特許第6252218号(P6252218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6252218-車両用レインガター構造 図000002
  • 特許6252218-車両用レインガター構造 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252218
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】車両用レインガター構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/02 20060101AFI20171218BHJP
   B60R 13/07 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   B60J1/02 111C
   B60R13/07
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-23597(P2014-23597)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-150907(P2015-150907A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】吉野 順也
(72)【発明者】
【氏名】西浦 正昭
(72)【発明者】
【氏名】関城 正登
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−297943(JP,A)
【文献】 特開平04−063716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/02
B60R 13/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントピラーの車両幅方向内側に設けられ、フロントウィンドシールドガラスの車両幅方向両端部の側縁に沿って車両後方側に上り勾配となるように車両上下方向に延在されるレインガターと、
車両側面視にて前記レインガターにおける車両上下方向の高さ1/2の位置から高さ3/4の位置の間に設けられると共に車両平面視にて車両上下方向の下部側と上部側に配置された一般部よりも車両幅方向の幅が拡大された幅広部と、
を有し、
前記幅広部は、前記一般部の車両幅方向内側縁部から車両幅方向内側に拡大されるように形成されている車両用レインガター構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用レインガター構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、フロントウィンドウの車両幅方向両端部に、フロントピラーに沿ってレインガターが配設された構造が開示されており、レインガターには、フロントウィンドウ面より車両上方に突出した立ち面を有する凸部が設けられている。さらに、レインガターの凸部の上端部近傍には、車両幅方向内側に向けて突出する突出部が形成されている。なお、レインガターが設けられた構造として、特許文献2、3に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−324237号公報
【特許文献2】特開平04−063716号公報
【特許文献3】特開2001−105852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構造では、レインガターの凸部の上端部近傍に配置された突出部が車両後方側に傾斜すると共に凸となる湾曲面を備えることで、走行による風圧を湾曲面に作用させて湾曲面の風圧を減少させるようにしている。これにより、レインガターの上端部付近での風切音の発生を抑えるようになっている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のレインガターは、車両前後方向の前端部から後端部まで車両上方に凸部が突出した構造となっており、質量が増加する点において改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、レインガターの質量の増加を抑制しつつ、風切音の発生を抑制することができる車両用レインガター構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る車両用レインガター構造は、フロントピラーの車両幅方向内側に設けられ、フロントウィンドシールドガラスの車両幅方向両端部の側縁に沿って車両後方側に上り勾配となるように車両上下方向に延在されるレインガターと、車両側面視にて前記レインガターにおける車両上下方向の高さ1/2の位置から高さ3/4の位置の間に設けられると共に車両平面視にて車両上下方向の下部側と上部側に配置された一般部よりも車両幅方向の幅が拡大された幅広部と、を有し、前記幅広部は、前記一般部の車両幅方向内側縁部から車両幅方向内側に拡大されるように形成されている
【0008】
請求項1記載の本発明によれば、フロントピラーの車両幅方向内側にレインガターが設けられており、レインガターは、フロントウィンドシールドガラスの車両幅方向両端部の側縁に沿って車両後方側に上り勾配となるように車両上下方向に延在されている。レインガターには、車両側面視にて車両上下方向の高さ1/2の位置から高さ3/4の位置の間に設けられると共に車両平面視にて車両上下方向の下部側と上部側に配置された一般部よりも車両幅方向の幅が拡大された幅広部が設けられている。さらに、幅広部は、一般部の車両幅方向内側縁部から車両幅方向内側に拡大されるように形成されている。これによって、走行風の流れをフロントピラーに沿わせることができ、フロントピラー上で走行風が剥離して渦流が発生することを抑制することができる。このため、レインガターの質量の増加を抑制しながら、風切音の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用レインガター構造によれば、レインガターの質量の増加を抑制しつつ、風切音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る車両用レインガター構造が適用される車両の前部の車両幅方向一端部側を示す平面図である。
図2図1に示す車両用レインガター構造が適用される車両の前部の車両幅方向一端部側を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1及び図2を用いて、本発明に係る車両用レインガター構造の一実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印RRは車両後方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0012】
図1には、本実施形態に係る車両用レインガター構造S1が適用された車両10の前部の車両幅方向一端部側が平面図にて示されている。図2には、この車両用レインガター構造S1が適用された車両10の前部の車両幅方向一端部側が側面図にて示されている。なお、図1及び図2では、車両10の前部の車両幅方向一端部側のみが示されているが、車両用レインガター構造S1は車両幅方向両側で左右対称であるため、車両10の前部の車両幅方向他端部側は図示を省略している。
【0013】
図1及び図2に示されるように、車両用レインガター構造S1が適用された車両10の前部には、フロントウィンドシールドガラス(フロントウィンドウ)12の車両幅方向外側部にフロントピラー14が設けられている。車両10の前部には、フロントウィンドシールドガラス12の車両幅方向両端部の側縁に沿ってレインガターとしてのレインガターモール16が配設されている(図1参照)。レインガターモール16は、フロントウィンドシールドガラス12の側縁に沿って車両後方側に上り勾配となるように略車両上下方向に延在されている。レインガターモール16は、車両平面視(平面視)にてフロントピラー14の車両幅方向内側に設けられている。
【0014】
フロントピラー14の車両前後方向の後方側には、フロントサイドドア18が設けられている。フロントサイドドア18は、フロントピラー14に取り付けられた図示しないヒンジ部により、車体に対して開閉可能とされている。フロントサイドドア18の車両上下方向の上部の前側には、三角窓を構成する三角パッチ20が設けられている。フロントサイドドア18の車両上下方向の上部の後側(三角パッチ20の後側)には、サイドウィンドウ22が設けられている。
【0015】
フロントウィンドシールドガラス12の車両前後方向の前方側は、略車両前後方向及び略車両幅方向に沿って配置されるフード40が設けられている(図1参照)。また、フロントウィンドシールドガラス12の車両前後方向の後方側には、車両幅方向に沿って配置されるフロントヘッダー42が設けられている。
【0016】
図1に示されるように、車両平面視にてレインガターモール16の車両前後方向の中間部(中間部のより後部側の位置)には、車両前後方向の前部側と後部側に配置された一般部26Aよりも車両幅方向の幅が拡大された幅広部26Bが設けられている。レインガターモール16の幅広部26Bは、車両側面視にてフロントピラー14の車両上下方向の所定の高さの領域に設けられている。
【0017】
次に、レインガターモール16の幅広部26Bが設けられている車両上下方向の高さ(所定の高さの領域)について説明する。
図2に示されるように、車両側面視にてフロントピラー14の車両上下方向の高さを以下のように定義する。フード高さ30は、車両側面視にて車両10のフロントウィンドシールドガラス12の車両前後方向前方側に配置されたフード40(図1参照)の後端部の高さの位置とする(フード高さ位置)。ヘッダ高さ32は、車両側面視にてフロントウィンドシールドガラス12の車両前後方向後方側に配置されたフロントヘッダー42の前縁とフロントピラー14との交点の高さの位置とする(ヘッダ高さ位置)。また、H1/2の高さ34は、フロントピラー14におけるフード高さ30とヘッダ高さ32との間の車両上下方向の高さ寸法の1/2の高さの位置とする。さらに、H3/4の高さ36は、フロントピラー14におけるフード高さ30とヘッダ高さ32との間の車両上下方向の高さ寸法の3/4の高さの位置とする。
【0018】
より具体的には、H1/2の高さ34と、H3/4の高さ36は、以下の数式で示される。
H1/2の高さ=フード高さ位置+2×(ヘッダ高さ位置−フード高さ位置)÷4
H3/4の高さ=フード高さ位置+3×(ヘッダ高さ位置−フード高さ位置)÷4
【0019】
図1及び図2に示されるように、フロントピラー14の車両上下方向のH1/2の高さ34からH3/4の高さ36の間の領域Aは、フロントピラー14上での走行風の剥離による渦流の発生に支配的な領域である。
【0020】
ここで、車両の前部におけるフロントピラー付近での走行風(空気流)の剥離に伴う渦流の発生について説明する。
一般的に、車両の前部では、フロントウィンドシールドガラスの車両幅方向両端部の外側付近は、比較的急激に屈曲した部位となっているため、フロントウィンドシールドガラスに沿って流れ、フロントピラーへ流れる空気流は、フロントピラーの位置からフロントサイドドアのドアガラスに移行する領域付近で、急激にその方向が変えられて流れが乱される。このため、フロントピラー上の領域で空気流が剥離して渦流が発生し、風切音が発生する可能性がある。特に、フロントピラーと、フロントピラーの後方の三角パッチやサイドウィンドウは、圧力変動の高い剥離域に含まれているため、フロントピラーの周囲の風切音が増加する。
【0021】
図1に示されるように、車両用レインガター構造S1では、レインガターモール16における車両上下方向のH1/2の高さ34からH3/4の高さ36の間の領域Aに、車両上下方向の下部側と上部側に配置された一般部26Aよりも車両幅方向の幅が拡大された幅広部26Bが設けられている。一般部26Aは、車両平面視にてレインガターモール16の車両幅方向の幅がほぼ一定の部位であり、レインガターモール16の車両前後方向の前部側と後部側の部位を構成している。幅広部26Bは、一般部26Aの車両幅方向内側縁部から車両幅方向内側に拡大されるように形成されている。図1には、分かりやすくするため、一般部26Aの車両幅方向内側縁部を略車両前後方向に沿って延長した延長線L1が示されている。幅広部26Bの車両幅方向内側縁部は、延長線L1よりも車両幅方向内側に配置されている。
【0022】
また、車両平面視にて幅広部26Bの車両前後方向の前側と後側には、一般部26Aから車両幅方向の幅が、車両幅方向内側に徐々に変化するように除変部27、28が形成されている。除変部27、28は、幅広部26Bが形成された領域Aの車両前後方向の前側と後側の領域Bに設定されており、除変部27、28が幅広部26Bに接続されている。すなわち、レインガターモール16は、車両平面視にて一般部26Aから除変部27、28を介して幅広部26Bに滑らかに繋がっている。
【0023】
上述のように、車両用レインガター構造S1では、フロントピラー14の車両上下方向のH1/2の高さ34からH3/4の高さ36の間の領域Aは、フロントピラー14上での走行風の剥離による渦流の発生に支配的な領域であるため、レインガターモール16のこの領域Aに幅広部26Bを設けている。これにより、レインガターモール16とフロントピラー14とを合わせた部分の断面幅が拡大され、走行風の流れをフロントピラー14に沿わせることができる。
【0024】
一方、レインガターモールの設定に関しては、以下の背反性能との両立が必要であり、レインガターモールの車両幅方向の幅の拡大には制約がある。
背反性能の1つ目としては、ワイパーの払拭性の問題である。すなわち、レインガターモールの車両上下方向の下端部から上端部の全域において、レインガターモールの車両幅方向の幅を拡大し過ぎると、ワイパーの稼働範囲と干渉する可能性がある。したがって、風切音を低減する性能として必要なレインガターモールの車両幅方向の幅を確保できない場合が発生してしまう。
背反性能の2つ目としては、レインガターモールの質量及びコストの問題である。すなわち、レインガターモールの車両幅方向の幅を拡大することにより、拡大分の質量及びコストが増加する。
【0025】
このため、本実施形態の車両用レインガター構造S1では、走行風の剥離による渦流の発生に支配的な範囲(車両上下方向のH1/2の高さ34からH3/4の高さ36の間の領域A)付近のみに、レインガターモール16の幅広部26Bを設けている。これにより、風切音を低減する性能と上記背反性能を両立させることができる。
【0026】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0027】
車両用レインガター構造S1では、フロントピラー14の車両幅方向内側にレインガターモール16が設けられおり、レインガターモール16は、フロントウィンドシールドガラス12の車両幅方向両端部の側縁に沿って車両後方側に上り勾配となるように車両上下方向に延在されている。レインガターモール16には、車両上下方向のH1/2の高さ34の位置からH3/4の高さ36の位置の間に、一般部26Aよりも車両幅方向の幅が拡大された幅広部26Bが設けられている。
【0028】
すなわち、レインガターモール16には、走行風の剥離による渦流の発生に支配的な範囲(車両上下方向のH1/2の高さ34からH3/4の高さ36の間の領域A)付近のみに、幅広部26Bが設けられている。幅広部26Bの車両前後方向の前側と後側には、一般部26Aから車両幅方向の幅が徐々に変化するように除変部27、28が形成されており、前側と後側の除変部27、28が幅広部26Bに繋がっている。
【0029】
レインガターモール16に幅広部26Bを設けることで、レインガターモール16とフロントピラー14とを合わせた部分の断面幅が拡大されている。これによって、フロントウィンドシールドガラス12を流れる走行風の流れをフロントピラー14に沿わせることができ、フロントピラー14上で走行風が剥離して渦流が発生することを抑制することができる。このため、フロントピラー14の周囲での風切音の発生を抑制することができる。
【0030】
また、レインガターモール16には、走行風の剥離による渦流の発生に支配的な範囲(車両上下方向のH1/2の高さ34からH3/4の高さ36までの間)付近のみに幅広部26Bを設けているため、ワイパーの稼働範囲と干渉することを抑えることができる。このため、ワイパー払拭性能と風切音の低減性能の両立が可能である。また、レインガターモール16の車両上下方向の必要な範囲付近のみに幅広部26Bを設けているため、レインガターモール16の質量の増加やコストの上昇を抑えることができる。したがって、レインガターモールの質量の増加を抑制しつつ、風切音の発生を抑制することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、レインガターモール16には、一般部26Aから車両幅方向内側に幅が拡大された幅広部26Bが形成され、平面視にて幅広部26Bの前側と後側でほぼ均一に除変部27、28が形成されているが、この形状に限定するものではない。すなわち、レインガターは、車両上下方向の高さ1/2の位置から高さ3/4の位置の間に車両幅方向の幅が拡大された幅広部を備えていれば、レインガターの形状は変更可能である。
【0032】
また、上記実施形態では、レインガターモール16には、車両上下方向の高さ1/2の位置から高さ3/4の位置までの範囲に幅広部26Bを備えているが、これに限定されるものではない。例えば、レインガターモールにおける車両上下方向の高さ1/2の位置から高さ3/4の位置までの範囲よりも短い範囲に幅広部を設けてもよい。また、例えば、レインガターモールにおける車両上下方向の高さ1/2の位置から高さ3/4の位置までの範囲を含む範囲に幅広部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 車両
12 フロントウィンドシールドガラス
14 フロントピラー
16 レインガターモール(レインガター)
26A 一般部
26B 幅広部
34 H1/2の高さ(高さ1/2の位置)
36 H3/4の高さ(高さ3/4の位置)
S1 車両用レインガター構造
図1
図2