特許第6252440号(P6252440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252440
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】車両用固定窓
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/10 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   B60J1/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-231638(P2014-231638)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-94109(P2016-94109A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】後藤 稔裕
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−131771(JP,A)
【文献】 特開平11−343781(JP,A)
【文献】 特開2005−96616(JP,A)
【文献】 特開2010−264951(JP,A)
【文献】 特開2010−30501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア又はボディに設けられ、開口部を備えるパネルと、
前記パネルに接着剤により固定され、前記開口部を覆う樹脂ウインドウパネルと、
前記樹脂ウインドウパネルの外周縁に沿って形成され、前記接着剤により形成される接着部と、を備える車両用固定窓において、
前記接着部は、互いに対向し、略同一方向に延在する一対の第1接着部と、
互いに対向し、前記第1接着部の延在方向と交差する方向に延在する一対の第2接着部と、を備え、
前記樹脂ウインドウパネルに予め設定された衝撃力が加えられたとき、前記第1接着部が前記パネルとの固定状態を維持するとともに、前記第2接着部が前記パネルから離脱するように、
前記第2接着部の接着力は、前記第1接着部の接着力より小さく設定されていることを特徴とする車両用固定窓。
【請求項2】
前記第2接着部の延在方向と直交する方向の第2接着部幅は、前記第1接着部の延在方向と直交する方向の第1接着部幅よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1記載の車両用固定窓。
【請求項3】
前記第2接着部を形成する幅を持つ複数本の接着剤が前記第1接着部の幅方向に並列して形成されていることにより、前記第2接着部幅は前記第1接着部幅よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項2記載の車両用固定窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用固定窓に関し、特に、樹脂ウインドウパネルを備える車両固定窓に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用固定窓の従来技術としては、例えば、特許文献1に開示された耐衝撃性を備えた窓が知られている。特許文献1に開示された耐衝撃性を備えた窓は、耐衝撃性プラスチックを透視部材に用いた窓において、大きな衝撃エネルギーが加わった時点で、その透視部材が固定支持部に対して変位自在に取り付けられた構成となっている。なお、変形自在の固定支持部から透視部材が抜け落ちないために、オーバーハング量を最大歪み量から計算して求めた値より大きくとるとしている。この透視部材が、大きな衝撃エネルギーを受けて弾性変形する事態に至っても、周囲を固定支持部において変位自在に支持されていることで規制を受けずに変形に対応できて衝撃エネルギーの吸収が可能となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−96937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された耐衝撃性を備えた窓では、樹脂ウインドウパネル(透視部材)の弾性変形による衝撃吸収が十分ではないほか、樹脂ウインドウパネルが固定支持部から脱落するおそれがある。例えば、特許文献1に開示された耐衝撃性を備えた窓を、4辺を有する略矩形の樹脂ウインドウパネルに適用した場合、樹脂ウインドウパネルの4辺が固定支持部に対して変位自在に取り付けると、4辺の変位量は制限されているから、樹脂ウインドウパネルの弾性変形は制限される。また、樹脂ウインドウパネルの4辺が固定支持部に拘束されていることから、樹脂ウインドウパネルに対する衝撃が、樹脂ウインドウパネルの弾性変形可能な範囲の衝撃であっても、4辺と固定支持部との拘束が解除され、樹脂ウインドウパネルが固定支持部から脱落するおそれがある。
一方、窓に衝撃吸収可能なエアバッグを設け、衝撃時にエアバッグにより衝撃エネルギーを吸収することも考えられる。この場合、エアバッグやエアバッグを作動させるための手段(インフラータ等)やエアバッグ等の収容のためのスペースを必要とし、製作コストも増大するといった問題が生じる。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、樹脂ウインドウパネルへの衝撃発生時における樹脂ウインドウパネルの弾性変形を効果的に利用して衝撃エネルギーを吸収しつつ、樹脂ウインドウパネルの脱落防止を可能とする車両用固定窓の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、車両のドアパネル又はボディに設けられ、開口部を備えるパネルと、前記パネルに接着剤により固定され、前記開口部を覆う樹脂ウインドウパネルと、前記樹脂ウインドウパネルの外周縁に沿って形成され、前記接着剤により形成される接着部と、を備える車両用固定窓において、前記接着部は、互いに対向し、略同一方向に延在する一対の第1接着部と、互いに対向し、前記第1接着部の延在方向と交差する方向に延在する一対の第2接着部と、を備え、前記樹脂ウインドウパネルに予め設定された衝撃力が加えられたとき、前記第1接着部が前記パネルとの固定状態を維持するとともに、前記第2接着部が前記パネルから離脱するように、前記第2接着部の接着力は、前記第1接着部の接着力より小さく設定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、樹脂ウインドウパネルに予め設定された衝撃力が加えられると、第1接着部はパネルに固定された状態を維持するとともに、第2接着部がパネルから離脱する。樹脂ウインドウパネルでは、一対の第2装着部がパネルに拘束されないため、一対の第1接着部の間の部位が衝撃力に応じて樹脂ウインドウパネルの厚さ方向に大きく弾性変形し、衝撃エネルギーは樹脂ウインドウパネルの弾性変形により吸収される。本発明によれば、樹脂ウインドウパネルへの衝撃発生時に、樹脂ウインドウパネルの弾性変形を効果的に利用して衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、衝撃による樹脂ウインドウパネルのパネルからの脱落を防止することができる。
【0008】
また、上記の車両用固定窓において、前記第2接着部の延在方向と直交する方向の第2接着部幅は、前記第1接着部の延在方向と直交する方向の第1接着部幅よりも小さく設定されている構成としてもよい。
この場合、第2接着部の延在方向と直交する方向の第2接着部幅を、第1接着部の延在方向と直交する方向の第1接着部幅よりも小さく設定することにより、第2接着部の接着力を、第1接着部の接着力よりも小さく(弱く)設定することができる。
【0009】
また、上記の車両用固定窓において、前記第2接着部を形成する幅を持つ複数本の接着剤が前記第1接着部の幅方向に並列して形成されていることにより、前記第2接着部幅は前記第1接着部幅よりも小さく設定されている構成としてもよい。
この場合、第2接着部を形成する幅を持つ複数本の接着剤が、第1接着部の幅方向に並列して形成されている。これにより、第2接着部幅を第1接着部幅よりも小さくすることができ、第2接着部における接着力を、第1接着部における接着力よりも小さく設定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、樹脂ウインドウパネルへの衝撃発生時における樹脂ウインドウパネルの弾性変形を効果的に利用して衝撃エネルギーを吸収しつつ、樹脂ウインドウパネルの脱落防止を可能とする車両固定窓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るクォータウインドウを備える車両の要部を示す側面図である。
図2図1におけるA−A線矢視図である。
図3】クォータウインドウの内側面を示す図である。
図4】第1の実施形態に係るクォータウインドウが衝撃力を受けるときの作用を模式的に説明する説明図である。
図5】第2の実施形態に係るクォータウインドウの内側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る車両用固定窓について図面を参照して説明する。 本実施形態は、本発明の車両用固定窓を自動車のクォータウインドウに適用した例である。図1に示すように、車両10の後部には、車両用固定窓としての開閉不能なクォータウインドウ20が設けられている。本実施形態のクォータウインドウ20には、車両10のボディ11に設けられるパネルとしてのアウタパネル12が備えられ、アウタパネル12には開口部13が形成されている。アウタパネル12には、開口部13を覆う透明な樹脂ウインドウパネル21が接着剤により固定されている。本実施形態の接着剤はウレタン樹脂系接着剤である。
【0013】
本実施形態の樹脂ウインドウパネル21は、ポリカーボネードにより形成された十分な弾性を有する樹脂板であり、所定の衝撃力を受けたときには破断せず弾性変形する性質を有する。樹脂ウインドウパネル21は、アウタパネル12に固定された状態で上側に位置する上縁部22と、下側に位置する下縁部23と、前側に位置する前縁部24と、後側に位置する後縁部25とを備える。上縁部22、下縁部23、前縁部24および後縁部25は、樹脂ウインドウパネル21の外周縁を形成する。上縁部22、下縁部23、前縁部24および後縁部25は直線状に形成されている。上縁部22と下縁部23は互いにほぼ平行である。前縁部24と後縁部25は、互いにほぼ平行であるが、下縁部23の後端と後縁部25と下端とは曲線状に接続されている。従って、樹脂ウインドウパネル21は略矩形である。
【0014】
図2に示すように、樹脂ウインドウパネル21は、車室側の面となる内側面26と車外に面する外側面27を有する。内側面26には、外周縁に沿って一体形成されている黒色材料により不透明部28が形成されている。不透明部28は不透明であり、不透明部28にはアウタパネル12に固定するための接着剤が塗布される。接着剤が不透明部28に形成されることにより、樹脂ウインドウパネル21の内側面26には、外周縁に沿って接着部30が形成される。
【0015】
樹脂ウインドウパネル21のアウタパネル12への固定について詳しく説明すると、図2に示すように、樹脂ウインドウパネル21の内側面26に形成された接着部30がアウタパネル12に固定されている。アウタパネル12の上縁部は、車室において延在するインナパネル14の上縁部と連結されている。アウタパネル12の上縁部とインナパネル14の上縁部とが連結される連結部15が形成されており、連結部15の上方には開口部13が形成されている。連結部15の上方には、車室において延在する内装材16の外側の縁部が位置する。樹脂ウインドウパネル21における接着部30の下縁部23に対応する部位が連結部15におけるアウタパネル12の上縁部付近と接着されている。樹脂ウインドウパネル21における接着部30の上縁部22、前縁部24および後縁部25に対応する部位については、アウタパネル12における下縁部23と対応する部位と同様に、アウタパネル12における対応する部位と接着されている。
【0016】
ところで、本実施形態のクォータウインドウ20では、図3に示すように、樹脂ウインドウパネル21の内側面26における接着部30において上縁部22に対応する部位は上側接着部31である。接着部30において下縁部23に対応する部位は下側接着部32である。また、樹脂ウインドウパネル21の内側面26における接着部30において、前縁部24に対応する部位は前側接着部33であり、接着部30において後縁部25に対応する部位は後側接着部34である。上側接着部31は上縁部22に沿って連続して直線状に形成されている。下側接着部32は下縁部23に沿って連続して直線状に形成されている。前側接着部33は前縁部24に沿って連続して直線状に形成されている。後側接着部34は後縁部25に沿って連続して直線状に形成されている。
【0017】
上側接着部31および下側接着部32は、互いに対向し、略同一方向に延在する一対の第1接着部に相当する。前側接着部33および後側接着部34は、互いに対向し、上側接着部31および下側接着部32の延在方向と交差する方向に延在する一対の第2接着部に相当する。ここで言う、「略同一方向」とは、上側接着部31および下側接着部32(あるいは前側接着部33および後側接着部34)が互いに平行である場合と平行に近い角度(角度0〜30°)を成す場合とを含む。また、「延在方向と交差する」とは、一対の第1接着部の延在方向に対して一対の第2接着部が交差する角度が60〜90°の範囲にて交差することを指す。また、延在方向は必ずしも直線的ではなく直線に近似する曲線的な方向も含まれる。
【0018】
本実施形態では、上側接着部31は、上縁部22に沿う延在方向の長さ(上側接着部長さL1)と、延在方向と直交する方向の幅(上側接着部幅W1)を有する。下側接着部32は、下縁部23に沿う延在方向の長さ(下側接着部長さL2)と、延在方向と直交する方向の幅(下側接着部幅W2)を有する。上側接着部幅W1および下側接着部幅W2は、第1接着部幅に相当し、互いに同じ寸法に設定されている。前側接着部33は、前縁部24に沿う延在方向の長さ(前側接着部長さL3)と、延在方向と直交する方向の幅(前側接着部幅W3)を有する。後側接着部35は、後縁部25に沿う延在方向の長さ(後側接着部長さL4)と、延在方向と直交する方向の幅(後側接着部幅W4)を有する。前側接着部幅W3と後側接着部幅W4は、第2接着部幅に相当し、互いに同じ寸法に設定されている。上側接着部幅W1および下側接着部幅W2は、前側接着部幅W3および後側接着部幅W4の1/2よりも小さく(狭く)設定されている。従って、上側接着部31および下側接着部32のアウタパネル12に対する接着力は、前側接着部33および後側接着部34のアウタパネル12に対する接着力よりも小さい(弱い)。
【0019】
上側接着部幅W1および下側接着部幅W2を、前側接着部幅W3および後側接着部幅W4よりも小さく(狭く)設定する理由は、樹脂ウインドウパネル21が予め設定された衝撃力を受けたとき、樹脂ウインドウパネル21を十分に弾性変形させ易くするためである。上側接着部幅W1および下側接着部幅W2を前側接着部幅W3および後側接着部幅W4よりも小さく(狭く)設定することにより、樹脂ウインドウパネル21が予め設定された衝撃力を受けたとき、前側接着部33および後側接着部34はアウタパネル12との固定状態を維持し、上側接着部31および下側接着部32はアウタパネル12から離脱する。前側接着部33および後側接着部34はアウタパネル12との固定状態を維持し、上側接着部31および下側接着部32はアウタパネル12から離脱した状態では、樹脂ウインドウパネル21は十分に弾性変形し易くなる。
【0020】
「予め設定された衝撃力」とは、樹脂ウインドウパネル21が衝撃を受けても、前側接着部33および後側接着部34とアウタパネル12との接着が維持されるとともに、上側接着部31および下側接着部32とアウタパネル12との接着が解除される所定範囲の衝撃力を指す。従って、各接着部31〜34とアウタパネル12との接着をそれぞれ維持させたり、各接着部31〜34をアウタパネル12からそれぞれ解除させたりする衝撃力は、「予め設定された衝撃力」に含まれない。因みに、樹脂ウインドウパネル21の弾性率や破断強度、各接着部31〜34の幅を適切に設定することにより、樹脂ウインドウパネル21が吸収する衝撃エネルギーが規定され、想定する衝撃力を予め設定することができる。
【0021】
樹脂ウインドウパネル21における上側接着部31、下側接着部32、前側接着部33および後側接着部34を含む接着部30は、図示されない接着剤塗布装置を用いた接着剤の塗布により形成される。具体的には、接着部30は、接着剤塗布装置が備えるノズルから吐出される接着剤を不透明部28に塗布し、アウタパネル12に樹脂ウインドウパネル21を接着することにより形成される。上側接着部31および下側接着部32の接着剤を塗布するときには、上側接着部幅W1および下側接着部幅W2に対応する口径の小さなノズルを用いる。そして、前側接着部33および後側接着部34の接着剤を塗布するときには、前側接着部幅W3および後側接着部長さL4の幅に対応する口径の大きなノズルを用いる。
【0022】
接着剤の塗布の手順としては、例えば、最初に前側接着部33および後側接着部34の接着剤を塗布し、その後に、上側接着部31および下側接着部32の接着剤を塗布してもよく、逆の順序により接着剤を塗布してもよい。あるいは、上側接着部31、前側接着部33、下側接着部32、後側接着部34の順に外周縁を一周するようにして接着剤を外周縁に沿って塗布してもよい。
【0023】
次に、クォータウインドウ20が衝撃力を受けるときの作用を説明する。ここでは、図4に示すように、樹脂ウインドウパネル21の内側面26の中心付近に対して車室側から車外へ向かう方向(樹脂ウインドウパネル21の厚さ方向)の衝撃力Fが作用した場合について説明する。なお、図4では、説明の便宜上、樹脂ウインドウパネル21以外の構成を図示せず省略している。衝撃力Fは予め設定された衝撃力であり、車室内に存在する衝撃体(乗員あるいは搭載物)が樹脂ウインドウパネル21に衝突することにより衝撃力Fが生じる。樹脂ウインドウパネル21が衝撃力Fを受けると、前側接着部33および後側接着部34とアウタパネル12との接着は維持されるものの、上側接着部31および下側接着部32とアウタパネル12との接着は解除される。つまり、十分な接着力を有する前側接着部33および後側接着部34はアウタパネル12との固定状態を維持したままである。一方、上側接着部31および下側接着部32の接着力は前側接着部33および後側接着部34の接着力より小さい(弱い)ため、上側接着部31および下側接着部32はアウタパネル12から離脱する。
【0024】
衝撃力Fを受けた樹脂ウインドウパネル21は、衝撃力Fに応じて湾曲したり延伸したりすることにより弾性変形する。このとき、上側接着部31および下側接着部32がアウタパネル12から分離されているため、樹脂ウインドウパネル21における前側接着部33と後側接着部34の間は、湾曲するように弾性変形して大きく外側へ変位する。つまり、樹脂ウインドウパネル21は、上側接着部31および下側接着部32の延在方向の中心部が最もアウタパネル12から離れるように樹脂ウインドウパネル21の厚さ方向に弾性変形する。衝撃エネルギーは樹脂ウインドウパネル21の弾性変形の量に応じて弾性エネルギーとして樹脂ウインドウパネル21に吸収される。従って、樹脂ウインドウパネル21が衝撃を受けたとき、樹脂ウインドウパネル21は、アウタパネル12から脱落されることなく、しかも、十分に弾性変形され、衝撃エネルギーが効率的に吸収される。衝撃力Fが開放されると、樹脂ウインドウパネル21は衝撃エネルギーを吸収して得た弾性エネルギーにより弾性変形前の形状に復元する。
【0025】
本実施形態のクォータウインドウ20によれば以下の作用効果を奏する。
(1)樹脂ウインドウパネル21に予め設定された衝撃力が加えられると、前側接着部33および後側接着部34はアウタパネル12に固定された状態を維持するとともに、上側接着部31および下側接着部32がアウタパネル12から離脱する。樹脂ウインドウパネル21は、上側接着部31および下側接着部32がアウタパネル12に拘束されないため、前側接着部33と後側接着部34との間の部位が衝撃力に応じて樹脂ウインドウパネル21の厚さ方向に大きく弾性変形する。これにより、衝撃エネルギーは樹脂ウインドウパネル21の弾性変形の量に応じた弾性エネルギーとして吸収される。樹脂ウインドウパネル21への衝撃発生時に樹脂ウインドウパネル21の弾性変形を効果的に利用して衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、衝撃による樹脂ウインドウパネル21のアウタパネル12からの脱落を防止することができる。
【0026】
(2)上側接着部幅W1および下側接着部幅W2は、前側接着部幅W3および後側接着部幅W4の1/2よりも小さく(狭く)設定されている。従って、上側接着部31および下側接着部32のアウタパネル12に対する接着力を、前側接着部33および後側接着部34のアウタパネル12に対する接着力よりも小さく(弱く)設定することができる。
【0027】
(3)樹脂ウインドウパネル21への衝撃発生時に樹脂ウインドウパネル21の弾性変形を効果的に利用して衝撃エネルギーを吸収することができる。このため、衝撃体(乗員や搭載物)が車室側から車外へ向かう衝撃力Fを樹脂ウインドウパネル21に作用させる場合、衝撃体への衝撃を軽減することができる。また、衝撃による樹脂ウインドウパネル21のアウタパネル12からの脱落が防止される。このため、衝撃体が車室側から車外へ向かう衝撃力Fを樹脂ウインドウパネル21に作用させる場合、衝撃体の車外放出を防止することができる。
【0028】
(4)本実施形態のクォータウインドウ20は、衝撃吸収可能なエアバッグを設けたクォータウインドウと比較すると、エアバッグやエアバッグを作動させる手段を設けるスペースを必要としない。このため、エアバッグの設置スペースによる設計上の制約を受けることがないほか、製作コストを大幅に低減することができる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る車両用固定窓としてのクォータウインドウについて説明する。本実施形態のクォータウインドウは、第1接着部において複数本の接着剤が第1接着部の幅方向に並列に形成される点で第1の実施形態と異なる。従って、本実施形態では、第1接着部以外の構成については第1の実施形態と同一であるため、第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0030】
図5に示すように、樹脂ウインドウパネル21の接着部40は、上側接着部41、下側接着部42、前側接着部43および後側接着部44を有する。接着部40は、接着剤塗布装置に設けたノズルから吐出される接着剤を不透明部28に塗布し、アウタパネル12に樹脂ウインドウパネル21を接着することにより形成される。本実施形態では、先の実施形態と同様に、接着剤塗布装置を用いて接着剤を樹脂ウインドウパネル21に塗布するが、接着剤を吐出するノズルの口径は変更しない。本実施形態では、先の実施形態にて、上側接着部31および下側接着部32の接着剤を塗布するために用いた口径の小さなノズルのみを使用する。
【0031】
上側接着部41および下側接着部42は、先の実施形態と同様に、接着剤を塗布することにより形成される。ノズルの口径は、上側接着部41および下側接着部42の幅に対応する口径であるため、上側接着部41および下側接着部42の接着剤はそれぞれ1本である。一方、前側接着部43および後側接着部44の接着剤は2本であり、2本の接着剤は、前側接着部43および後側接着部44の延在方向と直交する幅方向に並列する。本実施形態では、2本の接着剤の間には間隙を設けているが、間隙を設けずに2本の接着剤を互いに隣接してもよい。そして、アウタパネル12に樹脂ウインドウパネル21を接着することにより上側接着部41、下側接着部42、前側接着部43および後側接着部44を含む接着部40が形成される。
【0032】
本実施形態では、上側接着部41の延在方向と直交する上側接着部幅W1と下側接着部42の延在方向と直交する下側接着部幅W2とは同じ寸法に設定されている。前側接着部43の延在方向と直交する前側接着部幅W3と、後側接着部44の延在方向と直交する後側接着部幅W4とは同じ寸法に設定されている。1本の接着剤により形成される上側接着部幅W1および下側接着部幅W2は、2本の接着剤により形成される前側接着部幅W3および後側接着部幅W4の1/2よりも小さく(狭く)設定されている。従って、上側接着部41および下側接着部42のアウタパネル12に対する接着力は、前側接着部43および後側接着部44のアウタパネル12に対する接着力よりも小さい(弱い)。
【0033】
本実施形態によれば、先の実施形態と同等の作用効果を奏する。
また、本実施形態では、樹脂ウインドウパネル21の接着部40を形成するとき、単一のノズルを用いることにより接着剤を塗布することができる。このため、樹脂ウインドウパネル21に接着剤を塗布する工程において、接着剤を塗布する複数種のノズルを用意したり、接着剤を塗布するノズルの交換を行ったりする必要がない。
【0034】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0035】
○ 上記の実施形態では、自動車のクォータウインドウに本発明を適用した例であったが、本発明の車両用固定窓はクォータウインドウに限定されない。本発明の車両用固定窓は、例えば、バックドアに設けられる固定式のバックウインドウにも適用することができる。
○ 上記の実施形態では、略矩形の樹脂ウインドウパネルを用いたが、樹脂ウインドウパネルの形状は特に限定されない。樹脂ウインドウパネルの形状は、接着剤により形成される接着部が、互いに対向し、略同一方向に延在する一対の第1接着部と、互いに対向し、第1接着部の延在方向と交差する方向に延在する一対の第2接着部と、を備えれば自由である。そして、樹脂ウインドウパネルに予め設定された衝撃力が加えられたとき、第1接着部がパネルとの固定状態を維持するとともに、第2接着部がパネルから離脱するように、第2接着部の接着力が、第1接着部の接着力より小さく設定されていればよい。
○ 上記の実施形態では、第2接着部としての上側接着部幅および下側接着部幅が、第1接着部としての前側接着部幅および後側接着部幅の約1/2に設定されたが、この限りではない。樹脂ウインドウパネルに予め設定された衝撃力が加えられたとき、第1接着部がパネルとの固定状態を維持するとともに、第2接着部がパネルから離脱するように、第2接着部幅が、第1接着部幅より小さく設定されていればよい。例えば、第2接着部幅が、第1接着部幅の1/3や2/3であってもよい。
○ 上記の実施形態では、一対の第1接着部の第1接着部幅を互いに同じ幅に設定したが、この限りではない。一対の第1接着部の第1接着部幅は、第2接着部の接着力より大きく、樹脂ウインドウパネルに予め設定された衝撃力が加えられたとき、第1接着部がパネルとの固定状態を維持される条件を満たす範囲では、互いに異なる幅に設定してもよい。また、同様に、一対の第2接着部の第2接着部幅は、第1接着部の接着力より小さく、樹脂ウインドウパネルに予め設定された衝撃力が加えられたとき、第2接着部がパネルから離脱される条件を満たす範囲では、互いに異なる幅に設定してもよい。
○ 上記の実施形態では、接着剤としてウレタン樹脂系接着剤を用いたが、接着剤は樹脂ウインドウパネルとパネルとの接着に適した接着剤であれば、特に限定されない。接着剤としては、例えば、ブチルゴム系粘着剤やエポキシ樹脂系接着剤を用いてもよい。
○ 上記の実施形態では、上側接着部および下側接着部のアウタパネルに対する接着力を、前側接着部および後側接着部のアウタパネルに対する接着力よりも小さく(弱く)したが、このかぎりではない。例えば、前側接着部および後側接着部のアウタパネルに対する接着力を、上側接着部および下側接着部のアウタパネルに対する接着力よりも小さく(弱く)してもよい。この場合、上側接着部および下側接着部は、一対の第1接着部に相当し、前側接着部および後側接着部は、一対の第2接着部に相当する。
○ 上記の実施形態では、一対の第1接着部および一対の第2接着部は連続して直線状に形成されたが、この限りではなく、一対の第1接着部および一対の第2接着部は、例えば、不連続な破線状に形成されてもよい。
○ 第2の実施形態では、上側接着部および下側接着部の接着剤を1本とし、前側接着部および後側接着部の接着剤を2本としたがこの限りではない。例えば、上側接着部および下側接着部の接着剤を2本とし、前側接着部および後側接着部の接着剤を4本としてもよく、第2接着部の接着力が、第1接着部の接着力より小さく設定されていれば、接着剤の本数は限定されない。
【符号の説明】
【0036】
10 車両
11 ボディ
12 アウタパネル
13 開口部
20 クォータウインドウ
21 樹脂ウインドウパネル
22 上縁部
23 下縁部
24 前縁部
25 後縁部
28 不透明部
30、40 接着部
31、41 上側接着部
32、42 下側接着部
33、43 前側接着部
34、44 後側接着部
40 接着部
W1 上側接着部幅
W2 下側接着部幅
W3 前側接着部幅
W4 後側接着部幅
図1
図2
図3
図4
図5