特許第6251974号(P6251974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251974
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20171218BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M10/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-83240(P2013-83240)
(22)【出願日】2013年4月11日
(65)【公開番号】特開2014-207104(P2014-207104A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116920
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 光
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和仁
【審査官】 赤樫 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−164253(JP,A)
【文献】 特開2012−221749(JP,A)
【文献】 特開2013−062228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04−10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極層と負極層のうち、積層方向に直交する面の面積が狭い一方の層を第1プレス圧でプレスする工程と、
正極層と負極層のうち、積層方向に直交する面の面積が広い他方の層を第2プレス圧でプレスする工程と、
前記他方の層の表面に電解質層を配置するとともに、前記一方の層と前記他方の層との間に前記電解質層が挟まれるように前記一方の層を配置する電解質配置工程と、
前記正極層、前記電解質層および前記負極層を、前記第2プレス圧より低く、かつ、300MPa以下である第3プレス圧でプレスする最終プレス工程と
を含み、
前記電解質配置工程の際、前記第3プレス圧より低く、かつ、200MPa以下の圧力で、前記他方の層の表面に前記電解質層を配置し、
前記電解質配置工程の際、転写により、前記他方の層の表面に前記電解質層を配置する、電池の製造方法。
【請求項2】
前記最終プレス工程の際、前記電解質層を加熱する、請求項1に記載の電池の製造方法。
【請求項3】
前記第3プレス圧が50MPa以上300MPa以下である、請求項1または2に記載の電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、正極層と負極層とで固体電解質層を挟んだ構造の全固体電池が知られている。全固体電池は、電極をプレス成形する際のプレス圧を高めるほど入出力性能の向上が図られることが知られている。また、界面抵抗を低減する目的で、固体電解質層をプレス成形し、その固体電解質層と正極層とをプレスした後、正極層が形成された面と反対側の面上に負極層を最終プレスする技術が、たとえば下記特許文献1(特開2009−252670号公報)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−252670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した電池の製造方法では、正極層と負極層とでその面積(積層方向に直交する面の面積)が異なる場合、電池の入出力性能を向上させるために最終プレスの際のプレス圧を高めると、面積が広い方の極にクラックが生じやすい。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、クラックの発生が抑制された電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電池の製造方法は、正極層と負極層のうち、積層方向に直交する面の面積が狭い一方の層を第1プレス圧でプレスする工程と、正極層と負極層のうち、積層方向に直交する面の面積が広い他方の層を第2プレス圧でプレスする工程と、他方の層の表面に電解質層を配置するとともに、一方の層と他方の層との間に電解質層が挟まれるように一方の層を配置する電解質配置工程と、正極層、電解質層および負極層を、第2プレス圧より低い第3プレス圧でプレスする最終プレス工程とを含む。
【0007】
上記電池の製造方法においては、正極層、電解質層および負極層をプレスする最終プレス工程の前に、正極層および負極層がそれぞれプレスされる。このときのプレス圧(第1プレス圧、第2プレス圧)は、クラック発生の虞がないため、ある程度高くすることができる。そして、最終プレス工程におけるプレス圧(第3プレス圧)を第2プレス圧よりも低くすることで、最終プレス工程においてクラックが発生する事態が抑制される。
【0008】
また、電解質配置工程の際、電解質層に対して負荷される圧力が、第3プレス圧より低く、200MPa以下である態様であってもよい。この場合、電解質配置工程の際に電解質層が完全につぶれることが抑制され、その結果、最終プレス工程における十分な密着性が担保される。
【0009】
また、最終プレス工程の際、電解質層を加熱する態様であってもよい。この場合、最終プレス工程における密着性の向上が図られる。
【0010】
また、電解質配置工程の際、転写により、一方の層の表面に電解質層を配置する態様であってもよい。この場合、電解質層に含まれる溶液が、一方の層の中に浸透する事態が抑制される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クラックの発生が抑制された電池の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る電池の製造方法を示したフロー図である。
図2図2は、本発明の第2実施形態に係る電池の製造方法を示したフロー図である。
図3図3は、本発明の実施例について示した表である。
図4図4は、本発明の実施例における出力性能の比較を示したグラフである。
図5図5は、本発明の実施例における入力性能の比較を示したグラフである。
図6図6は、従来技術に係る電池の製造方法を示したフロー図である。
図7図7は、従来技術に係る電池の製造方法において生じるクラックを示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0014】
まず、第1実施形態に係る電池の製造方法の説明に先立ち、従来技術に係る電池の製造方法について、図6のフロー図を参照しつつ説明する。
【0015】
従来技術に係る電池の製造方法においては、図6に示すように、正極製膜工程、負極製膜工程、固体電解質層製膜工程それぞれにおいて、正極、負極、固体電解質層が別々に製膜される。具体的には、正極、負極、固体電解質層となるべきペーストを、製膜用フィルム(たとえば、Al箔やCu箔)上に塗布して、所定の寸法に打ち抜く。
【0016】
そして、第1プレス工程において、製膜された負極と固体電解質層とを重ねた状態で平面プレスする。このとき、電池の入出力性能を高めるために、負極をある程度の高圧(たとえば、430MPa)でプレスする。さらに、固体電解質層を保持している製膜用フィルムを剥がす。
【0017】
次に、第2プレス工程として、プレス後の負極と固体電解質層との積層体に、正極と負極との間に固体電解質層が挟まれるように(すなわち、負極とは反対側に)正極を配置し、正極、固体電解質層、負極が重なった状態で平面プレスする。このとき、第1のプレス工程同様、ある程度の高圧(たとえば、430MPa)でプレスする。それにより、正極が、負極と固体電解質層との積層体に接着される。このような接着は、固体電解質の粒子のアンカー力によるものと考えられる。
【0018】
最後に、正極タブおよび負極タブを備えたラミネートセルに電極を封入することで、電池が完成する。
【0019】
以上のようにして作製される従来の電池においては、第2プレス工程において、図7に示すようなクラックが発生しやすかった。
【0020】
図7において、符号10、12、14はそれぞれ、負極、固体電解質層、正極を示し、負極の面積が正極の面積よりも広くなっている。このように、負極10の面積と正極14の面積とを異ならせることで、重ね合わせる際の位置ズレがある程度許容される。すなわち、負極10と正極14とを同じ面積寸法で形成した場合には、位置ズレなく重ね合わせる必要があるが、そのような位置合わせは非常に困難であり、時間や手間の観点から不利である。重ね合わせ時の位置ズレは、特に、重ね合わせる電極の数が多い場合(多層の場合)に大きくなる。そのため、重ね合わせ時の位置ズレがある程度許容されるように、正極もしくは負極のいずれかの面積を大きくしておくことが効果的である。
【0021】
ただし、図7に示すように、負極10の面積と正極14の面積とが異なる場合に、高い圧力でプレスすると、面積が広い方の負極10には、正極14と重なっている領域にのみ圧力が加わり、その他の領域(周縁領域)には圧力が加わらないことに起因し、クラック(ヒビや剥離等を含む)が発生する。これは、圧力が加わる部分(内側)の負極が変形し、圧力が加わらない部分(外側)の負極は変形しないため、固体電解質層の強度以上に変位すると、この境目の部分でクラックが発生するためであると考えられる。このようなクラックが発生すると、固体電解質層において電気的絶縁性を確保することが難しくなる。
【0022】
そこで、発明者らは、上記クラックの発生を抑制する技術について鋭意研究を重ね、本発明の電池の製造方法を見出すに至った。
(第1実施形態)
【0023】
以下、本発明の第1実施形態に係る電池の製造方法について、図1のフロー図を参照しつつ説明する。
【0024】
第1実施形態に係る電池の製造方法においては、図1に示すように、正極製膜工程および負極製膜工程それぞれにおいて、正極、負極を別々に製膜する。具体的には、正極、負極となるべきペーストを、製膜用フィルム上に塗布する。
【0025】
製膜された正極は、正極プレス工程においてプレスする。このとき、電池の入出力性能を高めるために、正極を高圧の第1プレス圧(たとえば、600MPa)でプレスする。その後、所定の寸法(たとえば1cm)に打ち抜く。
【0026】
製膜された負極も、負極プレス工程においてプレスする。このとき、電池の入出力性能を高めるために、負極を高圧の第2プレス圧(たとえば、600MPa)でプレスする。
【0027】
そして、負極プレス工程に続く固体電解質層形成工程において、プレスした負極上に、アプリケータを用いて固体電解質用のペーストを、塗工やスプレーなどにより粉末状に塗布して、20μm厚さの固体電解質層を形成する。この工程では、固体電解質層はプレスされない。その後、負極と固体電解質層との積層体を、1.33cmの寸法に打ち抜く。すなわち、正極に比べて負極のほうが、その面積(積層方向に直交する面の面積)が広くなるように設計されている。
【0028】
さらに、最終プレス工程として、負極と固体電解質層との積層体の上に正極を重ねて、固体電解質層が介在するように正極合材層と負極合材層とを対向させてプレスする接着工程をおこなう。このときのプレス圧は、第2プレス圧よりも低い第3のプレス圧(たとえば、50MPa)である。
【0029】
最後に、正極タブおよび負極タブを備えたラミネートセルに電極を封入することで、電池が完成する。
【0030】
以上で示した電池の製造方法では、最終プレス工程の前に、正極層も負極層も高い圧力(第1プレス圧、第2プレス圧)でプレスされて、この段階で電池の入出力性能を高められる。このときのプレス圧は、上述した従来技術におけるクラック発生の虞がないため、ある程度高くすることができる。
【0031】
その後の最終プレス工程では、そのプレス圧(第3プレス圧)は、電池の入出力性能のために高圧にする必要がない。したがって、第3プレス圧を第2プレス圧よりも低くして、最終プレス工程においてクラックが発生する事態を抑制することができる。
【0032】
なお、本実施形態において用いることができる正極、負極、固体電解質層の構成や製法は、以下のとおりである。
【0033】
(正極合材の作製)
正極を構成する正極合材は、たとえば、以下のようにして作製することができる。まず、PP製容器に、ヘプタン、BR系バインダーの5wt%のヘプタン溶液、正極活物質として平均粒径4μmのLiNiCoMnO、平均粒径0.8μmの硫化物固体電解質としてLiIを含むLi2−P系ガラスセラミック、導電助剤としてVGCFを容器に加え、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)で30秒間攪拌する。次に、容器を、振とう器(柴田科学社製 TTM−1)で3分間振とうさせ、さらに、超音波分散装置で30秒間攪拌する。そして、振とう器で3分間振とうした後、アプリケータを使用して、ブレード法により、カーボン塗工Al箔(昭和電工社製SDX)上に塗工する。塗工した電極は、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させる。
【0034】
(負極合材の作製)
負極を構成する負極合材は、たとえば、以下のようにして作製することができる。まず、PP製容器に、ヘプタン、BR系バインダーの5wt%のヘプタン溶液、負極活物質として平均粒径10μmの天然黒鉛系カーボン(三菱化学製)、平均粒径1.5μmの硫化物固体電解質としてLiIを含むLiS−P系ガラスセラミックを容器に加え、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)で30秒間攪拌する。次に、容器を、振とう器(柴田科学社製 TTM−1)で30分間振とうさせる。振とう器で30分間振とうした後、アプリケータを使用して、ブレード法にてCu箔上に塗工する。塗工した電極は、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させる。
【0035】
(固体電解質層の作製)
固体電解質層用のペーストは、たとえば、以下のようにして作製することができる。PP製容器に、ヘプタン、BR系バインダーの5wt%のヘプタン溶液、平均粒径2.5μmの硫化物固体電解質としてLiIを含むLiS−P系ガラスセラミックを加え、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)で30秒間攪拌する。次に、容器を、振とう器(柴田科学社製 TTM−1)で30分間振とうさせる。その後、アプリケータを用いて、ブレード法にて負極上に塗工する。塗工した負極は、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させる。
【0036】
(正極合材)
正極合材は、正極活物質、固体電解質、バインダー、導電助剤(場合によっては増粘剤)の混合体である。正極活物質にはコーティングが実施される。正極活物質は、リチウム二次電池の電極活物質材料として用いられる材料であれば限定されない。たとえば、コバルト酸リチウム(LiCoO)の他、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li1+xMn2−x−yO(Mが、Al、Mg、Co、Fe、Ni、Znから選ばれる一種以上)で表される組成の異種元素置換Li−Mnスピネル、チタン酸リチウム(LiTiO)、リン酸金属リチウム(LiMPO、MがFe、Mn、Co、Ni)などを採用することができる。
【0037】
(活物質コーティング)
活物質コーティングは、リチウムイオン導電性能を有し、かつ、活物質や固体電解質と接触しても流動しない被覆層の形態を維持し得る物質を含有していればよい。被覆層を構成する固体電解質の具体例としては、LiNbOの他、LiTi12、LiPOなどがある。
【0038】
(負極活物質)
負極活物質は、グラファイトの他、ハードカーボンなどの炭素材料(C)、SiおよびSi合金などを用いることができる。
(固体電解質)
固体電解質は、リチウム二次電池の固体電解質材料として用いられる材料であれば限定されない。たとえば、LiO−B−P、LiO−SiOなどの酸化物系非晶質固体電解質、LiS−SiS、SiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−Pなどの硫化物系非晶質固体電解質、あるいは、LiI、LiN、LiLaTa12、LiLaZr12、Li、BaLaTa12、LiPO(4−3/2w)w(w<1)、Li3.6Si0.6などの結晶質酸化物・酸窒化物などがある。
【0039】
(バインダー)
バインダーは、ブチレンゴム(BR)、PVdF、SBRなどを用いることができる。
【0040】
(導電助剤)
導電助剤は、VGCF、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)などを用いることができる。
【0041】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る電池の製造方法について、図2のフロー図を参照しつつ説明する。
【0042】
第2実施形態に係る電池の製造方法は、固体電解質層が別途に製膜される点において上述した第1実施形態に係る電池の製造方法と異なり、その他の点は第1実施形態に係る電池の製造方法と同一または同様である。すなわち、第1実施形態同様、正極に比べて負極のほうが面積(積層方向に直交する面の面積)が広くなるように設計されている。また、第1実施形態に係る電池の製造方法同様、製膜された負極および正極は、接着工程(最終プレス工程)の前に、ある程度の高圧(たとえば、600MPa)でプレスされる。
【0043】
固体電解質層製膜工程では、固体電解質用のペーストを、アプリケータを用いて、製膜用フィルム(たとえば、Al箔)上に塗布して、固体電解質層を製膜する。さらに、固体電解質層を乾燥させて、固体電解質層内に含まれる溶液を除去する。
【0044】
続いて、固体電解質層を、第1実施形態と同様にしてプレスされた負極に転写する。このときの圧力(転写圧)は50MPaである。
【0045】
その後、最終プレス工程として、第1の実施形態と同様の積層配置で(すなわち、固体電解質層が介在するように正極合材層と負極合材層とを対向させて)プレスする接着工程をおこなう。このときのプレス圧は200MPaである。この最終プレスは加熱下(たとえば、150℃)でおこなう。
【0046】
以上で示した第2実施形態においても、最終プレス工程の前に、正極層も負極層も高い圧力でプレスされるため、上述した第1実施形態と同様の効果(すなわち、クラック発生の抑制)を奏する。
【0047】
加えて、第2実施形態においては、固体電解質層を負極に転写する際に、固体電解質層の溶液が除去されているため、溶液が負極に浸透する事態が防止されている。溶液の電極への浸透は電池性能の低下を招くため、溶液の浸透が防止された本実施形態においては、電池性能の向上が図られている。
【0048】
また、最終プレス工程において、加熱下においてプレス(加熱プレス)することで、密着性の向上が図られている。
【0049】
なお、第2実施形態における転写圧は、50MPaに限らず、200MPa以下の範囲において適宜増減してもよい。転写圧が200MPaを超えた場合(たとえば、300MPa)には、固体電解質の粒子がほとんど潰れきってしまいその充填率が9割程度に達するため、最終プレス工程では、高い圧力(たとえば500MPa)で高温下(たとえば200℃)でないと接着されない。この程度の高圧になると、負極にクラックが生じる可能性が高まるため、固体電解質のある程度の潰れ代が確保される200MPa以下の転写圧であることが好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明の実施例について、図3の表を参照しつつ説明する。
【0051】
図3の表に示すように、上述した実施形態のように正極と負極とを別々にプレスした実施例1−6と、上述した従来技術のように負極上で正極をプレスした比較例1、2とにより、それぞれの入出力性能を評価した。
【0052】
出力の測定は、各実施例により作製した電池を、1/3C−CCCV充放電した後、SOC20%にまでSOC調整をおこない、SOC20%から2.5Vカットの低ワット放電をおこない、5秒間放電可能な出力を測定した。
【0053】
入力の測定は、出力測定後に、SOC0%から25℃の1.5Cのレートで充電し、このときの充電可能容量を測定した。なお、充電の終了条件は、電池上限電圧に到達するか、5mV電圧降下のいずれか早い方とした。
【0054】
入出力性能の評価結果は、図3の表の結果欄、図4のグラフ(出力性能の比較)および図5のグラフ(入力性能の比較)に示すとおりであった。なお、評価結果の数値(パーセンテージ)は、比較例1の入出力性能に対する比を示している。
【0055】
これらの評価結果から明らかなように、正極と負極とを別々にプレスした実施例1−6のいずれも、負極上で正極をプレスした比較例1の入出力性能よりも高かった。
【0056】
また、第1実施形態に示したように固体電解質層を負極上で塗工形成した実施例1に比べて、第2実施形態に示したように固体電解質層を負極に転写した実施例2−6のほうが、入出力性能が高くなる傾向があった。これは、実施例2−6では、固体電解質層の溶液の負極への浸透が抑制されたためであると考えられる。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。たとえば、上述した実施形態では負極の面積が正極の面積よりも広い態様を示したが、反対に、負極の面積が正極の面積よりも狭い態様であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…負極、12…固体電解質層、14…正極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7