(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251824
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】安全カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-570751(P2016-570751)
(86)(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公表番号】特表2017-509455(P2017-509455A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】KR2015001735
(87)【国際公開番号】WO2015126218
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0021618
(32)【優先日】2014年2月24日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0154250
(32)【優先日】2014年11月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516253499
【氏名又は名称】メディファースト カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】キム, ケウ シク
【審査官】
芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−296022(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0044310(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルと、
該ニードルに前端が結合されたプラグと、
長手軸を有する筒状であり前記ニードルを囲むように形成された第1ケースと、
該第1ケースの前端に結合されたソケットと、
前記第1ケースと前記ソケットとを前記長手軸方向に相互に結合し、一側の外周縁にのこぎり歯を有し、内部に前記ニードルによって貫通されるニードル溝を有するギヤと、
該ギヤの前記のこぎり歯によって締結されたカテーテルハブと、
該カテーテルハブの前端に結合されたチューブとを備えるカテーテル。
【請求項2】
前記ギヤの前記第1ケースの外側に位置する外側部に前記のこぎり歯が形成され、前記ギヤの前記第1ケースの内部に位置する内側部に前記ニードル溝が形成される請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記ソケットおよび前記第1ケースが前記ギヤによって一体的に結合している請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記ニードルが前記第1ケースの長さ方向に沿って前記ギヤの前記ニードル溝から分離される請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記ギヤは前記ニードルが分離された後、前記カテーテルハブのギヤ溝に沿って回転する請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記ソケットおよび前記第1ケースが前記ギヤの回転により前記カテーテルハブから分離される請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記ニードルが前記ギヤから分離された後、前記第1ケースの内部に収容される請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第1ケースの外周縁を囲み、貫通孔の前端が前記第1ケースの後端に比べて小さい直径に形成された第2ケースをさらに備える請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記プラグの突起を通じて前記プラグと一体的に締結され、前記第2ケースの外周縁を囲むように形成され貫通孔の前端が前記第2ケースの後端に比べて小さい直径に形成されたニードルハブをさらに備える請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記ニードルハブ、前記第2ケースおよび前記第1ケースが順次後退する請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
ニードルと、
該ニードルに前端が結合されたプラグと、
長手軸を有する筒状であり前記プラグの外周縁に結合されるムービングバーと、
該ムービングバーの前端に一体的に結合し、前記ニードルが通過する第1領域および該第1領域よりも前記長手軸に対して径方向外側に突出した第2領域を有するピボットと、
前記ニードルによって支持されて前記第2領域の後端に位置するラックと、
前記第2領域の前端で前記ラックと噛み合うように結合されるギヤと、
前記ピボットの前端に結合され前記長手軸に対して径方向外側部に前記ギヤと噛み合うのこぎり歯を有するハブと、
該ハブの前端に結合されるチューブとを備えるカテーテル。
【請求項12】
前記プラグが前記ムービングバーの長さ方向に沿って前記ムービングバーの内部から外部に後退する請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記ニードルが後退時に前記ムービングバーの内部に位置する請求項11に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記第1領域の後端が前記ムービングバーに連結され、前端が前記ハブに挿入される請求項11に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記ラックが前記ムービングバーの前端と前記ハブの後端との間において前記ピボットの前記第2領域に位置する請求項11に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記ギヤが前記ラックおよび前記ハブの前記のこぎり歯と噛み合って固定されることによって前記ピボットと前記ハブとを結合させる請求項11に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記ニードルの後退時に前記ラックが前記第2領域から前記第1領域に前記径方向に移動する請求項11に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記ラックが前記径方向に移動することによって前記ギヤが回転して前記ハブの前記のこぎり歯から離脱し、前記ピボットと前記ハブとが分離される請求項17に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記ニードルは前記ラックによって前記ピボットから外部に向かう経路が遮断される請求項17に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記ムービングバーの外周縁を囲み後端が前記プラグの後端と一体的に結合されるニードルハブをさらに備える請求項11に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用後廃棄時に施術者および被施術者をニードルの刺傷の危険から保護できるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは被施術者に薬を注液するための効率的なツールであって、主に病院で多く使用されている。カテーテルは患者など頻繁な薬物注入が必要な被施術者に対して、前端にチューブが形成されたハブを残すための構成で、以降注射等を通じた薬液注入時に新しく皮膚をニードルが貫通する必要のないように利便性を提供する。
【0003】
このようなカテーテルはチューブを被施術者の体内に挿入するために、最初にニードルが貫通したチューブを被施術者の体内に挿入し、以降にニードルだけが後退して除去される過程を経ることになる。
【0004】
しかし、ニードルを除去する過程で施術者または被施術者がニードルによる刺傷の恐れがあり、これを通じた感染など問題が発生するので注意が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、使用後廃棄時に施術者および被施術者をニードルの刺傷の危険から保護できるカテーテルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るカテーテルは、ニードルと、該ニードルに前端が結合されたプラグと、前記ニードルを囲むように形成された第1ケースと、該第1ケースの前端に結合されたソケットと、前記第1ケースおよび前記ソケットを垂直方向に締結するものの一側の外周縁にのこぎり歯を有し、内部に前記ニードルによって貫通するニードル溝を有するギヤと、該ギヤの前記のこぎり歯によって締結されたカテーテルハブと、該カテーテルハブの前端に結合されたチューブとを備える。
【0007】
ここで、前記ギヤの上側部に前記のこぎり歯が形成され、下側部に前記ニードル溝が形成される。
そして、前記ソケットおよび前記第1ケースが前記ギヤによって一体的に結合される。
【0008】
また、前記ニードルが前記第1ケースの長さ方向に沿って前記ギヤの前記ニードル溝で分離される。
また、前記ギヤは前記ニードルが分離された後、前記カテーテルハブのギヤ溝に沿って回転する。
【0009】
また、前記ソケットおよび前記第1ケースが前記ギヤの回転により前記カテーテルハブから分離される。
また、前記ニードルが前記ギヤから分離された後、前記第1ケースの内部に収容される。
また、前記第1ケースの外周縁を囲み、貫通孔の前端が前記第1ケースの後端に比べて小さい直径に形成される。
【0010】
また、前記プラグの突起を通じて前記プラグと一体的に締結され、第2ケースの外周縁を囲むように形成され前記貫通孔の前端が前記第2ケースの後端に比べて小さい直径に形成される。
また、前記ニードルハブ、前記第2ケースおよび前記第1ケースが順次後退することができる。
【0011】
本発明の他の態様に係るカテーテルは、ニードルと、該ニードルに前端が結合されたプラグと、該プラグの外周縁に結合されるムービングバーと、該ムービングバーの前端に一体的に結合して、下部の前記ニードルが通過する第1領域および該第1領域の上部に突出した第2領域を有するピボットと、前記ニードルによって支持されて前記第2領域の後端に位置するラックと、前記第2領域の前端で前記ラックと噛み合うように結合されるギヤと、前記ピボットの前端に結合して上部に前記ギヤに噛み合うのこぎり歯を有するハブと、該ハブの前端に結合されるチューブとを備える。
【0012】
ここで、前記プラグが前記ムービングバーの長さ方向に沿って前記ムービングバーの内部から外部に後退することができる。
そして、前記ニードルが後退時に前記ムービングバーの内部に位置することができる。
【0013】
また、前記第1領域の後端が前記ムービングバーに連結され、前端が前記ハブに挿入される。
また、前記ラックが前記ムービングバーの前端と前記ハブの後端の間の上部領域に位置することができる。
【0014】
また、前記ギヤが前記ラックおよび前記ハブののこぎり歯と噛み合って固定されることによって前記ピボットと前記ハブとを結合させる。
また、前記ニードルの後退時に前記ラックが前記第2領域から前記第1領域に下降することができる。
【0015】
また、前記ラックが下降することによって前記ギヤが回転して前記ハブの前記のこぎり歯から離脱し、前記ピボットと前記ハブとが分離される。
また、前記ニードルは前記ラックによって前記ピボットから外部に向かう経路が遮断される。
【0016】
また、前記ムービングバーの外周縁を囲み後端が前記プラグの後端と一体的に結合されるニードルハブをさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様に係るカテーテルは、カテーテルハブにギヤ溝を具備し、ソケットおよび第1ケースがギヤを通じてカテーテルハブと結合するように具備し、ギヤの下端にニードルが貫通する溝を備えることによって、ニードルが後退して第1ケースによって囲まれた以降だけにギヤが回転してソケットおよび第1ケースがカテーテルハブと分離するようにしてニードルが露出せずに被施術者および施術者を刺傷から安全に保護できる。
【0018】
また、本発明の他の態様に係るカテーテルはギヤ、ラックおよびハブに形成されたのこぎり歯によってハブとムービングバーとを固定したり分離したりし、ニードルが後退してムービングバーとハブが分離された後にはラックでニードルが外部に向かう経路を遮断することによってニードルが露出せずに被施術者および施術者を刺傷から安全に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルの分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るカテーテルのホルダーにニードルが結合された状態を示した平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るカテーテルのギヤとニードルの結合された状態を示した正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るカテーテルのカテーテルハブでニードルハブが分離される過程を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るカテーテルのカテーテルハブでニードルハブが分離される過程を示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るカテーテルのギヤが回転してカテーテルハブでニードルが分離される過程を示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るカテーテルのギヤが回転してカテーテルハブでニードルが分離される過程を示した図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るカテーテルのカテーテルハブでニードルが分離された状態を示した図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係るカテーテルの斜視図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係るカテーテルの斜視図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係るカテーテルの分解斜視図である。
【
図14】本発明の他の実施形態に係るカテーテルのハブでニードルが分離される過程を示した図である。
【
図15】本発明の他の実施形態に係るカテーテルのハブでニードルが分離される過程を示した図である。
【
図17】本発明の他の実施形態に係るカテーテルの作動過程を示した図である。
【
図18】本発明の他の実施形態に係るカテーテルの作動過程を示した図である。
【
図19】本発明の他の実施形態に係るカテーテルの作動過程を示した図である。
【
図20】本発明の他の実施形態に係るカテーテルの作動過程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるほど本発明の望ましい実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
以下、本発明の一実施形態に係るカテーテルについて説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係るカテーテルの分解斜視図である。
図2は本発明の一実施形態に係るカテーテルのホルダーにニードルが結合された状態を示した平面図である。
図3は本発明の一実施形態に係るカテーテルのギヤとニードルの結合された状態を示した正面図である。
図4および
図5は本発明の一実施形態に係るカテーテルのカテーテルハブでニードルハブが分離される過程を示した図である。
図6および
図7は本発明の一実施形態に係るカテーテルのギヤが回転してカテーテルハブでニードルが分離される過程を示した図である。
図8は本発明の一実施形態に係るカテーテルのカテーテルハブでニードルが分離された状態を示した図である。
図9は
図8におけるA部分拡大図である。
図10は
図8におけるB部分拡大図である。
【0022】
図1から
図10に示されるように、本発明の一実施形態に係るカテーテル10は、プラグ110、ニードル120、第1ケース130、第2ケース140、ニードルハブ150、ソケット160、ギヤ170、ホルダー180、ガスケット190、カテーテルハブ200、およびチューブ210を備えて構成される。
【0023】
プラグ110は一端がニードル120と結合する。プラグ110はニードル120を支持して、ニードル120が被施術者の体内に挿入されたり、挿入された後に後退して除去されたりできるようにする。プラグ110は他端に突起111を備え、突起111を通じてニードルハブ150と結合する。したがって、施術者がニードルハブ150を把持して本発明の一実施形態に係るカテーテル10を使用する場合、プラグ110はニードルハブ150とともに後退して、後述のようにニードル120の前端が後退できるようにする。
【0024】
ニードル120は内部に中空を有し、その前端は被施術者の皮膚を貫通できるように鋭く形成される。ニードル120の後端はプラグ110に結合され、これによってチューブ210とともに被施術者の体内に安定的に挿入される。また、ニードル120は被施術者のチューブ210が挿入完了すると、プラグ110に沿って後退して、チューブ210だけが体内に残ることになる。また、後述のように、このとき、ニードル120の前端は第1ケース130および第2ケース140の内部に隠されているので、ニードル120の前端によって施術者または被施術者が刺されることを未然に防止することができる。
【0025】
第1ケース130はプラグ110と結合する。より具体的には、第1ケース130の内部にはプラグ110より大きい直径を有する貫通孔が形成され、ニードル120とプラグ110とが挿入され、第1ケース130はプラグ110の外周縁に結合する。
【0026】
また、第1ケース130は前端にギヤホール131が形成され、ギヤ170が挿入できる領域を備える。ギヤホール131にはソケット160に結合されたギヤ170が挿入され、これによって第1ケース130の前端がソケット160と結合された状態を維持できる。したがって、以降施術者によって、第1ケース130が後退する場合、ソケット160が第1ケース130に沿ってカテーテルハブ200から容易に分離できる。
【0027】
また、第1ケース130は後端に突出部132が形成される。突出部132の直径は第1ケース130の他領域に比べて広く形成される。また、突出部132の直径は第2ケース140の前端に形成された貫通孔の直径より大きく形成される。したがって、施術者がニードルハブ150を把持した状態で後退させて第2ケース140が後退したら、第2ケース140の前端部に第1ケース130の突出部132がかかることになり、これによって、第1ケース130も後退する動作を順次行うことができる。
【0028】
第2ケース140は内部に第1ケース140と比べてさらに大きい直径を有する貫通孔が形成され、第1ケース140が挿入され、第2ケース140は第1ケース130の外周縁に結合する。第2ケース140の前端は上述したように、第1ケース130の後端に形成された突出部132より小さいため、第2ケース140が後退すれば第1ケース130の突出部132にかかって第1ケース130も後退することができる。
【0029】
また、第2ケース140の後端に突出部142が形成され、突出部142はニードルハブ150の貫通孔の前端に比べて大きい直径を有する。したがって、施術者がニードルハブ150を把持した状態で後退させれば、ニードルハブ150の貫通孔の前端部に第2ケース140の突出部142がかかることになり、これによって、第2ケース140も後退する動作を行うことができる。
【0030】
ニードルハブ150は内部に貫通孔を備えて、第2ケース140が挿入された状態で外周縁を囲む。ニードルハブ150は後端に結合孔151が形成され、結合孔151がプラグ110の突起111と結合する。したがって、ニードルハブ150はプラグ110と一体的に結合された状態を維持する。ニードルハブ150は本発明の一実施形態に係るカテーテル10で施術者が手で把持するようになる部分で、ニードル120の被施術者の体内挿入と挿入以降の後退動作はいずれもニードルハブ150を通じて行われる。施術者がニードルハブ150を後退させれば、第2ケース140が後退することになり、これによって第1ケース130が後退する動作が順次行われてニードル120は第1ケース130によって囲まれたまま後退することになる。したがって、ニードル120の端部が露出しないため、施術者および被施術者共にニードル120による刺傷から安全に保護できる。
【0031】
ソケット160は第1ケース130の前端に結合している。ソケット160は第1ケース130のギヤホール131と対応する位置にもギヤホール161を有する。ソケット160にはギヤホール161を通じてギヤ170が上部から結合する。ソケット160はギヤ170を通じて第1ケース130と一体的に形成することができる。
【0032】
ギヤ170は、ソケット160のギヤホール161および第1ケース130のギヤホール131に順次結合する。ギヤ170は、上側部171にのこぎり歯171を有し、下側部172にニードル120が貫通されるニードル溝172aを有する。ニードル溝172aにはニードル120が貫通された状態で結合するため、ニードル120が後退して抜ける前まではギヤ170が回転しない。したがって、ニードル120は第1ケース130によって端部が隠された以降だけにギヤ170が回転可能であるため、ニードル120が露出して刺傷が発生するのを根本的に遮断できる。
【0033】
そして、ニードル120がプラグ110によって後退すると、ギヤ170の回転は自由になるため、ギヤ170はカテーテルハブ200から分離できる。そして、これによって、カテーテルハブ200からソケット160および第1ケース130が分離されて、被施術者の体にはカテーテルハブ200だけが残される。
ホルダー180はニードル120によって貫通される。ホルダー180はニードル120の位置および後退方向を適切に維持させる。
【0034】
ガスケット190は、ホルダー180をカテーテルハブ200内で固定させ、薬液などがカテーテルハブ200の外部に漏れることを防止する。当業者の選択によってガスケット190はホルダー180と一体的に形成するのも可能である。
【0035】
カテーテルハブ200はギヤ170によってソケット160と結合する。カテーテルハブ200は上側内部にギヤ溝201を有する。したがって、ギヤ170ののこぎり歯がギヤ溝201に沿って回転するように誘導する。カテーテルハブ200はギヤ170が回転することによって、ギヤ170から分離され、これによってソケット160および第1ケース130からも分離される。
【0036】
チューブ210はカテーテルハブ200の前端に結合する。チューブ210は内部に貫通孔が形成されて、ニードル120を収納する。チューブ210は被施術者の体内にニードル120と共に挿入され、ニードル120が後退して除去された以後、チューブ210だけが残存することになる。したがって、カテーテルハブ200に注射器等を通じて他の薬液を注入する場合、チューブ210を通じた薬液注入が行われることになる。
【0037】
前述のように、本発明の一実施形態に係るカテーテル10はカテーテルハブ200にギヤ溝201を備え、ソケット160および第1ケース130をギヤ170を通じてカテーテルハブ210と結合するように備え、ギヤ170の下端にニードル120が貫通する溝172aを備えることにより、ニードル120が後退して第1ケース130によって囲まれた以後にギヤ170が回転してソケット160および第1ケース130をカテーテルハブ210と分離することでニードル120が露出せずに被施術者および施術者を刺傷から安全に保護できる。
【0038】
以下、本発明の他の実施形態に係るカテーテルについて説明する。
図11および
図12は本発明の他の実施形態に係るカテーテルの斜視図である。
図13は本発明の他の実施形態に係るカテーテルの分解斜視図である。
図14および
図15は本発明の他の実施形態に係るカテーテルのハブでニードルが分離される過程を示した図である。
図16は
図15におけるC部分の拡大断面図である。
図17から
図20は本発明の他の実施形態に係るカテーテルの作動過程を示した図である。
【0039】
図11から
図16に示されるように、本発明の他の実施形態に係るカテーテル20は、プラグ310、ニードル320、ムービングバー330、ニードルハブ340、ピボット350、ラック360、ギヤ370、ハブ380、チューブ390およびキャップ400を備える。
【0040】
プラグ310は、一端がニードル320と結合する。プラグ310は、ニードル320を支持してニードル320が被施術者の体内に挿入され、挿入された後に後退して除去されるようにする。プラグ310は、他端に突起311を備え、突起311を通じてニードルハブ340と一体的に結合する。したがって、施術者がニードルハブ340を把持して本発明の他の実施形態に係るカテーテル20を使用する場合、プラグ310はニードルハブ340とともに後退して、ニードル320を後退できるようにする。
【0041】
ニードル320は、内部に中空を有し、前端が被施術者の皮膚を貫通できるように鋭く形成される。ニードル320の後端がプラグ310の一端に結合され、これによってチューブ390とともに被施術者の体内に安定的に挿入される。また、ニードル320は、被施術者の体内にチューブ390が挿入完了すると、プラグ310とともに後退してチューブ390だけが体内に残るようにすることができる。このとき、ニードル320の前端はムービングバー330の内部に隠されるので、ニードル320の前端によって施術者または被施術者が刺されるのを未然に防止することができる。これについては後述する。
【0042】
ムービングバー330はプラグ310と結合する。より具体的には、ムービングバー330の内部にプラグ310より大きい直径を有する貫通孔が形成されて、プラグ310が挿入される。つまり、ムービングバー330はプラグ310の外周縁に結合する。また、ムービングバー330の一端には後述するピボット350が一体的に結合する。
【0043】
また、ムービングバー330の後端には、第1係止あご331aおよび第2係止あご331bが形成される。第1係止あご331aおよび第2係止あご331bには、後述するニードルハブ340の後退時にニードルハブ340の係止フック342がかかることになる。これによって、プラグ310およびニードルハブ340の後退時に、ムービングバー330とニードルハブ340とが完全に分離せず、ニードル320が安全にムービングバー330の内側に位置することになる。
【0044】
ニードルハブ340は、内部に貫通孔を備え、ムービングバー330が挿入された状態でその外周縁を囲む。ニードルハブ340は後端の内周縁にプラグ310の突起311と結合される溝341が形成される。したがって、ニードルハブ340は、プラグ310と一体的に結合された状態を維持することになる。ニードルハブ340は、本発明の他の実施形態に係るカテーテル20で施術者が手で把持することになる部分で、ニードル320の被施術者の体内挿入と挿入以後の後退動作はいずれもニードルハブ340を通じて行われる。施術者がニードルハブ340を後退させれば、ニードルハブ340と一体的に結合されたプラグ310も共に後退し、プラグ310の一端に固定されたニードル320も後退することになる。このとき、ニードル320がムービングバー330に囲まれたまま後退することになるので、ニードル320の端部が外部に露出しない。したがって、施術者および被施術者をニードル320による刺傷から安全に保護できる。
【0045】
また、ニードルハブ340は前端の内周縁にムービングバー330の第1係止あご331aおよび第2係止あご331bにかかる係止フック342が形成される。したがって、ニードルハブ340の後退時に、係止フック342が第1係止あご331aにかかることでそれ以上後退しないので、ムービングバー330とニードルハブ340とが完全に分離せずにニードル320が安全にムービングバー330の内部に位置することになる。また、ニードルハブ340の後退完了後にニードルハブ340が前端に向かって動くことになっても係止フック342が第2係止あご331bにかかることで、それ以上前進できないのでニードル320がムービングバー330の外側に突出せずに安全に内部に位置することになる。
【0046】
ピボット350は、ムービングバー330の前端に一体的に結合する。また、ピボット350の前端が後述するハブ380に挿入される。ピボット350は、ニードル320が貫通する第1領域350aと、後述するラック360およびギヤ370が安着される第2領域350bとを有する。このとき、第1領域350aは、ピボット350の下部のムービングバー330およびハブ380と結合された領域であり、第2領域350bは、第1領域350aの上部に突出した領域である。なお、第2領域350bの前端には、ギヤ370との結合のための結合孔352をさらに形成することができる。
【0047】
ラック360は、ピボット350の第2領域350bに位置する。特に、ラック360は、第2領域350bの後端に位置することができる。また、ラック360は、プラグ310および後述するハブ380の間の領域に位置することができる。このとき、ラック360は、ピボット350の第1領域350aを貫通して結合しているニードル320によって支持されて第2領域350bに位置する。したがって、ニードル320の後退時に、ラック360は、ピボット350の上部の第2領域350bから下部の第1領域350aに下降することになる。ラック360が下降して第1領域350aに位置することによって、ニードル320がピボット350の外側に露出することを防止できる。言い換えれば、ピボット350の外側に向かう経路をラック360が遮断しているので、ニードル320がムービングバー330の内側に安全に位置できることになる。したがって、ニードル320の端部が露出しないため、施術者および被施術者共にニードル320による刺傷から保護できる。
【0048】
また、ラック360は、後述するギヤ370と噛み合うようにのこぎり歯が形成されている。より具体的には、ラック360がギヤ370と向き合う前端にのこぎり歯を形成することができる。また、のこぎり歯は、ラック360の前端と向き合う後端にも形成することができる。ギヤ370は、のこぎり歯に沿って回転するように誘導される。
【0049】
ギヤ370は、ピボット350の第2領域350bの前端に位置する。ギヤ370は、第2領域350bの結合孔351に結合して第2領域350bに固定される。このとき、ギヤ370は、結合孔351と結合するための結合突起371を有する。なお、ギヤ370は後述するハブ380の上端に安着される。また、ギヤ370が定着されるハブ380の上端には、のこぎり歯381が形成されてギヤ370と噛み合うことになる。さらに、ギヤ370は、第2領域350bの後端に位置するラック360と噛み合うように固定される。つまり、ラック360、ギヤ370およびハブ380はそれぞれに形成されたのこぎり歯によって噛み合って固定されている。
【0050】
そして、ニードル320が後退させられるとき、ラック360が下降し、ラック360と噛み合っているギヤ370が回転することによってハブ380ののこぎり歯381から離脱する。したがって、ハブ380からピボット360およびニードルハブ340が分離されて被施術者の体にはハブ380だけが残される。
【0051】
ハブ380は、ピボット350の第1領域350aの前端と結合する。より具体的には、第1領域350aの前端がハブ380の後端に挿入される。また、ハブ380の後端上部にはギヤ370に対応するのこぎり歯381が形成される。ハブ380は、のこぎり歯381に噛み合っているギヤ370によってピボット350と結合する。
【0052】
カテーテル20の使用前に、のこぎり歯381にギヤ370が安着し、噛み合って固定されており、使用後、ニードル320の後退時にはラック360の下降によってギヤ370がのこぎり歯381から離脱してハブ380とピボット350との分離が行われることになる。
【0053】
チューブ390は、ハブ380の前端に結合する。チューブ390は、内部に貫通孔が形成されてニードル320を収納する。チューブ390は、被施術者の体内にニードル320と共に挿入され、ニードル320が後退して除去された後は、チューブ390だけが体内に残存することになる。したがって、ハブ380に注射器等を通じて他の薬液を注入する場合、チューブ390を通じた薬液注入が行われることになる。
【0054】
キャップ400は、ニードル320が被施術者の体内に挿入される前にカテーテルハブ340に結合してニードル320の端部が露出しないようにする。そして、ニードル320を被施術者の体内に挿入する場合は分離して除去できるようにする。
【0055】
図17から
図20は、本発明の他の実施形態に係るカテーテルの作動過程を示した図である。
【0056】
まず、
図17に示されるように、施術者はニードルハブ340を手で把持しニードル320およびチューブ390を被施術者の体内に挿入する。このとき、ニードルハブ340の内部にはムービングバー330が挿入されており、ムービングバー330の内部にはプラグ310が挿入されている。ここで、ニードルハブ340およびプラグ310は、後端が固定されて一体的に結合している。さらに、ラック360、ギヤ370およびハブ380ののこぎり歯381は、いずれも噛み合って固定されている状態である。このとき、ラック360は、ピボット350の第1領域350aを通過しているニードル320によって支持されてピボット350の第2領域350bに位置している。
【0057】
図18に示されるように、チューブ390だけを被施術者の体内に残すために施術者が他の手でハブ380を押してニードルハブ340を後方に引っ張る。したがって、ニードルハブ340およびプラグ310は、それぞれその間に位置するムービングバー330の外周縁および内周縁に沿って後退する。このとき、プラグ310にはニードル320が結合しているので、プラグ310の後退と同時にニードル320も後退することになる。そして、後退したニードル320はムービングバー330の内側に位置する。
【0058】
一方、ムービングバー330の後端の外周縁には第1係止あご331aおよび第2係止あご331bが形成され、ニードルハブ340の前端の内周縁には係止フック342が形成される。したがって、ニードルハブ340の後退時に、係止フック342が第1係止あご331aおよび第2係止あご331bにかかることになり、それ以上後退または前進することが防止される。つまり、ニードルハブ340が第1係止あご331aによってそれ以上後退せずにムービングバー330から分離されるのを防止することで、ニードル320が外部に露出せずに安全にムービングバー330の内側に位置することになる。また、ニードルハブ340が第2係止あご331bによって前進することが防止されることによって、ニードル320が露出せずに安全にムービングバー330の内側に位置することになる。
【0059】
図19に示されるように、ニードル320によって支持され、ピボット350の第2領域350bに位置していたラック360がニードル320の後退によって第1領域350aに下降することになる。ギヤ370は、ラック360の下降によって反時計方向に回転し、回転によってのこぎり歯381から離脱してピボット350とハブ380との分離が行われる。したがって、被施術者の体にはチューブ390およびハブ380だけが残ることになる。また、分離されたニードル320は、ラック360がピボット350の外側に向かう経路を遮断することによって、外部に突出せずにムービングバー330の内側に安全に位置できるようになる。したがって、ニードル320の端部が露出しないため、施術者および被施術者共にニードル320による刺傷から安全に保護することができる。
【0060】
図5dに示されるように、使用後に分離されたカテーテル20の残りの部分は医療用ゴミ箱に廃棄処理する。
【0061】
このようにして、本発明の他の実施形態に係るカテーテル20は、ムービングバー330とハブ380との間にラック360およびギヤ370が定着されるピボット350を具備し、ラック360、ギヤ370およびハブ380ののこぎり歯381は互いに噛み合って固定結合される。このとき、ピボット350とムービングバー330は一体的に結合している。
【0062】
また、ラック360はピボット350の下部の第1領域350aを貫通するニードル320によって支持されてピボット350の上部の第2領域350bに位置する。そして、ニードル320の後退時にラック360が第2領域350bから第1領域350aに下降し、ギヤ370が回転してのこぎり歯381から離脱することによってハブ380とピボット350の分離が行われる。同時にムービングバー330からピボット350の外側に向かう経路はラック360によって遮断されることによって、ニードル320がムービングバー330の内側に安全に位置することができる。したがって、ニードル320が露出せずに被施術者および施術者を刺傷から安全に保護できる。
【0063】
以上の説明は、本発明に係る安全カテーテルを実施するための一実施形態に過ぎないものであって、本発明は上記実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲で請求するように本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する分野で通常の知識を有する者であれば、誰でも多様な変更実施が可能な範囲にまで本発明の技術的思考がおよぶとみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の一実施形態に係るカテーテルは、カテーテルハブにギヤ溝を備え、ソケットおよび第1ケースをギヤを通じてカテーテルハブと結合するように備え、ギヤの下端にニードルが貫通する溝を備えることによって、ニードルが後退して第1ケースによって囲まれた以後だけにギヤが回転してソケットおよび第1ケースがカテーテルハブと分離されることで、ニードルが露出せずに被施術者および施術者を刺傷から安全に保護できる。
【0065】
また、本発明の他の実施形態に係るカテーテルは、ギヤ、ラックおよびハブに形成されたのこぎり歯によってハブとムービングバーとを固定したり分離したりし、ニードルの後退してムービングバーとハブが分離されてからはラックでニードルが外部に向かう経路が遮断されることで、ニードルが露出せずに被施術者および施術者を刺傷から安全に保護できる。
【符号の説明】
【0066】
10 カテーテル
110 プラグ
120 ニードル
130 第1ケース
140 第2ケース
150 ニードルハブ
160 ソケット
170 ギヤ
171 上側部
172 下側部
172a ニードル溝
180 ホルダー
190 ガスケット
200 カテーテルハブ
210 チューブ
20 カテーテル
310 プラグ
320 ニードル
330 ムービングバー
340 ニードルハブ
350 ピボット
360 ラック
370 ギヤ
380 ハブ
390 チューブ
400 キャップ