境へ放出されてもよい。この点に関して、横軸方向の通路は、長軸方向の溝128を通るように規定されてもよい。
【0039】
さらに他の実施形態において、長軸方向の溝128の少なくとも一部分は、上述の少なくとも1つの位置決め機構によって規定されてもよい。例えば、図示された
図7Aの実施形態において、長軸方向の溝128は、軸受機構147a、147bおよび/または位置決め機構127a、127b、127c、127dを通るように伸びておりかつ、軸受機構147a、147bおよび/または位置決め機構127a、127b、127c、127dによって規定されている。さらに、複数の場合において、例えば横軸方向の通路129が長軸方向の溝128を通って規定されるとき、シーリング部材130の支持部材131は、長軸方向に伸びるリング138を規定してもよい。当該リングは、
図5に示されるように、スプール120の外面126において規定された横軸方向の通路129の開口170とか係合するように構成されている。しかしながら、他の場合において、例えば、横軸方向の通路129が長軸方向の溝128を通るように規定されないとき(例えば、長軸方向の溝の位置を、
図7Aに示された位置から、長軸Lの周りに90°回転させた場合)、シーリング部材130の支持部材131は、長軸方向に伸びるリング138を規定する必要はなく、かわりに、シーリング部材の一端から他端まで直線的に伸びていてもよい。
【0040】
図9を参照すると、複数の実施形態において、
図5において示されたように、ハウジング110は、少なくとも1つの長軸方向の伸長部113を規定する。長軸方向の伸長部113は、スプール120の第1部分の外面126および当該外面126の少なくとも一部分を覆うように伸びるように構成されている。図示された実施形態において、例えば、3つの長軸方向の伸長部113が設けられており、当該3つの長軸方向の伸長部113は、3つの半径方向の伸長部111を規定するハウジング110の外壁112の一部分と交互に配置される。長軸方向の伸長部113は、弁アセンブリが使用のために設置されるとき、弁アセンブリ100を、内視鏡または他の医療装置の空気/送水シリンダに固定するように構成されても(例えば、サイズおよび形状が設定されても)よい。
図10を参照すると、例えば、空気/送水シリンダ96は、内視鏡または医療装置の本体185から上方向へと延びていてもよい。そして、
図5に示された弁アセンブリ100は、当該空気/送水シリンダの内部に挿入されてもよい。弁アセンブリ100が空気/送水シリンダ96の内部に挿入された場合、長軸方向の伸長部113は、空気/送水シリンダ96を受容してもよい。そして、弁アセンブリ100が空気/送水シリンダの内部において、ひとたび完全に係合された状態となると、空気/送水シリンダの上端は、
図9に示されたハウジング110の半径方向の伸長部111の外面119に支持されてもよい。従って、
図10に示されるように、一度、弁アセンブリ100が空気/送水シリンダ96の内部にひとたび挿入されると、長軸方向の伸長部113は、空気/送水シリンダ96の外面と、とまりばめを形成してもよい。その結果、動作中に、内視鏡または他の医療機器との係合状態によって、弁アセンブリを保持することができる。
【0041】
複数の実施形態において、スロット114は、ハウジング110の外壁112において規定されてもよい。スロット114は、弁アセンブリのハウジング110に、内部に弁アセンブリ100が取り付けられる内視鏡または他の医療機器と、ポジティブロックを形成させることによって、空気/送水シリンダ96とハウジング110の係合を補助するように構成されてもよい。スロット114は、例えば、長軸方向の伸長部113を、弁アセンブリの長軸から外側へ向かって(例えば、曲げることによって)動かされるように構成されたタングとして動作させてもよい。これにより、弁アセンブリが内部の動作位置へと挿入された場合、長軸方向の伸長部の内面が、空気/送水シリンダ96の外面によって規定された係合用のねじ山を覆う位置へと導かれる。しかしながら、他の場合において、半径方向の伸長部111および長軸方向の伸長部113は、ハウジングの連続的な外壁112を形成してもよい。
【0042】
複数の実施形態において、1つまたは複数の長軸方向の伸長部113は、それぞれの長軸方向の伸長部の外面上に、プルタブ(不図示)を含んでいてもよい。当該プルタブは、ユーザによって把持されることが可能であり、かつ、いったん弁アセンブリの使用が完了すると、長軸方向の伸長部の少なくとも1つを折るために使用されることが可能である。このようにして、弁アセンブリは、一度の使用の後に、より容易に内視鏡から取り外されることが可能となる(例えば、空気/送水シリンダへの弁アセンブリの接続状態を“解除する”ことによって)。同時に、長軸方向の伸長部を破壊することにより、更なる処置のために、別の内視鏡において当該弁アセンブリが使用されることを防止することもできる。その結果、当該弁アセンブリを、確実に使い捨ての弁アセンブリとすることができる。
【0043】
ここで、
図11を参照すると、弁アセンブリ(例えば、上述され、かつ、
図5〜
図9において説明された弁アセンブリ100)を製造する方法が示されている。当該方法の実施形態によると、スプールは、ブロック200において成形される。上述のように、スプールは、第1端部と、第2端部と、当該第1端部と第2端部との間において伸びる長軸方向の通路と、当該第1端部および当該第2端部のそれぞれの近傍に位置する、第1部分および第2部分と、を含んでもよい。ここで、当該スプールの第2部分の外面は、複数の位置決め機構を規定する。スプールは、従来の型によって成形されてもよい。スプールを成形するための好適な材料は、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、および他の好適なポリマーを含んでもよい。
【0044】
ブロック210において説明されているように、スプールは、第1の型から取り外されて、シーリング部材をオーバーモールドするための第2の型の内部に配置されてもよい。第2の型265の実施形態の説明は、
図12Aおよび
図12Bに示されている。シーリング部材は、エラストマー材料によって製作されてもよい。そして、当該シーリング部材は、上述のように、長軸方向の支持部材、および、当該支持部材から周方向に伸びる複数のシーリングリングを含んでいてもよい。各々のシーリングリングは、支持部材の長さに沿ったある距離(スプールによって規定された隣接する位置決め機構間の距離と対応する距離)だけ、隣接するシーリングシングと離間していてもよい。これにより、支持部材の内面を、スプールの外面と係合させることができる。従って、各々のシーリングリングは、開口を規定してよい。これにより、各々のシーリングリングの内側の周方向の表面を、対応する位置決め機構の近傍に位置するスプールの第2部分の外面と密閉して係合させることができる。複数の実施形態において、同心の穴を規定する固定板は、スプールの長軸に沿って、離間して配置されてもよい。固定板260は、スプールの長軸に対して垂直な向きに配置されてもよい。
図12Aに示されたように、スプール120の一部分は、シーリングリングが形成される予定である位置において、各々の板において規定された穴の内部に受容されていてもよい。このように、固定板によって、シーリングリングのシール接触面(例えば、外側の周方向の表面)を、分割線の形成することなく(オーバーモールド工程によって、形成することができる。なお、もし分割線が形成された場合には、漏れを引き起こす可能性がある。オーバーモールドされたシーリング部材130を有する完成されたスプール120は、その後、
図12Bに示されるように、固定板260からスプールおよびシーリング部材を取り出すことによって、
図12Aに示される型265から取り外される。
【0045】
複数の実施形態において、スプールを成形するステップは、上述のように、スプールの長軸方向の通路に対して実質的に垂直であり、かつ当該長軸方向の通路と交差する、横軸方向の通路を規定するステップを含んでいてもよい。横軸方向の通路は、複数の場合において、長軸方向の溝を通るように規定されてもよい。さらに、複数の例において、シーリング部材をオーバーモールドするステップは、スプールの外面において規定された、横軸方向の通路の開口と係合する支持部材において、長軸方向に伸びるリングを規定するステップを含んでいてもよい。
【0046】
ブロック220において、ハウジングは成形されてよい。ここで、ハウジングは、スプールの第1部分を少なくとも部分的に受容するように構成されている。ハウジングは、任意の好適な材料、例えば、熱可塑性材料、またはポリエステルベースのエラストマー(例えば、ゴム、Viton(登録商標)材料、シリコーン、ネオプレン、ポリオレフィン、等)またはポリウレタン、によって製作されてもよい。その後、ブロック230において、スプールを、ハウジングと係合させてよい。スプールの第1部分は、例えば、上述のように、ハウジングの内部に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0047】
複数の実施形態において、ブロック240において、スプールを、バネおよび保持器と係合させてもよい。そして、ブロック250において、ハウジングと保持器との間にバネを保持ために、保持器をスプールに取り付けてもよい。例えば、バネは、スプールの第1部分の周りに配置されてもよい。スプールの第1端部によって受容されるように構成された保持器が、設けられてもよい。そして、バネの第2端部は、ハウジングと係合されてもよい。これにより、バネの第2端部の位置が、ハウジングに対して固定されたままとなる。同様に、バネの第1端部は、保持器に係合されてもよい。そして、保持器は、スプールの第1端部に取り付けられてもよい。これにより、より詳細には上述されたように、保持器は、ハウジングから離れるように付勢される。
【0048】
図11のフローチャートの例における各々のブロックまたはステップ、およびブロックの組み合わせは、コンピュータプログラムの命令によって、実行されてよい。これらコンピュータプログラムの命令は、機械を生産するためのコンピュータまたは他のプログラム可能な装置にロードされてもよい。これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置において実行される命令が、フローチャートのブロックまたはステップにおいて特定された機能を実行するための手段を形成することができる。また、特定の方法で機能するように、コンピュータまたは他のプログラムに指示を与えることが可能な、これらコンピュータプログラムの命令はまた、コンピュータによって読み取り可能なメモリに保存されてもよい。これにより、コンピュータによって読み取り可能なメモリに保存された命令は、フローチャートのブロックまたはステップにおいて特定された機能を実行可能な命令手段を含む製品を生産できる。また、特に、コンピュータプログラムの命令が、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置にロードされ、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置において実行される一連の動作ステップ生じさせてもよい。これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置において実行される命令が、フローチャートのブロックまたはステップにおいて特定された機能を実行するためのステップを提供するように、コンピュータに実装された工程を生じさせてもよい。
【0049】
従って、フローチャートの例におけるブロックまたはステップは、特に、特定の機能を実行するための手段の組み合わせ、特定の機能を実行するためのステップの組み合わせ、および、特定の機能を実行するためのプログラム命令手段をサポートする。フローチャートの例における各々のブロックまたはステップ、およびそれらの組み合わせは、特定の機能またはステップを実行する、特定用途のハードウェアに基づいたコンピュータシステムによって実行されてもよいし、あるいは、特定用途のハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせによって実行されてもよい。
【0050】
上述の通り、そして、添付の図面において示されたように、空気/送水弁アセンブリの実施形態は、弁アセンブリが、内視鏡または他の医療装置から取り外し可能であり、かつ、一度の処置における使用の後に処分されてもできるように、使い捨て可能であるように構成されている。従って、上述の弁アセンブリの実施形態は、多数の精密に機械加工された金属部品、または、組み立てられる必要のある多数の個別のシールを含まない。そして、当該弁アセンブリは、機械加工された部品を一体に接着させるための接着剤を必要とする(これらのことは、複雑化およびコストの増加を招き得る)こともない。その上、本発明の実施形態は、アセンブリの部品総数を5部品に減らし、さらに、既存の弁本体を有する弁アセンブリとの互換性をも可能とする。さらに、弁アセンブリの実施形態は、製造コストを最小化するために、射出成形等の大量生産プロセスを活用できる。さらに、弁アセンブリは反復使用に耐える必要がないため、要求される寿命を短くすることにより、高価な材料の使用量を低減することができる。
【0051】
本明細書において説明された本発明の他の変更および他の実施形態は、本発明に関連する当業者によって想到されるであろう。当該当業者は、上述の説明および添付の図面における教示の利益を有している。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、上述の変更および他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていると理解されてよい。本明細書では、特定の用語が用いられているが、これらの用語は、一般的および説明的な意味のみにおいて使用されており、限定を目的としたものでない。
【0052】
さらに、本明細書の全体に亘って、構成要素が特定の部材を有している、含んでいる、または備えているとして説明されている場合、あるいは、工程のシステムまたは方法が、特定のステップを有している、含んでいる、または備えているとして説明されている場合には、構成要素または本発明はまた、記載された部材から実質的に成っていてもよい、あるいは、本発明の工程または方法はまた、記載されたステップから実質的に成ってもよいと考慮される。さらに、ステップの順序、または特定の動作を実行する順序は、本発明が実施可能である限りは、重要でないと理解されるべきである。さらに、2つまたはさらに多くのステップまたは動作は、本明細書に開示された本発明に関しては、同時に実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図2A】非作動位置における、従来型の空気/送水弁アセンブリの断面図を示す。
【
図2B】作動位置における、
図2Aの空気/送水弁アセンブリの断面図を示す。
【
図3】従来型の空気/送水弁アセンブリの斜視図を示す。
【
図4】
図3の空気/送水弁アセンブリの分解立体図を示す。
【
図5】本発明の例示的な実施形態に係る空気/送水弁アセンブリの斜視図を示す。
【
図6】本発明の例示的な実施形態に係る
図5の空気/送水弁アセンブリの分解立体図を示す。
【
図7A】本発明の例示的な実施形態に係るスプールの斜視図を示す。
【
図8】本発明の例示的な実施形態に係る一体型のシーリング部材の斜視図を示す。
【
図9】本発明の例示的な実施形態に係るハウジングの斜視図を示す。
【
図10】本発明の例示的な実施形態に係る医療装置の空気/送水シリンダ内部に挿入された弁アセンブリの外観を示す。
【
図11】本発明の例示的な実施形態に係る空気/送水弁アセンブリを製造するための方法のフローチャートを説明する。
【
図12A】本発明の例示的な実施形態に係る空気/送水弁アセンブリを製造するための型の略図を示す。
【
図12B】本発明の例示的な実施形態に係る空気/送水弁アセンブリを製造するための型の略図を示す。