特許第6252194号(P6252194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252194
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20171218BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H01L25/04 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-6584(P2014-6584)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-136239(P2015-136239A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】紺谷 一善
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 直人
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−098425(JP,A)
【文献】 特開2007−059737(JP,A)
【文献】 特開平10−125856(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3173512(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続された複数の半導体素子により構成されるアーム素子を複数備えると共に直列接続された2つの前記アーム素子の中点より出力部が導出される主回路が設けられた基板と、
前記基板上に設けられ、前記主回路に電圧を供給するための複数の入力電極部と、
前記基板上に設けられ、前記出力部に接続される複数の出力電極部とを備え、
複数の前記アーム素子は、前記基板の第1方向に並んで配列されており、
前記アーム素子を構成する前記並列接続された複数の半導体素子は、前記基板の第1方向に垂直な第2方向に並んで配列されると共に、互いに離間する2組の素子グループに分割されており、
前記複数の入力電極部及び前記複数の出力電極部は、前記2組の素子グループの間に配置されるように前記第1方向に沿って一列に交互に並んで設けられており、
前記入力電極部同士及び前記出力電極部同士は、何れも前記第1方向に隣り合うように配置されておらず、
前記直列接続された2つのアーム素子は、前記基板上に前記第1方向に隣接して配置されており、
前記2つのアーム素子のうち一方のアーム素子の前記素子グループ間には、前記入力電極部の少なくとも一部が配置されており、
前記2つのアーム素子のうち他方のアーム素子の前記素子グループ間には、前記出力電極部の少なくとも一部が配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記入力電極部には、入力電極が搭載されており、
前記入力電極は、前記第1方向の幅が前記第2方向の幅に比較して長い形状をなしていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記入力電極は、前記第1方向に長辺を有する長方形状をなしていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば3相インバータ等の半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置としては、例えば特許文献1,2に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の半導体装置は、基板に固定された複数の電極端子と、基板における電極端子の近傍に実装された複数のパワー素子とを備えている。特許文献2に記載の半導体装置は、主回路基板に搭載された複数の半導体素子群と、主回路基板に固定された正極側入力電極端子、負極側入力電極端子及び3つの出力端子とを備え、半導体素子群と端子とが交互に配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5715141号
【特許文献2】実用新案登録第3173512号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、特許文献1に記載の半導体装置では、電極端子から各パワー素子までの電流経路の長さが異なるため、各パワー素子に電流が流れ込むタイミングが異なるようになる。このため、各パワー素子間での電流アンバランスが大きくなる。電流アンバランスが大きいと、各パワー素子を流れる電流値のうち最小の電流値に合わせるように設計する必要があるため、所望の出力電流を得るためにはパワー素子の数を増やさざるを得ず、結果的に装置の大型化につながる。
【0005】
特許文献2に記載の半導体装置では、正極側入力電極端子から半導体素子群の各半導体素子までの電流経路の長さが等しく、各半導体素子に電流が流れ込むタイミングが均等になるため、各半導体素子間での電流アンバランスが少なくなる。しかし、電極端子及び出力端子が各半導体素子の配列方向(各半導体素子群の配列方向に垂直な方向)に延在しているため、電極端子及び出力端子のスペースが大きくなる。これにより、装置が大型化してしまう。
【0006】
本発明の目的は、各半導体素子間での電流アンバランスの影響を最小限に抑えつつ、小型化を図ることができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、並列接続された複数の半導体素子により構成されるアーム素子を複数備えると共に、直列接続された2つのアーム素子の中点より出力部が導出される主回路が設けられた基板と、基板上に設けられ、主回路に電圧を供給するための入力電極部と、基板上に設けられ、出力部に接続される出力電極部とを備え、複数のアーム素子は、基板の第1方向に並んで配列されており、アーム素子を構成する並列接続された複数の半導体素子は、基板の第1方向に垂直な第2方向に並んで配列されると共に、互いに離間する2組の素子グループに分割されており、入力電極部及び出力電極部は、2組の素子グループの間に配置されるように第1方向に沿って設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
このように本発明の半導体装置においては、並列接続された複数の半導体素子を互いに離間する2組の素子グループに分割させ、入力電極部及び出力電極部を2組の素子グループの間に配置されるように基板の第1方向に沿って設けることにより、例えば入力電極部及び出力電極部を基板の第2方向に並ぶ複数の半導体素子の外側に配置した場合に比べて、入力電極部及び出力電極部から各半導体素子までの電流経路の長さの違いが少なくなる。従って、各半導体素子に電流が流れ込むタイミングの違いが最小限に抑えられるため、各半導体素子間での電流アンバランスの影響を最小限に抑えることができる。従って、所望の出力電流を得るために半導体素子の数を必要以上に増やさなくて済むため、基板を大きくする必要が無くなる。また、各半導体素子間での電流アンバランスを少なくするために各半導体素子の配列方向に沿って入力電極部及び出力電極部を延在させなくて済むため、この点でも基板を大きくする必要が無くなる。以上により、半導体装置の小型化を図ることができる。
【0009】
入力電極部には、入力電極が搭載されており、入力電極は、第1方向の幅が第2方向の幅に比較して長い形状をなしていると良い。基板の第1方向の寸法は、アーム素子の配列数によって必然的に決まってくる。このため、上記のように入力電極部及び出力電極部を2組の素子グループの間に配置した構造では、基板の第1方向にはスペース的に余裕がでるため、入力電極部を基板の第1方向に長くすることができ、これに伴って入力電極を基板の第1方向に長くすることができる。そこで、入力電極を第1方向の幅が第2方向の幅に比較して長い形状とすることにより、入力電極の寸法を基板の第2方向に対応する方向に小さくしても、入力電極の通電接続面積を確保することが可能となる。このように入力電極の寸法を基板の第2方向に対応する方向に小さくすることで、その分だけ基板の第2方向の寸法を小さくすることができる。これにより、半導体装置の更なる小型化を図ることができる。
【0010】
このとき、入力電極は、第1方向に長辺を有する長方形状をなしていると良い。この場合には、2組の素子グループの間のスペースを有効活用して、入力電極の通電接続面積を十分確保することができる。
【0011】
また、基板上に隣接して配置される直列接続された2つのアーム素子のうち、一方のアーム素子の素子グループ間に入力電極部の少なくとも一部が配置され、他方のアーム素子の素子グループ間に出力電極部の少なくとも一部が配置されていると良い。この場合には、アーム素子間に入力電極部及び出力電極部を配置する構成に比較して、基板の第1方向の長さを短くすることができ、半導体装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各半導体素子間での電流アンバランスの影響を最小限に抑えつつ、半導体装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る半導体装置の一実施形態としてインバータ装置を示す分解斜視図である。
図2図1に示したインバータ装置の断面図である。
図3図1に示したインバータ装置の回路図である。
図4図1に示した下基板の部品実装構造を示す平面図である。
図5図1に示した上基板の部品実装構造を示す平面図である。
図6図4に示した下基板の部品実装構造における電流の流れ方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る半導体装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図における寸法比率は、実際のものと異なる場合がある。
【0015】
図1は、本発明に係る半導体装置の一実施形態としてインバータ装置を示す分解斜視図であり、図2は、図1に示したインバータ装置の断面図である。なお、図2(a)は、図5のA−A線断面図であり、図2(b)は、図5のB−B線断面図である。本実施形態のインバータ装置1は、例えば3相交流モータを駆動する3相インバータ装置である。
【0016】
図3は、インバータ装置1の回路図である。図3において、インバータ装置1は、主回路2と、この主回路2を制御する制御回路3と、主回路2及び外部のバッテリ(図示せず)と接続され、主回路2にバッテリの電圧を供給するための入力端子としての正極電極端子4及び負極電極端子5とを有している。
【0017】
主回路2は、3相ブリッジ接続された6つのスイッチング素子Q1〜Q6と、各スイッチング素子Q1〜Q6に並列に接続されたフライホイールダイオードD1〜D6とを有している。スイッチング素子Q1〜Q6としては、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が用いられる。スイッチング素子Q1〜Q6は、並列接続された複数(例えば4つ)のスイッチング素子15からなるスイッチング素子群16(図1等参照)を等価的に表したものである。なお、スイッチング素子Q1,Q3,Q5及びフライホイールダイオードD1,D3,D5を含む群は、上アーム素子として構成され、スイッチング素子Q2,Q4,Q6及びフライホイールダイオードD2,D4,D6を含む群は、下アーム素子として構成されている。
【0018】
スイッチング素子Q1,Q2は、正極電極端子4と負極電極端子5との間に直列接続されている。スイッチング素子Q1,Q2の接続点(中点)には、U相出力端子6が接続(導出)されている。スイッチング素子Q3,Q4は、正極電極端子4と負極電極端子5との間に直列接続されている。スイッチング素子Q3,Q4の接続点には、V相出力端子7が接続されている。スイッチング素子Q5,Q6は、正極電極端子4と負極電極端子5との間に直列接続されている。スイッチング素子Q5,Q6の接続点には、W相出力端子8が接続されている。U相出力端子6、V相出力端子7及びW相出力端子8は、3相の交流出力を外部のモータに供給するための端子、即ち各相の出力部に接続された端子である。
【0019】
また、正極電極端子4と負極電極端子5との間には、主回路2の他の部品を構成するコンデンサ9が接続されている。なお、図3では、主回路2に接続される複数のコンデンサ9を模式的に示している(図1及び図2参照)。
【0020】
制御回路3は、各スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング(ON/OFF)を制御する回路である。制御回路3は、電子制御ユニット(ECU)の一部として構成することができ、例えば負荷状態や操作者の要求値に応じて各スイッチング素子Q1〜Q6を適宜スイッチングする。
【0021】
図1及び図2に戻り、インバータ装置1は、ヒートシンク10上に配置された下基板11と、この下基板11の上にスペーサブラケット12を介して配置された上基板13と、下基板11及び上基板13を覆うケース14と、上記の正極電極端子4及び負極電極端子5(以下、入力端子4,5ということがある)と、上記のU相出力端子6、V相出力端子7及びW相出力端子8(以下、出力端子6〜8ということがある)とを有している。下基板11は、例えば絶縁金属基板(IMS)である。上基板13は、例えばプリント基板である。下基板11及び上基板13は、ヒートシンク10にネジ止めされる。ケース14も、ヒートシンク10にネジ止めされる。
【0022】
下基板11には、主回路2を構成する部品が実装されている。具体的には、図4にも示すように、下基板11には、複数(ここでは4つ)のスイッチング素子15からなるスイッチング素子群16が下基板11の長手方向(第1方向)に6列に並んで配列されるように実装されている。これらのスイッチング素子群16は、上記のスイッチング素子Q1〜Q6を構成している。
【0023】
上アーム素子を構成するスイッチング素子群16と下アーム素子を構成するスイッチング素子群16とは、下基板11の長手方向に互いに隣り合うように実装されている。このとき、上アーム素子のスイッチング素子群16と下アーム素子のスイッチング素子群16とは、詰めて配置されている。従って、上アーム素子のスイッチング素子群16と下アーム素子のスイッチング素子群16との配線距離が短くなるため、インダクタンスが小さくなる。
【0024】
スイッチング素子群16を構成する4つのスイッチング素子15は、上述したように並列接続されており、下基板11の長手方向に垂直な方向(第2方向)に並んで配列されている。スイッチング素子群16は、4つのスイッチング素子15を第2方向に沿って互いに離間する2組の素子グループ16Aに分割した状態で下基板11に実装されている。各素子グループ16Aは、2つのスイッチング素子15からなっている。
【0025】
下基板11における各素子グループ16A間の領域には、図4に示すように、入力電極パターン(入力電極部)17及び出力電極パターン(出力電極部)18が複数ずつ交互に並んで形成されている。なお、図4は、下基板11の上にスペーサブラケット12が載置されていない状態の平面図である。入力電極パターン17は、主回路2に電圧を供給するためのパターンである。出力電極パターン18は、出力端子6〜8と接続されるパターンである。入力電極パターン17及び出力電極パターン18は、それぞれ配線パターン(図示せず)を介して各スイッチング素子15と電気的に接続されている。
【0026】
入力電極パターン17は、下基板11の長手方向に延在する、つまり下基板11の長手方向に長辺を有するような長方形状をなしている。言い換えると、入力電極パターン17は、下基板11の長手方向に対応する横方向の幅寸法が下基板11の長手方向に垂直な方向に対応する縦方向の幅寸法よりも大きくなるように構成されている。入力電極パターン17には、固定用ネジ36を貫通させるための貫通孔17aが形成されている。出力電極パターン18は、円形状をなしている。出力電極パターン18には、固定用ネジ46を貫通させるための貫通孔18aが形成されている。
【0027】
なお、下基板11には、主回路2を構成する他の部品及び制御回路3を構成する部品も実装されている。
【0028】
スペーサブラケット12は、中継電極(入力電極)19を収容するための複数(ここでは4つ)の電極収容部20を有している。中継電極19は、入力電極パターン17に対応して、下基板11の長手方向に延在する、つまり下基板11の長手方向に長辺を有するような長方形状をなしている。言い換えると、中継電極19は、下基板11の長手方向に対応する横方向の幅寸法が下基板11の長手方向に垂直な方向に対応する縦方向の幅寸法よりも大きくなるように構成されている。
【0029】
中継電極19には、固定用ネジ36を貫通させるための貫通孔19aが形成されている。スペーサブラケット12が下基板11の上に載置されたときは、各電極収容部20に収容された中継電極19が各素子グループ16A間の領域に配置された状態となる。そして、中継電極19は、下基板11上に形成された入力電極パターン17と電気的に接続される。なお、スペーサブラケット12に対する中継電極19の上下逆付けを防止するために、例えば中継電極19の上側端面にリブを設けても良い。
【0030】
上基板13には、図5にも示すように、複数のコンデンサ9と制御回路3を構成する部品とが実装されている。上基板13におけるコンデンサ9を実装する領域と制御回路3の構成部品を実装する領域との間には、入力端子4,5及び出力端子6〜8が固定ブラケット21を介して取り付け固定されている。固定ブラケット21は、固定用ネジ36により上基板13、中継電極19、入力電極パターン17及び下基板11を介してヒートシンク10に固定されている。
【0031】
上基板13上における出力端子7,8の固定部に対応する部位には、出力端子7,8を流れる電流を検出する電流センサ22が設けられている。電流センサ22は、上基板13と固定ブラケット21との間に配置されている。
【0032】
ケース14の上部には、入力端子4,5及び出力端子6〜8の上端面を露出させるための5つの穴部23が形成されている。その穴部23を形成するケース14の内壁面によって、入力端子4,5及び出力端子6〜8の上端部が位置決めされることとなる。
【0033】
入力端子4,5は、図2(a)に示すように、クランク形状をなしている(図2(a)では入力端子5のみ図示)。入力端子4,5は、外部端子(図示せず)が接続される外部端子接続部30と、この外部端子接続部30に対して偏心するように外部端子接続部30と一体的に設けられ、下基板11に接続固定される基板固定部31とを有している。
【0034】
外部端子接続部30の上端面30aは、外部端子(図示せず)とボルト(図示せず)で締結される外部端子締結面となっている。外部端子接続部30の上端面30aは、略多角形(ここでは略8角形)形状をなしている。また、ケース14の穴部23の形状も、外部端子接続部30の上端面30aに対応して略多角形(ここでは略8角形)形状となっている。外部端子接続部30には、ボルトと螺合するネジ部33が形成されている。
【0035】
外部端子接続部30の上部には、ケース14をシールするためのシール部材34を装着するシール装着部分35が設けられている。シール部材34としては、例えばゴム製のOリングが用いられる。シール装着部分35は、環状溝35aを有し、その環状溝35aにシール部材34を嵌め込む構造となっている。
【0036】
基板固定部31には、端子締結ネジ36を貫通させるための貫通孔31aが形成されている。端子締結ネジ36により入力端子4,5を下基板11に接続固定する際には、外部端子接続部30の下部を固定ブラケット21の上に載せると共に、基板固定部31を上基板13の上面側の入力配線パターン(図示せず)上に載せる。そして、上基板13の裏面側の入力配線パターン(図示せず)と下基板11の入力電極パターン17とを電気的に接続するように両基板11,13間に中継電極19を配置する。その状態で、インシュレータ37を介して端子締結ネジ36を基板固定部31の貫通孔31aに挿入する。そして、端子締結ネジ36を上基板13、中継電極19及び下基板11を介してヒートシンク10に形成された螺子穴に螺子締結することで、それら複数の部材が一体的に固定され、入力端子4,5が下基板11に接続固定される。
【0037】
出力端子6〜8は、図2(b)に示すように、入力端子4,5と同様にクランク形状をなしている(図2(b)では出力端子8のみ図示)。出力端子6〜8は、外部端子(図示せず)が接続される外部端子接続部40と、この外部端子接続部40に対して偏心するように外部端子接続部40と一体的に設けられ、下基板11に固定される基板固定部41とを有している。
【0038】
外部端子接続部40の上端面40aは、外部端子(図示せず)とボルト(図示せず)で締結される外部端子締結面となっている。外部端子接続部40の上端面40aは、上記の外部端子接続部30の上端面30aと同様に、略多角形(ここでは略8角形)形状をなしている。外部端子接続部40には、ボルトと螺合するネジ部42が形成されている。
【0039】
外部端子接続部40の上部には、上記のシール部材34を装着するシール装着部分43が設けられている。シール装着部分43は、上記のシール装着部分35と同様に、シール部材34が嵌め込まれる環状溝43aを有している。
【0040】
基板固定部41には、端子締結ネジ46を貫通させるための貫通孔41aが形成されている。端子締結ネジ46により出力端子6〜8を下基板11に固定する際には、外部端子接続部40の下端を固定ブラケット21に載せると共に、基板固定部41を上基板13に形成された貫通孔を介して下基板11上の出力電極パターン18の上に載せる。その状態で、インシュレータ47を介して端子締結ネジ46を基板固定部41の貫通孔41aに挿入する。そして、端子締結ネジ46を下基板11を介してヒートシンク10に形成された螺子穴に螺子締結することで、出力端子6〜8が下基板11に固定される。
【0041】
以上のように本実施形態にあっては、並列接続された4つのスイッチング素子15からなるスイッチング素子群16を2組の素子グループ16Aに分けるように配置し、各組の素子グループ16Aの間の領域に入力電極パターン17及び出力電極パターン18を配置するようにしたので、図6に示すように、入力電極パターン17から各スイッチング素子15までの電流経路の長さの違いが最小限に抑えられる。このため、各スイッチング素子15に電流が流れ込むタイミングの違いが少なくなるため、各スイッチング素子15を流れる電流値の均一性を確保でき、各スイッチング素子15間での電流アンバランスの影響を最小限に抑えることができる。
【0042】
また、各スイッチング素子15間での電流アンバランスの影響が最小限に抑えられるので、所望の出力電流を得るためにスイッチング素子15の数を必要以上に増やさなくて済む。
【0043】
また、下基板11の長手方向の寸法はスイッチング素子群16の配列数によって決まるが、本実施形態のように各素子グループ16A間に入力電極パターン17及び出力電極パターン18を配置する場合には、スイッチング素子群16間にそれぞれ入力電極パターン17及び出力電極パターン18を配置する場合に比較して、下基板11の長手方向に対する長さを短くすることができる。つまり、直列接続された2つのスイッチング素子群16の一方のスイッチング素子群16の素子グループ16A間に入力電極パターン17の少なくとも一部が配置され、これに隣接する他方のスイッチング素子群16の素子グループ16A間に出力電極パターン18の少なくとも一部が配置されるように、各スイッチング素子群16の複数のスイッチング素子15を並列接続するパターン内にそれぞれ入力電極パターン17及び出力電極パターン18を形成したので、従来構成に比較して配列数に応じた分だけ電極配置スペースを小さくすることができ、下基板11を小型化することができる。また、入力電極パターン17を下基板11の長手方向に対応する横方向に延在するような長方形状としているので、十分な通電面積を確保しつつ、各スイッチング素子群16を形成する2組の素子グループ16Aの距離を近づけて、スイッチング素子15間のアンバランス低減と下基板11の小型化を達成することができる。これにより、インバータ装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものでは無い。例えば、上記実施形態では、入力電極パターン17及び中継電極19の形状を長方形状としたが、入力電極パターン17及び中継電極19の形状としては特にそれには限られず、下基板11の長手方向に延在するような形状であれば良い。また、通電接続面積を確保できるのであれば、入力電極パターン17及び中継電極19の形状を円形状、正方形状等としても良い。
【0045】
また、上記実施形態では、スイッチング素子群16が4つのスイッチング素子15から構成されているが、スイッチング素子群16を構成するスイッチング素子15の数としては、特に4つには限られない。また、スイッチング素子群16の2組の素子グループ16Aに含まれるスイッチング素子15の数は、等しくても良いし、異なっていても良い。
【0046】
さらに、上記実施形態は、3相のインバータ装置1についてであるが、本発明の半導体装置は、そのようなインバータ装置1に限られず、例えばDC−DCコンバータ等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…インバータ装置(半導体装置)、2…主回路、4…正極電極端子、5…負極電極端子、6…U相出力端子、7…V相出力端子、8…W相出力端子、11…下基板、15…スイッチング素子(半導体素子)、16…スイッチング素子群(アーム素子)、16A…素子グループ、17…入力電極パターン(入力電極部)、18…出力電極パターン(出力電極部)、19…中継電極(入力電極)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6