(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、回転軸と平行な方向を「回転軸方向」、回転軸に直交する方向を「径方向」、回転軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、回転軸方向の一方側であるインペラの加圧面側を正面側、回転軸方向の他方側であるインペラの負圧面側を背面側として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、この正面側および背面側の定義により、本発明に係る送風装置の使用時の向きを限定する意図はない。
【0010】
<1.第1実施形態>
<1−1.扇風機の全体構造>
図1は、本発明の送風機の第1実施形態に係る扇風機1の側面図である。
図2は、扇風機1のインペラ3の斜視図である。
図3は、インペラ3の正面図である。
図4は、インペラ3の背面図である。
図1〜
図4の各図には、回転方向が矢印で示されている。
【0011】
この扇風機1は、モータ2の動力によりインペラ3を回転させて、インペラ3の正面側に風を送る装置である。扇風機1は、例えば、ユーザに直接風を当て、ユーザが涼をとるために用いられる。また、扇風機1は、エアコンディショナー等と共に用いられるサーキュレータとして、用いられてもよい。
図1に示すように、本実施形態の扇風機1は、モータ2と、軸流式のインペラ3と、を有する。
【0012】
モータ2は、インペラ3に対して、回転のための動力を供給する機構である。本実施形態では、モータ2にブラシレスDCモータが用いられる。ブラシレスDCモータは、ブラシの摩耗による性能の劣化が無いため、ブラシ付きモータより長寿命である。また、ブラシレスDCモータは、ACモータより変速させやすく、かつ、消費電力を低減しやすい。
【0013】
モータ2は、静止部21と、回転軸9を中心として回転する回転部22とを有する。静止部21は、モータの電機子とロータ等の回転部22の一部とを収容するモータケーシング211を有する。
【0014】
回転部22は、電機子との間でトルクを発生させるロータと、回転軸9に沿って延びるシャフト221とを有する。シャフト221は、モータケーシング211の内部において、ロータに固定されている。シャフト221の正面側の端部は、モータケーシング211より正面側へ突出し、インペラ3の後述する中央部30に固定されている。このため、モータ2の駆動時には、インペラ3は、モータ2の回転部22と共に、回転軸9を中心として回転する。なお、本実施形態では、シャフト221の正面側の端部がインペラ3に固定されているが、シャフト221の正面側の端部以外の部分が、インペラ3に固定されていてもよい。すなわち、シャフト221の一部と、インペラ3とが固定されていればよい。
【0015】
インペラ3は、モータ2の静止部21に対して回転可能に支持される。インペラ3は、
図1〜
図4中、実線矢印で示す回転方向に回転することにより、背面側から正面側へ向かう気流を生じさせる。
図1および
図2に示すように、インペラ3は、中央部30、複数の羽根40、および複数の補助翼50,60を有する。本実施形態のインペラ3は、樹脂製であり、射出成型にて成型される。このため、中央部30、複数の羽根40、および複数の補助翼50,60は、単一の部材として形成される。なお、インペラ3は金属等の他の材料により形成されてもよい。また、インペラ3は、複数の部品を組み合わせて形成されてもよい。
【0016】
中央部30は、
図2および
図4に示すように、回転軸9を中心とした円板状の円板部301と、円板部301の端縁から回転軸方向背面側へ延びる壁部302とを有する。すなわち、中央部30は、有蓋円筒形状である。また、
図4に示すように、中央部30は、筒状部303と、リブ304とをさらに有する。筒状部303は、円板部301から背面側へ突出する。当該形状により、中央部30は、背面側の略中央に、筒状部303の内部空間であるシャフト穴31を有する。シャフト穴31にはモータ2のシャフト221が挿入され、固定される。このため、モータ2が駆動すると、シャフト221とともに、回転軸9を中心としてインペラ3が回転する。壁部302と筒状部303とは、放射状に延びる複数のリブ304により接続される。これにより、筒状部303が回転軸9に対して歪むことが抑制される。すなわち、インペラ3がシャフト221に対して歪むことが抑制される。
【0017】
なお、本実施形態では、中央部30は、略円筒形状であったが、本発明はこれに限られない。中央部30は、正面側から見て、五角形や六角形などの多角形であってもよい。また、本実施形態では、シャフト221の正面側の端部が中央部30の内部に配置されるが、シャフト221と中央部30とが固定されていれば、シャフト221の正面側の端部が中央部30より正面側に突出してもよい。また、中央部30は、正面側へ突出する略円錐形状や略半球形状であってもよい。
【0018】
図3および
図4に示すように、複数の羽根40は、それぞれ、中央部30の側面から径方向外側に延びる。複数の羽根40は、周方向に略等間隔に配列される。ただし、複数の羽根40の周方向の間隔は、必ずしも一定でなくてもよい。
図2および
図3に示すように、各羽根40の加圧面41側には、補助翼50が配置されている。また、
図2および
図4に示すように、各羽根40の負圧面42側には、補助翼60が配置されている。補助翼50,60の詳細な構成および作用については、後述する。
【0019】
図1および
図2に示すように、各羽根40は、前縁401から後縁402に向かうにつれ、背面側から正面側へと傾いている。ここで、前縁401は、羽根40の回転方向前方側の端縁部であり、後縁402は、羽根40の回転方向後方側の端縁部である。当該形状により、インペラ3が回転すると、羽根40の正面側の翼面である加圧面41の付近の気圧が高くなり、羽根40の背面側の翼面である負圧面42の付近の気圧が低くなる。これにより、羽根40の周辺において、背面側から正面側へ向かう気流が発生する。
【0020】
<1−2.補助翼について>
次に、補助翼50,60の詳細な構成および作用について、説明する。
図5は、インペラ3の補助翼50付近における部分正面図である。
図6は、最前端51および最後端52を通る、加圧面41に沿って切断された断面における補助翼50の断面図である。
図7は、インペラ3の部分側面図である。以下では、
図1〜
図4とともに、
図5〜
図7も適宜に参照する。
【0021】
図3に示すように、補助翼50は、羽根40の加圧面41から正面側へ向けて突出する。また、補助翼50は、径方向の位置を変えつつ、周方向に延びる。回転軸方向からの平面視において、補助翼50の最も回転方向前方に位置する最前端51から回転軸9までの径方向の距離D1は、補助翼50の最も回転方向後方に位置する最後端52から回転軸9までの径方向の距離D2よりも大きい。
【0022】
このように、最前端51から回転軸9までの距離D1が、最後端52から回転軸9までの距離D2よりも大きいことにより、補助翼50は、羽根40の加圧面41側で発生した回転軸方向の風を、径方向内側にガイドする。
図5に示すように、羽根40が回転すると、破線矢印で表す相対気流W1が、回転方向前方から、補助翼50の最前端51側に入射する。すると、相対気流W1の一部と、羽根40により発生した回転軸方向の風とが混合した気流W2は、一点鎖線矢印で表すように、補助翼50によって径方向内側へとガイドされる。これにより、羽根40により発生した風を径方向内側へ集中させて、その直進性を高めることができる。すなわち、距離D1と距離D2とを調節することにより、羽根40により発生した風の直進性の程度を調節できる。
【0023】
図6に示すように、補助翼50の翼弦線501に垂直な厚みである翼厚502は、回転方向前方から回転方向後方に向かって大きくなり、その後小さくなる。ここで、翼弦線501は、補助翼50の最前端51と最後端52とを繋いだ直線である。補助翼50の翼厚502が最大となる翼厚最大部53と最前端51との距離531は、翼厚最大部53と最後端52との距離532より小さい。また、補助翼50の中心線503は、最前端51付近および最後端52付近を除いて、翼弦線501よりも径方向外側に位置する。なお、中心線503は、補助翼50の径方向外側の縁および径方向内側の縁の、翼弦線501に垂直な直線との交点の中点を順々に結んで得られる曲線である。
【0024】
本実施形態の補助翼50は、このようないわゆる翼型の形状を有する。このため、
図5に示すように、補助翼50に相対気流W1が入射すると、白抜き矢印で示す径方向内側への加圧力が発生する。したがって、気流W2は、当該加圧力により、さらに径方向内側へとガイドされる。これにより、回転方向に対する補助翼50の翼弦線501の角度を抑えながら、補助翼50による気流W2の径方向内側へのガイド力を、さらに大きくできる。すなわち、回転方向に対する補助翼50の抵抗を抑えながら、羽根40により発生した風の直進性をさらに高めることができる。
【0025】
また、本実施形態では、羽根40の加圧面41側だけでなく、負圧面42側にも、さらに補助翼60が配置される。
図7に示すように、補助翼60は、羽根40の負圧面42から背面側へ向けて突出する。また、
図4に示すように、補助翼60は、径方向の位置を変えつつ、周方向に延びる。補助翼60の最も回転方向前方に位置する最前端61から回転軸9までの径方向の距離D3は、補助翼60の最も回転方向後方に位置する最後端62から回転軸9までの径方向の距離D4よりも大きい。したがって、補助翼60は、羽根40が負圧面42側から取り込む風を、径方向内側にガイドする。これにより、羽根40が背面側から取り込む風を径方向内側へ集合させて、その直進性を高めることができる。
【0026】
補助翼50,60は、羽根40の翼面のうち、主として補助翼50,60より径方向内側の部分によって生じた風を、径方向内側にガイドする。したがって、補助翼50,60の機能を高めるためには、各補助翼50,60を、羽根40の径方向外側に偏った位置に配置することが好ましい。例えば、補助翼50,60の全体を、羽根40の径方向の中央よりも、径方向外側に配置することが好ましい。特に、本実施形態のように、各羽根40の周方向の幅が、径方向外側へ向かうにつれて大きくなる場合、補助翼50,60を径方向外側に偏った位置に配置すれば、各補助翼50,60の周方向の長さを確保しやすいというメリットもある。
【0027】
本実施形態では、
図1に示すように、加圧面41側に配置された補助翼50と、負圧面42側に配置された補助翼60とが、回転軸方向に重なる位置に配置されているが、本発明はこれに限られない。補助翼60と補助翼50とは、互いに回転軸方向に重ならない位置に配置されていてもよい。また、加圧面41側に配置された補助翼50の数と、負圧面42側に配置された補助翼60の数とが異なっていてもよい。
【0028】
図3および
図4に示すように、補助翼50,60の最前端51,61は、羽根40の前縁401よりも回転方向後方に位置する。すなわち、羽根40の前縁401と、補助翼50,60の最前端51,61とが、回転軸方向に重ならない。したがって、羽根40の前縁と補助翼50,60の最前端51,61とに、同一の相対気流W1が同時に当たることがない。これにより、羽根40の前縁401と、補助翼50,60の最前端51,61とが回転軸方向に重なる場合と比べて、羽根40および補助翼50,60が風を切り裂く際の干渉音が低減される。
【0029】
また、補助翼50,60の最後端52,62は、羽根40の後縁402よりも回転方向前方に位置する。すなわち、補助翼50,60の最前端51,61および最後端52,62はいずれも、回転軸方向から見て、羽根40の内側に配置されている。このため、インペラ3が射出成型により成型された場合に、補助翼50,60の最前端51,61付近および最後端52,62付近にパーティングラインが発生しない。したがって、補助翼50,60を有していない場合と比べて、インペラ3全体のパーティングラインが増加しない。
【0030】
また、
図5に示すように、補助翼50の最前端51を含む一部分は、角のない曲面状の表面を有する。補助翼50の最前端51付近が丸みを帯びていることにより、風を切り裂く最前端51付近における干渉音が抑制される。また、最前端51付近が尖った形状と比べて、補助翼50の強度が高い。
【0031】
また、
図7に示すように、補助翼50,60の回転軸方向正面側の端部54,64はそれぞれ、羽根40の回転軸方向正面側の端部43よりも回転軸方向背面側に位置する。また、補助翼50,60の回転軸方向背面側の端部55,65はそれぞれ、羽根40の回転軸方向背面側の端部44よりも回転軸方向正面側に位置する。すなわち、補助翼50,60の回転軸方向の存在領域56,66は、羽根40の回転軸方向の存在領域45の範囲内に位置する。これにより、インペラ3が補助翼50,60を有していない場合と比べて、インペラ3とインペラ3周辺に配置された静止部材との距離が縮まない。したがって、静止部材との干渉による騒音の増大が抑制される。なお、インペラ3周辺に配置された静止部材としては、例えば、モータ2や、インペラ3を収容するハウジングなどが想定される。
【0032】
また、補助翼50は、羽根40の加圧面41から正面側に離れるにつれて、漸減する。同様に、補助翼60は、羽根40の負圧面42から背面側に離れるにつれて、漸減する。すなわち、補助翼50,60は、羽根40の翼面から回転軸方向に離れるにつれて、漸減する。これにより、補助翼50,60付近における乱流の発生を抑制できる。
【0033】
具体的形状については、
図7に側方からの様子を示すように、加圧面41との接触面における補助翼50の断面S1は、加圧面41より回転軸方向正面側に位置し、かつ断面S1と平行な補助翼50の断面S2より大きい。また、断面S2は、回転軸方向から見て、断面S1の内側に位置する。同様に、断面S2は、断面S2からより回転軸方向正面側に位置し、かつ断面S2と平行な補助翼50の断面S3より大きい。断面S3は、回転軸方向から見て、断面S2の内側に位置する。補助翼60についても、同様である。したがって、インペラ3を射出成型にて成型する際に、補助翼50周辺では回転軸方向正面側に、補助翼60周辺では回転軸方向背面側に、金型を引き抜くことができる。これにより、金型の引き抜く方向を、正面側および背面側の2方向のみとすることができる。その結果、射出成型が容易となり、複雑な金型を用いることによるパーティングラインの増加を抑制できる。
【0034】
<2.第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係るインペラ3Aの正面図である。インペラ3Aは、回転軸9Aを中心に回転する、軸流式のインペラである。インペラ3Aは、
図8中実線矢印で示す回転方向に回転することにより、背面側から正面側へ向かう気流を生じさせる。
【0035】
インペラ3Aは、複数の羽根40A、および、複数の補助翼50Aを有する。複数の羽根40Aは、周方向に略等間隔に配列される。各羽根40Aの加圧面41A側には、補助翼50Aが配置されている。
【0036】
補助翼50Aは、羽根40Aの加圧面41Aから正面側へ向けて突出する。また、補助翼50Aは、径方向の位置を変えつつ、周方向に延びる。
図8に示すように、補助翼50Aの最も回転方向前方に位置する最前端51Aから回転軸9Aまでの径方向の距離D1Aは、補助翼50Aの最も回転方向後方に位置する最後端52Aから回転軸9Aまでの距離径方向のD2Aよりも小さい。
【0037】
このように、最前端51Aから回転軸9Aまでの距離D1Aが、最後端52Aから回転軸9Aまでの距離D2Aよりも小さいことにより、補助翼50Aは、羽根40Aの加圧面41A側で発生した回転軸方向の風を、径方向外側にガイドする。これにより、羽根40Aにより発生した風の拡散性を高めることができる。
【0038】
また、補助翼50Aの中心線503Aは、最前端51A付近および最後端52A付近を除いて、翼弦線501Aよりも径方向内側に位置する。これにより、インペラ3Aが回転すると、補助翼50Aの径方向外側の面付近において、径方向外側に向かう加圧力が発生する。したがって、羽根40Aにより発生した風は、さらに径方向外側へとガイドされる。これにより、回転方向に対する補助翼50Aの翼弦線501Aの角度を抑えながら、補助翼50Aによる気流のガイド力を、さらに大きくできる。すなわち、回転方向に対する補助翼50Aの抵抗を抑えながら、羽根40Aにより発生した風の拡散性をさらに高めることができる。
【0039】
なお、本実施形態において、補助翼が、羽根40Aの負圧面側にさらに配置されてもよい。その場合、負圧面側の補助翼についても、加圧面41A側の補助翼50Aと同様に、最前端から回転軸9Aまでの距離が、最後端から回転軸9Aまでの距離よりも小さいことが好ましい。これにより、羽根40Aが背面側から取り込む風の拡散性も、高めることができる。
【0040】
上記の第1実施形態および第2実施形態にて説明したように、補助翼の最前端から回転軸までの距離が、補助翼の最後端から回転軸までの距離と異なることにより、補助翼は、羽根の翼面で発生した回転軸方向の風を、径方向外側または径方向内側にガイドする。これにより、羽根により発生した風の直進性または拡散性を高めることができる。
【0041】
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0042】
図9は、一変形例に係るインペラ3Bの正面図である。
図9の例では、補助翼50Bは、最前端51B付近および最後端52B付近を除いて、翼厚が一定の平板状である。このように、補助翼の翼厚は、略一定であってもよい。
【0043】
図9の例では、補助翼50Bの最前端51Bから回転軸9Bまでの距離は、補助翼50Bの最後端52Bから回転軸9Bまでの距離よりも大きい。このため、補助翼50Bは、羽根40Bの翼面から発生した回転軸方向の風を、径方向内側にガイドする。これにより、羽根40Bにより発生した風の直進性を高めることができる。このように、補助翼が、最前端51B付近および最後端52B付近を除いて翼厚が一定の平板状であっても、羽根により発生した風の直進性または拡散性を高めることができる。
【0044】
図10は、他の変形例に係るインペラ3Cの正面図である。
図10の例では、補助翼50Cは、最前端51C付近および最後端52C付近を除いて翼厚が一定であり、かつ、径方向外側にふくらむ曲板状である。このように、補助翼は、最前端51C付近および最後端52C付近を除いて翼厚が一定の曲板状であってもよい。このようにすると、インペラ3Cが回転した際、補助翼50Cに対する相対風W1Cの入射角度が小さくなる。したがって、回転方向に対する補助翼50Cの抵抗を抑制できる。また、補助翼50Cの最前端51C付近における干渉音を低減できる。
【0045】
また、
図10の例では、翼弦線501Cと中央線503Cとの距離が最大となる点54Cと最前端51Cとの間における補助翼50Cの回転軸方向の平均高さは、点54と最後端52Cとの間における補助翼50Cの回転軸方向の平均高さよりも小さい。これにより、点54Cと最前端51Cとの間では、干渉音がさらに低減されるとともに、径方向外側へガイドされる風の量が低減される。一方、点54と最後端52Cとの間では、補助翼50Cにより、羽根により発生した風の直進性を高めることができる。
【0046】
図11は、他の変形例に係るインペラ3Dの正面図である。
図11の例では、補助翼50Dは、翼弦線501Dに対して線対称の形状を有している。インペラ3Dが回転し、補助翼50Dに対して相対風が入射すると、補助翼50Dの付近において、径方向内側向きの加圧力が発生する。これにより、羽根40Dの翼面から発生した回転軸方向の風を、補助翼50Dと、加圧力とにより径方向内側にガイドする。その結果、羽根40Dにより発生した風の直進性を高めることができる。
図11の例のように、補助翼が翼弦線に対して線対称の形状をしていても、羽根により発生した風の直進性または拡散性を高めることができる。
【0047】
図12は、他の変形例に係るインペラ3Eの正面図である。
図12の例では、補助翼50Eの最前端51Eと最後端52Eとの距離D5Eは、羽根40Eの径方向内端部の周方向の長さD6Eよりも大きい。このように、補助翼50Eの長さを長くとることにより、補助翼50Eによる風の方向調節機能を、より高めることができる。
【0048】
図13は、他の変形例に係るインペラ3Fの正面図である。
図13の例では、1つの羽根40Fの加圧面41Fに、2つの補助翼50Fが径方向に並んで配置される。2つの補助翼50Fが径方向に並ぶことにより、羽根40Fの翼面から発生した回転軸方向の風のうち、径方向外側付近の風と径方向内側付近の風とを、それぞれの補助翼50Fがガイドする。これにより、補助翼50Fによる風の方向調節機能が、より高められる。
【0049】
図14は、他の変形例に係るインペラ3Gの正面図である。
図14の例では、1つの羽根40Gの加圧面41Gに、2つの補助翼50Gが周方向に並んで配置される。2つの補助翼50Gが周方向に周方向に並ぶことにより、各補助翼50Gの径方向の幅を広げることなく、補助翼50Gの周方向の幅を確保できる。これにより、回転方向の抵抗の増加を抑制しつつ、補助翼50Gによる風の方向調節機能を確保できる。
【0050】
図13および
図14のように、1つの羽根の加圧面から、複数の補助翼が突出していてもよい。また、1つの羽根の負圧面から、複数の補助翼が突出していてもよい。また、1つのインペラの中に、単一の補助翼を有する羽根と、複数の補助翼を有する羽根とが、混在していてもよい。
【0051】
図15は、他の変形例に係るインペラ3Hの正面図である。
図15の例では、補助翼50Hの最後端52Hは、羽根40Hの後縁402Hよりも回転方向後方に位置する。
図15の例では、羽根40Hの翼面から発生した回転軸方向の風が、羽根40Hの後縁402Hから回転方向後方へ離れた後においても、補助翼50Hにより径方向内側にガイドされる。したがって、羽根40Hにより発生した風の補助翼50Hによる方向調節機能を高めることができる。このように、補助翼50Hの最後端52H付近が、回転軸方向から見て、羽根40Hの外側に配置されてもよい。
【0052】
図16は、他の変形例に係るインペラ3Jの正面図である。
図16の例では、補助翼50Jの最前端51Jが、1つの羽根40Jの負圧面42Jに配置される。また、補助翼50Jの最後端52Jは、最前端51Jが配置された羽根40Jの回転方向後方に隣接する羽根40Jの加圧面41Jに配置される。すなわち、1つの補助翼50Jが隣接する2つの羽根40Jに跨がっている。
【0053】
これにより、補助翼50Jは、羽根40Jにより発生した回転軸方向の風を、回転方向に広い範囲においてガイドできる。すなわち、補助翼50Jによる風の方向調節機能を、さらに高めることができる。また、隣接する羽根40J同士を補助翼50Jが接続することにより、羽根40Jの強度が高まる。
【0054】
図17は、他の変形例に係るインペラ3Kの正面図である。
図17の例では、インペラ3Kは、周方向に隣り合う2つの羽根40Kを接続する、接続部70Kをさらに有する。
図17の例では、隣接する羽根40K同士を接続部70Kが接続することにより、羽根40Kの強度が高まる。また、接続部70Kは、回転軸方向に見て、回転軸9Kを中心とする円弧状の曲板形状である。これにより、インペラ3Kが回転した際に、回転方向に対する接続部70Kの抵抗が最小限に抑えられている。
【0055】
図18は、他の変形例に係るインペラ3Lの正面図である。
図18の例では、インペラ3Lは、周方向に隣り合う2つの羽根40Lを接続する、接続部70Lをさらに有する。また、接続部70Lの回転方向後方端部と、補助翼50Lの最前端51Lとが、一繋がりに形成される。
図18の例では、接続部70Lと補助翼50Lとが繋がることにより、羽根40Lの強度がさらに高まる。
【0056】
図19は、他の変形例に係るインペラ3Mの正面図である。
図19の例では、羽根40Mと補助翼50Mとが、別部材となっている。そして、補助翼50Mの配置位置を、実線で示した第1方位P1と、二点鎖線で示した第2方位P2とに切替可能となっている。補助翼50Mは、第1方位P1において、最前端51Mと回転軸9Mとの距離が、最後端52Mと回転軸9Mとの距離よりも大きい。すなわち、補助翼50Mが第1方位P1に配置された場合、補助翼50Mは、羽根40Mにより発生する回転軸方向の風の直進性を高めることができる。一方、補助翼50Mは、第2方位P2において、最前端51Mと回転軸9Mとの距離が、最後端52Mと回転軸9Mとの距離よりも小さい。すなわち、補助翼50Mが第2方向P2に配置された場合、補助翼50Mは、羽根40Mにより発生する回転軸方向の風の拡散性を高めることができる。
【0057】
図19の例によれば、補助翼50Mを第1方位P1と第2方位P2とに切り替えることにより、羽根40Mにより発生した風の直進性または拡散性を、用途に応じて選択的に高めることができる。
【0058】
図20は、他の変形例に係るインペラ3Nの正面図である。
図20の例では、インペラ3Nが、付加部80Nを有する。付加部80Nは、羽根40Nの翼面から突出する。また、付加部80Nの最も回転方向前方に位置する前方端部81Nは、補助翼50Nの最後端52Nと繋がる。また、付加部80Nの周方向の長さは、補助翼50Nの周方向の長さより短い。
【0059】
図20の例では、補助翼50Nの最前端51Nから回転軸9Nまでの距離D1Nは、補助翼50Nの最後端52Nから回転軸9Nまでの距離D2Nよりも大きい。これにより、羽根40Nが回転すると、羽根40Nの補助翼50Nより径方向内側の部分で発生した回転軸方向の風が、径方向内側へとガイドされる。このとき、補助翼50Nの径方向外側では、補助翼50Nの径方向内側に比べて気圧が低くなっている。
【0060】
一方、付加部80Nの前方端部81Nから回転軸9Nまでの距離D2Nは、付加部80Nの最も回転方向後方に位置する後方端部82Nから回転軸9Nまでの距離D7Nよりも小さい。そのため、補助翼50Nの径方向外側付近における気流が、付加部80Nにより径方向外側へとガイドされ、拡散される。しかしながら、上述の通り、補助翼50Nの径方向外側では、補助翼50Nの径方向内側に比べて気圧が低いため、その影響は小さい。なお、
図20の例では、距離D7Nは、距離D1Nと略同一であるが、これに限られない。距離D7Nは、距離D1Nよりも小さくてもよいし、大きくてもよい。
図20の例のように、インペラが、補助翼の最前端または最後端と繋がる付加部を有していてもよい。
【0061】
上記の実施形態の扇風機1では、インペラ3を回転させるための動力として、DCモータであるモータ2を用いていた。しかしながら、本発明の送風機は、DCモータに代えて、ACモータを用いてもよい。また、本発明の送風機は、モータに変えて、エンジン等の他の駆動源をインペラに接続することにより、インペラを回転させてもよい。
【0062】
また、本発明の送風機は、必ずしも、涼をとることを目的とした扇風機でなくてもよい。例えば、シーリングファン、サーキュレータ、自動車用の冷却ファン等の、他の用途に用いる送風機であってもよい。
【0063】
また、送風機を構成する各部材の細部の形状は、本願の各図に示された形状と、相違していてもよい。例えば、上記の実施形態のインペラ3は羽根40を5枚有していたが、インペラの有する羽根が3枚、4枚、7枚など他の枚数であってもよい。
【0064】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。