(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
(第1の実施形態)
本発明を適用した第1の実施形態について、
図1〜
図13を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の蓄電装置は、組電池である電池パック1、ケース2、および、熱交換器3を有している。電池パック1は、例えば、電動機のみによって走行する電気自動車(EV)、電動機と内燃機関とを併用して走行駆動力とするプラグインハイブリッド自動車(PHV)等に搭載される車両用蓄電池である。
【0015】
電池パック1は、ケース2内に収容されている。ケース2は、例えばアルミニウム合金材または鉄材等からなる金属製である。ケース2は、例えば樹脂製とすることもできる。熱交換器3は、例えばアルミニウム合金製の複数のチューブを有しており、電池パック1を温度調節するための熱媒体が内部を流通する。熱交換器3内には、シロッコファン等の送風手段により送風される空気等の気体、エンジン冷却水等の液体、ヒートポンプサイクルを循環する冷媒等の気液二相流体等を熱媒体として流通させることができる。ヒートポンプサイクルを循環する冷媒を熱媒体とする場合には、電池パック1を温度調節するためのヒートポンプサイクルの一部と、車両用空調装置のヒートポンプサイクルの一部とを、共用することが可能である。
【0016】
電池パック1は、電池スタック10および拘束装置20を備えている。電池スタック10は、図示XX方向に積層された複数の電池セル11を有している。それぞれの電池セル11は、図示XX方向に対して直交する方向(
図2図示YY方向やZZ方向)に拡がる扁平状をなしており、本実施形態のおける扁平状単電池に相当する。
【0017】
電池セル11は、外形が四角形状をなして板状に形成された充放電可能な電池(二次電池)であり、本例では、リチウムイオン電池からなっている。電池セル11は、リチウムイオン電池に限らず、ニッケル水素電池等の他の二次電池であってもかまわない。以下、電池セル11の積層方向をXX方向と呼ぶ場合がある。
【0018】
電池セル11には、例えば
図5に示すような積層体ラミネートタイプの電池セル11Aを用いることができる。電池セル11Aは、電極体111と、電極体111に密着しつつ電極体111の両面を覆う樹脂製のラミネートフィルム112とを有している。
【0019】
電極体111は、例えば
図6に示すように、+側の集電用の金属箔113と、−側の集電用の金属箔114とが、セパレータ115を挟むように多層構造に形成された構造体を有している。金属箔113の両側の表面には、正極活物質113aが設けられている。金属箔114の両側の表面には、負極活物質114aが設けられている。
【0020】
このような多層構造体からなる電極体111は、
図5に示すように、図示左方側に正極端子116を有している。また、電極体111は、図示右方側に負極端子117を有している。
【0021】
正極端子116には、金属箔113のうち
図5図示左方側で活物質113aが設けられていない部分が電気的に接続している。電極体111の複数の金属箔113の端部同士を集合させて、例えば溶接により、全ての金属箔113の端部が正極端子116に電気的に接続している。
【0022】
また、負極端子117には、金属箔114のうち
図5図示右方側で活物質114aが設けられていない部分が電気的に接続している。電極体111の複数の金属箔114の端部同士を集合させて、例えば溶接により、全ての金属箔114の端部が負極端子117に電気的に接続している。
【0023】
正極端子116および負極端子117は、図示YY方向のおける外方側の端部がラミネートフィルム112から突出している。したがって、電極体111のセパレータ115を介して密着されるべき反応面は、電池セル11AのYY方向における中央部110に位置する。
【0024】
また、電池セル11には、例えば
図7に示すような角型の缶タイプの電池セル11Bを用いることができる。電池セル11Bは、電極体111bと、電極体111bの両面に密着しつつ電極体111bを内部に収容する金属製の筐体118とを有している。
【0025】
電極体111bは、例えば
図8に示すように、+側の集電用の金属箔113と、−側の集電用の金属箔114とが、セパレータ115を挟むように4層構造に形成されたシート体を扁平状に巻回して形成された構造体を有している。金属箔113の両側の表面には、正極活物質113aが設けられている。金属箔114の両側の表面には、負極活物質114aが設けられている。このような4層構造巻回体からなる電極体111bは、金属箔113のうち
図8図示左方手前側で活物質が設けられていない部分に電気的に接続する正極端子116b(
図7参照)を有している。また、電極体111bは、金属箔114のうち
図8図示右方奥側で活物質が設けられていない部分に電気的に接続する負極端子117b(
図7参照)を有している。
【0026】
正極端子116bおよび負極端子117bは、
図7図示上方側の端部が筐体118から突出している。したがって、電極体111bのセパレータ115を介して密着されるべき反応面は、電池セル11BのYY方向における中央部110に位置する。
【0027】
なお、電池セル11A、11Bの正極端子および負極端子は、例えば図示を省略したバスバにより電気的に接続されて、複数の電池セル11A、11Bは、相互に直列もしくは並列に電気接続されている。
【0028】
図1に示すように、隣り合う電池セル11の間には、それぞれ熱伝導板12が介設されている。熱伝導板12は、例えばアルミニウム合金等の金属製であり、例えば折り曲げ加工により図示下部が屈曲した断面L字形状をなしている。熱伝導板12の下端面は、熱交換器3に接している。熱伝導板12は、熱交換器3内を流通する熱媒体と電池セル11との間で熱移動を行い、電池セル11を温度調節する。
【0029】
電池セル11に、缶タイプの電池セル11Bを採用する場合には、電池セル11Bの外周面に沿って絶縁フィルム部材等を設け、熱伝導板12や端部押圧部材30との間に電気的絶縁層を形成することが好ましい。
【0030】
電池セル11と熱伝導板12とが積層された電池スタック10は、拘束装置20により拘束されている。拘束装置20は、電池スタック10の両端部を押圧する一対の端部押圧部材30と、一対の端部押圧部材30に係止する拘束部材40とを備えている。
【0031】
端部押圧部材30は、電池スタック10のXX方向端部に配置されてXX方向に直交する方向(直交する平面の延在方向)に拡がるエンドプレート31と、エンドプレート31と電池スタック10との間に配置される板ばね32とを有している。端部押圧部材30は、電池スタック10のXX方向の両端に配置され、電池スタック10のXX方向の端部を押圧して電池スタック10をXX方向に挟圧する。
【0032】
拘束部材40は、複数の(本例では4本の)ボルト41と、複数のボルト41にそれぞれ螺合する複数のナット42とを有している。拘束部材40は、電池スタック10の側方をXX方向に沿って延びるように設けられ、一対のエンドプレート31に係止して、電池スタック10を挟圧して拘束する拘束荷重を一対の端部押圧部材30に対して付与する。
【0033】
すなわち、拘束部材40が係止した一対の端部押圧部材30が、電池セル11の積層体を積層方向両端側から挟持して、電池スタック10を拘束している。積層された複数の電池セル11には、積層方向の両外側から内側に向けて拘束力(荷重)が加えられて相互に固定され、電池セル11の積層体である電池スタック10を形成している。
【0034】
板ばね32は、例えば金属製であり、
図9に示すように、外形がH形をなしている。板ばね32は、湾曲部321、突出部322および目盛部323を有している。
図3に示すように、湾曲部321は、XX方向に直交する方向のうち所定の方向であるYY方向において湾曲している。湾曲部321は、XX方向に直交する平面上で所定方向(YY方向)に延びる仮想線に対して湾曲している。本例では、湾曲部321は、ZZ方向には湾曲していない。
【0035】
湾曲部321は、電池スタック10の端部に位置する電池セル11の中央部110に向かって突出するように湾曲している。湾曲部321は、突出方向の先端3211が、電池スタック10の端部に位置する電池セル11の中央部110を押圧する。湾曲部321は、自由状態において、例えば先端3211近傍の領域の曲率が、YY方向の両側の端部3212、3213近傍の領域の曲率よりも小さくなっている。
【0036】
湾曲部321のYY方向の両側の端部3212、3213には、それぞれ一対の突出部322が設けられている。湾曲部321と突出部322とは、一体に形成されている。一対の突出部322は、それぞれの端部3212、3213において、ZZ方向の両端部に互いに離れて設けられ、それぞれの突出部322がYY方向に突出している。突出部322は、YY方向において湾曲部321の端部から外方(中央部110から離れる方向)に向かって突出している。突出部322は、矩形状(帯状)をなしており、XX方向の外側の面(反電池スタック10側の面)には、目盛部323が設けられている。
【0037】
エンドプレート31は、例えば金属製もしくは樹脂製であり、
図3に示すように、平板部311、貫通孔312、支持部313および指示マーク314(
図4参照)を有している。
図2から明らかなように、平板部311は、電池セル11や熱伝導板12よりも大きい矩形状をなしている。
図3にも示すように、平板部311の外周縁部のうち角部近傍には、ボルト41が挿設される複数の(本例では4つの)貫通孔312が設けられている。貫通孔312は、XX方向から見て電池スタック10よりも外方に位置付けられている。
【0038】
支持部313は、例えば平板部311の一部が塑性変形加工されて、平板部311に対して段差形成されており、平板部311よりもXX方向の外側(反電池スタック10側)に位置付けられている。支持部313は、XX方向の内側の面(電池スタック10側の面)で、板ばね32の湾曲部321の端部3212、3213(突出部322の基端部)および突出部322を支持するようになっている。
【0039】
平板部311と支持部313との間には、隙間部が形成されている。この隙間部を介して、板ばね32の突出部322の一部(目盛部323が形成された先端部)が、XX方向の外方から見えるように平板部311の外側の面に沿って突出している。突出部322は、平板部311および支持部313の両者とほぼ並行に配置されている。
【0040】
エンドプレート31の平板部311の外側の面(反電池スタック10側の面)には、支持部313が形成された部位よりもYY方向における外方に、それぞれ指示マーク314が設けられている。指示マーク314は、板ばね32の目盛部323を指し示す。エンドプレート31には、支持部313および目盛部323が複数(本例では4つ)設けられ、それぞれが貫通孔312の近傍に、貫通孔312に対して同一の位置関係となるように設けられている。
【0041】
ここで、電池パック1の組み立て方法を簡単に説明する。まず、
図10に示すように、電池スタック10、端部押圧部材30および拘束部材40を仮組みする。すなわち、電池セル11と熱伝導板12との積層体のXX方向の両側に、板ばね32とエンドプレート31とを配置する。このとき、板ばね32の突出部322は、支持部313により形成されたエンドプレート31の平板部311の凹部内に配置する。そして、2枚のエンドプレート31の貫通孔312にボルト41を挿通し、ボルト41の先端に形成されている雄ねじ部にナット42をねじ込む。
【0042】
これにより、
図10に示す電池パック1の仮組み状態が形成される。このとき、ボルト41の頭部とナット42とがエンドプレート31の貫通孔312の周縁部に係止しているが、端部押圧部材30が電池スタック10を挟圧して拘束する拘束荷重は極小さいものである。
【0043】
図10に示す状態から、ボルト41とナット42とを締め込んでいくと、端部押圧部材30が電池スタック10を挟圧して拘束する拘束荷重が増大していく。これに伴い、
図3に示すように、エンドプレート31および板ばね32が変形する。エンドプレート31は、中央部がXX方向における外方(反電池スタック10方向)に張り出すように撓む。エンドプレート31の剛性が比較的高い場合には、撓み量は僅かである。
【0044】
一方、板ばね32は、湾曲部321が潰れる様に弾性変形する。すなわち、板ばね32は、湾曲部321のXX方向の寸法L1が減少するように弾性変形する。このとき、板ばね32は、湾曲部321のうち、例えば
図9に示した2本の二点鎖線で挟まれた領域が、電池スタック10のXX方向の端部に位置する電池セル11の中央部110を押圧する。
【0045】
上記した変形に伴い、湾曲部321は、端部3212と端部3213との距離が増大する。換言すれば、板ばね32は、YY方向の寸法L2が増大するように弾性変形する。板ばね32は、XX方向の寸法L1が小さくなるほど、YY方向の寸法L2が大きくなるように、弾性変形する。
【0046】
板ばね32の突出部322は、板ばね32のYY方向の寸法L2に応じてYY方向における位置が変化する。すなわち、端部押圧部材30による電池スタック10の拘束荷重の増大に伴い、
図3に矢印で示すように、それぞれの突出部322がYY方向において外方へ移動する。換言すれば、ボルト41とナット42とを締め込んでいくと、それぞれの突出部322がYY方向において外方へ移動する。
【0047】
そして、例えば
図4に示すように、エンドプレート31の指示マーク314が、突出部322に設けられた目盛部323のうち、例えば中央の所定の目盛を指し示す状態となるまでボルト41とナット42とを締め込む。本例では、ボルト41とナット42とからなる連結部材を4セット設けているが、各連結部材に対応して各連結部材の近傍に設けられた各指示マーク314が、それぞれ目盛部323の中央の所定の目盛を指し示すように連結部材の締め込み状態を調節する。これにより、予め設定された好適な拘束荷重および荷重分布で、端部押圧部材30が電池スタック10を挟圧して拘束する。
【0048】
予め設定された好適な拘束荷重および荷重分布で、端部押圧部材30が電池スタック10を挟圧することで、電池セル11の電極の温度分布や反応分布が不均一になることを抑制して、電池セル11の性能を最大限に引き出すことが可能となる。
【0049】
電池パック1は、電池セル11への充放電の繰り返しにより電池セル11内にガスが蓄積されて膨張すること等によって、例えば
図11に示すように、電池スタック10のXX方向の寸法が増大する場合がある。このとき、XX方向の寸法の増大に伴い電池スタック10の拘束荷重は増大する。また、電池セル11の外周に例えば樹脂製の絶縁フィルム部材等を設けているときには、この部材のクリープ等により、電池スタック10のXX方向の寸法が減少する場合がある。このとき、XX方向の寸法の減少に伴い電池スタック10の拘束荷重は減少する。
【0050】
電池スタック10のXX方向の寸法が変化すると、板ばね32の湾曲部321の撓み状態が変化し、板ばね32のXX方向の寸法L1が変化する。板ばね32は、XX方向の寸法の変化に対応してYY方向の寸法L2が変化する。
【0051】
図11に示すように、電池スタック10のXX方向の寸法が増大した場合には、板ばね32のYY方向の寸法L2が増大して、突出部322がそれぞれ矢印で示すように外方へ移動する。この移動に伴い、突出部322の目盛部323の目盛のうち指示マーク314が指し示す目盛も変化する。
【0052】
電池パック1のメンテナンスを行なう際に、各指標部において指示マーク314が指し示す目盛部323の目盛から電池スタック10のXX方向の寸法の増大を視認した作業者等は、各指示マーク314が、それぞれ目盛部323の中央の所定の目盛を指し示すまでボルト41とナット42との締め込み状態を緩める。これにより、予め設定された好適な拘束荷重および荷重分布で、端部押圧部材30が電池スタック10を挟圧して拘束する状態に戻すことができる。
【0053】
一方、電池スタック10のXX方向の寸法が減少した場合には、板ばね32のYY方向の寸法L2が減少して、突出部322がそれぞれ内方へ移動する。この移動に伴い、突出部322の目盛部323の目盛のうち指示マーク314が指し示す目盛も変化する。
【0054】
電池パック1のメンテナンスを行なう際に、各指標部において指示マーク314が指し示す目盛部323の目盛から電池スタック10のXX方向の寸法の減少を視認した作業者等は、各指示マーク314が、それぞれ目盛部323の中央の所定の目盛を指し示すまでボルト41とナット42とを更に締め込む。これにより、予め設定された好適な拘束荷重および荷重分布で、端部押圧部材30が電池スタック10を挟圧して拘束する状態とすることができる。
【0055】
なお、電池セル11の充放電時には、例えば電極反応におけるリチウムの吸着、放出作用(呼吸作用)により、電池パック10のXX方向の長さ寸法が僅かに変動する。板ばね32は、この呼吸作用に伴う電池パック10のXX方向の長さ寸法の変動を、拘束荷重を大きく変化させることなく吸収することができる。
【0056】
上述した説明において、指標部は、エンドプレート31に設けた指示マーク314と、板ばね32の突出部322に設けた目盛のみからなる目盛部323とで構成していたが、これに限定されるものではない。例えば、
図12に示すように、目盛部323の目盛に数字等の文字やマークを付加してもかまわない。数字を付加する場合には、拘束荷重が増大するにしたがって指示マーク314が指し示す数字が大きくなることが好ましい。
【0057】
また、例えば、
図13に示すように、目盛部323をカラーバー(カラーマップ)としてもかまわない。カラーバーの中央部の領域323aを青色、その両側の領域323bを黄色、更にその両外側の領域323cを赤色として、指示マーク314で拘束荷重調整の緊急性の度合いを示すものであってもよい。また、例えば、エンドプレート31に目盛部を設け、板ばね32の突出部322に指示マークを設けるものであってもよい。
【0058】
本実施形態において、電池セル11は、扁平状単電池に相当する。また、拘束部材40は拘束荷重付与手段に相当し、ボルト41およびナット42が連結部材に相当する。また、エンドプレート31はエンドプレート部材に相当する。板ばね32は、板状弾性部材に相当し、指示マーク314と目盛部323とからなる構成が、指標部に相当する。
【0059】
上述の構成の電池パック1によれば、端部押圧部材30は、電池スタック10の端部に位置する電池セル11の拡がり方向の中央部110に向かって突出するように湾曲した湾曲部321を有する板ばね32を備えている。板ばね32は、湾曲部321の突出方向の先端3211が電池セル11の中央部110を押圧する部材であって、電池パック10を拘束する拘束加重に応じて湾曲部321が弾性変形してXX方向の寸法L1が変化する。端部押圧部材30は、湾曲部321の弾性変形の度合いに応じて変位し、板ばね32のXX方向の寸法L1に対応する特性情報を指し示す指示マーク314および目盛部323を備えている。
【0060】
これによると、電池スタック10の端部に位置する電池セル11の中央部110を、板ばね32の湾曲部321の先端3211で押圧して、電池スタック10を拘束することができる。また、拘束に伴い弾性変形する板ばね32のXX方向の寸法L1に対応する特性情報を指標部である指示マーク314および目盛部323で指し示すことができる。したがって、電池セル11の中央部110を板ばね32の湾曲部321で押圧して電池スタック10を確実に拘束することができ、かつ、電池スタック10の拘束加重を指標部で精度良く検出することができる。
【0061】
また、湾曲部321は、XX方向に直交する方向のうち所定方向であるYY方向において湾曲して、XX方向に突出している。すなわち、湾曲部321は、XX方向に直交する平面上で所定方向であるYY方向に延びる仮想線に対して湾曲して、XX方向に突出している。そして、指標部は、YY方向における板ばね32の長さ寸法L2に関する情報を特性情報として指し示す。
【0062】
これによると、板ばね32の湾曲部321は、XX方向に直交するYY方向において湾曲している。そして、電池スタック10の拘束に伴い、湾曲部321が弾性変形して板ばね32のXX方向の長さ寸法L1が変化する。湾曲部321はXX方向に突出しているので、拘束に伴う弾性変形時には湾曲部321がXX方向に潰れ、湾曲部321の潰れ状態が変化すると板ばね32のYY方向の長さが変化する。指標部は、湾曲部321の潰れ状態に応じて決まる板ばね32のYY方向の長さ寸法L2に関する情報を特性情報として指し示す。したがって、電池スタック10の拘束加重を、指標部で一層精度良く検出することができる。
【0063】
また、拘束部材40は、一対の端部押圧部材30に係止して端部押圧部材30同士を連結する部材であって、XX方向に直交する方向(XX方向に直交する平面の延在方向)における端部押圧部材30の縁部同士を連結する複数の連結部材であるボルト41およびナット42を有している。そして、複数の連結部材のそれぞれは、端部押圧部材30の異なる部位同士を連結して、複数の連結部材のそれぞれが一対の端部押圧部材30に係止する部位の間隔を調節可能である。指標部は、複数の連結部材がそれぞれ端部押圧部材30に係止する部位に対応して、複数の特性情報をそれぞれ指し示す。
【0064】
これによると、指標部が指し示す複数の特性情報により、複数の連結部材による電池スタック10の拘束荷重のバランスを検出することができる。複数の連結部材は、それぞれが一対の端部押圧部材30に係止する部位の間隔を調節可能であるので、検出した拘束荷重バランスに応じて、それぞれの係止部位の間隔を調節することができる。したがって、電池スタック10の端部に位置する電池セル11の中央部110を押圧する際の圧力分布を均一化し易い。
【0065】
また、端部押圧部材30は、XX方向に直交する方向(XX方向に直交する平面の延在方向)に拡がるエンドプレート31を有している。これによると、端部押圧部材30を、板ばね32とエンドプレート31とを備える構成とすることができる。したがって、所定部位への電池パック1の固定等を、エンドプレート31を介することで、容易に行なうことができる。
【0066】
また、板ばね32は、エンドプレート31と電池スタック10との間に設けられている。これによると、エンドプレート31と電池スタック10との間に介設した板ばね32により、電池セル11の中央部110を湾曲部321で押圧して電池スタック10を一層確実に拘束することができる。
【0067】
また、板ばね32は湾曲部321を有しており、電池スタック10とエンドプレート31との間に断熱層として機能する空気層を形成する。これにより、電池スタック10のXX方向の端部に位置する電池セル11からエンドプレート31への熱伝導を抑制することができる。周囲温度が電池セルの温度よりも低くなり易い冬期等には、エンドプレートを介した電池スタックからの放熱が大きい場合に、電池スタックの端部に位置する電池セルが他の電池セルよりも低温となり、充放電時に電圧降下等の不具合を招く場合がある。本実施形態の電池パック10によれば、板ばね32で断熱層を形成することにより、上記不具合の発生を抑止することができる。
【0068】
また、一対の端部押圧部材30は、両者とも板ばね32を備えている。これによると、電池スタック10のXX方向の両端部に位置する電池セル11の中央部110を、両側の板ばね32の湾曲部321の先端3211でそれぞれ押圧して、電池スタック10を極めて確実に拘束することができる。
【0069】
また、端部押圧部材30が板ばね32を備えており、拘束荷重が比較的大きいときには、YY方向の寸法を大きく増大させた板ばね32が、エンドプレート31をYY方向に突っ張るように支持する。したがって、エンドプレート31の過度の撓みを抑制することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について
図14〜
図16に基づいて説明する。
【0071】
第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、指標部の構造が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第1の実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第2の実施形態において説明しない他の構成は、第1の実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0072】
図14に示すように、本実施形態では、支持部313Aは、例えば平板部311の一部が塑性変形加工されて、平板部311に対して段差形成されており、平板部311よりもXX方向の内側(電池スタック10側)に位置付けられている。支持部313Aは、XX方向の外側の面(反電池スタック10側の面)で、板ばね32の突出部322を支持するようになっている。
【0073】
支持部313Aは、例えば
図15に示すように、ZZ方向における片側で平板部311に連結していてもよいし、例えば
図16に示すように、ZZ方向における両側で平板部311に連結していてもよい。いずれの場合も、平板部311には、XX方向において支持部313Aに対応する位置に開口311aが形成されている。板ばね32の突出部322は、平板部311よりもXX方向の内方(電池スタック10側)において、平板部311と支持部313Aとの間で両者とほぼ並行に配置されている。
【0074】
突出部322に設けられた目盛部323(図示省略)は、平板部311の開口311aに望んでいる。平板部311の開口311aの縁部には、指示マーク314(図示省略)が設けられている。したがって、指示マーク314と目盛部323とからなる指標部は、XX方向の外方側(反電池スタック10側)から視認可能である。目盛部323は、開口311aを介して視認することができる。
【0075】
エンドプレート31には、開口311aおよび目盛部323が複数(本例では4つ)設けられ、それぞれが貫通孔312の近傍に、貫通孔312に対して同一の位置関係となるように設けられている。
【0076】
本実施形態の電池パックによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、電池スタック10の拘束荷重の変化に伴いYY方向の変位する板ばね32の突出部322を、エンドプレート31の平板部311の内側(電池スタック10側)に位置させることができる。本実施形態においても、例えば、エンドプレート31に目盛部を設け、板ばね32の突出部322に指示マークを設けるものであってもよい。
【0077】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について
図17〜
図21に基づいて説明する。
【0078】
第3の実施形態は、前述の第2の実施形態と比較して、板ばねの突出部の構成が異なる。なお、第1、第2の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第1、第2の実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第3の実施形態において説明しない他の構成は、第1、第2の実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0079】
図17に示すように、本実施形態では、板ばね32は、湾曲部321、突出部322Aおよび目盛部323を有している。湾曲部321は、例えば金属製であり、突出部322Aは、例えば樹脂製である。突出部322Aは、例えば、フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等のいずれかからなり、エンドプレート31との間の摩擦係数が比較的小さくなっている。
【0080】
突出部322Aは、第1、第2の実施形態の突出部322と同様に、湾曲部321のYY方向の両側の端部3212、3213に、それぞれ一対設けられている。突出部322Aは、矩形状(帯状)をなしており、XX方向の外側の面(反電池スタック10側の面)には、目盛部323が設けられている。
【0081】
突出部322Aは、平板の帯状であってもよいが、突出部322Aの縁部に突起を設け、突出部322Aと平板部311との接触面積を小さくすることができる。
【0082】
突出部322Aには、例えば
図18に示すように、四隅に半球状の突起3221を設けることができる。また、突出部322Aには、例えば
図19に示すように、四隅に軸線がYY方向に延びる半円柱状の突起3222を設けることができる。突起3222は、例えば三角柱状とすることもできる。また、突出部322Aには、例えば
図20に示すように、YY方向の両側に軸線がZZ方向に延びる半円柱状の突起3223を設けることができる。突起3223は、例えば三角柱状とすることもできる。また、突出部322Aには、例えば
図21に示すように、ZZ方向の両側に軸線がYY方向に延びる半円柱状の突起3224を設けることができる。突起3224は、例えば三角柱状とすることもできる。
【0083】
本実施形態の電池パックによれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、エンドプレート31と板ばね32の突出部322Aとの間の摩擦抵抗(摺動抵抗)を小さくして、電池スタック10の拘束荷重の変化に伴う突出部322AのYY方向への変位を容易にすることができる。
【0084】
上述した説明では、突出部322Aを例えば樹脂製としていたが、これに限定されるものではない。第1、第2の実施形態の突出部322の表面に潤滑性を有するコーティング層を設ける等して、エンドプレート31と突出部322との間の摩擦抵抗を小さくするものであってもよい。
【0085】
また、突出部322Aには、平板部311側ばかりでなく、支持部313A側にも突起を設けるものであってもよい。また、第1の実施形態の電池パックでは、突出部322の少なくとも支持部313側に突起を設けることが好ましい。また、板ばね32の突出部322に、例えばプレス加工等の塑性変形加工により突起を設けることもできる。
【0086】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について
図22〜
図26に基づいて説明する。
【0087】
第4の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、エンドプレートと板ばねとの配置構成が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第1の実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第4の実施形態において説明しない他の構成は、第1の実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0088】
図22及び
図23に示すように、本実施形態の端部押圧部材30Aは、電池スタック10のXX方向端部に配置されてXX方向に直交する方向に拡がるエンドプレート31Aと、エンドプレート31AよりもXX方向外方に配置される板ばね32Aとを有している。すなわち、エンドプレート31Aは、板ばね32Aと電池スタック10との間に配置されている。端部押圧部材30Aは、電池スタック10のXX方向の両端に配置され、電池スタック10のXX方向の端部を押圧して電池スタック10をXX方向に挟圧する。
【0089】
拘束部材40は、電池スタック10の側方をXX方向に沿って延びるように設けられ、一対の板ばね32Aに係止して、電池スタック10を挟圧して拘束する拘束荷重を一対の端部押圧部材30Aに対して付与する。すなわち、電池スタック10は、拘束部材40が係止した一対の端部押圧部材30Aが、電池セル11の積層体を積層方向両端側から挟持して拘束している。積層された複数の電池セル11には、積層方向の両外側から内側に向けて拘束力(荷重)が加えられて相互に固定され、電池セル11の積層体である電池スタック10を形成している。
【0090】
板ばね32Aは、例えば金属製であり、外形がH形をなしている。板ばね32Aは、湾曲部321、突出部322Bおよび指示マーク314を有している。湾曲部321は、突出方向の先端3211が、電池スタック10の端部に位置する電池セル11の中央部110に対応する位置でエンドプレート31Aを押圧する。すなわち、湾曲部321は、突出方向の先端3211が、電池スタック10の端部に位置する電池セル11の中央部110を、エンドプレート31Aを介して押圧する。
【0091】
湾曲部321のYY方向の両側の端部3212、3213には、それぞれ一対の突出部322Bが設けられている。湾曲部321と突出部322Bとは、一体に形成されている。一対の突出部322Bは、それぞれの端部3212、3213において、ZZ方向の両端部に互いに離れて設けられ、それぞれの突出部322BがYY方向に突出している。各突出部322Bは、矩形状(帯状)をなしており、ZZ方向における内方側でYY方向に延びる辺部に、例えば切欠き状の指示マーク314が設けられている。
【0092】
突出部322Bには、YY方向に延びる長穴325が形成されている。拘束部材40は、エンドプレート31の貫通孔312に遊挿されるとともに、長穴325の縁部に係止することで、端部押圧部材30Aに係止している。ボルト41の頭部およびナット42は、ワッシャ43を介して突出部322Bに係止している。ワッシャ43は、XX方向の内側の面(電池スタック10側の面)で、板ばね32の突出部322Bを支持するようになっている。湾曲部321の潰れ状態が変化して板ばね32のYY方向の長さ寸法L2が変化した際には、突出部322Bが、長穴325が延びるYY方向に変位可能となっている。
【0093】
エンドプレート31Aは、例えば金属製もしくは樹脂製であり、平板部311、貫通孔312および目盛部323を有している。エンドプレート31Aには、第1の実施形態で説明した支持部313は形成されていない。
【0094】
エンドプレート31Aの平板部311の外側の面(反電池スタック10側の面)には、板ばね32Aの指示マーク314に対応する位置に目盛部323が設けられている。指示マーク314は、エンドプレート31Aの目盛部323を指し示す。エンドプレート31Aには、目盛部323が複数(本例では4つ)設けられ、それぞれが貫通孔312の近傍に、貫通孔312に対して同一の位置関係となるように設けられている。
【0095】
本実施形態の電池パックによれば、第1の実施形態と実質的に同様の効果を得ることができる。
【0096】
なお、電池パックの搭載状態等により、XX方向からでは指示マーク314と目盛部323とからなる指標部が視認し難い場合には、例えば
図24及び
図25に示すように、指標部を設けることができる。
図24及び
図25に示す例では、エンドプレートの切り起こし部に設けた目盛部323と板ばねに設けた指示マーク314とで指標部を構成している。これにより、ZZ方向から視認可能な指標部とすることができる。ここに例示した構成は、前述の第1〜第3の実施形態等にも採用可能である。
【0097】
また、本実施形態においても、突出部322Bに目盛部323を設け、平板部311に指示マーク314を設けるものであってもかまわない。
【0098】
また、例えば、
図26に示すような指標部を採用することも可能である。
図26に例示する電池パックでは、拘束部材40の4つの連結部材(ボルト41及びナット42)のうち、YY方向で同一側にある2つの連結部材に、共通の長尺のワッシャ43Aを用いている。そして、突出部322Bに目盛部323を設け、ワッシャ43AのZZ方向に延びる辺部を指示マーク314としている。これによれば、指示マーク314と目盛部323とを近接させ、指標部の読取り精度を向上することが可能である。
【0099】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について
図27、
図28に基づいて説明する。
【0100】
第5の実施形態は、前述の第4の実施形態と比較して、板ばねの湾曲部先端を位置決めしている点が異なる。なお、第4の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第4の実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第4の実施形態において説明しない他の構成は、第4の実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0101】
図27及び
図28に示すように、本実施形態の端部押圧部材30Bは、電池スタック10のXX方向端部に配置されてXX方向に直交する方向に拡がるエンドプレート31Bと、エンドプレート31BよりもXX方向外方に配置される板ばね32Bとを有している。すなわち、エンドプレート31Bは、板ばね32Bと電池スタック10との間に配置されている。端部押圧部材30Bは、電池スタック10のXX方向の両端に配置され、電池スタック10のXX方向の端部を押圧して電池スタック10をXX方向に挟圧する。
【0102】
板ばね32Bは、湾曲部321の先端3211のZZ方向における両端部に、湾曲部321のYY方向に延びる辺部から凹んだ嵌合凹部321aを有している。板ばね32Bは、嵌合凹部321aを有する点を除いて、第4の実施形態の
図22及び
図23を用いて説明した板ばね32Aと同じ構造である。
【0103】
エンドプレート31Bは、平板部311のZZ方向における両縁部で、YY方向における中央部に、XX方向の外方に突出した嵌合突起部311bを有している。エンドプレート31Bが金属製である場合には、平板部311の縁部の一部を切り起こして、嵌合突起部311bとすることができる。エンドプレート31Bは、嵌合突起部311bを有する点を除いて、第4の実施形態の
図22及び
図23を用いて説明したエンドプレート31Aと同じ構造である。
【0104】
エンドプレート31Bの嵌合突起部311bは、板ばね32Bの嵌合凹部321aに嵌まり込んでいる。これにより、エンドプレート31Bに対するYY方向およびZZ方向における板ばね32Bの位置が決定される。すなわち、板ばね32Bの湾曲部321先端3211が、電池スタック10のXX方向において端部に位置する電池セル11の中央部110に対して位置決めされる。XX方向から見て、湾曲部321先端3211が、電池スタック10のXX方向において端部に位置する電池セル11の中央部110に一致するように、板ばね32Bが位置決めされる。エンドプレート31Bの嵌合突起部311bが嵌まり込む板ばね32Bの嵌合凹部321aは、板ばね32Bを所定方向であるYY方向における先端3211の位置を電池スタック10に対して位置決めする位置決め部に相当する。
【0105】
本実施形態の電池パックによれば、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、板ばね32Bは、所定方向であるYY方向における先端3211の位置を電池スタック10に対して位置決めする位置決め部として嵌合凹部321aを有している。そして、各指標部は、この位置決め部を基準としたYY方向における長さ寸法に関する情報を複数の特性情報として指し示す。
【0106】
これによると、位置決め部により湾曲部321の先端3211が電池スタック10に対して位置決めされる。そして、指標部では、位置決め部を基準とした板ばね32BのYY方向への長さ寸法に関する情報を複数の特性情報として指し示す。すなわち、指標部では、湾曲部321の先端3211を基準とした板ばね32BのYY方向への長さ寸法に関する複数の特性情報が示される。したがって、指標部が指し示す複数の特性情報により、複数の連結部材による電池スタック10の拘束荷重のバランスを精度良く検出することができる。
【0107】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について
図29、
図30に基づいて説明する。
【0108】
第6の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、板ばねの弾性変形部分が波板状をなしている点が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第1の実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第6の実施形態において説明しない他の構成は、第1の実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0109】
図29に示すように、本実施形態の板ばね32Cは、波板部320、突出部322および目盛部323(図示省略)を有している。波板部320は、YY方向において波打つように形成され、複数の湾曲した部分を有している。
図29に例示した板ばね32Cでは、波板部320は、電池スタック10側に突出する3つの湾曲部分を有している。そして、3つの湾曲部分の3つの先端3211、3201で、電池スタック10のXX方向端部に位置する電池セル11を押圧する。波板部320のうち、YY方向における中央の湾曲部分が本実施形態における湾曲部に相当する。
【0110】
本実施形態の電池パックによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、板ばね32Cは、波状をなす波板部320を有して、湾曲部は波板部320の一部からなっている。そして、波板部320の電池スタック10へ向かって突出する複数の先端3211、3201により、電池スタック10の端部に位置する電池セル11を押圧する。これによると、湾曲部の先端3211ばかりでなく、波板部320の他の先端3201でも電池セル11を押圧することができる。電池セル11を湾曲部を含む波板部320で押圧して電池スタック10をより一層確実に拘束することができる。
【0111】
板ばね32Cの波板部320は、複数の湾曲部分を有する波板状であればよく、例えば、
図30に例示するような板ばね32Cを用いることもできる。波板部320の湾曲部分は、奇数であることが好ましく、YY方向において中央に位置する湾曲部分が湾曲部に相当する。
【0112】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について
図31、
図32に基づいて説明する。
【0113】
第7の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、指標部の構成が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第1の実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第7の実施形態において説明しない他の構成は、第1の実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0114】
図31に示すように、本実施形態では、板ばね32の湾曲部321は、例えばZZ方向(図示紙面表裏方向)における少なくとも一端部に突出部326を有している。突出部326は、湾曲部321の先端3211からXX方向の外側(反電池スタック10側)に向かって突出し、例えばエンドプレート31を貫通して、突出方向の先端はエンドプレート31よりも外方に位置している。そして、突出部326に目盛部323を設け、エンドプレート31の外側面(反電池スタック10側の面)を指示マーク314としている。
【0115】
本実施形態の電池パックによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、電池スタック10の拘束荷重の変化に伴いXX方向の変位する突出部326の目盛部323を、ZZ方向から視認することができる。さらに、板ばね32のXX方向の寸法L1を、指標部で特性情報として直接表示することができる。
【0116】
図31に例示した電池パックでは、突出部326の目盛部323は目盛りがXX方向に並んでいたが、例えば
図32に示すように、目盛部323の目盛りをXX方向に対して傾斜して並べるものであってもよい。これによれば、指示マーク314が指し示す目盛部323の目盛りを比較的精度良く視認することができる。
【0117】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について
図33、
図34に基づいて説明する。
【0118】
第8の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、板ばねの構造が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第1の実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第8の実施形態において説明しない他の構成は、第1の実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0119】
図33及び
図34に示すように、本実施形態の板ばね32Dは、湾曲部321、突出部322Dおよび目盛部323を有している。湾曲部321のYY方向の両側の端部3212、3213には、それぞれ一対の突出部322Dが設けられている。湾曲部321と突出部322Dとは、一体に形成されている。一対の突出部322Dは、それぞれの端部3212、3213において、ZZ方向の両端部に互いに離れて設けられ、それぞれの突出部322DがYY方向に突出している。突出部322Dは、YY方向において湾曲部321の端部から内方に向かって突出している。突出部322Dは、矩形状(帯状)をなしており、XX方向の外側の面(反電池スタック10側の面)には、目盛部323が設けられている。
【0120】
平板部311と支持部313との間に形成された隙間部を介して、板ばね32Dの突出部322Dの一部(目盛部323が形成された先端部)が、XX方向の外方から見えるように平板部311の外側の面に沿って突出している。突出部322Dは、平板部311と支持部313との間に形成された隙間部からそれぞれ内方に向かって突出し、平板部311および支持部313の両者とほぼ並行に配置されている。
【0121】
エンドプレート31の平板部311の外側の面(反電池スタック10側の面)には、支持部313が形成された部位よりもYY方向における内方に、それぞれ指示マーク314が設けられている。本実施形態においても、エンドプレート31には、支持部313および目盛部323が複数(本例では4つ)設けられ、それぞれが貫通孔312の近傍に、貫通孔312に対して同一の位置関係となるように設けられている。
【0122】
本実施形態の電池パックによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、指示マーク314と目盛部323とからなる指標部を、XX方向から見て電池スタック10の投影範囲内に収めることが可能である。これにより、電池パック1の体格を小型化することができる。なお、本実施形態においても、例えば、エンドプレート31に目盛部を設け、板ばね32Dの突出部322Dに指示マークを設けるものであってもよい。
【0123】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0124】
上記第1〜第6、第8の実施形態では、ボルト41およびナット42を有する複数の(各例では4つの)連結部材に対応して複数の(各例では4つの)指標部を設けていたが、これに限定されるものではない。複数の連結部材がそれぞれ端部押圧部材に係止する部位に対応した、板ばねのXX方向の寸法に関連する特性情報を、指標部で示すものであればよい。例えば、2つの連結部材が係止する部位に関する特性情報を、1つの指標部において、板ばねのXX方向の寸法に関する情報と、寸法バランスに関する情報として示すものであってもよい。上記した指標部の構成は、例えば、湾曲部から突出した突出部の先端のYY方向における位置で板ばねのXX方向の寸法に関する情報を示し、突出部の先端のZZ方向における位置で寸法バランスに関する情報を示すものとすることができる。
【0125】
また、上記各実施形態では、拘束荷重付与手段である拘束部材40は、ボルト41とナット42とを有する連結部材を有していたが、これに限定されるものではない。拘束部材としては、例えば拘束シャフトと拘束シャフトの両端部に螺合するナット、もしくは、拘束バンド等を用いることができる。
【0126】
また、上記各実施形態では、一対の端部押圧部材は、両方とも板状弾性部材である板ばねを有していたが、これに限定されるものではない。一対の端部押圧部材のうち、一方の端部押圧部材のみが板ばねを有するものであってもよい。
【0127】
また、上記各実施形態では、端部押圧部材は、エンドプレートと、板ばねと、指標部とを具備していたが、エンドプレートを備えない端部押圧部材であってもかまわない。