特許第6252187号(P6252187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6252187目的地登録システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252187
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】目的地登録システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20171218BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   G01C21/26 C
   G09B29/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-4836(P2014-4836)
(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2015-132568(P2015-132568A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100167254
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 貴亨
(72)【発明者】
【氏名】今村 忠芳
(72)【発明者】
【氏名】岩田 臣典
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−237186(JP,A)
【文献】 特開2009−019928(JP,A)
【文献】 特開2013−015424(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0166096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地と、当該目的地の設定方法とを取得する目的地取得手段と、
前記目的地の前記設定方法に応じて、前記目的地を登録対象とするか否かを判定する登録判定手段と、
前記登録対象の前記目的地をデータベースに登録する登録手段と、
を備える目的地登録システム。
【請求項2】
前記登録判定手段は、前記目的地としてのエネルギーの補給施設の前記設定方法に応じて、前記目的地を前記登録対象とするか否かを判定する、
請求項1に記載の目的地登録システム。
【請求項3】
前記目的地の前記設定方法として、
複数の地点のなかからユーザの意思によって抽出された地点を前記目的地として設定する第1設定方法と、
前記複数の地点のなかからユーザの意思とは無関係に抽出された地点を前記目的地として設定する前記設定方法である第2設定方法と、が少なくとも含まれ、
前記登録判定手段は、
前記第1設定方法によって設定された前記目的地を前記登録対象とすると判定し、
前記第2設定方法によって設定された前記目的地を前記登録対象としないと判定する、
請求項1から請求項2のいずれかに記載の目的地登録システム。
【請求項4】
前記第1設定方法は、
前記複数の地点のリストを出力部にて出力し、当該リストのなかからユーザの抽出操作によって抽出された地点を前記目的地として設定する方法であり、
前記第2設定方法は、
前記リストを前記出力部にて出力することなく、前記複数の地点のなかから所定の抽出規則に基づいて抽出した地点を前記目的地として設定する方法である、
請求項3に記載の目的地登録システム。
【請求項5】
走行予定経路上における次の前記目的地に対して、車両がエネルギーを補給することなく到達できない要補給状態であるか否かを判定する補給判定手段と、
前記要補給状態である場合に、エネルギーの補給施設を前記目的地として設定するための前記設定方法として、前記第1設定方法と前記第2設定方法とのいずれかを選択する操作をユーザから受け付ける選択手段と、をさらに備える、
請求項3に記載の目的地登録システム。
【請求項6】
目的地と、当該目的地の設定方法とを取得する目的地取得工程と、
前記目的地の前記設定方法に応じて、前記目的地を登録対象とするか否かを判定する登録判定工程と、
前記登録対象の前記目的地をデータベースに登録する登録工程と、
を含む目的地登録方法。
【請求項7】
目的地と、当該目的地の設定方法とを取得する目的地取得機能と、
前記目的地の前記設定方法に応じて、前記目的地を登録対象とするか否かを判定する登録判定機能と、
前記登録対象の前記目的地をデータベースに登録する登録機能と、
をコンピュータに実現させる目的地登録プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地をデータベースに登録する目的地登録システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンの残量が所定量以下である場合に、最寄りのガソリンスタンドを検索し、当該最寄りのガソリンスタンドを目的地とする経路を探索する技術が知られている(特許文献1、参照。)。この技術によれば、ガソリンの残量がなくなりそうな場合に、最寄りのガソリンスタンドにて給油しておくことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−27472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、目的地として設定された地点(ガソリンスタンド等)をデータベースに登録しておくことが行われている。これにより、目的地として設定された地点のみをデータベースから呼び出すことができ、再度、当該地点を目的地として設定するための操作を容易とすることができる。しかしながら、特許文献1における最寄りのガソリンスタンドは、必ずしもユーザが立ち寄りたいガソリンスタンドであるとは限らない。例えば、ユーザがいつも利用しているブランドと異なるブランドのガソリンスタンドが最寄りのガソリンスタンドとなり得る。このような場合、今後、ユーザが目的地として設定したいと思わないようなガソリンスタンドがデータベースに登録されてしまうという問題が生じる。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、ユーザが目的地として設定する可能性が大きい地点を目的地のデータベースに登録できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明の目的地登録システムは、目的地と、当該目的地の設定方法とを取得する目的地取得手段と、目的地の設定方法に応じて、目的地を登録対象とするか否かを判定する登録判定手段と、登録対象の目的地をデータベースに登録する登録手段と、を備える。
【0006】
また、本発明の目的地登録方法は、目的地と、当該目的地の設定方法とを取得する目的地取得工程と、目的地の設定方法に応じて、目的地を登録対象とするか否かを判定する登録判定工程と、登録対象の目的地をデータベースに登録する登録工程と、を含む。
【0007】
さらに、本発明の目的地登録プログラムは、目的地と、当該目的地の設定方法とを取得する目的地取得機能と、目的地の設定方法に応じて、目的地を登録対象とするか否かを判定する登録判定機能と、登録対象の目的地をデータベースに登録する登録手段と、をコンピュータに実現させる。
【0008】
以上のように構成した本発明において、目的地の設定方法に応じて、ユーザの意思をどの程度強く反映して目的地が設定されたかを判断できる。また、ユーザの意思を強く反映して設定された目的地は、再度、ユーザが目的地として設定する可能性が大きいと言える。従って、目的地の設定方法に応じて、目的地を登録対象とするか否かを判定することにより、ユーザが目的地として設定する可能性が大きい地点を目的地のデータベースに登録できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】目的地登録システムとしてのナビゲーション装置を示すブロック図である。
図2】(2A)は走行予定経路の模式図、(2B)はリストの例、(2C)は目的地登録処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)目的地登録処理:
(3)他の実施形態:
【0011】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる目的地登録システムとしてのナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両に備えられている。ナビゲーション装置10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備え、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30は、地図情報30aと目的地DB(データベース)30bとを記録する。
【0012】
地図情報30aは、道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータと、ノード同士を接続するリンクについての情報を示すリンクデータと、ノード同士を接続するリンクの形状を示す形状補間点データと、施設についての情報を示す施設データを含んでいる。ノードは交差点に対応し、リンクは交差点間を接続する道路区間に対応する。リンクデータは、リンクごとにリンクの長さを示す情報と、リンクごとに道路種別を示す情報とを含んでいる。施設データは、施設ごとに施設の位置や名称や属性等を示す情報である。施設データにおいて、施設ごとの属性として、エネルギー(電力、燃料等)の補給施設であるか否かが示される。
【0013】
目的地DB30bは、過去に設定された目的地を蓄積したデータベースである。目的地DB30bにおいて、目的地ごとに、目的地の位置(経度、緯度)と目的地の名称と目的地の属性とが登録されている。目的地が施設データに規定された施設である場合、目的地DB30bにおいて、当該施設の属性が目的地の属性として登録される。
【0014】
車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とバッテリ45とを備える。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の位置を算出するための信号を制御部20に出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を制御部20に出力する。ジャイロセンサ43は、車両に作用する角加速度に対応した信号を制御部20に出力する。
【0015】
制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43から出力された信号に基づく自立航法情報と地図情報30aとに基づいて車両の現在地が存在し得る比較対象道路を複数設定し、GPS受信部41にて取得されたGPS信号の誤差円に基づいて比較対象道路を絞り込む。そして、制御部20は、絞り込まれた比較対象道路のうち、自立航法軌跡と形状が最も一致する道路を車両が走行している道路である走行道路として特定するマップマッチング処理を行い、当該マップマッチング処理によって特定された走行道路上で車両の現在地を特定する。
【0016】
ユーザI/F部44は、制御部20から出力された映像信号や音声信号に基づいて各種案内を出力する出力装置(ディスプレイ,スピーカ等)と、ユーザから出発地Sや目的地Gの指定等の各種操作を受け付ける入力装置(タッチセンサ、操作ボタン等)とを含む。本実施形態では、出力装置と入力装置とがタッチパネルによって実現されている。
【0017】
バッテリ45は、車両が走行するための動力を発生させるモータに供給する電力を蓄電する二次電池であり、充電ステーション等において充電可能である。本実施形態の車両は、動力源としてモータのみを備える電気自動車であることとする。バッテリ45は、図示しない制御回路を備えており、当該制御回路はバッテリ45に充電されている残電力量を監視し、当該残電力量を示す信号をナビゲーション装置10に出力する。電力は、本発明のエネルギーに相当する。
【0018】
制御部20はナビゲーションプログラム21を実行する。ナビゲーションプログラム21は、走行予定経路探索部21aと目的地取得部21bと登録判定部21cと登録部21dとを含む。
走行予定経路探索部21aは、車両の走行予定経路を探索する機能を制御部20に実現させるモジュールである。走行予定経路探索部21aの機能により制御部20は、出発地と目的地とを接続する一連の道路区間によって構成される走行予定経路を公知の経路探索手法によって探索する。なお、走行予定経路の途中に設定された目的地を経由地と表し、走行予定経路の終点に設定された目的地を最終目的地と表す。走行予定経路探索部21aの機能により制御部20は、地図情報30aに規定された地点のなかから位置やキーワード等に基づいて検索された目的地を使用して経路探索を行う。また、制御部20は、目的地DB30bに規定された地点のなかから位置やキーワード等に基づいて検索された目的地を使用して経路探索を行う。過去に目的地として設定した地点に行く走行予定経路を探索する場合、地図情報30a全体から目的地を検索するよりも、目的地DB30bを参照した方が容易に目的地を見つけることができる。制御部20は、走行予定経路を探索すると、当該探索した走行予定経路を示す経路情報(不図示)を記録媒体30に記録する。さらに、制御部20は、車両が走行予定経路上を走行するための経路案内をユーザI/F部44に出力させる。
【0019】
走行予定経路探索部21aは、補給判定部21a1と選択部21a2とを含む。
補給判定部21a1は、走行予定経路上における次の目的地に対して、車両がエネルギー(電力)を補給(充電)することなく到達できない要補給状態であるか否かを判定する機能を制御部20に実行させるモジュールである。補給判定部21a1の機能により制御部20は、バッテリ45の残電力を取得するとともに、走行予定経路上における現在地から次の目的地までの残距離を取得する。さらに、制御部20は、車両の電費(単位走行距離あたりに車両が消費する電力量)を取得し、残距離に電費を乗算した消費電力量がバッテリ45の残電力量よりも大きいか否かを判定する。そして、制御部20は、消費電力量がバッテリ45の残電力量よりも大きい場合にはバッテリ45が要補給状態であると判定し、消費電力量がバッテリ45の残電力量以下である場合にはバッテリ45が要補給状態でないと判定する。なお、制御部20は、道路区間ごとに異なる電費を使用して消費電力量を取得してもよい。例えば、制御部20は、走行予定経路上における予想車速や道路勾配や天候や渋滞度等に応じて、道路区間ごとに異なる電費を使用して消費電力量を算出してもよい。
【0020】
図2Aは、走行予定経路Rを示す図である。同図において、走行予定経路R上に車両の現在地Pが存在し、最終目的地Gが走行予定経路R上の次の目的地になっている。この場合、制御部20は、現在地Pから最終目的地Gまでの走行予定経路R上の残距離に電費を乗算した消費電力量が、バッテリ45の残電力量よりも大きいか否かを判定する。
【0021】
選択部21a2は、バッテリ45が要補給状態である場合に、エネルギー(電力)の補給施設(充電ステーション)を目的地として設定するための設定方法として、第1設定方法と第2設定方法とのいずれかを選択する操作をユーザから受け付ける機能を制御部20に実行させるモジュールである。すなわち、制御部20は、走行予定経路上における次の目的地に対して、充電することなく到達できない場合に、ユーザI/F部44を介して、充電ステーション(経由地)の設定方法の選択を受け付ける。図2Aにおいては、車両が充電することなく最終目的地Gに到達できない場合に、制御部20は、経由地とする充電ステーションの設定方法の選択を受け付ける。例えば、制御部20は、ユーザI/F部44のタッチパネルにて、第1設定方法と第2設定方法とのそれぞれに対応するボタンを表示し、当該ボタンに対応する指等の接触を受け付ける。
【0022】
ここで、第1設定方法は、複数の地点のなかからユーザの意思によって抽出された地点を目的地として設定する方法である。より具体的に、第1設定方法は、複数の地点のリストを出力部にて出力し、当該リストのなかからユーザの抽出操作によって抽出された地点を目的地として設定する方法である。第1設定方法が選択された場合、制御部20は、走行予定経路R上に存在する充電ステーションを地図情報30aの施設データから検索し、当該検索した充電ステーションのリストをユーザI/F部44のタッチパネルに表示させる。走行予定経路R上に存在する充電ステーションとは、走行予定経路Rを構成する道路区間から直接進入できる充電ステーションであってもよいし、走行予定経路Rから所定距離以内の充電ステーションであってもよい。
【0023】
図2Bは、タッチパネルに表示されるリストLの例を示す図である。同図に示すように、リストLにおいて、走行予定経路R上に存在する充電ステーションC1〜C5の表示領域Q1〜Q5が一覧化されており、いずれかの表示領域Q1〜Q5に指等を接触させることにより、当該表示領域Q1〜Q5を選択(反転表示)することが可能となっている。リストLを表示するにあたり、制御部20は、バッテリ45を充電することなく車両が到達できる現在地Pから最も遠い走行予定経路R上の地点である航続可能地点Eを取得し、走行予定経路R上における航続可能地点Eよりも現在地P側の区間に存在する充電ステーションC1〜C5を抽出し、当該抽出した充電ステーションC1〜C5についてリストLを表示する。なお、制御部20は、バッテリ45の残電力量を電費で除算することにより航続可能距離を取得し、走行予定経路R上を現在地Pから航続可能距離だけ前方に進んだ地点を航続可能地点Eとして取得する。
【0024】
制御部20は、リストLにおいて、いずれかの充電ステーションC1〜C5の表示領域Q1〜Q5が選択された状態で、決定ボタンTに指等が接触した場合に、選択された表示領域Q1〜Q5に対応する充電ステーションC1〜C5を目的地(経由地)として設定する。この第1設定方法においては、充電ステーションC1〜C5の最終的な抽出がユーザの意思に委ねられていることとなる。
【0025】
一方、第2設定方法は、複数の地点のなかからユーザの意思とは無関係に抽出された地点を目的地として設定する方法である。より具体的に、第2設定方法は、リストLを出力部にて出力することなく、複数の地点のなかから所定の抽出規則に基づいて抽出した地点を目的地として設定する方法である。本実施形態の抽出規則は、バッテリ45を充電することなく車両が到達できる現在地Pから最も遠い走行予定経路R上の充電ステーションC5を抽出するという規則である。この抽出規則は、充電ステーションC5を一意に抽出する規則であり、当該抽出においてユーザの意思が介在しない。
【0026】
具体的に、制御部20は、走行予定経路R上における航続可能地点Eよりも現在地P側の区間に存在する充電ステーションC1〜C5のうち、最も航続可能地点Eに近い充電ステーションC5を抽出する。なお、抽出規則は、最も充電料金が小さい充電ステーションC1〜C5を抽出することであってもよいし、最も現在位置に近い充電ステーションC1〜C5を抽出することであってもよいし、最も新しい充電ステーションC1〜C5を抽出することであってもよい。また、第2設定方法において、制御部20は、複数の抽出規則のうち抽出に使用する抽出規則を選択するためのユーザの操作を受け付けてもよい。この場合でも、最終的に一意に充電ステーションC1〜C5を抽出する段階では、ユーザの意思が介在しないこととなる。
【0027】
走行予定経路探索部21aの機能により制御部20は、要補給状態において充電ステーションC1〜C5が経由地として設定されると、当該経由地としての充電ステーションC1〜C5を走行予定経路Rに追加する。なお、経由地として設定された充電ステーションC1〜C5が走行予定経路R上の道路区間から直接進入できない場合(充電ステーションC1〜C5が走行予定経路Rから所定距離以内の場合)、制御部20は、走行予定経路Rのうち、現在地Pから経由地としての充電ステーションC1〜C5を経由して次の目的地に到達するまでの部分を再度探索してもよい。
【0028】
目的地取得部21bは、目的地と、当該目的地の設定方法とを取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、目的地取得部21bの機能により制御部20は、要補給状態において充電ステーションC1〜C5が経由地として設定された場合に、当該経由地としての充電ステーションC1〜C5とともに、当該経由地として充電ステーションC1〜C5を設定した際の設定方法(第1設定方法または第2設定方法)を取得する。
【0029】
登録判定部21cは、目的地の設定方法に応じて、目的地を登録対象とするか否かを判定する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、登録判定部21cの機能により制御部20は、要補給状態において充電ステーションC1〜C5が経由地として設定された際の設定方法に応じて、当該経由地としての充電ステーションC1〜C5を目的地DB30bに登録するか否かを判定する。
【0030】
具体的に、登録判定部21cの機能により制御部20は、第1設定方法によって設定された目的地を登録対象とすると判定し、第2設定方法によって設定された目的地を登録対象としないと判定する。上述のように、第1設定方法は、複数の充電ステーションC1〜C5のリストLをタッチパネルにて出力し、当該リストLのなかからユーザの抽出操作によって抽出された充電ステーションC1〜C5を経由地として設定する方法である。一方、第2設定方法は、リストLをタッチパネルにて出力することなく、複数の充電ステーションC1〜C5のなかから所定の抽出規則に基づいて抽出した充電ステーションC1〜C5を経由地として設定する方法である。
【0031】
登録部21dは、登録対象の目的地をデータベースに登録する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、登録部21dの機能により制御部20は、登録対象であると判定された経由地としての充電ステーションC1〜C5、つまりリストLにて選択された充電ステーションC1〜C5を目的地DB30bに登録する。具体的に、制御部20は、登録対象の充電ステーションC1〜C5の位置(経度、緯度)と名称と属性(充電施設)とを目的地DB30bに登録する。
【0032】
以上のように構成した本実施形態において、目的地の設定方法に応じて、ユーザの意思をどの程度強く反映して目的地が設定されたかを判断できる。ユーザの意思を強く反映して設定された目的地は、再度、ユーザが目的地として設定する可能性が大きいと言える。
従って、ユーザが目的地として設定する可能性が大きい充電ステーションC1〜C5を目的地DB30bに登録できる。
【0033】
ここで、ユーザの意思によって抽出された目的地は、ユーザの意思を強く反映して設定された目的地である可能性が大きいと考えることができる。一方、ユーザの意思とは無関係に抽出された目的地は、ユーザの意思を強く反映して設定された目的地である可能性が小さいと考えることができる。従って、複数の地点のなかからユーザの意思によって抽出された地点を目的地として設定する設定方法である第1設定方法によって設定された目的地を登録対象とすることにより、ユーザが目的地として設定する可能性が大きい地点を目的地DB30bに登録できる。特に、出力されたリストLからユーザの選択操作によって抽出された目的地(経由地としての充電ステーションC1〜C5)は、ユーザの意思を強く反映して設定された目的地である可能性が大きいと考えることができる。従って、ユーザが目的地として設定する可能性が大きい地点を目的地DB30bに登録できる。なお、リストLは、目的地が抽出可能なUIであればよく、図2Aのように複数の地点が示された地図であってもよい。
【0034】
また、バッテリ45が要補給状態である場合において、ユーザは、エネルギーを補給できれさえすればよいと考えて、第2設定方法によって普段は目的地として設定しない充電ステーションC5が目的地として設定されることを許容する場合がある。第2設定方法によって設定された目的地を登録対象としないことにより、普段は目的地として設定しない充電ステーションC5が目的地DB30bに登録されることを防止できる。
【0035】
(2)目的地登録処理:
次に、目的地登録処理の一例について詳細に説明する。図2は、目的地登録処理のフローチャートである。目的地登録処理は、走行予定経路Rの経路案内を行っている期間において、所定の時間周期または走行距離周期が経過するごとに実行する処理である。
【0036】
まず、補給判定部21a1の機能により制御部20は、バッテリ45が要補給状態であるか否かを判定する(ステップS100)。具体的に、制御部20は、車両の電費(単位走行距離あたりに車両が消費する電力量)を取得し、残距離に電費を乗算した消費電力量がバッテリ45の残電力量よりも大きいか否かを判定する。そして、制御部20は、消費電力量がバッテリ45の残電力量よりも大きい場合にはバッテリ45が要補給状態であると判定し、消費電力量がバッテリ45の残電力量以下である場合にはバッテリ45が要補給状態でないと判定する。なお、走行予定経路Rは基本的にバッテリ45が要補給状態とならないように探索されるが、当該走行予定経路R上において予期しない渋滞や寄り道等の電力消費があった場合に、バッテリ45が要補給状態となり得る。
【0037】
バッテリ45が要補給状態であると判定されなかった場合(ステップS100:N)、制御部20は、目的地登録処理の最初にリターンする。すなわち、制御部20は、バッテリ45が要補給状態となるまで待機する。一方、バッテリ45が要補給状態であると判定された場合(ステップS100:Y)、登録判定部21cの機能により制御部20は、充電ステーションC1〜C5が走行予定経路Rの経由地としてとして追加されたか否かを判定する(ステップS110)。なお、要補給状態において制御部20は、経由地の設定方法を選択するための画面をユーザI/F部44にて出力して経由地の設定をユーザに促すが、当該画面をユーザが無視した場合、充電ステーションC1〜C5が走行予定経路Rの経由地として追加されないこととなる。
【0038】
充電ステーションC1〜C5が走行予定経路Rの経由地としてとして追加されたと判定されなかった場合(ステップS110:N)、制御部20は、目的地登録処理の最初にリターンする。すなわち、制御部20は、要補給状態において走行予定経路Rの経由地が追加されるまで待機する。一方、充電ステーションC1〜C5が走行予定経路Rの経由地としてとして追加されたと判定された場合(ステップS110:Y)、目的地取得部21bの機能により制御部20は、経由地と、当該経由地の設定方法とを取得する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、経由地として設定された充電ステーションC1〜C5とともに、当該経由地として充電ステーションC1〜C5を設定した際の設定方法(第1設定方法または第2設定方法)を取得する。
【0039】
そして、登録判定部21cの機能により制御部20は、経由地としての充電ステーションC1〜C5が第1設定方法で設定されたか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、リストL(図2B)において選択された充電ステーションC1〜C5が経由地として設定されたか否かを判定する。
【0040】
経由地としての充電ステーションC1〜C5が第1設定方法で設定されたと判定されなかった場合(ステップS120:N)、登録部21dの機能により制御部20は、目的地登録処理の最初にリターンする。すなわち、制御部20は、経由地としての充電ステーションC1〜C5の設定方法が第2設定方法である場合、当該経由地としての充電ステーションC1〜C5を目的地DB30bに登録しないと判定し、目的地登録処理の最初にリターンする。つまり、制御部20は、経由地としての充電ステーションC1〜C5がユーザの意思とは無関係に抽出されていた場合、当該該経由地としての充電ステーションC1〜C5を目的地DB30bに登録しない。具体的に、制御部20は、バッテリ45を充電することなく車両が到達できる現在地Pから最も遠い走行予定経路R上の充電ステーションC1〜C5を抽出するという抽出規則に基づいて抽出された充電ステーションC5を目的地DB30bに登録しない。
【0041】
一方、経由地としての充電ステーションC1〜C5が第1設定方法で設定されたと判定された場合(ステップS120:Y)、登録部21dの機能により制御部20は、経由地として設定された充電ステーションC1〜C5を目的地DB30bに登録する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、経由地としての充電ステーションC1〜C5の設定方法が第1設定方法である場合、当該経由地としての充電ステーションC1〜C5を登録対象であると判定し、当該登録対象の充電ステーションC1〜C5を目的地DB30bに登録する。つまり、制御部20は、経由地としての充電ステーションC1〜C5が最終的にユーザの意思によって一意に抽出されていた場合、当該該経由地としての充電ステーションC1〜C5を目的地DB30bに登録する。具体的に、制御部20は、登録対象の充電ステーションC1〜C5の位置(経度、緯度)と名称と属性(充電施設)とを目的地DB30bに登録する。
【0042】
(3)他の実施形態:
本発明において、目的地は必ずしも補給施設に限らない。すなわち、エネルギーの補給が必要であるか否かに拘わらず、目的地は少なくとも2通りの設定方法が選択可能な状況で設定された目的地であればよい。例えば、目的地を任意の検索キーワードに基づいて抽出する構成において、検索キーワードに対するマッチング度が上位の複数の地点(施設に限らない)のなかから最終的に目的地をユーザが選択する第1設定方法と、検索キーワードに対するマッチング度が最も大きい地点を自動的に目的地に設定する第2設定方法と、が用意される構成において、制御部20は、第1設定方法によって設定された目的地のみを目的地DB30bに登録してもよい。むろん、目的地の設定方法が3個以上用意されていてもよい。
【0043】
また、制御部20は、設定方法のみに応じて目的地を目的地DB30bに登録するか否かを判定しなくてもよく、設定方法および他の条件に応じて目的地を目的地DB30bに登録するか否かを判定してもよい。例えば、制御部20は、設定方法に応じて登録対象とすると判定された目的地であっても、車両が現実に到達しなかった目的地について目的地DB30bに登録しないようにしてもよい。
【0044】
ここで、目的地取得手段は、目的地と、当該目的地の設定方法とを取得すればよく、当該目的地が設定された際の設定方法を当該目的地ともに取得すればよい。例えば、目的地の設定が車両にて行われ、目的地の登録が車両外のサーバ等で行われる場合、当該サーバの目的地取得手段が目的地の設定方法を車両から通信によって取得してもよい。ここで、目的地とは、車両が到達する予定の地点を意味し、最終目的地であってもよいし、経由地であってもよい。また、目的地は、車両が到達する予定の地点であればよく、必ずしも実際に車両が到達した地点でなくてもよい。設定方法とは、地図情報に規定された複数の候補の地点のなかから目的地を設定する際に採用された方法である。ここで、目的地の設定方法に応じて目的地に対するユーザの意思の反映度の強さが異なることとなる。
【0045】
登録判定手段は、目的地の設定方法に応じて、目的地をデータベースに登録すべきか否かを判定すればよく、目的地の設定方法ごとに目的地をデータベースに登録すべきか否か切り替えればよい。例えば、登録判定手段は、目的地に対するユーザの意思の反映度が所定基準以上となる設定方法によって設定された目的地を登録対象として判定し、目的地に対するユーザの意思の反映度が所定基準未満となる設定方法によって設定された目的地を登録対象として判定しないようにしてもよい。また、複数の地点から目的地とする地点の候補を検索する設定方法において、ユーザが検索条件(検索キーワード等)を設定したか否かに応じて、目的地を登録対象とするか否かを判定してもよい。これにより、ユーザの意思を強く反映して設定された目的地のみをデータベースに登録していくことができる。登録手段は、登録対象の目的地をデータベースに登録すればよく、予め記録媒体に記録されているデータベースに新たな目的地を追加登録してもよい。データベースとは、過去に設定された目的地を規定したデータであり、これから目的地を設定するにあたり、目的地の候補を取得するために参照されるデータベースであってもよい。
【0046】
また、目的地の設定方法として、複数の地点のなかからユーザの意思によって抽出された地点を目的地として設定する第1設定方法と、複数の地点のなかからユーザの意思とは無関係に抽出された地点を目的地として設定する設定方法である第2設定方法と、が少なくとも含みまれてもよい。この場合、登録判定手段は、複数の地点のなかからユーザの意思によって抽出された地点を目的地として設定する設定方法である第1設定方法によって設定された目的地を登録対象とすると判定し、複数の地点のなかからユーザの意思とは無関係に抽出された地点を目的地として設定する設定方法である第2設定方法によって設定された目的地を登録対象としないと判定してもよい。ここで、ユーザの意思によって抽出された目的地は、ユーザの意思を強く反映して設定された目的地である可能性が大きいと考えることができる。一方、ユーザの意思とは無関係に抽出された目的地は、ユーザの意思を強く反映して設定された目的地である可能性が小さいと考えることができる。従って、ユーザが目的地として設定する可能性が大きい地点を目的地のデータベースに登録できる。ユーザの意思とは無関係に抽出されたとは、複数の候補の地点から目的地を選択する際の選択対象の決定がユーザの意思に委ねられていないこと意味する。例えば、目的地の抽出処理自体がユーザの操作をトリガーとして開始していたとしても、最終的に目的地を一意に抽出する抽出対象がユーザの意思に委ねられていない場合には、ユーザの意思とは無関係に抽出されていないこととなる。
【0047】
さらに、第1設定方法は、複数の地点のリストを出力部にて出力し、当該リストのなかからユーザの抽出操作によって抽出された地点を目的地として設定する方法であってもよい。すなわち、登録判定手段は、複数の地点のリストを出力部にて出力し、当該リストのなかからユーザの抽出操作によって抽出された地点を目的地として設定する第1設定方法によって設定された目的地を登録対象とすると判定してもよい。一方、第2設定方法は、リストを出力部にて出力することなく、複数の地点のなかから所定の抽出規則に基づいて抽出した地点を目的地として設定する方法であってもよい。すなわち、登録判定手段は、リストを出力部にて出力することなく、複数の地点のなかから所定の抽出規則に基づいて抽出した地点を目的地として設定する第2設定方法によって設定された目的地を登録対象としないと判定してもよい。ここで、出力されたリストからユーザの選択操作によって抽出された目的地は、ユーザの意思を強く反映して設定された目的地である可能性が大きいと考えることができる。従って、ユーザが目的地として設定する可能性が大きい地点を目的地のデータベースに登録できる。所定の抽出規則とは、目的地を抽出するための抽出条件を規定した規則であり、予め用意されている規則(少なくとも抽出処理中にユーザによって改変されない規則)である。
【0048】
また、目的地登録システムは、走行予定経路上における次の目的地に対して、車両がエネルギーを補給することなく到達できない要補給状態であるか否かを判定する補給判定手段と、要補給状態である場合に、エネルギーの補給施設を目的地として設定するための設定方法として、第1設定方法と第2設定方法とのいずれかを選択する操作をユーザから受け付ける選択手段と、をさらに備えてもよい。要補給状態である場合において、ユーザは、エネルギーを補給できれさえすればよいと考えて、第2設定方法によって普段は目的地として設定しない補給施設が目的地(経由地)として設定されることを許容する場合がある。第2設定方法によって設定された目的地を登録対象としないことにより、普段は目的地として設定しない補給施設がデータベースに登録されることを防止できる。エネルギーとは、車両が走行するための動力部に供給するエネルギーであって、ガソリンや軽油や燃料ガスや液体水素等の燃料であってもよいし、電力であってもよいし、今後開発されるいかなる動力エネルギーであってもよい。
【0049】
さらに、本発明のように、目的地をデータベースに登録するか否かを判定する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような手段を備えた目的地登録装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0050】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…走行予定経路探索部、21a1…補給判定部、21a2…選択部、21b…目的地取得部、21c…登録判定部、21d…登録部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…目的地DB、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…ユーザI/F部、45…バッテリ、C1〜C5…充電ステーション、E…航続可能地点、L…リスト、P…現在地。
図1
図2