(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部は、前記レーザー強度及びレーザー照射密度の組み合わせ毎の発色状態を、前記レーザー照射装置によるレーザー照射時のレーザー径別に記憶している請求項1に記載の情報処理装置。
前記記憶部は、少なくとも前記レーザー強度及びレーザー照射密度を含む組み合わせ毎の発色状態を、更に前記レーザー照射の対象物の材質別に記憶している請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
前記表示制御部は、前記レーザー照射位置に対応付けられて前記指示受付部に受け付けられた指定指示と、前記記憶部に記憶されている各発色状態とに基づいて、当該指定指示の示す内容で前記レーザー照射が行われた場合の発色状態を、前記画像データに沿って前記表示部に表示させる請求項4に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理装置及びレーザー照射装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置及びレーザー照射装置を示す図である。
【0011】
レーザー照射装置1は、情報処理装置2から出力されてくるレーザー照射指示に従って、後述するレーザー照射部12(
図11)が梱包材、金属板、又は合成樹脂板(ABS、ポリカーボネート)等の照射対象物にレーザーを照射して、当該梱包材の表面上に塗布されているインクを発色させることにより、照射対象物の表面上に、レーザーマーキングにより画像を形成(印刷)するものである。
【0012】
情報処理装置2は、レーザー照射装置1にデータ送受信可能に接続されており、レーザー照射装置1にレーザー照射指示を出力する。情報処理装置2は、レーザー照射駆動用プログラムを記憶している。このレーザー照射駆動用プログラムは、レーザー照射装置1のレーザー照射部12によるレーザー照射の強度及び照射密度を定め、当該レーザー強度及び照射密度でレーザー照射部12を駆動させるためのプログラムである。すなわち、レーザー照射駆動用プログラムは、レーザー照射装置1に対してレーザー照射の駆動を制御する指示を作成して送信するプログラムである。
【0013】
次に、情報処理装置2の構成を説明する。
図2は情報処理装置2の内部構成の概略を示すブロック図である。
【0014】
情報処理装置2は、制御ユニット200と、ROM212と、RAM213と、HDD(Hard Disk Drive)214と、表示部215と、通信インターフェイス216と、入力部
217とを備える。これら各部は、互いにCPUバスによりデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0015】
制御ユニット200は、CPU等からなる。ROM212は、当該情報処理装置2の基本動作についての動作プログラムを記憶する。RAM213は、制御ユニット200の動作領域等として使用される。
【0016】
HDD(記憶部)214は、各種のデータやプログラムを記憶するための記憶媒体である。HDD214には、上記レーザー照射駆動用プログラムが記憶されている。また、HDD214には、レーザー強度及びレーザー照射密度の組み合わせ毎についてのレーザー照射対象物の発色状態を示す画像群からなる画像(後述するグラデーション画像)を記憶している。
【0017】
制御ユニット200は、上記レーザー照射駆動用プログラムに従って動作することで、制御部201、表示制御部202、指示受付部203、指示出力部204、及びデータ取得部205として機能する。
【0018】
但し、制御ユニット200のこれら制御部201、表示制御部202、指示受付部203、指示出力部204、及びデータ取得部205は、レーザー照射駆動用プログラムに基づく制御ユニット200の動作にはよらずに、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0019】
表示部215は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部215には、レーザー照射装置1による複数のレーザー強度及びレーザー照射密度でのレーザー照射によるレーザーマーキングによるそれぞれの画像形成結果が擬似的に表示される。
【0020】
通信インターフェイス216は、レーザー照射装置1、コンピューター、又はスキャナー等とのデータ通信を行うためのインターフェイスとして機能する。
【0021】
入力部217は、キーボード又はマウスポインター等から構成され、操作者から各種操作指示が入力される。
【0022】
制御ユニット200は、上述したように、制御部201、表示制御部202、指示受付部203、指示出力部204、及びデータ取得部205を備える。
【0023】
制御部201は、当該情報処理装置2の全体的な動作制御を司る。
【0024】
表示制御部202は、表示部215による表示制御を司る。表示制御部202は、上記HDD214に記憶されている上記レーザー照射対象物の発色状態をレーザー強度及びレーザー照射密度の組み合わせ毎に示す画像等を表示する。
【0025】
指示受付部203は、表示部215に表示された上記各発色状態を示す画像の表示部分を指定する指定指示、及びレーザー照射実行指示等を操作者から受け付ける。当該各指示は、操作者による入力部217の操作により入力される。
【0026】
指示出力部204は、指示受付部203により指定が受け付けられた表示部分に対応するレーザー強度及びレーザー照射密度によるレーザー照射実行指示を作成して、当該レーザー照射実行指示をレーザー照射装置
1に出力する。
【0027】
例えば、
図3に例を示すように、レーザー強度及びレーザー照射密度の組み合わせ毎の各発色状態を、レーザー照射強度別に、段階的に異ならせたレーザー照射密度毎に並べたグラデーション画像が、HDD214に記憶されている。
図3には、異なるレーザー強度毎に、異なるレーザー照射密度で照射したそれぞれの発色状態を示す画像を一列に並べてグラデーションを付けた画像を示している。レーザー照射密度をレーザー照射装置1で設定可能な範囲において5〜100までの範囲で、5,10,20,30,40,50,60,70,80,90,100の11段階にこの順で並べたグラデーション画像G1で示している。また、その隣には、レーザー密度をレーザー照射装置1で設定可能な範囲において0〜100までを無段階に変換させて照射した場合における発色状態を示す帯状のグラデーション状画像G2が示されている。これらグラデーション画像G1,G2の組からなる画像がレーザー強度の段階を示す画像「1」「2」「3」とともに示されている。
【0028】
操作者は、例えば、入力部217を操作して、通信インターフェイス216を介してコンピューター又はスキャナーから情報処理装置2に当該グラデーション画像を入力する。制御部201は、当該グラデーション画像を取得し、HDD214に記憶させる。表示制御部202は、HDD214に記憶された当該グラデーション画像を表示部215に表示させる。
【0029】
表示部215が上記グラデーション画像を表示しているときに、操作者が、入力部217としてのマウスポインターを操作して、所望の発色状態を示す画像部分を指定すると、指示受付部203が、当該部分に表示されている発色状態を示す画像に対応付けられているレーザー強度及びレーザー照射密度の指定を受け付ける。指示出力部204は、指示受付部203により指定が受け付けられたレーザー強度及びレーザー照射密度によるレーザー照射実行指示を、レーザー照射装置
1に出力する。
【0030】
データ取得部205は、通信インターフェイス216を介してレーザー照射装置1、コンピューター、スキャナー等から、印刷対象データとしての画像データを取得する。データ取得部205は、印刷対象データとして、例えば、イラストレーター(登録商標)等の描画アプリケーションにより作成された描画データ、CADアプリケーションにより作成された作図データ、ワードプロセッサー等の文字入力が可能なアプリケーションにより作成された文字データ、又はJPEG,BMP等のイメージデータ等からなる画像を取得する。印刷対象データは、例えば、ベクターデータ、ラスターデータ、又はこれらの組合せ等からなる。但し、これらは印刷対象データの例示列挙に過ぎず、印刷対象データをこれらに限定する趣旨ではない。なお、指示受付部203は、データ取得部205により取得された印刷対象画像データの示す画像における位置を、レーザー照射装置1によるレーザー照射位置として指定指示を受け付け可能である。
【0031】
次に、情報処理装置2によるレーザー照射指示の受付処理を説明する。
図4は情報処理装置2によるレーザー照射指示の受付処理を示すフローチャートである。前提として、HDD214には、操作者により、上記各レーザー強度及びレーザー照射密度の組み合わせについての発色状態を示す画像が記憶されているものとする。
【0032】
操作者による入力部217の操作により、レーザー照射指示を開始する旨の指示が入力されると(S1)、表示制御部202は、上記発色状態を示す画像をHDD214から読み出して表示部215に表示させる(S2)。
【0033】
続いて、操作者による入力部217の更なる操作に基づいて、データ取得部205により上記印刷対象データが受け付けられると(S3)、表示制御部202は、
図5に例を示すように、当該印刷対象データを表示部
215に表示させる(S4)。
【0034】
なお、S3及びS4の処理は、S2の処理よりも先に行うようにしてもよい。
【0035】
例えば、上記発色状態を示す画像としては、予め定められた位置に、上記各レーザー強度及びレーザー照射密度を用いた組み合わせでのレーザー照射による発色状態を示すそれぞれの画像が描かれた画像が適用される。例えば、上記
図3に示したようなグラデーション画像が適用される。このグラデーション画像は、
図3に示すように、各レーザー強度及びレーザー照射密度を用いた組み合わせでのレーザー照射による発色状態を示すそれぞれの画像が、レーザー照射強度別に、段階的に異ならせたレーザー照射密度毎に並べたものとされる。
【0036】
指示出力部204は、このグラデーション画像に含まれている上記それぞれの画像又は部分毎に、対応付けられたレーザー強度及びレーザー照射密度を記憶している。例えば、上記予め定められたグラデーション画像の場合、当該それぞれの画像G1はグラデーション画像内における配置位置が定められているため、指示出力部204は、グラデーション画像内における当該配設位置を示す領域毎に、その領域に対応付けてレーザー強度及びレーザー照射密度を予め記憶している。また、グラデーション状画像G2については、指示出力部204は、各グラデーション状画像G2内におけるその長さ方向において異なる位置毎に、その部分に対応付けてレーザー強度及びレーザー照射密度を予め記憶している。
【0037】
なお、指示出力部204は、表示部215に当該グラデーション画像が表示されているときに、操作者による入力部217の操作でグラデーション画像中の一部領域が指定されるとともに、レーザー強度及びレーザー照射密度が入力されると、この指定された一部領域に表示されている画像(グラデーション画像内における上記それぞれの画像のいずれか)に対応付けて、当該入力されたレーザー強度及びレーザー照射密度を記憶するようにしてもよい。これによれば、操作者がレーザー照射装置の性能に応じてレーザー強度及びレーザー照射密度を設定することが可能である。
【0038】
上記のように、表示制御部202が印刷対象データを表示部
215に表示させているときに(S4)、操作者が入力部217としてのマウスポインターを操作して、例えば
図6に例を示すように、表示部215に表示されている上記発色状態を示すグラデーション画像G1の表示領域のうち、所望の発色状態を示す画像部分im2の表示領域を指定すると(S5でYES)、当該画像部分im2に表示されている発色状態の画像に対応付けられているレーザー強度及びレーザー照射密度の指定を指示受付部203が受け付ける(S6)。
【0039】
なお、操作者は、入力部217の操作により、レーザー強度が異なるいずれのグラデーション画像G1においても、発色状態を示す画像部分の表示領域の指定が可能とされている。このような指定を指示受付部203が受け付けることにより、指示出力部204からレーザー照射装置1にレーザー照射実行を出力して、1つの印刷対象データについてレーザーマーキングにより画像形成を行うときに、レーザー強度及びレーザー照射密度を変更しながらレーザー照射を行うことが可能である。
【0040】
そして、
図7に例を示すように、更に操作者がマウスポインターを操作して、表示部215に表示されている印刷対象データが示す画像im3において、上記S6で受け付けられたレーザー強度及びレーザー照射密度でのレーザー照射を行う位置p1を指定すると(S7でYES)、S6で受け付けられたレーザー強度及びレーザー照射密度でのレーザー照射を行う箇所として、当該位置p1を指示受付部203が受け付ける(S8)。
【0041】
ここで、操作者は、入力部217の操作により、印刷対象データが示す画像im3の全体を、S6で受け付けられたレーザー強度及びレーザー照射密度でのレーザー照射を行う箇所として指定することが可能とされている。
【0042】
また、操作者が入力部217を操作して上記画像im3における連続する複数箇所について、徐々にレーザー照射密度が変化するように、上記画像部分im2に表示されている発色状態の画像を指定することで、レーザー照射によって形成されるグラデーションの傾きを変化させることが可能である。
【0043】
この後、操作者により、レーザー照射強度及びレーザー照射密度でのレーザー照射位置を指定する処理を終了する指示が入力部217の操作で入力されるまで、S5乃至S8の処理が続けられる(S9でNO)。
【0044】
そして、操作者により、レーザー照射強度及びレーザー照射密度でのレーザー照射位置を指定する処理を終了する指示が入力されると(S9でYES)、表示制御部202は、この時点においてS8で既に受け付けられている各箇所(印刷対象データが示す画像上の各箇所)について、レーザー強度及びレーザー照射密度に対応付けられた発色状態をそれぞれ判別し、当該発色状態を示す画像を用いて、照射対象物へのレーザー照射後に得られると予想される発色状態を示す疑似画像を作成する(S10)。表示制御部202は、当該作成した疑似画像を表示部215に表示させる(S11)。例えば、S10において、表示制御部202は、HDD214に記憶されている上記グラデーション画像の一部である各発色状態を示す画像のデータを用いて上記疑似画像を作成する。
【0045】
この疑似画像の表示により、操作者は、上記のように印刷対象データの各箇所に設定した発色状態による画像形成の結果を正確に予測することが可能になる。
【0046】
この疑似画像の表示後、操作者による入力部217の操作で、この時点で受け付けられている上記各箇所へのレーザー強度及びレーザー照射密度でのレーザー照射を行う旨の指示が入力されると(S12でYES)、指示出力部204は、上記各箇所に上記指定されたレーザー強度及びレーザー照射密度でレーザー照射を行う旨のレーザー照射実行指示を作成する(S13)。指示出力部204は、当該作成したレーザー照射実行指示を、通信インターフェイ
ス216を介してレーザー照射装置1に出力する(S14)。
【0047】
レーザー照射装置1は、上記指示を受信すると、制御部201(
図11)が当該指示に従ってレーザー照射部を駆動制御して、レーザー照射対象物に対するレーザー照射を実行する。
【0048】
この実施形態によれば、レーザーマーキングによる画像形成時に、レーザー照射対象物へのレーザー照射前に、画像形成結果を予測可能として、ユーザーの所望に近い画像形成結果を得ることができる。
【0049】
また、上記のようにグラデーション画像に基づいて、指示受付部203が、操作者から発色状態の指定を受け付けるので、操作者は、複数の発色状態の確認がしやすくなり、所望の発色状態の選別が簡単になる。
【0050】
また、上記実施形態では、指示受付部203は、データ取得部205により取得された画像データの示す画像内において操作者により指定された位置をレーザー照射位置とする指定指示を受け付けるので、印刷対象データが示す画像中のどの位置をどのように発色させるかの設定を容易に行うことができる。
【0051】
次に、HDD214に記憶される上記グラデーション画像の他の例を説明する。
図8はグラデーション画像の他の例を示す図である。上記では、各レーザー強度及びレーザー照射密度に対応付けられた発色状態を示す画像からなるグラデーション画像が用いられる例を示したが、これに限られず、例えば、当該グラデーション画像を照射対象とする印刷インキ又は対象物の材質毎に応じて用意し、それぞれをHDD214に記憶させておくようにしてもよい。この場合、操作者による入力部217の操作で、所望の材質等に対応するグラデーション画像が1つ以上選択され、選択されたグラデーション画像が、上記のレーザー照射指示受付処理に用いられる。
【0052】
更に他の例として、
図9に例を示すように、レーザー照射に用いられるレーザー径別に上記グラデーション画像を用意し、それぞれをHDD214に記憶させておくようにしてもよい。この場合、操作者による入力部217の操作で、所望のレーザー径毎にグラデーション画像が1つ以上選択され、選択されたグラデーション画像が、上記のレーザー照射指示受付処理に用いられる。
【0053】
また、更なる例として、
図10に例を示すように、上記レーザー径別の各グラデーション画像群を、印刷インキ又は対象物の材質毎に用意し、それぞれをHDD214に記憶させておくようにしてもよい。この場合、操作者による入力部217の操作で、所望の材質及びレーザー径別に1つ以上のグラデーション画像群が選択され、選択されたグラデーション画像群が、上記のレーザー照射指示受付処理に用いられる。
【0054】
なお、レーザー径毎のグラデーション画像を用いて上記のレーザー照射指示受付処理が行われる場合、上記S13においては、レーザー照射実行指示の作成処理では、指示出力部204は、上記各箇所に上記指定されたレーザー強度及びレーザー照射密度に加えて、用いられたグラデーション画像に対応付けられているレーザー径を用いてレーザー照射を行う旨のレーザー照射実行指示を作成する。
【0055】
また、上記
図8乃至
図10に示したグラデーション画像について、複数のグラデーション画像又はグラデーション画像群が操作者により選択されたとき、表示制御部202は、当該選択された全てのグラデーション画像又はグラデーション画像群を表示部215に表示させる。そして、指示受付部203は、操作者による入力部217の操作に基づいて、いずれのグラデーション画像又はグラデーション画像群においても、発色状態を示す画像部分の表示領域の指定も受け付ける。これにより、指示出力部204からレーザー照射装置1にレーザー照射実行を出力することで、1つの印刷対象データについてレーザーマーキングにより画像形成を行うときに、レーザー径の大きさを変更しながらレーザー照射を行うことが可能である。
【0056】
レーザーマーキングによる画像形成結果は、レーザー照射の強度及び照射密度によって再現性が大きく左右されることに加え、印刷インク及び照射対象物の材質やレーザー径によっても再現性が異なるが、このようなグラデーション画像を用意することで、実際にレーザー照射を行わなくても、当該レーザー照射による発色性等の印刷結果を予測することが容易になる。
【0057】
次に、レーザー照射装置1の構成を説明する。
図11はレーザー照射装置1について電気的構成の概略を示す構成を示すブロック図である。
図12(A)は照射対象物としての梱包材の一例を示す平面図、(B)は照射対象物としての梱包材の一例を示す側面図である。
図13はレーザー照射装置1の一部及びその照射対象物を側方から見た状態を示す図である。
【0058】
レーザー照射装置1は、情報処理装置2から出力されてくる上記レーザー照射実行指示に従って、その制御ユニット100の制御部101がレーザー照射部12を制御して、梱包材10表面、又は当該表面上に形成されている下地層としての印刷インキに対して、レーザーマーキングにより画像を形成するものである。
【0059】
梱包材10は、例えば、段ボール材質や厚紙材質、又は合成樹脂材質等からなる。本実施形態では、段ボール材質からなる梱包材10を例にして説明する。梱包材10は、例えば、
図12(A)(B)に示すように、その表面上における印刷対象箇所に、ベタ塗装により印刷インキからなる下地層3が形成されている。この印刷対象箇所とは、レーザー照射装置1によるレーザー照射でレーザーマーキングによる画像形成を行う領域である。
【0060】
レーザー照射装置1を説明する。レーザー照射装置1は、制御ユニット100と、支持台11と、レーザー照射部12と、位置検知センサー14と、操作部15とを備えている。
【0061】
支持台11は、レーザー照射部12に対して梱包材10を位置決めして支持するための載置台である。
【0062】
レーザー照射部12は、支持台11に支持された梱包材10の表面にレーザー光を射出する。レーザー照射部12は、支持台11上の梱包材10に対向して上方に固定配置されている。レーザー照射部12による梱包材10表面上の下地層3へのレーザー光照射により、当該レーザー照射部分の下地層3が化学変化する。
【0063】
レーザー照射部12は、赤外線領域のレーザー、例えば、炭酸ガスレーザー(CO
2レーザー)を照射し、当該レーザーの波長は10.6μm、出力30Wとされる。なお、レーザー照射部12は、他のレーザー、例えば、YAGレーザーを用いて照射することも可能である。YAGレーザーによる照射の場合、波長は1.064μm、出力30Wとされる。
【0064】
レーザー照射部12を移動させることなく、当該レーザー照射部12により1度にレーザー照射を行うことができる範囲は、例えば300mm×300mmの範囲のように、一定の範囲内となっている。レーザー照射部12は、当該照射範囲に対するレーザー照射時には、レーザー光を予め定められた一定方向に走査して照射を行う。レーザー照射部12は、少なくともレーザー強度及びレーザー照射密度を可変としてレーザー照射を行うことが可能である。なお、上記
図9及び
図10に示したグラデーション画像を用いて上記レーザー照射指示の受付処理を行う実施形態としては、レーザー照射部12は、レーザー強度及びレーザー照射密度に加えて更にレーザー径を可変としてレーザー照射を行うことが可能とされる。レーザー照射部12は、例えば、上記レーザー照射実行指示の示すレーザー強度及びレーザー照射密度に従って、上記一定方向における操作によるレーザー照射を制御する。
【0065】
操作部15は、操作者により操作されるキー、又はタッチパネル機能を備えたLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部を備え、操作者による当該キー又は表示部の操作者により、当該操作者からの各種指示の入力を受け付ける。操作部15は、受け付けた指示の内容を、制御部101に出力する。
【0066】
制御ユニット100は、CPU等からなり、制御部101と、指示取得部103とを備える。
【0067】
制御部101は、レーザー照射装置1の全体的な動作制御を司る。特に、制御部101は、レーザー照射部12によるレーザー照射を駆動制御する。制御部101は、特許請求の範囲における駆動制御部の一例である。
【0068】
指示取得部103は、図略のインターフェイスを介して、情報処理装置2から、上記レーザー照射実行指示を取得する。
【0069】
なお、レーザー照射装置1は、情報処理装置2と同様の構成からなる情報処理装置を有し、レーザー照射装置1のみで、操作者から、上記レーザー照射指示の受付処理を行って、レーザー照射を行う構成としてもよい。例えば、レーザー照射装置1が情報処理装置2を備える構成である。
【0070】
次に、レーザー照射装置1によるグラデーション画像形成のためのレーザー照射制御を説明する。
【0071】
ここでは、レーザー照射装置1は、記憶部16を有し、記憶部16には、上記のようなグラデーション画像をレーザーマーキングにより形成するためのレーザー照射プログラムが更に記憶されているものとする。
【0072】
制御部101は、当該レーザー照射プログラムに従って、グラデーション画像をレーザーマーキングにより形成するためのレーザー照射制御を行う。当該レーザー照射プログラムは、予め定められた複数のレーザー強度及びレーザー照射密度の組み合わせを記憶しており、制御部101に、当該各組み合わせによるレーザー照射をそれぞれに行わせるものである。当該レーザー照射プログラムは、レーザー照射部12が当該各組み合わせによるレーザー照射を、上記グラデーション状に配置した各領域(例えば、
図3に示したグラデーション画像G1の配置位置)に対して行うように、制御部101を動作させる。すなわち、制御部101は、当該レーザー照射プログラムに従ってレーザー照射部12を駆動制御し、上記
図3に示したように、縦方向にレーザー照射密度を示す複数の画像を並べて形成させ、その側方には、レーザー強度を示す画像を形成させる。制御部101は、このような画像をレーザー強度別に複数形成させる。
【0073】
これにより、レーザー照射装置1は、当該レーザー照射プログラムに従った動作を行うことで、上記のグラデーション画像を形成可能である。このため、操作者は、このようにしてグラデーション画像が形成された照射対象物の画像を、スキャナーによる読込等を行って通信インターフェイス216を介して情報処理装置2に取り込むことによって、当該グラデーション画像を、上記レーザー照射指示の受付処理に用いることが可能になる。
【0074】
なお、情報処理装置2のHDD214に当該レーザー照射プログラムが記憶されるものとし、制御ユニット200が当該レーザー照射プログラムに従って動作することで、レーザー照射装置1に動作制御指示を送り、レーザー照射装置1に当該グラデーション画像形成のための動作を行わせる構成を採ることも可能である。
【0075】
また、レーザー照射装置1が情報処理装置2を包含するものとしてもよい。
【0076】
また、上記に
図3を用いて示した、レーザー強度及びレーザー照射密度の組み合わせ毎についてのレーザー照射対象物の発色状態を示す画像群からなる画像は、上記グラデーション画像が好ましいが、これに限られず、当該発色状態を示す各画像は、他の配列で配置されていてもよい。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0078】
例えば、上記実施形態においては、照射象物が、段ボールからなる梱包材10である実施形態について説明したが、レーザー照射装置1によるレーザー照射は、他の材質からなる物に対してもレーザー照射が可能である。
【0079】
また、
図1乃至
図13を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。