【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、所定の取得期間中における太陽電池の発電電力を取得し、
直近の取得期間に取得された発電電力の最大値に相関する値を最新の閾値とし、
新たに取得された前記発電電力値が前記閾値より大きいと判定された場合に、前記太陽電池のI−Vカーブを計測するようにしたことを最大の特徴とする。
【0010】
より詳しくは、太陽電池の発電電力を取得する電力取得手段と、
直近の取得期間に取得された発電電力の最大値に相関する値を最新の閾値として記憶する閾値記憶手段と、
前記電力取得手段によって新たに取得された前記発電電力の値と、前記閾値記憶手段に記憶された閾値の大小を比較判定する比較手段と、
前記比較手段によって前記新たに取得された発電電力の値が前記閾値より大きいと判定された場合に、前記太陽電池のI−Vカーブを計測するI−Vカーブ計測手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
すなわち本発明は、直近の取得期間において、以前に取得された太陽電池の発電電力の最大値に相関する値を閾値とし、新たに取得された太陽電池の発電電力の値が閾値より大きくなった場合に、そのタイミングでI−Vカーブを計測する。
【0012】
これによれば、太陽電池が過去最大程度の電力を発電可能な条件、例えば快晴の状況が整った場合に、I−Vカーブの計測を行うことが可能となる。よって、I−Vカーブ計測における条件をある程度以上の好条件に揃えることができ、I−Vカーブの評価の精度を向上させることができる。また、曇りや障害物の陰などで正確なI−Vカーブの計測が困難な場合には計測が行われる可能性を低減できるので、無駄な計測を抑制でき、I−Vカーブ計測の効率を向上させることができる。また、I−Vカーブ計測の際には太陽電池による発電は停止されるので、無駄な計測を抑制することで太陽光発電システムとしての発電効率を向上させることができる。さらに、日射強度を直接に測定する必要がないために、日射計を必要とせず、システムのコストダウンを推進することができる。
【0013】
なお、上記において取得期間とは、例えば数日から六カ月程度の期間であってもよい。また、取得期間はさらに長期間、例えば一年間、四年間、九年間などの期間でもよい。仮に取得期間を一カ月とした場合には、基本的には、月毎に、前月以前の発電電力の最大値として設定された閾値と、当月内の発電電力とを比較し、前月以前の発電電力の最大値をさらに当月の発電電力が上回った場合に、I−Vカーブを計測することができる。また、上記において、直近の取得期間とは、現在の取得期間の前の期間を示す。例えば取得期間が一カ月の場合は、前月以前ということでもよいし、三ヵ月以上前などより前の期間としてもよい。また、取得期間は例えば一週間としてもよく、その場合の直近の取得期間は一週間以上前の期間としてもよいし、三週間以上前などより前の期間としても構わない。ここで、期間の始期は適宜設定されていることが前提である。例えば、その年の1月1日、年度初めの4月1日、あるいは、複数年前の1月1日、複数年前の4月1日、さらには、
システムの稼働開始の月の前月の1日などである。上記における取得期間及び、直近の取得期間は、I−Vカーブ計測の目的などに応じ、適宜決定すればよい。
【0014】
また、上記において、新たに取得された発電電力の値とは、現在の取得期間中に取得された発電電力の値を意味するが、必ずしもリアルタイムで取得された発電電力の値を意味しない。I−Vカーブの計測環境が著しく変化しない範囲で適宜変更が可能である。例えば数秒〜15分程度前に取得された値であっても構わない。
【0015】
ここで、本発明においては、前記直近の取得期間中に取得された発電電力の最大値に相関する値を、閾値として閾値記憶手段に記憶する。すなわち、直近の取得期間に発電電力の最大値として設定された閾値と、当月内の発電電力とをそのまま比較することでは、I−Vカーブ計測手段が好適なタイミングで太陽電池のI−Vカーブを計測することが困難な場合に、発電電力の最大値に相関する適切な値を閾値とするとよい。そうすれば、I−Vカーブ計測手段が好適なタイミングで太陽電池のI−Vカーブを計測可能なように、閾値を予め調整することが可能である。この発電電力の最大値に相関する値は、発電電力の最大値が増加すれば増加し、減少すれば減少するような値が望ましい。より詳細には、例えば、最大値に係数を乗じた値や、最大値に一定値を増減させたような値であってもよい。
【0016】
なお、本発明は、上記の発電電力の最大値に相関する値を導入した趣旨から逸脱しない限り、逆に、直近の取得期間の発電電力の最大値として設定された閾値と、当月内の発電電力に相関する値とを比較することを含む。このことでも、直近の取得期間における発電電力の最大値に相関する値を閾値にし、新たに取得された発電電力と比較する場合と同様に、I−Vカーブ計測手段が好適なタイミングで太陽電池のI−Vカーブを計測可能なような調整をすることが可能である。ここでいう発電電力に相関する値も、新たに取得した発電電力の値が増加すれば増加し、減少すれば減少するような値が望ましい。例えば、発電電力の値に係数を乗じた値や、一定値を増減させたような値であってもよい。さらに、本発明において、閾値と、新たに取得された発電電力の値または、その値に相関する値とを比較する際に、両者に対して、等価な変換を加えてから比較しても良いことは当然である。
【0017】
また、本発明においては、前記新たに取得された前記発電電力の最大値に相関する値を記憶する最大値記憶手段と、
前記閾値記憶手段に記憶された閾値と、前記最大値記憶手段に記憶された値の大小を比較判定する最大値比較手段と、
前記最大値比較手段により、前記最大値記憶手段に記憶された値が、前記閾値記憶手段に記憶された閾値より大きいと判断されたときには該発電電力の最大値に相関する値を、前記最大値比較手段により、前記最大値記憶手段に記憶された値が、前記閾値記憶手段に記憶された閾値以下と判断されたときには該閾値を、新たな閾値として設定する閾値設定手段と
をさらに備えるようにしてもよい。これによれば、現在の取得期間を含めた過去の期間の発電電力の最大値に相関する値が閾値になるよう、閾値を常に更新することが可能である。
【0018】
本発明では、閾値記憶手段には、直近の取得期間に取得された発電電力の最大値に相関する値が最新の閾値として記憶されており、最大値記憶手段には新たに取得された発電電力の最大値に相関する値を記憶しておき、最大値比較手段ではこの両者を比較するようにしている。従って、より確実に、現在の取得期間を含めた過去の期間の発電電力の最大値に相関する値が閾値になるよう、閾値を常に更新することが可能である。
【0019】
また、本発明においては、前記相関する値とは、上述のように、前記発電電力の最大値に係数を乗算して得られた値であってもよい。その他、前記発電電力の最大値に定数を加減して得られた値であってもよい。また、一次関数、二次関数、指数関数、対数関数などの他の演算を行って得られた値であってもよい。
【0020】
また、本発明においては、前記係数を、前記取得期間が属する季節に応じて変更するようにしてもよい。ここで季節とは、所定の地域において一年を天候の推移にしたがって分けた場合のそれぞれの区切りを意味する。そして、季節に応じて係数を変更するとは、例えば所定の地域の日射量や温度の推移を係数としたり、太陽光発電の最大電力点の推移や、最大電力点における発電電力の推移を係数としたりすることが考えられる。例えば、前記相関する値が、前記発電電力の最大値に係数を乗算して得られる値である場合に、夏に向かう季節においては、取得期間中の発電電力が、取得期間の前の期間の閾値より大きくなる可能性が高い。しかしながら、冬に向かう季節においては、取得期間中の発電電力が、取得期間の前の期間の閾値より大きくなる可能性は低い。よって、夏から冬に向かう季節においては係数を小さく設定し、冬から夏に向かう季節においては係数を大きく設定してもよい。例えば、夏から冬に向かう季節においては係数を0.8〜1.0の範囲で設定し、冬から夏に向かう季節においては係数を1.0〜1.3の範囲で設定してもよい。
【0021】
また、本発明においては、前記I−Vカーブ計測手段は、前記取得期間内で、最初に、前記比較手段によって前記発電電力が前記閾値を超えたと判定された場合に、前記太陽電池のI−Vカーブを計測するようにしてもよい。これによれば、自動的に取得期間内のI−Vカーブの計測を1回以下に制限することが可能である。
【0022】
さらに、前記I−Vカーブ計測手段は、前記取得期間内で、最初に、前記比較手段によって前記発電電力が前記閾値を超えたと判定されて以降、その際の前記発電電力のピーク値より大きなピーク値が所定回数計測された場合に、再度I−Vカーブの計測を行い、計測結果を更新するようにしてもよい。そうすれば、発電電力が明らかに大きくなる傾向がある取得期間においては、複数回のI−Vカーブの計測を許容し、より大きな発電電力が得られる条件においてI−Vカーブの計測を行うことができる。なお、ここで所定回数とは、2〜3回であってもよい。
【0023】
また、本発明においては、前記取得期間中における所定時までに、前記比較手段によって前記発電電力が前記閾値より大きいと一度も判定されない場合には、警告を発するようにしてもよい。これによれば、I−Vカーブの計測が自動的には一度も行われないような取得期間においては、手動でI−Vカーブの計測を行うことが可能となる。
【0024】
また、本発明においては、前記I−Vカーブ計測手段により計測されたI−Vカーブが正常か異常かを判定し、異常と判定された場合には警告を発するようにしてもよい。これによれば、より早急に、I−Vカーブの異常の原因を除去することが可能になる。
【0025】
また、本発明は、前記電力取得手段と、前記閾値記憶手段と、前記比較手段と、前記I−Vカーブ計測手段の少なくとも一つを可搬性の筺体内に収納してもよい。
【0026】
また、本発明は、前記電力取得手段と、前記閾値記憶手段と、前記比較手段と、前記I−Vカーブ計測手段と、前記最大値記憶手段と、前記最大値比較手段と、前記閾値設定手段のうちの少なくとも一つを可搬性の筺体内に収納してもよい。
【0027】
また、本発明は、上記の太陽電池のI−Vカーブ計測装置における、前記電力取得手段と、前記閾値記憶手段と、前記比較手段と、前記I−Vカーブ計測手段のうちの少なくとも一つと、DC/DCコンバータと、インバータと、を含むことを特徴とする太陽光発電
システムのパワーコンディショナであってもよい。
【0028】
また、本発明は、上記の太陽電池のI−Vカーブ計測装置における、前記電力取得手段と、前記閾値記憶手段と、前記比較手段と、前記I−Vカーブ計測手段と、前記最大値記憶手段と、前記最大値比較手段と、前記閾値設定手段のうちの少なくとも一つと、DC/DCコンバータと、インバータと、を含むことを特徴とする上記の太陽光発電システムのパワーコンディショナであってもよい。
【0029】
また、本発明は、太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールからの出力をDC/DCコンバータによって昇圧するとともにインバータによって直流電力を交流電力に変換して出力する太陽電池のパワーコンディショナと、
上記のI−Vカーブ計測装置と、
を備えることを特徴とする太陽光発電システムであってもよい。
【0030】
また、本発明は、太陽電池モジュールと、
上記の太陽電池のパワーコンディショナと、
を備えることを特徴とする太陽光発電システムであってもよい。
【0031】
また、本発明は、所定の取得期間中における太陽電池モジュールの発電電力を計測し、
前記取得期間より前の期間中に計測された前記発電電力の最大値に相関する値を閾値とし、
前記取得期間に新たに計測された前記発電電力が前記閾値より大きいと判定された場合に、前記太陽電池モジュールのI−Vカーブを計測することを特徴とする太陽光発電システムにおけるI−Vカーブ計測方法であってもよい。
【0032】
また、上記のI−Vカーブ計測方法において、前記取得期間における前記太陽電池モジュールの発電電力の最大値に相関する値を記憶し、
前記取得期間における前記太陽電池モジュールの発電電力の最大値に相関する値とその時点における前記閾値とを比較し、前記発電電力の最大値に相関する値が前記閾値より大きければ該発電電力の最大値に相関する値を、前記発電電力の最大値に相関する値が前記閾値以下であれば該閾値を、新たな閾値として設定するようにしてもよい。
【0033】
なお、上記した課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することが可能である。