特許第6251852号(P6251852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 佐塚 清孝の特許一覧

<>
  • 特許6251852-魚釣用ルアー 図000002
  • 特許6251852-魚釣用ルアー 図000003
  • 特許6251852-魚釣用ルアー 図000004
  • 特許6251852-魚釣用ルアー 図000005
  • 特許6251852-魚釣用ルアー 図000006
  • 特許6251852-魚釣用ルアー 図000007
  • 特許6251852-魚釣用ルアー 図000008
  • 特許6251852-魚釣用ルアー 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251852
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】魚釣用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/02 20060101AFI20171211BHJP
   A01K 83/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   A01K85/02
   A01K83/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-117956(P2015-117956)
(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-81(P2017-81A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2016年12月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】507316996
【氏名又は名称】佐塚 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100101421
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】佐塚 清孝
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−089707(JP,A)
【文献】 特開2011−172500(JP,A)
【文献】 米国特許第05070640(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00−85/18
A01K 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質のルアー本体と釣針とをセットにした魚釣用ルアーであって、
前記釣針は、前後方向に延伸した軸部と、該軸部に連続すると共に、該軸部の延伸方向に対して曲がった曲がり部と、前記軸部の前端に該軸部よりも大きな頭部とを有し、前記曲がり部の先端が針先であり、
前記ルアー本体には、該ルアー本体の前側領域の範囲内にのみ開口し、前記頭部が挿通できない大きさの入口部を設け、該入口部から前記釣針を針先から挿入可能であって、前記曲がり部と前記軸部とが挿通可能な釣針挿通路を形成しており、該釣針挿通路はスリット形状を有して、前記入口部から離隔した位置からルアー本体表面に細長く開口した細長開口部を有するが、該細長開口部の存在する側のルアー本体表面に対し、前記ルアー本体の前後方向に対して直交する方向における反対側に位置するルアー本体表面は閉じられている
ことを特徴とするルアー本体と釣針とを有する魚釣用ルアー。
【請求項2】
前記ルアー本体の前記入口部又はその近傍に、前記頭部の一部または全部を係合させることの可能な頭部用溝を有する請求項1記載の魚釣用ルアー。
【請求項3】
前記ルアー本体は、その下面の前端部領域を除いて平面状に形成され、上面が上方凸の滑らかな曲面で形成され、ルアー本体の平面視において、前側領域よりも後側領域が幅狭に形成されており、
前記入口部は前記上面に位置し、前記細長開口部は前記下面に位置しており、
前記前端部領域は、前記平面状の下面に対して、前上がりの傾斜に形成されており、該前端部領域にルアー本体よりも比重の大きな錘部材が設けられ、該錘部材の重心位置はルアー本体の前後方向において、前記入口部の位置よりも前側である
請求項1又は2記載の魚釣用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグを含むハードベイト又はハードルアーと称される魚釣用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードルアーは、合成樹脂材、木材、金属等で形成された硬質のルアー本体に釣針を装着して形成する。但し、本願で述べる硬質、或いはハードとは、一般に言われている硬質ルアーの硬質よりは広い意味合いで使用している。即ち、ルアー本体の材料としてエラストマーと称される材料が使用されていても本願の硬質に含まれる場合がある。要は、釣りの最中にルアー本体の全体的形状が保持されてさえいればよいのであり、釣り使用中において形状が自在に変形するルアー(ソフトルアー)だけを除外する意味である。こうしたハードルアーの例として、下記特許文献1や非特許文献1等に開示のものがある。一般に、魚釣用ルアーは、使用中に根掛かりしたり、岩や石等に擦れ、針先部が損傷したり、釣針の曲がり部が損傷することがある。下記非特許文献1のルアーでは、釣針がルアー本体に一体化されているため、釣針が損傷すれば、交換できず、ルアーそのものを買い替える必要が有る。本出願人の有する特許である特許文献1のルアーでは釣針の交換を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5030910号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】BASS PRO SHOPS社 「2014 BASS PRO SHOPS FISHING MASTER CATALOG」243頁 Weedless Spoon
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
釣針が交換可能であっても、ルアー使用中に釣針がルアー本体から不用意に外れては困る。上記特許文献1では、一般に使用中に釣針がルアー本体から外れ易いという問題がある。
依って解決しようとする課題は、ルアー本体と釣針とが分離できて、釣針が交換可能であると共に、使用中は釣針がルアー本体から不用意には外れないハードルアーの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて第1の発明は、硬質のルアー本体と釣針とをセットにした魚釣用ルアーであって、前記釣針は、前後方向に延伸した軸部と、該軸部に連続すると共に、該軸部の延伸方向に対して曲がった曲がり部と、前記軸部の前端に該軸部よりも大きな頭部とを有し、前記曲がり部の先端が針先であり、前記ルアー本体には、該ルアー本体の前側領域の範囲内にのみ開口し、前記頭部が挿通できない大きさの入口部を設け、該入口部から前記釣針を針先から挿入可能であって、前記曲がり部と前記軸部とが挿通可能な釣針挿通路を形成しており、該釣針挿通路はスリット形状を有して、前記入口部から離隔した位置からルアー本体表面に細長く開口した細長開口部を有するが、該細長開口部の存在する側のルアー本体表面に対し、前記ルアー本体の前後方向に対して直交する方向における反対側に位置するルアー本体表面は閉じられていることを特徴とするルアー本体と釣針とを有する魚釣用ルアーを提供する。
【0007】
第2の発明は、前記ルアー本体の前記入口部又はその近傍に、前記頭部の一部または全部を係合させることの可能な頭部用溝を有することを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、前記ルアー本体は、その下面の前端部領域を除いて平面状に形成され、上面が滑らかな上方凸の曲面で形成され、ルアー本体の平面視において、前側領域よりも後側領域が幅狭に形成されており、前記入口部は前記上面に位置し、前記細長開口部は前記下面に位置しており、前記前端部領域は、前記平面状の下面に対して、前上がりの傾斜に形成されており、該前端部領域にルアー本体よりも比重の大きな錘部材が設けられ、該錘部材の重心位置はルアー本体の前後方向において、前記入口部の位置よりも前側であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明では、細長開口部を有するスリット形状の釣針挿通路を形成しているため、この通路に釣針を針先から挿入でき、また、必要に応じて逆の操作で釣針を抜くことも可能である。しかも、釣針の頭部が通過できない大きさの入口部とスリット状細長開口部とが離隔しているため、釣針をルアー本体に挿入、装着した状態で、釣針がルアー本体から不用意に外れることが防止できる。
【0010】
第2の発明では、頭部用溝に釣針の頭部の一部または全部を係合させることができるので、ルアー本体の釣針挿通路に挿通させた釣針がその軸部を中心として不用意に回転して装着姿勢が崩れることが防止できる。
【0011】
第3の発明では、ルアー本体の下面が前上がり傾斜の前端部領域を除いて平面状に形成されており、錘部材の重心位置が、装着状態の釣針頭部の位置する入口部の位置よりも前側であり、平面視において前側領域よりも後側領域が幅狭に形成されている形態のため、釣針頭部に釣糸を係止して魚釣用ルアーを竿で引き操作すれば、水中において滑らかにS字を描きながら泳ぐ。下面が平面状であるため、所謂、スプーンのような動きをしそうであるが、平面視において後側領域が前側領域よりも幅狭であるため、スプーンとは異なって後側領域で受ける水流抵抗が小さく、スプーンとは異なる泳ぎをする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明に係る魚釣用ルアーに使用の釣針の側面図である。
図2図2は本発明に係る魚釣用ルアーに使用のルアー本体の上面図である。
図3図3図2のルアー本体の側面図である。
図4図4図2のルアー本体の矢視線D−Dによる縦断面図であると共に、図1の釣針の挿入、装着方法を説明する説明図である。
図5図5図1の釣針を図2のルアー本体に装着完了した状態の魚釣用ルアーの縦断面図である。
図6図6は本発明に係る第2実施形態例の魚釣用ルアーのルアー本体を示す下面図である。
図7図7図6の矢視線G−Gによる縦断面図である。
図8図8は本発明に係る第3実施形態例の魚釣用ルアーの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を、添付図面を用いて更に詳細に説明する。本願魚釣用ルアーに使用の釣針10の一例を図1に示している。軸部10Jの一端には、アイとも呼ばれる頭部10Tが形成されており、他端には曲がり部10Mが設けられている。この釣針10には、魚が掛かった際に逃がさないための係止部(返し部)は設けていないが、そのことは本願発明の本質ではない。また、頭部10Tは、軸部10Jと曲がり部10Mとを含む平面に対して直交する方向に釣糸が挿通するように、釣糸挿通孔が形成されている。即ち、頭部10Tは、軸部10Jと曲がり部10Mとの成す平面内、或いはその平面に平行に形成されている。しかし、頭部を軸部10Jと曲がり部10Mとの成す平面に対して直交する平面上に形成し、釣糸が軸部10Jと曲がり部10Mとの成す平面内の上下方向に釣糸挿通孔を挿通するように形成してもよい。即ち、釣糸が図1の上下方向に挿通するように頭部を形成してもよい。
【0014】
図2図3を参照すれば、ルアー本体20は、その平面視において、前側領域よりも後側領域が幅狭な形状である。また、側面視におけるルアー本体の上面20Tは滑らかに上方に凸な曲面形状であるが、下面20Uは平面状である。但し、下面の前端部領域20Zは前上がりの傾斜状である。また、この前端部領域20Zには、本体よりも比重の大きな鉛板等の錘部材20Wが埋め込まれている。この前端部領域20Zの左右方向中央には、上下方向に広がる保護板20Aが一体化されている。この保護板はルアー本体20を保護するためのものである。即ち、釣りにおいて、この魚釣用ルアーを投擲すると、一旦川底に沈むが、この際にルアー本体20の先部が損傷することを防止するためである。従って、保護板20Aの板面に適宜な孔を開けて、魚釣用ルアーが泳ぐ際に、その左右方向への動きの水流抵抗を小さくしてもよい。ルアー本体20の先部の保護としては、該先部をアルミ板部材によって被覆する等の方法も採用可能であり、この場合、保護板20Aは不要となる。錘部材の重心位置は、下記入口部20Hの位置よりも前側である。
【0015】
ルアー本体20の前側領域であり、この例では上面20Tに、釣針10を挿入させるための入口部20Hが設けられている。この入口部20Hは、図4に示す釣針挿通路20Rに連通しており、この釣針挿通路20Rはスリット状に形成されており、ルアー本体20の下面20Uに細長く開口した細長開口部20Kを有している。この細長開口部20Kの平面図は示していないが、後述の図6の細長開口部と同様な形状である。更には、前記入口部20Hに連通した頭部用溝20Mが設けられており、図5に図示しているが、ルアー本体20に釣針10を挿入、装着させた際に、頭部10Tの一部が係合する。この頭部用溝20Mはルアー本体20の上下方向面内に広がる溝であるが、釣針10の頭部が図1の頭部とは異なり、図1の頭部を90度回転させた状態のものでは、ルアー本体20の左右方向面(水平方向面)内に広がる溝とすればよい。
【0016】
図4を参照しつつ、ルアー本体20への釣針10の挿入、装着方法を説明する。ルアー本体20の入口部20Hから釣針10をその針先10Sから挿入させ、釣針の曲がり部10Mの曲がり形状に沿って挿入させる。この曲がり部10Mを丁度挿入しきった状態が図4の状態である。ルアー本体20の釣針挿通路20Rはスリット状であって、ルアー本体20の下面20Uに細長く開口しているため、釣針10は図4の状態からその軸部10Jを釣針挿通路20Rの底面20RSに沿って押し込んで行く。そして釣針10の軸部10Jと曲がり部10Mとの境界10Pが、ルアー本体20の後端に位置した時に、軸部10Jを回転させ、針先10Sを上方に向ける。
【0017】
それから、釣針10の頭部10Tをルアー本体20の頭部用溝20Mに係合させる。入口部20Hの大きさは釣針10の頭部10Mよりも小さく形成しているため、これ以上釣針10が釣針挿通路20Rの中に進入することは無く、また逆に、釣針10が抜け出る方向(前方)に移動しようとしても、曲がり部10Mの存在により、ルアー本体20から釣針10が不用意に抜け出ることも防止される。これでも不用意に抜け出ることを防止できるが、更に、釣針10を位置決め固定するため、シリコンやゴム製の弾力性部材である小チューブ状の止め部材12を針先10Sから挿入し、釣針10が前方に抜け出ないように止め部材12をルアー本体20の挿通路後端部に押し込む。止め部材12の外形は紡錘状、又は円錐台状が好ましい。この挿通路後端部は、ルアー本体20の釣針挿通路20Rの後端部を止め部材12の大きさを考慮して(大きさに合わせて)幾分拡径させている。
【0018】
図4等を参照しつつ説明した釣針10の挿入、装着が可能な範囲で、釣針10の軸部10Jは短い方が良く、図5に示す状態の止め部材12の位置が、図1に示す釣針10の軸部10Jと曲がり部10Mとの境界10P近くであることが好ましい。図2図5に示す第1実施形態例では、止め部材12や曲がり部10M等の作用によって釣針10が前後方向に移動しない場合、釣針10の頭部10Tをルアー本体20の頭部用溝20Mに係止させているので、釣針10は回転しないで図5の状態を保持できる。しかし、釣針10の頭部10Tとルアー本体20の頭部用溝20Mとの係合に拘わらず、釣針10がその軸部10Jを中心に回転しようとする際に、この回転に伴う弾力性部材である止め部材12の回転を防止すべく、止め部材の挿入されている挿通路後端部の内面に、円周方向(回転方向)に引っ掛かる小さな段差や凹凸等を設けることは効果的である。
【0019】
以上説明した実施形態例の魚釣用ルアーは、ルアー本体の下面が前上がり傾斜の前端部領域を除いて平面状に形成されており、錘部材の重心位置が、装着状態の釣針頭部の位置する入口部の位置よりも前側であり、平面視において、前側領域よりも後側領域が幅狭に形成されているためと考えられるが、釣針10の頭部10Tに釣糸を挿通係止して魚釣用ルアーを竿で引き操作すれば、水中において滑らかにS字を描きながら泳ぐ。下面が平面状であるため、所謂、スプーンのような動きをしそうであるが、平面視において後側領域が前側領域よりも幅狭であるため、スプーンとは異なって後側領域で受ける水流抵抗が小さく、スプーンとは異なる動きをする。
【0020】
図6図7を参照し、第2実施形態例の魚釣用ルアーにつき説明する。主に、第1実施形態例と異なる事項を説明する。図6図7の下方から見た図に相当する。ルアー本体30は、図示のような山形状の上面30Tと、滑らかな円形状の下面30Uとで側面視形状が形成されている。下面30Uには、その前側領域に開口し、釣針10を挿通させる入口部30Hが設けられており、この入口部30Hは釣針挿通路30Rに連通している。この釣針挿通路30Rはスリット状に形成されており、入口部30Hと同じルアー本体30の下面30Uに細長く開口した細長開口部30Kを有している。この細長開口部30Kは、入口部30Hよりも後方に離隔している。また、釣針10の頭部10Tを係止させてその回転を防止する頭部用溝30Mが、入口部30Hに連続して設けられている。第1の実施形態例と同様に、釣針10の頭部が図1の形態に対して90度回転した形態の場合は、頭部用溝は左右方向面(水平方向面)内に広がる溝形態にすればよい。
【0021】
図8を参照し、第3実施形態例の魚釣用ルアーにつき説明する。主に、第1実施形態例と異なる事項を説明する。この形態例のルアー本体40は、組み立てられたルアーとして使用すると、ルアー本体40の前部で水流を受けて釣針10の軸部の周りを回転する。従って、第1、第2の各形態例のように、回転止めの工夫は不要である。入口部はルアー本体40の前端中央にあり、細長開口部40Kは前記入口部の所定距離後方の位置から、螺旋状に設けられている。この例では、細長開口部40Kの前記入口部に近い側の端からルアー本体40の後端まで螺旋状に連続しており、螺旋状に捩じれた角度は180度程度である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、ハードルアーと称される魚釣用ルアーに利用できる。特に、損傷した釣針を交換でき、ルアー本体を繰り返して使用したい場合に特に効果的に利用できる。しかも、釣りの最中に、釣針はルアー本体から不用意には外れない。
【符号の説明】
【0023】
10 釣針
10J 軸部
10M 曲がり部
10T 頭部
20 ルアー本体
20H 入口部
20K 細長開口部
20M 頭部用溝
20R 釣針挿通路
30,40 他の実施形態例のルアー本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8