特許第6252484号(P6252484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6252484光電変換素子および固体撮像装置ならびに電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252484
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】光電変換素子および固体撮像装置ならびに電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/42 20060101AFI20171218BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H01L31/08 T
   H01L27/146 E
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-545606(P2014-545606)
(86)(22)【出願日】2013年9月25日
(86)【国際出願番号】JP2013075812
(87)【国際公開番号】WO2014073278
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-244506(P2012-244506)
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇高 融
(72)【発明者】
【氏名】榎 修
(72)【発明者】
【氏名】村田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】森本 類
(72)【発明者】
【氏名】新井 龍志
【審査官】 嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−187918(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/138414(WO,A1)
【文献】 特開2012−169676(JP,A)
【文献】 特開2004−335610(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/021177(WO,A1)
【文献】 特開2010−161269(JP,A)
【文献】 特開2012−019235(JP,A)
【文献】 特開昭61−184812(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/067824(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42
H01L 31/10
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機光電変換膜と、
前記有機光電変換膜を挟んで設けられた第1電極および第2電極と、
前記第2電極と前記有機光電変換膜との間に設けられた電荷ブロック層とを備え、
前記電荷ブロック層は、
前記有機光電変換膜の前記第2電極側の仕事関数を調整するための金属元素を含む仕事関数調整層と、
前記仕事関数調整層と前記第2電極との間に設けられ、前記金属元素の前記第2電極側への拡散を抑制する第1の拡散抑制層と
を有する光電変換素子。
【請求項2】
前記第1の拡散抑制層は、酸素元素(O)を含まない無酸素有機分子から構成されている
請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記無酸素有機分子は、フェナントロリン誘導体,ルブレン誘導体,アントラセン誘導体,トリアジン誘導体,ペリレン誘導体およびテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体のうちの少なくとも1種である
請求項2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記電荷ブロック層は、更に、前記仕事関数調整層の前記有機光電変換膜側に、酸素元素(O)を含まない無酸素有機分子から構成された第2の拡散抑制層を有する
請求項2に記載の光電変換素子。
【請求項5】
前記無酸素有機分子は、フェナントロリン誘導体,ルブレン誘導体,アントラセン誘導体,トリアジン誘導体,ペリレン誘導体およびテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体のうちの少なくとも1種である
請求項4に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記電荷ブロック層は、更に、前記仕事関数調整層と前記第1の拡散抑制層との間に、酸素元素(O)を含む酸素含有有機分子から構成された第3の拡散抑制層を有する
請求項2に記載の光電変換素子。
【請求項7】
前記無酸素有機分子は、フェナントロリン誘導体,ルブレン誘導体,アントラセン誘導体,トリアジン誘導体,ペリレン誘導体およびテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体のうちの少なくとも1種である
請求項6に記載の光電変換素子。
【請求項8】
前記第1電極は光透過性を有する導電膜である
請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項9】
前記第1電極は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化錫(TO)、ドーパントが添加された酸化スズ(SnO2)系材料、およびドーパントが添加された酸化亜鉛系材料のうちのいずれか1種から構成されている
請求項8に記載の光電変換素子。
【請求項10】
前記第2電極は、アルミニウム(Al),銅(Cu),ニッケル(Ni),クロム(Cr),バナジウム(V),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),ルテニウム(Ru),パラジウム(Pd),ハフニウム(Hf),タンタル(Ta),タングステン(W),白金(Pt)および金(Au)のうちの少なくとも1種を含む
請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項11】
前記第2電極は、光透過性を有すると共に前記第1電極と仕事関数の異なる導電膜である
請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項12】
前記第2電極は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化錫(TO)、ドーパントが添加された酸化スズ(SnO2)系材料、およびドーパントが添加された酸化亜鉛系材料のうちのいずれか1種から構成されている
請求項11に記載の光電変換素子。
【請求項13】
前記金属元素は、リチウム(Li),ベリリウム(Be),ナトリウム(Na),マグネシウム(Mg),カリウム(K),カルシウム(Ca),ルビジウム(Rb),ストロンチウム(Sr),セシウム(Cs)またはバリウム(Ba)である
請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項14】
各々が光電変換素子を含む複数の画素を有し、
前記光電変換素子は、
有機光電変換膜と、
前記有機光電変換膜を挟んで設けられた第1電極および第2電極と、
前記第2電極と前記有機光電変換膜との間に設けられた電荷ブロック層とを備え、
前記電荷ブロック層は、
前記有機光電変換膜の前記第2電極側の仕事関数を調整するための金属元素を含む仕事関数調整層と、
前記仕事関数調整層と前記第2電極との間に設けられ、前記金属元素の前記第2電極側への拡散を抑制する第1の拡散抑制層と
を有する
固体撮像装置。
【請求項15】
各々が光電変換素子を含む複数の画素を有し、
前記光電変換素子は、
有機光電変換膜と、
前記有機光電変換膜を挟んで設けられた第1電極および第2電極と、
前記第2電極と前記有機光電変換膜との間に設けられた電荷ブロック層とを備え、
前記電荷ブロック層は、
前記有機光電変換膜の前記第2電極側の仕事関数を調整するための金属元素を含む仕事関数調整層と、
前記仕事関数調整層と前記第2電極との間に設けられ、前記金属元素の前記第2電極側への拡散を抑制する第1の拡散抑制層と
を有する
固体撮像装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機光電変換材料を用いた光電変換素子、およびそのような光電変換素子を画素として含む固体撮像装置ならびに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像装置では、各画素に、有機半導体からなる有機光電変換膜を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この固体撮像装置では、各画素において、上記有機光電変換膜を信号取り出しのための一対の電極間に挟み込んだ構造を有する。このような構成において、電極と有機光電変換膜との間の仕事関数差を調整するために、有機材料を用いた電荷ブロック層(電荷ブロッキング層)を設ける手法が提案されている(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−187918号公報
【特許文献2】特開2012−19235号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2とは別の手法により、素子特性を安定化させ、信頼性を向上させることが可能な光電変換素子の実現が望まれている。
【0006】
したがって、素子特性を安定化させ、信頼性を向上させることが可能な光電変換素子および固体撮像装置ならびに電子機器を提供することが望ましい。
【0007】
本開示の一実施の形態の光電変換素子は、有機光電変換膜と、有機光電変換膜を挟んで設けられた第1電極および第2電極と、第2電極と有機光電変換膜との間に設けられた電荷ブロック層とを備え、電荷ブロック層は、有機光電変換膜の第2電極側の仕事関数を調整するための金属元素を含む仕事関数調整層と、仕事関数調整層と第2電極との間に設けられ、金属元素の第2電極側への拡散を抑制する第1の拡散抑制層とを有するものである。
【0008】
本開示の一実施の形態の固体撮像装置は、各々が上記本開示の一実施の形態の光電変換素子を含む複数の画素を有するものである。
【0009】
本開示の一実施の形態の電子機器は、上記本開示の一実施の形態の固体撮像装置を有するものである。
【0010】
本開示の一実施の形態の光電変換素子および固体撮像装置ならびに電子機器では、有機光電変換膜を挟む第1電極および第2電極のうち、第2電極と有機光電変換膜との間に電荷ブロック層を備える。この電荷ブロック層が、有機光電変換膜の第2電極側の仕事関数を調整するための金属元素を含む仕事関数調整層を有することにより、第2電極から有機光電変換膜への電荷移動が抑制され、効率的な信号取り出しが可能となる。このような仕事関数調整層と第2電極との間に、第1の拡散抑制層を有することにより、金属元素の第2電極側への拡散が抑制され、上記仕事関数調整層の機能が安定して維持される。
【0011】
本開示の一実施の形態の光電変換素子および固体撮像装置ならびに電子機器では、有機光電変換膜を挟む第1電極および第2電極のうち、第2電極と有機光電変換膜との間に電荷ブロック層を備え、電荷ブロック層が、所定の金属元素を含む仕事関数調整層を有することにより、効率的な信号取り出しが可能となる。一方、この仕事関数調整層と第2電極との間に、第1の拡散抑制層を有することにより、金属元素の第2電極側への拡散を抑制して、上記仕事関数調整層の機能を安定して維持することができる。よって、素子特性を安定化させ、信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施の形態に係る光電変換素子(画素)の概略構成を表す模式図である。
図2】比較例1に係る光電変換素子(画素)の構成を表す模式図である。
図3図2に示した光電変換素子のエネルギーバンド構造を表す模式図である。
図4】比較例2に係る光電変換素子(画素)の構成を表す模式図である。
図5図4に示した光電変換素子のエネルギーバンド構造を表す模式図である。
図6図4に示した光電変換素子の作用を説明するための模式図である。
図7図4に示した光電変換素子の作用を説明するための模式図である。
図8】比較例1,2の各素子において発生する暗電流を説明するための特性図である。
図9】比較例1,2の各素子における電極の成膜時間と仕事関数との関係を表す特性図である。
図10A】キナクリドンを用いた試料の構成を表す模式図である。
図10B】バソクプロインを用いた試料の構成を表す模式図である。
図11A図10Aに示した試料の成膜時間(深さ)と元素の存在比率である。
図11B図10Bに示した試料の成膜時間(深さ)と元素の存在比率である。
図12A図10Aに示した試料の大気中放置後のアルミニウム表面の写真である。
図12B図10Bに示した試料の大気中放置後のアルミニウム表面の写真である。
図13図1に示した光電変換素子の作用を説明するための模式図である。
図14図1に示した光電変換素子の作用を説明するための模式図である。
図15】比較例3に係る光電変換素子(画素)の構成を表す模式図である。
図16図15に示した光電変換素子のエネルギーバンド構造を表す模式図である。
図17図15に示した光電変換素子の作用を説明するための模式図である。
図18図15に示した光電変換素子の作用を説明するための模式図である。
図19】変形例1に係る光電変換素子(画素)の概略構成を表す模式図である。
図20図19に示した光電変換素子のエネルギーバンド構造を表す模式図である。
図21】変形例2に係る光電変換素子(画素)の概略構成を表す模式図である。
図22図21に示した光電変換素子のエネルギーバンド構造を表す模式図である。
図23】固体撮像装置の機能ブロック図である。
図24】適用例に係る電子機器の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示における実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明する順序は、下記の通りである。

1.実施の形態(有機光電変換膜と第2電極との間に、電荷ブロック層(仕事関数調整層および拡散抑制層)を有する光電変換素子の例)
2.変形例1(電荷ブロック層の他の例)
3.変形例2(電荷ブロック層の他の例)
4.固体撮像装置の全体構成例
5.適用例(電子機器(カメラ)の例)
【0014】
<実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る光電変換素子(光電変換素子10)の構成を表すものである。光電変換素子10は、本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置の画素として用いられるものである。固体撮像装置は、詳細は後述するが、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどである。光電変換素子10は、例えば画素トランジスタや配線を有する基板(図示せず)上に設けられ、図示しない封止膜および平坦化膜等によって被覆されている。また、平坦化膜上には例えば図示しないオンチップレンズが配設される。
【0015】
光電変換素子10は、有機半導体を用いて、選択的な波長の光(例えば、R,G,Bのいずれかの色光)を吸収して、電子・ホール対を発生させる有機光電変換素子である。後述の固体撮像装置では、それらのR,G,Bの各色の光電変換素子10(画素)が、2次元的に並列配置されている。あるいは、1つの画素内に、有機半導体よりなる光電変換層と、無機半導体よりなる光電変換層とが縦方向に積層された構成であってもよい。本実施の形態では、そのような光電変換素子の要部構成として、図1を参照して説明を行う。
【0016】
この光電変換素子10は、第1電極11と第2電極16との間に、有機光電変換膜12を有するものである。第1電極11および第2電極16は、有機光電変換膜12において発生した信号電荷(正孔(ホール)あるいは電子)を取り出すためのものである。
【0017】
第1電極11は、例えばITO(インジウム錫酸化物)等の光透過性を有する透明導電膜から構成されている。透明導電膜としては、この他にも、酸化錫(TO)、ドーパントを添加した酸化スズ(SnO2)系材料、あるいは酸化亜鉛(ZnO)にドーパントを添加してなる酸化亜鉛系材料が用いられてもよい。酸化亜鉛系材料としては、例えば、ドーパントとしてアルミニウム(Al)を添加したアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム(Ga)添加のガリウム亜鉛酸化物(GZO)、インジウム(In)添加のインジウム亜鉛酸化物(IZO)が挙げられる。また、この他にも、CuI、InSbO4、ZnMgO、CuInO2、MgIN24、CdO、ZnSnO3等が用いられてもよい。後述の作用説明および実施例では、この第1電極11がITO(仕事関数:約4.7eV)からなる場合を想定しているが、第1電極11としては、ITO以外にも、上記のような様々な透明導電膜が用いられる。
【0018】
第2電極16は、例えばアルミニウム(Al),銅(Cu),ニッケル(Ni),クロム(Cr),バナジウム(V),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),ルテニウム(Ru),パラジウム(Pd),ハフニウム(Hf),タンタル(Ta),タングステン(W),白金(Pt)および金(Au)などの金属元素の単体または合金により構成されている。あるいは、この第2電極16も、光透過性を有していてもよい。この場合、第2電極16の構成材料としては、上記第1電極11の構成材料として挙げた透明導電膜と同等のものが挙げられ、第2電極16には、これらの透明導電膜のうち、上記第1電極11とは仕事関数が異なるものが用いられる。後述の作用説明および実施例では、この第2電極16がアルミニウム(仕事関数:約4.3eV)からなる場合を想定しているが、第2電極16としては、アルミニウム以外にも、上記のような様々な電極材料が用いられる。但し、第2電極16は、負極として機能する場合には、第1電極11よりも浅い仕事関数を有し、正極として機能する場合には、第1電極11よりも深い仕事関数を有していることが望ましい。
【0019】
尚、光電変換素子10では、例えば第1電極11側から光が入射し、この入射光のうちの所定の波長の光が、有機光電変換膜12において吸収される。また、第1電極11から信号電荷の取り出しがなされる場合には、光電変換素子10を画素として用いた後述の固体撮像装置では、第1電極11が画素毎に分離されて配設される一方、第2電極16は、各画素に共通の電極として設けられる。あるいは、第2電極16から信号電荷の取り出しがなされる場合には、第2電極16が画素毎に分離して配設され、第1電極11が各画素に共通の電極として設けられる。
【0020】
有機光電変換膜12は、選択的な波長域の光を吸収して電気信号を発生する有機半導体により構成されている。このような有機半導体としては、様々な有機顔料が挙げられるが、例えばキナクリドン誘導体(キナクリドン,ジメチルキナクリドン,ジエチルキナクリドン,ジブチルキナクリドン、ジクロロキナクリドン等のジハロゲンキナクリドンを含むキナクリドン類)、フタロシアニン誘導体(フタロシアニン,SubPC,CuPC,ZnPC,H2PC,PbPC)が挙げられる。また、この他にも、オキサジアゾール誘導体(NDO,PBD)、スチルベン誘導体(TPB)、ペリレン誘導体(PTCDA,PTCDI,PTCBI,Bipyrene)、テトラシアノキノジメタン誘導体(TCNQ,F4−TCNQ)、およびフェナントロリン誘導体(Bphen,Anthracene,Rubrene,Bianthrone)が挙げられる。但し、この他にも、例えばナフタレン誘導体、ピレン誘導体、およびフルオランテン誘導体が用いられていてもよい。あるいは、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、ジアセチレン等の重合体やその誘導体が用いられていてもよい。加えて、金属錯体色素、ローダーミン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フェニルキサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、ロダシアニン系色素、キサンテン系色素、大環状アザアヌレン系色素、アズレン系色素、ナフトキノン、アントラキノン系色素、アントラセンおよびピレン等の縮合多環芳香族および芳香環ないし複素環化合物が縮合した鎖状化合物、または、スクアリリウム基およびクロコニツクメチン基を結合鎖として持つキノリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール等の二つの含窒素複素環、または、スクアリリウム基およびクロコニツクメチン基により結合したシアニン系類似の色素等を好ましく用いることができる。尚、上記金属錯体色素としては、アルミニウム錯体(Alq3,Balq)、ジチオール金属錯体系色素、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素、またはルテニウム錯体色素が好ましいが、これに限定されるものではない。また、有機光電変換膜12には、上記のような顔料以外にも、フラーレン(C60)や、BCP(Bathocuproine)等の他の有機材料が積層されていてもよい。後述の作用説明および実施例では、この有機光電変換膜12がキナクリドンからなる場合を想定しているが、有機光電変換膜12としては、キナクリドン以外にも、上記のような様々な有機半導体が用いられる。尚、キナクリドンの最高被占軌道(HOMO:Highest Occupied Molecular Orbital)のエネルギー準位は約5.3eVであり、最低空軌道(LUMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)のエネルギー準位は、約3.2eVである。
【0021】
この有機光電変換膜12と第2電極16との間には、電荷ブロック層15が設けられている。電荷ブロック層15は、例えば有機光電変換膜12の側から順に、仕事関数調整層13および拡散抑制層14A(第1の拡散抑制層)を有している。この電荷ブロック層15は、少なくとも仕事関数調整層13の機能により、第2電極16から有機光電変換膜12への電荷(例えば正孔)の移動を抑制する(ブロックする)機能を有している。
【0022】
仕事関数調整層13は、有機光電変換膜12の第2電極16側の仕事関数を調整する機能を有するものである。具体的には、仕事関数調整層13は、第2電極16から有機光電変換膜12への電荷(例えば正孔)の移動(注入)が抑制されるように、第2電極16よりも浅い仕事関数(低仕事関数)を有する金属元素(無機元素)の単体、あるいはそのような金属元素を含む合金または化合物よりなる。このような金属元素としては、例えば、リチウム(Li),ベリリウム(Be),ナトリウム(Na),マグネシウム(Mg),カリウム(K),カルシウム(Ca),ルビジウム(Rb),ストロンチウム(Sr),セシウム(Cs)またはバリウム(Ba)が挙げられる。後述の作用説明および実施例では、この仕事関数調整層13が、金属元素としてリチウムを用いた、アルミニウムとリチウムの合金(「AlLi」と称する)からなる場合を想定しているが、金属元素としては、リチウム以外にも、上記のような様々な金属元素が用いられる。尚、AlLiの仕事関数は約2.8eVである。
【0023】
拡散抑制層14Aは、仕事関数調整層13と第2電極16との間に設けられ、仕事関数調整層13に含まれる金属元素(例えば、リチウム)の第2電極16側への拡散を抑制するものである。この拡散抑制層14Aは、例えば酸素元素(O)を有さない有機分子(以下、無酸素有機分子という)から構成されている。無酸素有機分子としては、例えばフェナントロリン誘導体,ルブレン誘導体,アントラセン誘導体,トリアジン誘導体,ペリレン誘導体およびテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体が挙げられる。拡散抑制層14Aは、そのような無酸素有機分子のうち少なくとも1種を含んでいる。後述の作用説明および実施例では、この拡散抑制層14Aが本開示の一実施の形態に係る無酸素有機分子として、バソクプロイン(BCP)を想定しているが拡散抑制層14Aとしては、このBCP以外にも、上記のような様々な有機分子が用いられる。尚、BCPのHOMO準位は約6.2eVであり、LUMO準位は、約2.4eVである。
【0024】
[作用,効果]
本実施の形態の光電変換素子10では、例えば固体撮像装置の画素として、次のようにして信号電荷が取得される。即ち、光電変換素子10に、例えば第1電極11の下方から光が入射すると、この入射光のうちの少なくとも一部が、有機光電変換膜12において光電変換される。具体的には、所定の色光(赤色光,緑色光または青色光)が、有機光電変換膜12において選択的に検出(吸収)されることにより、電子・ホール対を発生する。発生した電子・ホール対のうち、例えば電子が第1電極11側から取り出され、ホールは、第2電極16側から取り出される。これらの電子およびホールのうちの一方が、信号電荷として、後述の垂直信号線Lsigに読み出されることにより、撮像データが得られる。
【0025】
(比較例1)
図2は、本実施の形態の比較例(比較例1)に係る光電変換素子の構成を表したものである。この光電変換素子では、ITOからなる第1電極11上に、キナクリドン(QD)からなる有機光電変換膜12、およびアルミニウムからなる第2電極16を有するものである。図3に、比較例1に係る光電変換素子のエネルギーバンド構造を示す。この比較例1の積層構造では、図3に示したように、キナクリドンのHOMO準位(5.3eV)とアルミニウムの仕事関数(4.3eV)との間のエネルギー差が小さいことから、ホール移動により、いわゆる暗電流が発生し、効率的な信号取り出しが困難である。
【0026】
(比較例2)
図4は、本実施の形態の比較例(比較例2)に係る光電変換素子の構成を表したものである。この光電変換素子では、上記比較例1と同様、ITOからなる第1電極11と、アルミニウムからなる第2電極16との間に、キナクリドン(QD)からなる有機光電変換膜12が設けられている。但し、比較例2では、有機光電変換膜12と第2電極16との間に、AlLiからなる仕事関数調整層13を有している。図5に、比較例2に係る光電変換素子のエネルギーバンド構造を示す。このように、比較例2の積層構造では、有機光電変換膜12と第2電極16との間に、仕事関数調整層13として、第2電極16よりも低仕事関数のAlLi(仕事間数:2.8eV)を設けることにより、エネルギーバンド構造における障壁となり、有機光電変換膜12へのホール移動を抑制することが期待される。
【0027】
ところが、実際には、図6に模式的に示したように、仕事関数調整層13に含まれる金属元素(リチウム)13aが、時間経過と共に第2電極16側へ拡散し、第2電極16の表面まで浮上する現象が生じる。尚、一部の金属元素13aは、有機光電変換膜12側にも拡散する。このため、実際のエネルギーバンド構造は、図7に示したように、有機光電変換膜12の第2電極16側の仕事関数は、アルミニウム単体の仕事関数に近づき(あるいは同程度となり)、ホール移動によって暗電流が生じ易くなる。これにより、上記図5において示したような理想的なエネルギーバンド構造を構築して所望の信号取り出し効率を実現することが難しい。
【0028】
ここで、図8には、比較例1,2の素子構造における暗電流の測定結果を示す。非露光時において、有機光電変換膜12上に、第2電極16(Al)のみを設けた比較例1に比べ、更に仕事関数調整層13(AlLi)を設けた比較例2の方が、暗電流が抑制されることがわかる。また、図9には、Al膜およびAlLi膜をそれぞれ20nm成膜した場合の各膜の深さ(厚み)と仕事関数との関係について示す。尚、深さ0が各膜の最表面に相当し、この最表面から深さ方向に一定速度で削るスパッタ法により、表面の元素濃度を測定した。この結果、リチウムを含まないAl膜では、深さ方向において仕事関数に大きな変動が生じないのに対し、AlLi膜では、最表面において仕事関数が低く、深くなるに従って仕事関数が上昇していることがわかる。このAlLi膜においてリチウム濃度を測定したところ、最表面から2〜3nm程度の領域(図9中のA)においてリチウム濃度が高いが、最表面におけるリチウム濃度が30重量%であったのに対し、最表面から2nmの深さでは、リチウム濃度が3重量%となり、最表面に比べ1/10程度にまで減少した。このように、深さが大きくなるに従ってリチウム濃度の減少がみられたが、その理由の一つとしては、AlLi膜中のリチウム元素が、大気中の酸素(O2)に引き寄せられて拡散していることが挙げられる。これらの結果から、AlLi膜中のリチウム元素が、酸素に引き寄せられて拡散し、この拡散によるリチウム濃度の変化が仕事関数の変動に影響することがわかる。尚、図中のBは、アルミニウム内のカーボンの影響によるものと考えられる。
【0029】
そこで、次のような試料(試料s1,s2)を用いて、上記のリチウム偏析について解析を行った。試料s1は、図10Aに示したように、酸化シリコン基板(SiO:150nm)上に、QD膜(5nm),AlLi膜(100nm)およびAl膜(50nm)をこの順に成膜したものである。試料s2は、図10Bに示したように、試料s1におけるQD膜に代えてBCP膜(5nm)を成膜したものである。ここで、試料s1のQDは、酸素元素を含有する有機分子(以下、酸素含有有機分子)であり、例えば以下の式(1)により表される。一方、試料s2のBCPは、無酸素有機分子であり、例えば以下の式(2)により表される。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】
これらの試料s1,s2について、上述したスパッタ法およびX線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて、深さ方向における元素濃度について測定した。試料s1についての結果を図11Aに、試料s2についての結果を図11Bに、それぞれ示す。尚、図11Aおよび図11Bでは、実線がリチウム濃度、破線が酸素濃度を表す。図11A図11Bに示したように、試料s1,s2のいずれにおいても、Al膜最表面に高濃度のリチウムが検出され、Al膜中およびAlLi膜中におけるリチウム濃度は、検出限界以下となった。但し、QD膜を用いた試料s1では、Al膜最表面におけるリチウム濃度が10%となり、AlLi膜とQD膜との界面付近におけるリチウム濃度が5〜7%となった。また、この試料s1では、AlLi膜とQD膜との界面付近における酸素濃度が高くなり、QD膜中での酸素濃度が減少傾向にあることがわかった。一方、BCP膜を用いた試料s2では、Al膜最表面におけるリチウム濃度が23%であり、上記試料s1と比べて顕著に高くなることがわかった。図12Aは試料s1のAl膜最表面の写真、図12Bは、試料s2のAl膜最表面の写真である。このように、無酸素有機分子からなる試料s2では、Al膜最表面において、酸素含有有機分子からなる試料s1よりも顕著に、リチウムが斑状に浮き出ていることがわかる。
【0033】
上記結果から、リチウム元素は、大気中あるいは膜中の酸素元素に引き寄せられて拡散する傾向があることが推測される。
【0034】
そこで、本実施の形態では、以下のような構成を採用している。即ち、図1に示したように、電荷ブロック層15は、例えばリチウム等の金属元素13aを含む仕事関数調整層13を備えるが、この仕事関数調整層13と第2電極16との間に、例えばBCP等の無酸素有機分子からなる拡散抑制層14Aを更に有している。
【0035】
これにより、図13に示したように、仕事関数調整層13中の金属元素13aは第2電極16側へ拡散せず、仕事関数調整層13内、あるいは有機光電変換膜12との界面付近に留まる。従って、上記比較例2(図5)において述べたような金属元素13aによる理想的なエネルギーバンド構造を構築することができる。図14に、本実施の形態の光電変換素子10におけるエネルギーバンド構造を示す。このように、本実施の形態では、電荷ブロック層15において、例えば無酸素有機分子からなる拡散抑制層14Aを仕事関数調整層13の第2電極16側に設けることにより、仕事関数調整層13の(金属元素13aによる)機能を安定して維持することができる。加えて、この拡散抑制層14Aがエネルギーバンド構造における障壁となり、ホール注入を抑制する効果をも得ることができる。
【0036】
これにより本実施の形態では、暗電流を抑制する効果も得られる。
【0037】
以上説明したように本実施の形態では、第2電極16と有機光電変換膜12との間に、仕事関数調整層13を有する電荷ブロック層15を備える。仕事関数調整層13は、仕事関数(有機光電変換膜12の第2電極16側の仕事関数)を調整する金属元素13aを含む。これにより、第2電極16から有機光電変換膜12への電荷移動が抑制され、効率的な信号取り出しが可能となる。このような仕事関数調整層13と第2電極16との間に、拡散抑制層14Aを有することにより、金属元素13aの第2電極16側への拡散が抑制され、仕事関数調整層13の機能を安定して維持することができる。よって、素子特性を安定化させ、信頼性を向上させることが可能となる。
【0038】
(比較例3)
尚、図15に示したように、無酸素有機分子(BCP)からなる拡散抑制層14Aを、仕事関数調整層13(AlLi)の有機光電変換膜12(QD)側にのみ設けた場合には、上記本実施の形態と同様の効果を得ることは難しい。この場合、図16に示したエネルギーバンド構造が理想的ではあるが、実際には、上記比較例2の場合と同様、仕事関数調整層13に含まれる金属元素13a(リチウム)が第2電極16側へ拡散する(図17)。このため、エネルギーバンド構造においては、図18に示したように、有機光電変換膜12上に単にBCP膜とAl膜とを積層しただけの構造と略等しく、金属元素13aによる仕事関数調整層13の機能を維持することが難しい。
【0039】
次に、上記実施の形態に係る電荷ブロック層の変形例(変形例1,2)について説明する。尚、以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同様の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0040】
<変形例1>
図19は、変形例1に係る電荷ブロック層(電荷ブロック層15A)を備えた光電変換素子の構成を表したものである。上記実施の形態では、仕事関数調整層13の第2電極16側にのみ拡散抑制層14Aが設けられているが、本変形例の電荷ブロック層15Aのように、仕事関数調整層13の有機光電変換膜12側にも拡散抑制層14B(第2の拡散抑制層)が設けられていてもよい。即ち、電荷ブロック層15Aは、仕事関数調整層13が、2つの拡散抑制層14A,14Bにより挟み込まれた構造であってもよい。この拡散抑制層14Bは、上記実施の形態の拡散抑制層14Aと同様、例えば上述したような無酸素有機分子から構成されている。
【0041】
本変形例の電荷ブロック層15Aでは、拡散抑制層14A,14Bにより、金属元素13aが仕事関数調整層13内に封止され、図20に示したように、エネルギーバンド構造において、仕事関数調整層13(AlLi)の機能が安定して維持される。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0042】
<変形例2>
図21は、変形例2に係る電荷ブロック層(電荷ブロック層15B)を備えた光電変換素子の構成を表したものである。上記実施の形態では、仕事関数調整層13の第2電極16側に、無酸素有機分子からなる拡散抑制層14Aのみが設けられているが、本変形例の電荷ブロック層15Bのように、仕事関数調整層13と拡散抑制層14Aとの間にも拡散抑制層14C(第3の拡散抑制層)が設けられていてもよい。即ち、電荷ブロック層15Aは、仕事関数調整層13上に、2つの拡散抑制層14C,14Aが積層された構造であってもよい。この拡散抑制層14Cは、例えば上述したような無酸素有機分子であってもよいし、酸素含有有機分子であってもよい。
【0043】
本変形例の電荷ブロック層15Bでは、拡散抑制層14C,14Bにより、金属元素13aの第2電極16側への拡散が抑制され、図22に示したように、エネルギーバンド構造において、仕事関数調整層13(AlLi)の機能が安定して維持される。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0044】
<固体撮像装置の全体構成>
図23は、上記実施の形態において説明した光電変換素子を各画素に用いた固体撮像装置(固体撮像装置1)の機能ブロック図である。この固体撮像装置1は、CMOSイメージセンサであり、撮像エリアとしての画素部1aを有すると共に、例えば行走査部131、水平選択部133、列走査部134およびシステム制御部132からなる回路部130を有している。この画素部1aの周辺領域あるいは画素部1aと積層されて、回路部130は、画素部1aの周辺領域に設けられていてもよいし、画素部1aと積層されて(画素部1aに対向する領域に)設けられていてもよい。
【0045】
画素部1aは、例えば行列状に2次元配置された複数の単位画素P(光電変換素子10に相当)を有している。この単位画素Pには、例えば画素行ごとに画素駆動線Lread(具体的には行選択線およびリセット制御線)が配線され、画素列ごとに垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動線Lreadは、画素からの信号読み出しのための駆動信号を伝送するものである。画素駆動線Lreadの一端は、行走査部131の各行に対応した出力端に接続されている。
【0046】
行走査部131は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、画素部1aの各画素Pを、例えば行単位で駆動する画素駆動部である。行走査部131によって選択走査された画素行の各画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通して水平選択部133に供給される。水平選択部133は、垂直信号線Lsigごとに設けられたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
【0047】
列走査部134は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、水平選択部133の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動するものである。この列走査部134による選択走査により、垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素の信号が順番に水平信号線135に伝送され、当該水平信号線135を通して外部へ出力される。
【0048】
システム制御部132は、外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータなどを受け取り、また、固体撮像装置1の内部情報などのデータを出力するものである。システム制御部132はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に行走査部131、水平選択部133および列走査部134などの駆動制御を行う。
【0049】
<適用例>
上述の固体撮像装置1は、例えばデジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話など、撮像機能を備えたあらゆるタイプの電子機器に適用することができる。図24に、その一例として、電子機器2(カメラ)の概略構成を示す。この電子機器2は、例えば静止画または動画を撮影可能なビデオカメラであり、固体撮像装置1と、光学系(光学レンズ)310と、シャッタ装置311と、固体撮像装置1およびシャッタ装置311を駆動する駆動部313と、信号処理部312とを有する。
【0050】
光学系310は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置1の画素部1aへ導くものである。この光学系310は、複数の光学レンズから構成されていてもよい。シャッタ装置311は、固体撮像装置1への光照射期間および遮光期間を制御するものである。駆動部313は、固体撮像装置1の転送動作およびシャッタ装置311のシャッタ動作を制御するものである。信号処理部312は、固体撮像装置1から出力された信号に対し、各種の信号処理を行うものである。信号処理後の映像信号Doutは、メモリなどの記憶媒体に記憶されるか、あるいは、モニタ等に出力される。
【0051】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて説明したが、本開示内容は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、本開示の電荷ブロック層が、第2電極16から有機光電変換膜12へのホール移動を抑制する場合を例に挙げて説明したが、有機光電変換膜12、第2電極16および金属元素13a等の構成材料に応じて、電子移動を抑制する場合にも適用可能である。
【0052】
また、本開示の光電変換素子では、上記実施の形態等で説明した各構成要素を全て備えている必要はなく、また逆に他の層を備えていてもよい。
【0053】
尚、本開示は、以下のような構成であってもよい。
(1)
有機光電変換膜と、
前記有機光電変換膜を挟んで設けられた第1電極および第2電極と、
前記第2電極と前記有機光電変換膜との間に設けられた電荷ブロック層とを備え、
前記電荷ブロック層は、
前記有機光電変換膜の前記第2電極側の仕事関数を調整するための金属元素を含む仕事関数調整層と、
前記仕事関数調整層と前記第2電極との間に設けられ、前記金属元素の前記第2電極側への拡散を抑制する第1の拡散抑制層と
を有する光電変換素子。
(2)
前記第1の拡散抑制層は、酸素元素(O)を含まない無酸素有機分子から構成されている
上記(1)に記載の光電変換素子。
(3)
前記無酸素有機分子は、フェナントロリン誘導体,ルブレン誘導体,アントラセン誘導体,トリアジン誘導体,ペリレン誘導体およびテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体のうちの少なくとも1種である
上記(2)に記載の光電変換素子。
(4)
前記電荷ブロック層は、更に、前記仕事関数調整層の前記有機光電変換膜側に、酸素元素(O)を含まない無酸素有機分子から構成された第2の拡散抑制層を有する
上記(2)または(3)に記載の光電変換素子。
(5)
前記電荷ブロック層は、更に、前記仕事関数調整層と前記第1の拡散抑制層との間に、酸素元素(O)を含む酸素含有有機分子から構成された第3の拡散抑制層を有する
上記(2)または(3)に記載の光電変換素子。
(6)
前記第1電極は光透過性を有する導電膜である
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光電変換素子。
(7)
前記第2電極は、アルミニウム(Al),銅(Cu),ニッケル(Ni),クロム(Cr),バナジウム(V),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),ルテニウム(Ru),パラジウム(Pd),ハフニウム(Hf),タンタル(Ta),タングステン(W),白金(Pt)および金(Au)のうちの少なくとも1種を含む
上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素子。
(8)
前記第2電極は、光透過性を有すると共に前記第1電極と仕事関数の異なる導電膜である
上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素子。
(9)
前記金属元素は、リチウム(Li),ベリリウム(Be),ナトリウム(Na),マグネシウム(Mg),カリウム(K),カルシウム(Ca),ルビジウム(Rb),ストロンチウム(Sr),セシウム(Cs)またはバリウム(Ba)である
上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光電変換素子。
(10)
各々が光電変換素子を含む複数の画素を有し、
前記光電変換素子は、
有機光電変換膜と、
前記有機光電変換膜を挟んで設けられた第1電極および第2電極と、
前記第2電極と前記有機光電変換膜との間に設けられた電荷ブロック層とを備え、
前記電荷ブロック層は、
前記有機光電変換膜の前記第2電極側の仕事関数を調整するための金属元素を含む仕事関数調整層と、
前記仕事関数調整層と前記第2電極との間に設けられ、前記金属元素の前記第2電極側への拡散を抑制する第1の拡散抑制層と
を有する
固体撮像装置。
(11)
各々が光電変換素子を含む複数の画素を有し、
前記光電変換素子は、
有機光電変換膜と、
前記有機光電変換膜を挟んで設けられた第1電極および第2電極と、
前記第2電極と前記有機光電変換膜との間に設けられた電荷ブロック層とを備え、
前記電荷ブロック層は、
前記有機光電変換膜の前記第2電極側の仕事関数を調整するための金属元素を含む仕事関数調整層と、
前記仕事関数調整層と前記第2電極との間に設けられ、前記金属元素の前記第2電極側への拡散を抑制する第1の拡散抑制層と
を有する
固体撮像装置を備えた電子機器。
【0054】
本出願は、日本国特許庁において2012年11月6日に出願された日本特許出願番号第2012−244506号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0055】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24