特許第6252116号(P6252116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横浜ゴム株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6252116-支承体の据付方法 図000002
  • 特許6252116-支承体の据付方法 図000003
  • 特許6252116-支承体の据付方法 図000004
  • 特許6252116-支承体の据付方法 図000005
  • 特許6252116-支承体の据付方法 図000006
  • 特許6252116-支承体の据付方法 図000007
  • 特許6252116-支承体の据付方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252116
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】支承体の据付方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/04 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   E01D19/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-231669(P2013-231669)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-92043(P2015-92043A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2016年11月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】秦野 均
【審査官】 岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−157730(JP,A)
【文献】 特開平08−334113(JP,A)
【文献】 特開2003−227109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁を構成する橋桁と橋脚との間の所定位置に支承体を固定する支承体の据付方法において、前記支承体の下沓に予めアンカーボルトを下側に突出させて固定しておき、前記橋脚の上面に載置されるベースプレートに予め貫通孔を形成しておくとともに、前記橋脚に前記貫通孔に連通する箱抜き部を予め形成しておき、前記アンカーボルトを、前記貫通孔および前記箱抜き部に橋軸方向に移動可能に挿入して、前記支承体を前記ベースプレートに載置し、この支承体に前記橋桁を載置して、この支承体を橋軸方向に移動可能に仮置きし、この仮置きした支承体を所定位置に固定する際には、前記貫通孔および前記箱抜き部にモルタルを充填することにより、前記アンカーボルトと前記ベースプレートおよび前記橋脚とを一体化させることを特徴とする支承体の据付方法。
【請求項2】
前記アンカーボルトを前記下沓に着脱自在に固定する請求項1に記載の支承体の据付方法。
【請求項3】
前記アンカーボルトを前記下沓から下側に50cm〜100cmの範囲で突出させて固定しておく請求項1または2に記載の支承体の据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支承体の据付方法に関し、さらに詳しくは、多点固定構造の橋梁を構成する橋桁と橋脚との間の所定位置に支承体を固定して据付ける場合に、据付施工中は橋桁の橋軸方向の変動を吸収するとともに橋桁の浮き上がりを防止しながら支承体を仮置きでき、据付施工完了時には容易に支承体を所定位置に固定できる支承体の据付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋梁を構成する橋桁と橋脚との間には、橋桁を支持する支承体が設置される(例えば特許文献1参照)。図1に例示するように多点固定構造の橋梁11を構築する際には、温度変化等に起因する橋桁12の橋軸方向の変動(伸縮)を吸収するために、橋桁12と橋脚13との間に支承体14を橋軸方向Xに移動可能に仮置きした状態で施工を進める。施工中の橋桁12の橋軸方向Xの変動は、仮置きした支承体14が橋脚13に対して橋軸方向Xに移動することにより吸収される。仮置きした支承体14は、その後の工程において橋桁12と橋脚13との間の所定位置に固定される。
【0003】
図7に例示する従来の支承体14は、ゴム層3と鋼板4とを上下に積層して形成された積層体2が、上沓5と下沓7との間に接合して一体化されていて、上沓5はソールプレート6を介して橋桁12に固定される。上沓5には、橋桁12に埋設されたアンカーボルト9aが、ボルト穴5aを貫通してナット10によって固定されている。下沓7はベースプレート8に載置されている。ベースプレート8は、橋脚13に埋設されたアンカーボルト9bが埋入されることにより橋脚13の上面に固定されている。下沓7には、橋軸方向Xを長径とした長孔7bが形成されていて、長孔7bを貫通する仮固定ボルト15がベースプレート8に固定されている。この仮固定ボルト15および長孔7bによって、据付施工中の支承体14は橋脚13に対して橋軸方向Xに移動可能に仮置きされる。
【0004】
仮置きされた支承体14を所定位置に固定する場合には、仮固定ボルト15と長孔7bとのすき間を特殊なスペーサで埋めなければならず、煩雑な作業が必要となる。また、橋桁12を浮き上がらせようとする上揚力を抑える力は、仮固定ボルト15の強度に依存するので、上揚力の抑制に対する安全性および確実性をより向上させることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−275779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、橋梁を構成する橋桁と橋脚との間の所定位置に支承体を固定して据付ける場合に、据付施工中は橋桁の橋軸方向の変動を吸収するとともに橋桁の浮き上がりを防止しながら支承体を仮置きでき、据付施工完了時には容易に支承体を所定位置に固定できる支承体の据付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の支承体の据付方法は、橋梁を構成する橋桁と橋脚との間の所定位置に支承体を固定する支承体の据付方法において、前記支承体の下沓に予めアンカーボルトを下側に突出させて固定しておき、前記橋脚の上面に載置されるベースプレートに予め貫通孔を形成しておくとともに、前記橋脚に前記貫通孔に連通する箱抜き部を予め形成しておき、前記アンカーボルトを、前記貫通孔および前記箱抜き部に橋軸方向に移動可能に挿入して、前記支承体を前記ベースプレートに載置し、この支承体に前記橋桁を載置して、この支承体を橋軸方向に移動可能に仮置きし、この仮置きした支承体を所定位置に固定する際には、前記貫通孔および前記箱抜き部にモルタルを充填することにより、前記アンカーボルトと前記ベースプレートおよび前記橋脚とを一体化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支承体の下沓に予めアンカーボルトを下側に突出させて固定しておき、橋脚の上面に載置されるベースプレートに予め貫通孔を形成しておくとともに、前記橋脚に前記貫通孔に連通する箱抜き部を予め形成しておき、前記アンカーボルトを、前記貫通孔および前記箱抜き部に橋軸方向に移動可能に挿入することにより、前記支承体を前記ベースプレートの上に仮置きするので、据付施工中の橋桁の橋軸方向の変動は、前記アンカーボルトを含めた支承体が、橋脚に対して橋軸方向に移動することにより吸収される。また、貫通孔および箱抜き部に挿入されたアンカーボルトが、据付施工中に上揚力を抑える部材として機能するので、上揚力を抑制することに対する安全性および確実性がより向上する。
【0010】
仮置きした支承体を所定位置に固定して据付ける際には、貫通孔および箱抜き部にモルタルを充填して、アンカーボルトとベースプレートおよび橋脚とを一体化させればよいので、特殊なスペーサは不要となり、煩雑な作業を伴わずに支承体を容易に所定位置に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】橋脚と橋桁との間に固定される支承体を例示する説明図である。
図2】本発明に用いる支承体を橋桁と橋脚の間に仮置きした状態を例示する正面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4図2のベースプレートおよび橋脚の上面を例示する平面図である。
図5】本発明に用いる支承体をベースプレートに載置する工程を例示する説明図である。
図6図5のベースプレートの貫通孔および橋脚の箱抜き部に無収縮モルタルを充填した状態を例示する正面図である。
図7】従来の支承体を橋桁と橋脚の間に仮置きした状態を例示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の支承体の据付方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。尚、図面では、橋軸方向をX方向で示し、橋軸直角方向をY方向で示している。
【0013】
図1に例示する本発明に用いる支承体1は、多点固定構造の橋梁11を構成する橋桁12と橋脚13との間に据付けられるが、据付施工中は橋脚13の上に仮置きされ、据付完了時に橋脚13の上の所定位置に固定される。この支承体1は、図2、3に例示するように、ゴム層3と鋼板4とを上下に積層して形成された積層体2と、積層体2の上面に接合された上沓5と積層体2の下面に接合された下沓7と、下沓7から下側に突出して固定されているアンカーボルト9bとを備えている。積層体2と上沓5および下沓7とは加硫接着により一体化されている。この支承体1は、橋軸方向Xに移動可能に橋桁12と橋脚13との間に仮置きされている。
【0014】
上沓5は橋桁12の下面に固定されたソールプレート6を介して橋桁12に固定されている。平面視で四角形状の上沓5の四隅には、橋桁12に埋設されたアンカーボルト9aが、上沓5に形成されたボルト穴5aを貫通してナット10によって固定されている。橋脚13の上面にはベースプレート8が載置されていて、ベースプレート8に下沓7が載置されている。
【0015】
平面視で四角形状の下沓7の四隅には、アンカーボルト9bが下側に突出して固定されている。この実施形態では、アンカーボルト9bの上端部が下沓7に形成されたボルト穴7aを貫通し、ナット10が螺合されることにより、アンカーボルト9bが下沓7に着脱自在に固定されている。アンカーボルト9bの下沓7から下側への突出量は例えば50cm〜100cm程度である。アンカーボルト9bの外径は例えば50mm〜100mmである。
【0016】
ベースプレート8には、下沓7を載置した際にそれぞれのアンカーボルト9bに対応する位置に貫通孔8aが形成されている。この貫通孔8aは橋軸方向Xを長径とした長孔になっている。
【0017】
橋脚13の上面には、ベースプレート8の面積よりも大きな平面視で四角形状の段差部13bが形成されている。この段差部13bの表面のそれぞれの貫通孔8aに対応する位置に空洞となる箱抜き部13aが形成されている。箱抜き部13aはアンカーボルト9bを収容できる深さを有し、平面視では単純な円形状になっている。対応する貫通孔8aと箱抜き部13aとは、段差部13bを介して連通している。図示していないが、段差部13bの表面には台座が配置されていて、この台座の上にベースプレート8が載置されている。これにより、段差部13bの表面とベースプレート8の下面との間には隙間が形成されている。
【0018】
それぞれのアンカーボルト9bは、対応する貫通孔8aおよび箱抜き部13aに挿入されて橋軸方向Xに移動可能になっていて、橋軸直角方向Yには実質的に移動不可能になっている。これにより、アンカーボルト9bおよびベースプレート8よりも上側部分は、ベースプレート8および橋脚13に対して橋軸方向Xに移動可能になっている。即ち、支承体1は橋脚13に対して橋軸方向Xに移動可能に仮置きされている。
【0019】
次に、支承体1を据付ける手順を説明する。
【0020】
図4に例示するように、箱抜き部13aおよび段差部13bが形成された橋脚13に、貫通孔8aが形成されたベースプレート8を台座を介して載置する。対応する貫通孔8aおよび箱抜き部13aが連通するようにベースプレート8を段差部13bの範囲内で位置決めして橋脚13に設置する。
【0021】
次いで、図5に例示するように、支承体1の下沓7から下側に突出させて予め固定した4本のアンカーボルト9bを、対応する貫通孔8aおよび箱抜き部13aに挿入して、支承体1をベースプレート8に載置する。この支承体1の上沓5にソールプレート6を介して橋桁12を配置して橋桁12を支承体1に固定する。これにより、図2に例示したように支承体1を橋軸方向Xに移動可能に仮置きする。
【0022】
仮置きした支承体1は、アンカーボルト9bが貫通孔8aおよび箱抜き部13aに橋軸方向Xに移動可能に挿入されているので、下沓7の下面とベースプレート8の上面との間で橋軸方向Xにずれ移動することができる。したがって、支承体1の据付施工中の橋桁12の橋軸方向Xの変動は、アンカーボルト9bを含めた支承体1が、橋脚13に対して一体的に橋軸方向Xに移動することにより吸収される。
【0023】
支承体1が仮置きされている際に、橋桁12に上揚力が作用すると、アンカーボルト9bが貫通孔8aおよび箱抜き部13aに干渉して橋桁12が上方に浮き上がることを防止する。即ち、貫通孔8aおよび箱抜き部13aに挿入されたアンカーボルト9bが、施工中に上揚力を抑える部材として機能するので、上揚力を抑制することに対する安全性および確実性がより向上し、特別な上揚力対策が不要になる。
【0024】
アンカーボルト9bを、上揚力を抑える部材として十分に機能させるには、アンカーボルト9bを下沓7から下側に50cm以上突出させておくとよい。一方、この突出量を100cm超にすると、アンカーボルト9bのコストや箱抜き部13aを形成するためのコストが過大になるので、アンカーボルト9bの下沓7から下側への突出量は50cm〜100cmにすることが好ましい。
【0025】
所定の作業が完了して、支承体1を橋桁12と橋脚13との間の所定位置に固定して据付ける際には、図6に例示するように段差部13bを通じて無収縮モルタルMを供給する。即ち、段差部13bを箱抜き部13aに無収縮モルタルMを充填するための充填路として機能させる。これにより、箱抜き部13a、段差部13b、貫通孔8aとアンカーボルト9bとのすき間に無収縮モルタルMを充填する。尚、段差部13bの表面とベースプレート8の下面に介在させていた台座はそのままの状態で無収縮モルタルMに埋設する。無収縮モルタルMが固化することにより、アンカーボルト9bとベースプレート8および橋脚13とが一体化する。仮置きした支承体14を所定位置に固定する際に従来使用していた特殊なスペーサなどは不要となり、煩雑な作業を伴わずに支承体1を容易に所定位置に固定することができる。また、それぞれの貫通孔8aにまで無収縮モルタルMを充填して固化させることにより、支承体1をより強固に橋脚13に固定することができる。
【0026】
この実施形態では、アンカーボルト9bが下沓7に対して着脱自在に固定されているので、例えば、積層体2が損傷した等の場合、積層体2と上沓5と下沓7との一体物を容易に交換することができる。
【0027】
この実施形態の積層体2は四角柱状であるが、例えば、円柱状や四角柱以外の多角柱状を採用することもできる。上沓5および下沓7は、四角形状に限らず、円形状等他の形状にすることもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 支承体
2 積層体
3 ゴム層
4 鋼板
5 上沓
5a ボルト穴
6 ソールプレート
7 下沓
7a ボルト穴
7b 長孔
8 ベースプレート
8a 貫通孔
9a、9b アンカーボルト
10 ナット
11 橋梁
12 橋桁
13 橋脚
13a 箱抜き部
13b 段差部
14 従来の支承体
15 仮固定ボルト
M 無収縮モルタル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7