特許第6252167号(P6252167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252167
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 13/02 20060101AFI20171218BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20171218BHJP
   F02B 37/18 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   F02D13/02 K
   F02D13/02 B
   F02D23/00 K
   F02B37/18
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-268697(P2013-268697)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-124658(P2015-124658A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100134511
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100128565
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼林 芳孝
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 祐一
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−530329(JP,A)
【文献】 特開2012−241542(JP,A)
【文献】 特開2010−190113(JP,A)
【文献】 特開2012−246777(JP,A)
【文献】 特開2009−047005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D13/00−28/00
F02D41/00−45/00
F02B33/00−41/10
F02B47/08−47/10
F02M26/00−26/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気弁を有した内燃機関と、
前記内燃機関に接続された排気通路と、
前記排気通路に設けられた過給機のタービンと、
前記タービンをバイパスするバイパス通路と、
前記バイパス通路を開閉するバイパス弁と、
排気行程の少なくとも一部の期間で前記排気弁を開状態にする第1モードと前記排気行程の少なくとも一部の期間で前記排気弁を開状態にすると共に吸気行程の少なくとも一部の期間で前記排気弁のリフト量を増大させてその後に閉じる第2モードとを切替可能な動弁装置と、
前記第2モードに切り替えて前記バイパス弁の開度を、全閉に制御する、又は前記第1モードでの前記バイパス弁の開度よりも閉じ側に制御する制御部と、を備え
前記制御部は、前記内燃機関の燃焼状態が不安定の場合には前記第2モードに切り替えて前記バイパス弁を閉じ、前記内燃機関の燃焼状態が安定している場合には前記第1モードに切り替え、前記内燃機関の燃焼状態が安定している場合に前記バイパス通路よりも下流側で前記排気通路に設けられた触媒の暖機の要求があった場合には前記第1モードで前記バイパス弁を開く、内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記内燃機関の回転速度の変化率に基づいて前記内燃機関の燃焼状態の安定性を判定する、請求項1の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記内燃機関の複数の気筒のそれぞれの筒内圧力に基づいて前記内燃機関の燃焼状態の安定性を判定する、請求項1又は2の内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排気弁を排気行程のみならず吸気行程でも開いて内部EGR量を増大させる技術が開示されている。特許文献2には、排気ガスが過給機のタービンをバイパスするようにする技術が開示されている。特許文献3には、過給域で排気圧力が吸気圧力より高くなるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−105954号公報
【特許文献2】特開2001−107722号公報
【特許文献3】特許第3551436号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気ガスがタービンをバイパスするとタービンを通過する排気ガス量は低下し、吸気圧力に対して排気圧力が低下する。このように排気圧力が低下している場合に、内部EGR量を増大させるために排気弁を吸気行程で開くと、排気ガスを気筒内へ戻すことが困難となり内部EGR量を確保できないおそれがある。
【0005】
そこで、内部EGR量を確保できる内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、排気弁を有した内燃機関と、前記内燃機関に接続された排気通路と、前記排気通路に設けられた過給機のタービンと、前記タービンをバイパスするバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉するバイパス弁と、排気行程の少なくとも一部の期間で前記排気弁を開状態にする第1モードと前記排気行程の少なくとも一部の期間で前記排気弁を開状態にすると共に吸気行程の少なくとも一部の期間で前記排気弁のリフト量を増大させてその後に閉じる第2モードとを切替可能な動弁装置と、前記第2モードに切り替えて前記バイパス弁の開度を、全閉に制御する、又は前記第1モードでの前記バイパス弁の開度よりも閉じ側に制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記内燃機関の燃焼状態が不安定の場合には前記第2モードに切り替えて前記バイパス弁を閉じ、前記内燃機関の燃焼状態が安定している場合には前記第1モードに切り替え、前記内燃機関の燃焼状態が安定している場合に前記バイパス通路よりも下流側で前記排気通路に設けられた触媒の暖機の要求があった場合には前記第1モードで前記バイパス弁を開く内燃機関の制御装置によって達成できる。
【0009】
前記制御部は、前記内燃機関の回転速度の変化率に基づいて前記内燃機関の燃焼状態の安定性を判定する、構成であってもよい。
【0010】
前記制御部は、前記内燃機関の複数の気筒のそれぞれの筒内圧力に基づいて前記内燃機関の燃焼状態の安定性を判定する、構成であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
内部EGR量を確保できる内燃機関の制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施例のエンジンシステムの説明図である。
図2図2Aは、本実施例のエンジンの説明図であり、図2Bは、本実施例の動弁装置の説明図である。
図3図3は、第1モードでの吸気弁、排気弁のリフト状態を示したグラフである。
図4図4は、第2モードでの吸気弁、排気弁のリフト状態を示したグラフである。
図5図5は、ECUが実行する制御の一例を示したフローチャートである。
図6図6は、ECUが実行する燃焼状態の判定方法の一例を示したフローチャートである。
図7図7は、ECUが実行する燃焼状態の判定方法の他の例を示したフローチャートである。
図8図8は、第2モードの変形例での吸気弁、排気弁のリフト状態を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施例のエンジンシステムの説明図である。エンジン1は、複数の気筒2a〜2dが設けられたディーゼルエンジンであるがガソリンエンジンであってもよい。エンジン1は単一の気筒を有しているものであってもよい。エンジン1には、排気通路3、吸気通路4が接続されている。排気通路3の途中には、過給機5のタービンハウジング50が配置されている。排気通路3においてタービンハウジング50より上流の部位と下流の部位は、バイパス通路30によって連通している。バイパス通路30には、バイパス弁31が配置されている。バイパス弁31は、ウェストゲートバルブとも称される。排気通路3には、バイパス通路30の接続部よりも下流側には触媒20が設けられている。触媒20は、酸化触媒であるが、例えば三元触媒やNOx触媒であってもよい。触媒20の前後には排気の温度を検出するための温度センサ13、14が設けられている。エンジン1にはクランク角センサ9が設けられている。
【0014】
吸気通路4の途中には、過給機5のコンプレッサハウジング51が配置されている。吸気通路4においてコンプレッサハウジング51より下流には、インタークーラ6が配置されている。インタークーラ6より下流の吸気通路4には、スロットル弁7が配置されている。スロットル弁7より下流の吸気通路4には、吸気圧センサ11が取り付けられている。
【0015】
タービンハウジング50内にタービン500が設けられている。コンプレッサハウジング51内にコンプレッサ501が設けられている。タービン500及びコンプレッサ501はタービンシャフトにより同軸に連結され、排気ガスによってタービン500が回転駆動されたとき、コンプレッサ501も回転駆動され、吸気通路4内の吸気を過給する。
【0016】
ECU8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、各センサからの出力に基づいて、エンジンシステム全体の作動を制御する。ECU8は、制御部の一例である。ECU8は、詳しくは後述するがエンジン1の燃焼状態が安定しているか否かを判定する。また、エンジン1は、触媒20の暖機要求があるか否かを判定する。触媒20の暖機要求は、触媒20の温度が活性化温度未満の場合に要求される。ECU8は、温度センサ13、14の出力値や、又はエンジン1の冷却水の温度等に基づいて、触媒20の温度が活性化温度未満であるか否かを推定し、活性化温度未満の場合には触媒20の暖機制御を実行する。
【0017】
図2Aは、本実施例のエンジン1の説明図である。気筒2a内ではピストンPaが往復動する。燃料噴射弁Faは気筒2a内には燃料を直接噴射する。吸気弁V1、排気弁V2は、それぞれ吸気カムシャフトS1、排気カムシャフトS2の回転に伴って所定の行程内で昇降しそれぞれ吸気ポートPT1、排気ポートPT2を開閉する。一つの気筒2aに対して、2対の吸気ポートPT1、排気ポートPT2が設けられ、同様に2対の吸気弁V1、排気弁V2が設けられている。気筒2b〜2dも、気筒2aと同様に形成されている。動弁装置L2は、排気弁V2が開いている期間を変更可能である。
【0018】
図2Bは、本実施例の動弁装置L2の説明図である。動弁装置L2は、排気カムシャフトS2の軸方向に並び外形が異なる第1カムCM1及び第2カムCM2と、第1カムCM1により駆動し排気弁V2をリフトさせるロッカーアームR1と、第2カムCM2により駆動しロッカーアームR1に対して非連結状態から連結状態へ切替可能な揺動アームR2とを備えた装置である。ロッカーアームR1及び揺動アームR2には、ピンP1、P2が保持されている。また、ピンP1、P2には、ECU8によって制御されるオイルコントロールバルブOCVによって油圧が作用する。ピンP1、P2に油圧が作用していない状態では、ピンP1、P2はそれぞれロッカーアームR1及び揺動アームR2に保持され、ロッカーアームR1と揺動アームR2とは非連結状態にある。ピンP1、P2に油圧が作用すると、ピンP1、P2はバネSPの付勢力に抗して移動して、ピンP1はロッカーアームR1及び揺動アームR2に係合する。これにより、ロッカーアームR1と揺動アームR2とは連結状態となる。油圧が解除されるとバネSPの付勢力によりピンP1、P2はそれぞれロッカーアームR1及び揺動アームR2に保持され、非連結状態に戻る。尚、動弁装置L2は、例えば特開平6−212925号公報や特開2009−264200号公報に開示されているような装置であってもよい。
【0019】
非連結状態を第1モードと称し、連結状態を第2モードと称する。第1モードでは、排気弁V2は排気行程の少なくとも一部の期間で開いた状態に維持される。第2モードでは、排気弁V2は排気行程の少なくとも一部の期間で開いた状態に維持されると共に吸気行程の少なくとも一部の期間で排気弁V2のリフト量を増大させてその後に閉じる。従って、第1カムCM1の外周形状は、排気弁V2を排気行程の少なくとも一部の期間で開いた状態に維持するように形成されている。第2カムCM2の外周形状は、ロッカーアームR1及び揺動アームR2が連結した状態で吸気行程の少なくとも一部の期間で排気弁V2のリフト量を増大させてその後閉じるように形成されている。
【0020】
次に、排気弁V2のリフト状態について説明する。図3は、第1モードでの吸気弁V1、排気弁V2のリフト状態を示したグラフである。リフト曲線C1、C2は、それぞれ吸気弁V1、排気弁V2のリフト状態を示している。エンジン1の状態は、膨張行程、排気行程、吸気行程、圧縮行程の順に移行してこれらの行程を繰り返す。
【0021】
図3に示すように第1モードでは、排気弁V2は排気行程の期間内では開いており、膨張行程の前半期間、吸気行程の期間、及び圧縮行程の期間で閉じた状態に維持される。また、吸気弁V1は、吸気行程の期間内では開いており、膨張行程の期間、排気行程の期間、圧縮行程の後半期間で閉じた状態に維持される。
【0022】
図4は、第2モードでの吸気弁V1、排気弁V2のリフト状態を示したグラフである。図4に示すように第2モードでは、排気弁V2は排気行程の期間内で開いており、かつ、吸気行程の後半期間と圧縮行程の前半期間とで開いた状態に維持されている。詳しくは後述するが、バイパス弁31が閉じている場合に排気弁V2が吸気行程の期間内で開くことにより、排気ガスを気筒内に導入して内部EGR量を確保できる。従って、図3、4に示したリフト曲線C2は、第1カムCM1によって実現される。図4に示したリフト曲線C2´は第2カムCM2によって実現される。
【0023】
尚、第1モードでは、吸気弁V1、排気弁V2の作用角、最大リフト量は図3に示したリフト曲線C1、C2に示したものに限られない。排気弁V2は、排気行程の少なくとも一部の期間で開いてればよく、排気行程中に開き始めてもよいし、排気行程中に閉じてもよい。吸気弁V1は、吸気行程中に開き始めてもよいし、吸気行程中に閉じてもよい。また、クランク角度360度付近で吸気弁V1、排気弁V2の双方が開いたオーバーラップ期間は、あってもよいしなくてもよい。また、第2モードでは、リフト曲線C2´は、図4に示すものに限られない。排気弁V2は、吸気行程内でリフト量が増大して吸気行程内で閉じてもよい。吸気行程内での排気弁V2の最大リフト量も限定されない。
【0024】
ここで、膨張行程とは、クランク角度が0度から180度までの期間に対応している。排気行程とは、クランク角度が180度から360度までの期間に対応する。吸気行程とは、クランク角度が360度から540度までの期間に対応する。圧縮行程とは、クランク角度が540度から720度までの期間に対応する。尚、クランク角度が0度、360度、720度の場合、ピストンは上死点に位置する。クランク角度が180度、540度の場合、ピストンは下死点に位置する。
【0025】
次に、ECU8が実行する制御の一例について説明する。図5は、ECU8が実行する制御の一例を示したフローチャートである。ECU8は、エンジン1の燃焼状態が安定しているか否かを判定する(ステップS1)。燃焼状態の判定方法については詳しくは後述する。否定判定の場合、即ち燃焼状態が安定していない場合には、ECU8は動弁装置L2を第2モードに切り替え(ステップS2)、バイパス弁31を全閉にする(ステップS3)。バイパス弁31を全閉にするとタービン500を通過する排気ガス量が増大するので、排気圧力の低下を抑制できる。これにより、吸気圧力に対して排気圧力の低下を抑制できるので、排気弁V2を吸気行程でも開くことにより内部EGR量を確保できる。これにより、筒内の温度を上昇させて燃焼状態を安定させることができる。ECU8は、燃焼状態が安定するまでステップS2、S3を継続する。
【0026】
ステップS1で肯定判定の場合、即ち燃焼状態が安定した場合、ECU8は動弁装置L2を第1モードに切り替える(ステップS4)。次にECU8は、触媒20の暖機要求があるか否かを判定する(ステップS5)。肯定判定の場合には、ECU8はバイパス弁31を開いた状態に維持する(ステップS6)。例えば、ECU8はバイパス弁31を全開に維持する。これにより、多くの排気ガスがタービン500を通過して放熱して温度が低下することを抑制し、高温の排気ガスを触媒20へ導くことにより、触媒20を早期に暖機できる。ステップS6の処理は触媒20の暖機制御に相当する。ECU8は、触媒20の暖機が完了したか否かを判定する(ステップS7)。触媒20の暖機が完了するまで、ステップS6の処理が継続される。ECU8は、触媒20の温度が活性化温度以上になった場合に触媒20の暖機が完了したと判定する。
【0027】
ステップS5で否定判定の場合、即ち触媒20の暖機要求がない場合、又はステップS7で肯定判定の場合、即ち触媒20の暖機が完了した場合、ECU8はバイパス弁31を通常制御する(ステップS8)。通常制御とは、エンジン1の運転状態に応じて予め設定されたマップに規定された開度にバイパス弁31を制御する態様である。
【0028】
以上のように、第2モードでバイパス弁31を閉じることにより、排気圧力の低下を抑制して内部EGR量を確保できる。また、燃焼状態が不安定な場合に第2モードに切り替えられバイパス弁31は閉じることにより、内部EGR量を確保し燃焼状態を安定させることができる。また、燃焼状態が安定している場合にバイパス弁31を開いて触媒20を暖機し、燃焼状態が不安定な場合に触媒20の暖機が行われることを防止する。これにより、燃焼状態が不安定な場合でバイパス弁31を開いた場合に起こり得るエンジン1の失火やトルクの低下を抑制できる。
【0029】
例えば、本実施例によれば、エンジン1の始動時に燃焼状態が安定せずに触媒20の温度も活性化温度未満の場合には、燃焼状態の安定化を優先しその後に触媒20の暖機が行われることになる。これにより、エンジン1の失火を優先的に防止し、その後に触媒20が活性化される。
【0030】
尚、第2モードでのバイパス弁31の開度は全閉に限定されず、第1モードで制御されるバイパス弁31の開度よりも閉じ側であればよい。例えば、第2モードでのバイパス弁31の開度は、第2モードでの運転状態と同じ運転状態で通常制御される場合のバイパス弁31の開度よりも閉じ側であってもよい。例えば、ある運転状態で第1モードから第2モードへ切り替えられた場合に、第2モードでのバイパス弁31の開度を第1モードでのバイパス弁31の開度よりも閉じ側に制御する。これによっても、排気圧力の低下を抑制して内部EGR量を確保できるからである。
【0031】
尚、触媒20の暖機制御でのバイパス弁31の開度は全開に限定されず、開いていればよい。また、触媒20の暖機制御でのバイパス弁31の開度は、触媒20の暖機制御中での運転状態と同じ運転状態で通常制御される場合のバイパス弁31の開度よりも大きくてもよい。
【0032】
次に、ECU8が実行する燃焼状態の判定方法について説明する。図6は、ECU8が実行する燃焼状態の判定方法の一例を示したフローチャートである。ECU8は、クランク角センサ9からの出力信号に基づいて所定期間内でのエンジン1の回転速度の変化率を算出する(ステップS21)。次にECU8は、変化率が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS22)。所定値は、エンジン1の燃焼状態が安定せずに失火やトルクが低下する可能性がある場合でのエンジン1の回転速度の変化率の値である。否定判定の場合、即ち回転速度の変化率が大きい場合には、エンジン1の回転速度の変化が激しいとしてECU8は燃焼状態が不安定であると判定する(ステップS23)。肯定判定の場合、即ち回転速度の変化率が小さい場合には、ECU8は燃焼状態が安定していると判定する(ステップS24)。
【0033】
次に、ECU8が実行する燃焼状態の判定方法の他の例について説明する。図7は、ECU8が実行する燃焼状態の判定方法の他の例を示したフローチャートである。ECU8は、全気筒2a〜2dの筒内圧力を検出する(ステップS31)。具体的には、気筒2a〜2dのそれぞれの筒内に設けられた圧力センサからの信号に基づいてECU8は各筒内圧力を検出する。次に、ECU8は気筒2a〜2dの筒内圧力のバラつき値が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS32)。筒内圧力のバラつき値とは、気筒2a〜2dのそれぞれの筒内圧力の最大値同士の差が最も大きい値である。所定値とは、燃焼状態が安定しており失火する可能性がないと考えられる気筒の筒内圧力の最大値と、燃焼状態が安定せず失火する可能性がある気筒の筒内圧力の最大値との差である。ECU8は、この筒内圧力のバラつき値が所定値未満であるか否かを判定する。否定判定の場合、即ち筒内圧力のバラつき値が大きい場合には、ECU8は燃焼状態が不安定であると判定する(ステップS33)。例えば、ある一つの気筒の筒内圧力の最大値が、その他の気筒の筒内圧力の各最大値よりも大きく低下している場合には、その気筒の燃焼状態は不安定であるとして、エンジン1の燃焼状態は不安定であると判定される。
【0034】
ステップS32で肯定判定の場合、即ち筒内圧力のバラつき値が小さい場合には、ECU8は、サイクル間筒内圧力のバラつき値が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS34)。サイクル間筒内圧力のバラつき値は、以下のように算出する。例えば、気筒2aのサイクル毎の筒内圧力の最大値を算出し、これら最大値同士の差を算出する。同様に、気筒2b〜2dのそれぞれについても、サイクル毎の筒内圧力の最大値を算出し、これら最大値同士の差を算出する。これらの最大値同士の差の値のうち最も大きい値をサイクル間筒内圧力のバラつき値として設定する。所定値とは、燃焼状態が安定しておらず失火する可能性がある気筒でのサイクル毎の筒内圧力の最大値同士の差である。否定判定の場合、即ちサイクル間筒内圧力のバラつき値が大きい場合には、ECU8は燃焼状態が不安定であると判定する(ステップS33)。例えば、ある一つの気筒の筒内圧力の1サイクル目の最大値と2サイクル目での最大値の差が大きい場合には、その気筒の燃焼状態は不安定であるとして、エンジン1の燃焼状態は不安定であると判定される。
【0035】
ステップS34で肯定判定の場合、即ちサイクル間筒内圧力のバラつき値が小さい場合、エンジン1の燃焼状態は安定していると判定される(ステップS35)。尚、ステップS32、S34の順序は問わない。尚、図6、7の双方に示したフローチャートを実行して燃焼状態を判定してもよい。
【0036】
次に、第2モードの変形例について説明する。図8は、第2モードの変形例での吸気弁V1、排気弁V2のリフト状態を示したグラフである。図8に示すように、排気行程後半で排気弁V2のリフト量が低下して、所定のリフト量で排気ポートPT2が開いた状態に維持されたまま吸気行程で排気弁V2のリフト量が再び増大してもよい。例えば、リフト曲線C2´´を担う第2カムの形状によっては、このように所定の期間で低リフト量で排気弁V2を開いた状態に維持することができる。換言すれば、排気弁V2は、1サイクルで複数回開閉することに限定されず、図8に示したように1サイクルで1回のみ開閉し吸気行程でリフト量が増大すればよい。このような場合にも内部EGR量を確保できる。
【0037】
上記実施例では、燃焼状態が不安定の場合に動弁装置L2が第2モードに切り替えられる例を説明したがこれに限定されない。例えば、ポンピングロスを低減するためにスロットル弁7の開度を絞り内部EGR量を増大させるために動弁装置L2を第2モードに切り替える場合にバイパス弁31を閉じてもよい。即ち、動弁装置L2を第2モードに切り替えるための理由は問わず、内部EGR量の増大が要求された場合に動弁装置L2を第2モードに切り替えてバイパス弁31を閉じる。これにより、内部EGR量を確保できる。
【0038】
例えば、動弁装置L2は、排気カムシャフトの軸方向に並び排気カムシャフトの軸方向の移動に応じてカムフォロアとの当接状態が切り替わる第1及び第2カムとを備えた装置であってもよい。この場合、第1モードでは第1カムのみがカムフォロアに当接し、第2モードでは第2カムのみがカムフォロアに当接する。または、第1モードでは第1カムのみがカムフォロアに当接し、第2モードでは第1カム及び第2カムがカムフォロアに当接する。動弁装置L2は、特開2013−060823号公報に開示されている装置であってもよい。
【0039】
また、動弁装置L2は、電磁力を利用して排気弁V2を駆動する電磁駆動式の装置であってもよい。動弁装置L2は、特許文献1に開示されている装置であってもよい。
【0040】
尚、燃焼状態の判定方法は以下のようにしてもよい。例えば、エンジンの回転数と負荷と良好な燃焼状態のときの筒内圧力との関係を規定したマップにより得られる筒内圧力よりも、実際の筒内圧力が所定値以上に低い場合に燃焼状態が悪化していると判定してもよい。また、ガソリンエンジンの場合には、ECUから点火信号が出された後の圧力上昇割合が所定値未満の場合に燃焼状態が悪化していると判定してもよい。
【0041】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 内燃機関
3 排気通路
5 過給機
8 ECU(制御部)
17、18 温度センサ
20 触媒
30 バイパス通路
31 バイパス弁
500 タービン
V2 排気弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8