(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来のNチャネルLDMOS(Lateral Diffused MOS)について説明する。
NチャネルLDMOSは、シリコン基板のウェル上に形成されたゲート電極と、ゲート電極の一方側のウェルにゲート電極と重なるように形成されたP型ボディー拡散層と、P型ボディー拡散層内に形成され且つゲート電極下に位置するチャネル領域と、P型ボディー拡散層に形成されたN
+型ソース拡散層及び複数のP
+型ボディーコンタクト領域と、ゲート電極の他方側のシリコン基板に形成されたN
+型ドレイン拡散層を有している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ウェル、P型ボディー拡散層及びゲート電極上には層間絶縁膜が形成されている。この層間絶縁膜には、N
+型ソース拡散層とコンタクトをとる第1のコンタクトホール、N
+型ドレイン拡散層とコンタクトをとる第2のコンタクトホール、及びP
+型ボディーコンタクト領域とコンタクトをとる第3のコンタクトホールが形成されている。
【0004】
上記NチャネルLDMOSでは、N
+型ソース拡散層とN
+型ドレイン拡散層の間の抵抗を下げて大きな電流を流しやすくすることが求められている。そのためには第1のコンタクトホールの数及び第2のコンタクトホールの数を多くするとよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
[実施の形態1]
図1は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図である。
図2は、
図1に示す1B−1B線に沿った断面図である。この半導体装置はNチャネルLDMOSである。
【0019】
図2に示すように、P型シリコン基板11にはN
−型ウェル13が形成されている。N
−型ウェル13の表面にはLOCOS酸化膜16が形成されている。LOCOS酸化膜16が形成されていない領域はソース及びドレインが形成されるアクティブ領域となる。LOCOS酸化膜16が形成されていないN型ウェル13の表面にはゲート絶縁膜12が形成されている。
【0020】
N型ウェル13にP型不純物を導入することにより、N型ウェル13にはP型ボディー拡散層14が形成されている。次いで、LOCOS酸化膜16及びゲート絶縁膜12上にはゲート電極17a,17bが形成されている。ゲート電極17a,17bは、ポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜を加工することで形成される。
【0021】
P型ボディー拡散層14にはN
+型ソース拡散層18が形成されており、N型ウェル13にはN
+型ドレイン拡散層19が形成されている。N
+型ソース拡散層18内には部分的にP型ボディー拡散層14に接続するためのP
+型ボディーコンタクト領域32が形成されている。
【0022】
N
−型ウェル13、P型ボディー拡散層14、ゲート電極17a,17b及びLOCOS酸化膜16を含む全面上には層間絶縁膜24が形成されている。層間絶縁膜24には複数の第1のコンタクトホール25及び複数の第2のコンタクトホール27が形成されている。第1及び第2のコンタクトホール25,27には導電膜26が埋め込まれている。
【0023】
図1に示すように、ゲート電極17a,17bのチャネル長方向の一方側には複数のP
+型ボディーコンタクト領域32が形成されている。複数のP
+型ボディーコンタクト領域32はゲート電極17a,17bに沿って一列に形成されており、P
+型ボディーコンタクト領域32はP型ボディー拡散層14に接続されている。複数のP
+型ボディーコンタクト領域32の周囲にはN
+型ソース拡散層18が形成されており、複数のP
+型ボディーコンタクト領域32の相互間にはN
+型ソース拡散層18が形成されている。
【0024】
複数の第1のコンタクトホール25はゲート電極17a,17bに沿って一列に形成されており、複数の第2のコンタクトホール27はゲート電極17a,17bに沿って一列に形成されている。複数の第1のコンタクトホール25のピッチは、複数の第2のコンタクトホール27のピッチと同一であり、このピッチは小さい方がよい。ピッチを小さくすることにより、コンタクトホールの数を多くすることができるからである。また、そのピッチは、デザインルール上の最小ピッチであることが好ましい。また、そのピッチは、例えば2.0μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは1.2μm以下である。
【0025】
複数の第1のコンタクトホール25のピッチは、複数の第2のコンタクトホール27のピッチと同一である。また、複数のP
+型ボディーコンタクト領域32のピッチは、複数の第1のコンタクトホール25のピッチより大きい。
【0026】
なお、本明細書において、「ピッチ」とは、隣り合うパターンの中心間の距離をいい、具体的には、
図1に示す平面図における隣り合うP
+型ボディーコンタクト領域32のパターンの中心間の距離、隣り合う第1のコンタクトホール25のパターンの中心間の距離、隣り合う第2のコンタクトホール27のパターンの中心間の距離である。
【0027】
また、本明細書において、ピッチが「同一」であるとは、完全に同一を含むだけではなく、一方のピッチの大きさが他方のピッチ大きさの90%以上100%未満である場合も含む意味である。現実に加工した場合は、多少の誤差が発生するのが当然だからである。
【0028】
第2のコンタクトホール27は、ゲート電極17a,17bのチャネル長方向の他方側に形成されたN
+型ドレイン拡散層19に接続する複数のドレインコンタクトホールである。
【0029】
第1のコンタクトホール25は、N
+型ソース拡散層18上に位置するソースコンタクトホール25aと、P
+型ボディーコンタクト領域32上に位置するボディーコンタクトホール25bと、N
+型ソース拡散層18及びP
+型ボディーコンタクト領域32の両方の上に位置するソース・ボディーコンタクトホール25cの3種類を有している。本実施の形態のLDMOSは、N
+型ソース拡散層18とP
+型ボディーコンタクト領域32が同電位になるため、その両方とコンタクトをとることが可能となる。
【0030】
ソースコンタクトホール25aはN
+型ソース拡散層18とコンタクトをとるコンタクトホールである。ボディーコンタクトホール25bはP
+型ボディーコンタクト領域32とコンタクトをとるコンタクトホールである。ソース・ボディーコンタクトホール25cは、N
+型ソース拡散層18及びP
+型ボディーコンタクト領域32の両方とコンタクトをとるコンタクトホールである。
【0031】
別言すれば、ソースコンタクトホール25aは、N
+型ソース拡散層18と重なり且つP
+型ボディーコンタクト領域32と重ならないコンタクトホールである。ボディーコンタクトホール25bは、P
+型ボディーコンタクト領域32と重なり且つN
+型ソース拡散層18と重ならないコンタクトホールである。ソース・ボディーコンタクトホール25cは、N
+型ソース拡散層18と重なり且つP
+型ボディーコンタクト領域32と重なるコンタクトホールである。また、複数のP
+型ボディーコンタクト領域32の少なくとも一つは、ボディーコンタクトホール25b及びソース・ボディーコンタクトホール25cの両方に重なっている。
【0032】
なお、本明細書において、「重なる」とは、上層のパターンと下層のパターンが平面視において重なることをいい、具体的には、
図1に示す平面図においてコンタクトホールのパターンがその下の拡散層または領域のパターンと重なることをいう。また、「重ならない」とは、上層のパターンと下層のパターンが平面視において重ならないことをいい、具体的には、
図1に示す平面図においてコンタクトホールのパターンがその下の拡散層または領域のパターンと重ならないことをいう。
【0033】
<比較例>
図3は、NチャネルLDMOSの比較例を示す平面図であり、
図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0034】
図3に示すように、複数のP
+型ボディーコンタクト領域132はゲート電極17a,17bに沿って一列に形成されている。複数のP
+型ボディーコンタクト領域132の相互間にはN
+型ソース拡散層18が形成されている。
【0035】
複数の第1のコンタクトホール125はゲート電極17a,17bに沿って一列に形成されている。複数の第1のコンタクトホール125のピッチは、複数の第2のコンタクトホール27のピッチより大きい。
【0036】
複数のP
+型ボディーコンタクト領域132のピッチは、複数の第2のコンタクトホール27のピッチより大きい。
【0037】
第1のコンタクトホール125は、N
+型ソース拡散層18上に位置するソースコンタクトホール125aと、P
+型ボディーコンタクト領域132上に位置するボディーコンタクトホール125bの2種類を有している。ソースコンタクトホール125aとボディーコンタクトホール125bは、交互に配置されている。
【0038】
ソースコンタクトホール125aはN
+型ソース拡散層18とコンタクトをとるコンタクトホールである。ボディーコンタクトホール125bはP
+型ボディーコンタクト領域132とコンタクトをとるコンタクトホールである。
【0039】
上記比較例のNチャネルLDMOSでは、N
+型ソース拡散層18とN
+型ドレイン拡散層19の間の抵抗を下げて大きな電流を流しやすくするために、一列に配置される複数の第2のコンタクトホール27をデザインルール上最小ピッチで配置し、一列に配置される複数のP
+型ボディーコンタクト領域132を最小ピッチで配置するため、複数のP
+型ボディーコンタクト領域132のピッチが複数の第2のコンタクトホール27のピッチより広くなる。また、ソースコンタクトホール125aをN
+型ソース拡散層18上に配置し、ボディーコンタクトホール125bをP
+型ボディーコンタクト領域132上に配置するため、第1のコンタクトホール125のピッチが第2のコンタクトホール27のピッチより広くなる。その結果、ソースコンタクトホール125aの数が少なくなり、ソースコンタクト抵抗を十分に低減することができず、N
+型ソース拡散層18とN
+型ドレイン拡散層19の間の抵抗を十分に低減することができない。
【0040】
これに対し、本実施の形態1では、ソースコンタクトホール25aをN
+型ソース拡散層18上に配置し、ボディーコンタクトホール25bをP
+型ボディーコンタクト領域32上に配置するという設計思想を排除することで、複数の第1のコンタクトホール25のピッチを、複数の第2のコンタクトホール27のピッチと同一とすることができる。その結果、
図3に示す比較例のNチャネルLDMOSでは、ソースコンタクトホール125aが5個であるのに対し、
図1に示す本実施の形態1のNチャネルLDMOSでは、ソース・ボディーコンタクトホール25cを3個形成でき、その3個のソース・ボディーコンタクトホール25cがソースコンタクトホール1.5個相当と換算すると、ソースコンタクトホール25aを6.5個相当に増やすことができるといえる。このようにソースコンタクトホールの数を増やすことによりソースコンタクト抵抗を低減させることができ、オン抵抗の改善に寄与する。
【0041】
なお、N
+型ソース拡散層18とP
+型ボディーコンタクト領域32が同電位であるため、N
+型ソース拡散層18及びP
+型ボディーコンタクト領域32それぞれと層間絶縁膜24との間にシリサイド膜を形成する構成を本実施の形態に加えてもよい。
【0042】
[実施の形態2]
図4は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図であり、
図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0043】
図4に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域232のピッチは、
図1に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域32のピッチより大きい。
【0044】
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
詳細には、本実施の形態のNチャネルLDMOSでは、ソース・ボディーコンタクトホール25cを2個形成でき、その2個のソース・ボディーコンタクトホール25cがソースコンタクトホール1個相当と換算すると、ソースコンタクトホール25aを9個相当にすることができる。
【0045】
[実施の形態3]
図5は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図であり、
図4と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
図5に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域332のピッチは、
図4に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域232のピッチより大きい。
【0047】
本実施の形態においても実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
詳細には、本実施の形態のNチャネルLDMOSでは、ソース・ボディーコンタクトホール25cを3個形成でき、その3個のソース・ボディーコンタクトホール25cがソースコンタクトホール1.5個相当と換算すると、ソースコンタクトホール25aを9.5個相当にすることができる。
【0048】
[実施の形態4]
図6は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図であり、
図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0049】
図6に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域432それぞれの大きさ(面積)は、
図1に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域32の大きさより小さい。
【0050】
複数のP
+型ボディーコンタクト領域432の少なくとも一つは、ボディーコンタクトホール25b及びソース・ボディーコンタクトホール25cの両方に重なっていない。即ち、複数のP
+型ボディーコンタクト領域432の少なくとも一つ432aは、第1のコンタクトホール25に重なっていない。
【0051】
また、複数のP
+型ボディーコンタクト領域432の少なくとも一つ432bは、ソース・ボディーコンタクトホール25cだけに重なり、ボディーコンタクトホール25bに重なっていない。
【0052】
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
詳細には、本実施の形態のNチャネルLDMOSでは、ソース・ボディーコンタクトホール25cを2個形成でき、その2個のソース・ボディーコンタクトホール25cがソースコンタクトホール1個相当と換算すると、ソースコンタクトホール25aを10個相当にすることができる。
【0053】
[実施の形態5]
図7は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図であり、
図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0054】
図7に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域532それぞれの大きさ(面積)は、
図1に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域32の大きさより小さい。また、
図7に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域532のピッチは、
図1に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域32のピッチより小さい。
【0055】
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
詳細には、本実施の形態のNチャネルLDMOSでは、ソース・ボディーコンタクトホール25cを4個形成でき、その4個のソース・ボディーコンタクトホール25cがソースコンタクトホール2個相当と換算すると、ソースコンタクトホール25aを7個相当にすることができる。
【0056】
[実施の形態6]
図8は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図であり、
図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図8に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域632それぞれの大きさ(面積)は、
図1に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域32の大きさより大きい。また、
図8に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域632のピッチは、
図1に示す複数のP
+型ボディーコンタクト領域32のピッチより大きい。
【0058】
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
詳細には、本実施の形態のNチャネルLDMOSでは、ソース・ボディーコンタクトホール25cを3個形成でき、その3個のソース・ボディーコンタクトホール25cがソースコンタクトホール1.5個相当と換算すると、ソースコンタクトホール25aを6.5個相当にすることができる。
【0059】
なお、実施の形態1〜6において、N型ウェル13を半導体層と読み替え、P型ボディー拡散層14を第1拡散層と読み替え、N
+型ソース拡散層18を第2拡散層と読み替え、N
+型ドレイン拡散層19を第3拡散層と読み替え、P
+型ボディーコンタクト領域32を第4拡散層と読み替えてもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態1〜6を互いに適宜組合せて実施してもよい。
【0061】
また、本発明において、特定のA(以下「A」という)の上(または下)に特定のB(以下「B」という)を形成する(Bが形成される)というとき、Aの上(または下)に直接Bを形成する(Bが形成される)場合に限定されない。Aの上(または下)に本発明の作用効果を阻害しない範囲で、他のものを介してBを形成する(Bが形成される)場合も含む。