特許第6252067号(P6252067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252067
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】EGR装置及び排気ガス還流方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/05 20160101AFI20171218BHJP
   F02M 26/25 20160101ALI20171218BHJP
【FI】
   F02M26/05
   F02M26/25
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-195781(P2013-195781)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-59560(P2015-59560A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】塩安 健太
(72)【発明者】
【氏名】梶山 昌広
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−196462(JP,A)
【文献】 特開2008−138638(JP,A)
【文献】 特開2008−280868(JP,A)
【文献】 特開2006−112273(JP,A)
【文献】 特開2010−168942(JP,A)
【文献】 特開2010−163924(JP,A)
【文献】 特開2012−159002(JP,A)
【文献】 特開2006−090167(JP,A)
【文献】 特開2012−159001(JP,A)
【文献】 特開平11−200955(JP,A)
【文献】 特開2010−163938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/05
F02M 26/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気ガスを還流するEGR通路と、該EGR通路に設けられたEGRクーラと、該EGRクーラをバイパスするEGRバイパス通路と、前記EGR通路と前記EGRバイパス通路の流路を切り替える切替バルブを備えたEGR装置において、
排気ガス温度を上昇させる早期昇温制御中でない場合で前記エンジンの運転領域が第1低負荷領域であるときには前記EGRバイパス通路を用いて排気ガスを還流すると共に、前記早期昇温制御中の場合で前記エンジンの運転領域が前記第1低負荷領域又は前記第1低負荷領域よりも負荷が大きい第2低負荷領域であるときは前記EGRバイパス通路を用いて排気ガスを還流するように前記切替バルブを制御する切替バルブ制御手段を備え、
前記切替バルブ制御手段は、
前記早期昇温制御中でない場合で前記エンジンの運転領域が前記第1低負荷領域よりも負荷が大きい領域であるときには前記EGRクーラを用いて排気ガスを冷却して排気ガスを還流すると共に、
前記早期昇温制御中の場合で前記エンジンの運転領域が前記第2低負荷領域よりも負荷が大きい領域であるときには前記EGRクーラを用いて排気ガスを冷却して排気ガスを還流するEGR装置。
【請求項2】
エンジンの排気ガスを還流させる排気ガス還流方法において、
前記エンジンの排気ガスを昇温する早期昇温制御中でない場合で、前記エンジンの運転領域が第1低負荷領域であるときは排気ガスを冷却せずに還流させる第1ステップを行い、
前記早期昇温制御中である場合で、前記エンジンの運転領域が前記第1低負荷領域又は前記第1低負荷領域よりも負荷が大きい第2低負荷領域であるときは排気ガスを冷却せずに還流させる第2ステップを行い、
前記早期昇温制御中でない場合で、前記エンジンの運転領域が前記第1低負荷領域よりも負荷が大きい領域であるときは排気ガスを冷却して排気ガスを還流させる第3ステップを行い、
前記早期昇温制御中の場合で、前記エンジンの運転領域が前記第2低負荷領域よりも負荷が大きい領域であるときは排気ガスを冷却して排気ガスを還流させる第4ステップを行う排気ガス還流方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気ガスを還流するEGR装置及び排気ガス還流方法に関し、より詳細には、排気ガスを昇温するための早期昇温制御中において炭化水素(HC)の発生を抑制できるEGR装置及び排気ガス還流方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガスに対する厳しい規制に対応する必要があり、エンジン本体側で排気ガス成分を低減する方法として、エンジンから排出される排気ガスの一部であるEGRガスを吸気通路又は吸気マニホールドに還流させるEGR装置が使用されている。このEGR装置では、シリンダ内への吸気(新気)の吸気効率を高めるため、EGR通路にEGRクーラを設けてEGRガスを冷却してその容積を小さくしてから吸気と合流させている。
【0003】
このEGR装置に関しては、EGRクーラを備えたEGR通路の他に、EGRクーラを迂回するバイパス路を設け、これら通路をエンジンの運転状態に応じて切り替えたり、バイパス通路に設けたバイパス弁の弁開度を調整したりすることにより、EGRクーラを流れるEGRガスの流量を調整して、EGRガス温度を調整し、このEGRガスの温度を介して、排気通路に排出される排気ガスの温度を調整するEGR装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
一方、エンジンの始動時の排気ガスの温度が低い場合や、市街地走行等で排気ガスの温度が低下した場合等では、排気通路に配設された排気ガス浄化装置を効果的に働かせるために、エンジンから排気通路に排出される排気ガスの温度を上昇させて、排気ガス浄化装置の触媒の温度を活性化温度以上にして排気ガスの浄化性能を早期に向上させる必要がある。
【0005】
しかしながら、従来技術では、一旦、暖機が完了したと判断されると、その後は、EGRガスが常にEGRクーラを通過するように制御しているため、エンジンの運転状態が低負荷領域であるときには、低い温度のEGRガスがシリンダ内に流入してシリンダ内の温度が低下するため、シリンダ内燃焼が悪化して、炭化水素(HC)の発生量が増加するという問題がある。
【0006】
また、暖機時や排気ガス温度が低下した時に、排気ガスを昇温する早期昇温制御をする場合には、シリンダ内燃料噴射における噴射タイミング、メイン噴射量とサブ噴射量の割合変更などを行っているため、通常の運転時の場合でエンジンの運転領域が低負荷領域にあるときに比べて、よりHCが発生し易いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−200955号公報
【特許文献2】特開2010−163938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、早期昇温制御中であるか否かと、エンジンの運転状態とにより、EGRクーラを使い分けて、EGRガスの冷却が不要なときには、EGRガスをEGRクーラを通過させずに、温度の高いEGRガスをシリンダ内に導入して、排気ガスの早期昇温制御中や低負荷時にHCが発生することを防止できる、EGR装置及び排気ガス還流方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するためのEGR装置は、エンジンの排気ガスを還流するEGR通路と、該EGR通路に設けられたEGRクーラと、該EGRクーラをバイパスするEGRバイパス通路と、前記EGR通路と前記EGRバイパス通路の流路を切り替える切替バルブを備えたEGR装置において、排気ガス温度を上昇させる早期昇温制御中でない場合で前記エンジンの運転領域が第1低負荷領域であるときには前記EGRバイパス通路を用いて排気ガスを還流すると共に、前記早期昇温制御中の場合で前記エンジンの運転領域が前記第1低負荷領域又は前記第1低負荷領域よりも負荷が大きい第2低負荷領域であるときは前記EGRバイパス通路を用いて排気ガスを還流するように前記切替バルブを制御する切替バルブ制御手段を備え、前記切替バルブ制御手段は、前記早期昇温制御中でない場合で前記エンジンの運転領域が前記第1低負荷領域よりも負荷が大きい領域であるときには前記EGRクーラを用いて排気ガスを冷却して排気ガスを還流すると共に、前記早期昇温制御中の場合で前記エンジンの運転領域が前記第2低負荷領域よりも負荷が大きい領域であるときには前記EGRクーラを用いて排気ガスを冷却して排気ガスを還流するように構成される。
【0010】
この構成によれば、早期昇温制御中であるか否かと、エンジンの運転領域が第1低負荷領域か第2低負荷領域かそれ以外の領域であるかを判断して、その判断結果によりEGRクーラのある通路とEGRクーラを迂回するEGRバイパス通路とを使い分けているので、EGRガスの冷却が不要なときには、EGRガスをEGRクーラを通過させずに、温度の高いEGRガスを筒内(シリンダ内)に導入することができる。
【0011】
また、EGRバイパス通路を使用する場合のエンジンの運転領域を、早期昇温制御中では、早期昇温制御中ではない場合の第1低負荷領域又は第1低負荷領域よりも負荷が大きい第2低負荷領域とすることで、早期昇温制御におけるEGRバイパス通路を使用する場合のエンジンの負荷領域を第2低負荷領域まで拡大しているので、排気ガスの早期昇温制御中にHCが発生することをより効果的に防止しながら、より早期に排気ガスを昇温できる。つまり、早期昇温制御で低負荷条件でのHC発生を抑えることができる。
【0012】
さらに、EGR効率を高めるためにEGRガスの冷却が必要なときは、EGRガスをEGRクーラを通過させて冷却して、温度が低くなったEGRガスをシリンダに導入することができる。
【0013】
そして、上記の目的を達成するための排気ガス還流方法は、エンジンの排気ガスを還流させる排気ガス還流方法において、前記エンジンの排気ガスを昇温する早期昇温制御中でない場合で、前記エンジンの運転領域が第1低負荷領域であるときは排気ガスを冷却せずに還流させる第1ステップを行い、前記早期昇温制御中である場合で、前記エンジンの運転領域が前記第1低負荷領域又は前記第1低負荷領域よりも負荷が大きい第2低負荷領域であるときは排気ガスを冷却せずに還流させる第2ステップを行い、前記早期昇温制御中でない場合で、前記エンジンの運転領域が前記第1低負荷領域よりも負荷が大きい領域であるときは排気ガスを冷却して排気ガスを還流させる第3ステップを行い、前記早期昇温制御中の場合で、前記エンジンの運転領域が前記第2低負荷領域よりも負荷が大きい領域であるときは排気ガスを冷却して排気ガスを還流させる第4ステップを行うことを特徴とする方法である。
【0015】
この排気ガス還流方法によれば、上記のEGR装置と同様な効果をそれぞれ奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るEGR装置及び排気ガス還流方法によれば、早期昇温制御中であるか否かと、エンジンの運転領域が第1低負荷領域か第2低負荷領域かそれ以外の領域であるかを判断して、その判断結果によりEGRクーラのある通路とEGRクーラを迂回するEGRバイパス通路とを使い分けているので、EGRガスの冷却が不要なときには、EGRガスをEGRクーラを通過させずに、温度の高いEGRガスをシリンダ内に導入することができる。
【0017】
さらに、早期昇温制御におけるEGRバイパス通路を使用する場合のエンジンの負荷領域を第2低負荷領域まで拡大しているので、排気ガスの早期昇温制御中にHCが発生することをより効果的に防止しながら、より早期に排気ガスを昇温できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る実施の形態のEGR装置を備えたエンジンの構成を示す図である。
図2】本発明に係る排気ガス還流方法における第1低負荷領域と第2低負荷領域を模式的に示す図である。
図3】本発明に係る排気ガス還流方法の制御のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態のEGR装置及び排気ガス還流方法について、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明に係る実施の形態のEGR装置20を備えたエンジン(内燃機関)10の構成を示す。このエンジン10は、エンジン本体11と吸気通路12と、排気通路16と、排気通路16と吸気通路12とを接続するEGR通路21とを有して構成されている。
【0020】
吸気Aが通過する吸気通路12には、上流側から順に、吸気量センサ(MAF:図示しない)、ターボ式過給器13のコンプレッサ13a、インタークーラ14、吸気弁15等が配設されており、また、排気ガスGoが通過する排気通路16には、上流側から順に、ターボ式過給器13のタービン13b、排気絞り弁17と排気ガス浄化システム30等が配設されている。
【0021】
この排気ガス浄化システム30は、前段酸化触媒装置(DOC)31aと触媒付フィルタ(CSF)31bを有するDPDシステム31と、SCR(選択還元型触媒)装置32aとアンモニアスリップ防止用触媒32bと還元剤供給装置32cを有するSCRシステム32と、排気ガス温度センサやフィルタ前後差圧センサやNOx濃度センサなどから構成され、排気ガスGo中のPMやNOx等を浄化し、浄化された排気ガスGcは、テールパイプ(図示しない)から大気中に放出される。
【0022】
更に、EGR装置20が配置されているが、このEGR装置20は、図1の構成では、タービン13bの上流側の排気通路16とコンプレッサ13aの下流側の吸気通路12を接続して、排気ガスGoの一部であるEGRガスGeが通過するEGR通路21と、このEGR通路21に上流側から順に配設されたEGRクーラ22とEGR弁23を有して構成される。それと共に、EGRクーラ22を迂回するEGRバイパス通路24が設けられ、このEGRバイパス通路24には切替バルブ25が配設される。この切替バルブ25は、排気ガス(EGRガス)Geの流れをEGRクーラ22を通過させるか、EGRバイパス通路24を通過させるかの二者択一を行うON/OFFのバルブで構成される。
【0023】
また、エンジン全般の制御を行うエンジンコントロールモジュール(ECM)と呼ばれる制御装置40が設けられる。この制御装置40は、エンジン10の運転状態を示す回転速度Neや燃料噴射量q(または負荷Q)を入力すると共に、冷却水温度センサ(図示しない)で検出された冷却水温度Twや吸気温度センサで検出された吸気温度TaやEGRクーラ22の出口排気ガス温度センサで検出されたEGRクーラ出口温度To等を入力して、EGR弁23や切替バルブ25を制御しつつ、エンジン10の筒内燃料噴射を制御する。また、排気ガス浄化システム30の排気ガス温度センサやフィルタ前後差圧センサやNOx濃度センサなどで検出された温度やフィルタ前後差圧やNOx濃度などをもとに、排気ガスの浄化を効率よく行うために排気ガス浄化システム30を制御する。
【0024】
一方、エンジン10の始動時の暖機における排気ガスGoの温度が低い場合や、市街地走行等で排気ガスGoの温度が低下した場合等では、排気通路16に配設された排気ガス浄化システム30を効果的に働かせるために、エンジン10の排気通路16に排出される排気ガスGoの温度を上昇させて、排気ガス浄化システム30の装置の触媒の温度を活性化温度以上にして排気ガス浄化性能を早期に向上させる早期昇温制御を行う必要がある。この早期昇温制御では、シリンダ内燃料噴射における噴射タイミング、メイン噴射量とサブ噴射量の割合変更などを行う。
【0025】
本発明では、制御装置40が切替バルブ25を制御する切替バルブ制御手段41を備えて構成される。また、図2に示すように、エンジン10の運転領域(エンジン回転数Neと燃料噴射量q(又は負荷Q))を、第1低負荷領域Raと、この第1低負荷領域Raより負荷が大きい第2低負荷領域Rbと、その他の負荷領域Rcに分けて、これらの各領域の範囲を予め設定しておく。この各領域の範囲の設定は、EGRに用いる排気ガスGeの冷却が必要であるか否かを実験などで予め判定しておいて行い、切替バルブ制御手段41に予め記憶しておく。
【0026】
例えば、エンジン回転数Ne毎に、第1燃料噴射量qa(Ne)、第2燃料噴射量qb(Ne)を設定し、マップデータや関数などの形で記憶しておき、エンジン回転数Neにおける燃料噴射量qが第1燃料噴射量qa(Ne)以下を第1低負荷領域Ra内とし、燃料噴射量qが第1燃料噴射量qa(Ne)より大きく、かつ、燃料噴射量qが第2燃料噴射量qb(Ne)以下を第2低負荷領域Rb内とし、燃料噴射量qが第2燃料噴射量qb(Ne)より大きい場合にその他の負荷領域Rc内とする。なお、燃料噴射量q、第1燃料噴射量qa(Ne)、第2燃料噴射量qb(Ne)の代わりに、負荷Q、第1負荷Qa(Ne)、第2負荷Qb(Ne)を用いてもよい。
【0027】
また、この第1低負荷領域Ra、第2低負荷領域Rbの判断は、燃料噴射量q(負荷Q),冷却水温度Tw、EGRクーラ22の出口ガス温度To等を用いて行う場合もある。冷却水温度Twを用いる場合は、冷却水温度Twの閾値を、通常制御中は約60℃として第1低負荷領域Raの内外の判定に使用する。これは、冷却水温度Twが約60℃より大きくなる暖気後は必ず切替バルブ25を閉弁して排気ガスGeをEGRクーラ22側に流すためである。
【0028】
また、早期昇温制御中は冷却水温度Twの閾値を、冷却水が実質的には超えることがない大きな値に設定して無効化している。これは早期昇温制御中の走行中は冷却水温度Twが上昇することがあるためであり、第2低負荷領域Rbの内外の判定は冷却水温度Tw以外(例えば燃料噴射量、負荷、EGRクーラ出口温度)で判定している。これによって第2低負荷領域Rbにおいて切替バルブ25を閉弁することなくHCの発生を確実に防止することができる。
【0029】
そして、この切替バルブ制御手段41は、排気ガス温度を上昇させる早期昇温制御中でない場合でエンジン10の運転領域が第1低負荷領域RaであるときにはEGRバイパス通路24を用いて排気ガス(EGRガス)Geを還流する。それと共に、早期昇温制御中の場合でエンジン10の運転領域が第1低負荷領域Ra又は第2低負荷領域RbであるときはEGRバイパス通路24を用いて排気ガスGeを還流するように切替バルブ25を制御するように構成される。
【0030】
更に、この切替バルブ制御手段41は、早期昇温制御中でない場合でエンジン10の運転領域が第1低負荷領域Raよりも負荷が大きい領域Rb,RcであるときにはEGRクーラ22を用いて排気ガスGeを冷却して排気ガスGeを還流する。それと共に、早期昇温制御中の場合でエンジン10の運転領域が第2低負荷領域Rbよりも負荷が大きいその他の領域RcであるときにはEGRクーラ22を用いて排気ガスGeを還流するように構成される。
【0031】
次に、上記のEGR装置20における排気ガス還流方法について図3に例示する制御フローを参照しながら説明する。この図3の制御フローは、エンジン10の始動とともに起動して、上級の制御フローから呼ばれて、スタートからリターンの間を実施し、上級の制御フローに戻り、また、上級の制御フローから呼ばれて、繰り返し実施される制御フローとして示してある。
【0032】
この図3の制御フローが上級の制御フローから呼ばれてスタートすると、ステップS11で、エンジン10が早期昇温制御中であるか否かを判定する。このステップS11の判定で、早期昇温制御中でない場合には(NO)、ステップS12に行く。
【0033】
ステップS12では、エンジン10の運転領域が、第1低負荷領域Raにあるか否かを判定する。この第1低負荷領域Raにあるか否かは、現状のエンジン回転数Neと燃料噴射量qを入力して、この燃料噴射量qが、エンジン回転数Neに対する第1燃料噴射量qa(Ne)以下であれば、第1低負荷領域Raにある(YES)とし、燃料噴射量qが、第1燃料噴射量qa(Ne)より大きければ、第1低負荷領域Ra内に無く、第1低負荷領域Raより大きい領域にある(NO)とする。
【0034】
ステップS12の判定で、エンジン10の運転領域が、第1低負荷領域Raにある(YES)と判定された場合には、ステップS14に行き、切替バルブ25を開弁する制御をして、また、開弁中であれば、開弁を維持する制御をして、排気ガスGeをEGRバイパス通路24に導いて、EGRクーラ22を迂回させる(第1のステップ)。
また、ステップS12の判定で、エンジン10の運転領域が、第1低負荷領域Raにない(NO)と判定された場合には、ステップS15に行き、切替バルブ25を閉弁する制御をして、また、閉弁中であれば、閉弁を維持する制御をして、排気ガスGeをEGRクーラ22に導く(第3のステップ)。
【0035】
このステップS11の判定で、早期昇温制御中である場合には(YES)、ステップS13に行く。
【0036】
ステップS13では、エンジン10の運転領域が、第1低負荷領域Ra又は第2低負荷領域Rbにあるか否かを判定する。この第1低負荷領域Ra又第2低負荷領域Rbにあるか否かは、現状のエンジン回転数Neと燃料噴射量qを入力して、燃料噴射量qが、エンジン回転数Neに対する第2燃料噴射量qb(Ne)以下であれば、第1低負荷領域Ra又第2低負荷領域Rbにある(YES)とし、燃料噴射量qが、第2燃料噴射量qb(Ne)より大きければ、第1低負荷領域Ra又第2低負荷領域Rbに無く、その他の負荷領域Rcである(NO)とする。
【0037】
ステップS13の判定で、エンジン10の運転領域が、第1低負荷領域Ra又は第2低負荷領域Rbにある(YES)と判定された場合には、ステップS14に行き、切替バルブ25を開弁する制御をして、また、開弁中であれば、開弁を維持する制御をして、排気ガスGeをEGRバイパス通路24に導いて、EGRクーラ22を迂回させる(第2のステップ)。
【0038】
また、ステップS13の判定で、エンジン10の運転領域が、第1低負荷領域Ra又は第2低負荷領域Rbにない(NO)と判定された場合には、ステップS15に行き、切替バルブ25を閉弁する制御をして、また、閉弁中であれば、閉弁を維持する制御をして、排気ガスGeをEGRクーラ22に導く(第4のステップ)。
【0039】
つまり、エンジン10の排気ガスGoを昇温する早期昇温制御中でない場合で、エンジン10の運転領域が第1低負荷領域RaであるときはEGRバイパス通路24を用いて還流させる第1ステップを行い、早期昇温制御中である場合で、エンジン10の運転領域が第1低負荷領域Ra又は第1低負荷領域Raよりも負荷が大きい第2低負荷領域RbであるときはEGRバイパス通路24を用いて排気ガスGeを還流させる第2ステップを行う。
【0040】
また、早期昇温制御中でない場合で、エンジン10の運転領域が第1低負荷領域Raよりも負荷が大きい領域Rb,RcであるときはEGRクーラ22を用いて排気ガスGeを冷却して排気ガスGeを還流させる第3ステップを行い、早期昇温制御中の場合でエンジン10の運転領域が第2低負荷領域Rbよりも負荷が大きい領域RcであるときはEGRクーラ22を用いて排気ガスGeを冷却して排気ガスGeを還流させる第4ステップを行う。
【0041】
そして、ステップS14又はステップS15を予め設定された所定の時間(切替バルブの制御のインターバルに関係する時間)を経過するとリターンに行き、上級の制御フローに戻る。
【0042】
上記のEGR装置20及び排気ガス還流方法によれば、早期昇温制御中であるか否かと、エンジン10の運転領域が第1低負荷領域Raか第2低負荷領域Rbかそれ以外の領域Rcであるかを判断して、その判断結果によりEGRクーラ22のある通路とEGRバイパス通路24とを使い分けているので、EGRガスGeの冷却が不要なときには、EGRガスGeをEGRクーラ22を通過させずに、温度の高いEGRガスGeをシリンダ内に導入することができる。
【0043】
さらに、EGRバイパス通路24を使用する場合のエンジン10の運転領域を、早期昇温制御中では、早期昇温制御中ではない場合の第1低負荷領域Raよりも負荷が大きい第2低負荷領域Rbまで拡大しているので、排気ガスGoの早期昇温制御中にHCが発生することをより効果的に防止しながら、より早期に排気ガスGoを昇温できる。
【符号の説明】
【0044】
10 エンジン(内燃機関)
11 エンジン本体
12 吸気通路
16 排気通路
20 EGR装置
21 EGR通路
22 EGRクーラ
23 EGR弁
24 EGRバイパス通路
25 切替バルブ
21 EGR通路
30 排気ガス浄化システム
40 制御装置
41 切替バルブ制御手段
A 吸気
Gc 浄化された排気ガス
Ge 排気ガス(EGRガス)
Go 排気ガス
Ne 回転速度
q 燃料噴射量
qa 第1燃料噴射量
qb 第2燃料噴射量
Q 負荷
Ra 第1低負荷領域
Rb 第2低負荷領域
Rc その他の負荷領域
Ta 吸気温度
To EGRクーラ出口温度
Tw 冷却水温度
図1
図2
図3