(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251844
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】単一のパルス幅変調器(PWM)を備えた双方向型低電圧電源(LVPS)、低温冷却器システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
H02M3/28 P
【請求項の数】24
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-506913(P2017-506913)
(86)(22)【出願日】2015年8月7日
(65)【公表番号】特表2017-524329(P2017-524329A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】US2015044237
(87)【国際公開番号】WO2016022932
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】62/034,889
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/612,357
(32)【優先日】2015年2月3日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】オルティズ,ジョエ アンソニー
【審査官】
小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4481449(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102011082730(DE,A1)
【文献】
米国特許第6771519(US,B2)
【文献】
特開2012−152035(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/024679(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源から負荷へ電力を供給するよう構成される第1の電力コンバータと、
前記負荷から前記第1の電力コンバータの出力部で前記入力電源へ電力を選択的に再循環させるよう構成される第2の電力コンバータと、
単一のパルス幅変調器及びスイッチング回路を有し、前記スイッチング回路が、前記パルス幅変調器の出力を受けるために前記第1の電力コンバータ又は前記第2の電力コンバータのいずれか一方を選択するよう構成される、制御回路であり、前記制御回路は、さらに、誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差の絶対値を供給するよう構成される、制御回路と、
を有し、
前記スイッチング回路は、前記制御回路のコントロール下で、前記負荷が電力供給しているのか、それとも吸い込んでいるのかに応じて、前記第1の電力コンバータと前記第2の電力コンバータとの間で前記パルス幅変調器の出力を切り替えるよう、さらに構成される、
双方向型低電圧電源(LVPS)。
【請求項2】
前記スイッチング回路は、前記電力コンバータのうちの一方のみを一度に作動させるように、前記第1の電力コンバータへの第1のゲート駆動信号又は前記第2の電力コンバータへの第2のゲート駆動信号のいずれか一方を選択的に供給するよう構成される、
請求項1に記載の双方向型LVPS。
【請求項3】
前記第1の電力コンバータの1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するよう前記第1のゲート駆動信号を供給する第1のゲート駆動回路と、
前記第2の電力コンバータの1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するよう第2のゲート駆動信号を供給する第2のゲート駆動回路と
を有し、
前記第1のゲート駆動回路及び前記第2のゲート駆動回路は、前記スイッチング回路からの出力を受けるよう構成される、
請求項2に記載の双方向型LVPS。
【請求項4】
前記スイッチング回路は、当該LVPSに、前記入力電源から前記負荷へ電力を供給する前記第1の電力コンバータの動作と、前記負荷から前記入力電源へ電力を再循環させる前記第2の電力コンバータの動作との間を切り替えさせるよう構成される、
請求項2に記載の双方向型LVPS。
【請求項5】
入力電源から負荷へ電力を供給するよう構成される第1の電力コンバータと、
前記負荷から前記第1の電力コンバータの出力部で前記入力電源へ電力を選択的に再循環させるよう構成される第2の電力コンバータと、
制御回路と、
を含む、双方向型低電圧電源(LVPS)であって、
前記制御回路は、
単一のパルス幅変調器と、
スイッチング回路であり、
前記パルス幅変調器の出力を受けるために前記第1の電力コンバータ又は前記第2の電力コンバータのいずれか一方を選択し、
前記電力コンバータのうちの一方のみを一度に作動させるように、前記第1の電力コンバータへの第1のゲート駆動信号又は前記第2の電力コンバータへの第2のゲート駆動信号のいずれか一方を選択的に供給し、かつ、
当該LVPSに、前記入力電源から前記負荷へ電力を供給する前記第1の電力コンバータの動作と、前記負荷から前記入力電源へ電力を再循環させる前記第2の電力コンバータの動作との間を切り替えさせる、
よう構成されるスイッチング回路と、
誤差増幅器と、
前記誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差の絶対値を供給するよう構成される絶対値回路と、
前記スイッチング回路に、前記第1の電力コンバータと前記第2の電力コンバータとの間で前記パルス幅変調器の出力を切り替えさせるよう構成されるコンバータ選択コンパレータと、
有する、
双方向型LVPS。
【請求項6】
前記絶対値回路は、前記誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差に等しい信号を前記パルス幅変調器に供給するよう構成される、
請求項5に記載の双方向型LVPS。
【請求項7】
当該双方向型LVPSは、モータ駆動システムのモータ駆動エレクトロニクスへ電力を供給するよう構成される双方向型モータドライバLVPSであり、
前記負荷は、前記モータ駆動エレクトロニクス及びモータを含む、
請求項6に記載の双方向型LVPS。
【請求項8】
前記第1の電力コンバータは、前記モータが電力を吸い込んでいる場合に、前記モータ駆動エレクトロニクスへの電圧をレギュレートするよう構成され、
前記第2の電力コンバータは、前記モータが電力を供給している場合に、前記モータ駆動エレクトロニクスへの電力をレギュレートするよう構成される、
請求項7に記載の双方向型LVPS。
【請求項9】
前記モータは、低温冷却器モータである、
請求項8に記載の双方向型LVPS。
【請求項10】
双方向型低電圧電源(LVPS)の作動方法であって、
第1の電力コンバータによって、入力電源から負荷へ電力を供給すること、
第2の電力コンバータによって、前記負荷から前記第1の電力コンバータの出力部で前記入力電源へ電力を選択的に再循環させること、
単一のパルス幅変調器の出力を受ける動作のために前記第1の電力コンバータ又は前記第2の電力コンバータのいずれか一方を選択すること、
誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差の絶対値を供給すること、および、
前記負荷が電力供給しているのか、それとも吸い込んでいるのかに応じて、前記第1の電力コンバータと前記第2の電力コンバータとの間で前記パルス幅変調器の出力を切り替えること
を有する作動方法。
【請求項11】
前記電力コンバータのうちの一方のみを一度に作動させるように、前記第1の電力コンバータへの第1のゲート駆動信号又は前記第2の電力コンバータへの第2のゲート駆動信号のいずれか一方を選択的に供給すること
を更に有する請求項10に記載の作動方法。
【請求項12】
前記第1の電力コンバータの1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するよう前記第1のゲート駆動信号を供給すること、および、
前記第2の電力コンバータの1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するよう第2のゲート駆動信号を供給すること
を更に有する請求項11に記載の作動方法。
【請求項13】
前記選択的に供給することは、前記入力電源から前記負荷へ電力を供給する前記第1の電力コンバータの動作と、前記負荷から前記入力電源へ電力を再循環させる前記第2の電力コンバータの動作との間を切り替えるよう前記LVPSを構成する、
請求項11に記載の作動方法。
【請求項14】
双方向型低電圧電源(LVPS)の作動方法であって、
第1の電力コンバータによって、入力電源から負荷へ電力を供給すること、
第2の電力コンバータによって、前記負荷から前記第1の電力コンバータの出力部で前記入力電源へ電力を選択的に再循環させること、
単一のパルス幅変調器の出力を受ける動作のために前記第1の電力コンバータ又は前記第2の電力コンバータのいずれか一方を選択すること、
前記電力コンバータのうちの一方のみを一度に作動させるように、前記第1の電力コンバータへの第1のゲート駆動信号又は前記第2の電力コンバータへの第2のゲート駆動信号のいずれか一方を選択的に供給することであり、当該LVPSを、前記入力電源から前記負荷へ電力を供給する前記第1の電力コンバータの動作と、前記負荷から前記入力電源へ電力を再循環させる前記第2の電力コンバータの動作との間を切り替えさせるように構成すること、
誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差の絶対値を供給すること、および、
スイッチング回路に、前記負荷が電力供給しているのか、それとも吸い込んでいるのかに応じて、前記第1の電力コンバータと前記第2の電力コンバータとの間で前記パルス幅変調器の出力を切り替えさせること、
を有する作動方法。
【請求項15】
双方向型低電圧電源(LVPS)の作動方法であって、
第1の電力コンバータによって、入力電源から負荷へ電力を供給すること、
第2の電力コンバータによって、前記負荷から前記第1の電力コンバータの出力部で前記入力電源へ電力を選択的に再循環させること、
単一のパルス幅変調器の出力を受ける動作のために前記第1の電力コンバータ又は前記第2の電力コンバータのいずれか一方を選択すること、
前記電力コンバータのうちの一方のみを一度に作動させるように、前記第1の電力コンバータへの第1のゲート駆動信号又は前記第2の電力コンバータへの第2のゲート駆動信号のいずれか一方を選択的に供給することであり、当該LVPSを、前記入力電源から前記負荷へ電力を供給する前記第1の電力コンバータの動作と、前記負荷から前記入力電源へ電力を再循環させる前記第2の電力コンバータの動作との間を切り替えさせるように構成すること、および、
誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差に等しい信号を前記パルス幅変調器に供給すること、
を有する作動方法。
【請求項16】
モータ駆動エレクトロニクスと、
モータ駆動システムの前記モータ駆動エレクトロニクスへ電力を供給するよう構成される双方向型モータドライバ低電圧電源(LVPS)と、を有する、低温冷却器システムであって、
前記双方向型モータ駆動LVPSは、
入力電源から、前記モータ駆動エレクトロニクス及びモータを有する負荷へ電力を供給するよう構成される第1の電力コンバータと、
前記負荷から前記第1の電力コンバータの出力部で前記入力電源へ電力を選択的に再循環させるよう構成される第2の電力コンバータと、
単一のパルス幅変調器及びスイッチング回路を有し、前記スイッチング回路が、前記パルス幅変調器の出力を受けるために前記第1の電力コンバータ又は前記第2の電力コンバータのいずれか一方を選択するよう構成される、制御回路であり、前記制御回路は、さらに、誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差の絶対値を供給するよう構成される、制御回路と
を有し、
前記スイッチング回路は、前記制御回路のコントロール下で、前記負荷が電力供給しているのか、それとも吸い込んでいるのかに応じて、前記第1の電力コンバータと前記第2の電力コンバータとの間で前記パルス幅変調器の出力を切り替えるよう、さらに構成される、
低温冷却器システム。
【請求項17】
前記第1の電力コンバータは、前記モータが電力を吸い込んでいる場合に、前記モータ駆動エレクトロニクスへの電圧をレギュレートするよう構成され、
前記第2の電力コンバータは、前記モータが電力を供給している場合に、前記モータ駆動エレクトロニクスへの電力をレギュレートするよう構成される、
請求項16に記載の低温冷却器システム。
【請求項18】
前記スイッチング回路は、前記電力コンバータのうちの一方のみを一度に作動させるように、前記第1の電力コンバータへの第1のゲート駆動信号又は前記第2の電力コンバータへの第2のゲート駆動信号のいずれか一方を選択的に供給するよう構成される、
請求項17に記載の低温冷却器システム。
【請求項19】
第1の電力コンバータによって、入力電源から負荷へ電力を供給する動作、
第2の電力コンバータによって、前記負荷から前記第1の電力コンバータの出力部で前記入力電源へ電力を選択的に再循環させる動作、
単一のパルス幅変調器の出力を受ける動作のために前記第1の電力コンバータ又は前記第2の電力コンバータのいずれか一方を選択する動作、
誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差の絶対値を供給する動作、および、
前記負荷が電力供給しているのか、それとも吸い込んでいるのかに応じて、前記第1の電力コンバータと前記第2の電力コンバータとの間で前記パルス幅変調器の出力を切り替える動作
を実行するよう双方向型低電圧電源(LVPS)を構成する1つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記命令は、前記電力コンバータのうちの一方のみを一度に作動させるように、前記第1の電力コンバータへの第1のゲート駆動信号又は前記第2の電力コンバータへの第2のゲート駆動信号のいずれか一方を選択的に供給するよう前記双方向型LVPSを更に構成する、
請求項19に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
前記命令は、
前記第1の電力コンバータの1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するよう前記第1のゲート駆動信号を供給し
前記第2の電力コンバータの1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するよう第2のゲート駆動信号を供給する
よう前記双方向型LVPSを更に構成する、請求項20に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記選択的に供給することは、前記入力電源から前記負荷へ電力を供給する前記第1の電力コンバータの動作と、前記負荷から前記入力電源へ電力を再循環させる前記第2の電力コンバータの動作との間を切り替えるよう前記LVPSを構成する、
請求項21に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
第1の電力コンバータによって、入力電源から負荷へ電力を供給する動作、
第2の電力コンバータによって、前記負荷から前記第1の電力コンバータの出力部で前記入力電源へ電力を選択的に再循環させる動作、
単一のパルス幅変調器の出力を受ける動作のために前記第1の電力コンバータ又は前記第2の電力コンバータのいずれか一方を選択する動作、
前記電力コンバータのうちの一方のみを一度に作動させるように、前記第1の電力コンバータへの第1のゲート駆動信号又は前記第2の電力コンバータへの第2のゲート駆動信号のいずれか一方を選択的に供給する動作であり、当該LVPSを、前記入力電源から前記負荷へ電力を供給する前記第1の電力コンバータの動作と、前記負荷から前記入力電源へ電力を再循環させる前記第2の電力コンバータの動作との間を切り替えさせるように構成する動作、
前記第1の電力コンバータの1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するよう前記第1のゲート駆動信号を供給する動作、
前記第2の電力コンバータの1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するよう第2のゲート駆動信号を供給する動作、
誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差の絶対値を供給する動作、および、
前記負荷が電力供給しているのか、それとも吸い込んでいるのかに応じて、前記第1の電力コンバータと前記第2の電力コンバータとの間で前記パルス幅変調器の出力を切り替える動作、
を実行するよう双方向型低電圧電源(LVPS)を構成する1つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
前記命令は、前記誤差増幅器の出力と零ボルトとの間の差に等しい信号を前記パルス幅変調器に供給するよう前記双方向型LVPSを更に構成する、
請求項23に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、電源及び電力供給に関係がある。いくつかの実施形態は、双方向型低電圧電源に関する。いくつかの実施形態は、低温冷却器システムに関する。いくつかの実施形態は、モータシステム、モータ駆動エレクトロニクス及びモータに関する。
【0002】
[優先権主張]
本特許出願は、“BIDIRECTIONAL LOW VOLTAGE POWER SUPPLY (LVPS) WITH SINGLE PWM AND METHOD”と題されて2014年8月8日付けで出願された米国特許仮出願第62/034889号(代理人整理番号1547.479PRV)に基づく優先権を主張して2015年2月3日付けで出願された米国特許出願第14/612357号に基づく優先権を主張するものである。それらの夫々の優先権の利益は、これを以て請求され、それらの夫々は、その全文を参照により本願に援用される。
【背景技術】
【0003】
低温冷却器(cryogenic cooler)モータのような、いくつかのモータアプリケーションは、特定の動作条件の下で、それらの動作周期のある部分において、電源として動作することができる。モータ駆動エレクトロニクスは、モータから電力を吸い込むよう且つモータへ電力を供給するよう構成されてよい。従来、低温冷却器(cryocooler)モータから供給される電力は消散されてきた。
【0004】
よって、低温冷却器システムを含む更に効率的なモータシステムの一般的ニーズが存在する。モータ駆動システム及び低温冷却器システムのようなシステムに適した更に効率的な電源の一般的ニーズも存在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】いくつかの実施形態に従う双方向型低電圧電源(LVPS)の機能図である。
【0006】
【0007】
【
図3】いくつかの実施形態に従う双方向型低電圧電源を表す。
【0008】
【
図4】いくつかの実施形態に従う双方向型低電圧電源の動作のためのプロシージャを表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記載及び図面は、具体的な実施形態を、当業者がそれら実施することを可能にするほど十分に説明する。他の実施形態は、構造的、論理的、電気的、プロセス的、及び他の変更を組み込んでよい。いくつかの実施形態の部分及び特徴は、他の実施形態において含まれてよく、あるいは、他の実施形態のそれらと置換されてよい。特許請求の範囲で示される実施形態は、特許請求の範囲の全ての利用可能な均等物を包含する。
【0010】
図1は、いくつかの実施形態に従う双方向型低電圧電源(LVPS;low voltage power supply)の機能図である。双方向型低電圧電源(LVPS)100は、入力電源110から負荷190へ電力を供給するよう構成される第1のコンバータ120と、負荷190から第1のコンバータ120の出力部で入力電源110へ電力を選択的に再循環させるよう構成される第2のコンバータ130とを含んでよい。双方向型低電圧電源100は、制御回路140を更に含んでよい。制御回路は、特に、単一のパルス幅変調器(PWM;pulse width modulator)160及びスイッチング回路175を含んでよい。スイッチング回路175は、PWM160の出力を受けるために第1の電力コンバータ120又は第2の電力コンバータ130のいずれか一方を選択するよう構成されてよい。
【0011】
そのような実施形態において、単一の双方向型LVPS100は、負荷190に給電し、且つ、負荷190から戻された電力を入力電源110へリサイクルするために、使用されてよい。これは、システムの効率を高めることができ、熱負荷を低減することができる。いくつかの従来のシステムとは違って、単一のPWM160は、両方のコンバータ(すなわち、コンバータ120及びコンバータ130)を制御するために使用される。夫々のコンバータがPWMを備えているような2つの別個のコンバータを使用する双方向型LVPSの例は、米国特許出願第13/866295号[参照番号12−2965]において記載されている。この特許出願は、本願と同じ代理人に割り振られており、参照により本願に援用される。
【0012】
いくつかの実施形態において、スイッチング回路175は、電力コンバータのうちの一方120又は130のみを一度に作動させるように、第1の電力コンバータ120への第1のゲート駆動信号176又は第2の電力コンバータ130への第2のゲート駆動信号177のいずれか一方を選択的に供給するよう構成されてよい。そのような実施形態において、第1のコンバータ120は、負荷190が電力を吸い込んでいるときに、負荷190への電圧をレギュレートするよう構成されてよく、第2のコンバータ130は、負荷が電力を供給しているときに、負荷190への電力をレギュレートするよう構成されてよい。いくつかのモータ駆動及び低温冷却器の実施形態において、第1のコンバータ120は、モータが電力を吸い込んでいるとき、モータ駆動エレクトロニクスへの電圧をレギュレートするよう構成され、第2のコンバータ130は、モータが電力を供給しているときに、モータ駆動エレクトロニクスへの電圧をレギュレートするよう構成される。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されない。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1のゲート駆動回路180は、第1の電力コンバータ120の1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するゲート駆動信号182を供給するよう構成されてよい。第2のゲート駆動回路185は、第2の電力コンバータ130の1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動するゲート駆動信号187を供給するよう構成されてよい。いくつかの実施形態において、第1のゲート駆動回路180及び/又は第2のゲート駆動回路185は、絶縁型ゲートドライブであってよい。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されない。
【0014】
いくつかの実施形態において、スイッチング回路175は、LVPS100に、入力電源110から負荷190へ電力を供給する第1の電力コンバータ120の動作と、負荷190から入力電源110へ電力を再循環させる第2の電力コンバータ130の動作との間を切り替えさせるよう構成されてよい。いくつかの実施形態において、入力電源110は、入力電力バスであってよい。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されない。
【0015】
いくつかの実施形態において、制御回路140は、誤差増幅器150、絶対値回路155、及びコンバータ選択コンパレータ170を更に有してよい。そのような実施形態において、絶対値回路155は、誤差増幅器150の出力電圧と零ボルトとの間の差の絶対値を供給するよう構成されてよい。コンバータ選択コンパレータ170は、スイッチング回路175に、第1の電力コンバータ120と第2の電力コンバータ130と間でパルス幅変調器160の出力を切り替えさせるよう構成されてよい。そのような実施形態のいくつかにおいて、レギュレートされた電源出力電圧及び参照電圧151は、如何なる適切な正電圧であってもよい。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されず、他の出力電圧及び参照電圧が使用されてよい。いくつかの実施形態において、絶対値回路155は、誤差増幅器150の出力と第2の参照電圧との間の差に等しい信号をPWM160に供給するよう構成されてよい。
【0016】
図1に表されている制御回路140は、例となる構成として与えられている。制御回路140のための他の構成も、双方向型LVPS100における使用に適しうる。
【0017】
いくつかの実施形態において、双方向型LVPS100は、モータ駆動システムのモータ駆動エレクトロニクスへ電力を供給するよう構成される双方向型モータドライバLVPSであってよい。そのような実施形態において、負荷190は、モータ駆動エレクトロニクス及びモータを有してよい。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されない。いくつかの実施形態において、第1のコンバータ120は、モータが電力を吸い込んでいるときに、モータ駆動エレクトロニクスへの電圧をレギュレートするよう構成されてよく、第2のコンバータ130は、モータが電力を供給しているときに、モータ駆動エレクトロニクスへの電圧をレギュレートするよう構成されてよい。いくつかの実施形態において、モータは、低温冷却器モータであってよい。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されない。いくつかの例となる実施形態において、双方向型LVPSは、いくつかの従来技術に対して、最高で20ワット又はそれ以上まで節約することができる。このことは、効率において有意な改善をもたらす。
【0018】
いくつかの実施形態は、低温冷却器システムを対象とする。そのような実施形態において、低温冷却器システムは、モータ駆動エレクトロニクスと、モータ駆動システムのモータ駆動エレクトロニクスへ電力を供給するよう構成される双方向型モータドライバLVPS100とを含んでよい。そのような実施形態において、双方向型モータ駆動LVPSは、入力電源110から、モータ駆動エレクトロニクス及びモータを有する負荷へ電力を供給するよう構成される第1のコンバータ120と、負荷190から第1のコンバータ120の出力部で入力電源110へ電力を選択的に再循環させるよう構成される第2のコンバータ130と、単一のPWM160及びスイッチング回路175を有する制御回路140とを有してよい。いくつかの実施形態において、スイッチング回路175は、PWM160の出力を受けるために第1の電力コンバータ120又は第2の電力コンバータ130のいずれか一方を選択するよう構成されてよい。
【0019】
そのような低温冷却器システムの実施形態のいくつかにおいて、第1のコンバータ120は、モータが電力を吸い込んでいるときに、モータ駆動エレクトロニクスへの電圧をレギュレートするよう構成されてよく、第2のコンバータ130は、モータが電力を供給しているときに、モータ駆動エレクトロニクスへの電圧をレギュレートするよう構成されてよい。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されない。そのような低温冷却器システムの実施形態のいくつかにおいて、スイッチング回路175は、電力コンバータのうちの一方のみを同時に作動させるように、第1の電力コンバータ120への第1のゲート駆動信号176又は第2の電力コンバータ130への第2のゲート駆動信号177のいずれか一方を選択的に供給するよう構成されてよい。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されない。
【0020】
図2は、いくつかの実施形態に従う制御回路を表す。制御回路240は、双方向型LVPS100(
図1)における制御回路140としての使用に適しうる。なお、これは必要条件でなく、制御回路の他の例も適切でありうる。
【0021】
制御回路240は、単一のPWM260及びスイッチング回路275(すなわち、コンバータ選択スイッチ)を有してよい。スイッチング回路275は、第1の電力コンバータ120(
図1)又は第2の電力コンバータ130(
図1)のいずれか一方を選択するよう構成されてよい。そのような実施形態において、スイッチング回路275は、電力コンバータのうちの一方120又は130のみを一度に作動させるように、第1の電力コンバータ120への第1のゲート駆動信号276又は第2の電力コンバータ130への第2のゲート駆動信号277のいずれか一方を選択的に供給してよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、スイッチング回路275からの第1の出力276は、第1のゲート駆動回路180(
図1)へ供給されてよく、スイッチング回路275からの第2の出力277は、第2のゲート駆動回路185(
図1)へ供給されてよい。そのような実施形態において、第1のゲート駆動回路180は、第1の電力コンバータ120の1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動する第1のゲート駆動信号182を供給してよく、第2のゲート駆動回路185は、第2の電力コンバータ130の1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動する第2のゲート駆動信号187を供給してよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、制御回路240は、誤差増幅器250、絶対値回路255、及びコンバータ選択コンパレータ270を更に有してよい。そのような実施形態において、絶対値回路255は、誤差増幅器250の出力と零ボルトとの間の差の絶対値を供給するよう構成されてよい。コンバータ選択コンパレータ270は、スイッチング回路275に、第1の電力コンバータ120と第2の電力コンバータ130との間でパルス幅変調器260の出力を切り替えさせるよう構成されてよい。
【0024】
図3は、いくつかの他の実施形態に従う双方向型低電圧電源を表す。双方向型低電圧電源300は、双方向型低電圧電源100(
図1)としての使用に適しうる。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されない。そのような実施形態において、第1のコンバータ320は、入力電源310から負荷390へ電力を供給するよう構成されてよく、第2のコンバータ330は、負荷390から第1のコンバータ320の出力部で入力電源310へ電力を選択的に再循環させるよう構成されてよい。制御回路340は、単一のPWM及びスイッチング回路を有してよい。スイッチング回路は、PWMの出力を受けるために第1の電力コンバータ320又は第2の電力コンバータ330のいずれか一方を選択するよう構成されてよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、制御回路140(
図1)及び/又は制御回路240(
図2)は、制御回路340(
図2)としての使用に適しうる。なお、これは必要条件ではない。
【0026】
そのような実施形態のいくつかにおいて、スイッチング回路175(
図1)からの第1の出力176は、第1のゲート駆動回路180(
図1)へ供給されてよく、スイッチング回路(175)からの第2の出力177は、第2のゲート駆動回路185(
図1)へ供給されてよい。それらの実施形態において、第1のゲート駆動回路380は、第1の電力コンバータ320の1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動する第1のゲート駆動信号382を供給してよく、第2のゲート駆動回路385は、第2の電力コンバータ330の1つ以上のコンバータスイッチトランジスタを駆動する第2のゲート駆動信号387を供給してよい。
【0027】
図4は、いくつかの実施形態に従う双方向型低電圧電源の動作のためのプロシージャを表す。プロシージャ400は、双方向型LVPS100(
図1)のような双方向型低電圧電源によって実施されてよい。なお、実施形態の適用範囲は、この点において制限されず、他の双方向型低電圧電源の構成も使用されてよい。
【0028】
動作402は、入力電源110(
図1)から負荷190(
図1)へ電力を供給するよう構成される第1のコンバータ120(
図1)によって供給することを有してよい。
【0029】
動作404は、第2のコンバータ130(
図1)によって、負荷190から第1のコンバータ120の出力部で入力電源110へ電力を選択的に再循環させることを有してよい。
【0030】
動作406は、単一のPWM160(
図1)の出力を受けるために、第1の電力コンバータ120又は第2の電力コンバータ130のいずれか一方を選択的に切り替えることを有してよい。動作406は、制御回路140(
図1)のような制御回路によって実施されてよい。
【0031】
双方向型低電圧電源100(
図1)、制御回路240(
図2)及び双方向型低電圧電源300(
図3)は、いくつかの別々の機能要素を備えるものとして表されているが、それらの機能要素のうちの1つ以上は、組み合わされてよく、デジタルPWMのようなデジタルエレクトロニクス、デジタル信号プロセッサ(DSP;digital signal processor(s))を含むプロセッシング要素のようなファームウェア構成若しくは又はソフトウェア構成要素、及び/又は他のハードウェア要素の組み合わせによって実装されてよい。例えば、いくつかの要素は、本願で記載されている機能を少なくとも実施するための1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA;field-programmable gate array(s))、特定用途向け集積回路(ASIC;application specific integrated circuit(s))、並びに様々なハードウェア及びロジック回路の組み合わせを有してよい。いくつかの実施形態において、機能要素は、1つ以上のプロセッシング要素で動作する1つ以上のプロセッサに言及してよい。
【0032】
実施形態は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの1つ又は組み合わせにおいて実装されてよい。実施形態はまた、コンピュータ可読記憶デバイスに記憶されている命令として実装されてよい。命令は、本願で記載される動作を実施するよう少なくとも1つのプロセッサによって読み出されて実行されてよい。コンピュータ可読記憶デバイスは、マシン(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形で情報を記憶する如何なる非一時的メカニズムも含んでよい。例えば、コンピュータ可読記憶デバイスは、リードオンリーメモリ(ROM;read-only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM;random-access memory)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、並びに他の記憶デバイス及び媒体を含んでよい。いくつかの実施形態は、1つ以上のプロセッサを含んでよく、コンピュータ可読記憶デバイスで記憶されている命令により構成されてよい。
【0033】
要約は、技術的開示の本質及び主旨を確かめることを読者に可能にする要約を求める37 C.F.R セクション1.72(b)に従うために設けられている。それは、それが特許請求の範囲の適用範囲又は意義を制限又は解釈するために使用されないという理解の下で提出される。添付の特許請求の範囲は、これによって詳細な説明に組み込まれ、夫々の請求項は、別々の実施形態として自立している。