特許第6252020号(P6252020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6252020静電気保護部品及び静電気保護部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252020
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】静電気保護部品及び静電気保護部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01T 4/10 20060101AFI20171218BHJP
   H01T 4/12 20060101ALI20171218BHJP
   H01T 21/00 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H01T4/10 K
   H01T4/12 F
   H01T21/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-160186(P2013-160186)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-32411(P2015-32411A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇磨
(72)【発明者】
【氏名】梅田 秀信
(72)【発明者】
【氏名】吉野 真
(72)【発明者】
【氏名】東田 啓吾
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−015773(JP,A)
【文献】 特開2010−028695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 4/10
H01T 4/12
H01T 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して配置された第一及び第二放電電極を含み、前記第一放電電極と前記第二放電電極との間に形成されるギャップ部で放電を生じさせるように構成されるESDサプレッサと、複数の内部導体が互いに接続されることにより構成されるコイルと、が内部に配置された素体と、
前記第一放電電極に接続され且つ前記素体の外表面に配置された第一外部電極と、
前記第二放電電極に接続され且つ前記外表面に配置された第二外部電極と、
前記コイルの一端と前記第一外部電極とに接続され且つ前記第一外部電極と接するように前記外表面に配置された第三外部電極と、
前記コイルの他端と前記第二外部電極とに接続され且つ前記第二外部電極と接するように前記外表面に配置された第四外部電極と、を備え、
前記素体は、前記外表面として、互いに対向する一対の端面と、前記一対の端面に隣り合う四つの側面と、を有し、
前記四つの側面のうち一の側面が実装面として規定され、
前記第一及び第二外部電極は、前記一の側面側のみに配置され、
前記第三外部電極は、一方の前記端面側に配置され、
前記第四外部電極は、他方の前記端面側に配置されており、
前記第一及び第二放電電極が、対応する前記第一及び第二外部電極と前記一の側面側でのみ電気的に接続され、かつ、前記第三及び第四外部電極が、対応する前記第一及び第二外部電極を覆うように配置されていることにより、前記ESDサプレッサと前記コイルとが、並列接続されている静電気保護部品。
【請求項2】
互いに離間して配置された第一及び第二放電電極を含み、前記第一放電電極と前記第二放電電極との間に形成されるギャップ部で放電を生じさせるように構成されるESDサプレッサと、複数の内部導体が互いに接続されることにより構成されるコイルと、が内部に配置された素体と、
前記第一放電電極のみに接続され且つ前記素体の外表面に配置された第一外部電極と、
前記第二放電電極のみに接続され且つ前記外表面に配置された第二外部電極と、
前記コイルの一端のみに接続され且つ前記第一外部電極と離間して前記外表面に配置された第三外部電極と、
前記コイルの他端のみに接続され且つ前記第二外部電極と離間して前記外表面に配置された第四外部電極と、を備える静電気保護部品。
【請求項3】
前記素体は、前記外表面として、互いに対向する一対の端面と、前記一対の端面に隣り合う四つの側面と、を有し、
前記四つの側面のうち一の側面が実装面として規定され、
前記第一及び第二外部電極は、前記一の側面側に配置され、
前記第三外部電極は、一方の前記端面側に配置され、
前記第四外部電極は、他方の前記端面側に配置されている、請求項に記載の静電気保護部品。
【請求項4】
請求項2に記載の静電気保護部品がはんだ実装された電子機器であって、
前記第一外部電極と前記第三外部電極とがはんだを通して電気的に接続されていると共に、前記第二外部電極と前記第四外部電極とがはんだを通して電気的に接続されており、
前記ESDサプレッサと前記コイルとが、並列接続されている電子機器。
【請求項5】
互いに離間して配置された第一及び第二放電電極を含み、前記第一放電電極と前記第二放電電極との間に形成されるギャップ部で放電を生じさせるように構成されるESDサプレッサと、複数の内部導体が互いに接続されることにより構成されるコイルと、が内部に配置された素体と、前記第一放電電極に接続され且つ前記素体の外表面に配置された第一外部電極と、前記第二放電電極に接続され且つ前記素体の外表面に配置された第二外部電極と、が備えられた中間体を得る工程と、
前記中間体を得た後に、前記第一及び第二外部電極にプローブを接触させて、前記ESDサプレッサの特性を測定する工程と、
前記ESDサプレッサの特性を測定した後に、前記中間体の外表面に、前記第一外部電極と前記コイルの一端とに接続される第三外部電極及び前記第二外部電極と前記コイルの他端とに接続される第四外部電極を形成する工程と、
前記第三及び第四外部電極を形成した後に、前記第三及び第四外部電極にプローブを接触させて、前記コイルの特性を測定する工程と、を有する静電気保護部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気保護部品及び静電気保護部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに離間して配置された第一及び第二放電電極を含んで構成されるESDサプレッサと、複数の内部導体が互いに接続されることにより構成されるコイルと、が内部に配置された素体と、素体の外表面に配置された第一及び第二外部電極と、を備える静電気保護部品の製造方法として、第一外部電極を第一放電電極及びコイルの一端と接続するように形成し、第二外部電極を第二放電電極及びコイルの他端と接続するように形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−123936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ESDサプレッサは、ESD(Electro-Static Discharge:静電気放電)吸収性能を有している。第一及び第二放電電極は互いに離間して配置されているため、第一外部電極と第二外部電極との間に所定値以上の電圧が印加されると、第一外部電極と第二外部電極との間で放電が生じ、ESDが吸収される。ESDサプレッサについては、特性(例えば、静電容量又は絶縁抵抗などの電気的な特性)が所望の値を満たしているか否かを判定するために、その特性を測定する必要がある。もちろん、上述した製造方法で得られた静電気保護部品では、コイルについても、特性(例えば、直流抵抗又はインダクタンスなどの電気的な特性)が所望の値を満たしているか否かを判定するために、その特性を測定する必要がある。
【0005】
しかしながら、上述した製造方法で得られた静電気保護部品では、コイルの特性を測定することはできるものの、ESDサプレッサの特性を測定することが困難であるという問題点を有している。すなわち、上述した製造方法で得られた静電気保護部品では、ESDサプレッサとコイルとが第一外部電極と第二外部電極との間で並列接続されている、すなわち、第一外部電極と第二外部電極とは、コイル(複数の内部導体)を通して、導通されているため、コイルの特性を測定できるものの、ESDサプレッサの特性を測定することは困難である。
【0006】
本発明は、コイル及びESDサプレッサの特性をそれぞれ測定することが可能な静電気保護部品及び静電気保護部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る静電気保護部品の製造方法は、互いに離間して配置された第一及び第二放電電極を含んで構成されるESDサプレッサと、複数の内部導体が互いに接続されることにより構成されるコイルと、が内部に配置された素体と、第一放電電極に接続され且つ素体の外表面に配置された第一外部電極と、第二放電電極に接続され且つ素体の外表面に配置された第二外部電極と、が備えられた中間体を得る工程と、中間体を得た後に、第一及び第二外部電極にプローブを接触させて、ESDサプレッサの特性を測定する工程と、ESDサプレッサの特性を測定した後に、中間体の外表面に、第一外部電極とコイルの一端とに接続される第三外部電極及び第二外部電極とコイルの他端とに接続される第四外部電極を形成する工程と、第三及び第四外部電極を形成した後に、第三及び第四外部電極にプローブを接触させて、コイルの特性を測定する工程と、を有する。
【0008】
本発明に係る静電気保護部品の製造方法では、ESDサプレッサとコイルとが内部に配置された素体と、素体の外表面に配置された第一及び第二外部電極と、を備える中間体が得られた後に、第一及び第二外部電極にプローブを接触させることにより、ESDサプレッサの特性が測定される。第三及び第四外部電極が形成される前では、第一外部電極とコイルの一端とが接続されていないと共に第二外部電極とコイルの他端とが接続されていない。したがって、第三及び第四外部電極が形成される前では、ESDサプレッサとコイルとは並列接続されておらず、ESDサプレッサの特性を測定することができる。
【0009】
本発明では、コイルの特性は、第三及び第四外部電極が形成された後に、第三及び第四外部電極にプローブを接触させることにより測定される。第三及び第四外部電極が形成された後では、ESDサプレッサとコイルとが並列接続されるものの、第一放電電極と第二放電電極とは、ESDのようなサージ電圧が印加されない状態では、互いに絶縁された状態にあるため、コイルの特性を測定することができる。
【0010】
本発明に係る静電気保護部品は、互いに離間して配置された第一及び第二放電電極を含んで構成されるESDサプレッサと、複数の内部導体が互いに接続されることにより構成されるコイルと、が内部に配置された素体と、第一放電電極に接続され且つ素体の外表面に配置された第一外部電極と、第二放電電極に接続され且つ外表面に配置された第二外部電極と、コイルの一端に接続され且つ外表面に配置された第三外部電極と、コイルの他端に接続され且つ外表面に配置された第四外部電極と、を備える。
【0011】
素体は、外表面として、互いに対向する一対の端面と、一対の端面に隣り合う四つの側面と、を有し、四つの側面のうち一の側面が実装面として規定され、第一及び第二外部電極は、上記一の側面側に配置され、第三外部電極は、一方の端面側に配置され、第四外部電極は、他方の端面側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コイル及びESDサプレッサの特性をそれぞれ測定することが可能な静電気保護部品及び静電気保護部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る静電気保護部品を示す斜視図である。
図2】素体の構成を示す分解斜視図である。
図3図1に示されたIII−III線に沿った断面構成を示す図である。
図4図1に示されたIV−IV線に沿った断面構成を示す図である。
図5】本実施形態に係る静電気保護部品の製造方法を示すフロー図である。
図6】本実施形態の変形例に係る静電気保護部品の断面構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
まず、図1図4を参照して、本実施形態に係る静電気保護部品1Aの構成を説明する。図1は、本実施形態に係る静電気保護部品を示す斜視図である。図2は、素体の構成を示す分解斜視図である。図3は、図1に示されたIII−III線に沿った断面構成を示す図である。図4は、図1に示されたIV−IV線に沿った断面構成を示す図である。
【0016】
本実施形態に係る静電気保護部品1Aは、電子機器の回路基板に実装され、ESDから電子機器を保護する電子部品である。図1図4に示されるように、静電気保護部品1Aは、略直方体形状を呈する素体3と、素体3の外表面に配置された第一外部電極4A、第二外部電極4B、第三外部電極5A及び第四外部電極5Bと、素体3の内部に配置されたコイル20と、素体3の内部に配置されたESD吸収性能を有するESDサプレッサ10と、を備えている。以下、素体3の積層方向をZ方向(上下方向)、積層方向の端面及び断面における短手方向をX方向、長手方向をY方向とする。
【0017】
素体3は、複数の絶縁体層2が積層されて構成されている。各絶縁体層2は、略長方形状を有している。各絶縁体層2は、電気絶縁性を有する絶縁体であり、絶縁体グリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体3では、各絶縁体層2は、その間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体3は、外表面として、互いに対向する一対の端面3a,3bと、端面3a,3bに隣り合う四つの側面を有している。四つの側面のうち一の側面3cは、図示しない他の電子機器(例えば、回路基板又は電子部品など)に対面する面(実装面)として規定されている。
【0018】
第一外部電極4A及び第二外部電極4Bは、素体3の一の側面3cの長手方向(図のY方向)における両端部の位置に配置されている。第三外部電極5Aは、素体3の一方の端面3aの全面を覆い且つその一部が当該端面3aと隣り合う四側面上に回り込むようにして形成されている。すなわち、第三外部電極5Aは、素体3の一方の端面3a側に配置されている。第四外部電極5Bは、素体3の他方の端面3bの全面を覆い且つその一部が当該端面3bと隣り合う四側面上に回り込むようにして形成されている。すなわち、第四外部電極5Bは、素体3の他方の端面3b側に配置されている。第一外部電極4Aと第三外部電極5Aとは互いに接続され、第二外部電極4Bと第四外部電極5Bとは互いに接続される(図4参照)。
【0019】
コイル20は、素体3の内部において絶縁体層2の積層方向に併置される複数の内部導体である第一導体21、第二導体22、第三導体23、及び第四導体24の端部同士が、各スルーホール導体31,32,33で接続されることにより構成されている。第一〜第四導体21〜24は、絶縁体層2の積層方向に、素体3の側面3cに近い方から、第一導体21、第二導体22、第三導体23及び第四導体24の順に併置されている。
【0020】
スルーホール導体31は、第一導体21と第二導体22との間に位置し、第一導体21と第二導体22とを電気的に接続する。スルーホール導体32は、第二導体22と第三導体23との間に位置し、第二導体22と第三導体23とを電気的に接続する。スルーホール導体33は、第三導体23と第四導体24との間に位置し、第三導体23と第四導体24とを電気的に接続する。各スルーホール導体31〜33は、コイル20の一部として機能する。
【0021】
第四導体24の端部E1は、素体3の端面3aまで引き出され当該端面3aに露出しており、第三外部電極5Aと接続される(図4参照)。第一導体21の端部E2は、素体3の端面3bまで引き出され当該端面3bに露出しており、第四外部電極5Bと接続される。第四導体24の端部E1はコイル20の一端に対応し、第一導体21の端部E2はコイル20の他端に対応する。よって、コイル20は、第三及び第四外部電極5A,5Bと電気的に接続される。コイル20の直流抵抗は第三及び第四外部電極5A,5Bにおいて測定することができる。
【0022】
ESDサプレッサ10は、積層方向において、コイル20よりも素体3の側面3cに近い位置に形成されている。ESDサプレッサ10は、同一の絶縁体層2に互いに離間して配置される第一放電電極6A及び第二放電電極6Bと、第一放電電極6Aと第二放電電極6Bとを接続する放電誘発部7と、放電誘発部7を覆う空洞部8と、を含んで構成されている。
【0023】
第一放電電極6Aは、端部11Aと、絶縁体層2の長手方向(図のY方向)に延在する側面部12Aと、を有している。第一放電電極6Aの端部11Aは、スルーホール導体34により、接続導体30Aと接続される。接続導体30Aは、スルーホール導体35により、第一外部電極4Aと接続される。これにより、第一放電電極6Aは、第一外部電極4Aと電気的に接続される。
【0024】
第二放電電極6Bは、端部11Bと、絶縁体層2の長手方向に延在する側面部12Bと、を有している。第二放電電極6Bの端部11Bは、スルーホール導体36により、接続導体30Bと接続される。接続導体30Bは、スルーホール導体37により、第二外部電極4Bと接続される。これにより、第二放電電極6Bは、第二外部電極4Bと電気的に接続される。
【0025】
上述したように、第一外部電極4Aと第三外部電極5Aとが接続されていると共に第二外部電極4Bと第四外部電極5Bとが接続されているため、ESDサプレッサ10は、第一外部電極4Aを通して第三外部電極5Aと電気的に接続されると共に第二外部電極4Bを通して第四外部電極5Bと電気的に接続される。したがって、第三外部電極5Aと第四外部電極5Bとの間で、ESDサプレッサ10とコイル20とは並列接続される。
【0026】
第一放電電極6Aの側面部12Aと第二放電電極6Bの側面部12Bとは、絶縁体層2の短手方向(図のX方向)に隣り合うように配置しており、互いに離間して対向している。これにより、第一放電電極6Aと第二放電電極6Bとの間にギャップ部GPが形成される(図3参照)。このような構成により、第三外部電極5A及び第四外部電極5Bに所定以上の電圧が印加されると、第一放電電極6Aと第二放電電極6Bとの間のギャップ部GPにおいて、放電が生じる。
【0027】
放電誘発部7は、第一放電電極6A及び第二放電電極6Bと第一外部電極4A及び第二外部電極4Bとの間に配置され、第一放電電極6A及び第二放電電極6Bと接する。放電誘発部7は、第一放電電極6Aと第二放電電極6Bとを接続しており、第一放電電極6Aと第二放電電極6Bとの間の放電を発生し易くする機能を有する。
【0028】
空洞部8は、コイル20側から見て、第一及び第二放電電極6A,6Bの側面部12A,12Bと、放電誘発部7と、を覆うように形成されている(図3及び図4参照)。空洞部8は、放電時における第一放電電極6A、第二放電電極6B、絶縁体層2及び放電誘発部7の熱膨張を吸収する機能を有する。
【0029】
次に、各構成要素の材料について詳細に説明する。
【0030】
第一及び第二外部電極4A,4Bと、第三及び第四外部電極5A,5Bと、第一及び第二放電電極6A,6Bと、は、それぞれAg、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、又はWを含有する導体材料によって構成される。これらの各電極4A,4B,5A,5B,6A,6Bは、合金として、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又はAg/Pt合金などを用いることができる。
【0031】
絶縁体層2は、Fe、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO、TiO、Mn、SrO、CaO、BaO、SnO、KO、Al、ZrO、又はBなどの中の単独材料によって構成される。絶縁体層2は、これらの二種類以上を混合させたセラミック材料によって構成されてもよい。絶縁体層2には、ガラスが含有されていてもよい。絶縁体層2には、低温焼結を可能とするために酸化銅(CuO又はCuO)が含有されていることが好ましい。
【0032】
第一〜第四導体21〜24、各接続導体30A,30B、及び各スルーホール導体31〜37は、例えばAg又はPdなどの導体材料を含んでいる。第一〜第四導体21〜24、各接続導体30A,30B、及び各スルーホール導体31〜37は、上記導体材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0033】
放電誘発部7は、Fe、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO、TiO、Mn、SrO、CaO、BaO、SnO、KO、Al、ZrO、又はBなどの中の単独材料によって構成される。放電誘発部7は、これらの二種類以上を混合させた材料によって構成されてもよい。放電誘発部7には、Ag、Pd、Au、Pt、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又はAg/Pt合金などの金属粒子が含有されていることが好ましい。放電誘発部7には、RuOなどの半導体粒子が含有されていることが好ましい。放電誘発部7には、ガラス又は酸化錫(SnO又はSnO)が含有されていてもよい。放電誘発部7に含有されている金属粒子の融点は、第一〜第四導体21〜24に含有されている導体材料の融点よりも高い。
【0034】
次に、図5を参照して、本実施形態における静電気保護部品の製造方法について説明する。図5は、本実施形態に係る静電気保護部品の製造方法を示すフロー図である。
【0035】
まず、絶縁体層2を構成する材料のスラリーを調合し(S1)、絶縁体層2用のグリーンシートを形成する(S2)。具体的には、酸化銅(CuO)を含む所定量の誘電体粉末と、有機溶剤及び有機バインダを含む有機ビヒクルと、を混合し、絶縁体層2用のスラリーを調合する。誘電体粉末には、Mg、Cu、Zn、Si、又はSrの酸化物(他の誘電体材料でもよい)を主成分として含む誘電体材料を用いることができる。その後、ドクターブレード法などによって、PETフィルム上にスラリーを塗布し、厚さ20μm程度のグリーンシートを形成する。なお、各絶縁体層2におけるスルーホール導体31〜37の形成予定位置には、レーザ加工によって貫通孔が形成されている。
【0036】
絶縁体層2用のグリーンシートを形成した後、当該グリーンシートの所定の位置に、放電誘発材料スラリー、導体ペースト、及び溶剤(空洞用ラッカー)をそれぞれ印刷する(S3)。放電誘発材料スラリーの印刷は、絶縁体層2用のシートに、焼成後の放電誘発部7を形成するための放電誘発材料スラリーを調合して塗布することにより行う(S3A)。具体的には、所定量に秤量した酸化錫、絶縁体、及び導体の各粉末と、有機溶剤及び有機バインダを含む有機ビヒクルと、を混合し、放電誘発材料スラリーを調合する。例えば、酸化錫として工業用のSnOを使用でき、絶縁体として誘電体粉末を使用できる。誘電体粉末には、Mg、Cu、Zn、Si、又はSrの酸化物(他の誘電体材料でもよい)を主成分として含む誘電体材料を用いることができる。導体粉末として、Ag/Pd粉を用いることができる(Ag、Pd、Au、Pt、又はその混合物若しくは化合物などでもよい)。酸化錫の粒子とAg/Pd合金の金属粒子が混在する状態となるように、各粉末を十分に混合する。
【0037】
導体ペーストの印刷は、絶縁体層2用のグリーンシートに、導体パターンを形成するための導体ペーストをスクリーン印刷などによって塗布することにより行う(S3B)。導体パターンは、後述する焼成工程により、第一〜第四導体21〜24、第一及び第二放電電極6A,6B、各接続導体30A,30B、並びに、第一及び第二外部電極4A,4Bとなる。各導体パターンは、スクリーン印刷した後、乾燥することによって形成される。貫通孔には、各導体パターンの形成の際に導体ペーストが充填される。貫通孔に充填された導体ペーストは、後述する焼成工程により、スルーホール導体31〜37となる。
【0038】
空洞用ラッカーの印刷は、絶縁体層2用のグリーンシートに、既に印刷された放電誘発材料スラリーと、同じく既に印刷された第一及び第二放電電極6A,6Bの側面部12A,12Bを形成するための導体ペーストと、を覆うように、空洞用ラッカーを塗布することにより行う(S3C)。空洞用ラッカーは、空洞部8を形成するための塗料である。
【0039】
放電誘発材料スラリー、導体ペースト、及び空洞用ラッカーが印刷された絶縁体層2用のグリーンシートを、順次積層させ(S4)、プレスし(S5)、個々の静電気保護部品1Aの大きさになるように積層体を切断する(S6)。絶縁体層2用のグリーンシートの積層順序は、焼成後に形成される各構成の積層方向における順序が、回路基板に対する実装面である素体3の側面3cに近い方から順に、第一及び第二外部電極4A,4B、各接続導体30A,30B、放電誘発部7、第一及び第二放電電極6A,6B、空洞部8、及び第一〜第四導体21〜24となるように編集する。
【0040】
続いて、絶縁体層2用のグリーンシートの積層体が切断されて得られた各グリーンチップのバレル研磨を行う(S7)。これにより、角部や稜線が丸められたグリーンチップが得られる。
【0041】
次に、バレル研磨工程の後、グリーンチップを所定の条件(例えば、大気中で850〜950℃で2時間)焼成する(S8)。これにより、グリーンチップは、焼成により、素体3となる。焼成工程では、空洞用ラッカーが消失する。これにより、第一及び第二放電電極6A,6Bの側面部12A,12Bと放電誘発部7とを覆う空洞部8が形成される。この結果、素体3内に、第一放電電極6A、第二放電電極6B、放電誘発部7、及び空洞部8を含んで構成されるESDサプレッサ10が形成される。すなわち、焼成工程を経ることにより、ESDサプレッサ10とコイル20とが内部に配置された素体3と、素体3の外表面に配置された第一及び第二外部電極4A,4Bと、が備えられた中間体が得られる。
【0042】
続いて、ESDサプレッサ10の特性について測定を行う(S9)。ここでは、得られた上記中間体の第一及び第二外部電極4A,4Bにプローブを接触させて、ESDサプレッサ10の特性を測定する。ESDサプレッサ10の特性として、ESDサプレッサ10の静電容量及び絶縁抵抗などの電気的な特性を測定する。このとき、第一外部電極4Aは第一放電電極6Aと電気的に接続され、第二外部電極4Bは第二放電電極6Bと電気的に接続されるので、第一外部電極4A及び第二外部電極4Bにプローブを接触させることにより、ESDサプレッサ10の特性を測定することができる。
【0043】
続いて、素体3に第三及び第四外部電極5A,5B用の導体ペーストを塗布し(S10)、所定条件(例えば、大気中で600〜800℃で2時間)にて熱処理を行い、第三及び第四外部電極5A,5Bを焼き付けて形成する(S11)。このとき、第三外部電極5Aはコイル20の一端(第四導体24の端部E1)及び第一外部電極4Aと接続するように形成され、第四外部電極5Bはコイル20の他端(第一導体21の端部E2)及び第二外部電極4Bと接続するように形成される。
【0044】
続いて、静電気保護部品1Aについての特性検査を行う(S12)。特に、コイル20が有する特性について測定を行う。第三及び第四外部電極5A,5Bにはコイル20の両端が接続されるので、第三及び第四外部電極5A,5Bにプローブを接触させることにより、コイル20の直流抵抗などの特性を測定することができる。その後、第三及び第四外部電極5A,5Bの表面にめっきを施す(S13)。めっきは、電解めっきが好ましく、例えば、Ni/Sn、Cu/Ni/Sn、Ni/Pd/Au、Ni/Pd/Ag、Ni/Agなどを用いることができる。
【0045】
以上の過程を経て、静電気保護部品1Aが得られる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、ESDサプレッサ10とコイル20とが内部に配置された素体3と、素体3の外表面に配置された第一及び第二外部電極4A,4Bと、を備える中間体が得られた後に、第一及び第二外部電極4A,4Bにプローブを接触させることにより、ESDサプレッサ10の特性が測定される。第三及び第四外部電極5A,5Bが形成される前では、第一外部電極4Aとコイル20の一端とが接続されていないと共に第二外部電極4Bとコイル20の他端とが接続されていない。したがって、第三及び第四外部電極5A,5Bが形成される前では、ESDサプレッサ10とコイル20とは並列接続されておらず、ESDサプレッサ10の特性を測定することができる。
【0047】
本実施形態では、コイル20の特性は、第三及び第四外部電極5A,5Bが形成された後に、第三及び第四外部電極5A,5Bにプローブを接触させることにより測定される。第三及び第四外部電極5A,5Bが形成された後では、ESDサプレッサ10とコイル20とが並列接続されるものの、第一放電電極6Aと第二放電電極6Bとは、ESDのようなサージ電圧が印加されない状態では、互いに絶縁された状態にあるため、コイル20の特性を測定することができる。
【0048】
次に、図6を参照して、本実施形態の変形例に係る静電気保護部品1Bの構成を説明する。図6は、本変形例に係る静電気保護部品の断面構成を説明するための図である。本変形例は、第一及び第二外部電極4A,4B並びに第三及び第四外部電極5A,5Bの構成に関して、上述した実施形態と相違する。
【0049】
本変形例に係る静電気保護部品1Bは、上述した実施形態と同じく、素体3と、第一外部電極4A、第二外部電極4B、第三外部電極5A及び第四外部電極5Bと、コイル20と、ESDサプレッサ10と、を備えている。第一外部電極4Aと第三外部電極5Aとは、素体3の外表面上において離間している。すなわち、第一外部電極4Aと第三外部電極5Aとは、互いに接続されていない。第二外部電極4Bと第四外部電極5Bとも、素体3の外表面上において離間している。すなわち、第二外部電極4Bと第四外部電極5Bとも、互いに接続されていない。
【0050】
静電気保護部品1Bは、側面3cを実装面として、電子機器(例えば、回路基板又は電子部品など)にはんだ実装される。このとき、第一外部電極4Aと第三外部電極5Aとは、はんだ(はんだフィレット)を通して電気的に接続される。第二外部電極4Bと第四外部電極5Bとも、はんだ(はんだフィレット)を通して電気的に接続される。したがって、静電気保護部品1Bでは、電子機器に実装された状態において、ESDサプレッサ10とコイル20とが並列接続されることとなる。
【0051】
静電気保護部品1Bは、実装前では、上述したように、第一外部電極4Aと第三外部電極5Aとは互いに接続されておらず、第二外部電極4Bと第四外部電極5Bとも、互いに接続されていない。すなわち、静電気保護部品1B単体の状態では、ESDサプレッサ10とコイル20とは並列接続されていない。したがって、第一及び第二外部電極4A,4Bにプローブを接触させることにより、ESDサプレッサ10の特性を測定することができ、第三及び第四外部電極5A,5Bにプローブを接触させることにより、コイル20の特性を測定することができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0053】
第一放電電極6A及び第二放電電極6Bの構成は、図2に示す構成に限定されず、長さや幅、ギャップ部GPの大きさを適宜変更してもよい。
【0054】
放電誘発部7や空洞部8の位置は、図2図4及び図6に示された位置に限定されない。例えば放電誘発部7は、ESDサプレッサ10と第一及び第二外部電極4A,4Bとの間に配置されていなくてもよく、第一放電電極6A及び第二放電電極6Bと接続する限り、ESDサプレッサ10とコイル20との間に配置されていてもよい。空洞部8は、ESDサプレッサ10と放電誘発部7との間に配置されていてもよく、コイル20側から見てESDサプレッサ10や放電誘発部7を覆っていなくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1A,1B…静電気保護部品、2…絶縁体層、3…素体、3a,3b…端面、3c…側面、4A…第一外部電極、4B…第二外部電極、5A…第三外部電極、5B…第四外部電極、6A…第一放電電極、6B…第二放電電極、10…ESDサプレッサ、20…コイル、21,22,23,24…第一〜第四導体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6