特許第6252015号(P6252015)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6252015-半導体装置 図000002
  • 特許6252015-半導体装置 図000003
  • 特許6252015-半導体装置 図000004
  • 特許6252015-半導体装置 図000005
  • 特許6252015-半導体装置 図000006
  • 特許6252015-半導体装置 図000007
  • 特許6252015-半導体装置 図000008
  • 特許6252015-半導体装置 図000009
  • 特許6252015-半導体装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252015
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20171218BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H01L29/80 L
   H01L29/80 H
   H01L21/88 Z
   H01L27/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-157883(P2013-157883)
(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公開番号】特開2015-29010(P2015-29010A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146776
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 昭則
(72)【発明者】
【氏名】増田 哲
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−168094(JP,A)
【文献】 特開昭63−172475(JP,A)
【文献】 特開平08−172104(JP,A)
【文献】 実開昭56−139262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 21/337−338
H01L 21/768
H01L 21/822
H01L 23/522
H01L 27/095−098
H01L 29/778
H01L 29/80−812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のゲートフィンガーと、
前記ゲートフィンガーの前記一方の端と接続されるゲート配線部と、
前記ゲート配線部の中心部分と接続されているゲート電圧が供給されるゲート端子部と、
一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のソースフィンガーと、
前記ソースフィンガーの前記一方の端と接続されるソース配線部と、
一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のドレインフィンガーと、
前記ドレインフィンガーの前記一方の端と接続されるドレイン配線部と、
を有し、
前記ゲートフィンガーは、前記ソースフィンガーと前記ドレインフィンガーとの間に形成されており、
前記ソースフィンガーにおける前記一方の端から前記他方の端に向かう方向と、前記ドレインフィンガーにおける前記一方の端から前記他方の端に向かう方向は、反対方向であって、
前記ゲート配線部は、前記ゲート端子部の近傍の配線幅傾斜領域と、一定の配線幅の細幅配線領域と、により形成されており、
前記配線幅傾斜領域は、前記ゲートフィンガーの前記一方の端から前記他方の端を結ぶ方向における幅が、前記ゲート端子部の近傍において最も広く、前記ゲート端子部から離れるに伴い徐々に幅が狭くなっており、
前記ゲート配線部においては、前記細幅配線領域の配線幅が最も狭く、
前記細幅配線領域と、前記ソース配線部と接続されるソース接続配線部とは、上面視で重なっており、
前記ソース配線部は、前記ゲート配線部と前記ドレイン配線部との間に設けられており、
前記ソース接続配線部に接続されたソース電圧が供給されるソース端子部が設けられており、
前記ソース端子部は、前記ソース配線部よりも前記ゲート端子部側に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ゲートフィンガーにおける前記一方の端から前記他方の端に向かう方向と、前記ドレインフィンガーにおける前記一方の端から前記他方の端に向かう方向は、反対方向であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記細幅配線領域と前記ソース接続配線部との間には、絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲートフィンガーの上には、絶縁膜が形成されており、
前記絶縁膜を介した前記ゲートフィンガーの上方には、前記ソース配線部が形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲートフィンガーの上方には、前記ソース配線部が形成されており、
前記ゲートフィンガーと前記ソース配線部とは、空間的に離れていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のブロードバンドの進展により、大容量の高速無線通信の要求が高まっている。大容量化に向けて、携帯電話の基地局用増幅器は第3世代が普及し、今後さらに第4世代へと進展していくものと思われる。また、LTE(Long Term Evolution)等の新通信方式も実用化され、今後更に大容量化が進むものと思われる。そのため、より一層の高出力、高効率、小型化、低コスト化が求められている。一方、レーダー用送受信モジュールには、検知距離の拡大や分解能向上等の高性能化に向けた高出力化、広帯域化が求められており、さらに運用コストの削減や冷却器の小型化に向けた高効率化が求められている。このような用途に用いられる半導体装置としては、櫛形ゲート構造のトランジスタがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−6476号公報
【特許文献2】特開昭61−172376号公報
【特許文献3】特開平8−172104号公報
【特許文献4】特開2003−318319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、櫛形ゲート構造とは、櫛形ゲート構造の歯に相当する部分に、複数のゲート電極となるゲートフィンガーが設けられており、各々のゲートフィンガーはゲート配線部と接続されている構造のものである。また、ゲート配線部の中央部分においてゲート端子部と接続されており、ゲート端子部よりゲート電圧が印加される。このような櫛形ゲート構造においては、ゲート配線部の中央部分において接続されているゲートフィンガーとゲート配線部の端部において接続されているゲートフィンガーとの間における配線長が異なるため位相差が大きく、高周波における特性が低下してしまう。
【0005】
よって、櫛形ゲート構造のトランジスタにおいて、高周波における特性が良好なトランジスタが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一観点によれば、一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のゲートフィンガーと、前記ゲートフィンガーの前記一方の端と接続されるゲート配線部と、前記ゲート配線部の中心部分と接続されているゲート電圧が供給されるゲート端子部と、一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のソースフィンガーと、前記ソースフィンガーの前記一方の端と接続されるソース配線部と、一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のドレインフィンガーと、前記ドレインフィンガーの前記一方の端と接続されるドレイン配線部と、を有し、前記ゲートフィンガーは、前記ソースフィンガーと前記ドレインフィンガーとの間に形成されており、前記ソースフィンガーにおける前記一方の端から前記他方の端に向かう方向と、前記ドレインフィンガーにおける前記一方の端から前記他方の端に向かう方向は、反対方向であって、前記ゲート配線部は、前記ゲート端子部の近傍の配線幅傾斜領域と、一定の配線幅の細幅配線領域と、により形成されており、前記配線幅傾斜領域は、前記ゲートフィンガーの前記一方の端から前記他方の端を結ぶ方向における幅が、前記ゲート端子部の近傍において最も広く、前記ゲート端子部から離れるに伴い徐々に幅が狭くなっており、前記ゲート配線部においては、前記細幅配線領域の配線幅が最も狭く、前記細幅配線領域と、前記ソース配線部と接続されるソース接続配線部とは、上面視で重なっており、前記ソース配線部は、前記ゲート配線部と前記ドレイン配線部との間に設けられており、前記ソース接続配線部に接続されたソース電圧が供給されるソース端子部が設けられており、前記ソース端子部は、前記ソース配線部よりも前記ゲート端子部側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
開示の半導体装置によれば、櫛形ゲート構造のトランジスタにおいて、高周波における特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】櫛形ゲート構造の半導体装置の構造図
図2】第1の実施の形態における半導体装置の構造図
図3】第1の実施の形態における半導体装置の断面図
図4】半導体装置における周波数と最大利得との相関図
図5図1に示す構造の半導体装置の電気特性図
図6】第1の実施の形態における半導体装置の電気特性図
図7】複数のトランジスタが設けられた第1の実施の形態における半導体装置の構造図
図8】第2の実施の形態における半導体装置の構造図
図9】第2の実施の形態における半導体装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
〔第1の実施の形態〕
最初に、櫛形ゲート構造のトランジスタについて説明する。図1に示されるように、櫛形ゲート構造のトランジスタは、一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のゲート電極となるゲートフィンガー911等が複数設けられている。各々のゲートフィンガー911の一方の端はゲート配線部912に接続されており、ゲート配線部912は、ゲート配線部912の中央部分においてゲート端子部913と接続されており、ゲート端子部913よりゲート電圧が印加される。
【0011】
このような櫛形ゲート構造のトランジスタでは、通常、ソース電極及びドレイン電極も櫛形に形成されている。具体的には、ソースフィンガーとなる複数のソース電極921は、一方の端から他方の端に向かって細長く形成されており、複数のソース電極921の一方の端は、ソース端子部922に接続されている。ソース端子部922は、ビアホール923を介して接地されている。同様に、ドレインフィンガーとなる複数のドレイン電極931は、一方の端から他方の端に向かって細長く形成されており、複数のドレイン電極931の一方の端は、ドレイン配線部932と接続されている。また、ドレイン配線部932は、ドレイン配線部932の中央部分においてドレイン端子部933と接続されており、ドレイン端子部933を介しドレイン電圧が印加される。
【0012】
櫛形ゲート構造のトランジスタにおいては、ゲートフィンガー911、ソース電極921及びドレイン電極931は、相互に延びる方向が平行、即ち、長手方向となる方向が平行となるように形成されている。また、ソース電極921とドレイン電極931との間には、1つのゲートフィンガー911が形成されている。
【0013】
ここで、高電圧に対応した半導体装置である場合、ドレイン電極931に至るまでの配線の上にソース電極921に至るまでの配線が形成されていると、配線間に形成される層間絶縁膜の厚さが十分でない場合には、相互に影響を受けロスが生じるため好ましくない。このため、高電圧に対応した半導体装置においては、図1に示すように、ソース電極921及びドレイン電極931を中心に、ソース端子部922とドレイン配線部932との位置が、反対となるように形成されている構造が好ましい。
【0014】
即ち、ソース電極921における一方の端から他方の端に向かう方向と、ドレイン電極931における一方の端から他方の端に向かう方向とは、反対方向となるように形成されている構造が好ましい。
【0015】
このように、ソース端子部922とドレイン配線部932との位置が、反対となるように形成することにより、ドレイン電極931に至るまでの配線の上に、ソース電極921に至るまでの配線が形成されていないため、ロスが生じることを防ぐことができる。尚、上述した問題は、層間絶縁膜の厚さを厚くすることによっても解決することができるが、この場合、層間絶縁膜を形成するための時間を要し、コストアップにつながる。また、層間絶縁膜が厚いと形成される配線において断線等が生じやすくなるといった問題があるため、好ましくない。
【0016】
また、図1に示す構造のトランジスタにおいては、ゲートフィンガー911αとゲートフィンガー911βとでは、ゲート配線部912に接続されている位置が異なるため、ゲート端子部913からの配線長が異なる。このため、ゲートフィンガー911αとゲートフィンガー911βとの間で位相差が生じてしまい、高周波における特性が低下してしまう。
【0017】
(半導体装置)
次に、本実施の形態における半導体装置であるトランジスタについて、図2及び図3に基づき説明する。本実施における半導体装置10は、櫛形ゲート構造のトランジスタである。尚、図3(a)は、図2における一点鎖線2A−2Bにおいて切断した断面図であり、図3(b)は、図2における一点鎖線2C−2Dにおいて切断した断面図であり、図3(c)は、図2における一点鎖線2E−2Fにおいて切断した断面図である。
【0018】
具体的には、本実施の形態におけるトランジスタは、半導体基板100の上に、複数のゲート電極となるゲートフィンガー111、複数のソースフィンガーとなるソース電極121、複数のドレインフィンガーとなるドレイン電極131が形成されている。尚、半導体基板100の上に、窒化物半導体により電子走行層101及び電子供給層102等が形成されており、これにより半導体回路が形成されている。ゲートフィンガー111、ソース電極121、ドレイン電極131は、このように形成された電子供給層102の上に形成されている。本実施の形態においては、半導体基板100には、SiC基板、GaN基板等が用いられており、電子走行層101はGaN等により形成されており、電子供給層102はAlGaN等により形成されている。
【0019】
また、半導体基板100、ゲートフィンガー111、ソース電極121、ドレイン電極131の上には、窒化シリコンまたはポリイミド等の樹脂材料により層間絶縁膜となる絶縁膜140が形成されている。
【0020】
図2に示されるように、複数のゲート電極となる各々のゲートフィンガー111は、一方の端111aから他方の端111bに向かって細長く形成されており、ゲートフィンガー111の一方の端111aは、ゲート配線部112に接続されている。ゲート配線部112は、ゲート配線部112の中央部分においてゲート端子部113と接続されており、ゲート端子部113よりゲート電圧が印加される。
【0021】
また、複数のソース電極121は、一方の端121aから他方の端121bに向かって細長く形成されており、ソース電極121の一方の端121aは、ソース配線部122と接続されている。ソース配線部122は、ソース配線部122の端部の近傍においてソース接続配線部123を介し、ソース端子部124と接続されており、ソース端子部124は、ビアホール125を介して接地されている。同様に、複数のドレイン電極131は、一方の端131aから他方の端131bに向かって細長く形成されており、ドレイン電極131の一方の端131aは、ドレイン配線部132と接続されている。ドレイン配線部132の中央部分においてドレイン端子部133と接続されており、ドレイン端子部133を介しドレイン電圧が印加される。
【0022】
本実施の形態においては、ゲートフィンガー111、ソース電極121及びドレイン電極131は、延びる方向が平行、即ち、長手方向となる方向が平行となるように形成されている。また、ソース電極121とドレイン電極131との間には、1つのゲートフィンガー111が形成されている。
【0023】
本実施の形態においては、図2に示すように、ソース電極121及びドレイン電極131を中心に、ソース配線部122とドレイン配線部132との位置が、反対となるように形成されている。即ち、ソース電極121において一方の端121aから他方の端121bに向かう方向と、ドレイン電極131において一方の端131aから他方の端131bに向かう方向とは、反対方向となるように形成されている。また、ゲートフィンガー111及びドレイン電極131を中心に、ゲート配線部112とドレイン配線部132との位置が、反対となるように形成されている。即ち、ゲートフィンガー111において一方の端111aから他方の端111bに向かう方向と、ドレイン電極131において一方の端131aから他方の端131bに向かう方向とは、反対方向となるように形成されている。尚、本実施の形態においては、ゲートフィンガー111は、幅が約0.25μm、長さが約100μmであり、ソース電極121は、幅が約20μm、長さが約70μmであり、ドレイン電極131は、幅が約20μm、長さが約100μmである。
【0024】
本実施の形態においては、図3(b)に示されるように、ソース配線部122は、ゲートフィンガー111及びドレイン電極131の上を横切るように、絶縁膜140の上に形成されている。図3(c)に示されるように、ソース配線部122とソース端子部124とを接続するソース接続配線部123の一部は、ゲート配線部112における細幅配線領域112bの上を横切るように、絶縁膜140の上に形成されている。
【0025】
本実施の形態においては、ゲート配線部112は、配線幅傾斜領域112aと、一定の配線幅で形成されている細幅配線領域112bとを有している。具体的には、ゲート配線部112は、ゲート端子部113の近傍に配線幅傾斜領域112aが形成されており、ゲート端子部113から離れた領域に一定の配線幅領域112bが形成されている。配線幅傾斜領域112aは、ゲート端子部113の近傍において最も幅が広く形成されており、ゲート端子部113から離れるに伴い徐々に幅が狭くなるように形成されている。一定の配線幅領域112bは、配線幅傾斜領域112aの最も幅が狭くなった部分と接続されている。このように、ゲート配線部112に、配線幅傾斜領域112aを形成することにより、配線幅傾斜領域112aにおける抵抗を低くすることができるため、高周波における特性を向上させることができる。
【0026】
(半導体装置の特性)
次に、本実施の形態における半導体装置と図1に示す構造の半導体装置とにおいて測定した特性について説明する。図4は、半導体装置における最大利得の周波数依存性を示すものであり、特性4Aは本実施の形態における半導体装置の最大利得の周波数特性を示し、特性4Bは図1に示す構造の半導体装置の最大利得の周波数特性を示す。特性4Bに示されるように、図1に示す構造の半導体装置においては、最大利得が0dBとなる周波数は、31.4GHzであった。これに対し、特性4Aに示されるように、本実施の形態における半導体装置においては、最大利得が0dBとなる周波数は、41.4GHzであった。このように、本実施の形態における半導体装置においては、図1に示す構造の半導体装置よりも、最大利得が0dBとなる周波数を約1.3倍向上させることができる。
【0027】
次に、図1に示す構造の半導体装置において、出力電力、利得、PAE(電力効率)、ドレイン効率を測定した結果を図5に示し、本実施の形態における半導体装置において、出力電力、利得、PAE、ドレイン効率を測定した結果を図6に示す。
【0028】
図1に示す構造の半導体装置では、図5において入力電力が最大となる26.5dBmにおいては、出力電力は、36dBmであり、PAEは48.5%であった。これに対し
、本実施の形態における半導体装置では、図6において入力電力が最大となる25.5dBmにおいては、出力電力は、36.5dBmであり、PAEは50.5%であった。よって、本実施の形態における半導体装置は、図1に示す構造の半導体装置に対して、出力電力を0.5dBm(約10%)向上させることができ、また、PAEを2%向上させることができる。
【0029】
以上のように、本実施の形態における半導体装置は、図1に示す構造の半導体装置に比べて、高周波化、高出力化、高効率化することができる。
【0030】
本実施の形態は、図2に示される構造の半導体装置10を複数接続した構造のものであってもよい。例えば、図7に示されるように、図2に示される構造の半導体装置10を2以上形成し、各々の半導体装置10におけるゲート配線部112同士を接続し、ソース配線部122同士を接続した構造のものであってもよい。これにより、出力をさらに増大させることができる。
【0031】
また、本実施の形態における半導体装置は、高出力モノシリック集積回路(MMIC)に用いることも可能である。具体的には、半導体基板上に、本実施の形態における半導体装置とコンデンサ、抵抗等の電子素子(受動素子等)を形成し、これらを配線により接続することにより、高出力モノシリック集積回路を形成することができる。このように形成された高出力モノシリック集積回路は、従来のものと比べて、高出力化、高効率化したものとなる。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、層間絶縁膜となる絶縁膜140を形成することなく、配線の一部をエアブリッジ構造にしたものである。このような構造の半導体装置であっても、第1の実施の形態における半導体装置と同様の効果を得ることができる。
【0033】
本実施の形態における半導体装置であるトランジスタについて、図8及び図9に基づき説明する。尚、図9(a)は、図8における一点鎖線8A−8Bにおいて切断した断面図であり、図9(b)は、図8における一点鎖線8C−8Dにおいて切断した断面図であり、図9(c)は、図8における一点鎖線8E−8Fにおいて切断した断面図である。
【0034】
本実施の形態においては、図9(a)に示されるように、半導体基板100の上に、複数のゲート電極となるゲートフィンガー111、ソース電極121、ドレイン電極131が形成されている。図9(b)に示されるように、ソース配線部122は、ゲートフィンガー111及びドレイン電極131の上を横切るように、ゲートフィンガー111及びドレイン電極131の上方にエアブリッジ構造により形成されている。図9(c)に示されるように、ソース配線部122とソース端子部124とを接続するソース接続配線部123の一部は、ゲート配線部112における細幅配線領域112bの上を横切るように、ゲート配線部112の上方にエアブリッジ構造により形成されている。
【0035】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0036】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0037】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のゲートフィンガーと、
前記ゲートフィンガーの一方の端と接続されるゲート配線部と、
前記ゲート配線部の中心部分と接続されているゲート電圧が供給されるゲート端子部と、
一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のソースフィンガーと、
前記ソースフィンガーの一方の端と接続されるソース配線部と、
一方の端から他方の端に向かって細長く形成された複数のドレインフィンガーと、
前記ドレインフィンガーの一方の端と接続されるドレイン配線部と、
を有し、
前記ゲートフィンガーは、前記ソースフィンガーと前記ドレインフィンガーとの間に形成されており、
前記ソースフィンガーにおける一方の端から他方の端に向かう方向と、前記ドレインフィンガーにおける一方の端から他方の端に向かう方向は、反対方向であって、
前記ゲート配線部は、前記ゲート端子部近傍における幅が最も広く、前記ゲート端子部から離れるに伴い徐々に幅が狭くなる配線幅傾斜領域を有していることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記ゲートフィンガーにおける一方の端から他方の端に向かう方向と、前記ドレインフィンガーにおける一方の端から他方の端に向かう方向は、反対方向であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記ゲートフィンガーの上には、絶縁膜が形成されており、
前記絶縁膜を介した前記ゲートフィンガーの上方には、前記ソース配線部が形成されていることを特徴とする付記1または2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記ゲートフィンガーの上方には、前記ソース配線部が形成されており、
前記ゲートフィンガーと前記ソース配線部とは、空間的に離れていることを特徴とする付記1または2に記載の半導体装置。
(付記5)
前記ゲート配線部は、細幅配線領域を有しており、
前記細幅配線領域は、前記配線幅傾斜領域における前記ゲート端子部から最も離れた部分において接続されており、
前記ゲート配線部における前記細幅配線領域の上には、前記絶縁膜が形成されており、
前記絶縁膜を介した前記細幅配線領域の上方には、接地されているソース端子部と前記ソース配線部とを接続するソース接続配線部が形成されていることを特徴とする付記3に記載の半導体装置。
(付記6)
前記ゲート配線部は、細幅配線領域を有しており、
前記細幅配線領域は、前記配線幅傾斜領域における前記ゲート端子部から最も離れた部分において接続されており、
前記ゲート配線部における前記細幅配線領域の上方には、接地されているソース端子部と前記ソース配線部とを接続するソース接続配線部が形成されており、
前記ソース接続配線部と前記ゲート配線部における前記細幅配線領域とは、空間的に離れていることを特徴とする付記4に記載の半導体装置。
(付記7)
前記ゲートフィンガー、前記ゲート配線部、前記ゲート端子部、前記ソースフィンガー、前記ソース配線部、前記ドレインフィンガー及び前記ドレイン配線部は、基板の上に形成された半導体層の上に形成されるものであって、
前記半導体層は、窒化物半導体を含む材料により形成されていることを特徴とする付記1から6のいずれかに記載の半導体装置。
(付記8)
前記基板の上には、電子素子が形成されていることを特徴とする付記1から7のいずれかに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0038】
10 半導体装置
100 半導体基板
101 電子走行層
102 電子供給層
111 ゲートフィンガー(ゲート電極)
112 ゲート配線部
112a 配線幅傾斜領域
112b 細幅配線領域
113 ゲート端子部
121 ソース電極(ソースフィンガー)
122 ソース配線部
123 ソース接続配線部
124 ソース端子部
125 ビアホール
131 ドレイン電極(ドレインフィンガー)
132 ドレイン配線部
133 ドレイン端子部
140 絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9