特許第6252195号(P6252195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252195
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 9/20 20060101AFI20171218BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20171218BHJP
【FI】
   G06K9/20 340J
   G06T7/60 200K
   G06K9/20 340C
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-7224(P2014-7224)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-135632(P2015-135632A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 邦彦
【審査官】 板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−158777(JP,A)
【文献】 特開2007−079976(JP,A)
【文献】 特開2001−326774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 9/20
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未記入又は記入済みの用紙の画像を読み取って生成した第1画像データと、前記用紙と同じ形式であり重畳用紙が重畳された用紙の画像を読み取って生成した第2画像データと、の差分を検出することで、前記第2画像データには表されていない画像であって前記第1画像データに表されている画像を表す削除差分画像データを生成する削除差分画像生成手段と、
前記削除差分画像データに基づき、前記第2画像データにおいて前記重畳用紙が表されている領域を特定する領域特定手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記未記入の用紙及び前記記入済みの用紙には、罫線が記載されており、
前記領域特定手段は、前記削除差分画像データに表されている罫線に基づき、前記第2画像データにおいて前記重畳用紙が表されている領域を特定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記未記入の用紙及び前記記入済みの用紙には、第1の方向に延在し、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って互いに間隔をあけて配置された複数の第1罫線と、前記第2の方向に延在して前記複数の第1罫線と交差する第2罫線と、が前記罫線として記載されており、
前記領域特定手段は、前記削除差分画像データに表されている第1罫線及び第2罫線の端部を基準にして、前記第2画像データに表されている前記重畳用紙の境界を特定する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記削除差分画像データに第1罫線が表されて第2罫線が表されていない場合、前記領域特定手段は、前記削除差分画像データに表されている第1罫線の位置から、各第1罫線の間隔の長さ分、離れた位置を、前記第2画像データにおいて前記重畳用紙が表されている領域の境界として特定する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2画像データから、前記領域特定手段によって特定された前記重畳用紙の領域における画像データを抽出する抽出手段を更に有する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1画像データと前記第2画像データとの差分を検出することで、前記第1画像データには表されていない画像であって前記第2画像データに表されている画像を表す追加差分画像データを生成する追加差分画像生成手段と、
前記追加差分画像データから、前記領域特定手段によって特定された前記重畳用紙の領域における画像データを抽出する抽出手段と、を更に有する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記抽出された画像データに表されている前記重畳用紙の種類を特定し、前記特定された種類に基づき、前記抽出された画像データを分類する画像分類手段を更に有する、
請求項5又は請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記未記入の用紙及び前記記入済みの用紙は、診療の記録を記載するための診療記録用紙であり、
前記重畳用紙は、前記診療に関連する関連情報が記載された用紙である、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
未記入又は記入済みの用紙の画像を読み取って生成した第1画像データと、前記用紙と同じ形式であり重畳用紙が重畳された用紙の画像を読み取って生成した第2画像データと、の差分を検出することで、前記第2画像データには表されていない画像であって前記第1画像データに表されている画像を表す削除差分画像データを生成する削除差分画像生成手段と、
前記削除差分画像データに基づき、前記第2画像データにおいて前記重畳用紙が表されている領域を特定する領域特定手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙の文書を電子化して、パーソナルコンピュータ等によって閲覧するシステムがある。例えば、紙の文書をスキャナ等の読み取り装置によって読み取ることで、電子的な画像データを生成する。このように紙の文書を電子化することで、共有性、可搬性及び検索性に優れたシステムが構築され、ユーザの利便性が向上する。
【0003】
特許文献1には、複数の原本画像データと入力画像データとの差分画像をそれぞれ抽出し、差分画像の分布に基づいて、入録画像データの原本に相当する原本画像データを特定する装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、用紙の画像データから、用紙に添付された紙付箋の輪郭を示す付箋領域を抽出し、付箋領域内の画像データに文字認識処理を施し、付箋領域内のテキストデータを抽出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−102734号公報
【特許文献2】特開2007−4621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、医療分野においては、距離の離れた施設間や関連業種内(例えば、病院、診療所、調剤薬局、訪問看護ステーション、介護福祉施設等)において情報を共有するために、電子カルテ等の電子データが用いられる場合がある。一方で、比較的小規模の病院や診療所では、電子カルテが採用されていないことがある。また、電子カルテが採用されている医療機関であっても、すべての情報が電子化されているわけではなく、診療に必要な重要な情報が紙の文書でやり取りされていることがある。さらに、紙のままのカルテ等を利用したいニーズもある。このように、紙の文書が用いられている場合、情報共有するためには、FAXやコピーで相手方に紙の文書を送る必要があり、手間がかかる。そのため、紙の原本(例えばカルテ)を電子化し、電子化された画像データを共有サーバ等に格納することで、情報共有を図ることがある。なお、カルテ以外の情報(例えば、検査情報、看護記録、介護のメモ、処方薬情報等)についても、電子化して共有サーバ等に格納し、情報共有を図ることがある。
【0007】
また、カルテには、患者の診療記録が記入されるとともに、例えば血液検査、尿検査又は生化学検査等の検査に関する検査伝票が添付されることがある。これは、例えば、検査伝票の紛失や別の場所への混入を防止しして、カルテの時系列順の記録に合わせて検査伝票を閲覧するために行われる。例えば、紙のカルテに検査伝票が貼り付けられている場合において、ある患者の、ある診察時の検査結果と過去の検査結果とを見比べる場合、過去の紙カルテを探し出して比較閲覧することになり、手間がかかる。
【0008】
紙のカルテを画像データに電子化した場合には、比較対象の複数のカルテの画像を交互にディスプレイに表示して閲覧することが考えられる。この場合、交互に画像を切り替える必要があるため、紙のカルテと同様に手間がかかる。また、ディスプレイの画面を複数に分割し、複数のカルテの画像をページ単位で並べて閲覧することが考えられる。この場合、ページ単位でカルテの画像が表示されるように分割後の画面の大きさを確保する必要があるため、画面の分割数が制限されて、並べて表示されるカルテの数が制限される。このように、画面の分割数はカルテの大きさに依存して制限されるため、カルテに添付された検査伝票が比較的小型であっても、並べて表示される検査伝票の数が制限され、検査結果を比較閲覧する際の利便性が低下する。例えば、ページ単位でカルテの画像を表示するために、画面の分割数が2つに制限された場合、2つのカルテの画像のみがディスプレイに並べて表示されることになる。この場合、各カルテに添付された検査伝票がディスプレイに表示されることになるが、2つのカルテのみが表示されるので、並べて表示される検査伝票の数も2つに制限される。このように、検査伝票はカルテに比べて小型にもかかわらず、並べて表示される検査伝票の数が制限されるため、検査伝票の比較閲覧の利便性が低下する。なお、検査伝票に限らず、カルテに添付された他のメモ等についても、検査伝票と同様の問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、用紙を表す画像データにおいて、当該用紙に重畳された重畳用紙の領域を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、未記入又は記入済みの用紙の画像を読み取って生成した第1画像データと、前記用紙と同じ形式であり重畳用紙が重畳された用紙の画像を読み取って生成した第2画像データと、の差分を検出することで、前記第2画像データには表されていない画像であって前記第1画像データに表されている画像を表す削除差分画像データを生成する削除差分画像生成手段と、前記削除差分画像データに基づき、前記第2画像データにおいて前記重畳用紙が表されている領域を特定する領域特定手段と、を有する画像処理装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記未記入の用紙及び前記記入済みの用紙には、罫線が記載されており、前記領域特定手段は、前記削除差分画像データに表されている罫線に基づき、前記第2画像データにおいて前記重畳用紙が表されている領域を特定する、請求項1に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記未記入の用紙及び前記記入済みの用紙には、第1の方向に延在し、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って互いに間隔をあけて配置された複数の第1罫線と、前記第2の方向に延在して前記複数の第1罫線と交差する第2罫線と、が前記罫線として記載されており、前記領域特定手段は、前記削除差分画像データに表されている第1罫線及び第2罫線の端部を基準にして、前記第2画像データに表されている前記重畳用紙の境界を特定する、請求項2に記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記削除差分画像データに第1罫線が表されて第2罫線が表されていない場合、前記領域特定手段は、前記削除差分画像データに表されている第1罫線の位置から、各第1罫線の間隔の長さ分、離れた位置を、前記第2画像データにおいて前記重畳用紙が表されている領域の境界として特定する、請求項3に記載の画像処理装置である。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記第2画像データから、前記領域特定手段によって特定された前記重畳用紙の領域における画像データを抽出する抽出手段を更に有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記第1画像データと前記第2画像データとの差分を検出することで、前記第1画像データには表されていない画像であって前記第2画像データに表されている画像を表す追加差分画像データを生成する追加差分画像生成手段と、前記追加差分画像データから、前記領域特定手段によって特定された前記重畳用紙の領域における画像データを抽出する抽出手段と、を更に有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0016】
請求項7に係る発明は、前記抽出された画像データに表されている前記重畳用紙の種類を特定し、前記特定された種類に基づき、前記抽出された画像データを分類する画像分類手段を更に有する、請求項5又は請求項6に記載の画像処理装置である。
【0017】
請求項8に係る発明は、前記未記入の用紙及び前記記入済みの用紙は、診療の記録を記載するための診療記録用紙であり、前記重畳用紙は、前記診療に関連する関連情報が記載された用紙である、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0018】
請求項9に係る発明は、コンピュータを、未記入又は記入済みの用紙の画像を読み取って生成した第1画像データと、前記用紙と同じ形式であり重畳用紙が重畳された用紙の画像を読み取って生成した第2画像データと、の差分を検出することで、前記第2画像データには表されていない画像であって前記第1画像データに表されている画像を表す削除差分画像データを生成する削除差分画像生成手段と、前記削除差分画像データに基づき、前記第2画像データにおいて前記重畳用紙が表されている領域を特定する領域特定手段と、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1,9に係る発明によると、用紙に重畳された重畳用紙の領域が特定される。
【0020】
請求項2に係る発明によると、重畳用紙によって覆われた罫線を利用して、用紙に重畳された重畳用紙の領域が特定される。
【0021】
請求項3に係る発明によると、罫線の特徴を利用して、用紙に重畳された重畳用紙の領域が特定される。
【0022】
請求項4に係る発明によると、用紙に重畳された重畳用紙の領域が推定される。
【0023】
請求項5,6に係る発明によると、記入済みの用紙に重畳された重畳用紙を表す画像データが得られる。
【0024】
請求項7に係る発明によると、重畳用紙を表す画像データが、重畳用紙の種類毎に分類される。
【0025】
請求項8に係る発明によると、診療の記録が記載された診療記録用紙から、当該診療に関連する関連情報が記載された領域が特定され、当該関連情報を表す画像データが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の一例を示すブロック図である。
図2】カルテ及び重畳用紙の一例を示す模式図である。
図3】画像の一例を示す模式図である。
図4】画像の一例を示す模式図である。
図5】画像の一例を示す模式図である。
図6】カルテ及び画像の一例を示す模式図である。
図7】画像の一例を示す模式図である。
図8】本実施形態に係る画像処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】本実施形態に係る画像処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】本実施形態に係る処理の適用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、本発明の実施形態に係る画像処理装置の一例を示す。本実施形態に係る画像処理装置10は、画像読取部12、画像記憶部14、差分画像生成部16、領域特定部22、画像抽出部24、画像分類部26及び出力部28を含む。差分画像生成部16は、削除差分画像生成部18と追加差分画像生成部20とを含む。なお、画像処理装置10は、ネットワーク等の通信経路を介して、図示しないサーバや端末装置等の外部装置に接続されて、画像データ等の各種のデータを外部装置に送信したり、データを外部装置から受信したりする機能を備えていてもよい。
【0028】
まず、図2を参照して、本実施形態で取り扱われる用紙の一例について説明する。図2には、病院等の医療機関にて用いられる紙のカルテの一例が模式的に示されている。
【0029】
図2(a)には、未記入状態の紙のカルテ100が示されている。このカルテ100は、予め決定されたフォーマットに従って作成されており、カルテ100には罫線102,104が予め印刷等によって記載されている。例えば、複数の罫線102が、カルテ100の横方向(左右方向、第1の方向)に延在するとともに、カルテ100の縦方向(上下方向、第2の方向)に沿って互いに間隔をあけて記載されている。また、罫線104が、複数の罫線102と交差して縦方向(上下方向、第2の方向)に延在して記載されている。このカルテ100は、一例としてカルテ2号用紙に相当するが、他のフォーマットのカルテが用いられてもよい。例えば、複数の罫線104が、横方向(左右方向)に沿って互いに間隔をあけて記載されていてもよい。
【0030】
図2(b)には、記入済み状態の紙のカルテ100が示されている。例えば医師によってカルテ100に文字列(図中の「・・・・」)、図及び表等が記入されたり、医師や検査技師や看護師等によって、重畳用紙110がカルテ100に貼り付けられたりする。この重畳用紙110はカルテ100よりも小型であり、例えば、のり付け等によってカルテ100に貼り付けられる。一例として、重畳用紙110の形状は矩形である。この重畳用紙110は、例えば、検査伝票、看護記録、介護メモ又は処方薬帳票等である。検査伝票には、例えば、血液検査や尿検査や生化学検査等の各種検査の結果が記されている。このように重畳用紙110がカルテ100に貼り付けられると、カルテ100において重畳用紙110が貼り付けられた箇所は、重畳用紙110によって覆われた状態となる。図2(b)に示す例では、重畳用紙110によって、その重畳用紙110の下にある罫線102,104が覆われた状態となる。
【0031】
図1に戻って説明すると、画像読取部12は、スキャナやデジタルカメラ等の画像読取装置であり、用紙上の画像を読み取ることで、電子的な画像データを生成する。画像記憶部14は、画像読取部12によって生成された画像データを記憶する。
【0032】
本実施形態では、画像読取部12は、図2(a)に示す未記入状態のカルテ100の画像を読み取ることで、未記入状態のカルテ100を表す画像データ(以下、「カルテフォーマット画像データ」と称する)を生成する。また、画像読取部12は、記入済み状態のカルテ100の画像を読み取ることで、記入済み状態のカルテ100を表す画像データ(以下、「カルテ画像データ」と称する)を生成する。画像読取部12は、例えば図2(b)に示すように重畳用紙110が添付された状態のカルテ100の画像を読み取って、カルテ画像データを生成する。
【0033】
なお、画像読取部12によって生成されたカルテ画像データには、例えば図示しない制御部によって、患者の氏名や患者ID等の患者識別情報や、診察等のイベントの発生日時等を示す情報が付帯される。例えば、画像記憶部14において、患者毎及びイベント毎にフォルダが作成され、各フォルダにカルテ画像データが格納される。また、カルテ画像データは、ネットワーク等の通信経路を介して画像処理装置10からサーバ等の外部装置に送信され、その外部装置に格納されてもよい。カルテ画像データは、様々な職種のユーザによって閲覧される状態におかれてもよい。例えば、医師、看護師及び薬剤師等が、それぞれの権限に応じてカルテ画像データを閲覧してもよい。
【0034】
削除差分画像生成部18は、未記入状態のカルテ100を表すカルテフォーマット画像データと、記入済み状態のカルテ100を表すカルテ画像データと、の差分を検出し、カルテフォーマット画像データに表されている画像であってカルテ画像データには表されていない画像を表す削除差分画像データを生成する。すなわち、削除差分画像生成部18は、カルテフォーマット画像データとカルテ画像データとを対比し、カルテ画像データにおいて、カルテフォーマット画像データから削除されている部分の画像データ(削除差分画像データ)を抽出する。本実施形態では、削除差分画像生成部18は、重畳用紙110によって覆われた部分(罫線102,104)を表す削除差分画像データを生成する。
【0035】
追加差分画像生成部20は、未記入状態のカルテ100を表すカルテフォーマット画像データと、記入済み状態のカルテ100を表すカルテ画像データと、の差分を検出し、カルテフォーマット画像データには表されていない画像であってカルテ画像データには表されている画像を表す追加差分画像データを生成する。すなわち、追加差分画像生成部20は、カルテフォーマット画像データに対して追加された部分の画像データ(追加差分画像データ)を抽出する。
【0036】
領域特定部22は、削除差分画像生成部18によって生成された削除差分画像データに基づいて、記入済み状態のカルテ100に添付された重畳用紙110の領域を特定する。すなわち、領域特定部22は、カルテ画像データ又は追加差分画像データに表されている重畳用紙110の領域を特定する。
【0037】
ここで、図3に示す具体例を挙げて、削除差分画像生成部18、追加差分画像生成部20及び領域特定部22の処理について説明する。図3(a)には、画像読取部12によって生成されたカルテフォーマット画像データ200の一例が示されており、図3(b)には、画像読取部12によって生成されたカルテ画像データ210の一例が示されている。
【0038】
追加差分画像生成部20は、カルテフォーマット画像データ200とカルテ画像データ210との差分を検出し、図3(c)に示すように、カルテフォーマット画像データ200に対して追加された部分を表す追加差分画像データ220を生成する。この追加差分画像データ220は、カルテフォーマット画像データ200に対して追加された部分を表す画像データであるため、追加差分画像データ220には、カルテフォーマット画像データ200に表されている罫線102,104は表されておらず、カルテ100に記入された文字列や添付された重畳用紙110が表されている。
【0039】
削除差分画像生成部18は、カルテフォーマット画像データ200とカルテ画像データ210との差分を検出し、図3(d)に示すように、カルテ画像データ210において、カルテフォーマット画像データ200から削除されている部分を表す削除差分画像データ230を生成する。例えば図2(b)に示すように、カルテ100に重畳用紙110が貼り付けられると、その重畳用紙110の下にある罫線102,104は覆われるため、図3(b)に示すように、カルテ画像データ210には、重畳用紙110によって覆われた部分の罫線102,104は表されない。削除差分画像生成部18は、カルテフォーマット画像データ200とカルテ画像データ210との差分を検出し、カルテフォーマット画像データ200には表されている画像であってカルテ画像データ210には表されていない画像を検出することで、図3(d)に示すように、重畳用紙110によって覆われた部分の罫線102a,104aが表された削除差分画像データ230を生成する。
【0040】
領域特定部22は、削除差分画像データ230に表された罫線を利用することで、カルテ画像データ210において重畳用紙110が表されている領域(以下、「重畳用紙領域」と称する)の位置を特定する。すなわち、領域特定部22は、カルテ100において重畳用紙110が貼り付けられた位置を特定する。例えば、領域特定部22は、削除差分画像データに表された罫線102a,104aのそれぞれの端部を基準にして、重畳用紙領域の輪郭を特定する。一例として、領域特定部22は、削除差分画像データ230において横方向(左右方向)に延在する各罫線102aの左右の端部の位置を検出し、縦方向(上下方向)に延在する罫線104aの上下の端部の位置を検出する。そして、領域特定部22は、各罫線102aの左端部を通り罫線104(又は罫線104a)に平行な線分を、重畳用紙領域の左側の辺として定義し、各罫線102aの右端部を通り罫線104(又は罫線104a)に平行な線分を、重畳用紙領域の右側の辺として定義する。また、領域特定部22は、罫線104aの上端部を通り罫線102(又は罫線102a)に平行な線分を、重畳用紙領域の上側の辺として定義し、罫線104aの下端部を通り罫線102(又は罫線102a)に平行な線分を、重畳用紙領域の下側の辺として定義する。そして、領域特定部22は、左側の辺、右側の辺、上側の辺及び下側の辺を、重畳用紙領域の境界として定義し、左側の辺、右側の辺、上側の辺及び下側の辺によって囲まれた領域を、重畳用紙領域として定義する。図3(e)に、領域特定部22によって特定された重畳用紙領域240の一例を示す。一例として、重畳用紙110の形状は矩形であるため、重畳用紙領域240の形状は矩形となる。
【0041】
ここで、図4を参照して、重畳用紙領域240を特定するための別の例について説明する。まず、領域特定部22は、図4に示すように、カルテフォーマット画像データ200に表された罫線102,104に、削除差分画像データ230に表された罫線102a,104a(図4中の太線)を重畳させる。そして、領域特定部22は、カルテフォーマット画像データ200に表された罫線102,104と、削除差分画像データ230に表された罫線102a,104aと、の位置を比較し、罫線102a,104aの端部に隣接する位置を、重畳用紙領域の辺(境界)の位置として特定する。例えば、領域特定部22は、カルテフォーマット画像データ200に表された罫線102において、削除差分画像データ230に表された横方向の罫線102aの左端部232に隣接する位置を、重畳用紙領域の左側の辺の位置として特定する。図4に示す例では、罫線102aの左端部232の位置が、重畳用紙領域の左側の辺の位置に該当する。また、領域特定部22は、カルテフォーマット画像データ200に表された罫線102において、削除差分画像データ230に表された横方向の罫線102aの右端部234に隣接する位置を、重畳用紙領域の右側の辺の位置として特定する。図4に示す例では、罫線102aの右端部234の位置が、重畳用紙領域の右側の辺の位置に該当する。また、領域特定部22は、カルテフォーマット画像データ200に表された罫線104において、削除差分画像データ230に表された縦方向の罫線104aの上端部236に隣接する位置を、重畳用紙領域の上側の辺の位置として特定する。図4に示す例では、罫線104aの上端部236の位置が、重畳用紙領域の上側の辺の位置に該当する。また、領域特定部22は、カルテフォーマット画像データ200に表された罫線104において、削除差分画像データ230に表された縦方向の罫線104aの下端部238に隣接する位置を、重畳用紙領域の下側の辺の位置として特定する。図4に示す例では、罫線104aの下端部238の位置が、重畳用紙領域の下側の辺の位置に該当する。領域特定部22は、左側の辺、右側の辺、上側の辺及び下側の辺によって囲まれた領域を、重畳用紙領域として定義する。このように重畳用紙領域を特定することで、削除差分画像データ230に表された罫線102a,104aのそれぞれの端部が、カルテ100の罫線102,104のそれぞれの端部に対応するのか、それとも、罫線102,104の途中の位置に対応するのかが特定される。なお、重畳用紙領域240を特定するための例は、上記に説明したものに限られない。例えば、図3(d)に示した削除差分画像データ230に外接する矩形領域を求め、その矩形領域を重畳用紙領域240として特定するようにしてもよい。
【0042】
画像抽出部24は、領域特定部22によって特定された重畳用紙領域240の位置に基づいて、カルテ画像データ210又は追加差分画像データ220における重畳用紙領域240の位置を特定し、カルテ画像データ210又は追加差分画像データ220から、重畳用紙領域240における画像データを抽出する。例えば、画像抽出部24は、図5(a)に示す追加差分画像データ220から、図5(b)に示す重畳用紙領域240における画像データを抽出する。これにより、図5(c)に示すように、重畳用紙110が表された重畳用紙画像データ300が生成される。なお、画像抽出部24は、重畳用紙画像データ300に、カルテ画像データ210に付帯されている付帯情報(例えば患者情報やイベントに関する情報)を付帯させてもよい。
【0043】
ここで、図6及び図7を参照して、削除差分画像データ230の別の例について説明する。例えば、図6(a)に示すように、カルテ100における重畳用紙110の添付位置によっては、縦方向(上下方向)に延在する罫線104が重畳用紙110によって覆われない場合がある。この場合、例えば図6(b)に示すように、削除差分画像データ230には、重畳用紙110によって覆われた部分の罫線102aのみが表され、罫線104は表されない。このように、縦方向(上下方向)に延在する罫線104が削除差分画像データ230に表されていない場合、図6(c)に示すように、複数の罫線102aのうちの最上部の罫線102aの位置を、重畳用紙領域240の上側の辺として定義し、複数の罫線102aのうちの最下部の罫線102aの位置を、重畳用紙領域240の下側の辺として定義すると、重畳用紙領域240が、カルテ100に実際に添付された重畳用紙110よりも狭くなる場合がある。例えば図6(a)に示すように、重畳用紙110が罫線102を跨いでカルテ100に貼り付けられると、重畳用紙領域240が、重畳用紙110よりも狭くなる。このようにして得られた重畳用紙領域240を用いて重畳用紙画像データを抽出すると、その重畳用紙画像データには、重畳用紙110の全体が表されないことになる。
【0044】
そこで、本実施形態では、領域特定部22は、削除差分画像データ230に表された複数の罫線102aとカルテフォーマット画像データ200に表された罫線102とを用いて、重畳用紙110の全体が含まれる大きさの重畳用紙領域240を定義する。この処理について図7を参照して説明する。例えば図7(a)に示すように、削除差分画像データ230に、横方向(左右方向)に延在する複数の罫線102aが表されており、縦方向(上下方向)に延在する罫線104aが表されていないものとする。なお、重畳用紙110を一点鎖線で示す。この場合、領域特定部22は、図7(b)に示すように、カルテフォーマット画像データ200に表された罫線102,104に、削除差分画像データ230に表された罫線102aを重畳させる。そして、領域特定部22は、複数の罫線102aのうちの最上部の罫線102aよりも1つ上の罫線102の位置を、重畳用紙領域240の上側の辺として定義し、複数の罫線102aのうちの最下部の罫線102aよりも1つ下の罫線102の位置を、重畳用紙領域240の下側の辺として定義する。これにより、上下方向に拡大された重畳用紙領域240(図7(b)中の破線)が定義される。この重畳用紙領域240は、カルテ100に実際に添付された重畳用紙110よりも上下方向に広くなっており、この重畳用紙領域240を用いて抽出された重畳用紙画像データには、重畳用紙110の全体が表されることになる。また、拡大する範囲は、上下合わせても2本分の罫線102の間隔であるため、重畳用紙領域240の不要な拡大が防止される。従って、拡大された重畳用紙領域240を用いた場合であっても、重畳用紙110の周辺が除かれた重畳用紙画像データが抽出される。なお、重畳用紙領域240の左右の辺については、図3(e)又は図4を参照して説明した方法によって特定すればよい。
【0045】
なお、領域特定部22は、削除差分画像データ230とカルテフォーマット画像データ200とを重畳せずに、削除差分画像データ230に表された複数の罫線102aのうちの最上部の罫線102aから、各罫線102の間隔の長さ分、上側に離れた位置を、重畳用紙領域240の上側の辺として定義してもよい。同様に、領域特定部22は、削除差分画像データ230に表された複数の罫線102aのうちの最下部の罫線102aから、各罫線102の間隔の長さ分、下側に離れた位置を、重畳用紙領域240の下側の辺として定義してもよい。
【0046】
図1に戻って説明すると、画像分類部26は、画像抽出部24によって抽出された重畳用紙画像データ300を、予め設定された基準に従って分類する。例えば、検査伝票、看護記録、介護メモ及び処方薬帳票によって、大きさ、色、形状及び特徴が異なるため、画像分類部26は、重畳用紙画像データ300に表された重畳用紙110の大きさ、色、形状及び特徴に基づいて、重畳用紙110の種類を特定し、重畳用紙画像データ300を、同一種類の画像群に分類する。また、画像分類部26は、複数の重畳用紙画像データ300の類似度を求め、類似度が予め設定された閾値以上となる重畳用紙画像データ300を同一種類に分類してもよい。また、画像分類部26は、重畳用紙画像データ300に付帯されている付帯情報に基づいて、重畳用紙画像データ300を分類してもよい。例えば、画像分類部26は、同一の患者情報が付帯されている重畳用紙画像データ300を同一種類に分類してもよいし、イベント発生日時が同一の重畳用紙画像データ300を同一種類に分類してもよい。
【0047】
出力部28は、画像データを出力する。例えば、出力部28はディスプレイを備え、画像を表示する。一例として、出力部28は、重畳用紙画像データ300を表示する。また。出力部28は、カルテ画像データ210を表示してもよいし、カルテ画像データ210に削除差分画像データ230を重畳させて表示してもよい。カルテ画像データ210に削除差分画像データ230を重畳させることで、重畳用紙110が添付されていない記入済みのカルテ100の画像データが得られる。なお、出力部28は、ネットワーク等の通信経路を介して、画像データを外部装置に送信してもよい。
【0048】
次に、図8に示すフローチャートを参照して、重畳用紙領域を特定するための処理について説明する。まず、未記入状態のカルテ100のフォーマットを登録する(S01)。具体的には、画像読取部12によって、図2(a)に示す未記入状態のカルテ100の画像を読み取ることで、図3(a)に示すカルテフォーマット画像データ200を生成する。このカルテフォーマット画像データ200は、画像記憶部14に記憶される。なお、同一フォーマットのカルテ100が使用される場合には、カルテフォーマット画像データ200を一度登録しておけばよく、差分処理を行う度に改めにカルテフォーマット画像データ200を登録しなくてもよい。
【0049】
次に、記入済み状態のカルテ100を登録する(S02)。具体的には、画像読取部12によって、図2(b)に示す記入済み状態のカルテ100の画像を読み取ることで、図3(b)に示すカルテ画像データ210を生成する。記入済み状態のカルテ100には重畳用紙110が添付されているため、カルテ画像データ210には、その重畳用紙110が表されている。
【0050】
そして、差分画像生成部16は、カルテフォーマット画像データ200とカルテ画像データ210との差分を検出する(S03)。具体的に、削除差分画像生成部18は、カルテフォーマット画像データ200とカルテ画像データ210との差分を検出し、図3(d)に示すように、重畳用紙110によって覆われた部分の罫線102a,104aが表された削除差分画像データ230を生成する。また、追加差分画像生成部20は、カルテフォーマット画像データ200とカルテ画像データ210との差分を検出し、図3(c)に示すように、カルテフォーマット画像データ200に対して追加された部分を表す追加差分画像データ220を生成する。
【0051】
そして、領域特定部22は、図3(d)及び(e)に示すように、削除差分画像データ230に表された罫線102a,104aを利用することで、カルテ画像データ210において重畳用紙110が表された領域(重畳用紙領域240)の位置を特定する(S04)。
【0052】
次に、図9に示すフローチャートを参照して、重畳用紙画像データを抽出するための処理について説明する。まず、画像抽出部24は、図5(a)に示す追加差分画像データ220から、図5(b)に示す重畳用紙領域240における画像データを抽出することで、図5(c)に示す重畳用紙画像データ300を生成する(S10)。そして、画像分類部26は、重畳用紙画像データ300に表された重畳用紙の大きさ、色、形状及び特徴に基づいて、重畳用紙画像データ300を分類する(S11)。これにより、分類結果400が得られる。
【0053】
以上のように、重畳用紙110によって覆われた罫線102,104を利用することで、カルテ画像データ210に表された重畳用紙110の領域(重畳用紙領域)を特定することができる。この重畳用紙領域を用いて抽出された重畳用紙画像データ300は、カルテ画像データ210から分離された画像データであり、重畳用紙110の周辺領域は表されていない。そのため、カルテ100の全体を表すカルテ画像データ210と比較して、重畳用紙画像データ300の方が、重畳用紙110を閲覧するのに適している。例えば、重畳用紙110はカルテ100よりも小型であるため、カルテ画像データ210よりも、重畳用紙画像データ300の方が、ディスプレイにおける表示領域が小さくて済む。そのため、カルテ画像データ210よりも、より多くの数の重畳用紙画像データ300がディスプレイに並べて表示され得るため、カルテ画像データ210を用いるよりも、重畳用紙画像データ300を用いる方が、複数の重畳用紙110の比較閲覧が容易となる。また、重畳用紙画像データ300は、カルテ画像データ210から分離することができるため、カルテ100の全体を表すカルテ画像データ210を用いる場合と比較して、重畳用紙の分類が容易となる。
【0054】
次に、図10を参照して、本実施形態の適用例について説明する。図10に示すカルテ画像データ510〜540は、それぞれ異なる日に記入されたカルテ100を表す画像データである。例えば、カルテ画像データ510は、10月5日に記入されたカルテ100を表す画像データである。10月5日付けのカルテ100には、検査伝票610が貼り付けられており、カルテ画像データ510には、検査伝票610が表されている。カルテ画像データ520は、11月11日に記入されたカルテ100を表す画像データである。11月11日付けのカルテ100には、検査伝票620と看護記録720とが貼り付けられており、カルテ画像データ520には、検査伝票620と看護記録720とが表されている。カルテ画像データ530は、11月20日に記入されたカルテ100を表す画像データである。11月20日付けのカルテ100には、検査伝票630と看護記録730とが貼り付けられており、カルテ画像データ530には、検査伝票630と看護記録730とが表されている。カルテ画像データ540は、12月6日に記入されたカルテ100を表す画像データである。12月6日付けのカルテ100には、検査伝票640が貼り付けられており、カルテ画像データ540には、検査伝票640が表されている。このように、各日付のカルテ100には、検査伝票及び看護記録のうちの少なくとも一方が重畳用紙として添付されている。
【0055】
上記のような一群のカルテ画像データ510〜540を対象にして本実施形態に係る処理を適用すると、カルテ画像データ510〜540のそれぞれから重畳用紙(検査伝票及び看護記録のうちの少なくとも一方)を表す重畳用紙画像データが抽出される。例えば、カルテ画像データ510から、検査伝票610を表す検査伝票画像データ(重畳用紙画像データの一例)が抽出される。また、カルテ画像データ520から、検査伝票620を表す検査伝票画像データと看護記録720を表す看護記録画像データ(重畳用紙画像データの一例)とが抽出される。また、カルテ画像データ530から、検査伝票630を表す検査伝票画像データと看護記録730を表す看護記録画像データとが抽出される。また、カルテ画像データ540から、検査伝票640を表す検査伝票画像データが抽出される。
【0056】
そして、画像分類部26は、各重畳用紙画像データの大きさ、色、形状及び特徴に基づいて、各重畳用紙画像データを分類する。例えば、検査伝票610〜640のそれぞれを表す検査伝票画像データは、検査伝票を表す画像データであるため、同一種類としてグループAに分類され、看護記録720,730のそれぞれを表す看護記録画像データは、看護記録を表す画像データであるため、同一種類としてグループBに分類される。
【0057】
例えば、出力部28は、同一グループに分類された画像データを表示する。図10に示す例では、出力部28は、グループAに分類された検査伝票610〜640のそれぞれを表す検査伝票画像データを並べて表示し、グループBに分類された看護記録720,730のそれぞれを表す看護記録画像データを並べて表示する。これにより、複数の検査伝票(検査伝票610〜640)を比較して閲覧し得る状態となる。同様に、複数の看護記録(看護記録720,730)を比較して閲覧し得る状態となる。
【0058】
検査伝票610〜640は、カルテ100と比べて小型であるため、カルテ画像データ510〜540を並べて表示する場合と比較して、より多くの検査伝票画像データが並べて表示され、検査伝票610〜640の比較閲覧が容易になる。看護記録720,730についても同様である。また、検査伝票610〜640及び看護記録720,730は、それぞれカルテ画像データ510〜540から分離されているため、同一種類の画像の分類が容易となる。すなわち、検査伝票610〜640をそれぞれ表す検査伝票画像データと、看護記録720,730をそれぞれ表す看護記録画像データと、の分類が容易となり、同一種類の重畳用紙の比較が容易となる。
【0059】
以上、未記入状態のカルテに対応するカルテフォーマット画像データを基準に、カルテのカルテ画像データとの差分画像を求めて重畳用紙領域を特定することについて説明したが、重畳用紙が貼り付けられたことにより削除されるカルテの罫線が差分画像として抽出することができるのであれば、未記入状態のカルテ(カルテフォーマット画像データ)に限らず、他の画像データを、重畳用紙が貼り付けられたカルテのカルテ画像データから差分画像を求める際の基準として用いることができる。例えば、当該他の画像データとして、重畳用紙が貼り付けられるより前のカルテ画像データを用いることができる。すなわち、重畳用紙が貼り付けられる前のカルテ画像データと、重畳用紙が貼り付けられたカルテのカルテ画像データと、の差分画像を求め、その差分画像に基づいて、重畳用紙領域を特定することができる。
【0060】
上述した画像処理装置10は、一例としてハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、画像処理装置10は、図示しないCPU等のプロセッサを備えている。当該プロセッサが、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、削除差分画像生成部18、追加差分画像生成部20、領域特定部22、画像抽出部24及び画像分類部26のそれぞれの機能が実現される。上記プログラムは、CDやDVD等の記憶媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。
【符号の説明】
【0061】
10 画像処理装置、12 画像読取部、14 画像記憶部、16 差分画像生成部、18 削除差分画像生成部、20 追加差分画像生成部、22 領域特定部、24 画像抽出部、26 画像分類部、28 出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10