特許第6252270号(P6252270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6252270研削盤の砥石のツルーイング方法及び研削盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252270
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】研削盤の砥石のツルーイング方法及び研削盤
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/053 20060101AFI20171218BHJP
   B24B 53/00 20060101ALI20171218BHJP
   B24B 49/18 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   B24B53/053
   B24B53/00 A
   B24B49/18
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-52927(P2014-52927)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-174188(P2015-174188A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 直人
(72)【発明者】
【氏名】大久保 聡
(72)【発明者】
【氏名】酒井 隼樹
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−260809(JP,A)
【文献】 特開昭53−36793(JP,A)
【文献】 特開平5−269665(JP,A)
【文献】 特開2001−138234(JP,A)
【文献】 国際公開第89/05711(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00 − 53/14
B24B 49/18
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の形状を有して砥石回転軸回りに回転駆動される砥石と、
前記砥石回転軸に平行な方向であるZ軸方向に平行なツルア回転軸回りに回転自在に支持され、あるいは前記ツルア回転軸回りに回転駆動されるように支持されて前記砥石をツルーイングするツルーイング手段と、
前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記砥石回転軸に直交する方向であって前記砥石が前記ツルーイング手段に切り込む方向であるX軸方向及び前記Z軸方向に移動させる制御手段と、を用いた、研削盤の砥石のツルーイング方法であって、
前記ツルーイング手段は、前記Z軸方向に弾性支持されて前記Z軸方向へ弾性移動可能であり、前記X軸方向に弾性支持されて前記X軸方向へ弾性移動可能であり、少なくとも前記X軸方向への弾性移動の禁止と許可を制御する移動規制手段を有しており、
前記制御手段にて、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記Z軸方向に移動させて前記ツルーイング手段と前記砥石とを前記X軸方向において対向させ、前記移動規制手段を許可側に制御して、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に移動させて前記砥石の加工面を前記ツルーイング手段に接触させる、砥石接触ステップと、
前記砥石と前記ツルーイング手段とが接触した際、あるいは前記砥石と前記ツルーイング手段との接触後において前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に切り込んで前記ツルーイング手段の前記X軸方向への弾性移動量が第1所定量に達した際、前記制御手段にて、前記移動規制手段を禁止側に制御して前記ツルーイング手段の少なくとも前記X軸方向への弾性移動を禁止させた後、さらに前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に第2所定量だけ切り込んで前記砥石の形状を修正する、砥石形状修正ステップと、を有する、
研削盤の砥石のツルーイング方法。
【請求項2】
請求項1に記載の研削盤の砥石のツルーイング方法であって、
前記制御手段にて、
前記砥石接触ステップを実行後、前記砥石形状修正ステップを実行する前に、所定の判定条件に基づいて、前記砥石の形状を修正する形状修正タイミングであるか、前記砥石の表面粗さを修正する表面粗さ修正タイミングであるか、を判定し、
前記形状修正タイミングであると判定した場合は、
前記砥石形状修正ステップを実行し、
前記表面粗さ修正タイミングであると判定した場合は、
前記砥石と前記ツルーイング手段との接触後における前記ツルーイング手段の前記X軸方向への弾性移動量が、前記第1所定量よりも大きな第3所定量に達するまで、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に切り込んで前記砥石の表面粗さを修正する、砥石表面粗さ修正ステップを実行する、
研削盤の砥石のツルーイング方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の研削盤の砥石のツルーイング方法を用いて、前記砥石をツルーイングする研削盤であって、
前記砥石と、
前記ツルーイング手段と、
前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に移動させるX軸方向移動手段と、
前記X軸方向移動手段による前記ツルーイング手段に対する前記砥石の前記X軸方向への相対的な移動量を検出可能なX軸相対移動量検出手段と、
前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記Z軸方向に移動させるZ軸方向移動手段と、
前記Z軸方向移動手段による前記ツルーイング手段に対する前記砥石の前記Z軸方向への相対的な移動量を検出可能なZ軸相対移動量検出手段と、
前記ツルーイング手段の前記X軸方向への弾性移動量を検出可能なX軸弾性移動量検出手段と、
前記ツルーイング手段における少なくとも前記X軸方向への弾性移動の禁止と許可を制御する前記移動規制手段と、
前記X軸相対移動量検出手段と前記Z軸相対移動量検出手段と前記X軸弾性移動量検出手段からの検出信号を取り込み、前記X軸方向移動手段と前記Z軸方向移動手段と前記移動規制手段とを制御する前記制御手段と、を備えている、
研削盤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削盤の砥石のツルーイング方法及び研削盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な研削盤では、ツルアのツルーイング面の位置が固定されていたので、砥石をツルアでツルーイングするためには、熱変位等によって誤差が発生している砥石の加工面のX軸方向(ワークに切り込む方向であって砥石回転軸に直交する方向)の正確な位置及びZ軸方向(砥石回転軸に平行な方向)の正確な位置を検出する必要があった。そのため、X軸方向検知ピン及びZ軸方向検知ピンを研削盤に備え、砥石の位置をX軸方向やZ軸方向に微細に移動させて、X軸方向検知ピン及びZ軸方向検知ピンに砥石の加工面を接触させて、砥石の加工面のX軸方向の位置、及びZ軸方向の位置を正確に検出していた。
【0003】
また、特許文献1には、砥石の回転軸となる砥石軸、ドレッサの回転軸となるドレス軸、の少なくとも一方を、軸方向及び径方向において所定の浮上目標位置に非接触で支持する制御型アキシアル磁気軸受及び制御型ラジアル磁気軸受にて構成した研削装置が記載されている。この構成では、砥石の加工面をドレッサのドレス面に接触させた際、ドレッサあるいは砥石の軸方向のずれ量を、制御型アキシアル磁気軸受の制御電流値の変化から検出し、検出したずれ量に応じて、制御型アキシアル磁気軸受の軸方向の浮上目標位置を変更して、砥石の加工面の軸方向の位置をドレッサのドレス面の位置と一致させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−285776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
X軸方向検知ピン及びZ軸方向検知ピンを用いて砥石の加工面のX軸方向の位置及びZ軸方向の位置を検出する従来の研削盤では、砥石を微細に移動させながらX軸方向検知ピン及びZ軸方向検知ピンと砥石の加工面とが接触する位置を検出しているので、位置の検出に非常に長い時間を要し、ツルーイングの際の効率が悪い。
【0006】
また特許文献1に記載の研削装置では、砥石の回転軸となる砥石軸、ドレッサの回転軸となるドレス軸、の少なくとも一方を、軸方向及び径方向において所定の浮上目標位置に非接触で支持する制御型アキシアル磁気軸受及び制御型ラジアル磁気軸受にて構成しなければならないので、構造が非常に複雑、且つ装置が大型化してしまうので好ましくない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、よりシンプルな構造で、装置が大型化することを回避し、より効率良く短時間で砥石をツルーイングすることができる、研削盤の砥石のツルーイング方法及び研削盤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る研削盤の砥石のツルーイング方法及び研削盤は次の手段をとる。本発明の第1の発明は、略円筒状の形状を有して砥石回転軸回りに回転駆動される砥石と、前記砥石回転軸に平行な方向であるZ軸方向に平行なツルア回転軸回りに回転自在に支持され、あるいは前記ツルア回転軸回りに回転駆動されるように支持されて前記砥石をツルーイングするツルーイング手段と、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記砥石回転軸に直交する方向であって前記砥石が前記ツルーイング手段に切り込む方向であるX軸方向及び前記Z軸方向に移動させる制御手段と、を用いた、研削盤の砥石のツルーイング方法である。そして、前記ツルーイング手段は、前記Z軸方向に弾性支持されて前記Z軸方向へ弾性移動可能であり、前記X軸方向に弾性支持されて前記X軸方向へ弾性移動可能であり、少なくとも前記X軸方向への弾性移動の禁止と許可を制御する移動規制手段を有しており、前記制御手段にて、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記Z軸方向に移動させて前記ツルーイング手段と前記砥石とを前記X軸方向において対向させ、前記移動規制手段を許可側に制御して、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に移動させて前記砥石の加工面を前記ツルーイング手段に接触させる、砥石接触ステップと、前記砥石と前記ツルーイング手段とが接触した際、あるいは前記砥石と前記ツルーイング手段との接触後において前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に切り込んで前記ツルーイング手段の前記X軸方向への弾性移動量が第1所定量に達した際、前記制御手段にて、前記移動規制手段を禁止側に制御して前記ツルーイング手段の少なくとも前記X軸方向への弾性移動を禁止させた後、さらに前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に第2所定量だけ切り込んで前記砥石の形状を修正する、砥石形状修正ステップと、を有する、研削盤の砥石のツルーイング方法である。
【0009】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る研削盤の砥石のツルーイング方法であって、前記制御手段にて、前記砥石接触ステップを実行後、前記砥石形状修正ステップを実行する前に、所定の判定条件に基づいて、前記砥石の形状を修正する形状修正タイミングであるか、前記砥石の表面粗さを修正する表面粗さ修正タイミングであるか、を判定し、前記形状修正タイミングであると判定した場合は、前記砥石形状修正ステップを実行する。また、前記表面粗さ修正タイミングであると判定した場合は、前記砥石と前記ツルーイング手段との接触後における前記ツルーイング手段の前記X軸方向への弾性移動量が、前記第1所定量よりも大きな第3所定量に達するまで、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に切り込んで前記砥石の表面粗さを修正する、砥石表面粗さ修正ステップを実行する、研削盤の砥石のツルーイング方法である。
【0010】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る研削盤の砥石のツルーイング方法を用いて、前記砥石をツルーイングする研削盤であって、前記砥石と、前記ツルーイング手段と、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記X軸方向に移動させるX軸方向移動手段と、前記X軸方向移動手段による前記ツルーイング手段に対する前記砥石の前記X軸方向への相対的な移動量を検出可能なX軸相対移動量検出手段と、前記ツルーイング手段に対して前記砥石を相対的に前記Z軸方向に移動させるZ軸方向移動手段と、前記Z軸方向移動手段による前記ツルーイング手段に対する前記砥石の前記Z軸方向への相対的な移動量を検出可能なZ軸相対移動量検出手段と、前記ツルーイング手段の前記X軸方向への弾性移動量を検出可能なX軸弾性移動量検出手段と、前記ツルーイング手段における少なくとも前記X軸方向への弾性移動の禁止と許可を制御する前記移動規制手段と、前記X軸相対移動量検出手段と前記Z軸相対移動量検出手段と前記X軸弾性移動量検出手段からの検出信号を取り込み、前記X軸方向移動手段と前記Z軸方向移動手段と前記移動規制手段とを制御する前記制御手段と、を備えている、研削盤である。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、ツルーイング手段を、X軸方向及びZ軸方向に弾性支持することで、砥石の加工面をツルーイング手段に接触させた場合、砥石の加工面の位置とツルーイング手段の位置との間にずれがあっても、弾性支持されたツルーイング手段の位置が、砥石の位置へと自動的に弾性移動する。従って、ツルーイング手段を弾性支持するというシンプルな構成にすることで、装置が大型化することを回避することができる。また、砥石のX軸方向の正確な位置及びZ軸方向の正確な位置を検出する必要もなく、非常に短時間でツルーイングを行うことができる。また、移動規制手段を有することで、仮に砥石に円周方向に振れがあって真円形状でない場合であっても、移動規制手段を用いてX軸方向への弾性移動を禁止して、砥石を真円形状へと適切にツルーイングすることができる。
【0012】
第2の発明によれば、比較的大きな研削量となる砥石形状修正ステップと、比較的小さな研削量となる砥石表面粗さ修正ステップとを、適切に使い分けることで、必要な加工精度を維持しつつ、砥石の寿命をより長くすることができる。
【0013】
第3の発明によれば、よりシンプルな構造で、装置が大型化することを回避し、より効率良く短時間で砥石をツルーイングすることができる研削盤を適切に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の研削盤の全体構成の例を示す平面図である。
図2図1に示す研削盤の側面図の例である。
図3】ツルーイング装置及び砥石の平面図であって、ツルアと砥石とがX軸方向において離間している状態の図である。
図4図3に示す状態の側面図である。
図5】ツルーイング装置及び砥石の平面図であって、砥石がツルアにX軸方向において接触してツルアをX軸方向に弾性移動させた状態の図である。
図6図5に示す状態の側面図である。
図7】ツルーイングの処理手順を示すフローチャートである。
図8】第1所定量がゼロでない場合における、砥石形状修正ステップと、砥石表面粗さ修正ステップと、の概要を説明する図である。
図9】第1所定量がほぼゼロである場合における、砥石形状修正ステップと、砥石表面粗さ修正ステップと、の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なおX軸、Y軸、Z軸が記載された図では、X軸とY軸とZ軸は互いに直交しており、Y軸方向は鉛直上向きを示している。またZ軸方向は砥石回転軸L1と平行な方向を示しており、X軸方向は砥石回転軸L1に直交する方向であり、砥石32がワークWに切り込む方向を示している。また砥石回転軸L1とワーク回転軸L2とツルア回転軸L3は、いずれもZ軸方向と平行である。
【0016】
●[研削盤1の全体構成(図1図2)]
図1及び図2に示すように、ワークWに対して砥石32をX軸方向及びZ軸方向へ相対的に移動制御してワークWを研削する研削盤1において、平面形状で矩形に形成された基台10上の略中央部には、Z軸方向に延びる一対のZ軸方向ガイドレール11にスライド案内されるZ軸方向スライドテーブル12が配設されている。Z軸方向スライドテーブル12は、制御手段80(NC制御装置等)によって作動制御されるZ軸方向駆動モータ14(Z軸方向移動手段に相当)を駆動源とするZ軸方向送りねじ13の回転動作によってZ軸方向へスライドされる。また、Z軸方向駆動モータ14には、Z軸方向スライドテーブル12のZ軸方向の位置を確認するために、Z軸方向駆動モータ14の出力軸の回転角度を検出してその検出信号を制御手段に送るエンコーダ等のZ軸方向位置検出手段15(Z軸相対移動量検出手段に相当)が設けられている。制御手段80は、Z軸方向駆動モータ14を用いて、ツルア77に対して砥石32を相対的にZ軸方向へ移動させ、Z軸方向位置検出手段15からの検出信号に基づいて、ツルア77に対する砥石32のZ軸方向への相対的な移動量を検出可能である。
【0017】
Z軸方向スライドテーブル12上には、X軸方向に延びる一対のX軸方向ガイドレール21にスライド案内されるX軸方向スライドテーブル(砥石スライドテーブル)22が配設されている。X軸方向スライドテーブル22は、制御手段80によって作動制御されるX軸方向駆動モータ24(X軸方向移動手段に相当)を駆動源とするX軸方向送りねじ23の回転動作によってX軸方向へスライドされる。また、X軸方向駆動モータ24には、X軸方向スライドテーブル22のX軸方向の位置を確認するために、X軸方向駆動モータ24の出力軸の回転角度を検出してその検出信号を制御手段に送るエンコーダ等のX軸方向位置検出手段25(X軸相対移動量検出手段に相当)が設けられている。制御手段80は、X軸方向駆動モータ24を用いて、ツルア77に対して砥石32を相対的にX軸方向へ移動させ、X軸方向位置検出手段25からの検出信号に基づいて、ツルア77に対する砥石32のX軸方向への相対的な移動量を検出可能である。
【0018】
X軸方向スライドテーブル22上には、砥石駆動モータ26と砥石軸ホルダ30とがそれぞれ配設されており、砥石駆動モータ26の出力軸には駆動プーリ27が設けられる。一方、砥石軸ホルダ30に回転可能に支持されかつ一端部に略円筒状の砥石32が設けられる砥石軸31(Z軸方向に平行な砥石回転軸L1回りに回転する砥石軸)の他端には、従動プーリ28が設けられている。そして、駆動プーリ27と従動プーリ28との間にはベルト29が張設され、これによって、砥石駆動モータ26の出力軸のトルクがベルト29を介して砥石軸31に伝達される。
【0019】
基台10上には、軸状のワークWをZ軸方向のワーク回転軸L2回りに回転させながら設定位置に保持する第1主軸装置40と第2主軸装置50とが、Z軸方向に平行なワーク回転軸L2上に配設されている。第1主軸装置40は、基台10上に固定された主軸台41と、主軸台41に対しワーク回転軸L2上に往復動可能な主軸ハウジング42と、この主軸ハウジング42内でワーク回転軸L2回りに回転可能に支持された主軸43とを備え、主軸43の先端にはワークWの一方の端面の中心部を支持するセンタ部材44が設けられている。また、主軸43は、制御手段80によって作動制御される主軸モータ(図示省略)を駆動源として任意の角速度で任意の角度まで回転制御される。また、第2主軸装置50においても、第1主軸装置40と同様にして、主軸台51、主軸ハウジング52、主軸53及びセンタ部材54を備えて構成されている。また主軸ハウジング42には、ツルア回転軸L3回りに回転可能に支持されたツルア77を備えたツルーイング装置60が設けられている。なお図2に示すように、砥石回転軸L1と、ワーク回転軸L2と、ツルア回転軸L3は、いずれも、X軸方向及びZ軸方向に平行な平面である仮想平面VM上にある。
【0020】
●[ツルーイング装置60の構成と、砥石32のツルーイング状態(図3図6)]
次に図3図6を用いて、ツルーイング装置60の構成と、砥石32のツルーイング状態について説明する。図3及び図4に示すように、ツルーイング装置60は、ベース部材65、66、可動台70、X軸方向弾性支持機構62、Z軸方向スライド体74、Z軸方向弾性支持機構73、ツルア軸ホルダ75、ツルア軸76、ツルア77、直動ガイド93、移動規制手段94、X軸弾性移動量検出手段95等を有している。
【0021】
ベース部材65、66は、第1主軸装置40の主軸ハウジング42に固定されている。そして可動台70にはベース部材66と対向する面に直動ガイド93が取り付けられており、可動台70は、直動ガイド93を介して、ベース部材66上に設けられた案内レール66Aに沿ってX軸方向に往復スライド可能に構成されている。また可動台70は、Z軸方向の基部71と、この基部71の両側部から直角状をなして突出された対向する両側壁部72とを有してほぼU字状に形成され、両側壁部72から張り出された張出部72aを有している。そして可動台70は、弾性部材64を有するX軸方向弾性支持機構62によってベース部材65に対してX軸方向に弾性支持されてX軸方向に弾性移動可能である。また案内レール66Aと可動台70との間には、少なくとも可動台70のX軸方向への弾性移動の禁止と許可を制御する移動規制手段94が設けられている。例えば移動規制手段94はブレーキ装置であり、制御手段80は、移動規制手段94に制御信号を出力して、禁止側(ブレーキ状態)と許可側(ブレーキ解除状態)に制御することができる。
【0022】
またZ軸方向スライド体74は、Z軸方向戻しばね90を有するZ軸方向弾性支持機構73によって可動台70に対してZ軸方向に弾性支持されてZ軸方向に弾性移動可能である。またZ軸方向スライド体74には、ツルア回転軸L3回りに回転自在に支持されたツルア軸76、あるいはツルア回転軸L3回りにモータ等にて回転駆動されるツルア軸76、が収容されたツルア軸ホルダ75が取り付けられている。そしてツルア軸76の一方端には、砥石32の加工面をツルーイングする略円筒状のツルア77(ツルーイング手段に相当)が取り付けられている。またツルア77は、軸方向断面の外周面が凹湾曲面(又は凹円弧面)に形成されたツルア面77aを有しており、当該ツルア面77aが、砥石32の加工面を研削する面である。
【0023】
また、可動台70とベース部材65との間には、可動台70のX軸方向の弾性移動量を検出するX軸弾性移動量検出手段95が配設されている。なお図3に示す平面図と図4に示す側面図では、ツルア77と砥石32とがX軸方向において離間した状態を示しており、図4では、X軸弾性移動量検出手段95にて検出した可動台70までのX軸方向の距離が、距離D1であることを示している。また図5に示す平面図と図6に示す側面図では、ツルア77と砥石32とがX軸方向において接触して砥石32をさらにX軸方向に切り込んだ状態を示しており、砥石32から力F1にてツルア77を押し付けて可動台70がX軸方向に弾性移動している状態を示しており、図6では、X軸弾性移動量検出手段95にて検出した可動台70までのX軸方向の距離が、距離D2(距離D1>距離D2)となっていることを示している。この場合、制御手段80は、X軸弾性移動量検出手段95からの検出信号に基づいて、可動台70のX軸方向の弾性移動量は「距離D1−距離D2」であると求めることができる。
【0024】
●[ツルーイングの処理手順(図7)]
次に、図7に示すフローチャートを用いて、制御手段によるツルーイングの処理手順の例を説明する。制御手段は、ツルーイングの実行が指示された場合や、予め設定されたツルーイングタイミングとなった場合等に、図7に示す処理を実行する。
【0025】
ステップS10にて制御手段は、砥石32の回転駆動を開始して、砥石32の加工面のZ軸方向の位置と、ツルア77のツルア面77aのZ軸方向の位置とが一致するように(加工面とツルア面がX軸方向において対向するように)、Z軸方向位置検出手段15からの検出信号に基づいた砥石32のZ軸方向の位置を確認しながらZ軸方向駆動モータを制御して、砥石32をZ軸方向に移動させてステップS15に進む。なお、ツルア77はZ軸方向においても弾性支持されているので、砥石32の加工面のZ軸方向の位置と、ツルア77のツルア面77aのZ軸方向の位置は、多少のずれが有る状態であってもよい。このため、従来のようなZ軸方向検知ピンを必要とせず、砥石32に熱変位によるZ軸方向の誤差が多少あっても、その誤差をツルア77のZ軸方向の弾性移動にて吸収することができる。
【0026】
ステップS15にて制御手段は、移動規制手段に制御信号を出力して許可側(可動台70のX軸方向への弾性移動を許可)に制御し、ステップS20に進む。そしてステップS20にて制御手段は、X軸方向位置検出手段25からの検出信号に基づいた砥石32のX軸方向の位置を確認しながらX軸方向駆動モータを制御して、砥石32をツルア77に向かうX軸方向に徐々に移動させ(切り込む方向に移動させ)、ステップS25に進む。そしてステップS25にて制御手段は、砥石32(砥石32の加工面)とツルア77が接触したか否かを判定し、接触した場合(Yes)はステップS30に進み、接触していない場合はステップS25に戻る。なお制御手段は、例えばX軸弾性移動量検出手段95からの検出信号に基づいて、砥石32(砥石32の加工面)とツルア77とがX軸方向において接触したか否かを検出することができる。なお、ステップS10〜ステップS25の処理は、制御手段にて、ツルアに対して砥石を相対的にZ軸方向に移動させてツルーイング手段と砥石とをX軸方向において対向させ、移動規制手段を許可側に制御して、ツルアに対して砥石を相対的にX軸方向に移動させて砥石の加工面をツルアに接触させる、砥石接触ステップに相当する。
【0027】
ステップS30に進んだ場合、制御手段は、今回のツルーイングが、砥石の形状修正タイミングであるか否かを判定し、形状修正タイミングであると判定した場合(Yes)はステップS35に進み、形状修正タイミングでないと判定した場合(No)(表面粗さ修正タイミングである場合)はステップS80に進む。例えば、第1所定数のワークWを加工する毎に当該処理を起動し、第2所定数毎(第2所定数>第1所定数)に形状修正を行うようにする。この場合は、ワークを第1所定数加工する毎に表面粗さ修正を行って、ワークを第2所定数加工する毎に形状修正を行う。また形状修正タイミングと表面粗さ修正タイミングとが重なった場合は、形状修正のみを行うようにしてもよい。
【0028】
ステップS35に進んだ場合、制御手段は、X軸弾性移動量検出手段からの検出信号に基づいて、ツルア77のX軸方向の弾性移動量(図4に示す距離D1と図6に示す距離D2を用いて、距離D1−距離D2にて求められる弾性移動量)が第1所定量以上であるか否かを判定し、第1所定量以上である場合(Yes)はステップS40に進み、第1所定量未満である場合(No)はステップS35に戻る。
【0029】
ステップS40に進んだ場合、制御手段は、砥石32のX軸方向への移動(ステップS20によるX軸方向への切り込み)を停止し、移動規制手段に制御信号を出力して禁止側(可動台70のX軸方向への弾性移動を禁止)に制御してステップS45に進む。そしてステップS45にて制御手段は、X軸方向位置検出手段25からの検出信号に基づいた砥石32のX軸方向の位置を確認しながらX軸方向駆動モータを制御して、砥石32を、更にX軸方向に第2所定量だけツルア77に向けて移動させて(切り込んで)、砥石32の形状を整え(形状を成形し)、ステップS50に進む。なお、ステップS35〜ステップS45の処理は、砥石とツルアとが接触した際(第1所定量が、ほぼゼロの場合)、あるいは砥石とツルアとの接触後においてツルーイング手段に対して砥石を相対的にX軸方向に切り込んでツルアのX軸方向への弾性移動量が第1所定量に達した際、制御手段にて、移動規制手段を禁止側に制御してツルアの少なくともX軸方向への弾性移動を禁止させた後、さらにツルアに対して砥石を相対的にX軸方向に第2所定量だけ切り込んで砥石の形状を修正する、砥石形状修正ステップに相当する。
【0030】
ステップS50に進んだ場合、制御手段は、当該ステップS50に達してからの経過時間を計測して所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過している場合(Yes)はステップS55に進み、所定時間が経過していない場合(No)はステップS50に戻る。そしてステップS55に進んだ場合、制御手段は、X軸方向位置検出手段25からの検出信号に基づいた砥石32のX軸方向の位置を確認しながらX軸方向駆動モータを制御して、砥石32をX軸方向とは反対の側(ツルア77から離間する側)に移動させて、砥石32とツルア77とをX軸方向において離間させ、ツルーイング処理を終了する。
【0031】
またステップS80に進んだ場合、制御手段は、X軸弾性移動量検出手段からの検出信号に基づいて、ツルア77のX軸方向の弾性移動量(図4に示す距離D1と図6に示す距離D2を用いて、距離D1−距離D2にて求められる弾性移動量)が第3所定量以上であるか否かを判定し、第3所定量以上である場合(Yes)はステップS50に進み、第3所定量未満である場合(No)はステップS80に戻る。なお、第3所定量は第1所定量よりも大きい。なおステップS80は、表面粗さ修正タイミングであると判定した場合(すなわち、形状修正タイミングでないと判定した場合)において、砥石とツルアとの接触後におけるツルアのX軸方向への弾性移動量が、第1所定量よりも大きな第3所定量に達するまで、ツルアに対して砥石を相対的にX軸方向に切り込んで砥石の表面粗さを修正する、砥石表面粗さ修正ステップに相当する。なおステップS50、S55の処理はすでに説明しているので省略する。
【0032】
なお、図8は、ステップS35において「第1所定量がゼロでない場合」における(砥石形状修正ステップ)の動作(ステップS25、S30、S35、S40、S45を実行した動作)と、(砥石表面粗さ修正ステップ)の動作(ステップS25、S30、S80を実行した場合の動作)を示している。なお、図9は、ステップS35において「第1所定量がほぼゼロである場合」における(砥石形状修正ステップ)の動作(ステップS25、S30、S35、S40、S45を実行した動作)と、(砥石表面粗さ修正ステップ)の動作(ステップS25、S30、S80を実行した場合の動作)を示している。また図8及び図9では、判り易くするために、第1所定量、第2所定量、第3所定量を、実際(例えば数[μm]〜数100[μm])より非常に大きく記載している。
【0033】
以上に説明したように、図8及び図9のどちらの場合も、砥石形状修正ステップでは、砥石32に振れ(円周方向の形状における真円形状からの誤差)が有っても、X軸方向への弾性移動を禁止したツルア77に、X軸方向から砥石32を第2所定量だけ切り込んでツルーイングするので、砥石32に振れが有っても適切に振れを除去して砥石32の形状を真円形状へとツルーイングすることができる。また、砥石表面粗さ修正ステップでは、X軸方向への弾性移動を許可したツルア77が第3所定量だけ弾性移動するまでX軸方向から砥石32を切り込んでツルーイングするので、必要以上に砥石32の表面を研削することを回避して、適切な厚み分だけ砥石32の表面を研削することができる。従って、砥石の寿命をより長くすることができる。また、移動規制手段を備えたことで、X軸方向に弾性移動可能なツルアと、X軸方向に弾性移動しないツルアとを別々に設ける必要がないので、研削盤の構成をよりシンプルにすることが可能であるとともに、別々のツルアを設けた場合よりも、短時間にツルーイングを完了させることができる。またツルア77はZ軸方向にも弾性移動可能であるので、砥石32のZ軸方向の位置が多少ずれていても、ツルア77が正しいZ軸方向の位置へと自動的に弾性移動するので、便利である。
【0034】
本発明の研削盤の砥石のツルーイング方法及び研削盤は、本実施の形態にて説明した研削盤の構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態の説明では、ツルアに対して砥石をX軸方向及びZ軸方向に移動させる例を説明したが、ツルアに対して砥石を相対的にX軸方向及びZ軸方向に移動させることができればよい。
また本実施の形態の説明では、移動規制手段は、ツルアのX軸方向への弾性移動の許可と禁止を制御したが、ツルアのX軸方向及びZ軸方向への弾性移動の許可と禁止を制御するようにしてもよい。すなわち移動規制手段は、少なくともX軸方向への弾性移動の許可と禁止を制御できればよい。
【符号の説明】
【0035】
1 研削盤
10 基台
12 Z軸方向スライドテーブル
14 Z軸方向駆動モータ(Z軸方向移動手段)
15 Z軸方向位置検出手段(Z軸相対移動量検出手段)
22 X軸方向スライドテーブル
24 X軸方向駆動モータ(X軸方向移動手段)
25 X軸方向位置検出手段(X軸相対移動量検出手段)
30 砥石軸ホルダ
31 砥石軸
32 砥石
40 第1主軸装置
42 主軸ハウジング
50 第2主軸装置
60 ツルーイング装置
62 X軸方向弾性支持機構
64 弾性部材
70 可動台
73 Z軸方向弾性支持機構
74 Z軸方向スライド体
75 ツルア軸ホルダ
77 ツルア(ツルーイング手段)
80 制御手段
84 移動規制手段
90 Z軸方向戻しばね
95 X軸弾性移動量検出手段
L1 砥石回転軸
L2 ワーク回転軸
L3 ツルア回転軸
W ワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9