特許第6251853号(P6251853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6251853-フェイスマスク 図000002
  • 特許6251853-フェイスマスク 図000003
  • 特許6251853-フェイスマスク 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251853
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/12 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   A45D44/12 C
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-102829(P2016-102829)
(22)【出願日】2016年5月2日
(65)【公開番号】特開2017-200549(P2017-200549A)
(43)【公開日】2017年11月9日
【審査請求日】2016年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】594027166
【氏名又は名称】苧坂 昌和
(72)【発明者】
【氏名】苧坂 昌和
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−121598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/12
A45D 44/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材に不織布を使用し、仰向けに寝た装着者の顔面凹凸形状に対応する部分を、端部からの二以上の切り欠きにより、顔面凸部に対応し持ちあげられる部分と、顔面凹部に対応する部分を、一体形状は保ちつつ一部を分離する事で、顔面凸部に対応する部分により顔面凹部に対応する部分を引き上げる事なく、顔面凹部に対応する部分が顔面凹部を覆い、端部からの二以上の切り欠きにより、顔面凸部である鼻梁ラインに対応する部分の一部を、鼻梁ラインに対応しない部分から一部のみ分離し、上唇上部に係る鼻梁基部と鼻腔上部に係る鼻梁ライン最下部の間と略同一の長さで、鼻梁ラインの最下部である鼻腔上部の部分から、顔面下部の上唇方向に、ひさし状に延伸し、この延伸部分が、上唇最下部から鼻梁基部に対し、略水平方向となる形状を保持できる剛軟性を有する素材を用いる事で、フェイスマスク装着者の鼻からの呼気に直接接しない事により、鼻からの呼気によるずれを防止出来、同時に他人の視線からフェイスマスク装着者の鼻腔内部を遮る部分を有する、表裏を有する扁平な形状のフェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理美容関連施設において、被施術者の顔面を、施術者による洗髪時の濯ぎ水等の飛沫による化粧落ち防止、飛沫が洗浄液等の薬剤を含む物である場合の顔面特に眼球部の保護、飛沫による不快感から保護する場合に、被施術者の顔面を覆う部材を、被施術者の顔面凹凸に併せる事で、顔面からのずれや離脱を防ぎ、併せて被施術者の鼻腔を施術者の視界から遮る事で、鼻腔内を施術者に除かれる被施術者の羞恥心を防止出来るフェイスマスクに係るものである。
【背景技術】
【0002】
理美容関連施設では、散髪、パーマ及び髪染め等の施術の間に、被施術者を仰向けに寝かせた状態で、被施術者に対する洗髪を、施術者により複数回行う。
従来、特許文献(特開2012−081233)に記載の技術において、洗髪時の濯ぎ水等の飛沫による化粧落ち、及び被施術者への不快感防止の為、被施術者の顔面にガーゼ等の布片を置く措置を取っていた。
ここで布片を顔面上部形状に合わせたフェイスマスクが、特許文献に記載されている。
【0003】
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−081233
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の布片のフェイスマスクは定型性を有さず被施術者の顔面全体に直接フェイスマスクが被さり、額、頬骨、鼻梁等の凹凸を有する人間の顔面に装着した場合、顔面とフェイスガードの間に一定の隙間が出来、フェイスマスクの安定した装着の妨げとなっている。又、被施術者の口や鼻を覆ってしまい、被施術者の呼吸や施術者との会話によりフェイスマスクの顔面からのズレや離脱の原因となっていた。
ここで施術者―被施術者間の会話は、施術を行う場合の両者の意思疎通において必要不可欠である。
よって、素材を布とし、縫製加工により顔面凹凸に併せた立体形状として、更に被施術者の顔面の内で飛沫がかかりにくい顔面下部の、口と鼻の部分を開放し、上記問題を解決したフェイスマスクが特許文献1(特開2012−081233)に記載されている。
しかし布を縫製加工して、顔面凹凸部形状に対応させる場合、製造工程が複雑となり、縫製加工により製品の厚さに部位による差が出来、梱包や輸送のコストも嵩み、これらにより製品単価も上昇する。
ここで、フェイスマスクは不特定の被施術者の肌に直接触れるので、衛生面及び被施術者の不快感から他の被施術者への再使用が困難だが、上記高コストのフェイスマスクは使い捨てに馴染まない。更に、フェイスマスクを被施術者への使用後に、理美容関連施設において、洗濯等で再利用する場合、理美容施設での作業増加を招き、洗濯による縫製加工部の型崩れにより再利用の回数には制限が有り。洗剤臭、柔軟剤臭は被施術者に不快感を与える。
又、鼻梁ライン最下部と鼻腔が覆われていないので、被施術者の鼻腔内部が施術者から視認出来、被施術者に羞恥心を与え、これは男性施術者も多い中、美容院の主たる顧客である女性において顕著である。
上記理由により、布を縫製したフェイスマスクの理美容関連施設での導入を難しくしている。
よって本発明の目的は、理美容関連施設の被施術者に上記不快感を与えず、更に使い捨てに堪え得る安価なフェイスマスクを提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
フェイスマスク形状は、理美容関連施設において、洗髪時に特に飛沫を浴びる部分である被施術者の顔面上部を保護し得るよう、仰向けに寝た被施術者の顔面上部を覆う、表裏を有する扁平形状とし、額や頬骨等による顔面凹凸に関わらず顔面とフェイスマスクの間を隙間なく覆うため、フェイスマスクの端部から二以上の一定寸法の切り込みを設ける。
フェイスマスク全体は一体形状を保ちつつ、フェイスマスク中の顔面凸部に対応し持ちあげられる部分(以下、凸部対応部分)と、同凹部に対応し沈み込む部分(以下、凹部対応部分)が、上記切り込み部により一体形状を保ちつつ一部が分離される事で、凸部対応部分に引き上げられる形で形成される凹部対応部分と顔面凹部との間の隙間発生を防止でき、より確実に顔面にフェイスマスクを装着できる。
【0008】
更に上記切り欠きにより、凸部対応部分の内、顔面鼻梁ラインに対応する部分を、鼻梁ライン最下部の鼻腔上部の部分よりひさし状に延伸し、この延伸部分(以下、ひさし部分)が、上唇最下部から鼻梁基部(以下、上唇部分)に対し、略水平方向となる形状を保持出来る事で、被施術者の鼻からの呼気に直接接しない事により、鼻からの呼気によるずれを防止出来、同時に施術者の視線から被施術者の鼻腔内部を遮り、被施術者の羞恥心を防止できる。
ここで、被施術者は施術者の腰の高さで仰向けに寝た状態であり、施術を行う被施術者頭頂部に施術者の手が届く範囲から施術者が被施術者頭部を見下ろす形となる。
この場合、施術者の眼―被施術者の鼻腔間を直角三角形の斜辺、施術者の腰―同鼻腔間を同底辺、同腰―同眼間を同垂辺と近似する。
施術者及び被施術者の肩―腰間を同じ寸法とすると、上記三角形の底辺は同寸法に肩―同鼻腔間寸法を加算、同垂辺は同寸法に肩―同眼間寸法を加算、肩―鼻腔間寸法と比し肩―眼間寸法がより長いので、上記三角形の底辺より垂辺が長くなり底辺―斜辺角度(施術者の目線)は45度以上となる。
ここで、上記凸部対応部分中、ひさし部分の寸法を被施術者の上唇上部に係る鼻梁基部―鼻腔上部に係る鼻梁ライン最下部の間の寸法(以下、鼻梁高さ)と略同一とすると、上記角度45度において、被施術者鼻腔を施術者の視界から遮る事が可能となる。
尚、上記角度45度以上は、45度と比し施術者の眼がより上部に有る為、同一のひさし部分寸法でも、被施術者の鼻腔は45度の場合と比し、施術者からより見えにくくなり、これは女性被施術者より体格が大柄となる場合が多い男性施術者において顕著となる。
【0009】
ここでフェイスマスク素材は不織布を用いる。
、被施術者の鼻腔からの呼気にフェイスマスクが直接接しない事により、被施術者顔面からフェイスマスクのずれを防止する為、ひさし部分が上唇部分と略水平方向を保つ程度の強度(剛軟度)をひさし部分が有する必要が有る。
尚、不織布とは「糸の形態を経ずに、繊維シート(ウェブ)を機械的、化学的、熱的に処理し、接着剤や繊維自身の融着力で接合して作る布」であり、伸張性と共に、快適な肌触り及び通気性を有する。
不織布の素材としては木綿、麻等の天然繊維及び、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ポリエチレン等の合成繊維及び、レーヨン、キュプラ等の再生繊維が有る。
【0010】
JIS規格は、一般不織布試験方法において、1989年に第1版として発行されたISO9073−1、1995年に第2版として発行されたISO9073−2、1989年に第1版として発行されたISO9073−3、1997年に第2版として発行されたISO9073−4、1995年に第1版として発行されたISO9073−7、1988年に第1版として発行されたISO9092に基ずき、対応する部分については技術的内容を変更することなく作成されており、剛軟度についてカンチレバー法(ISO法)が定義されている。
G=m×C×9.81
G:剛軟度(mN・cm)m:試験片(フェイスマスク素材)単位面積当質量(g/m
C:曲げ長さ(cm)9.81:重力加速度
素材の不織布を60g/m、鼻梁高さとひさし部分寸法を同一として2.5cmとすると1mN・cm以上の剛軟度を有する事が必要となるが、単位面積当質量及び剛軟度により、ひさし部分を上唇部と略水平方向に2.5cmの長さに延伸できる強度(剛軟度)を有する不織布が素材として使用できる。
実際の使用では、フェイスマスクの被施術者の鼻梁ラインに対応する部分は、鼻梁ライン頂部から両方向の小鼻を覆う形となり、鼻梁を下部から見た場合に、鼻梁中心部を頂とする山型構造となって上唇部分に延伸するので、被施術者上唇部中心から両小鼻方向に水平となる扁平な状態で試験を行う形となる上記法の場合で、ひさし部分が延伸する場合と比し、同じ単位面積当質量、剛軟度の素材でもより強度を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記により、理美容関連施設においては、安価な使い捨てフェイスマスクを導入でき、布製フェイスマスクの洗濯等の作業が無くなり、被施術者顔面凹凸に合わせた装着により施術中のフェイスマスクのズレを防止できる。
又、被施術者の鼻腔内部が施術者の視線から遮られるので、被施術者は羞恥心が発生せず、理美容関連施設、特に男性施術者の場合、女性顧客開拓に利する。
被施術者は、フェイスマスクの装着時のむら、洗濯臭等による不快感が無くなり、更に鼻からの呼気によるフェイスマスクのずれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1はフェイスマスク正面図、図2は斜めから見た被施術者顔面上部へのフェイスマスク装着図、図3は横から見た同装着図であり、鼻梁ラインとひさし部分の関係をも表している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
仰向けに寝た、被施術者の顔面上部にフェイスマスクを被せる。(図1
ここで、切り欠き2Aにより一部のみ分離されたフェイスマスクの対応部分を、額や頬骨部等の顔面凹凸部に合わせて被せる事で、フェイスマスクを被施術者の顔面上部に隙間なく装着でき、フェイスマスクのずれを防ぎ、洗髪による濯ぎ水等の飛沫から被施術者顔面上部を保護できる効果を有する。
【0013】
更に、切り欠き2Bにより一部のみ分離されたフェイスマスクの対応部分3Aを、鼻梁ライン4に合わせて被せ、鼻梁ライン最下部5からひさし部分3Bを、鼻梁ライン最下部5と鼻梁基部6の間の鼻梁高さと、略同一寸法で、上唇部7と略水平方向の形状を保持する事で、被施術者の鼻腔からの呼気が直接フェイスマスクに当たる事によるフェイスマスクのずれを防ぎつつ、被施術者の鼻腔を施術者の目線から遮る事が出来、被施術者に羞恥心を与えない効果を有する。
【符号の説明】
【0014】
1 フェイスマスク
2 切り欠き
3 フェイスマスク鼻梁ライン対応部
4 鼻梁ライン
5 鼻梁ライン最下部
6 鼻梁基部
7 上唇部
図1
図2
図3